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    元スレ提督「この事件の犯人は俺だけど、安価でなんとしても逃げおおせる」

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    151 = 147 :

    (……)

    提督(バカンスにきて3日目に彼女は体調を崩した)

    提督(症状自体は単なる風邪のようだった)

    提督(はしゃぎ過ぎだ馬鹿。ゆっくりしてろと言ったら彼女は泣き出した)

    提督(俺があわてて謝ると、違うの、違うのと言う)

    提督(なだめながら話を聞くと、彼女は吐き出すように言った)

    提督(死ぬのが怖いと)

    提督(今日が楽しいからこそ明日死ぬかもしれないのが怖いと言った)

    提督(今日はみんなに囲まれて笑っているのに、明日は一人ぼっちで死ぬかもしれないのが怖いと言った)

    提督(出撃するのが。戦うのが。沈むのが怖いと言った)

    提督(俺は心のどこかで艦娘はヒーローなのだと思っていた)

    提督(誰も倒せない悪の深海凄艦をやっつける不屈のヒーロー)

    提督(でも違った。彼女たちは少し力を持っているだけの、ただの女の子だった)

    152 = 147 :

    提督(きっと長い間ずっと溜め込んでいたのだ)

    提督(それに欠片も気づかなかった自分の間抜けさに呆れた)

    提督(力なんて持ちたくなかった。戦う力なんていらなかった)

    提督(戦場から逃げ出して、ただの女の子として生きたかった。ただ明日が来るのを楽しみに待つだけの普通の女の子になりたかった)

    提督(でも私の代わりなんて誰もいない。空母蒼龍の代わりなんて誰もできない)

    提督(だから私がやるしかないんだ)

    提督(そう言って彼女は泣いていた)

    提督(それを見て俺はどうしようもなく悲しくなって)

    提督(このまま二人でどこか遠くに逃げてしまおうかと言った)

    提督(言ってしまった)

    153 = 147 :

    提督(言い終わらないうちに、自分の馬鹿さ加減に呆れた)

    提督(俺は彼女に真剣に向き合おうとせず、最も安易で愚かな提案をしたのだと)

    提督(彼女に対する侮辱にも等しい)

    提督(でもそれを聞いた彼女は困ったように笑って、言った。駄目だよ。あなたはみんなの提督なんだから)

    提督(でも、ありがとう)

    提督(その夜、蒼龍は失踪した)

    提督(犯人は)

    提督(俺だ)

    三日目・終了

    154 = 147 :

    よし終わり。あと二回くらいの更新で終わるたぶん。お疲れ様でした

    156 :

    それがどうして下着泥に繋がるんですかね…

    157 :

    最初の安価が悪いなww

    158 :

    おまえそりゃ下着泥すれば確実に目そらし出来るからな

    159 :

    おつ
    思ったより真面目な話を作ろうとしてたんだな…
    それが水着泥棒のせいで、ギャグ漫画なのに突然シリアス回が始まったみたいになってる…

    160 :

    オイル塗ってやんぜゲヘヘーとか抜かしてる提督が悪い

    162 :

    提督「……」

    提督「ふう」

    提督「今日もやるか」

    (……)

    提督(あの後、木曽の水着は処分した)

    提督(……今思うと軽率だった気がするが、やってしまったものは仕方ない)

    提督(少なくともまた水着が盗まれたことで混乱はするだろう)

    提督(そうすれば俺の目的は半分達成だ。うまくいけば外部犯のせいにもできるかもしれない)

    提督(ん? あそこにいるのは↓2か?)

    ↓2 であった艦娘 5人の中から

    164 :

    木曾

    165 :

    比叡

    166 = 162 :

    提督(……あいつか)

    提督(よりによって今一番会いたくないやつだな)

    提督「よう、おはよう」

    木曽「ああ、お前か。おはよう」

    提督「昨日もお前らは大部屋で寝たのか?」

    木曽「ああ、おかげで女子会トークとやらに付き合わされて眠い」

    提督「今回の女子会トークは何がお題だったんだ?」

    木曽「他愛もない話だよ」

    提督「コイバナとか?」

    木曽「まあ。そんな感じだ」

    提督「お前のコイバナには少し興味があるな。誰が好きなんだ教えろよ」

    木曽「好奇心は猫を殺すという言葉があってな」

    提督「ごめんなさい」

    167 = 162 :

    提督(さて、木曽か)

    提督(昨日水着を盗んだことはまだばれてないようだな)

    提督(こいつは要注意の一人だが、どうするか)

    ↓1 何の話する?

