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元スレ雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final
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陽乃「まあ雪乃ちゃんでも無理だね。
雪乃ちゃんは文実で相模ちゃんの仕事を全部奪っていたから。
あれなら最初から雪乃ちゃんが委員長になればよかったのにね。」
雪乃「そんなの結果論よ。あの時どうすればよかったのかなんてわかるはずがないわ。」
陽乃「そうでもないよ。
雪乃ちゃんはある程度の予想は付いたはず。
誰が行こうがあの時の相模ちゃんを呼び戻すなんて無理だとわかっていた。
それは勿論雪乃ちゃんも含めて。だから敢えて比企谷くんを行かせた。
本来なら自分がやるべきことの身代わりになってもらうためにね。
上手くいけば儲け物、失敗しても自分は咎められることもないと判断したのかな。
その思惑通り、相模ちゃんは連れてこれたけど代わりに比企谷くんの悪評が広まった。」
陽乃「つまりあなたは自分が逃げるための口実が欲しかったんだよ。
それももっともらしい理由がね。
そのために彼を利用した。そして上手いこと責任逃れをやってのけた。」
陽乃「わかるかな?
あのライブこそ雪乃ちゃんが依頼を受けておきながら、
面倒で嫌なことを比企谷くんに押し付けて逃げたことの証だよ。」
姉さんはあのライブの件をこれでもかというほど攻め立てた。
勿論否定しようと思った。
けれど…何も言い返せない…
結果がその通りだから…
姉さんの言うようにライブで会場は大盛り上がりした。
でもその裏で彼は相模さんの説得を行っていた。
無理かもしれなかった私の願いを彼は叶えてくれたのは事実だ。
彼と相模さんの間にトラブルが起こることなど私には予想できたはずなのに…
結衣「やめてよ陽乃さん。ゆきのんだってつらいんだよ!」
陽乃「あらあら、他人事のように言ってるけどガハマちゃんも同じでしょ。」
続いて姉さんの矛先は由比ヶ浜さんに向けられた。
今度は何を言う気なの…?
陽乃「あの文化祭の時、ガハマちゃんは何をしていたの?
相模ちゃんの依頼であなただけ何もしていないように思えるけど…」
結衣「それは…私はクラスの出し物に加わっていて…
でもゆきのんが休んだ時に言ったんです。
『私とヒッキーを頼ってよ』
だからゆきのんが私を頼ってくれたことが嬉しくて…」
由比ヶ浜さんは、
文実の作業で過労により倒れた私をマンションで勞ってくれた時のことを話してくれた。
確かにあの時の由比ヶ浜さんの言葉に私は救われた。
だからこそあのライブで彼女を頼ることができたのだから。
陽乃「私とヒッキーを頼ってよ…か…
ガハマちゃん、それはちょっと狡いんじゃないかな。」
結衣「狡いって…私はゆきのんを心配して…」
陽乃「あなたが言ったことはつまり保険でしょ。
自分は何も出来ない。
でもそこに無理やり比企谷くんを入れることで助けることを成立させる。
ガハマちゃんは何もせずいざとなれば比企谷くんに丸投げ出来てあとは知らんぷり。
それで丁度いいタイミングに現れて雪乃ちゃんに協力を申し出てライブを行う。
いやぁ、いいとこ取りだなんてガハマちゃんも雪乃ちゃんに負けず劣らずの策士だね!」
姉さんは最低な解釈で由比ヶ浜さんを煽った。
豪快に笑う姉さんとは対照的に青ざめた顔になる由比ヶ浜さん。
やめて…彼女を傷つけないで…
陽乃「それにガハマちゃんは比企谷くんを文化祭の打ち上げに誘おうとしたらしいね。
それってさ、あの時の比企谷くんにしてみればかなり酷い仕打ちになるんじゃないの~?」
結衣「酷いってどうして…?」
陽乃「だってそうでしょ。
文化祭で比企谷くんは屋上で相模ちゃんに暴言を吐いたって噂されてたんだからね。
そんな彼を打ち上げに行かせていたらどうなっていたと思う?
間違いなく彼はその場でバッシングされていただろうね。
それであなたはどうしてたかな?
そんな比企谷くんは置いて素知らぬ顔でもしてお友達とお喋りでもしてたのかなぁ?
