元スレキョン「なあ、古泉。お前、疲れないのか?」2
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652 = 342 :
古泉「………………」
母「もちろん、お母さんとお父さんは―――美樹も、あなたが帰ってきてくれたら本当に嬉しいわ」
母「一樹ちゃん―――――」
母さんの言葉を父さんの手が止めた。
父さんは真っ直ぐ、僕の目を見て呟いた。
父「……一樹。全部、お前が決めなさい?」
父「たまたま近くに来たしってことで家に来てくれたんなら、私達は本当に嬉しいよ」
父「まら、グループに戻って世界を回るって言っても笑顔で送り出すさ。また帰ってこいってな」
父「でも、もしお前が本当に疲れて帰ってきたなら――――」
――――うちで骨を休めていいんだよ?
――――また、新しい道を見つけてもいいんだよ?
お父さんは優しく、僕にそう語りかけた。
654 :
俺なに泣いてんだよwwwwアホじゃねwwお前もらそう思うだろwww
655 :
>>652
いいシーンなのに誤字で吹いてしまったw
657 = 571 :
まら……うっ!
658 = 342 :
僕は、お父さんの目を見る。
視線を落として、食卓に広がる沢山の御馳走を見る。
ソファーで幸せそうに眠る妹を見る。
眉間に皺をよせて、また泣きそうな顔をしているお母さんを見る。
そして――――最後に、手元に広がる沢山の手紙に目をやった。
この嘘だらけの手紙が真実だったら――――僕はきっと、胸を張ってここに帰ってこれたことだろう。
しかし、この手紙は内容は置いておくにせよ……僕個人の事について真実とは程遠かった。
河原一樹は手紙の中で本物の笑顔を浮かべていた。
自分の過去に誇りを持っていた。
自分の仲間たちを……信頼して、助けあい、笑い合っていた。
じゃあ、古泉一樹はどうだったか。
胸がひりつくけれど、その落差を脳に焼きつける。
手紙の中のかれと比べて、現実の僕は最低だった。
660 = 654 :
(´;ω;`)ブスッ
664 :
>>661
お前は帰れ
666 = 342 :
古泉(お父さん……。お母さん……)
二人は優しい顔で僕の言葉を待っていた。
心が揺らぐ。
ここには、僕を必要としてくれる人がいる。
かつて、あの能力が生まれた日に渇望した……特別がここにはある。
古泉(確かに、僕は疲れていた)
古泉(疲れ果てた挙句に……ここに、帰ってきたんだ――――)
チクチクチクチク………。
時計の針の音だけが部屋の中を包む。
チクチクチクチク………ポーン。
三十分を経過を鐘の音が小さく響いた。
僕は決断する。
古泉(結局、必要としてくれる側に逃げて行ったら――――今までと、同じだ)
古泉(だから、僕は―――――)
668 = 633 :
>>662
もう許してやれよ
ブボボ
669 = 342 :
古泉「……お父さん。お母さん」
二人は、小さく頷く。僕は続けた。
古泉「僕は……確かに、疲れて帰ってきたんだ。だんだん、みんなが自分のことを必要だと思ってくれていないような気がして―――」
古泉「それどころか、別に自分がいなくてもこの人たちは誰も困らないんじゃないか。構わないんじゃないかって思えて」
古泉「そうしたら、すごくストレスが溜まって……」
母「一樹……そうだったの」
母「それなら―――――――」
古泉「でも、わかったよ。僕は間違ってた」
古泉「本当に必要だと思われる人間は……きちんと自分も相手を必要だと思える人間なんだって、わかった」
古泉「相手を必要だとも思わず、それ相応の努力もしない人間は……結局必要とされなくなるって。わかった」
父「……そうだな」
父「うん、そうだな」
父さんは二回、強く頷いた。
671 = 569 :
父「大事なことなので二回言いました」
672 = 366 :
2回言う事の大切さがわかりました
673 = 342 :
古泉「……だから、僕はもう少し向こうで頑張ってみようと思う」
古泉「必要とされるから、ただそこにいるんじゃなくて……いたいから、自分はここにいるんだって胸張って言えるように、努力しようと思う」
古泉「また、家を空けることになるけど………それでいいかな?」
僕がそういうと、お父さんは何回も何回も、深く頷いていた。
お母さんは………あふれる涙を、服の袖口で拭いている。
古泉「お母さんごめ――――――」
母「違うのよ、一樹ちゃん」
母「お母さんね……嬉しくて、泣いてるの。ほんとに、本当に、嬉しくて―――」
父「一樹……成長したな」
父「本当に、本当に…………成長したな?」
僕は、二人の言葉に恥ずかしくなり俯いた。
何故なら、成長するのはこれからだからだ。
今自分で言った言葉を、本当に実行できるかは……これからの自分で決まるのだ。
やれるだろうか?何の根拠があって?
