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元スレこりずに新?ジャンル「勇者と女魔法使い」
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勇者「ありあとやしたーっ」
街の男「おう、ごっそーさんっ」
街の女「またくるねー」
勇者「ごひいきにーっ」
勇者「や。客も引けたな。ひの、ふのみの……。
今日はそろそろ切り上げるか。暖簾下ろして、と」
魔王「入っても平気ですか?」
勇者「あいあい! お客さんで最後だ。どうぞー」
魔王「焼き豆腐定食でお願いします」
勇者「がってんだ」
街の男「おう、ごっそーさんっ」
街の女「またくるねー」
勇者「ごひいきにーっ」
勇者「や。客も引けたな。ひの、ふのみの……。
今日はそろそろ切り上げるか。暖簾下ろして、と」
魔王「入っても平気ですか?」
勇者「あいあい! お客さんで最後だ。どうぞー」
魔王「焼き豆腐定食でお願いします」
勇者「がってんだ」
魔王「もぐもぐもぐ」
勇者「……」
魔王「もぐもぐ」
勇者「あの」
魔王「はい?」
勇者「もしかして、魔王とか?」
魔王「はい」
勇者「……」
魔王「もぐもぐ」
勇者「……」
魔王「もぐもぐ」
勇者「あの」
魔王「はい?」
勇者「もしかして、魔王とか?」
魔王「はい」
勇者「……」
魔王「もぐもぐ」
魔王「ご馳走様でした」
勇者「お前、死んでなかったのか?」
魔王「死にました。綺麗さっぱり。勇者さんは
かなり容赦が無かったですからね。倒れてるのに
何度もデインで焼き殺して」
勇者「魔王の再生能力が半端なかったからだろう」
魔王「そんなわけで、私は勇者さんが戦った
魔王ではないんですよ。娘とでもいいますか」
勇者「……」
魔王「人間の遺伝子継承とは仕組みが違いますから
記憶や能力は受け継ぐ、いわばバックアップ的な
関係なんですけれどね」
勇者「!」
勇者「お前、死んでなかったのか?」
魔王「死にました。綺麗さっぱり。勇者さんは
かなり容赦が無かったですからね。倒れてるのに
何度もデインで焼き殺して」
勇者「魔王の再生能力が半端なかったからだろう」
魔王「そんなわけで、私は勇者さんが戦った
魔王ではないんですよ。娘とでもいいますか」
勇者「……」
魔王「人間の遺伝子継承とは仕組みが違いますから
記憶や能力は受け継ぐ、いわばバックアップ的な
関係なんですけれどね」
勇者「!」
魔王「怖い顔です」
勇者「貴様、また世界をどうこうするつもりなのかっ」
魔王「……」
勇者「お前がどういうつもりか知らないけれど、
俺は今の世界も生活も気に入ってるんだよっ」
魔王「ふむぅ」
勇者「お前、どういう理屈で誕生したかはよく判らないけれど、
戦闘力はずいぶん下がってるぜ。前の魔王の百分の一以下だ。
四天王にすら及ばないんじゃないのか?
現役引退のロートルの俺だけど、今のお前ならやれるんだぜ」
魔王「本当にこんな世界を気に入ってるんですか?」
勇者「え?」
魔王「勇者のあなたに僅かな報酬を餌に魔王討伐を押し付けて
安逸と堕落をむさぼっているような
この世界がそんなに好きなんですか?
世界を救った英雄のあなたがこのような小さな街で
定食屋の親父ですか?」
勇者「……」
勇者「貴様、また世界をどうこうするつもりなのかっ」
魔王「……」
勇者「お前がどういうつもりか知らないけれど、
俺は今の世界も生活も気に入ってるんだよっ」
魔王「ふむぅ」
勇者「お前、どういう理屈で誕生したかはよく判らないけれど、
戦闘力はずいぶん下がってるぜ。前の魔王の百分の一以下だ。
四天王にすら及ばないんじゃないのか?
現役引退のロートルの俺だけど、今のお前ならやれるんだぜ」
魔王「本当にこんな世界を気に入ってるんですか?」
勇者「え?」
魔王「勇者のあなたに僅かな報酬を餌に魔王討伐を押し付けて
安逸と堕落をむさぼっているような
この世界がそんなに好きなんですか?
世界を救った英雄のあなたがこのような小さな街で
定食屋の親父ですか?」
勇者「……」
魔王「女魔法使いはどうです」
勇者「え?」
魔王「あなたが魔王を倒しに出たのは国の要請です。
いわば断りきれない義務だった。なのに彼女は
あなたを待たなかった。裏切った」
勇者「そんなことはない。あれは仕方なかったんだ」
魔王「あなたがこの世界で守りたいものなど、
彼女くらいしか残ってないんじゃないですか?」
勇者「お前、何が言いたいんだ。まさか女魔法使いを」
魔王「いえ。それはないです。
私の戦力は先ほどあなたの感じたとおりです。
女魔法使いを害してもあなたの報復で死ぬだけです。
私はむしろ女魔法使いを守っています。
現に先週の魔物の襲撃から」
勇者「あ」
魔王「そうです。女魔法使いの町を襲ったハグレ魔族から
あの街を結界で守ったのは私ですよ」
勇者「え?」
魔王「あなたが魔王を倒しに出たのは国の要請です。
いわば断りきれない義務だった。なのに彼女は
あなたを待たなかった。裏切った」
勇者「そんなことはない。あれは仕方なかったんだ」
魔王「あなたがこの世界で守りたいものなど、
彼女くらいしか残ってないんじゃないですか?」
勇者「お前、何が言いたいんだ。まさか女魔法使いを」
魔王「いえ。それはないです。
私の戦力は先ほどあなたの感じたとおりです。
女魔法使いを害してもあなたの報復で死ぬだけです。
私はむしろ女魔法使いを守っています。
現に先週の魔物の襲撃から」
勇者「あ」
魔王「そうです。女魔法使いの町を襲ったハグレ魔族から
あの街を結界で守ったのは私ですよ」
勇者「おまえ、何のつもりがあるんだ?