うわっ!自分で誘っておきながらあとは知らぬ存ぜぬだなんて…私でもやらないよ!」
結衣「ちがう…そんなことしないよ…」
陽乃「そんなことしないって…
そもそもそんな場所へ誘おうとすること自体配慮が足りてないよね。
まさに追い打ちってヤツ~?」
結衣「だからちがう!私はヒッキーが…そんな…」
姉さんの言葉に由比ヶ浜さんはもう何も言えずにいた。
何もそこまで言う必要はないはず…
けど話はまだ終わらなかった。
陽乃「それで話を戻すけどさっきの歪みのことだけどね。
これは以前比企谷くんにも言ったけどこの部活の理念は確か…
飢えた人に魚を与えずその取り方を教えるんだっけ?」
雪乃「そうよ…私たちはこれまでその方針でやってきたのだから…」
陽乃「でも文化祭ではその方針がズレていたんじゃない?
雪乃ちゃんは相模ちゃんの仕事を殆ど請け負っていた。
あれじゃあ飢えた人にそのまま魚を与えていただけだよ。本人全然成長しないよね。」
結衣「でもそれはあの時のさがみんがサボッていたから…」
陽乃「それこそ雪乃ちゃんが諌めなきゃならないことでしょ。
ていうか文実で私が煽った時もそうだよね。
雪乃ちゃんは何と言われようと頑なに拒否するべきだった。
何故それができなかったのかな~?」
姉さんの私に対する鋭い詰問。
そして姉さんは核心を突く一言を発した。
陽乃「答えは簡単。
雪乃ちゃんは他人を嫌うことは出来るけど嫌われるのが嫌だから。」
雪乃「な…何を…言って…」
陽乃「否定しちゃダメだよ。それで全ての辻褄が合うんだから。
雪乃ちゃんは一見孤立しがちだけどみんなの憧れ。
努力しているというのも要は他人から嫌われたくないから憧れの存在として偽るだけ。
昔イジメられてたもんね。その時の斜め上の発想でそう振舞うようになったんだよね。」
結衣「でも…それは悪いことじゃないですよ!」
陽乃「勿論それが悪いことにはならないよ。
問題はその嫌われるようなことを自分でやろうとせず人に押し付けることがダメなの。」
それから姉さんはこう語った。
文実で相模さんや姉さんの意見を否定できなかったのは、
あの場で私がみんなの嫌われ者になる度胸がなかったからだと…
それだけではない。
ライブの時も私が比企谷くんのような嫌われ役になりたくないから
その役を押し付けたのではないのかと改めて問い詰めてきた。
陽乃「さてと、文化祭で彼はこの学校のほとんどの人たちから嫌われちゃったね。」
結衣「それは…けどヒッキーには私たちがいるし!」
雪乃「ええ、私たちは彼を見捨てはしなかったわ。」
確かに文化祭の後でも私たちは彼を見捨てはしなかった。
あの屋上での一件のあとでも私たちの仲に影響はなかった。
むしろ以前よりも絆を深めたのだから…
陽乃「それなら修学旅行での件。
あなたたちは比企谷くんが行った嘘告白を目撃して彼を見捨てた。」
結衣「それは…」
雪乃「あれは葉山くんたちが悪いのよ。」
陽乃「確かに一番悪いのは大事なことを黙っていた隼人だね。
けどあの時、雪乃ちゃんたちはあっさりと比企谷くんを見捨てた。
それも自分たちが受けたふざけた依頼をただ一方的に押し付けて…
その結果、彼はまた人から誤解をされるようになった。」
姉さんの言うように私たちは修学旅行で彼を見離してしまった。
それは一時の感情による過ちだったかもしれない。
けど問題はそれだけではなかった。
陽乃「ここでひとつ、ある問題が出てくるね。
雪乃ちゃんって比企谷くんが入部した時、静ちゃんにあることを頼まれていたよね。
それが何だったか覚えているかな?」
雪乃「ええ、比企谷くんの孤独体質の更生を頼まれたわ。」
陽乃「そうだね、彼の孤独体質の更生。
けどさぁ、修学旅行の件で比企谷くんの悪評は広まり、
周りから疎まれ、さらに酷く孤立してしまったよ。