    168 = 165 :

    木曾かわうぃねー

    169 = 162 :

    提督「お前も女の子なんだから、少しは女の子らしい格好したほうがいいんじゃないか?」

    木曽「大きなお世話だ。好きでやってるんだ」

    提督「いやでも絶対似合うって。お前ってかわいいしな」

    木曽「今日はやけに押しが強いな。何なんだいったい」

    提督「はっきり言って俺はお前の水着に不満を持ってる」

    木曽「は?」

    提督「何だあのロングパンツの水着は」

    木曽「別にいいだろうが」

    提督「よくない。もっとビキニとかが見たいんだよ俺は」

    木曽「お前だってトランクスタイプだろう。もっとブーメランとか履いてみろ」

    提督「履いてたまるか」

    170 = 162 :

    提督「俺のことはいいんだよ。それよりお前だ。水着が盗まれたのもいい機会だ」

    木曽「は?」

    提督「帰ったら水着を買いに行こう。お前に合う水着を選んでやる」

    木曽「……」

    提督「どうだ?」

    木曽「それもアリだな」

    提督「絶対だぞ」

    木曽「だがせっかくだからみんなで行こう。またバカンスに行く機会があるだろうしな」

    提督「ああ。約束だ」

    171 = 162 :

    (……)

    提督「みんな集まったようだな」

    提督「蒼龍は、今朝声をかけてみたが、返事がなかったからそっとしておいた」

    吹雪「そうですか」

    提督「たぶん大丈夫だとは思うが、後で様子を見てこよう」

    木曽「ああ」

    提督「さて、みんな。明日迎えの船が来るから、今日が最後の議論になる」

    提督「だから今日なんとしても犯人を突き止めよう。みんな協力してくれ!」

    比叡「……違いますよ。司令」

    提督「え?」

    「今からするのは議論じゃないわ。この事件の、解決編よ」

    提督「……は?」

    172 = 162 :

    ここからは解決編だからもう安価はないです

    173 = 162 :

    提督「解決編って、犯人がわかったのか?」

    「ええ。事件の犯人も、謎も、目的も、全て解けたわ」

    提督「なんだと?」

    青葉「いやー、気付かれずに色々こなすのはなかなか大変でしたね」

    木曽「本当に骨が折れた。せっかく休暇に来たのに逆に疲れがたまっちまった」

    吹雪「それより水着ですよ。仲間のためとはいえあの水着結構お気に入りだったのに」

    提督「待て。お前らはいったい何の話をしている?」

    比叡「……吹雪ちゃん。司令にも教えてあげてください。犯人の名前を」

    吹雪「え? わ、私ですか?」

    「いいな、それ私がやりたかったのに」

    吹雪「ご指名とあらばしょうがないですね」

    吹雪「コホン。えー、ではいいましょう。犯人は、あなたですね」

    吹雪「司令官!」

    提督「……!!」

    174 = 162 :

    提督「これで何度目だろうな」

    提督「俺が犯人だと濡れ衣を着させられるのは」

    提督「当然、俺が犯人だと決め付ける根拠があってのことだろうな?」

    「当然よ」

    木曽「立証責任はこっちにある。そうあせるな。ちゃんと説明してやるから」

    青葉「あ、木曽さん。こういう時は推理って言ったほうがかっこよくないですか?」

    比叡「いいですね! 探偵みたいで!」

    提督「……いいからとっとと話を進めてくれ」

    175 = 162 :

    「じゃあ司令官。まずはこのビデオをみてちょうだい」

    提督「青葉が撮った隠しカメラの映像か。昨日見たろ。特におかしいところはなかった」

    木曽「いいから見ろ」

    (……)

    木曽「どうだった?」

    提督「同じだ。おかしいものは映ってない」

    「そうね。確かにおかしいものは映ってないわ」

    提督「だろう?」

    「でも映ってないとおかしいものがあるんじゃないかしら」

    提督「……?」

    「司令官。あなた、どうしてカメラに映ってないの?」

    提督「俺があの部屋に入ってないからに決まってるだろうが。それとも俺がカメラに映らないように部屋に入ったとでもいうつもりか?」

    「言い方を変えるわ。司令官、あなたはどうしてあの部屋を捜査しなかったの?」

    176 = 162 :

