私的良スレ書庫
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元スレ八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」海老名「…」
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八幡「小町ちゃんそれはさすがに酷すぎない?まぁ…いいか。そういうわけだから送るわ」
海老名「そ、そう…ならお言葉に甘えようかな」
八幡「ん、じゃあ、ちょっと上着とか取ってくるから少し待っててくれ」
海老名(そう言って彼は自室に一度戻っていった)
小町「へぇ、あのお兄ちゃんがここまでするなんて」
海老名「どういうこと?」
小町「そりゃ専業主夫が夢なんて言ってるお兄ちゃんですから、前なら面倒臭がって渋々って感じだったんですけど」
小町「さっきのは最初からそうしようって思っていたみたいだったので、お兄ちゃんも変わってきたんだなぁって」
小町「きっと、皆さんのお陰なんでしょうね」
海老名(やっぱり色々言ってもちゃんと彼のこと考えてるんだね)
海老名(そんなことに思いを馳せていると、準備が出来たのか彼が戻ってきた)
八幡「悪い待たせた。それじゃ、小町。留守番頼むな」
小町「はーい、気を付けてね。海老名さんまた来て下さいね♪」
海老名「うん、こちらこそありがとう。またね」
海老名(小町ちゃんに別れを告げて、私は彼と一緒に彼の家から出ていく)
海老名(いくら街頭があるとはいえ、この時間から自転車は危ないとのことで徒歩で送ってくれるみたいだ)
海老名(外に出ると、深まる秋の空気からか少し肌寒いと感じる)
八幡「前と同じくらいのところでいいのか?」
海老名「えっ!?…ああ、うん、大丈夫だよ」
海老名(彼は分かったと言って私の前を歩き始める。歩調は私に合わせてくれているのかゆっくりとした感じで)
海老名(私は歩きながらチラチラと彼の顔を覗き込む)
海老名(いつもと違う雰囲気だからか、何だか妙に見惚れてしまう)
海老名(そんな雰囲気に私も呑まれてしまっているのか、自分でも気付かないうちに彼の手を掴んでいた)
八幡「…え、海老名さん!?」
海老名「これは‼…その、えっと…ほら、寒かったから‼だから…」
海老名「…だから、こうしたら温かいかなって……ダメかな?」
海老名(自分でも苦しい言い訳をしているなんて分かっているが、それ以外のことを思いつかなかった)
海老名(振りほどかれるかと思ったけど、私の予想に反してそのままでいてくれた)
八幡「…寒いなら仕方ないな…」
海老名「うん…」
海老名(ドキドキと自分の心臓が高鳴ってるのが分かる。これよりも昨日はもっと密着してたはずなのに、それ以上の恥ずかしさを感じている)
海老名(お互いに恥ずかしさからか無言のまま歩みを進めている)
八幡「…その、ありがとな」
海老名「えっ?な、何が?」
八幡「いや、小町も楽しそうだったし、ほら俺がこんなだからあんまり家にも友達呼ぶことなくてな」
八幡「それに俺は特に何も思ってないが、親も仕事が忙しいからあんまりいなくてな。口では言わないけど寂しい思いしてるだろうから」
八幡「だから来てくれてありがとな。ただ、今度から俺にも言ってくれ少し…というかかなり驚くから…」
海老名「うん、分かった。そうするね」
海老名(良かった迷惑じゃなかったんだ…)
海老名「また、行ってもいいかな?」
八幡「…俺の家でのヒエラルキーはカマクラより下だからな。小町がいいなら俺もいい…」
海老名(それって殆んど大丈夫って言ってるようなものだよね)
海老名(隠す気があるようでない答えに私は笑みを浮かべる)
海老名(きっとこんな捻た優しさに私はどうしようもなく惹かれるんだろう)
海老名(月明かりに照らされて浮かんでいる私達の影が繋がっていることが幸せで)
