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    元スレ妹「学校に行きたくないのです」

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    みんなの評価 : ★★★×4
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    1 :

    「理由を述べよ」

    「いじめられるから行きたくにゃーのです」

    「……」

    「……」

    「えっと、何故お前はいじめられるんだろうか?」

    「私が可愛すぎるからだと思うのです。クラスのメスブタどもに嫉妬されるのです」

    「うん、絶対その性格のせいだよな。自覚しような」

    3 :

    釣り、これは確定事項だ

    4 :

    ドイツ製の楽器と言えば?

    5 = 1 :

    「というわけで兄の人、今日は一緒にゲームをして過ごしましょう」

    「朝っぱらから異次元な発言をしないでくれ。これから出勤だ」

    「兄の人は会社の犬ですか。社畜ですか」

    「お前が毎日やってるゲームを買う金はその社畜が稼いでいるわけだが」

    「はい、生活費もそうですし、ネット代とか携帯代もそうですな」

    「わかってるなら自らのライフラインを断つような発言は慎んでくれ」

    「そんな酷い! 友達がいなくても携帯を持ってたっていいじゃないですか!」

    「誰もそんなことは言ってねえ」

    「……言わなくても思ってると推察しました」

    「お前のその旺盛な被害者意識はどこで育まれたんだろうな」

    「……美貌?」

    「これ以上お前と話していると働きに出るのが辛くなるのでもう行くな」

    6 :

    なにこの兄妹

    7 = 1 :

    「ただいまー、今帰ったぞ」

    「うむ、今日も安い賃金でこき使われてご苦労様です」

    「……」

    「……」

    「ごめんなさいは?」

    「はい、すみません。ごめんなさい。謝るからこの首にかけた手を離してください。死にます」

    「うん、わかればいいんだ。俺も人間だからついカッとなることもある。気をつけてくれ」

    「はひ……」

    8 = 1 :

    「ところで兄の人、今晩のご飯はなんですか?」

    「あー、なんかどっと疲れたし、レトルトで済ませたい気分だな」

    「……ロリコン?」

    「何故そうなる」

    「いや、私のスレンダーな身体を維持したくて食の偏りを意図しているのかと」

    「……」

    「……なぜそんな憐れみを込めた視線を私に向けるのです? 主に胸のあたりに」

    「そうだよな、お前育ち盛りだもんな。ちゃんと肉野菜炒めくらいは作ることにするな」

    「なぜでしょう。兄の優しさが痛いです。って言うか屈辱」

    9 = 1 :

    「お粗末さまでした」

    「違うだろ、ごちそうさまだろ、お前が言うべき台詞は」

    「いや、仕事で疲れている兄の分まで喋ってあげようかなと思いまして。思いました」

    「いらん気遣いの典型だな」

    「この世にいらないものなんてないってどこかの誰かが言いそうです」

    「微妙に同意しかねる命題だな」

    「……あれ、もしかして私っていらない子ですか? 家にも居場所がなかったりします?」

    「あ、いや、そういうわけじゃ……」

    「しょぼん……」

    「あー、すまん、そういうつもりじゃなかったんだ」

    「……お風呂沸かしてきます」

    「あー……」

    10 :

    朝から抜かせる気か、さすがだな

    11 :

    エロはある?

    12 = 1 :

    風呂場

    「あー、さっきは言いすぎたかなあ……」

    「ですねえ」

    「そうだよなあ……あいつの嫌がらせに近い暴言って不器用な甘えなんだよなあ……」

    「そうです。彼女には甘えられる人が兄しかいないのです。
      ゆえに細心の注意を払って接するべきだと思うのです」

    「やっぱりそうかあ……って、おい」

    「はい?」

    「なぜお前がここにいる」

    「いえ、仲直りに兄の背中をお流ししようかなと」

    「……」

    「バスタオルを巻いているとはいえ、プリチーなボディに欲情します?」

    「……凶作だよなあ」

    「人の胸を見てその表現は酷いと思うの」

    14 = 1 :

