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元スレ京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」

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901 :

そんじゃ、始めます

902 :

ほいきた

903 :

待ってたホイ

904 :

うっす

905 = 1 :



・三年、初夏、個人戦9位と卓上の天使


「次は私の出番……バンバン稼ぐわよ!」


京太郎「あのさ、久ちゃん」

「なに?」

京太郎「気合が入ってるとこ悪いんだけど……これから昼休みなんだ」

「……ふぅ」シュル


「もちろん知ってたわよ。これリハーサルだし」


まこ「ありゃあ、緊張しとるんかいの?」

京太郎「団体戦は今年初だしな」

優希「お腹減ったじぇ……」


「さ、ご飯にしましょうか。ほら、早く早く!」


まこ「弁当は?」

京太郎「ああ、途中で買ってきた。自分の朝飯は忘れたんだけどな」

優希「案外抜けてるじぇ」

京太郎「タコス貰ってる身で言えることかぁ?」グリグリ

優希「あだだだだっ!」


906 = 1 :




佳織「た、ただいま戻りました」


「おー、ご苦労だぞ」

睦月「お疲れ様」

桃子「っす」

佳織「私、ちゃんとできてたかな?」

ゆみ「十分すぎる。これ以上ない戦果だ」

「わはは、おかげで風越を抑えてうちがトップだぞ」

桃子「かおりん大砲炸裂しまくりっすね」

睦月「まさか二回も役満が飛び出るとは……」

ゆみ「なんにしてもこれはチャンスだ……蒲原」

「わかってるぞ。きっちり守って次につなげる、それが私の仕事だろ?」

桃子「そしたら私が更に引き離すっす」

907 = 1 :



ゆみ「さぁ、妹尾も戻ってきたし、そろそろ昼にしよう」

睦月「弁当はここに」

「おー、これはまたおいしそうな……」クンクン

桃子「この唐揚げが匂いの元っすね」

ゆみ「妹尾、今日頑張ってくれたお礼だ。これを一個」スッ

佳織「唐揚げ……いいんですか?」

ゆみ「むしろこれだけじゃ足りないとさえ思う」


「わはは、そういうことなら私も」スッ

睦月「うむ」スッ

桃子「かおりんたい方すごかったっすからねぇ」スッ


佳織「お、お肉がいっぱい……食べきれるかなぁ」


908 = 1 :



ゆみ「さぁ、妹尾も戻ってきたし、そろそろ昼にしよう」

睦月「弁当はここに」

「おー、これはまたおいしそうな……」クンクン

桃子「この唐揚げが匂いの元っすね」

ゆみ「妹尾、今日頑張ってくれたお礼だ。これを一個」スッ

佳織「唐揚げ……いいんですか?」

ゆみ「むしろこれだけじゃ足りないとさえ思う」


「わはは、そういうことなら私も」スッ

睦月「うむ」スッ

桃子「かおりん大砲すごかったっすからねぇ」スッ


佳織「お、お肉がいっぱい……食べきれるかなぁ」


909 = 1 :




透華「と、も、き!」


透華「風越を追い抜くつもりが、蓋を開けたら無名の鶴賀にごぼう抜き!」

智紀「……面目ない」

「まぁまぁ、相手のツモばかりはどうしようもないよ」

透華「しかも! 相手にあんな目立つ勝ち方を許して!」

「あ、一番気にしてるとこはそこか」

透華「当然ですわ。あなたと私と衣ならば逆転は容易でしょ?」

「まぁ、それもそうだけどね……特に衣は」

透華「となると……私のやることは原村和を抑えて、かつ一位を奪い取る……これですわ!」


透華「一! 次の試合は二位まででとどめておくこと!」

「え、何その注文」

透華「そうと決まればお昼ですわ……ハギヨシ!」

「あ、たしか衣を探しにいってるんじゃない?」

透華「そうでしたわ……そういえば純は?」

「小腹が空いたからちょっと出てくるって」

透華「あ、足並みが揃っていない……」


910 :

何故京太郎スレでは飯テロが横行するのか…

911 = 1 :




