元スレキョン「ハルヒに暇を出された」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
201 = 25 :
理由を求めて俺は走った。
しかし理由は得られていない。
ならば、その先にある結果を見据えて、俺たちは動かなくてはならない。
「…長門、ハルヒはどこだ?」
「分からない。私たち自身が特異空間にいると判明した以上、
さっき話した通りもう感知能力は信用できない」
閉鎖空間。
そう、いやにカラフルな、色づいたこの世界。
秋色に色づいた木々。早まった橙の夕焼け。
笑う人々。いない神人。
どこもかしこも、あの灰色の空間とは似ても似つかないというのに。
204 = 25 :
もうSOS団の中に、あいつが消すべき人間は二人しかいない。
ならば、俺は…。
俺はふと時間を見る。
時計の針が、とうの昔に昼休みが終わっていることを告げる。
話に集中する余り、意識の遠くでとらえるにとどまったらしいチャイムの音。
唐突。扉が開く音。
早鐘。俺は入り口の方に顔を向ける。
団長?神?何者なのか。
涼宮ハルヒがそこに立っていた。
205 = 129 :
涼宮ハルヒの豹変
206 :
クオリティ高いSSだな
207 = 25 :
昨日以来のその顔。
やや、うつむきながらの入室。
「よう、ハルヒ」
「…なんでここにいるの?授業は?」
普段なら「お前には言われたくない!」と返すところだが、
今日は違う。
…俺の決意は固まっていた。
本当にハルヒが二人を消したなら。そして本当にそのトリガー、いや合図が、
SOS団からの追放ならば。
…やられる前にやってやる。
210 = 25 :
「ハルヒ、そのままでいい。俺の話を良く聞け」
「…あんた…何様のつもり?」
いつもなら軽くいなせるはずのその言葉。
しかし今目の前にいるこの女は、考えられないほどの威圧感を放っていた。
だが俺もひるまない。
あいつが俺の顔を見ていなかろうが、こっちはお前の顔を見据えて言ってやる。
「何様だろうと関係ない。もうこれまでだ」
いつもより凄みを効かせたつもりの言葉。
しかしハルヒはこちらを向かない。
俺は構わず、続きを言った。
「いいか、俺と長門は今この瞬間、SOS団をやめる」
211 :
うおおぉぁぁああ!
wktk!!!!
212 = 93 :
新展開
213 :
wktkしえん
214 = 25 :
ここ二日で初めて、ハルヒが俺の顔を見る。
何の意味もないのかもしれない。
ハルヒが本気で俺たちを消そうと考えたら、こんなことは何の抵抗にもならないだろう。
だがやられっぱなしでいられるか。
最後に、自分でケジメをつけてやる。
ここまで覚悟を決めておいて、ハルヒ本人を力ずくで黙らせるという行為に出ない俺は、
…なんなんだろうな。
正義感をあふれる若者か。あるいはただの臆病者か。
まあ、どっちでもいいさ。
言いたいことをすべて言い、長門を連れて部室から出て行こうとしたその時…
「…待ちなさいっっ!!」
俺が聞いたことのある中でも一、二を争う大声で、ハルヒが吼えた。
215 = 206 :
>>1の他の作品読んでみたい
216 :
なんてクオリティの高さだ・・
読み切りで発売したら絶対買う
217 :
支援!
wktkが止まんない!!
221 = 211 :
こんなに次レスが待ち遠しいのは初めてだ!
>>1がんばれ!
222 = 25 :
俺は立ち止まる。いや立ち止まらざるを得なかったといえるだろう。
本校舎まで届いたんじゃないかというけたたましい声を聞き、
ケジメをつけたことで少し落ち着いていた心臓がまた、早鐘を打ち始める。
振り返る。長門も俺に続く。
ハルヒはさっきと同じように俺を見ていた。
「あんたたちが勝手に辞めるなんて許さないわ。団長は私なんだから」
「だからなんだ!どうせ俺たちもクビにするつもりだったんだろうが!」
今度は俺が声を張り上げる。
「…あら、やっぱり気づいてたんだ?」
224 = 172 :
これは・・・
なかなか面白い展開
225 = 25 :
やはり俺は怖れているのか?
こいつを怖いと認識しているのか?
…いや、こいつはさっきの大きな声以外は、あくまで普段通りの
口調だった。
ではなぜ?