何か話があるんだろう」
魔王「はい」
勇者「云ってみろ」
魔王「いくつかの外交的な交渉があるのです。
目的としてはあなたに仲間になって欲しいのです。
私はひ弱だし、例え以前の力を取り戻しても『勇者』には
勝てないということを学習しました」
勇者「断る」
魔王「即決ですね」
勇者「おれは腐っても『勇者』だ。世界を守る」
魔王「困りましたね。私は魔王ですから世界を
手に入れるために生まれついています。
とりあえず、条件の提示をします」
勇者「そんな話はいい。帰れ」
魔王「まだ豆腐が一切れ残っています。わたしはいまだに客です」
勇者「っ!」
何か話があるんだろう」
魔王「はい」
勇者「云ってみろ」
魔王「いくつかの外交的な交渉があるのです。
目的としてはあなたに仲間になって欲しいのです。
私はひ弱だし、例え以前の力を取り戻しても『勇者』には
勝てないということを学習しました」
勇者「断る」
魔王「即決ですね」
勇者「おれは腐っても『勇者』だ。世界を守る」
魔王「困りましたね。私は魔王ですから世界を
手に入れるために生まれついています。
とりあえず、条件の提示をします」
勇者「そんな話はいい。帰れ」
魔王「まだ豆腐が一切れ残っています。わたしはいまだに客です」
勇者「っ!」
魔王「あなたに仲間になってもらうのが最上ですが、
それが出来ないのであれば、中立でも仕方ないとは思っています。
つまり、人間には味方をしないということです」
勇者「……」
魔王「そのための条件はいくつかあります。
女魔法使いはどうです?」
勇者「え?」
魔王「魔王ですから、記憶消去や改変は出来ます」
勇者「話にならないな。そんなものがあいつかよ。
舐めすぎだろう。俺は俺の納得したものしかいらねぇんだよ」
魔王「ええ、まぁ。これは前座です。
……では時間遡行はどうです?
旅に出かけたあの日まであなたを送り届けましょう。
あなたは旅に出ず、女魔法使いと暮らすことが出来る。
でなければ二人で魔王を倒してもいい」
勇者「自分のことじゃねぇのか」
魔王「記憶は残っているのですが、基本的には別人です。
前魔王のことは他人の書いた昔話のようにしか感じられません」
それが出来ないのであれば、中立でも仕方ないとは思っています。
つまり、人間には味方をしないということです」
勇者「……」
魔王「そのための条件はいくつかあります。
女魔法使いはどうです?」
勇者「え?」
魔王「魔王ですから、記憶消去や改変は出来ます」
勇者「話にならないな。そんなものがあいつかよ。
舐めすぎだろう。俺は俺の納得したものしかいらねぇんだよ」
魔王「ええ、まぁ。これは前座です。
……では時間遡行はどうです?
旅に出かけたあの日まであなたを送り届けましょう。
あなたは旅に出ず、女魔法使いと暮らすことが出来る。
でなければ二人で魔王を倒してもいい」
勇者「自分のことじゃねぇのか」
魔王「記憶は残っているのですが、基本的には別人です。
前魔王のことは他人の書いた昔話のようにしか感じられません」
勇者「却下だな。お前にその能力があるかどうか疑問だ。
時間遡行に見せかけて巨大魔法で俺を葬り去らない保証は無い」
魔王「その心配は不要なのですが」
勇者「答えは同じだ」
魔王「では女魔法使いを複製しませんか? 完全に本物と同じ
二十存在です。片方は今の家庭で暮らし、
片方はあなたと生活を共にする」
勇者「……お前な」
魔王「はい」
勇者「何を誤解しているがしらないが、今の俺とあいつは、
もうそういう関係じゃないんだよ。
誰よりもあいつは大事な幼馴染で、親友で、腐れ縁で
酒飲み友達で……。大事な……大事だけど、あいつは。
あいつは、その世界の雰囲気とか歴史とか、
あいつの……家庭とか。そういうのを含めて『あいつ』なんだよ」
魔王「……」
勇者「そういうのを無茶に壊したら、俺は俺の大事なものを
自分で壊すことになるんだよ。
お前らは、そういうのが判らないから
いつまでたっても世界の敵なんだっての」
魔王「……」
時間遡行に見せかけて巨大魔法で俺を葬り去らない保証は無い」
魔王「その心配は不要なのですが」
勇者「答えは同じだ」
魔王「では女魔法使いを複製しませんか? 完全に本物と同じ
二十存在です。片方は今の家庭で暮らし、
片方はあなたと生活を共にする」
勇者「……お前な」
魔王「はい」
勇者「何を誤解しているがしらないが、今の俺とあいつは、
もうそういう関係じゃないんだよ。
誰よりもあいつは大事な幼馴染で、親友で、腐れ縁で
酒飲み友達で……。大事な……大事だけど、あいつは。
あいつは、その世界の雰囲気とか歴史とか、
あいつの……家庭とか。そういうのを含めて『あいつ』なんだよ」
魔王「……」
勇者「そういうのを無茶に壊したら、俺は俺の大事なものを
自分で壊すことになるんだよ。
お前らは、そういうのが判らないから
いつまでたっても世界の敵なんだっての」
魔王「……」
魔王「判りました。では、ここで一度、
世界の敵の基本に立ち代って脅迫します」
勇者「戦るのかよ」
魔王「やりません。むしろ守ります。
あなたと、あなたの好きなものを」
勇者「え?」
魔王「あなたや女魔法使いを守ります。魔族もできるかぎり
制御して人間界に迷惑をかけないように努めます」
勇者「なんだよ……。脅迫になってないじゃねぇか」
魔王「そして時期を待ちます」
勇者「え?」
魔王「わたし、魔王は長命です。人間より遥かに長生きします」
勇者「そんなことか」
魔王「はい。そうです。あなたの死を待ちます」
勇者「今ここでお前を殺せば解決だっ!」
魔王「女魔法使いを守り、まだ人間を一人も
殺したことの無い私をあなたは殺すのですか」