この状況でどうやってその更生を行うわけ?」
陽乃「それにあなたたちは彼を見捨てた。
あなたたちから見捨てられたら比企谷くんがどうなるかわかるよね。」
姉さんの鋭い指摘が私の心に突き刺さった。
修学旅行の時点で彼に対する周囲の反応は最悪だった。
そんな彼を中途半端に見離せばどうなるかなんて…
彼は学校のみんなから孤立して結局孤独体質が悪化するだけだ。
結衣「でもヒッキーには私たちがいるから…」
陽乃「だから自分たちだけが比企谷くんのいいとこを知っていればいい。
そう思ったわけだね。
でもそれはちがうんじゃないの?それじゃあ彼の孤独体質の改善にならないよ。」
姉さんはこう言った。
私たちが仲良くなることと彼の孤独体質の改善はまったくの別物だと。
その私たちの勝手な解釈で彼の状況を利用しているようなものだとそう言ってのけた。
陽乃「それにしても考えてみれば本当に酷い話だよ。
比企谷くんは孤独体質の改善だと言われて奉仕部に強制入部させられた。
けど雪乃ちゃんやガハマちゃん、それに静ちゃんからの後始末を押し付けられてばかり。
それなのに肝心の自身の更生とやらは何もなされていないからねぇ。」
陽乃「それでもし修学旅行の件を誤解されたままでいたら彼はどうなっていたかな?」
陽乃「彼の人間不信はさらに酷くなってそのうち誰も信じることができなくなるよね。」
陽乃「おまけにそれを助長した雪乃ちゃんたちは、
罪の意識なんて感じずにその後もずっと彼に面倒事を押し付けていたのかな?」
陽乃「そう考えたらあの彼女ちゃんに正せてもらえて正解なんじゃないの。」
姉さんはあざ笑うかのようにあの女が私たちに行った仕打ちを肯定してみせた。
あの女のやり方が正しいなんてありえない。
現に私たちの仲は引き裂かれてしまったのだから。
陽乃「結局あなたたちは試食会でみんなに指摘された通りだったね。」
陽乃「三浦ちゃんからはさっさと謝りに行けと言われた。」
陽乃「いろはちゃんには空気が読めてないと言われた。」
陽乃「相模ちゃんにはあなたたちは比企谷くんを見下していると…」
陽乃「川崎ちゃんからは園児の妹ちゃんでも謝ればすぐにすむって言われてるし…」
陽乃「まさにその通りじゃん。
みんなから指摘されたことこそがあなたたちは歪んでいるなによりの証拠だね。」
まさかここまで言われるとは思わなかった。
でもあそこまで敵視される筋合いはないはずなのに…
陽乃「みんなが敵意を向けていたのはあの子たちが比企谷くんと信頼を築いたからだよ。」
雪乃「けどそれでどうして…私たちはみんなと顔見知りのはずなのに…」
陽乃「それはガハマちゃんにならわかるんじゃないかな。」
結衣「私になら…?」
以前の由比ヶ浜さんは二つのグループを行き来していた。
葉山くんグループと私たち奉仕部。
でもそれが何を意味するのかがわからない…
陽乃「たとえばの話だよ。
一方のグループで認められていたことが、
余所のグループではそれが変だと指摘されたという経験はあるかな?」
結衣「あ、それは…」
陽乃「うん、つまりそういうことだよ。
あなたたち奉仕部が比企谷くんに行っていたことがもう一方の…
まあこれは今現在彼女ちゃんを含めて比企谷くんと親しい人たちのことだね。
その人たちにしてみれば異常だと思われていたんだよ。」
雪乃「けど…彼女たちには…関係ないはずよ!」
陽乃「そうでもないよ。
仲のいい人が不当な目に合っているんだから…
今まであなたたちが比企谷くんへ行ってきた数々の愚行。
それは本来なら許されるべきものじゃないの。」
陽乃「思い出してみなよ。
車の事故から始まってそれから今日まで比企谷くんとの間に何があったのか…」
その話を聞き私はこれまでのことを思い出していた。
きっかけとなった車の事故
比企谷くんの奉仕部への強制入部
テニスの勝負