    ブオーン

    「あ~、人に髪を乾かしてもらうって気持ちいいですな~」

    「そういうもんかねえ」

    「そういうものです。兄の人に髪を撫ぜられたりわしゃわしゃされたりするの好きです」

    「ふーん。まあ俺も床屋でおっちゃんに髪洗われるのすっきりするし、そんなもんかもな」

    「少し違うのですが、まあ良いです」

    「ところでお前は床屋にいかんのか。髪が腰を通り越して尻まで届きそうな勢いなんだが」

    「じわじわと殺す気ならいまここで楽にして欲しいです」

    「そこまで床屋嫌いか。どんだけ社会不適応者なんだお前は」

    「えっと、ほら、私の髪は兄さん以外に触って欲しくないっていう可愛い妹心だと思えば!」

    「そういえばお前、最近まったく外に出ないけど、買い物とかどうしてるんだ?」

    「今は生理用品すらネット通販で買えるのです」

    「……」

    「なんか髪を乾かす手つきが優しくなったですよ?」

    「なんとかしないとなあ、いい加減」

    15 = 1 :

    「というわけでおやすみなさいなのです。でした」

    「ああ、せっかく睡眠サイクルが正常化してるんだ、維持しような」

    「むう、それはゲームの発売日と連動して乱れるので難しいです」

    「……」

    「ごめんなさい、なんか普通に悲しそうな顔をされると罪悪感が凄まじいです」

    「責めてるつもりも急かすつもりもないんだけど、兄としては色々と心が痛い」

    16 = 1 :

    「じゃ、行ってくるな……」

    「はい、今日も一日可愛い私の為に頑張ってください」

    「……おー」

    「兄、テンション低いです」

    「んー……なんか今朝はどうも頭が重くてなあ……」

    「……大丈夫ですか?」

    「うーん、たぶん……」

    「今兄さんに倒れられたら、私の今後のゲームライフはどうなるんです!」

    「あー、怒る気力も湧かない」

    「……えっと、もしかして本気で危険ですか?」

    「んー……いや、なんか昨日色々と考えてたらあんまり寝れなかったからだと思う、大丈夫だ」

    ――それが兄の最後の言葉になるとは、この時の私はこれっぽっちも思っていませんでした






    「うん、勝手に殺さないでくれな」

    17 :

    こんな妹がほしい

    19 = 1 :

    「うー……」

    「というわけで、その後、帰宅した兄は見事にダウンしてしまったのでした」

    「むー……」

    「幸い明日から土日で会社は休みです。
      この二日で兄の失われた活力を取り戻したいと思います」

    「そう思うなら部屋から出て行こうな。ただの心労と過労だ、寝かせてくれ」

    「添い寝はいりませんか?」

    「いらん」

    「でも、風邪をひいた時って誰かに側にいて欲しくなりませんか?」

    「風邪じゃない」

    「なるほど、うっかり欲情してしまうと倫理的にまずいと」

    「不毛の大地に喜ぶ農耕民族はいない」

    「人の胸を大地に喩える雄大さは良いのですが、不毛って……」

    「いいから寝かせてくれ……」

    20 = 17 :

    不毛の大地・・・興奮するな

    21 = 1 :

    「というわけで土曜日です。兄の体の調子はどうなったでしょうか?」

    「なあ、そのアナウンスは誰に向けたものなんだ?」

    「や、なんか気分を出そうかな、と」

    「朝っぱらからそんなもんはいらん。ってかどんな気分を出す気だお前は」

    「……やっぱり桃色な?」

    「なあ、最近お前やけにそっち方面のノリに傾いてるけど何かあったのか?」

    「いえ、最近エロゲの世界に足を踏み入れてしまいまして……」

    「……倒れるまで働いて稼いだ金がそんなものに使われているかと思うと俺辛い」

    「で、でも私が終わったらちゃんと兄の人の夜のお供として活用できるじゃないですかー」

    「ねーよ」

    「ですよね……兄はお姉さん属性の巨乳好きですもんね……」

    「……何故それをお前が知っている?」

    「ブラウザの履歴はちゃんと消した方がいいですよ?」

    「いくら兄妹とはいえプライバシーってもんがあると思う」

    22 = 11 :

    いいよな!義姉

    俺姉とか義姉とか大好きだぜ

    23 = 1 :

