元スレキョン「なあ、古泉。お前、疲れないのか?」2
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×4
501 = 411 :
それ考えるのに、どのくらい時間かけたの?
浮上
503 :
>>496
こればかりは仕方ないな。待ってるぜ
504 = 371 :
>>496
おk
とりあえず保守
505 :
うふん
506 = 342 :
古泉(もし、ここが涼宮さんの……彼女の夢の中だとしたら)
古泉(本当は四年前以前なんて自分に存在しないとしたら)
古泉(それなら、自分の記憶に齟齬があったとしても―――――)
ジャリ。ジャッジャッジャッジャッジャ………。
小石を自分の足がテンポよく踏みにじる。
その音は、どう考えてもかつて自分が毎日奏でていた音だった。
そのリズミカルな音を聴いていると、やはり今のも全部ただのいいわけであることが分かる。
古泉(それに、例え自分の過去が彼女によって四年前に作られたものだったとしも)
古泉(今、この瞬間感じている苦痛や不快は自分だけのものだ)
古泉(それだけは紛れもない…………真実)
古泉(詭弁は――――――――――もう、やめだ)
ジャリ。
507 :
電話じゃないのに釣られるなw
508 = 503 :
しまった縦読みか!
509 = 342 :
>>501
正直SS書くのよりこれ考える方が楽しかった、とだけ言っておきましょうか。
あ、あと今さらですけど>>426の下の方のURLで前スレが見れるのでもしみたい方がいたら是非。
511 = 371 :
ちょww
縦読みかww
釣られたw
512 = 342 :
足が止まる。
そこには一軒の家があった。
昔ながらの日本家屋を数回改築して、すっかり和洋折衷になっているアンバランスな家。
かつて、僕が家族として迎え入れられ、
何も言わずに捨ててしまった、自分の中で唯一故郷と呼べる場所だった。
古泉(………変わらないな)
古泉(いや、少し変わったか。これまた洋風なガレージを作ったものだなぁ)
古泉(どうして、木造の家の横にレンガ調の駐車場なんて作ろうと思ったんだろう?)
古泉(それにあそこには……)
新しく出来たカラフルな駐車場。
確かそこには今ももし生きていたら13歳になるパールという犬の犬小屋があったはずだ。
入れ替わった犬小屋とガレージが、過ぎ去った三年という月日の長さを僕に教えた。
そして……決意を揺らがせた。
513 :
電話だけど釣られなかったぜ!
支援
514 = 353 :
なんだ釣りか…
あ、言っておくけど僕は釣られてないよ、釣られてないからね?
まったく作者はスーパーおちゃめさんだな!ハハハ…
515 = 342 :
古泉(………)
古泉(……暗いな。いないのかな?)
塀の奥を覗きこむと、やはり人の気配はなかった。
古泉(……どう、するかな)
その時。
ガシャガシャと音を立てながら、砂利道を自転車で走る音が聞こえた。
古泉(まずい!!)