夏の合宿
文化祭
修学旅行
それにあの屋上での嘘告白に先月の試食会での出来事
全ての事柄において彼のみが嫌なことを背負わされている…
陽乃「それに三浦ちゃんたちは一応比企谷くんに謝っているからね。
対して雪乃ちゃんとガハマちゃんはバレンタインの試食会を口実にちょっかいを出しただけ。
あの子たちが雪乃ちゃんたちにムカついたとしてもそれは仕方のないことだと思うよ。」
陽乃「それにあなたたちが本来すべきことは、
バレンタインのチョコを上げることでも愛の告白をすることでもない。」
陽乃「まず比企谷くんに面と向かって謝ることだった。」
陽乃「それなのにあなたたちは…
修学旅行からもう数ヶ月も経ってるのに前に進めていない。」
陽乃「だからあなたたちはこの学校のみんなから敵意を向けられるようになってしまった。」
陽乃「雪乃ちゃん、試食会の時に私の質問を覚えているかな?」
試食会で姉さんが言ったあの質問。
『集団を最も団結させる存在はなんでしょう?』
あの時は気にも止めなかった。
けどあの言葉にどんな意味が隠されていたのか今ならわかる気がする。
陽乃「今の雪乃ちゃんになら集団を団結させる存在がわかるよね。」
雪乃「集団を団結させる存在…まさか…」
陽乃「そう、それはすなわち『敵』だよ。」
敵と聞いて色々と気づかされた。
今回の騒動で私と由比ヶ浜さんはみんなの敵となっていた。
だから私たちはみんなから挙って糾弾されたわけだ…
陽乃「今、みんなの敵意は雪乃ちゃんとガハマちゃんに集中しているよ。」
陽乃「それもあなたたちの非道な行いから比企谷くんを守るために。」
陽乃「雪乃ちゃんは以前世界を変えたいと言っていたね。」
陽乃「もしかしたらそれが実現されているのかもしれないよ。」
陽乃「今までぼっちだった比企谷くんをみんなが守る優しい世界にね。」
陽乃「よかったね。
比企谷くんの更生ができて優しい世界も作れて何もかもが雪乃ちゃんの理想通りじゃん!」
私たち自身が悪役となることで比企谷くんとその周りのための優しい世界を作ってみせた。
姉さんはそう語ってみせた。
私が否定した彼の自己犠牲を…私たちがこんな形で…やってみせるなんて…
嫌だ…そんなの…冗談じゃない…
結衣「嫌だよ…こんな形でヒッキーとお別れなんかしたくないよ…」
雪乃「姉さん…いい加減にして…私たちは…」
陽乃「どうやらまだ納得がいかないようだね。
それならある人をあなたたちに会わせてあげる。
姿はすっかり変わり果てているけど二人が知ってる人だから安心していいよ。」
それから姉さんは部室にある人を招いた。
招かれたその人は…年齢は30~40代くらいの中年の女性。
髪型はショートヘアだけど手入れがなされていないようでボサボサ。
それに不健康な生活を送っているのだろうか肌も荒れていた。
私にはわからなかったけど由比ヶ浜さんはこの人が誰なのか気づいたらしい。
結衣「あの…ひょっとして…平塚先生ですか…?」
平塚「あぁ…久しぶりだな…雪ノ下…由比ヶ浜…」
雪乃「嘘…この人が…あの平塚先生なの…!?」
そう、私たちの前にいたのは試食会で暴力事件を起こして逮捕までされた平塚先生だ。
かつてのクールで知的な彼女の面影はどこにもなかった。
やつれ果てて何かに怯えているそんな弱々しい女性しかいなかった。
雪乃「せ…先生は…あの後…逮捕されたとお聞きしまたしたが…?」
平塚「ああ…だが…親が弁護士を雇ってくれてな…
それで比企谷の家に多額の示談金を払ってなんとかムショ行きだけは免れたんだ。」
陽乃「でもその後は大変だったよ。
静ちゃんあの事件で教員免許剥奪されちゃってね。もう教職に戻れないの。」
確かにあれだけの事件を起こしたのだから教員免許剥奪は仕方ないのかもしれない。
けど…それだけでここまでやつれ果てるものなの…?
