女「…そ、そりゃあもちろん！指揮官として部下の命は守らないとっ」

―――アイツ、本当に優しいよね。

女「…ホント、主夫丸出し」

―――人殺しには向いてないよ、アイツ。

女「何で、アイツと私だけが生き残ったんだろう」

―――じゃなきゃあ、こんな気持ちにはならなかったはずなのに。

女「でも…」

―――それを喜んでいる自分がいることを否定は…。

女「むー…だーもう！//////」

女「私、いくら何でも独り言多すぎでしょ…/////」

―――バカみたいだ。

女「…さて、そろそろ仮眠でも取ろうか―――」




―――…セヨ。…応答セヨ…。

すまん、また腹具合が…。
風邪が治らない。
少し離れる…。

頑張れ

面白いよ！
頑張って

女「…ん？」

―――どこかから何か聞こえる…？」

女「…無線？」

―――あっち…あの倉庫の中…？

女「…あ」

―――これ、確か>>16でなくなったって言ってたもう1つの通信機…。

女「どうして…これがこんな倉庫の奥に…？」

『ｻﾞｻﾞ…　ｻﾞ…ｻﾞｰ…　応答セヨ…聞コエルカ…至急帰還セヨ…』

女「ほ、本部からッ！？」

―――何かの拍子で予備のバッテリーに切り替わったのね。

女「帰還…？」

―――何があったのよ…。





『至急帰還セヨ…　戦争ハ……ｻﾞ…ｻﾞｻﾞ…シタ…　繰リ返ス…戦争ハ…シ…ケ…シタ…ｻﾞ…　ｻﾞｻﾞ…』

女「…は？戦争は…何をしたって？」

『…ｻﾞ…ｻﾞｻﾞｻﾞ…ﾋﾟｰ…ｶﾞｰｰｰｰ…　　　　ﾌﾞﾂﾝ…』

女「き、切れちゃった…」

―――何を伝えようとしてたの？

女「戦争がどうしたって言うのよ？それに帰還しろって…何も迎えもないのにどうやって！？」

―――意味が分からない。何よその指令。

女「…通信機、止まっちゃった…」

―――それに>>16の少し前まで機器類と一緒に置いてあった通信機がどうしてこんな倉庫の奥に？

女「誰が…」

男「…どうしたんです？」

女「―――ッ！？」

女「あ、アンタ…」

男「いや、何か声が聴こえるなあって…あれ？それ、どっかに行ってたもう1つの遠方通信機じゃないっすか」

女「う、うん…」

男「なんでこんな倉庫に？」

女「いや、私は知らないけど…」

男「そうっすか…見つかっちゃいましたか…」

女「…何よそれ。アンタがここに隠してたの？」

男「…いえ、俺は知らないっすよ？」

女「だ、だってアンタ今、見つかっちゃったって…」

男「ああ…いや、別にそういう意味じゃ…」

女「アンタ…何か隠してる？」

男「は？俺がっすか？」

支援

女「だって…」

男「いや、俺はホントに知らないっすよ！？なんで通信機がこんな倉庫にあるのか、分からないっすもん」

女「………」

男「あれ…もしかして俺、疑われてる？考えてもみてくださいよ、俺が通信機を倉庫に隠して何の意味があるんすか？」

女「まあ…そうだけど…」

男「それよりも大佐。さっき通信機から何か聞こえてましたよね？何て言ってたんですか？」

女「あ…えっと…」

男「…うーん、どうも切れる寸前の予備バッテリーが偶然入ったのかな？今はもう動きそうにないっすけど…」

女「…確か、至急帰還せよ、戦争は…えっと何だっけ…」

男「…帰還？」

女「うん、帰還…」

男「…で、大佐は？」

女「…え？」

男「それを聞いて大佐はどう思ったんすか？」

ｗｋｔｋ

女「どう思ったって…帰還しようにも迎えもなければ、足もない今の状況じゃどうしようも…」

男「…帰還なんてできない、と？」

女「う、うん…」

男「………そうっすか」

女「………」

―――何？アンタは何を考えているの？

男「…じゃあ、仕方ないっすね。『帰還する方法がないから帰還できない』んすから」

女「そ、そうよね…うん、そう…」

男「じゃあ俺はとりあえずこの通信機、もう1回修繕してみようと思います。
　　もしかすると足が手に入るかもしれないですし」

女「う、うん…そうして」

男「じゃあ、キャンプに戻りましょうか」

女「う、うん…」

―――何？何なのこのモヤモヤしたのは？

女「………」

―――何だか分からないことが多くなってきた。

女「…誰なのよ」

―――ジープのエンジンを壊したのは？通信機を勝手に倉庫に運んだのは？

女「それに…」

―――さっきの通信、いきなり帰還しろってどういうこと？今は戦時の最中、ここは最前線でしょう？

女「何よ…一体何なのよ…」

―――ねえ、教えて。何がどうなってるの？これはすべてただの意味のな偶然？

女「ねえ…」

―――アンタ、絶対に何か私に隠してるよね？ねえ？何を隠してるのよ！？




―――――
―――
―

下痢と猿と戦いながらなのでたまに途切れるけどよろしく
すまん、少しトイレ行ってくる…
そろそろ猿さんも来そうだ…

④
5レスに1回くらい別スレにレスすると猿さんにならないよってじっちゃんが言ってた。