    「司令官はこの事件の捜査に積極的だった。毎朝みんなを集めて議論をしたりしてね」

    「『ニュータイプの俺が事件を解決してやる。俺が導いてやる』とまで言っていたのに」

    「あの言葉や積極性とは裏腹に、事件が起きてから一度も吹雪の部屋に入ってない」

    「これじゃあ、まるで犯行の後に現場に戻って疑われるのが怖いみたいじゃない」

    提督「……お前らが来る前に捜査した。あれで十分だと思った」

    「軽く捜索するだけで?」

    提督「……そうだ」

    177 = 162 :

    提督「それよりまさかそれだけで犯人扱いするつもりか?」

    提督「カメラに映ってない人物が怪しいというなら比叡だって青葉だって映ってない」

    比叡「私は別に事件に興味なかったですし」

    青葉「青葉はカメラを仕掛けてましたし」

    提督「仕方ないから本音を言うよ」

    提督「俺も実はそこまでやる気がなかった。最初に犯人にされそうになったしな」

    提督「悪かったよ。これからはやる気出すから許してくれ」

    木曽「安心しろ。お前を犯人だと思う根拠はもちろんそれだけじゃない」

    178 = 162 :

    木曽「話は変わるが吹雪の部屋が荒らされた理由は何だと思う?」

    提督「水着を探してたんだろ」

    木曽「バッグに入ってあるのにか?」

    提督「そんなこと俺たちしか知らんだろうよ。つまり犯人はそれを知らなかったやつ。外部犯だ」

    木曽「ではなぜ部屋をあれだけ荒らしたのに財布や下着は盗まなかったんだ?」

    提督「水着にしか興奮しない性癖だったんだろ」

    青葉「司令官はパンツを盗まれてましたけど」

    提督「男のパンツと女の水着にしか興奮しないやつなんだ」

    木曽「吹雪の部屋しか荒らされてなかったのは?」

    提督「最初に盗みに入ったのが吹雪の部屋で、それ以降は水着がバッグに入っているのがわかったから荒らす必要がなくなった、ってとこだろうな」

    木曽「じゃあどうして、吹雪の部屋に蒼龍の水着が落ちてたんだ?」

    179 = 162 :

    木曽「このエロ水着は、蒼龍のものだとお前は言ったな」

    提督「……蒼龍の部屋で盗んだ後、吹雪の部屋にいったと考えるほかないな」

    木曽「蒼龍の部屋は荒らされていたか?」

    提督「……いや」

    木曽「お前の言うとおり、外部犯だとすると行動がどう考えてもおかしい。バッグに入ってるとわかってる水着以外、何も盗んでないのに吹雪の部屋を荒らす意味がない」

    提督「性癖異常者の行動の意味なんて考えても仕方ないと思うがな。吹雪を怖がらせたかったとかそんなところだろ」

    木曽「……根本的な帰属の誤りだな。犯人は状況的にそうする必要があったと考えるべきだ」

    提督「だったらお前はどうだというんだ?」

    木曽「つまり犯人が部屋を荒らしたのは、ほかの目的があった」

    提督「いったい何の目的があったと?」

    木曽「吹雪に悲鳴をあげさせるためだ」

    180 = 162 :

    提督「悲鳴、だと?」

    木曽「そうだ。正確には悲鳴をあげさせて別荘にいるみんなを吹雪の部屋に集まらせる必要があった」

    木曽「俺たちはその時間、花火をしていたがもしかしたら何かの用事で別荘に帰ってきてるかもしれないからな」

    提督「そんなことをして一体何の意味がある?」

    木曽「だって逃げようとしてる蒼龍と鉢合わせたらまずいだろ?」

    提督「……!?」

    木曽「わからないんだったらはっきり言ってやろうか?」

    木曽「俺たちの言っている事件ってのは水着盗難事件のことだけじゃない。もう一つの事件。蒼龍失踪事件の犯人も」

    吹雪「司令官だと言ってるんですよ!」

    提督「……!!!」

    181 = 162 :