「さて、いよいよね」

京太郎「出るのか?」

まこ「ちょっと早めじゃの」

優希「行ってらっしゃいだじぇ」


「あ、ちょっと仮眠してる二人の様子、だれか見といてくれない?」

京太郎「わかったよ。ちょっと飲み物買ってくるついでにのぞいてくる」

「それなら冷えピタシート買ってきてくれない?」

京太郎「あれ、この前買ってきたやつ持ってこなかったのかよ」

「残ってたっけ? 冷蔵庫にはなかったけど」

京太郎「棚の中に放り込んでたろ。言わなかったっけ?」

「そういえば言われたような……」

京太郎「まあいいや、用意しとくから行ってこいよ」

「うん、じゃあお願い」


優希「……まるで同棲中の恋人同士の会話だじぇ」

まこ「ほんにな……」


912 = 1 :




「じゃあ、行ってきます」

美穂子「私からのアドバイス、忘れないでね?」

「はい……」

美穂子「大丈夫、あなたの実力はたしかなんだから」

華菜「そうだし。一年でレギュラーって時点で去年の私とタメ張れることはたしかだし」

未春「文堂さん、校内ランクだってあっという間に上がったじゃない」

華菜「そうそう、あの鬼コーチだって密かに褒めてた――」


「あぁん? だれが鬼コーチだって?」


華菜「……華菜ちゃん用事思い出しちゃったなー」

「おいこら、話は終わってねーぞ?」ガシッ

華菜「ひいっ」


「とにかく、頑張るといい」

「は、はい!」


美穂子(……直接戦わない私にはアドバイスぐらいしかできない)

美穂子(文堂さん、頑張って……)


913 = 1 :




京太郎「冷えピタシートか……一旦外でなきゃダメかな」

京太郎「あー、冷房効いた建物の中から外に出るのか……」

京太郎「……つらい」


透華「おや、そこにいるのは須賀京太郎ではなくて?」


京太郎「ああ、龍門渕か」

透華「丁度いいところに……衣と純を探していますの」

京太郎「おう、頑張れよ」ソソクサ


透華「さ、が、し、て、い、ま、す、の!」ガシッ


京太郎「わ、わかった……とりあえず話は聞くよ」

透華「よろしい」

914 = 1 :




京太郎「衣はハギヨシさんが探しに行ってるからいいとして……純はな」

透華「まったく、みんなして足並みを乱して……!」

京太郎「うんまぁ……」


京太郎(結構コイツも好き勝手やってるような気がするんだけど……)

京太郎(まぁ、一応は取りまとめ役だしな)


京太郎「純だったらな……ガッツリ食べれそうなとこにいると思うけど」

透華「具体的には?」

京太郎「あーもう、そこらの食堂見てないのかよ」

透華「探してる途中にあなたと会いましたの」

京太郎「よし、わかった。じゃあそこの食堂から――」


「なにしてんの? 二人とも」


京太郎「言ってるそばから……」

透華「純!」

「うわ、どうしたのさ」

透華「戻りますわよ!」グイッ

「おいおいなんだよ」

京太郎「じゃあなー」


915 = 1 :




「長野県予選決勝中堅戦が始まりましたね」

靖子「この卓での注目はダントツで竹井久だな」

「去年の個人戦で高順位に食い込みましたからね」

靖子「しかし、それだけ相手に情報を与えてるということになるね」

「対策を講じられてると?」

靖子「だろうね」



京太郎「ん、始まったっぽいな」

京太郎「俺もさっさと用事を済ませるか」

京太郎「シートと飲み物はよし……次は仮眠室だな」

京太郎「冷たい飲み物でも差し入れしてやるか」


「きょうたろー」

916 = 1 :



京太郎「ああ、他のやつらとは一緒じゃないのか?」

「今日は咲と打てる。しばらく外で昂ぶりを抑えてたところ」

京太郎「あいつがその気だったら、お前も勝てるかどうかはわからないからな」

「それでいい。今宵は月が満ちる……衣も存分に打てるというものだ」

京太郎「ははは……そういや、そのぬいぐるみは?」

「これ? なんか胡乱な二人組が落としていったよ?」

京太郎「ふむ……」


京太郎(これってたしか原村が持ってたやつと同じだよな?)

京太郎(それが外に出てるってことは……)


京太郎「なあ、それ貸してもらっていいか? 後輩のかもしれないんだ」

「むぅ、衣はこの子が気に入ったが、きょうたろーがそう言うなら仕方ない」

京太郎「悪いな、なんもなかったら後で返すよ」

「それよりも持ち主のところへ届けてあげてくれ。この子もきっとそのほうが喜ぶ」ウンウン


京太郎(こいつ、これを他に向けられればもっと友達も増えるんじゃねえかな?)