じゃあさるよけ支援
トイレは我慢するな、もよおしたらすぐいけ

けど何故か出ないのがげり

あげ

－？－

女「………？」

―――ここは…。

ﾀｱｧｧｧｧｱｱｱﾝ　ｼﾞｭｲﾝｯ！！

女「ッ！？」

―――銃声！？敵襲ッ！？

女「ﾊｱ…ﾌｳ…」

―――呼吸を整えないと。戦場で最大の敵は己の乱れ。

女「ﾊｱ…………ﾊｱ………ﾌｳ……」

女「よし…」　ｼﾞｬｷﾝｯ！！

―――整えた。

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ！！　ｷﾞﾝｯ　ﾁﾞｭｲﾝｯ！！

女「…ッ！！」

―――相手は連射。そういう場合は無駄に応戦しない。

女「…まだ…まだ」　ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝ

―――連射を繰り返す相手は実戦慣れしていない。そういう奴は必ず。

女「…止まった」

―――装弾の時間まで計算には入れて戦っていない。

女「ッ！」　ｽﾀﾝｯ　ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ！！

―――装弾に要するわずか数秒、相手との距離を詰めるッ！！

これは・・・。

あげ

『―――ッ！―――ッ！』

女「…ﾆﾔｯ」

―――敵の動揺する声が聴こえる。やっぱり実戦には慣れていないらしい。

女「ッ！！」

ｽﾞﾀﾞﾑｯ！！　ｽﾞﾀﾞﾑｯ！！

『ッ！？』

―――まず1人。次はまず応戦を交わす。

『―――ッ！―――ッ！』

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ！！　ﾁﾞｭｲﾝｯ！！

女「………ッ！」

―――また連射ね？ったく、素人もいいところだわ。

女「…止んだ」

――― 一気に攻勢をかけるッ！

あげ

女「……ﾊｱ…ﾊｱ…」

―――交戦開始から15分、私が倒したのは20人少しか？

女「…アイツ、まだ生き残っているよね？」

―――たった2人の軍隊、それがどれほど矮小な存在だとしても。

女「…私たちは負けない」

―――だって、アイツと約束したから。

女「2人で生きて帰るって―――」







『―――ッ！」






女「なッ！？」

―――背後ッ！？油断したかッ！？

ｽﾞﾀﾞﾑｯ！！

女「あぐあッ！？」

―――腕ッ！？左腕がッ！？

女「ああああああああああああああああああああああああッ！？」　　ｶﾞｼｬﾝｯ！？

―――この世のものとは思えない痛みが閃光のように走る。血が壊れた噴水のように不気味飛び散る。

女「あ…くぅ…あ…ああ…」

―――銃が…持てない。

女「…ﾊｱ…ﾊｱ…ちく……しょう」

―――まずい。これは…殺られる…。

『………ﾆﾔｯ』　ﾍﾞﾛﾘ…

女「…ちっ」

―――舌なめずりしやがった。コイツ、絶対趣味は死姦とかね。

女「…でも」

―――本当に…これは…！

『―――――ッ！！』

女「―――ッ！？」

―――敵が引き金を引いた。もう、ダメだ。

女「…ここで終わりかぁ」

―――ごめんね。私、ここで死んじゃうみたい。

女「絶対にアンタだけでも生き残ってよね…」

―――でも最後に…






　　　　　最後にアンタの顔を見て、逝きたかったな…。






男「―――あああああああああああああああああああああッ！！」

ﾄﾞｶﾞｼｬｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｯ！！

『―――ッ！？』　ｽﾞｼｬｱｱｱｯ

女「ッ！？」

男「ﾊｱ…ﾊｱ……大丈夫っすか、大佐？」　ﾌﾗｯ…

女「アンタ…」

男「すんません、もう弾なくて…不意打ちで飛び蹴りが限界っすわ…」

女「アンタ…その傷…」

男「あは、あははははは…ダメっすね。もうね…目があんまり見えてなくて…足も…。
　　あ、でも俺の周囲の敵は殲滅しましたから！」

女「…どうして私を助けにきたのよ？逃げたらいいじゃない！？」

男「…え？」

女「アンタは自分の敵をすべて倒したんでしょう！？生き残ったんでしょう！？
　　じゃあ…どうして逃げないのよッ！？」

男「はは…何言ってんすか」

女「…え？」

男「だって大佐、言ってたじゃないっすか。死ぬ時は一緒だって」

―――その時分かった。コイツ、本物のバカなんだって。

男「でもね、一緒には死にません」

女「え…？」

男「大佐、ここは逃げてください。アイツは俺が止めますから」

女「な、何を…！？」

男「いいから早く！早く逃げてください大佐！大佐は生き残らなくちゃいけない！」

女「そ、そんなの…！」

男「大佐が生き残らなくちゃ、『俺たち2人が生きていた証』はなくなっちゃうでしょうが！？
　　俺たちたった2人の軍隊は確かに生き残ったんだと！その証は大佐しか持っていない！！」