    「というわけで今日の食事は私が作ろうと思います」

    「…・・・不安だ」

    「ささ、兄の人はお布団で待っていてください」

    「不安だ……」

    「三点リーダのつける場所を変えたことに何か深い意味があるのでしょうか?」

    「お前が何を言っているのかよくわからないが、たぶんそれだけ不安なんだと思う」

    「失礼です。私の料理の腕は戦闘後の体力回復すらこなせる粋に達しているというのに!」

    「どこのヴァーチャルな世界での話だ、それは」

    「テイルズは乱発しすぎですよね」

    「……ソニックの相棒?」

    「そういでば兄は瀬川でしたね、迂闊でした」

    「すまん、もうお前が何を言っているのか兄さんさっぱりわからない」

    25 = 18 :

    妹欲しい

    26 = 1 :

    「というわけで出来ました。おかゆです。どうぞどうぞたーんとお食べやすです」

    「……ふむ、見た目はまともなだ。匂いも……まともだな」

    「当然です。ここで紫色の物体とか出すほど私はベタな妹ではないのです」

    「なんだかよくわからんが、じゃあ頂くぞ」

    「ノンノン、兄は作法というものがわかっていません」

    「ああ?」

    「ここは当然あれですよ、『あ~ん』ですよ」

    「……」

    「……なぜ兄は私を絶滅の危機に瀕している小動物を見るような目で?」

    「そうだよなあ、もう中学二年生だもんなあ、お前も恋とかしたいよなあ……」

    「そんなしみじみと憐れまれるとそれはそれで辛い」

    27 = 1 :

    「なあ、真面目な話、お前は恋人はともかく、友達とか欲しくないのか?」

    「友達なんて嘘っぱちです。あんなのごっこ遊びか保身かのニ択ですよ」

    「思いっきり偏った認識だな」

    「私が信じられるのは兄の人だけです」

    「う~ん……」

    「……兄さんは私のことが嫌いですか? 可愛いと思ってくれないのですか?」

    「いや、可愛いことは可愛いんだが、どうも最近お前との温度差と言うかなんと言うか……」

    「肉親の情であって、肉欲は湧かない、と」

    「中二の台詞じゃないな、それ」

    「触手とかは高度すぎて理解不能ですが、血縁の壁を越える背徳感はありだと思う」

    「ああああほんとお前はエロゲなんてもんに手を出した上に見事に感化されやがって……」

    「愛なんて支配欲のラベルを変えただけですよね」

    「再教育が必要だと言うことはわかった」

    28 :

    なにこの妹かわいいww

    29 = 1 :

    「さて兄、日曜日ですが、体調はいかがでしょーか」

    「ん、昨日よく寝たせいか、大丈夫っぽいな」

    「……よかったです」

    ぎゅ

    「おい、ひっつくな、大げさだ」

    「ああ……兄さんの胸、温かいです……ハァハァ……」

    「だあああああああああああああああああ発情すんな!!」

    「一緒に倫理を超越して悦楽に溺れましょうず」

    「わけのわからない語尾をつけてわけのわからないことを言うなあああ!」

    30 = 1 :

    「兄さんはSM属性の持ち主でしたか」

    「いや、そんな不穏な属性は保持していないな」

    「ではなぜ私は縛られているのでしょう?」

    「色々と危険を感じてな。止むを得ない処置だ」

    「ちょっとしたジョークじゃないですか」

    「お前、本気で発情してだろ」

    「えっと、そりゃ確かにちょっとはお股がジュンとしましたが、でもまだ生えてないですし」

    「あー、近所に精神科あったかな……」

    「ごめんなさい、嘘です、謝ります。
      だから怖いことを言いながらタウンページをめくるのはやめてください」

    31 = 1 :

    「なあ、お前も年頃だし、性に興味を持つのは健全だとは思うんだよ」

    「はい」

    「でもな? 対象が肉親の俺ってのは不健全なんだよ」

    「ですね」

    「だろ? わかってるなら……」

    「わかった上で突き進むから背徳感という快楽が得られるわけでして」

    「……」

    「あう、その本気で辛そうな悲しい顔は私としても結構堪えるものがあるのですが、
      しかしそこがまた何か私のなかのいけない悦びに火をつけると言うかなんと言うか……」

    「俺また倒れそう」

    32 :

    こんな妹護ってあげたくなるな

    33 :

    久しぶりに面白い妹SS期待支援

    34 = 17 :

    >>32
    だめだおれのだ

    35 = 1 :