…決まってる。
消えるのが恐ろしいからだ。
長門がそういう恐怖を感じているのかはわからないが、
少なくとも俺は…消えたくない。
もっと生きていたい。
そしてもっと…。
227 = 216 :
あぁぁ待ち遠しいっ
228 = 25 :
扉から今にも出て行きそうな俺たちに背を向け、
ハルヒは窓の方を見る。
「勝手にやめるのは許さない…。でも大丈夫よ」
ハルヒは、再びこちらを向いた。
「私が直々にクビを切ってあげるわ。
二人とも、部室の外に出なさい」
直接手を下しての追放。
それは執念なのか?あるいは恨み…でもあるのだろうか?
言われたとおり、表に出る俺と長門。
ドアのところまで出てきたハルヒが、最後の宣告をする。
「有希、キョン、あんたたち…明日から来なくていいから」
ドアノブが引かれる。
見慣れた扉が、大きな音をたてて閉まる。
まるで、もう集まることのない団員の名残を、惜しむかのように。
229 :
これは…
支援
230 :
なに?雛見沢症候群?
231 :
いいよーいいよー
233 = 25 :
廊下を歩く。
長門と一緒に。
こいつはさっきからずっと沈黙を守っている。
一旦長門の教室に寄り、長門の荷物を回収する。
そして次は俺の教室だ。
すでに時間は放課後。
教室の入り口で、帰り際の谷口と国木田に会う。
234 :
追い付いた!すげーおもしろい
支援
235 = 25 :
「な!お前…長門と一緒に校内を歩くとはいい度胸だな」
実に谷口らしい発言だ。
続いて、国木田も口を開く。
「どうしたの二人とも?部活じゃないの?」
さすがは国木田、まともな質問だ。
それだけに俺たちにとってはありがたくないんだが。
「ああ、実はな…。ハルヒに暇を出された」
「何ぃ?何かあったのか?」
谷口が詰め寄る。
「…何も。ただの休みだよ。ここんとこしばらく休みがなかったからな」
実際は暇を出されたわけではない。
だがクビになったなんて言えば、さらなる質問攻めを受けることになるだろう。
ましてや、「たった今、神に抗ってきたところだ」なんて、言えるはずもない。
237 :
ん…
んふ
238 = 148 :
タイトルktkr
239 = 25 :
学校を出る。
神に致命的なクーデタを起こしたばかりの俺たちは、
ゆく当てもなく、ただ坂道を下りる。
おとといや昨日と違い、まだ夕方にはなっていない。
ぶらぶら歩いて、気がつけば目の前にはいつしかの公園。
長門が俺を呼び出した、あの公園だ。
適当にベンチを見つけ、長門と一緒に座る。
「長門…図書館でも行くか?」
長門は首を振る。
最後に望むのは、本を読むことではないらしい。
あっという間の時間。あたりにおり始める夜の帳。
結局、想い出を探しても、浮かぶのはSOS団のことばかり。
その皮肉さが、不思議と俺を冷静にさせる。
「死」と「消失」はどう違うのだろうか。
古泉や朝比奈さんは、消えてもその存在はまわりに記憶さていた。
ならば…。
長すぎる走馬灯のごとき省みが、
ゆっくりと、その時が近づいていることを知らせているような気がした。
241 = 25 :
唐突に、長門の姿が足元から消え始めた。
「長門!」
「大丈夫、痛みはない」
そういうことじゃなくてだな…。
と思いつつ、不思議と落ち着いている俺がいるのは確かだ。
長門は情報操作などを試みようともしていないようだ。多分わかっているんだろう。
神の力には抗えないということを。
古泉も、朝比奈さんも、その消える瞬間を看取ることは出来なかった。
ならば、せめて長門だけは…。
「私はあなたたちに会えてよかった。あなたに会えてよかった。
…さようなら」
明瞭で、短いその言葉。
そうして、ベンチに腰掛けるのは、俺だけとなった。
243 = 231 :
長門・・・
244 = 170 :
ハルヒ冷酷だな
245 = 93 :
最後鬱エンドかこれ
246 = 242 :
そもそもハルヒはどうして、ぐわぁぁ
248 :
こんなに良いSSは久しぶりに見たわ
249 :
ここから生き残るにはハルヒを殺すしかないよね、ね!!
250 = 242 :
>>247
sageのままになっておるよ
みんなの評価 : ★★★
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