    「最初におかしいと思ったのは、最初の議論の日」

    提督「……最初の議論?」

    「司令官。あなたが犯人じゃないというならどうして、吹雪の部屋を荒らした音に気付かなかったの?」

    提督「そりゃあ……。……!!」

    「気付いたようね。最初の議論で司令官が吹雪の部屋を荒らした音に気づかなかったのは蒼龍さんの部屋にいたからだって言ってたわね?」

    「蒼龍さんの部屋に行って水着を盗んだ後、吹雪の部屋に行ったのなら、なぜ司令官は犯人と会ってないのかしら?」

    「司令官が犯人じゃないとすると、犯人が蒼龍さんの水着を盗むタイミングなんてどこにもないのよ」

    提督「……水着を盗んだのはそのずっと前だ。蒼龍が寝込む前に水着を盗んで、その後に吹雪の部屋に入った」

    提督「蒼龍はたまたま水着が盗まれていることに気付かなかった」

    「蒼龍さんの水着だけ先に盗んだのは何のために?」

    提督「……たまたまだ。ほかのやつのも盗もうと思ったけど、誰かが帰ってきてやめた」

    182 = 162 :

    木曽「そうかもしれないな。だがお前が吹雪の部屋で見つけた蒼龍の水着にはもう一つおかしなところがある」

    提督「何だ?」

    木曽「この水着のことは誰も知らなかった。蒼龍が着ているところを見たことがなかったからな」

    提督「それがどうした?」

    木曽「なんで犯人は履いてない水着を盗んだ? お前の履いてない下着は盗まれなかったのに」

    提督「……さあな」

    木曽「それは恐らく、蒼龍の水着も盗まれていると思わせるため」

    提督「……」

    木曽「蒼龍も盗まれているかもしれないから聞きに行こう。と言われないためにあえて、際どい水着を選んだ」

    青葉「気まずさから誰も触れないようにですね」

    木曽「全ては蒼龍から目を逸らさせるため。違うか?」

    183 = 162 :

    提督「ふう。黙って聞いていれば、馬鹿馬鹿しい」

    提督「大体蒼龍が失踪だと? いいか? この島は無人島だ。迎えが来るのは明日」

    提督「失踪したところでこの島から出られないと何の意味もないだろう?」

    「たしかにそうね。この島から移動できる手段がなければ、ね」

    提督「……手段があるとでもいうのか?」

    「だから、使ったんでしょ? 連装砲くんの艦首ユニットを」

    提督「……!!」

    184 = 162 :

    青葉「艦首ユニットって連装砲くんがいつも乗ってるあれですか?」

    「そうよ」

    「どっちが改造したか知らないけど思ったより器用ね。驚いたわ」

    「まさか連装砲くんの艦首ユニットを使って、擬似的な艤装をつくるなんて」

    提督「そんなことができると思うのか?」

    「じゃあ連装砲くんが壊れている理由をほかに説明できる?」

    提督「……カメラがついていたから、見られていると思ったんじゃないか」

    「カメラは超小型で、私が調べても見つからなかったのに?」

    提督「たまたま見つけたんだ」

    「逆なのよ。めちゃくちゃに壊されていたのは何の部品を使ったのかわからなくするため」

    「その過程でカメラを見つけた。だからカメラを壊した」

    「部屋を捜査しなかったのも隠しカメラを警戒して迂闊な動きはできなかったから」

    「違う? 司令官」

    提督「そんな物音に誰も気がつかなかったと?」

    「自分で言ってたじゃない司令官。あの部屋は防音性能が高いって」

    185 = 162 :

    吹雪「つまり、事件の全容はこうです!」

    吹雪「蒼龍さんの看病をしていた司令官はなんらかの事情で蒼龍さんの失踪を手伝うことになった」

    吹雪「でも失踪をしようにも移動手段がなかったら島から抜け出せない! そんな中見つけたのは青葉さんが連れてきた連装砲くんです!」

    青葉「二人きりですからスクープが取れると思ってけしかけたのですが、裏目に出ちゃいました!」

    吹雪「連装砲くんの艦首ユニットを改造して、擬似的な艤装を作り、移動手段を作った」

    吹雪「あとは誰にも見つからないタイミングで島から脱出する必要があった」

    吹雪「そこで思いついたのは水着盗難事件です! 蒼龍さんから水着を預かり、私たちの水着も盗んで、私の部屋を荒らした」

    186 = 162 :

    吹雪「恐らく、盗んだ水着は処分したけど、連装砲くんは重すぎて持っていけなかった。だから私の部屋に持ち込んだ。荒れた部屋に壊れた連装砲くんがあったもそこまで不自然じゃない」