海老名(そこから前に別れたところまで話すことはなかったけど、それでも私の心を満たしてくれた)
海老名(帰り際に繋いでいた手を離すのが名残惜しくて、でも、彼はぶっきらぼうだけどまた明日なと言ってくれた)
海老名(私もまた明日と言って手を離し、彼の帰る後ろ姿を少し眺めた後、残っている温もりを感じながら残りの帰路についた)
今回はここまでです
こんなに亀更新なのに待ってくれている方がいてありがたいです
次から終盤ですので最後までお付き合い下さい
・・・・・・・・・・
八幡(海老名さんが泊まりに来てから数日、特に何があったわけでもなく)
八幡(まぁ、相変わらずあの3人の距離が物理的に近いのには役得ではあるけど、精神的になかなか疲弊はするが…)
八幡(そろそろ彼女たちからの告白に答えを出さないといけない。そう思いつつも何故か足踏みしてしまう)
八幡(もう…分かってはいるのにな)
雪ノ下「じゃあ、今日はこのくらいにしましょうか」
八幡「…ああ」
八幡(結局この日もそんなことばかり考えながらいると1日が終わってしまった)
八幡(帰る準備をしていると奉仕部のドアからノックする音が聞こえた)
八幡(最初は気のせいかとみんな思ったのか反応をしなかったが、再びノックの音がする)
雪ノ下「どうぞ」
八幡(雪ノ下が来客に声をかける。こんな時に誰だと思いながら、ドアが開くとそこにいたのは思ってもいない奴だった)
由比ヶ浜「……戸部っち」
海老名「……………」
戸部「…うっす…」
雪ノ下「…こんな時間に依頼かしら?もう帰るつもりでいたのだけれど」
八幡(周りの空気で何かを察したのか雪ノ下は刺のある言い方で対応する)
戸部「…そういうわけじゃなくて…ただちょっと海老名さんとヒキタ…比企谷君に話があって」
八幡「…戸部……分かった俺はいいが…」
八幡(問題は海老名さんだ。またあの時のようになるかもしれない)
八幡(海老名さんはしばらく俯いて沈黙していたが、顔を上げると返答する)
海老名「いいよ…」
八幡(戸部はその応えにホッとしたのか、少しだけ安堵の表情を浮かべている)
八幡(それといつものあの軽い雰囲気が少し成りを潜め、いつになく真面目な感じだ)
戸部「んじゃ、前話した場所で待ってるっす…」
八幡(戸部はそれだけ告げると部室から出ていった。さっきまでの穏やかな雰囲気と変わって、重たい沈黙が流れる)
八幡「…本当に良かったのか?」
海老名「うん、いいの…ほら行こう?」
八幡(そんな風に促す彼女だが、声は少しばかり震えていて、眼鏡の奥の瞳は沈んでいるように見えた)
由比ヶ浜「姫菜……ヒッキー、姫菜をお願い…」
雪ノ下「…そうね。この事はきっとあなたたちにしか出来ないのでしょうね。でも、もし何かあったらすぐに言ってちょうだい」
海老名「…ありがとう」
八幡(わずかに表情に明るさが戻ると、彼女は部室から出ていく)
八幡(俺は雪ノ下と由比ヶ浜に目配せをする。二人の表情からは心配と、俺に任せるといった雰囲気が伝わってくる)
八幡(それに応えるように静かに頷いて海老名さんの後を追う)
八幡(少しだけ見えた二人の顔からは心配の色は消えていた)
・・・・・・・・・・
八幡(いつもの俺のベストプレイスに着くと、戸部と海老名さんはお互いに下を向いたまま黙りこんでいた)
八幡「悪いな待たせたか?」
八幡(なるべく刺激を与えないようにするつもりではいるが、どうしても言葉に刺が付きそうなのを抑える)
戸部「いや、呼んだのはこっちだから…それに本当に来てくれるとは思ってなかったし」
八幡「それで話ってなんだ?」
八幡(あの時のように、出来るだけ海老名さんに来ないよう俺が話を進めようとする)
八幡(戸部は何かを考え、大きく深呼吸すると急に膝を着くと)
戸部「この間はすみませんでした‼」
海老名「……‼」
八幡「…はっ!?」