世界の敵の基本に立ち代って脅迫します」
勇者「戦るのかよ」
魔王「やりません。むしろ守ります。
あなたと、あなたの好きなものを」
勇者「え?」
魔王「あなたや女魔法使いを守ります。魔族もできるかぎり
制御して人間界に迷惑をかけないように努めます」
勇者「なんだよ……。脅迫になってないじゃねぇか」
魔王「そして時期を待ちます」
勇者「え?」
魔王「わたし、魔王は長命です。人間より遥かに長生きします」
勇者「そんなことか」
魔王「はい。そうです。あなたの死を待ちます」
勇者「今ここでお前を殺せば解決だっ!」
魔王「女魔法使いを守り、まだ人間を一人も
殺したことの無い私をあなたは殺すのですか」
勇者「っ。ならいいさ」
魔王「……」
勇者「俺が親父を継いだように、
俺の子供が勇者となりお前の野望を阻む」
魔王「あなたは子供が居るのですか?」
勇者「いないけど、べつにこれからでもいいだろう」
魔王「あなたは彼女以外の女性と結婚して子をなすのですか?」
勇者「え」
魔王「女魔法使い以外でも良いのですか?」
勇者「あ、あ……」
魔王「それは、貴方を待ちきれなくて妥協で結婚した
女魔法使いと同じ罪なのではないですか?」
勇者「……」
魔王「脅迫が理解していただけましたか?」
勇者「――」
魔王「……」
勇者「俺が親父を継いだように、
俺の子供が勇者となりお前の野望を阻む」
魔王「あなたは子供が居るのですか?」
勇者「いないけど、べつにこれからでもいいだろう」
魔王「あなたは彼女以外の女性と結婚して子をなすのですか?」
勇者「え」
魔王「女魔法使い以外でも良いのですか?」
勇者「あ、あ……」
魔王「それは、貴方を待ちきれなくて妥協で結婚した
女魔法使いと同じ罪なのではないですか?」
勇者「……」
魔王「脅迫が理解していただけましたか?」
勇者「――」
魔王「それらを含めて提案があります」
勇者「なんだよ」
魔王「結婚してください」
勇者「はぁあ!?」
魔王「女魔法使いでなくても良いなら誰でもいいでしょう?
私でもかまわないはずです」
勇者「お前は魔王だろっ」
魔王「人体の組織的には差し支えありません」
勇者「そういうことじゃなくっ」
魔王「あと数年で性交も可能な年齢に達します」
勇者「あのなっ」
魔王「だめですか?」
勇者「あったりまえだ!」
魔王「私を監視できますよ」
勇者「それなら結婚しなくても出来るだろっ」
勇者「なんだよ」
魔王「結婚してください」
勇者「はぁあ!?」
魔王「女魔法使いでなくても良いなら誰でもいいでしょう?
私でもかまわないはずです」
勇者「お前は魔王だろっ」
魔王「人体の組織的には差し支えありません」
勇者「そういうことじゃなくっ」
魔王「あと数年で性交も可能な年齢に達します」
勇者「あのなっ」
魔王「だめですか?」
勇者「あったりまえだ!」
魔王「私を監視できますよ」
勇者「それなら結婚しなくても出来るだろっ」
魔王「それなら勇者は子供を授かれる」
勇者「魔王の子供でもある。災厄を増やすわけにはいかない」
魔王「さっきもいったように魔王は複製体で子孫を残しますから
増えるとか減るとか云う問題はありません」
勇者「話がかみ合わないな」
魔王「それに結婚すれば良いこともあります」
勇者「なんだよ」
魔王「勇者と魔王の世界を掛けた戦いを、
誰にも迷惑をかけない小規模な形で継続できます」
勇者「続ける必要を感じないな」
魔王「……」
勇者「そんな必要は無いっ」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「わかった。認める。嘘だ」
魔王「そうですよね。私たちはそれ目的の存在ですし」
勇者「魔王の子供でもある。災厄を増やすわけにはいかない」
魔王「さっきもいったように魔王は複製体で子孫を残しますから
増えるとか減るとか云う問題はありません」
勇者「話がかみ合わないな」
魔王「それに結婚すれば良いこともあります」
勇者「なんだよ」
魔王「勇者と魔王の世界を掛けた戦いを、
誰にも迷惑をかけない小規模な形で継続できます」
勇者「続ける必要を感じないな」
魔王「……」
勇者「そんな必要は無いっ」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「わかった。認める。嘘だ」
魔王「そうですよね。私たちはそれ目的の存在ですし」
――そんな訳で魔王と暮らすようになって半年。
ちんちくりんな少女の魔王というのも変な話だが
今のところそんなに悪さをする様子は無い。
家に魔族が訪ねてきて月次報告やら統治会議をやってくが
まぁ行儀良くしているようだ。
魔王はそこそこ真面目に人間生活をしている。
最近は図書館に通い勉強をする日々だ。人間社会を学ぶらしい。
俺に言わせれば実生活のほうで少し学べばいいと思う。
家事や料理はする気がさっぱり無いし、表情が動かないので
何を考えているか判らない。近所では人気があるのが不思議だ。
理屈っぽいところは変わらない。
結婚、結婚などといったが実体はただの同居だ。
先のことはわからないがこれも仕方ない試練なのだと
から揚げを作りながら思う。マンドラゴラの浅漬け美味い。
ちんちくりんな少女の魔王というのも変な話だが
今のところそんなに悪さをする様子は無い。
家に魔族が訪ねてきて月次報告やら統治会議をやってくが
まぁ行儀良くしているようだ。
魔王はそこそこ真面目に人間生活をしている。
最近は図書館に通い勉強をする日々だ。人間社会を学ぶらしい。
俺に言わせれば実生活のほうで少し学べばいいと思う。
家事や料理はする気がさっぱり無いし、表情が動かないので