女「あ…うあ…」

男「だから！だから大佐は早く逃げてください！
　　奴は俺が止めます！さあ！さあまだ足が動くうちに早く！」

女「あ…そ、そんなの…」

―――イヤだ、イヤだから！そんなのイヤ！

男「大佐ぁぁぁぁぁぁあああああああああああッ――――」


ｽﾞﾀﾞﾑｯ！！

―――アイツの胸から、鮮血が飛び散った。

あげ

男「……に…げ…」　

女「あ―――」

男「あ……い……し…て……―――」

女「あ…あぁ……」




女「―――――ッ！！！！」





―――刹那、世界はホワイトアウトしていった。




―――――
―――
―

―
―――
―――――

女「ああああああああああああああああッ！？」　　ｶﾞﾊﾞｯ！！

女「ﾊｱ…ﾊｱ……」

―――ゆ、夢…？

女「…ﾊｱ……ﾌｳ…」

―――今の生々しい感触が…夢…？

女「今のが夢だなんて…そんな」

―――そんなはずは…。

女「で、でも…夢じゃないって…そんなことも…」

―――今の夢は…夢じゃない…夢…のような夢…じゃない夢。

女「…あ、あああああッ！」

―――心が頑なに拒否してきた記憶が、ゆっくりと頭を持ち上げてきたような気がする。




『ﾋﾟｰ…ｻﾞｻﾞ……ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ……　応答セヨ…　応答セヨ…　ｻﾞｻﾞ…』

あげ

支援

女「…ﾊｱ…ﾊｱ…」

―――どこかで通信機が鳴っている。

女「…う…ｺﾞｸｯ…」

―――あの倉庫にあった…通信機。

女「…どこ…どこから聴こえてくるの…？」

―――心が叫んでいる。あの通信機を聞いてはいけないと。

女「でも…でも……！」

―――それでも私は聞かなければいけない。あの通信機がもたらす、残酷な真実を。

女「…うう…ｸﾞｽｯ……ﾋｸﾞｯ」







―――本当は、とうの昔から分かっていた真実なのに、どうして確認するのが怖いのだろう。

④

『…ｻﾞｻﾞ…応答セヨ…』

女「………」

―――アイツの姿はここにはない。通信機を直して寝たのか、それとも。

女「…ッ」

―――最初から通信機は壊れてもないし。

女「…ｸﾞｽｯ……ﾋｸﾞｯ…」

―――通信機を直すといったアイツ自体、はじめからどこにもいなかったのか。

女「……うぅ」


『応答セヨ…　戦争ハ既ニ終結シテイル…　至急帰還セヨ…
　繰リ返ス…　戦争ハ既ニ終結シテイル…　至急帰還セヨ…』

女「………」

『ドウイウ理由カハ分カラナイガ…　君ガソコカラ動カナイ事デ…　正式ナ終戦ノ調印ガデキナイ…
　コレ以上不要ニソノ地ニ止マリ…　威嚇行動ヲ繰リ返スノデアレバ…　武力排除モ辞サナイ…
　繰リ返ス…』