917 = 1 :




「うぅん……もうこんな時間ですか」

「今は中堅戦の最中ですね」

「咲さんは……どこに行ったんでしょうか?」

「部長の応援でしょうか? それなら私も行かないと」


「……あれ、エトペン?」


「――ないっ、エトペン、エトペンがっ」

「まさか咲さんが? ……いえ、そんなことするわけがありません」

「じゃあ風が吹いて転がって? 窓が閉まってるのにどうやってですか……」

「まさか、ひとりでに動き出して……! そ、そんなオカルトありえませんっ」


京太郎「探し物はこれか?」

918 = 1 :



「エトペン!」

京太郎「やっぱりお前のだったか」

「あの、どこでこれを?」

京太郎「外で拾ってくれたやつがいてさ、そいつから受け取ったんだ」

「あ、ありがとうございます!」

京太郎「それと、ほら。寝起きで喉渇いてるんじゃないか?」

「あ、はい」


京太郎「そういや、咲は?」

「私が起きた時にはもういなくて……」

京太郎「トイレかな? また迷子になってなけりゃいいけど」

「すみません……」

京太郎「お前が謝ることじゃないだろ。そもそもあいつの方が寝付いたのは早いんだから」

「はい……」

京太郎「そうだ、寝癖直してやるよ」

「ね、寝癖ですか?」

京太郎「そこ、ちょっとはねてるからさ」

「け、結構です、自分でできますからっ」

京太郎「まぁまぁ」


919 = 1 :




京太郎「まずはツインテールを解いて……」

「は、はい」シュルッ

京太郎「お、原村の髪はサラサラだな」

「……」カァァ

京太郎「よし、これで寝癖はばっちり直ったぞ」

「先輩、こういうの手慣れてませんか?」

京太郎「ああ、時々久ちゃんの髪を縛ってやってたしな」

「部長の、ですか?」

京太郎「つってもガキの頃だけどな。最初なんて下手くそすぎてボロクソ言われたし」

「……」

京太郎「まあ、それが悔しくていじらせてもらいまくった結果だな」

「あの、私の髪も縛ってもらっていいですか?」

京太郎「いいぞ。おさげとポニーテール、どっちがいい?」

「二択ですか?」

京太郎「だってそれしかできないし」

「……」

京太郎「それとも、新たな境地に至ってみるかなー」


(だ、大丈夫でしょうか……)


920 = 1 :



『中堅戦前半終了!』


「ふぅ……」


(前半が終わって、うちの加点はほとんどなし)

(こりゃバッチリ対策されてるわね……)

(風越と鶴賀が異常にこっちを警戒して隙があんまり見当たらない)

(聴牌したと見るや、鳴いて順番飛ばされるし)

(そして縮こまってる二校の横合いから龍門渕が点数を食いとっていった)

(見事に囮に使われたわね)

(これでうちが一人沈みか……)


京太郎「大丈夫か?」

「ん、京太郎」

京太郎「冷えピタ、買ってきたぞ」

「ありがと……」ペリペリ


921 = 1 :



「あー、気持ちいー」


京太郎「状況はどうだ?」

「どうもこうも見ての通り。なーんもさせてもらえてない」

京太郎「そっか……なら大丈夫だな」

「そうね」

京太郎「往生際の悪さ、また見せてくれ」

「当たり前じゃない」

京太郎「それじゃ、俺は咲を探しに行ってくるよ」

「すぐに他の女の子の話なんてつれないじゃない」

京太郎「久ちゃんは特別だよ。今も昔もさ」

「しょうがない、許す」

京太郎「許された」


922 = 1 :




「後半戦、開始しましたね」

靖子「清澄んお点数はほぼ変わらず、龍門渕が追い上げてるな」

「竹井選手も今のところは鳴かず飛ばずですが」

靖子「ああ……今のところは、ね」

「これから逆転にくると?」

靖子「どうだろうね、ただ私の知っている竹井久は、押さえつけられれば押さえつけられるほど強い――」


靖子「――そんな女だ」



「……」


(開幕の配牌としては悪くはない……)

(親だし上がっておきたいところね)


「リーチ」

923 = 1 :



(あっちゃあ……こんな早く他家のリーチかぁ)

(現物も少ないから、事故ってもおかしくはない……)

(行く? それとも退く?)