何を考えているか判らない。近所では人気があるのが不思議だ。
理屈っぽいところは変わらない。
結婚、結婚などといったが実体はただの同居だ。
先のことはわからないがこれも仕方ない試練なのだと
から揚げを作りながら思う。マンドラゴラの浅漬け美味い。
女魔法使い「美味い。じゃないでしょっ!!」
勇者「ああ、久しぶり。まぁあがれよ」
女魔法使い「なんなのよっ。あんたは。
いきなりこんな娘と同居初めてっ」
勇者「知られたくなかったなぁ」
魔王「娘ではありません。妻です」
女魔法使い「え」
魔王「妻です」
女魔法使い「え」
魔王「良人です。妻です。配偶者です」
女魔法使い「えぇ!?」
魔王「勇者の幼妻です。いまはまだ膨らみかけですが
日々の調教で驚くほど柔軟に受け止めることが可能な
カスタマイズされた肉として日々を成長中です」
女魔法使い「えぇええぇええぇぇ!?」
勇者「お。ドップラー効果」
勇者「ああ、久しぶり。まぁあがれよ」
女魔法使い「なんなのよっ。あんたは。
いきなりこんな娘と同居初めてっ」
勇者「知られたくなかったなぁ」
魔王「娘ではありません。妻です」
女魔法使い「え」
魔王「妻です」
女魔法使い「え」
魔王「良人です。妻です。配偶者です」
女魔法使い「えぇ!?」
魔王「勇者の幼妻です。いまはまだ膨らみかけですが
日々の調教で驚くほど柔軟に受け止めることが可能な
カスタマイズされた肉として日々を成長中です」
女魔法使い「えぇええぇええぇぇ!?」
勇者「お。ドップラー効果」
よし、ほどよく切りが良いところまで進んだし
腹が減ったので休憩だぜーコンビニいってくるっくー
腹が減ったので休憩だぜーコンビニいってくるっくー
――30分後
勇者「てなわけで魔王なんだよ」
魔王「魔王兼幼妻です」
女魔法使い「納得いかないわね」
魔王「このさいミルク絞りペットでも我慢しましょう」
女魔法使い「うがっ!!」
勇者「話が混乱するからお前は喋るな」
女魔法使い「なんかの陰謀だとしか思えないんだけど」
勇者「あー。まーなー」
魔王「妻は夫に対して常に陰謀を仕掛けているものです」
女魔法使い「認めたっ」
勇者「こいつはいつもこうなんだ」
魔王「しかし実際、魔物による被害は減少しています」
女魔法使い「まぁ、それは」
勇者「確かにな」
魔王「ここに前年度比の状況報告書があります。
この票によると被害全体で前年度同月比-67%、
特に人間に対する致傷被害は-86%となっています」
女魔法使い「うーん」
勇者「てなわけで魔王なんだよ」
魔王「魔王兼幼妻です」
女魔法使い「納得いかないわね」
魔王「このさいミルク絞りペットでも我慢しましょう」
女魔法使い「うがっ!!」
勇者「話が混乱するからお前は喋るな」
女魔法使い「なんかの陰謀だとしか思えないんだけど」
勇者「あー。まーなー」
魔王「妻は夫に対して常に陰謀を仕掛けているものです」
女魔法使い「認めたっ」
勇者「こいつはいつもこうなんだ」
魔王「しかし実際、魔物による被害は減少しています」
女魔法使い「まぁ、それは」
勇者「確かにな」
魔王「ここに前年度比の状況報告書があります。
この票によると被害全体で前年度同月比-67%、
特に人間に対する致傷被害は-86%となっています」
女魔法使い「うーん」
そんなこというたかて、おいらだって腹減るししかたないやんー。
一人でずっと書き込んでくると、これでいいのかどうなのか
だんだんブルーはいってくるんだってばよ。
一人でずっと書き込んでくると、これでいいのかどうなのか
だんだんブルーはいってくるんだってばよ。
>>374
面白いよ
面白いよ
勇者「魔王が魔界との境界を厳重にパトロールしているのと
魔界の領土拡張を行っているせいなんだよ」
魔王「はい」
女魔法使い「領土拡張?」
魔王「機密事項です」
勇者「まぁ、簡単に言うと、魔界の辺境開発らしい。
魔物主力をそっちへ配置して、軍部の暴発を防いでるらしい」
女魔法使い「へー。魔界ってそんな風なんだ」
勇者「知らなかっただろ。俺もだけど」
魔王「女魔法使いさん」
女魔法使い「はい?」
魔王「ぶぶ漬けをどうぞ」
女魔法使い「……」
勇者「お。茶漬けか? 俺好きなんだよ。食う食う」
魔王「……」
女魔法使い「……」
勇者「あむ、あむっ。もぐもぐ」
魔王「勇者は空気読めませんね」
女魔法使い「昔からね」
魔界の領土拡張を行っているせいなんだよ」
魔王「はい」
女魔法使い「領土拡張?」
魔王「機密事項です」
勇者「まぁ、簡単に言うと、魔界の辺境開発らしい。
魔物主力をそっちへ配置して、軍部の暴発を防いでるらしい」
女魔法使い「へー。魔界ってそんな風なんだ」
勇者「知らなかっただろ。俺もだけど」
魔王「女魔法使いさん」
女魔法使い「はい?」
魔王「ぶぶ漬けをどうぞ」
女魔法使い「……」
勇者「お。茶漬けか? 俺好きなんだよ。食う食う」
魔王「……」
女魔法使い「……」
勇者「あむ、あむっ。もぐもぐ」
魔王「勇者は空気読めませんね」
女魔法使い「昔からね」
勇者「は? どうしたのおまえら?」
魔王「何でもありません」
女魔法使い「なんでもないわよ」
魔王「……」
女魔法使い「ちょっと魔王」(小声
魔王「はい?」(小声
女魔法使い「あんた私に云いたいことでもあるの?」
魔王「いえ特には」
女魔法使い「そう……」
魔王「愛する勇者であるわが背の君の元カノが
今でも勇者と親しく付き合っていて
毎月のように酔いつぶれるような逢瀬を繰り返していたり、
二人が幼馴染で自分には割り込めないような
深いレベルで信頼しあい理解しあっていたり、
わが夫が女魔法使いさんの話をするときだけ