平塚「あの事件の後…
実家から勘当を言い渡された…親にもう二度と顔を見せるなと言われたんだ…」
結衣「そんな…」
平塚「それだけじゃない。
あの事件でこの学校の誰かが私の素性をネットに公開したんだ。
そのせいで再就職すら満足にできない状況だ。」
雪乃「あ…」
平塚「ついでにな…髪を切った理由だが…
夜道を歩いてたら誰かに変な液体をぶちまけられたんだ。それがもう酷い異臭で…
臭いが落ちなくて仕方なく切ったんだ…」
平塚先生の話は悲惨すぎた。
私はこのことを警察に通報すればよいのではと助言したが、
警察からは『これもアンタの自業自得なんじゃないの?』と言われたそうな…
平塚「担当した警察の人な…
自分の子供も教師に理不尽に虐げられたと言って相手にしてくれなかったよ…」
平塚「酷いよな…今までの自分の行いがこうまでしっぺ返しになるなんて…」
平塚「今更悔やんでも無駄だが…」
平塚先生は涙ながらそう語った。
これがかつては私が一度は憧れた平塚先生の姿だなんて…
信じられない。いえ、信じたくもない。
何がどうなったらここまで人生を転落させてしまうのだろうか。
陽乃「雪乃ちゃん、ガハマちゃん、今の静ちゃんは二人にとっては他人事じゃないよ。」
雪乃「姉さん…何が言いたいの…?」
陽乃「わからないかな。二人も静ちゃんと同じだって言いたいんだよ。」
結衣「同じって…?」
陽乃「静ちゃんがこうなったのは過ちを犯したから。
そして今はこうして制裁を受けてしまい世間から蔑まれている。」
陽乃「二人も同じだよね。みんなから見離されている。
もうわかるよね。この静ちゃんの姿はこれからあなたたちが辿る末路なんだよ。」
このボロボロにやつれ果てた平塚先生こそが私たちの末路…
そんな…嫌だ…
こんな…惨めにやつれ果てた挙句に…比企谷くんに想いを伝えられないで終わるなんて…
結衣「もうやめてよ…陽乃さんは私たちをイジメて楽しいんですか!?」
陽乃「あらあら、私は別にイジメているわけじゃないよ。
これはあなたたちが成長するために必要なことだからやっているだけなんだから。」
雪乃「成長…?」
陽乃「試食会で静ちゃんが言ってたよね。」
『人は間違い、傷つきながら成長を遂げていく』
陽乃「今回の件で雪乃ちゃんたちは間違い傷ついた。
まあ一番傷ついたのは静ちゃんにボコボコにされた比企谷くんだけどね。」
陽乃「これであとは成長するだけだよね!」
その話を聞いて苦笑いする平塚先生とは対照的に、
姉さんは妙に楽しそうな顔をして言ってみせた。
間違って傷ついたから成長しろですって…?
他人事だと思っているからそんな風に言えるのだろう。
けれど…どうすればいいの…
私たちは比企谷くんとどう接すればいいの…?
お願い…誰か教えて…
結衣「待ってるだけじゃダメなんじゃないかな。」
雪乃「由比ヶ浜さん…?」
結衣「私…文化祭の時にヒッキーに言ったんだ。」
『待たないでこっちから行くの!』
結衣「私たちここで動かなきゃダメだよ!
そうじゃなきゃもう二度とヒッキーとわかりあえないよ!?」
由比ヶ浜さんの言葉に私も思った。
このままだと私たちは間違いなく平塚先生と同じ末路を辿る。
けど今ならまだ間に合うかもしれない。
もう一度彼と話合って今度こそわかりあわなければ…
陽乃「ここまで言ってようやく動くんだね。まあ手遅れかもしれないけど頑張れば?」
雪乃「姉さんに言われなくてもそのつもりよ。でも比企谷くんは生徒会室よね。」
結衣「あそこはあの子や優美子たちがいるからヒッキーには近づけないよ。」
まず比企谷くんと話し合うにはこれは当然なことだが彼に近づかなければならない。
以前の私たちならそれは簡単だった。
けれど今はちがう。
試食会での事件以降、
あの女はいつも比企谷くんに付き添うようになり私たちは彼に近づくことができなかった。
陽乃「それならお姉ちゃんが助け舟を出してあげる。」
雪乃「助け舟ですって…?」
陽乃「そうだよ。
なんと比企谷くんはこの後ある人のお葬式に出席するの。そこなら話せる機会があるよ。」
姉さんからの提案は私たちにしてみれば実に都合のいいものだ。
けれど気になることがある。
比企谷くんは誰のお葬式に出席するの…?