特に悪いことをしているわけではなかったけれど、家の裏側に回り込み、隠れる。
息を殺して隙間からもといた場所を眺めていると、自転車は僕には全く気が付かなかったようで、過ぎていった。
古泉(危ない危ない………)
古泉(……って、何が危ないんだか)
つい先日まで、命を賭ける戦いをしてきた自分がこんなことで驚くなんて、あまりにも新鮮だった。
あはは。思わず、小さく声を出して笑う。
改めて、実家の裏口を覗くとうやはりそこも真っ暗だった。
518 = 416 :
おかえり
520 = 342 :
古泉「……待つか」
自分自身に確認するように小さく呟く。
そして、元いた場所に戻り来た道とは逆の方……背の低い山のある方へと足を向けた。
古泉(きっと、六時も過ぎれば帰ってきてるだろう)
古泉(それまで……久しぶりにあの山にでも行ってみるか)
ジャリジャリ。
ジャリジャリジャリジャリ……………
ジャリジャリジャリジャリ……………
なだらかな道を歩く。足音は一つしかない。
522 :
古泉も悩んだり遊戯王やったりエロしりとりしたり大変だな
523 = 371 :
思春期ですから
524 = 342 :
山に入るといつの間にかなくなっていた砂利の代わりに、
木から零れた枝や風に揺らされ落ちた青い葉、
ゴツゴツとした岩やパッと見では判別の付かない何かが、秩序なく転がっている。
僕はそれを踏みながら山の奥を目指して歩いた。
そこには誰もいない。
空間を包むのは野鳥のさえずりと何処を流れているかもわからない小川のせせらぎだけだった。
しかし、僕の耳には沢山の声が聞こえた。
一樹、一樹君、いっちゃん、河原、河ちゃん、河やん―――――――
古泉。古泉君。今僕を包む現実では、殆ど全ての人が僕をそう呼ぶ。
かつてあった名前を捨てた僕は自らそう呼ばれるのを好み、そう呼ばれることを望んだ。
でも、今。
言ってしまえば幻聴でしかないかつての友人たちの声が、自分の名前を呼ぶ度に、僕は銘打ちがたい感慨と感傷に包まれた。
525 = 342 :
古泉「古泉一樹、か」
古泉「何が目的だったんだかなー……」
さっと視界が開ける。
その向こうには、鮮やかな太陽の光に照らされた故郷の景観が広がっていた。
学校が見える。毎日のように通った駄菓子屋が見える。
あそこはよく遊びにいったあの子の家だ。
古泉(……そう言うことは、きちんと覚えているんだな――――)
僕は近くにあった切り株に腰を掛けて、ぼんやりと昼の陽光に照る街を見下ろした。
――――美しい―――――
心の中に、そんな短い単語が生まれる。
今、この瞬間その言葉はただの形容詞ではなかった。
本来の意味よりも、もっと複雑な
愛おしさや、悲しさや、切なさや、憐憫や、葛藤や――――――――
沢山の感情を合成させた“自分自身の”を端的に現す、都合のいい記号だった。
527 :
528 = 342 :
初めてこの街にやってきた時。
そう言えば僕は二人に手をつながれていた。
緊張と不安に押しつぶされそうになりながら、必死に笑顔を振りまいた。
そうだ。確か、そんな時にあの砂利道で転んだんだ。
――あなたは元気でいい子ね――
――そうだ。男の子は元気なのが一番だ――
また二人の声が蘇る。しかし、思い返してみるとあの初めてここに来た時の自分は元気なんかじゃなかったはずだ。
孤児院から、あの二人に引き取られて――――
嫌われないようにと必死に緊張を隠して――――――
そんな僕にお父さんとお母さんは本当に優しくしてくれた。
無理に笑顔を作らなくていいと言った。
そして、それが自分の夢見ていた愛だったと気付いた。
古泉(そうだったな………)
古泉(僕は二人に愛されている、と思った。それで、自分は二人の本当の子供になれると思ったんだ――――)
529 :
孤児院…だと…
530 = 350 :
たど・・・
531 = 342 :
するすると、絡まっていた糸が少しずつほどけていくのが分かる。
そうだ。
僕お得意の作り笑顔は河原一樹になる前の、まだ本当に古泉一樹だった頃に得たものだったんだ。
そうか……そういうことか……………。
少しずつ陽が落ちてくる。
景色が段々と橙色に染まっていく。
暖色の街を数匹の蝙蝠が線を引くように横切っていく。