676 = 648 :
がんばれイツキ支援
680 = 567 :
普通に最近の若い連中に見せてやりたい
681 = 612 :
くわッッッ
684 = 342 :
――――――根拠なんて一つもなかった。
ただ、今日ぐらいは。
父さんの笑顔と、母さんの涙を見ながら根拠のない確信を胸に抱いてもいいんじゃないだろうか?
古泉(どうだろう?なあ、河原一樹――――)
妹「………んーーっ?おかあさん、また泣いてるの?」
母「うふふ、ごめね、美樹。お母さんね、悲しくないんだよ?嬉しいんだよ?」
妹「……嬉しいのに、泣いてるの?……へんなのーーーー…」
いつの間に起きたのだろう。
美樹ちゃんは目をこすりながら、お母さんの背中にぴとりと張り付いた。
その光景が、とても微笑ましく、輝かしく見える。
父「そうだよー、美樹。お兄ちゃんがな、すっごくかっこよくて、お母さん泣いてるんだぞー?」
妹「……あはは!いっきお兄ちゃんかっこいい!」
古泉「あはは、本当?美樹ちゃんにそう言われると、お兄ちゃんうれしいなー」
688 = 342 :
僕はそう言って、にっこりと―――心からの笑みを浮かべて美樹ちゃんに近づく。
さわっと頭をなでる。
古泉「美樹ちゃん―――美樹も、本当にいい子だね」
妹「えへへー、えへへへーー!」
母「あら、美樹……良かったわね……っ」
お母さんの涙はまだ止まらないようだ。
父「どれ、じゃあ俺は一樹の頭を撫でてやろうかなー」
一樹「いや、お父さん、さすがにそれはちょっと――――――」
僕は苦笑いを浮かべて、そして……心の底から笑った。
689 = 654 :
よかったのう、
692 = 342 :
母「一樹ちゃん……本当に、駅まで送っていかなくて大丈夫?」
お母さんは、玄関を出てすぐの砂利道で心配そうに僕の顔を見つめる。
ちなみに僕の手には大量の荷物がぶら下がっていた。手ぶらで来たはずなのに。
しかも、そのほとんどが食材やら非常食だった。
古泉「大丈夫だよ、お母さん。大体、駅まできたら今度は電車のるとか言い始めるでしょ?」
母「それも……そうねぇ」
父「そうだぞ、お前。特に一樹くらいの年はお母さんやお父さんといるのをみられるのが恥ずかしい年頃なんだ」
父「なあ、一樹?」
古泉「いや、まあそう言うわけでも……あ、まあそれでいいや。そうそう」
母「……一樹ちゃんがそういうなら、お母さんも我慢するわ」
僕は自然な苦笑いを浮かべる。
694 = 342 :
妹「ねえねえねえ!いっきお兄ちゃん、いつ来るの?すぐ来る?すぐ来る?」
父「美樹。一樹お兄ちゃんは大変な仕事をしてるんだよ?だからあんまり無理を言っちゃ――――」
古泉「いや、お父さん。なるべく帰ってくるようにするよ」
古泉「これでもこの家の長男だし……美樹にも会いたいしね?」
僕がそういうとわーいいわーいと美樹は手をあげて喜んだ。
古泉「……じゃあ、そろそろ行くね」
父「一樹。しっかり、頑張るんだぞ?」
母「一樹ちゃん……?疲れたらまた、無理をせず帰ってくるのよ?」
二人の言葉に、二回、強く頷く。
一樹「じゃあ、行くよ。帰ってくる時は電話するから」
父「ああ。気を付けてな!」
母「一樹ちゃん、いってらっしゃい!」
妹「いっお兄ちゃん、いってらっしゃーい!」
僕は振り返りながら三人に手を振り、砂利道を歩き始めた。
695 = 477 :
しえん
696 :
そういや美樹は血の繋がらない妹(幼女)なんだよな・・・
698 = 654 :
>>696
ええ、しっかりロックオンさせてもらってます
699 = 359 :
お巡りさーん!
700 = 342 :
土曜日、日曜日とたった二日間の滞在だったけれどとてもそうとは思えないほど色の濃い二日間だった。
ジャッジャッジャッジャッジャ……。
砂利道を踏みしめて、歩く。
古泉(大変なのは、これからか―――――)
古泉(頑張らなくちゃな―――――)
まず、機関の問題だ。
戻りたいと言って、簡単に戻れるような場所じゃない事は重々に承知している。
どうすればいいだろう?
どうすれば失った信頼を取り戻せる?
古泉(…………)
古泉(―――――まあ、なんとかなるか)
砂利道を踏みしめて、歩く。
来た時よりもその砂利の一つ一つが、とても軽かった。
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