八幡(膝を着いて頭を下げる戸部。急な戸部の土下座に俺たちは二人とも困惑する)
戸部「俺って馬鹿だから全部ヒキタ…比企谷君のせいにして…」
戸部「でもそんなことしても意味無くて、海老名さんが好きなのは比企谷君で、好きな人を馬鹿にされたら誰でも怒るって」
八幡「戸部…いや、俺は別に、てかそろそろ頭を上げてくれ」
八幡(戸部は立ち上がり、俺たちを正面から見据える)
戸部「それに気づいたっしょ。隼人君や奉仕部に頼んで海老名さんと付き合えたって自分の力でしたわけじゃないって」
海老名「……戸部…君」
戸部「自分で頑張ってもないのに比企谷君を責める俺は最低で…」
戸部「だから…許してほしいわけじゃない。ううん…違うっしょ本当は許してほしくてびくびくしてて…」
戸部「でも、俺は馬鹿だけど馬鹿なりに考えて、二人に謝らないと前に進めないって思ったから‼」
戸部「海老名さんには迷惑かけまくったし、比企谷君にはいっぱい傷つくようなこと言って…すみませんでした‼」
戸部「俺の自己満だけどこれだけはしたかったから」
八幡(戸部は再び頭を下げる。それを見て何だか胸の奥から何か込み上げてくるのを感じた)
八幡「俺はそもそもお前に怒ってもないし、謝られることもされたとも思ってない」
八幡(戸部は頭を上げてると、俺を真っ直ぐ見て俺の言葉に耳を傾ける)
八幡「だから…俺から言えるのは気にするなってだけだ。どうしても言葉がいるなら俺はお前を許す」
戸部「…比企谷君……ありがとう」
八幡(あとは海老名さんだが…)
八幡(彼女は下を向いてずっと押し黙っているままだ)
八幡(時折、何かを言おうとするが結局それを飲み込むといったことを繰り返している)
八幡(戸部はその様子をじっと見つめていたが、しばらくすると諦めたような顔を浮かべる)
戸部「……そりゃそうだよな。今更こんなことを言っても仕方ないって分かってたから」
八幡「戸部…」
戸部「わざわざ来てくれてありがとうっしょ。信じてくれなくてもいい…けど、さっき言ったのは本気だから」
戸部「だから、ありがとう」
八幡(戸部はそう言うとゆっくりと校舎に戻っていく)
八幡(その姿を見ながら、これでのいいのかと海老名さんに問いかけようとした)
海老名「……っ戸部君‼」
八幡(問いかけようとしたその時に、海老名さんは戸部の名前を叫んだ。戸部はその声で振り返って驚いている)
戸部「海老名…さん」
海老名「……私も…私もごめんなさい‼君を悪者にして、みんな壊してしまって…」
海老名「恨んでくれていい、憎んでくれていい…君の好意を知っていって踏みにじった私を」
海老名「私こそ許してくれなんて言わない‼」
海老名「だから謝らないで…君は悪くないの…」
海老名「ごめん……ごめんね」
八幡(涙を流しながらそう叫ぶ彼女に、戸部は戸惑っていたが、戸部は明るく笑みを浮かべる)
戸部「海老名さんこそ悪くないっしょ。俺と一緒で海老名さんも比企谷君と付き合いたかっただけなんだし」
戸部「負けたのは悔しいけど、俺が海老名さんにとって本物になれなかっただけだから」
海老名「…戸部君…でも私は‼」
戸部「だから‼海老名さん頑張ってほしいっしょ‼俺は海老名さんが好きだから‼」
戸部「海老名さんには笑っていてほしい‼みんなと…比企谷君と笑っていてほしい‼」
八幡(お互いに涙を流してそれぞれの思いをぶつけていて、それを俺はとても綺麗だと感じている)
八幡(きっとここにいる人間以外からしたらすごくみっともないと思える状況なのかもしれない)
八幡(戸部は前に進むことを選んだ…だからこそぶつかることも選べたのだろえ)
海老名「でも…それじゃ戸部君は‼」
戸部「俺は…辛くないって言ったら嘘だけど、それでも海老名さんには笑っていてほしい‼」
八幡「…受け入れてやれよ。俺が口を挟むことじゃないかもしれない」
八幡(そんな真剣な…本物の思いに、俺の口が勝手に言葉を発していた)