―――私とアイツが戦った戦争は、もうとっくに終わっていた。

うつだ・・・

どっから大佐の妄想・・・？

女「…ああああああああああああああああああッ！！」

ｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ！！

『ｻﾞｰ…　ﾋﾟｰ…ｶﾞｰ……　ﾌﾞﾂﾝ』

女「ﾊｱ…ﾊｱ……」

―――通信機は私の銃の前に沈黙した。

女「ダメよ…戦争は終わらせない」

―――戦争が終われば…戦争が終われば私とアイツの2人の軍隊がなくなってしまう。

女「…認めない。こんな現実、絶対に認めない」

―――アイツは死んでない。だってさっきも私の前で優しくしてくれてたじゃない。

女「…何があっても私はここを退かない！」

―――たとえ、戦争が終わったとしても。

女「私は…アイツとここで戦い続ける」

女「…よし、これだけの武器があれば、まだ戦える」

―――散々人の命を駒のように扱って、戦争が終われば引き上げろ？

女「冗談じゃないわ」

―――戦争が終われば、私とアイツの軍隊も終わり。

女「それはダメ。私とアイツの軍隊はこれからも戦い続けるの。2人で…たった2人で」

―――アイツはまだ生きている。そして私と戦ってくれている。そんなアイツに報いないと。

女「さっきの夢はただの夢。あれはウソ。まやかし。幻。アイツは生きていて、私と一緒に今も戦っているのが現実」

―――そう、それが現実。だから私はまだ戦っていい。まだ今は戦争の最中。そう、今はまだ戦争なの。

女「ふふ…くふふふふふ…かかってきなさいよ。武力排除も辞さない？ナメてもらっちゃ困るわね？」

―――人数は2人。でも最強よ？

女「絶対に…ふふ、ふふふふふ…絶対に負けないから」

『……大佐』

女「ッ！？」

『…何してるんすか？』

女「な、何って…見たら分かるでしょう！？武器の準備よ」

『誰を相手に使う武器っすか？』

女「…味方だったはずの本部に切り捨てられたわ。私たちを武力で消すんだって。
　　ありえないでしょう？だから抵抗するの」

『…大佐』

女「な、何よ！？何でそんなに悲しそうな声してるのよッ！？」

『大佐、どうして素直に俺の顔を見ようとしないんすか？』

女「ッ！？」

『…もう分かっているんでしょう？今の俺が、すべて大佐の作り出した幻の存在だって』

女「…ッ！？」

『大佐…大佐はよく頑張りましたよ…。誰も大佐を責めたりはしないっす。
　出兵してすぐに味方が俺と大佐以外全滅したのも大佐のせいじゃない』

女「…あ……あぅ…」

『最後の戦い、たった2人であれだけ戦うことができたのは大佐の的確な作戦あってのことでしょう？
　よくやりましたよ。たった2人の軍隊で80人以上の武装隊を鎮圧したんすから』

女「…う、うん…」

『俺があの時死んだのも、大佐のせいじゃありません』

女「ッ！？」

『仕方がなかった…どうしようもなかったんすよ。
　むしろ…大佐が生き残れたことは、奇跡だと思います』

女「…ｸﾞｽｯ…や、止めて…止めてよッ！！」

『止めません。だって、大佐を生き残らせることができたのは、俺がこの戦争で打ち立てた最大の勲章っすから』

女「…え？」

あげ

『大佐と過ごした期間、ホントに楽しかったっす』

女「………ッ」

『だって大佐、思ってた以上に普通の人なんすもん。
　いつも何だか温かくて…楽しくて…』

女「わ、私だって…！」

『気がついたら…生きたいと思うようになってました。
　残り2人になって、自暴自棄で病んでた俺が…もう1度生きたいって…思えるようになってました』

女「ｸﾞｽ…ﾋｸﾞｯ…う、うん…わ、私…わらしらって……うぅ…」

『そんな…大佐を生き残らせることができたのは…そりゃあ俺にとって最大の勲章です。
　何てたって…愛した人を…自分の力で生き残らせることができたんすから』

女「あう…ああああああッ」

―――もう、涙は出ないと思っていたのに、どうやら私の体内にはまだ水分が残っていたらしい。

すごい好きだこういう展開
ぞくぞくする　

『大佐…大佐に俺から最後のわがままっす。
　戦争は…もう終わりました。隊を…隊を解散させてください』

女「…うぅ…で、でも…でもそんなことをしたらアンタがッ！」

『大佐ッ！終わったんす！もう、俺らの戦いは終わったんすよ！
　だから…もう戦わなくていいんす！』

女「あ、あああああッ！！」

『ジープのエンジンを壊しても、通信機をどこかにやっても、戦争が終わったという事実は変わらない！
　もう大佐は帰還していいんすよ！お願いです大佐…お願いっす！』

女「ﾋｸﾞ…ｸﾞｽｯ……」

『隊を…隊を解散してください』

女「………」

―――私は、向き合えるんだろうか。このどうしようもない現実と。

女「…うん…分かった」

『…さすが大佐っす』

女「じゃあ…命令…します」

『うっす！』

―――何よりも力強く、何よりも勇敢で。

女「ただ今をもって、本隊の任務を終了とし」

『………』

―――何よりも誠実であった、私の部下と、約束されていたはずの輝かしい未来を少しでも取り戻すために。

女「…本隊を…ｸﾞｽｯ…解散…します…ッ！」

『イエッサー！大佐！』

女「――――ッ！！」

―――気がつくと、私は誰もいない前線基地の弾薬庫で、1人大泣きをしていた。

女「――――ッ！！」

―――慰めてくれる人は誰もいない。それでも、私の心は幾分晴れやかだった。

女「――――ッ！！」

―――もう、誰も傷つかない。





―――たった2人の軍隊は、戦争の終結よりもほんの少しだけ遅く、解散をした。




―――――
―――
―

支援