    「というわけで、俺はお前に欲情しないし、お前の欲情も一時的な気の迷いなんだよ」

    「大抵の感情は気の迷いと言えるので、気の迷い大いに結構なのです」

    「あー、どう言えばわかってくれるのかな……
      なんと言うか、今お前の周りに異性が俺しかいないから……」

    「それはそうかもしれないです」

    「だろ? だからまた学校にでも行けば、きっと良い男が見つかると思うんだよ」

    「いえ、それはないです。ありえにゃーです」

    「なんで?」

    「第一に私が学校に行くことはありえにゃーのです!」

    「嫌なことを力強く宣言するなよ……」

    「第二に中学校の男連中なんて、子供過ぎて私は魅力まったく感じないわけで」

    「あー……」

    「あいつら、私が可愛いからって下心丸出しで擦り寄ってくるか、照れて攻撃的になるかのニ択でうざいのです」

    「……まあ、お前は容姿だけはいいからなあ」

    「とか言いつつ私の胸を残念そうに見つめる兄はどんだけ巨乳が好きなのかと言いたい」

    36 = 32 :

    撫子もベクトル的にはこっちだな
    そのおとなしい性格から学校ではいじめられがち
    唯一心を開けるのが兄

    37 = 1 :

    「って言うか私の優れた部分は容姿だけではないわけでして」

    「他に何があるのかと」

    「ゲーム上手いです!」

    「……」

    「はい、自分でも言っててちょっと虚しいです」

    「うん、わかってるならいいんだ」

    「ネトゲ上の価値観って、家族に通じないのが悲しい」

    「それを悲しいとお前が思うことが俺は悲しいよ」

    39 = 1 :

    ちゃりらりららら~

    (ビクッ

    「ん、電話か。ってか電話とかチャイムに過剰反応する症状が悪化してるなお前は……」

    「いいから早く出てください。社会からの圧迫を感じて辛いです」

    「ったく……はい、もしもし?」

    ??「あ、初めまして。私、このたび妹ちゃんの副担任になりました女と申します」

    「はあ……」

    「??」

    40 = 1 :

    「いーやーでーすー!」

    「いや、でもなあ……」

    「新しかろうと古かろうと教師になんて会いたくにゃーのです!」

    「うーん、でももうオッケー出しちゃったしなあ……」

    「って言うか休日に電話してきてその日のうちに来るとか非常識です! 迷惑です!」

    「いや、まあ平日だと俺いないし、話の流れ的に……」

    「兄さんは裏切り者です! 酷いです!」

    「う、う~ん……」

    「私のプライベートエリアに社会からの使者が来るのは耐えられないです!
      サンクチュアリが奪われるです! パレスチナ人の気分です……」

    (困った……)

    41 = 1 :

    「と、言うわけで妹は部屋に閉じこもってしまいまして……」

    「……やっぱり急すぎたでしょうか?」

    「いえ、急でも急じゃなくても反応は同じだと思います。
      すみません、わざわざご足労頂いたのに……」

    「いえ! こちらから無理にお願いしたことですし……」

    「どうしましょう、縛るなり布団で簀巻きにするなりすれば連れて来られると思いますが」

    「そ、それはさすがにちょっと……」

    「そうですか、でも妹に会えないとわざわざ来てもらった意味が……」

    「あ、いえ、そこは前任から聞いておりましたので、今日はお兄様とお話ができればと思いまして」

    「はあ、まあ一応保護者ですからね、俺」

    「ご両親のことはお聞きしました、なんと申し上げて良いのか……」

    「あー、まあ昔のことですし、俺も妹もそのへんは大丈夫ですよ。
      妹は小さすぎて両親の記憶自体ほぼないですし、俺ももう大人ですから」

    42 :

    このSSは俺が電波ちゃん好きだと知っての狼藉か・・・構わん、続けたまえ、

    43 = 11 :

    女×兄のフラグはいらんぞ

    44 = 1 :

     親父とお袋は、俺がまだ妹くらいの頃、旅先の外国で強盗に遭って殺されてしまった。
     保険金と幾許かの遺産のおかげで俺が社会に出るまでの生活費や学費には事足りたが
    当然それなりに大変だった。妹はまだ赤子も同然だったし、俺も何の力もない子供だったからだ。

     でも、それらの出来事について振り返って考えることはほとんどない。
     妹の為に自分をしっかりと保つことでこれまで精一杯だったし、それは今も変わらないからだ。
     事件の後、俺が大学に入るまでこの家に来て一緒に暮らしてくれた父方の叔母は後にこう言った。

     ――兄くんは妹ちゃんのおかげで立ってられたのかもしれないわねー

     俺もそう思う。自分より弱い存在があったから俺はそれなりに強くいられたのだと思う。
     そういう意味で俺は妹に感謝している。

     ……でも、最近はこうも思う。妹は弱いままでいいのか? と。

    45 :

    アパート住まい?