    吹雪「そして私が帰ってきて悲鳴を上げたタイミングで蒼龍さんは島から抜け出しました」

    吹雪「残った司令官は、私がみんなを呼んでくる間に、蒼龍さんの水着を持ってきて私たちにアピールした」

    吹雪「『みんなの水着も盗まれているかもしれない』」

    吹雪「これで蒼龍さんが逃げる時間を稼ぎ、みんなの行動を制限した」

    「この仕事量からして一人では到底時間内には終わらない。だから犯人と蒼龍さんは並行して作業を進めたはず、それでも時間はかかったでしょうけど」

    木曽「俺たちは三日目の夜は花火をしていた。ちょくちょく別荘に戻っていたとはいえ、水着盗難くらいならまだしも、そこまでの作業はできない。つまりそれができるのは、ずっと蒼龍とともに別荘にいた……」

    吹雪「あなたしかありえないんですよ! 司令官!」

    187 = 162 :

    提督「……」

    木曽「沈黙は肯定とみなすがいいか?」

    提督「いや、思わず言うべき言葉を失ってしまった。面白い推理だった。こじ付けもここまでくると才能だな」

    木曽「なんだと?」

    提督「お前らの推理は実によくできている。素晴らしいよ。だが大事なものを一つ忘れている」

    吹雪「大事なもの?」

    提督「決定的な証拠だ。お前らが示したのは状況証拠だけだ。確かに今俺は疑わしい。だが決定的な物的証拠が無い限り、俺は無罪だ」

    青葉「おお! なんか追い詰められた犯人みたいなことを言い出しましたよ!」

    吹雪「ええ。もちろんありますとも」

    提督「……!!」

    188 = 162 :

    木曽「その前に一つ聞いてくれ。お前がなんでみんなの水着を盗んだか、だ」

    木曽「その目的は二つ。一つは蒼龍失踪のタイミングを作るため」

    木曽「そしてもう一つは、汚れた水着と下着の処分のためだ」

    提督「……」

    木曽「連装砲くんの装備を外し、改造しようとなったら服を着たままだと汚れてしまう。だから服を脱いだ。お前はパンツだけ。蒼龍は水着になったんだろう」

    木曽「汚れたのは最小限に留められた。だが、困った。汚れたものを処分しようにも、ただなくなったんじゃあ怪しまれる」

    木曽「だからみんなの水着を盗んだ。自分たちのがなくなってても怪しまれないよう」

    提督「……もしそうだったとして、それがどうした? これ以上、推理をしたところで何の意味も無い」

    木曽「その汚れた下着を見つけたとしたら、それが証拠になると思わないか?」

    提督「なんだと!?」

    189 = 162 :

    木曽「吹雪」

    吹雪「はい!」サッ

    木曽「どうだ? 機械オイルで汚れたパンツ。間違いなくお前のだろう?」

    提督(……違う)

    提督(俺は、みんなの水着も俺の下着もはさみで細切れにして海に流した)

    提督(だから見つかるはずが無い)

    木曽「どうした? まさか違うのか? 違うというならそうといってくれ」

    提督(だが、そうとは言えない。言えばその発言こそ俺が犯人だという証拠になってしまう)

    提督(恐らくあの下着は俺の持ち物検査のときに盗み出し。木曽が連装砲くんのオイルをつけたもの)

    提督(こいつら証拠を、偽造しやがった!)

    190 = 162 :

    提督「……今朝見てみたら俺の、下着が盗まれていた」

    木曽「奇遇だな。俺の水着も盗まれていた」

    提督「履いてないやつだったが」

    木曽「ますます奇遇だ。俺のも履いてないやつだった」

    提督「……誰が盗んだろうな」

    木曽「……さあな。見当もつかん」

    提督(証拠を偽造したのは確かだが、それは言えない)

    提督(言わなかったらこのままこれが証拠になる、か)

    提督(……)

    提督「……どこで気付いた?」

    木曽「お前を疑い始めたのは、最初の議論の後だな」

    提督「ほかのやつもそうか?」

    青葉「うーん。というかですね」

    比叡「実は四日目の夜に司令抜きで話し合って、みんなもう司令が犯人ってことわかってましたし」

    提督「……え?」

    191 = 162 :