「……行きますか」スッ


(二枚切れの北がきた……これね)

(龍門渕は高い手を狙っているのか、それともとにかく上がりたいのか)

(……ここらへんかしら)トン



「際どいところを攻めましたね」

靖子「結果通った。おかげで風越が無事にオリられたわけだ」

「もしあそこで竹井選手がオタ風の対子を崩していたら、振り込んでいたかもしれませんね」

靖子「そして二枚切れの北が残った……上がる気でいるな」

「また例の悪待ちでしょうか?」

靖子「それはそうだろうが……そういえば去年の個人戦、あいつは一回だけ嶺上開花で上がったんだ」

「チャンピオンから責任払いで直撃を取った和了でしょうか?」

靖子「思えば、その時と手牌が似通っている気がするな」


924 = 1 :




星夏(もう自風意外に切れそうなものが……)トン


「――ポン」


星夏(鳴かれた!?)

智美(清澄の……仕掛けてくる気か? 参ったな、この状況で下手なことしたら龍門渕に振込みそうだし)

(オリてない……向かってくるんだね)


「――カン」


(加槓!?)

智美(わはは、やばそうだぞ)

星夏(ドラが乗った!?)

925 = 1 :



「ダメ押しに――カン」


(ちょっ、これって……!)

智美(うわ、また……)

星夏(今とさっきの槓で……ドラが8個も!?)


「ツモ! リンシャンにドラ8……8000オールね」


星夏「……」

「……」

智美「わ、わはは……」

「あー! すっきりした!」


926 = 1 :




靖子「やっと上がったか」

「凄まじい上がりでしたね。しかも上がり方はチームメイトの宮永選手と同じ役……技術が共有されているということでしょうか?」

靖子「あんな運に偏った上がり方に技術もクソもないさ。決め打ちしたって出来るかどうかは運次第だ」

「しかもカンドラだけで倍満……そういえば、奈良の大会ではドラを集めるプレイヤーがいたみたいですね」

靖子「奈良か……三尋木プロが解説しているところだな」

「思えば、逆境からの反撃という点は藤田プロと似ている点がありますね」

靖子「あいつの場合は自分に都合の悪い状況に強いんだ。まぁ、詳しい考察とかはやりたい人に任せよう」



『中堅戦終了!!』


「おつかれ~」

「おつかれさまでした」

智美「おつかれさーん」

星夏「お、おつかれさまでした……」


927 = 1 :




星夏「キャプテン、すみません……」

美穂子「ううん、いいの。彼女がああいう人だってちゃんとアドバイスできなかった私の責任だわ」

華菜「と、とんでもない上がり方だったなぁ」



智美「わはは、あの人ヤバすぎだぞ」

ゆみ「妹尾に匹敵する得点……これで清澄の一人浮きになったわけか」

佳織「わぁ、あんなすごい人がいるんですねぇ」

睦月「少なくともそれを妹尾さんが言うのはどうかと思うけど」

ゆみ「なんにしても起こってしまったものは仕方がない……モモ」

桃子「了解っす。バッチリ取り返してくるっすよ」


928 = 1 :




「ただいま……」

透華「……一」プルプル

「ご、ごめん。一応2位にはなったんだけど」


透華「よくやりましたわ!」


「へ?」

透華「原村和を追い落として一位になる……まさに絶好のシチュエーションですわ!」

「してやられて褒められるとは……」


「燃えてんなー」

智紀「実際いい燃料だと思うけど」

「竹井久……中々に面白そうだ」


透華「さあ、行ってきますわ!」


929 = 1 :




「ただいまー」

まこ「おつかれさん。十分な戦果じゃったな」

「どう? 一人浮きよ?」

優希「まるで咲ちゃんみたいだったじぇ」

「ああ、あれね。そんな自由にできるものじゃないんだけどね。これで二回目だし」

優希「ゲージ消費で放つ必殺技か! カッコイイじぇ」

「そうそう、そんな感じ」

まこ「何言っとるんだか……」


「あ、部長。戻ってたんですか?」


「ええ、ばっちり稼いできたから後は――」


「どうかしたんですか?」

930 = 1 :