    46 = 1 :

    「……そんなわけで、今すぐ無理に学校に行かせる気もないですが、
      妹の今後については悩んでいます」

    「なるほど……でも中学校は義務教育ですから……」

    「そうですね、権利なのか義務なのかは俺にはよくわかりませんが、
      『普通なら』行くのが当然のことですよね」

    「えっと……確かに妹ちゃんの心の傷は……」

    「べつに妹が『普通じゃない』と言っているわけじゃないんです。
      生い立ちのことを引き合いに出す気もありません。
      『妹の今』に何が関係があって、何が無関係なのかは俺にはわかりません」

    「……」

    「ただ、妹にとって――妹の個性にとって、学校の環境は明らかに合っていません。
      これは学校が悪いとか妹が悪いとかの責任の所在についてでなく、ただの事実です」

    「それは確かにそうかもしれません。
      でも、そうやって合わないからと言って何もかもを避けていては、妹ちゃんは……」

    「そうですね。もちろん何もかもから逃げていては、人は生きていけないですよね」

    「はい」

    「でも、それは程度の問題だと思います」

    47 = 1 :

    男と兄まちがえたーよ。ここは家っす。支援してくれる人ありがとー

    48 :

    突然知らない男デテキター

    49 = 1 :

    「理由や原因のことは考えずに、妹の今の個性について、俺の見解を述べて良いですか?」

    「あ、はい」

    「まず、妹は奇麗すぎます。この認識は間違っていますか?」

    「えっと、いえ、写真を見ましたが、とても奇麗な子だと思います。
      近寄りがたいくらいと言ってもいいくらいに」

    「ですよね。でも、そんな特別な外見に妹自身が上手く適応できていないんです」

    「……」

    「話を聞く限り、それは妹だけじゃないみたいですけどね。
     クラスメイト達も妹の容貌を持て余していると言うか、
     どう向き合えば良いのか戸惑いがあったのでしょう」

    「その、ようですね……・」

    「はい、本人と担任の先生から聞いたところによると、
     直接的ではないですがかなり陰湿で遠巻きな嫌がらせがあったみたいですね」

    「はい……」

    「でも薄情かもしれないですが、俺はこのことで学校の子達を責める気はあまりないんです」

    「??」

    50 = 1 :

    「妹本人が持て余しているものを、周囲の子供が受け入れるのはなかなか難しいでしょう。
      まずは妹が自分に具わった個性を受け入れ、それに慣れる必要があると思います」

    「そうかも……しれません」

    「はい、腕っ節強い男の子が自分の力を理解して加減を覚え、無自覚な威圧を避けるように、
      妹も自分の容貌を踏まえた上で姿勢を作らなければならないんです」

    「なるほど」

    「ただ、妹はまだそういった対外的な配慮ができるほど精神的に大人ではありません。
      これは俺の接し方にも問題があったのだと思いますが、基本的に甘えたがりです。
      しかも甘え方が下手糞で、慣れない人はなんて生意気で失礼な子供かとびっくりします」

    「えっと……」

    「いいんです、本当のことですから。妹の問題点は、容貌について無自覚なのに、
      容貌を鼻にかけた傲慢な人間だと想われてしまう所だと俺は思っています」

    「すると……」

    「はい、自覚が先か、内面の進歩が先かはわかりませんが、妹は前に進まなければいけません。
      でも、その為にどうすればいいのか俺にはわかりません。女さんにはわかりますか?」

    「それは……」

    「……と、言うわけです。今のところ、彼女の周りの大人、誰にもわからない。
      だから俺は無理に状況を動かす気にはなれません。
      妹の自然な成長を見守るしかできないわけです」


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