    「一人で寝るのは危険って言う名目で、大部屋で集まることもできたし話し合うには絶好のチャンスだったわ」

    吹雪「こんな手に引っかかるなんて甘いですよ司令官」

    提督「……じゃあお前らみんな知っていたのか? この事件の犯人も蒼龍の失踪も」

    比叡「ええ。まあ」

    木曽「悪いな。結果的にはお前を騙すことになった」

    提督「……」ドサッ

    提督「……ははは。そうか。そうだったのか」

    提督(俺は詰んでいたのか。はじめから)

    192 = 162 :

    提督(観念した俺はこの事件のことを全て話し、謝罪した)

    提督(俺の犯行も、蒼龍の心情も)

    提督(みんなは黙って俺の話をきいてくれた)

    提督(次の朝、鎮守府から迎えが来て、俺たちは無人島を後にした)

    提督(長かった昨日もようやく終わり、クソッタレな明日がやってくる)

    提督(このバカンスで俺たちが得たものは、一人だけ欠けた艦隊と小麦色の肌)

    提督(失踪した蒼龍は今何を思っているのだろうか)

    提督(せめて、笑っていてほしいと願った)

    提督(……)

    提督(こうして、この事件は幕を閉じた)

    193 = 162 :

    解決編終わったので今日は終わり。あとちょろっとエピローグ書いて完結にする予定。お疲れ様でした。

    194 :

    おつ、安価次第では逃げおおせることできたのかな

    195 = 165 :

    1日目安価↓
    >>5>>10>>14>>23>>33
    これ見るとまあ提督の未来は暗いわ

    196 :

    寧ろ逃げ切れた方がバッドエンドになりそう
    面白かった(´・ω・`)

    197 :

    (……)

    提督「……」

    トントン

    提督「入れ」

    ガチャ

    「失礼いたします」

    提督「お前か」

    「不肖蒼龍、図々しくもまたこの鎮守府に帰ってまいりました」

    提督「……そうか」

    198 = 197 :

    「提督、私はどうやら力を使わずに生きられるほど強い人間ではなかったようです」

    「脱走してから毎晩、夢を見ました。仲間たちが沈んでいく夢」

    「吹雪が、暁が、木曽が、青葉が、比叡が、そして提督が死ぬんですよ。私の、代わりに」

    「寝覚めはいつも最悪でした。それからすぐ、ニュースを見て、深海凄艦の犠牲者の情報をチェックするんです」

    「それで知っている名前が無いことに胸を撫で下ろして、それから一日が始まる」

    「そんな日々をずっと過ごしていました」

    「あれほど憧れていた普通の女の子の生活は、ひどく退屈で、鬱屈で、窮屈でした」

    「おかしいですよね。あんなに逃げ出したかったのに、気がついたら私は鎮守府の前にいたんですよ」

    199 = 197 :

    提督「……」

    「……脱走を企てた私にこの鎮守府に居場所があるなどとは思っておりません」

    「いかような処分でも受けるつもりです。しかしどうか、私にもう一度チャンスをください!」

    「どうか! お願いします!」

    提督「……お前が何を言っているのか俺にはさっぱりわからん」

    「しかし! 私は!」

    提督「だってお前は今、一週間の営倉行きから帰ってきたんだろう?」

    「……え?」

    200 = 197 :

    提督「罪状は、えーっとなんだっけ? 水着窃盗だっけ?」

    吹雪「そうそう。それですよ」

    提督「あーやっぱり。何にせよ。お勤めご苦労だった。十分反省したようだし、これからも励め」

    「え? え?」

    提督「お前はあれか。一から十まで言わんとわからんのか」

    「え、あ」

    「ありがとうございます!」

    提督「ほれ、みんなに顔を見せて来い。心配してたぞ」

    「はい!」

    ガチャ

    提督「……なあ。吹雪、俺は甘いか?」

    吹雪「ええ甘いですね。その上、嘘つきです。蒼龍さんは一週間の休暇を取っていることになってますし、営倉行きになったのは司令官でしょうに」

    提督「……蒼龍には黙っててくれ。みんなの水着盗んだ上に、謹慎になったとか恥ずかしすぎる」

    吹雪「それはいいですけど。せっかくみんな許してあげたのに、自分から罰を受けるなんて。司令官はマゾなんですか?」

    提督「ちがわい」


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