「その髪型、どうしたの?」

優希「おお、のどちゃんイメチェン?」

まこ「左だけのサイドアップか」

「髪をといたんで、先輩に縛り直してもらったんです」

「あぁ……ノリノリで髪いじってる姿が思い浮かぶ」

「あの……変でしょうか?」

優希「ぶっちゃけ似合ってるじぇ」

まこ「ふむ……今度うちでメイド服でも着てみるかい?」

「あ、是非」


「はいはい、まこの経営戦略は置いといて……和」


「はい」

「稼いどいたから安心して打ってきなさい」

「いつも通り、やってきます」

「それでよし」

「それじゃあ……行ってきます」


931 = 1 :




透華「ついに、ついにこの時が……」

透華「私が華麗に原村和を打ち倒す……」

透華「さぁ、覚悟なさい!」ビシッ


「? なんでしょうか?」


透華「くっ、この反応……しかも髪型を変えて周囲にアピール!?」

透華「まあいいですわ……大事なのはそう、これからっ」


桃子「元気っすねー」



「副将戦が始まりました。この試合で注目されるのは、やはりインターミドルチャンピオンでしょうか?」

靖子「随分原村贔屓だな……」

「原村選手といえばデジタル打ちですが、龍門渕選手もデジタル打ちで有名ですね」

靖子「インターミドルの頃の原村は、あくまでミスが多いデジタル打ちという印象だったな」

「このままぶつかったら原村選手が負けると?」

靖子「いや、この大会からそこが改善されている。今は互角かそれ以上だろうな。デジタル打ちとしては、だが」


932 = 1 :




京太郎「副将戦か……原村は大丈夫かな」

京太郎「なんとかペンギンは届けてやったけど

京太郎「さて、咲はどこにいるのかね」キョロキョロ


華菜「あ!」


京太郎「さーて、こっちにはいないみたいだなー」クルリ

華菜「無視すんなよ! 失礼だろ!」

京太郎「え? 君誰? 俺は須藤京介だけど」

華菜「そっかー、須藤かー。なら仕方ないな」

京太郎「そういうわけで……」


華菜「――って、んなわけあるかっ」

933 = 1 :



京太郎「うおっ、いきなり飛び蹴りか!」

華菜「今日こそ年貢の納め時だし!」

京太郎「くそ、素直に騙されてればいいものの……!」

華菜「ふん、そんな子供騙しが華菜ちゃんに通じるわけないだろ!」

京太郎「見た目結構アホそうなのにな……」ボソッ

華菜「何か言ったか!?」

京太郎「いやいや、賢くてかわいい華菜ちゃん、略してKKKには敵わないなーって思っただけだ」

華菜「な、なんだよいきなり褒めて……気持ち悪いな」

京太郎「本心だって」

華菜「にゃっ!?」

京太郎「うんうん、俺が間違ってたよ。今まで気づかなかったなんてな」

華菜「し、仕方ないな……そこまで言うなら許してやらないでも……」

京太郎「マジで? それじゃっ」タタッ


華菜「うん、これからは反省して――あれ?」

華菜「……もしかして騙された?」


華菜「……あいつぅ! 次会ったら絶対許さないし!」


934 = 1 :




「……」トン


透華(原村和がのどっちであることに間違いはない)

透華(だけど、まだ十全ではない)

透華(さあ、早くお目覚めなさい)

透華(そうしたら、私がたっぷり味わい尽くしてあげますわ!)


「……ふぅ」


(顔が、熱くなってきました)

(この試合で負ければ、私はみんなと一緒にいられなくなる)

(ゆーきにも咲さんにも……先輩にも)

(絶対に負けるわけにはいきません)

(私に道を示してくれた先輩に報いるためにも……!)


935 = 1 :




京太郎「こんなとこにいたのか」

「別に、私がどこにいたって関係ないじゃないですか」

京太郎「お前、そういうことは迷子にならなくなってから言いなさい」

「そんなんじゃないもん……」

京太郎「もう発信機でもつけといた方がいいかな」

「だから、違いますったら」

京太郎「まあいいや……ほれ、飲み物」

「……ありがとうございます」


京太郎「副将戦、始まったぞ」

「もうそんな時間なんですね」

京太郎「ちゃんと大将戦までには戻れよ。それじゃ」

「……それだけ、ですか?」

京太郎「? まあな」

「もっと色々言われるかと思ったんですけど」

京太郎「まぁ、頑張れとか負けるなとか言うのもありかもだけど……お前、強いしな」

936 = 1 :



京太郎「ま、自由にやれよ」ポン


「……一個、お願いしてもいいですか?」

京太郎「なんだ?」

「手、握ってください」

京太郎「これでいいか?」ギュッ


(手、あの時よりも大きい……)