八幡「でも、戸部は選んだんだ。どれだけ悩んだのかも俺は戸部じゃないから分からない」
八幡「それでも…海老名さんに対する言葉は全部本物だと思う。今それを聞いた俺でもそれは分かるくらいだ」
八幡「だったら一緒にいた海老名さんならもっと分かるはずだろう?」
海老名「八幡君……そんなのそんなの…痛いくらい分かるよぉ……」
戸部「海老名さん…やっぱり比企谷君には敵わないっしょ」
八幡「そういうわけじゃねぇよ。海老名さんも分かってた。ただそれだけだ」
戸部「それでも…うーんやっぱりこういうのは惚れた男のがよく効くってことで」
八幡(泣きながら笑うなんて器用なことをしている戸部の顔はとても清々しそうだ)
戸部「それじゃあ勝手だけど海老名さんのことよろしくお願いします‼」
八幡「ああ、その依頼確かに承った」
八幡(もう一度笑顔を浮かべ、今度こそ戸部は校舎に戻ろうとする)
海老名「翔君‼」
八幡(海老名さんはまた戸部を呼び止める。しかし戸部は戻る足を止めようとしないが海老名さんは言葉を続ける)
海老名「ごめん…そしてありがとう‼」
八幡(戸部は一瞬足を止めて、振り向かないまま片手を大きく上げる)
戸部「俺も頑張るっしょ‼ありがとう‼」
八幡(戸部はそれだけ言うと走って戻っていった。その背中は何処か誇らしげで、俺には大きく見えた)
八幡「俺も選らばないとな…怖がらずに…」
八幡(不意に手に暖かいものが触れる。海老名さんの手が俺の手を握る。それにつられ彼女の顔を見ると)
八幡(海老名さんも戸部と同じように清々しい顔をしていて、俺の方を向くと優しく微笑んだ)
いよいよ次でラストスパートです
ここまで来るのにとても時間がかかってしまい申し訳ありません
戸部の口調や誰だこれ感は尋常じゃないですね…
かなりのキャラ崩壊ですがご容赦して頂けると幸いです
乙乙~
とべっちクソ真面目なキャラになっとるな
まあ、流れ的にしゃーない
楽しみにしとるで~
とべっちクソ真面目なキャラになっとるな
まあ、流れ的にしゃーない
楽しみにしとるで~
・・・・・・・・・・
八幡(戸部の件があった次の日に、いつもの様にベストプレイスで昼食を取りながら、昨日のことを考えていた)
八幡(俺も選ばないとな……いや、本当はもう分かってる。俺が誰を想っているかなんて)
八幡(結局は俺も今を壊したくないと…そう思ってしまっていたんだろうな)
八幡(でも、それでは前に進むことなんて出来ない。あの嘘の告白をしなかったら、葉山達のグループは停滞していたかもしれない)
八幡(けれど…海老名さんは方法はどうあれ、あの関係を壊してでも俺に想いを伝えてくれた)
八幡(雪ノ下も由比ヶ浜も今が変わるのは分かっていただろう。それでも俺に真っ直ぐ好意を示してくれた)
八幡(戸部も自分の気持ちに決着をつけるために、本音をぶつけてきてくれた)
八幡(なら俺も選んで伝えないといけない。それが今を変えてしまっても、それで何かが壊れてしまっても)
八幡(冷めていくぬるま湯に浸かるより、そんなレプリカの安寧より…俺が求めていたものが、きっとそこにあるだろうから)
八幡(しばらく考えに耽っていると、俺の前からコツコツとした音が耳に入ってきた)
八幡(本当に最近はよく絡むな)
八幡(顔を上げると、俺の予想通り平塚先生がそこにいた)
平塚「どうやら君も選んだようだな」
八幡「先生…そうなるんですかね」
八幡(先生は俺の隣に座り、まるで分かっていたかのようにそう俺に話しかける)
平塚「確かに何かを選ぶということは怖いことかもしれない。身近なことで言えば進路の事とかな」
平塚「だが人生は取捨選択の連続だ。それで何かを得て、何かを失ってしまう」
平塚「君は選ばれない辛さを知っている。だからこそ戸惑ってしまった」
平塚「選ばれなかった人が傷ついてしまうのではないかと、離れるかもしれないと」