陽乃「隼人だよ。」
雪乃「え…葉山くん…?」
結衣「どうして…隼人くんが…」
陽乃「あ、二人とも知らないんだっけ?実は隼人二日前に死んじゃったの!」
平塚「私たちはこれから葉山の葬式に出席するんだ。だから二人を呼びに来たんだ。」
葉山くんが死んだ。
なんでも転校先の学校で交通事故にあったとか…
いつもの私ならその事実を知れば多少は驚いたのかもしれない。
けど…今の私たちに彼の死を悼む余裕はなかった…
陽乃「これは天国にいる隼人がくれた最後のチャンスかもね。
でもお姉ちゃん思うんだけどなんかこれ呪いみたくて逆に気味が悪いよ」
結衣「でも行かなきゃ。じゃなきゃ一生後悔するよゆきのん!」
雪乃「そうね、いつまでもこの部室に閉じこもっているわけにはいかないわ。」
こうして私たちは姉さんに連れられて葬儀場へ向かった。
まだ間に合うはず。
葬儀場までの道中、私たちは最後の希望を心に抱いていた…
葬儀場―――
「この度はお悔やみ申し上げます。」
「いえ、不甲斐ない息子のためによくお出でくださいました。」
私たちは葬儀場へ到着した。
そこでは葉山くん…いえ…彼自身というよりも彼の両親の関係者が来訪していた。
それは私の両親は勿論のこと、この街の有力者などの姿が見受けられた。
彼の家は弁護士だ。そういった類の人たちと関係があってもおかしくはないのだろう。
私たちと同行した姉さんと平塚先生も別行動を取り葉山くんのご両親に挨拶をしている。
それに…見つけた…
八幡「この度はお悔やみ申し上げます。
総武高校生徒会として全生徒の代表としてやってきました。」
比企谷くんだ。
学校側に命じられたのかそれとも自分の意思で来たのかわからないが彼の姿があった。
少女A「葉山くんが亡くなるなんて…」
いろは「葉山先輩とは12月にあんな別れ方をしたっきりですからね。」
相模「まさかこんな形で再会はないよね…」
他にもあの女や一色さんに相模さん。
さらに…
三浦「隼人…アンタバカだよ…」
戸部「隼人くん…本当に死んじまったんだな…」
海老名「最期くらいは和解したかったよ…」
かつての葉山グループである、
三浦さんに海老名さん、戸部くんが葉山くんの柩の前で泣き崩れていた。
かつて葉山くんは修学旅行の一件で奉仕部に無理な難題を押し付けた。
その一件が暴かれて彼らのグループは解散してしまった。
そして葉山くんは彼と親しかった人たちから見離された。
けれどそんな葉山くんでもこうしてその死を悼んでくれる人がいる。
こんなこと思いたくはないのだけど今の私が死んだら誰がその死を悼むのか…?
由比ヶ浜さんと姉さんくらいか。あとは両親…
学校関係者は…以前ならともかく今はもう期待できない。
比企谷くんは…どうなのだろうか。
彼は私が死んだら悲しむのか…?
そんな不謹慎なことを思っていた時だ。
八幡「俺は小町に連絡するから少し三浦たちのことを慰めてやってくれ。」
少女A「わかったよ八幡。」
いろは「早く戻ってきてくださいね。」
どうやら比企谷くんはお家に連絡を取るためにその場から離れた。
これはまさにチャンスだ。
あの女がいないのなら話は滞りなく進むはず。
そう思った私たちは彼を尾行した。
八幡「ああ、今日は帰りが遅くなるから…」
比企谷くんは人気のない場所で携帯を取り出して小町さんに話をしている。
それから連絡を終えてあの女がいるところへ戻ろうとした。
話しかけるなら今しかない。
決意した私たちは思い切って比企谷くんに話しかけた。
雪乃「久しぶりね比企谷くん。」
結衣「やっはろーヒッキー。」
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…そうか…お前らも葉山の葬儀にきてたのか…」
比企谷くんは私たちも葉山くんの葬儀に参加しているのだと思っている。
この葬儀は姉さんに連れられて来ただけ。
それに葉山くんが亡くなったことすら私たちは先ほど知ったばかりだけど…
まあそんな話はどうでもいい。
それよりも問題は…
雪乃「比企谷くん…その…」
結衣「ヒッキー。私たちは…あの…」
私たちは比企谷くんに今までのことを謝罪しようとしたのだけど…
いざ面と向かって話すと何から話していいのかわからない。
けれどこれが私たちにとって最後の機会だ。
これを逃せばもうその機会はないはず…
100%今夜、少女Aが裏で工作して葉山殺したとか言う奴出てきてる
一旦ここまで
今日中に最後までやるからあまり書き込まんといてください
次スレ立てる気もないので…
今日中に最後までやるからあまり書き込まんといてください
次スレ立てる気もないので…
それ言っちゃうなら次スレ建てた方が良いぞ?