ちょっと遠くを見つめるような優しい視線を持っていたり、
その邪魔者がなんと家までやってきて
私の配偶者に気安く話しかけてこともあろうに勇者のほうも
それがさも当然というようにどこかほっとした表情を
浮かべていたりしても魔王であるわたしは何も思いません」
女魔法使い「あー。うー」
魔王「何でもありません」
女魔法使い「なんでもないわよ」
魔王「……」
女魔法使い「ちょっと魔王」(小声
魔王「はい?」(小声
女魔法使い「あんた私に云いたいことでもあるの?」
魔王「いえ特には」
女魔法使い「そう……」
魔王「愛する勇者であるわが背の君の元カノが
今でも勇者と親しく付き合っていて
毎月のように酔いつぶれるような逢瀬を繰り返していたり、
二人が幼馴染で自分には割り込めないような
深いレベルで信頼しあい理解しあっていたり、
わが夫が女魔法使いさんの話をするときだけ
ちょっと遠くを見つめるような優しい視線を持っていたり、
その邪魔者がなんと家までやってきて
私の配偶者に気安く話しかけてこともあろうに勇者のほうも
それがさも当然というようにどこかほっとした表情を
浮かべていたりしても魔王であるわたしは何も思いません」
女魔法使い「あー。うー」
勇者「もぐもぐ。お前らこそこそしてなんなんだー?」
女魔法使い「なんでもないっ。
あんたはマンドラ漬けでも食べてて」
勇者「おー。今年のも美味いなぁ~」
魔王 ごそごそ
女魔法使い「何やってるの?」
魔王「いえ、ほうきを……。濡れ雑巾はどこですか」
女魔法使い「あー。うー」
魔王「掃除道具なんてどこにあるかわかりません。
そんな仕事をやるほど魔王は落ちぶれていません」
女魔法使い「……」
魔王「っ。これは吸引破砕機です。
こっちは小型ブラックホール発生術式。
なぜ普通の掃除機がみつかりませんか」
女魔法使い(この娘本気で云ってるのかなー)
勇者「おーい。お前らも座って茶のめば?」
女魔法使い「はいはい。まったくあんたは適当なのよ」
魔王「適当なのはかなり同意しますね」
女魔法使い「なんでもないっ。
あんたはマンドラ漬けでも食べてて」
勇者「おー。今年のも美味いなぁ~」
魔王 ごそごそ
女魔法使い「何やってるの?」
魔王「いえ、ほうきを……。濡れ雑巾はどこですか」
女魔法使い「あー。うー」
魔王「掃除道具なんてどこにあるかわかりません。
そんな仕事をやるほど魔王は落ちぶれていません」
女魔法使い「……」
魔王「っ。これは吸引破砕機です。
こっちは小型ブラックホール発生術式。
なぜ普通の掃除機がみつかりませんか」
女魔法使い(この娘本気で云ってるのかなー)
勇者「おーい。お前らも座って茶のめば?」
女魔法使い「はいはい。まったくあんたは適当なのよ」
魔王「適当なのはかなり同意しますね」
女魔法使い「まぁ、いいけどね。同居でも何でも。
――私はもうあんたを止める権利なんて無いわけだし」
勇者「へ?」
女魔法使い「ううん、なんでもないっ」
魔王「……女魔法使いさん」
女魔法使い「なにー? チビ魔王ちゃん」
魔王「年増魔法使いさん。そろそろ切り出しては?」
女魔法使い「あー」
勇者「何だよなんだよ。俺が居ないところで二人とも。
週末のバーベキューパーティーの相談かよ」
魔王「違いますよ」
女魔法使い「違うっての」
勇者「なんだよ」
女魔法使い「まぁ、あれでさ。
じつは王様が私に勇者の捜索を頼んできてね」
勇者「なんでまた」
女魔法使い「幼馴染で魔法使いだし。探知や遠隔視で
どうにかならないかって」
勇者「いや、方法じゃなくてさ。目的はなんだよ」
――私はもうあんたを止める権利なんて無いわけだし」
勇者「へ?」
女魔法使い「ううん、なんでもないっ」
魔王「……女魔法使いさん」
女魔法使い「なにー? チビ魔王ちゃん」
魔王「年増魔法使いさん。そろそろ切り出しては?」
女魔法使い「あー」
勇者「何だよなんだよ。俺が居ないところで二人とも。
週末のバーベキューパーティーの相談かよ」
魔王「違いますよ」
女魔法使い「違うっての」
勇者「なんだよ」
女魔法使い「まぁ、あれでさ。
じつは王様が私に勇者の捜索を頼んできてね」
勇者「なんでまた」
女魔法使い「幼馴染で魔法使いだし。探知や遠隔視で
どうにかならないかって」
勇者「いや、方法じゃなくてさ。目的はなんだよ」
女魔法使い「王様は勇者が生きてるの知ってるみたいじゃない」
勇者「そりゃ、あの戦いのとき、王の推薦した戦士や神官も
いたからなぁ、大半は途中でいちまったけれど、
数人は帰れたはずだし」
女魔法使い「で、勇者が生きている事を知った王がね。
また頼みたいことやら、褒賞やらがあるんだって」
勇者「あれから何年たったと思ってるんだよ」
女魔法使い「まぁ、王もさ。いろいろあるんじゃない。
関係ないんだけどさ。いちおう、その……。
知ったからには伝言をね」
勇者「ふーん。頼みたいことね」
女魔法使い「たぶんだけど。
西の砂漠に居る蟲竜退治じゃないかなぁ。そんな話だったよ」
勇者「ああ。あいつか。
たしかに並みの騎士団とかじゃ厳しいわなぁ」
女魔法使い「うん……」
勇者「そういうことなら仕方ない。
近々王のところに顔出すよ」
勇者「そりゃ、あの戦いのとき、王の推薦した戦士や神官も
いたからなぁ、大半は途中でいちまったけれど、
数人は帰れたはずだし」
女魔法使い「で、勇者が生きている事を知った王がね。
また頼みたいことやら、褒賞やらがあるんだって」
勇者「あれから何年たったと思ってるんだよ」
女魔法使い「まぁ、王もさ。いろいろあるんじゃない。
関係ないんだけどさ。いちおう、その……。
知ったからには伝言をね」
勇者「ふーん。頼みたいことね」
女魔法使い「たぶんだけど。
