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    元スレ仗助「艦隊これくしょんンンン~~~~?」

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    901 :

    乙―!
    どんな賭けをするんだろう
    どんどん他のジョジョも絡んできてますます目を離せない

    902 :

    本編終了後ジョニィだったらラストの船のシーン見る限り馬なしでもact4使えてそうなんだよな
    単独で深海棲艦とやりあえそう
    これで更に回転の技術を艦娘に教えてたりしたら…

    903 :

    本当にジョニィならな…

    904 :

    中身はハンサム顔かもしれないってことか

    905 :

    【オリロンパ】ダンガンしようぜ!【安価とコンマ】
    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444107611/

    安価を無視するクソスレ

    907 :

    >>905
    関係ないスレの話題持ってこなくていいから

    908 :

    どのスレにも貼られているスパムに全力反応
    ジョジョ儲はガイジしかいないんだな(笑)

    909 :

    今更ながら乙
    ジョニィが「魂を賭ける」台詞をわざわざ使ってて違和感あるな…本当にジョニィなのか気になる所

    910 :

    加賀岬クルー?

    911 :

    実は髪染めた『ジョナサン・ジョースター』かもしれん

    912 :

    ジョナサンならもっとねーよ!

    913 :

    何故ジョースターの系譜にしようとするのか

    914 :

    金髪碧眼で仗助と違いそぎ落としたような筋肉の外国人となるとやっぱりジョニィだと思うが
    あと一応メイン格の金髪といったらジョルノとディエゴがいるか
    この中で宣言が危険になりそうなスタンド使いっているかぁ?

    915 :

    ラバーソウルとダービー兄のコンビである可能性が微レ存?

    918 :

    0000から……始めよう……

    920 = 1 :


    「魂ィィィ~~~~~~?」


     何とも見過ごせないキーワードだ。

     それがハッタリだとしても――――それに近いものを賭けろ、という言葉。

     やはり金目のものを巻き上げる。そういう意図なのかと……仗助は反射的に左腕の時計を押さえた。


    「それってどーゆー事っすか? やっぱりあんた、カモを見付けて『してやったり』って面なんじゃあ……」

    「別に、そのままの意味だよ。それぐらい本気でやって貰おうってだけで……」


     そこで、時計を一瞥。小さく鼻から吐息を漏らすジョニィ。


    「君から大金を『取り立てよう』……なんて気はない。何度も繰り返すけど」


     「まぁ」と言葉を区切って。


    「別に無理に付き合わなくてもいいさ。自信がないって言うなら……仕方がないからな」


     ジョニィから時間潰しをしよう、と持ちかけてきた割にこの態度――。

     これも盤外戦術のつもりなのか。それとも外国人特有の空気の読めなさなのだろうか。或いは――判らないが。

     「付き合おう」としているところにこの態度だ。流石に温厚な仗助にしても、カチンと来るものがある。


    (そぉ~~~やって、『怒らせてこれを乱せ』っつー算段なのかもしれねーけどよォ~~~~~~~。生憎、孫子なんて時代遅れに引っかかるほどマヌケ頭じゃあねえぜ……!)


     呼気を一つ。

     努めて平静を保った仗助は、そのまま首を傾げてジョニィに問いかける。

    921 = 1 :


    「ところで、『賭け事』っつっても何する気なんスか? 見たところあんた、トランプも花札も持って無さそーだし……都合よく『ナンバー当て』しようにも車は来そうにねーけどよぉ~」


     そもそも外国人に花札が理解できるのかは兎も角――これほど日本語が達者なのだから知っていそうではある――。

     彼がそのどちらも所持している風には、仗助からは到底見えなかった。

     普段の仕事がマジシャンか、それともトランプを武器にする風変わりな存在でもなければ常備される筈もない。

     そんな仗助の懸念を尤もに、軽く顎を下げたジョニィは懐からコインを取り出す。

     金色――まさか本当に純金製ではないだろうが、その独特の金属光沢から“貴重である”とは判る程度。

     片面に刻まれた「C」の文字――こちらが表なのだろうか。


    「これを渡すと妖精は喜ぶ……机を作ってくれたり、どこからか床にカーペットを敷いてくれたり」


     本当は銀色なんだけど、特別製だ――とジョニィ。


    「はぁ」


     光り物が好きだなんて、確かにメルヘンの妖精らしいな……と、頷く仗助。


    「ゲームは簡単だ。コインを弾いて決めよう……『裏か』『表か』……シンプルに判りやすい」


     ジョニィが、指でコインを弾き上げる。

     掴み取って開かれたそこ――――コインは裏を示していた。

    922 = 1 :