確実に埋める輩が出てくる
確実に埋める輩が出てくる
乙
事故ですら代理人立てただけの雪ノ下家が夫婦揃って謝罪に出向く時点で……
事故ですら代理人立てただけの雪ノ下家が夫婦揃って謝罪に出向く時点で……
八幡「………その…すまなかったな。」
結衣「ヒッキー?」
八幡「本当なら俺の方から出向くべきだった。
それなのにわざわざお前たちの方から来てもらうことになるなんて…」
雪乃「え…ええ…いつまでも待っているわけにはいかないものね。」
比企谷くんは私たちに対して意外な反応を見せてくれた。
なんと彼の方から詫びてきたからだ。
それから彼はこう言ってくれた。
八幡「『 』から聞いたかもしれんが奉仕部のことだが…」
雪乃「その…奉仕部が…廃部になると聞いたわ。」
結衣「私たちの部活が無くなるなんてヒッキーだって嫌だよね。」
八幡「その件だが…
鶴見先生に掛け合って臨時顧問を引き受けてもらった。
これで4月からも奉仕部を存続させることができる。」
奉仕部が存続される。
その知らせは今の私たちにとっては実に喜ばしいものだ。
これでいつ比企谷くんが奉仕部に帰ってきても迎えることができる。
あとは彼と和解するだけ。
いいえ、そんな必要はないのかも。
何故なら私たちはこうしてわかりあえているのだから。
彼が奉仕部を守ってくれたことこそがなによりの証だ。
そう思っていた。
次に起きる彼の行動を見るまでは…
雪乃「比企谷くん…あなた…何をしてるの…」
結衣「ちょっとやめてよ…ヒッキー!」
比企谷くんは私たちの前で土下座をしていた。
何でこんなことをするの…?
彼のありえない行動に私は混乱した。
八幡「すまない…けど…お前たちが…恐いんだよ…」
八幡「あの試食会で…見ちまったんだよ…」
八幡「俺がボコられているところをお前らが笑っているのを…」
そんな…あの時…私たちは笑ってなんていない…
でも彼にはそう見えてしまったのかもしれない。
試食会の時、私たちはみんなに糾弾されて頭に血が昇っていた。
だから…
八幡「それだけじゃない…」
八幡「あいつが…『 』が土下座していたよな…」
八幡「何であんなことさせたんだよ…?」
八幡「なぁ…雪ノ下…由比ヶ浜…
俺はお前たちがあんなことをやるようなヤツらだとは今でも思えない…」
八幡「俺に不満があるなら俺だけに言えばいい。
でも他のヤツらは巻き込まないでくれ。
こんなぼっちな俺を信じてくれる大事な人たちなんだよ…」
八幡「だからお願いだ…もうあんなことしないでくれ…やるなら俺だけにしてくれよ…」
彼は私たちの前で土下座を続けた。
ちがう…私たちがあなたに求めているのはこんなことじゃない。
私たちは…あなたと…
結衣「ヒッキー!土下座なんてやめてよ!」
雪乃「そうよ私たちはこんなこと求めてはいないの!私たちはあなたに…」
私が言おうとした時だ。
少女A「あなたたち…何してるの…?」
またしてもあの女がタイミング悪く現れた。
少女A「こんなところまで八幡を土下座させるなんて…あなたたちは…」
結衣「ち…ちがうの!これはその…」
雪乃「そうよ!これは…!?」
比企谷くんが戻ってくるのが遅いと気になったこの女が心配して様子を見に来たらしい。
それだけではない。
この騒ぎを聞いたこの葬儀の来訪者たちが続々とこの場に押し寄せてきた。
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