「ありがとうございます」

京太郎「おう」

「……あの、離さないんですか?」

京太郎「よくよく考えたら、お前また迷子になりそうだし、このまま連れて帰ろうかなって」

「むっ」


937 = 1 :




「聴牌」

透華「聴牌」

「ノーテン」

桃子「ノーテンっす」



藤田「また流局か」

「副将戦は点数の動きが少ないですね」

藤田「それだけ全員手堅く打ってるということだろうが……」

「しかし、流局以外では全て原村選手が上がっています」

藤田「本人は運の類を否定しそうだが、あれは相当引きもいい」

「ただのデジタル打ちだけではああまでならないと?」

藤田「デジタル打ち……そもそも麻雀という競技はもっと長いスパンでの勝利を目指すものだからね」

「たった一試合だけの勝敗を競うには向いていないということでしょうか」

藤田「そう考えると今年の……特に団体戦のルールは普通の打ち手にとって少し不都合と言えるな」


938 = 1 :




透華(わ、私が未だ上がれていない……?)ワナワナ

透華(なのに原村和は細かいながらも着実に上がっている……?)

透華(認めない、認めませんわ……!)



「あー、そろそろ我慢の限界かな」

「お、脱デジタルか?」

「だってさっきから全然上がれてないからね」

智紀「焼き鳥は最大の屈辱」

「こりゃリーチでもぶっこんでくるかね」

「セオリー無視でね」


「ふふ、でもとーかはきっと上がるぞ」


「そうなんだよね……」

「でも、まだ足りない。衣はその先が見たいんだ」

「……」


939 = 1 :




透華「リーチ!」


透華(デジタル打ちではここでリーチはありえない)

透華(でも……知ったことか、ですわ!)

透華(ダマテンでも十分な打点……でももしリーチをかけてなおかつ一発で上がってしまえば――)


透華「いらっしゃいまし、ツモ! 8000オール!」


透華(――原村和よりも目立てるというものですわ!)



靖子「親倍か。これでトップとの差はだいぶ縮まったな」

「しかし、今のはデジタル打ちとしてのセオリーを無視した上がりですね」

靖子「そのへんのブレがデジタル打ちとしての弱点でもあり、雀士としての強みでもある」


940 = 1 :




透華「さあ、連荘でしてよ」


(今の一瞬、変な感じがしました)

(デジタル打ちではありえないリーチ……)

(でも、上がった?)

(偶然と切り捨てることもできます……)

(でも、もしそこに一定の法則が存在するのなら?)


桃子「リーチっす」


透華(まだ点数的には清澄に及ばない……ならば!)


透華「リーチ!」


(また……)

(普通に考えて、また一発ツモなんてありえません)

(ですが……)

941 = 1 :



「ポン」

透華「なぁっ!?」


透華(なんですの、この副露は!?)

透華(この場面で、しかもあの原村が!?)

透華(いやな、予感がしますわ……)


「ツモ、2600・1300の一本場は2700・1400」


透華(私の上がり牌が……)

透華(これは……今までののどっちじゃない……!)

透華(今やその翼が――)


「……ふぅ」


透華(更に大きく、輝いて……!)


桃子「ふぅ、私もリーチしてたんすけどね」


942 = 1 :




「前半戦が終了しました。清澄は他を引き離して依然トップ、龍門渕がその後を追いかけています」

靖子「他の二校は焼き鳥だな」

「原村選手がインターミドルチャンプの力を見せつけたということでしょうか?」

靖子「あれはもっとヤバそうなものに見えたけどね……それより、鶴賀の副将が気になるな」

「東横桃子選手ですね。これまで変わった打ち方は見られませんが……」

靖子「そう、普通なんだ。これといった特徴のない打ち筋……なのにだれかしら振り込んでいる」

「少なくとも前半戦のうちは、そのようなことも起こらなかったみたいですが」

靖子「最後の局、東横は龍門渕の前にリーチをかけていた……にも関わらず、なんの躊躇もなくリーチしたんだ」


靖子「そう、まるでリーチしたことにすら気づかなかったみたいにな」


943 = 1 :