西の砂漠に居る蟲竜退治じゃないかなぁ。そんな話だったよ」
勇者「ああ。あいつか。
たしかに並みの騎士団とかじゃ厳しいわなぁ」
女魔法使い「うん……」
勇者「そういうことなら仕方ない。
近々王のところに顔出すよ」
女魔法使い「あのさ。無理しなくていいんだよ。
並みの騎士団じゃ厳しいったって、聖騎士団や
魔法師団だっているんだし」
勇者「それじゃかなりの犠牲者でるだろ」
女魔法使い「うん……。でも、ほら。これは云ってみれば
国のもんだしさ。勇者が犠牲になることは無いって云うか」
勇者「お前は昔から個人主義だもんなー」
女魔法使い「まーね。うん」
勇者「とはいえ、ほっとくわけにもいかねーだろ」
魔王「放置でも良いです」
女魔法使い「う、うん」
勇者「魔王」ごちん
魔王「屈辱です」
勇者「そういう自分勝手な事を見せると魔王の教育にも悪いしな」
魔王「私は勝手に学んでいるのです」
勇者「そんなわけで、まぁ近々出かけるよ」
女魔法使い「そっか。……わかった。うん」
勇者「国王には云わなくていいぜ。
風の噂を聞きつけて参じたとか適当に話作っておくからよ」
女魔法使い「うん」
勇者「心配するな。蟲竜程度でやられっかよ」
女魔法使い「わかった。……今日はそんだけ、帰るね」
並みの騎士団じゃ厳しいったって、聖騎士団や
魔法師団だっているんだし」
勇者「それじゃかなりの犠牲者でるだろ」
女魔法使い「うん……。でも、ほら。これは云ってみれば
国のもんだしさ。勇者が犠牲になることは無いって云うか」
勇者「お前は昔から個人主義だもんなー」
女魔法使い「まーね。うん」
勇者「とはいえ、ほっとくわけにもいかねーだろ」
魔王「放置でも良いです」
女魔法使い「う、うん」
勇者「魔王」ごちん
魔王「屈辱です」
勇者「そういう自分勝手な事を見せると魔王の教育にも悪いしな」
魔王「私は勝手に学んでいるのです」
勇者「そんなわけで、まぁ近々出かけるよ」
女魔法使い「そっか。……わかった。うん」
勇者「国王には云わなくていいぜ。
風の噂を聞きつけて参じたとか適当に話作っておくからよ」
女魔法使い「うん」
勇者「心配するな。蟲竜程度でやられっかよ」
女魔法使い「わかった。……今日はそんだけ、帰るね」
勇者「なんだかなー。あいつ今日はやけに歯切れが悪かったな」
魔王「行かないほうが良いと思います」
勇者「は?」
魔王「王の元へは行かないほうが良いと考えます」
勇者「なんだよ」
魔王「魔族の勘です」
勇者「訳のわからん事を言うなよ。
理由があるなら説明してくれよ」
魔王「私は合理主義者なんです。勘です、なんていう台詞は
本来恥ずかしくてとても言い出せません。
その言葉の本当の意味を汲んで下さい」
勇者「わからねぇよ」
魔王「説明できない理由があるので私を信じてください、です」
勇者「――」
魔王「私には人間の持つ好悪や恋愛の情はわかりませんが
あなたと交わした約束の通り、生涯あなたの傍にはべります。
今回の進言は裏表の無い私の真意です」
魔王「行かないほうが良いと思います」
勇者「は?」
魔王「王の元へは行かないほうが良いと考えます」
勇者「なんだよ」
魔王「魔族の勘です」
勇者「訳のわからん事を言うなよ。
理由があるなら説明してくれよ」
魔王「私は合理主義者なんです。勘です、なんていう台詞は
本来恥ずかしくてとても言い出せません。
その言葉の本当の意味を汲んで下さい」
勇者「わからねぇよ」
魔王「説明できない理由があるので私を信じてください、です」
勇者「――」
魔王「私には人間の持つ好悪や恋愛の情はわかりませんが
あなたと交わした約束の通り、生涯あなたの傍にはべります。
今回の進言は裏表の無い私の真意です」
勇者「やっぱ、いくよ」
魔王「……」
勇者「そんな顔するなよ。
魔王のこと信じてないわけじゃないって。
でも俺はこれでも一応勇者だからさ。
なんつの? こう。落ち着かないわけよ。
どっかで俺の名前を呟きながら死んでいくやつがいると思うとさ。
寝つきが悪いんだよなー。そういうのー」
魔王「……」
勇者「それにさ。あいつもちょっと様子変だったしな。
王都にいきゃーもうちょっと事情もわかるだろうさ」
魔王「……」
勇者「蟲竜ってのは、おまえじゃ制御効かない種族なんだろう?」
魔王「ええ。あれは魔物というよりは、古代生物ですから」
勇者「じゃぁ、しかたないさ。あれだよ
同居人の面倒を見るのは、勇者じゃなくて、あれだよ。
男としての甲斐性だよ」
魔王「勇者……」
勇者「ちゃっちゃとかたして帰ってくるからさ。
おまえはのんべんだらりとこの家で羽を伸ばして置けよ」
魔王「……」
勇者「そんな顔するなよ。
魔王のこと信じてないわけじゃないって。
でも俺はこれでも一応勇者だからさ。
なんつの? こう。落ち着かないわけよ。
どっかで俺の名前を呟きながら死んでいくやつがいると思うとさ。
寝つきが悪いんだよなー。そういうのー」
魔王「……」
勇者「それにさ。あいつもちょっと様子変だったしな。
王都にいきゃーもうちょっと事情もわかるだろうさ」
魔王「……」
勇者「蟲竜ってのは、おまえじゃ制御効かない種族なんだろう?」
魔王「ええ。あれは魔物というよりは、古代生物ですから」
勇者「じゃぁ、しかたないさ。あれだよ
同居人の面倒を見るのは、勇者じゃなくて、あれだよ。
男としての甲斐性だよ」
魔王「勇者……」
勇者「ちゃっちゃとかたして帰ってくるからさ。
おまえはのんべんだらりとこの家で羽を伸ばして置けよ」
――そして勇者は旅に出た。
私は馬鹿だ。馬鹿だ。大馬鹿だ。
出かける勇者の背中に後悔が止まらない。
蟲竜なんて簡単に倒して帰ってくるよ?