    「コイントスねぇ……確かにシンプルかもしれねーが、ちょ~~~~~~っとシンプルすぎやしねーっすか?」


     「ま、別にだからどーのこーの言う訳じゃあないッスけどね~~~~~」と、場外戦じみて蟀谷に指を当てて挑発するふりをしながら――仗助は胸を撫で下ろしていた。

     余計に煩雑なルール、読み合いの行われる競技でなくて助かったというところではあるのだ。

     そんな仗助からの物言いに、されど顔色一つ変えずに再び口を開くジョニィ。


    「だから……」

    「え」


     言いつつ、ジョニィがテーブルに備え付けられた紙ナプキンが詰められたコップを裏返す。

     そこから――小分けに封のされたミルクとガムシロップがテーブルに散乱した。

     そのまま逆向きに蓋で着地するものも居れば、回転の勢いのままテーブルの端を目指すものもいる。

     その数、実に十一。突然の賑わいを見せるテーブル上。


    「……これじゃあ半端だな」


     言いつつ――ジョニィが隣のテーブルのカップを取り、やはり同様にひっくり返す。

     シロップとミルクが丁度、並ぶは――それぞれ十三。

     飛び出た勢いそのままに、シルシルと回転を纏うそれはぶつかりあい……何たる偶然か、仗助の側には全てガムシロップ。ジョニィの側にはミルクと――より分けられた。

    923 = 1 :


    「これがチップ。それで――」


     ジョニィが一つまみ、ミルクを持ち上げナプキンの上に。


    「こうやって……チップを賭けるときは乗せて積み上げる。崩したらそもそも賭けにならない……その時は崩してない側の『総取り』だ」

    「デカく乗せるってのはそれなりにリスクが必要って事かよ……なるほどなぁ~」

    「勿論……相手が乗せてる間、テーブルに触るのは『ナシ』……力技で崩されたら賭けも何もなくなる。当然だけど」


     ルール――①:親がコインをトスする。

     ルール――②:トスしたコインはテーブルに落とし、その上に素早くナプキンをかけて触れなくする。

     ルール――③:参加料チップ一つを払い、『賭ける』『応じる』『降りる』を選択する。

     ルール――④:「表」か「裏」かを宣言できるのは子の方。ナプキンをかけるのが遅くても自己責任。

     ルール――⑤:賭けを上乗せできるのは、常にチップが少ない側。

     ルール――⑥:お互いが応じてそれ以上賭けないときだけ『勝負する』。『降りた』ならそれまで賭けた分の支払いだけでいい。

     ルール――⑦:『賭けられる』のは三回まで。ただし一度に賭ける量に制限はない。

     ルール――⑧:ジョニィの待ち人か仗助の連れが来たらゲームは終わる。それまでのチップが多い人間の勝ち。

     ルール――⑨:チップはナプキンの上に積み上げる。崩したら逆側の総取り。

    924 = 1 :


    「……確かめるかい? コイン」


     言って、ジョニィが弾いて寄越す。

     掴み取ったそれを――何となく太陽に翳してみるが、特段判別は付かない。そもそも、コインの見分け方など知らない。

     何度か指で弾いて飛ばしてみるが……表、裏、表、裏、裏と偏りは見えない。どちらかに重心を止せた、という訳ではなさそうだ。そんなコインがあるのかはともかく。


    「噛んでもいいよ。……舐め回したり汚い事をしなきゃあ、な」

    「それ、バッチイのはどっちの方なんスか~~~~~? この場合……」


     人の手から人の手に渡るものを口に含めるのは、どうなのか。

     テーブルの角にぶつけたり、爪を立ててみたりするが『コイン』からリアクションはない。……何者かがコインに擬態している可能性はなさそうだ。念のため。


    「それじゃあ、宣言して貰おうか」

    「賭けてやるぜ……『魂』でもなんでもよぉ~~~~~」

    「グッド。判断が早くていい。……練習する?」


     その後数回、相手にコインが見られるよりも先にテーブルに落ちたコインにナプキンを被せる――。

     そんな練習を行った仗助は、一先ず頷いた。

     シンプルなルールだが……その分、緊張して手元が狂ったなら相手に有利になりかねない。そんな精神力のゲームだ。

    925 = 1 :


    「それじゃあ……親は……」

    「決めるのはコイントスでどぉーっスか? どうせこれから弾くんだし、練習も込めて」


     首肯するジョニィ。

     彼を前に……コインを持つ仗助は、改めて震える手を見た。

     親がどちらから先になるかで有利不利が揺らぐかは判らないが、これから賭け事が始まるのだという緊張感だ。

     ……いや、武者振るいだろう。彼はそう思う事にした。

     そして仗助の指がコインを弾く。陽光を受け、青空の元の静謐な空気に光を乱反射する金色のメダル。

     テーブルに着地すると同時に――仗助は、淀みなくナプキンをかけた。

     彼自身、ほれぼれするような流れる動き。

     ……一先ず。これなら、多少の緊張程度では手元が狂う心配はなさそうだ。仗助は胸を撫で下ろした。


    「さ、どっちにする。好きに決めて下さいよ……『マシンを選ぶ画面に入る前』みてーに、まだゲームは始まっちゃあいねーんだから」

    「……それなんだが、一ついいか?」

    「?」

    926 = 1 :