かつての僕たちは蝙蝠を合図に家に帰っていたのだ。
古泉(………と、言うことは)
古泉(もう、五時くらいか――――――)
532 :
古泉やぁ・・・
535 = 342 :
カサリ。足を動かすと、地面に転がっていたもう伸びることのない枝葉が小さな音を立てた。
その音をきっかけに僕は膝に手を付けて立ち上がる。
もう……自分の中で結論は見え始めていた。
おそらく、あと少し力を入れて両端から引っ張れば、この紐の絡まりはほどけて僕は答えを見つけられる。
どうして、自分が涼宮さんの超能力者になったのか。
彼の仮定する所でいう、こちら側から引力の理由が分かる。
古泉(家に、戻って――――)
古泉(窓からそっとのぞけば……答えは分かる)
登って来た道を下る。
ついさっきまで響いていた野鳥の歌、カラスの遠吠えにとって代わり
赤みを帯びている山道は来た時と随分違う印象を受けた。
かつて、ここでの日々を楽しんでいた頃は、この夕暮れを寂しいものだなんて思わなかった。
しかし、今は橙色の木漏れ日がたとえようもなくわびしい。
それはきっと……帰る家があるのと無いのの違いなんだ、と気づいた。
537 = 492 :
こいずみぃぃぃ
切ない
538 :
支援
まとめ来てるな
http://vipss.main.jp/haruhi/1234191006.html
540 = 342 :
古泉(電気は………点いてるな――)
背伸びをして塀の奥を覗くと予想通りもう帰ってきているようだった。
僕は一度、家の裏に回りゆっくりと深呼吸をする。
そして…………もう一度だけ、ゆっくりと考えてみた。
古泉(―――――これを確かめて、なんの意味がある?)
古泉(ただ、情けなくなるだけじゃないか?)
古泉(辛い思いをするだけじゃないか?)
何の意味もないんじゃないか―――――?
否定する言葉を頭の中に幾つも、幾つも並べてみる。
しかし――――――自分の足は駅に向かうことを選ばなかった。
古泉(鳥籠………か)
僕は人がいないのを確認して、裏口から庭の中に入った。
544 = 342 :
焼き魚の臭いがする台所の裏を回り、居間の方へと向かう。
やはりパールはもういなくなってしまったようで、犬小屋らしきものは庭のどこにもなかった。
庭は相変わらず、お母さんの趣味で綺麗に手入れされた花達でにぎわっている。
しかし、それは以前よりも少し少なくなっているように思われた。
理由は察しがついた。
弱く唇を噛む。
足音を鳴らさないように静かに……居間の大窓の下についている足場に手を付いた。
窓の隙間からテレビの音が聞こえる。
相変わらずこの家にはカーテンが付いていなかった。
僕は小さく音を鳴らして唾をのみ、その中を覗いた。
547 = 342 :
まずそこには……お父さんがいた。
ソファーに座り、テレビを見ていた。
部屋の中の様子は僕が出て行った四年まえとほとんど変わっていないように思えた。
そして台所の方からお母さんがお皿を両手に持ってやってきた。
楽しそうに笑いながら、さっき焼いてたであろう焼き魚と、深めの皿―――確かおしんこようだったか――をテーブルの上に置く。
そして―――――父さんの膝の上に、その子が映る。
古泉(……ああ)
古泉(やっぱり……ああ、そうだよな)
古泉(無事に……生まれたのか。そうかそうか。良かった良かった――――)
549 = 342 :
僕は足場についていた手をだらんと地面に落し、少し湿った木造の壁にもたれかかる様にしゃがみこんだ。
古泉(……ああ、そうか)
古泉(やっぱり、僕が家を出て言ったのは正解だったんだ――――)
もう一度、窓の向こうを見る。
そこにはお父さんと、お母さんと、そして河原一樹の妹にとっては妹であるはずの少女がいた。
みんな幸せそうな顔をして、まるで……一枚の絵であるような風景をそこに作り出していた。
古泉(そうか……)
古泉(二人は、ちゃんと自分の子供を、産むことが出来たんだ……)
古泉(………じゃあ、やっぱり良かったんだ。僕の選択は間違っていなかった)
古泉(僕はやはり……ここからいなくなって正解だったんだ―――――)
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