魔王討伐のときもそう云っていたではないか。
何が起きるかなんて判らないのだ。
ましてや今の王には灰色の噂が付きまとう……。
だがしかし今の私に勇者を止める権利なんか無いのだ。
私にとっては子孫を残すための義務だった。
躊躇なんか無かった。交配用の胚を採取する程度の出来事だった。
愛なんか無くても結婚は出来る。そう思っていた。
でもあの日、
幻覚で顔を変えた勇者の瞳に浮かんだ苦痛を見たとき判った。
私がしたのは「裏切り」だったのだと。
それは許されないほどの罪だったと。
凍てついた大槍が背筋をゆっくりと貫くような悲しみと共に
私はその事を理解した。
私は馬鹿だ。馬鹿だ。大馬鹿だ。
出かける勇者の背中に後悔が止まらない。
蟲竜なんて簡単に倒して帰ってくるよ?
魔王討伐のときもそう云っていたではないか。
何が起きるかなんて判らないのだ。
ましてや今の王には灰色の噂が付きまとう……。
だがしかし今の私に勇者を止める権利なんか無いのだ。
私にとっては子孫を残すための義務だった。
躊躇なんか無かった。交配用の胚を採取する程度の出来事だった。
愛なんか無くても結婚は出来る。そう思っていた。
でもあの日、
幻覚で顔を変えた勇者の瞳に浮かんだ苦痛を見たとき判った。
私がしたのは「裏切り」だったのだと。
それは許されないほどの罪だったと。
凍てついた大槍が背筋をゆっくりと貫くような悲しみと共に
私はその事を理解した。
魔王「理解した、だけじゃ困ります」
女魔法使い「魔王っ!? どうしてっ」
魔王「どうしてもこうしてもありません。
もう三ヶ月ですよ。待機フェイズを破棄する頃合いです」
女魔法使い「……」
魔王「酷い顔ですね」
女魔法使い「……」
魔王「ちゃんと食べてるんですか?」
女魔法使い ふるふる
魔王「後悔ですか」
女魔法使い「……」
魔王「そんな脆弱な精神でよく勇者の幼馴染を
やっていられたわけですね。まったく似合いません」
女魔法使い「っ! あなたに何が判るのっ」
魔王「あなたの現在の配偶者が宮廷で地位を得たことが。
勇者探索の方法の進言ですか? 行商上がりの商人が」
女魔法使い「……ッ」
魔王「私は魔王ですが約定は違えません。
前回も前々回も約束を破ったせいで負けていますからね。
ましてや今回勇者は私の良人です。頬を染めずには語れない
あんな痴態やこんな体位はまだとはいえ、
はべる、と云った手前というものがあります」
女魔法使い「魔王っ!? どうしてっ」
魔王「どうしてもこうしてもありません。
もう三ヶ月ですよ。待機フェイズを破棄する頃合いです」
女魔法使い「……」
魔王「酷い顔ですね」
女魔法使い「……」
魔王「ちゃんと食べてるんですか?」
女魔法使い ふるふる
魔王「後悔ですか」
女魔法使い「……」
魔王「そんな脆弱な精神でよく勇者の幼馴染を
やっていられたわけですね。まったく似合いません」
女魔法使い「っ! あなたに何が判るのっ」
魔王「あなたの現在の配偶者が宮廷で地位を得たことが。
勇者探索の方法の進言ですか? 行商上がりの商人が」
女魔法使い「……ッ」
魔王「私は魔王ですが約定は違えません。
前回も前々回も約束を破ったせいで負けていますからね。
ましてや今回勇者は私の良人です。頬を染めずには語れない
あんな痴態やこんな体位はまだとはいえ、
はべる、と云った手前というものがあります」
よし、切りが良いところまで来たし休憩するぜ。
女魔法使いかわいいよかわいいよ女魔法使い。
女魔法使いの旦那は呪うぞ。エロエロヤッキイモ
女魔法使いかわいいよかわいいよ女魔法使い。
女魔法使いの旦那は呪うぞ。エロエロヤッキイモ
女魔法使い「……」
魔王「将軍率いる辺境兵団が動いたようです」
女魔法使い「え?」
魔王「魔王の脅威が無い今、世界は人間の国同士が
互いの利権を絡ませあい衝突するようになる
ということなのでしょうか」
女魔法使い「そんなっ」
魔王「あなたの発明したマナライトは偉大な発明だと思います。
それはこの国に巨大な利益をもたらしました」
女魔法使い「……」
魔王「そう。世界支配すら夢想できるほどの巨大な資金です」
女魔法使い「違うっ! 魔法の明かりは、魔法の明かりは
夜の闇を照らす、みんなの安全を照らし出す光なんだからっ。
魔物に襲われて、怖くて、凍えそうな夜から身を守る
小さな明かりなんだから」
魔王「それも事実ですが、戦争も事実でしょう」
女魔法使い「~っ」
魔王「そのためには、勇者が邪魔、という人も居るのでしょうね。
侵略戦争など許さない、その上軍にも匹敵する戦闘能力を持つ
個人など、魔王の居ない世界では許されるはずも無い」
魔王「将軍率いる辺境兵団が動いたようです」
女魔法使い「え?」
魔王「魔王の脅威が無い今、世界は人間の国同士が