平塚「でもな比企谷。それで私は君達がの関係が壊れるとは思ってないよ」
平塚「彼女らは君のその不器用なところなんて承知の上だろうしな」
八幡「…それはそれで複雑っすけどね」
平塚「ふふ、今回私が言ったことはお節介だったかもな」
平塚「どんな選択をしようと、君が考えて伝えることを彼女達は真っ直ぐ受け止めてくれるさ」
平塚「それにどんな結果になろうと私は君の味方だ。だから思い切りやってこい。君のために、彼女達のために」
八幡(平塚先生は立ち上がり、柔らかい微笑みを俺に向けると、校舎に戻っていった)
八幡(本当にあんたはなんてかっこいいんだよ。もっと早く出会えてたらあんたに心底ほれてたんだろうな)
八幡「……もう迷わない」
八幡(こんな俺でも声をかけてくれる人がいる。見守ってくれる人がいる。支えてくれる人がいる。)
八幡(そして想ってくれる人達がいる)
八幡(何がぼっちだよ。もうそんなこと言えねぇな…)
八幡(どんな結果になっても、それを受け入れる覚悟はした)
八幡(きっと分かってはいたんだ。たから前に進むために、俺はもう逃げない。)
・・・・・・・・・・
八幡「なぁ…聞いてほしいことがあるんだ」
八幡(奉仕部の部室でいつものように依頼者を待っているなか、俺は三人に話しかけた)
八幡(三人は何かを察していたのか。俺の方を見て、俺が話し出すのを待ってくれる)
八幡「回りくどいことを言ってダラダラ長引かすのもあれだから単刀直入に言う」
八幡「この間の答えを出した」
八幡(その言葉に緊張が走るのが嫌でも分かった。俺も何だか口が重くなるように感じた)
雪ノ下「…大丈夫よ。あなたが決めたことだもの、私達はそれで責めたりしないわ」
由比ヶ浜「うん、きっとヒッキーがいっぱいいっぱい考えてくれたことだもん」
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜」
海老名「私達はどんな結果でも受け入れるよ。だから君の答えを私達に聞かせて?」
八幡「海老名さん…」
八幡(彼女達の優しさが心にすっと入ってくる。目から何か込み上げてきたが、今はそれをグッと堪える)
八幡「こんなに気持ちをぶつけられたのは初めてでな。最初は戸惑った。過去のように何かあるのかとも考えた」
八幡「でも、例え裏切られても俺はそれでもいいと思えた。俺にとってここはそう思える場所になった」
八幡「俺はもうぼっちなんかじゃない。そうみんなが教えてくれた…だから…」
八幡(結局何か回りくどいことを言ってるが、でも、俺自身この思いを伝えることを止めることが出来ない)
八幡「雪ノ下。俺はお前に憧れている。その気高さに、その真っ直ぐな姿勢に、俺はそんな雪ノ下をとても綺麗だと思っている」
八幡「由比ヶ浜。お前の優しさには何度も助けられてきた。お前の笑顔に、明るさに、いつも俺を見てくれていたことに、俺は救われてたんだ」
八幡「海老名さん。一番あんたには驚愕させられた。いきなりあんな風にしてくるんだからな。でも、嬉しかった。俺に好意をぶつけれくれたことが」
八幡「…言葉だけじゃ、まだまだ言い切れないくらい俺は…ここが、みんなが大事だと思ってる」
八幡(目から必死に堪えていたものが溢れ出す。どんなにみっともなくても俺は)
八幡「だから…俺は選んだんだ。それが残酷なことでも、俺はもうみんなの気持ちから逃げない‼」
八幡(気持ちを伝えると決めた時、真っ先に浮かんだのは彼女と過ごした日々だった)
八幡(強いけど弱い。そんな彼女のそばに俺はいたいと思ったから)
八幡「俺は、海老名さんのことが好きです。俺と付き合って下さい‼」
海老名「…‼八幡くん」
八幡「それが俺が決めた答えだから…」
八幡(緊張の糸が切れたのか俺は床に座り込む。そんな俺に海老名さんが駆け寄ってくる)
八幡「悪いな…こんなみっともなくて」
海老名「そんなこと…そんなこと全然ないよ‼」