智美「モモの様子は?」

ゆみ「後半からはいけるそうだ」

智美「わはは、それは頼もしい」

佳織「そういえば、桃子さんってどういう経緯で入部したんでしたっけ?」

智美「それはゆみちんのあっつーい告白でだな」

睦月「こ、告白」

ゆみ「誤解を招く言い方をするな。なかなか捕まらなかったから教室に乗り込んだだけだ」

智美「そしてそこで君が欲しいと」

佳織「わぁ……」

ゆみ「……たしかに大げさな物言いになったことは認めるが……」

睦月「じゃあ、やっぱり告白……」

ゆみ「だから違うっ」


ゆみ「私はただ、欲しいものを欲しいと言っただけだ」


ゆみ(そう、あいつのようにひたむきにな)


智美「わはは、やっぱユミちんは欲張りだな」


944 = 1 :




透華「……」トン


透華(これ以上原村和を調子づかせるわけにはいかない)

透華(しかし、この状態の彼女に打ち負かすのはおそらく困難……)

透華(それでいい、それでいいのですわ! それでこそ燃えるというもの!)


「……」ポー


透華(とりあえずあくまで慎重に、今まで通りに……)トン


桃子「それ、ロンっす」

透華「は?」

桃子「ドラ捨ててくれるとはラッキーっすね。あ、7700っす」


(親が流された……)


945 = 1 :




桃子(乗ってきたっすね)

桃子(このまま稼がせてもらうっす)


「……」ポー


桃子(……今、一瞬こっちを見た?)

桃子(ありえないっす。今の私は完全に透明)

桃子(このまんま行かせてもらうっす!)


桃子「ロン、5200っす」


桃子「ツモ、4000オールっす」


桃子「ロン、5800は6100っす」


桃子(このまま一気に追い抜くっすよ!)

946 = 1 :



桃子「リーチ」

「ロン、3900の二本場は4500です」

桃子「――っ」


桃子(振り込んだ!?)

桃子(そんなはずないっす! 今の私は……)

桃子(でも、このおっぱいさんはさっきから振り込んでない)

桃子(まさか、本当に……?)


桃子「もしかして、見えてるっすか?」

「はい?」

桃子「私のこと、見えてるんすか?」

「……ああ、そういうのもあるんですね」


「でも、見えないわけないじゃないですか。あなたはそこにいるんですから」


桃子「なっ……」


桃子(――って、なんで喜んでるっすか私は!)


透華「……」スゥ


947 = 1 :




「――ん、来るぞ」


「もしかして、透華」

「おいおい、やばいんじゃないの?」

智紀「多分、相手が強すぎた」


「ふふ、とーかの治水がこのようなところで見られるとは」



桃子(なん、すか……これ?)

(急に寒気が……)


「……?」


(他の皆さん、寒そうにしてますね)

(風邪でもひいたんでしょうか?)


透華「さあ、始めましょう」


948 = 1 :




透華「ロン、9600」


透華「ツモ、6100オール」


桃子(なんすかこれ……! 今まで流局続きだったと思ったら!)

(一気に押し寄せてきた……!)


透華「……」トン

「ポン」

透華「……っ」スッ


透華(あ、れ……私は)

透華(なにをやって……)


「ツモ、4200・2200」


透華(上がられた!? いつの間に!)


透華「なにがどうなってますの!?」


「はい?」

桃子「わっ」

「対局中は静かに」


透華「し、失礼しましたわ」


949 = 1 :




「あー、戻っちゃった」

「ぼくはこっちの方がいいかな」

「向こうには別の危うさがあるってかな」

智紀「良かった……」



『副将戦終了!!』


「ありがとうございました」

桃子「お疲れっす」

「……」ペコ


透華「……原村和!」


「はい?」

透華「次に見えるときは、こうはいかなくてよ」

「はぁ……」

透華「それまで決着は預けておきますわ!」


「……一体なんなんでしょうか?」


950 = 1 :




優希「おっかえりだじぇ!」

「上出来よ。よくやってくれたわ」

まこ「ほんに、あそこまでやるとは」

優希「中々エロエロだったじょ」

「え、エロっ……こほん、そういえば先輩と咲さんは?」

「ああ、トイレにいってるからもうすぐ帰ってくるんじゃない?」


京太郎「おいーっす」


「あ、先輩」

京太郎「戻ってたか……見てたぞ。頑張ったな」

「はい……!」


「あの、私もいるんだけど」


「さ、咲さんっ」

「どうせ私なんか目に入らないんだよねー」

「そ、そんなことはっ」

「ふふっ、冗談だよ」

「もう……あまり意地悪しないでください」



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