互いの利権を絡ませあい衝突するようになる
ということなのでしょうか」
女魔法使い「そんなっ」
魔王「あなたの発明したマナライトは偉大な発明だと思います。
それはこの国に巨大な利益をもたらしました」
女魔法使い「……」
魔王「そう。世界支配すら夢想できるほどの巨大な資金です」
女魔法使い「違うっ! 魔法の明かりは、魔法の明かりは
夜の闇を照らす、みんなの安全を照らし出す光なんだからっ。
魔物に襲われて、怖くて、凍えそうな夜から身を守る
小さな明かりなんだから」
魔王「それも事実ですが、戦争も事実でしょう」
女魔法使い「~っ」
魔王「そのためには、勇者が邪魔、という人も居るのでしょうね。
侵略戦争など許さない、その上軍にも匹敵する戦闘能力を持つ
個人など、魔王の居ない世界では許されるはずも無い」
魔王が人気あるのか。やっぱり女魔法使いはダメなのか。
一度他の人のつばがついたものはダメということか?
かわいそすだ。だらだら書くとする。
一度他の人のつばがついたものはダメということか?
かわいそすだ。だらだら書くとする。
魔王「しかし、そんなことはどうでも良いのです」
魔王「問題はたった一つ。この世界がまたしても
『わたしのもの』を奪おうとしたということです。
重要なのはその一点です」
女魔法使い「……たし……は」
魔王「勇者が危ないんです。勇者は適当だしずぼらだけど
人間の味方ですから人間とは戦えません」
女魔法使い「そんなこと、そんなことっありえない!」
魔王「ありえなくないんです。戦争ですから。
人類なんて皆殺しにしようとしてきた
一族の末裔が言うんだから間違いありません」
女魔法使い「人間は魔族じゃないっ」
魔王「魔族より良いかどうか疑問です」
女魔法使い「そんなことはしないっ。私たちは絶対にっ」
魔王「あなたは王の態度に何も感じなかったのですか?
幼馴染のあなたを使って勇者を誘い出したあの人のやり方に?
魔王退治から二年もたった後に思いついたように
莫大な褒賞を与えようとしたあの人の
気持ちの悪い笑顔に何も感じなかったのですか?」
魔王「問題はたった一つ。この世界がまたしても
『わたしのもの』を奪おうとしたということです。
重要なのはその一点です」
女魔法使い「……たし……は」
魔王「勇者が危ないんです。勇者は適当だしずぼらだけど
人間の味方ですから人間とは戦えません」
女魔法使い「そんなこと、そんなことっありえない!」
魔王「ありえなくないんです。戦争ですから。
人類なんて皆殺しにしようとしてきた
一族の末裔が言うんだから間違いありません」
女魔法使い「人間は魔族じゃないっ」
魔王「魔族より良いかどうか疑問です」
女魔法使い「そんなことはしないっ。私たちは絶対にっ」
魔王「あなたは王の態度に何も感じなかったのですか?
幼馴染のあなたを使って勇者を誘い出したあの人のやり方に?
魔王退治から二年もたった後に思いついたように
莫大な褒賞を与えようとしたあの人の
気持ちの悪い笑顔に何も感じなかったのですか?」
女魔法使い「それは……」
魔王「あなたはどちらにつくんです?」
女魔法使い「え?」
魔王「私と勇者につくのか、国王につくのか」
女魔法使い「あの人につく」
魔王「驚きましたね」
女魔法使い「なぜ?」
魔王「即答するとは思いませんでした」
女魔法使い「わたしは……。
私は自分の研究を優先するために勇者との旅を断った。
国に奉仕するためなんかじゃない。
本当は家名のためでもお金のためでもない……。
ただ、自分で居たかった。勇者の隣に居るには
一番すごい自分じゃないとイヤだった。それだけだった。
でも、勇者がもし魔王の云うような酷い目にあってるのだとすれば
そこへいく私は、
格好よくなくても、
すごくなくても、
誇らしくなくても
いい
飛んでいければ、それだけで、いい」
魔王「……」
魔王「あなたはどちらにつくんです?」
女魔法使い「え?」
魔王「私と勇者につくのか、国王につくのか」
女魔法使い「あの人につく」
魔王「驚きましたね」
女魔法使い「なぜ?」
魔王「即答するとは思いませんでした」
女魔法使い「わたしは……。
私は自分の研究を優先するために勇者との旅を断った。
国に奉仕するためなんかじゃない。
本当は家名のためでもお金のためでもない……。
ただ、自分で居たかった。勇者の隣に居るには
一番すごい自分じゃないとイヤだった。それだけだった。
でも、勇者がもし魔王の云うような酷い目にあってるのだとすれば
そこへいく私は、
格好よくなくても、
すごくなくても、
誇らしくなくても
いい
飛んでいければ、それだけで、いい」
魔王「……」
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