雪ノ下「そうよ比企谷君。今のあなたはとても…そのかっこいいと思うわ」
由比ヶ浜「うん、ありがとう…ヒッキー。えへへ、そんな風に思っててくれて」
海老名きゅ
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…その、俺は…」
雪ノ下「言ったでしょう。あなたが決めたことなら責めたりしないと」
由比ヶ浜「ヒッキーはヒッキーがしたいようにしていいんだよ。それにさっき言ってくれたことすごい嬉しかった…」
八幡(俺は海老名に支えられながら立ち上がる。俺を見ながら二人は笑ってくれている)
八幡「ありがとうな…」
雪ノ下「あなたが素直にお礼を言うなんて天変地異でも起こるのかしら?」
八幡「うるせぇ、たまには素直になるのも悪くないって思ったんだよ」
雪ノ下「冗談よ。それと海老名さんおめでとう」
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…その、俺は…」
雪ノ下「言ったでしょう。あなたが決めたことなら責めたりしないと」
由比ヶ浜「ヒッキーはヒッキーがしたいようにしていいんだよ。それにさっき言ってくれたことすごい嬉しかった…」
八幡(俺は海老名に支えられながら立ち上がる。俺を見ながら二人は笑ってくれている)
八幡「ありがとうな…」
雪ノ下「あなたが素直にお礼を言うなんて天変地異でも起こるのかしら?」
八幡「うるせぇ、たまには素直になるのも悪くないって思ったんだよ」
雪ノ下「冗談よ。それと海老名さんおめでとう」
海老名「う、うん…でもいいのかな…私…」
雪ノ下「何を言ってるのかしら?そんな弱気じゃ彼を捕まえておけないわよ」
雪ノ下「私も由比ヶ浜さんもまだ彼を諦めるなんて言ってないのよ?」
海老名「へ、へぇ…それはどういうことかなぁ?」
八幡(笑顔なのに雰囲気怖いんですけど、あと…やっぱり怖いんですけど)
雪ノ下「それだけ本気ということよ。あなたがしっかりしないならあなたから奪うくらいするわ」
由比ヶ浜「あたしも…ヒッキーのことこの中じゃ一番前から好きなんだから‼だから姫菜には悪いけど、あたしも諦めないからね」
海老名「ふふ、じゃあ私も頑張らないとね。でも絶対に八幡君のこと離したりしないから」
雪ノ下「それでいいのよ」
八幡「おいおいお前らなぁ…」
雪ノ下「あなたも海老名さんのことちゃんと捕まえてないと駄目よ。最も離れられたら私が拾ってあげるわ」
由比ヶ浜「あっ、ゆきのんズルい‼ヒッキーあたしが拾ってあげるからね‼」
八幡「いや、俺は物かよ…」
海老名「堂々とNTR宣言なんて二人ともやるね。でも、残念でした。さっきも言ったけど私は離したりしないから」
八幡(そんなことを言いながら俺達は笑い合っていた。平塚先生が言ったように、この関係は壊れなかったのかもしれない)
雪ノ下「さて、折角、恋人になれたんだもの。ここにいるだけじゃあなた達に申し訳ないわ」
雪ノ下「海老名さんと比企谷君は今日はもう帰っていいわよ。あとは私と由比ヶ浜さんで何とかするわ」
海老名「…‼うん、分かったよ。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」
八幡(海老名さんは自分と俺の鞄を持つと、俺の手を引っ張ってドアまで俺を連れていく)
八幡「お、おい!?本当にいいのか?」
雪ノ下「ええ、いいわよ。由比ヶ浜さんもそれでいいかしら?」
由比ヶ浜「うん、大丈夫だよ。ほらヒッキーちゃんと姫菜を送ってくんだよ」
八幡「まぁ、お前らがそういうならいいが…その……また明日な」
海老名「こっちこそ二人ともありがとうね。……本当にありがとう」
八幡(俺と海老名さんは奉仕部の部室から出ていく。ドアを閉める時、二人の顔は夕日で見えなかった)
雪ノ下「……行ったわね」
由比ヶ浜「うん……そう…だね……」
雪ノ下(由比ヶ浜さんは我慢の限界だったのか、目からな涙がとめどなく流れ出している)
由比ヶ浜「…ゆきのん…ヒッキーが決めたことだけど、やっぱり悔しいよぉ‼」
由比ヶ浜「ずっとずっと前からあたしはヒッキーのこと好きで…ヒッキーの隣にいたかった‼」
雪ノ下(泣きじゃくる由比ヶ浜さんを私は抱き締めた。気付いたら流れていた涙を、彼女に見られたくなかったのかもしれない)
雪ノ下「そうね。悔しいわね」
由比ヶ浜「でもヒッキーが選んだことだから、あたしはヒッキーが好きだから幸せになってほしい…」
雪ノ下(やはりあなたは強いわ。こんな時でも彼の幸せを願えるなんて)
由比ヶ浜「選んでほしかった‼選んでほしかった‼ヒッキーに好きって言ってほしかったし‼」
雪ノ下「私も‼私も彼に選ばれたかったわ…」
雪ノ下「私も彼の隣にいたかった。彼はちゃんと私を見てくれてた」
雪ノ下「だから彼に選んでほしかった‼彼に好きって言ってほしかったわ‼」
雪ノ下「でも…私達は伝えるのが遅かったのよ…彼女のように何かを失ってでも、本気で彼の隣にいようとしなかった」
雪ノ下「それが彼女と私達との差だったのよ…」
雪ノ下(きっと甘えていたのね…どこかで彼が私達以外といようとするはずないと。なんて傲慢な考え…)
由比ヶ浜「ゆきのん…でもね。ヒッキーがちゃんと伝えてくれたのは嬉しかった…」
由比ヶ浜「いつもヒッキーは色々考えてたと思うの…それを言ってくれることなかったし」
由比ヶ浜「でも今日はそんなことなかった。ちゃんとヒッキーの気持ちが分かって良かった」
由比ヶ浜「しばらくは辛いかもしれないけど、それでもヒッキーと一緒にいたいって…」
由比ヶ浜「恋人じゃなくても、ヒッキーが辛い時に支えられたらなって思うから」
雪ノ下「……あなたは本当に強くて…そして優しい」
雪ノ下(比企谷君も言っていた優しさに、私もきっと何度も救われてきたのでしょうね)
由比ヶ浜「えへへ、そんなことないよ。ただ諦め悪いだけかも」
雪ノ下「そうね…海老名さんには悪いけど、私達もまだ諦めたわけじゃない。想い続けるくらいはいいわよね」
由比ヶ浜「ゆきのん…うん、そうだよね‼」
雪ノ下(気付いたらお互いの目から流れていた涙は止まっていた)
雪ノ下(私は窓の外を眺める。部室を茜色に染めている夕焼けが眩しいけど、とても暖かくて)
雪ノ下「ねぇ…結衣。これからは結衣と呼んでもいいかしら?」
由比ヶ浜「ゆきのん!?……うん、いいよ。雪乃」
雪ノ下(結衣も私と同じように外の夕焼けを眺める。私の心も暖かさに包まれながら)
やっとここまでこれました
少し駆け足な感じはしますが
次の投下で最後だと思います
もう少しだけお付き合い頂けたら幸いです
海老名(彼の手を引っ張って部室から出ていく。きっと雪ノ下さんのあの言葉は、結衣のためのことだったと思うから)
八幡「……」
海老名(無言で私に連れられている彼も、そのことは何となく察しているんだろう)
海老名「ねぇ…本当に後悔はないの?」
八幡「そりゃ…あいつらを傷つけてしまったかもしれない。でも、それじゃあ駄目だと思ったからな」
海老名「答えを出さないでズルズルするっていうのは…君なら考えたはずだよね?」
八幡「まぁ…な…けど、それは三人の気持ちを踏みにじることになっちまう」
八幡「どんなに辛くても俺は逃げないって決めたからな」
海老名「でも…私よりあの二人の方が一緒にいた時間は…」
八幡「……なぁ、これから少し時間あるか?」
海老名「えっ?」
八幡「俺はちゃんとあんたと話したいからな」
海老名「う、うん…大丈夫だけど」
八幡「なら決まりだな」
海老名(彼はさっきまで引っ張られていたように、今度は私を引っ張って行く)
海老名(上の階にどんどん向かって行き、行き着いた先は屋上だった)
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