    「僕も弾いて……その絵柄が同じか、それとも違うか当てるというのは?」

    「……別に構わねーけど」


     眉を片方上げたが、特に拒むものでもない……仗助は提案を受けた。

     ナプキンを上げようとするそこで――。


    「……ついでに言うとしたら、裏だ。……関係はないが」

    「なら、俺は表っすかね。……関係ねーとしてもッスけど」


     ナプキンを持ち上げたそこで――結果は表。

     関係がないとしても――――思わず仗助は喜色満面。思うままに照りつける太陽よりも爽やかな笑顔を零す。


    「いやあ、幸先がイイっつー奴だよなぁ~! これなら賭けにしといても良かったかもしれねーッスねぇ~!」

    「そうかい? 逆に、運をこんなところで使い果たした……とも言えなくもないけどな」

    「いやあ、これは『来てる波』って奴だぜ。このままストレートに『勝ち』とかも……あり得る、かも」

    「……じゃあ、『同じ面を出す』方に賭けておくよ。予め」


     そして、表――持ち上げられる茶褐色の紙ナプキンの下、主張するCの文字が、ジョニィの親を決めた。

    927 = 1 :


    (さて……どうするかって話なんだが、この状況で考えるっつーことはあるのか……?)


     ジョニィの親――東方仗助は思考する。

     これがゲームである以上、ルールがある以上は……何かしらの『単純な運』ではない『勝ち筋』がある。

     例えばじゃんけんにしても、心理戦の要素を加えられるのだ。

     なら、このゲームに於ける――――そんな要素はどこか。

     コインを弾いた結果そのものに、人の手を加える事は難しい。それこそ、手から離れた物体を操作するスタンドでもない限りは。

     となると――問題はチップを乗せる事。

     ガムシロップも、ミルクも……どちらも安定性があるとは言えない。重さが十分とは。

     ならば、ここぞというタイミングで『大きく上乗せ』し、相手の緊張を利用した崩壊からの総取りを目指す事であったり――。

     或いは、乗せ方を工夫する事で崩れやすくする事だったり――。

     そんな限度を見極める事が、このゲームに於ける『運をものにする』勝ち筋なのかもしれない。


    (となると……積み上げる方の練習もしとくべきだったか?)


     今更、という話になるが――。大事なのはコインを飛ばす事でも、ナプキンをかける事でもなかったという訳だ。

    928 = 1 :


    「さて……」


     ジョニィが、右手を構える。

     親指の上に乗ったコイン。星形に見える奇妙な痣。銃でも抜き放つような手慣れた動作。

     思わず、本当に拳銃を突きつけられたかの如く――仗助は息を飲んだ。

     西部劇から抜け出してきたような、銃を頼りに漆黒の命の遣り取りを風な風情がそこにはあったのだ。

     そして、激発。

     金属を軽快に跳ね飛ばす音と共に、コインが宙を舞う。天高く、舞う。

     無意識に釣られて見たその先――蒼穹を背景にした金のコインが、太陽と合わさる。さながら皆既日食めいた動き。

     そして、外れた。

     巨大な宝石をその身に収めた指輪めいた太陽の輪郭を残して、コインが自由落下を開始。――目が眩む。

     白く染まったその視界で、仗助が辛うじて確認できたのは左手でナプキンを被せるジョニィのみ。

     初めから、落下するコインのそれを見切れるとは思ってはいないが……。


    (このまま、チップを乗せるのもムズかしーぜッ。いきなり、やってきやがったってのか……!)


     果たしてこれは、ジョニィの策略か。

    929 = 1 :


    「どうした? 賭けてもいいよ。……一戦目から悩みたいなら、構わないけど」

    「悩むのは、あんたに勝った後に『何を注文するか』って事ぐれーッスよ……この場合は」


     お互いの、鞘当て。傷にもならない挑発の応酬。

     まずは一つ――互いに『参加料』をナプキンの上に置いた。

     先に置く事になったジョニィは、ミルクの口が下になるように――――つまり仗助がチップを並べる際の『床』を小さくしたのだ。

     仗助は、震える手で応じる……。

     視界はまだぼやけており、テーブルも、ジョニィも、チップも……すべてが輪郭でしか掴めない。

     瞳の中心には、太陽の残響である緑の水滴が残る。

     目を細めて……震える両手。風に遮られる中、蝋燭の燈火を抱える風に――左手を盾に、なんとかチップを積み上げた。


    「この場合、賭けるのは……」

    「君からでいい。僕が『親』だからな」

    「……そーっすか」


     つまり、この視界のままの連続。

     譲歩したつもりで、仗助に対して明確に『仕掛けて』来ている。

    930 = 1 :


    (まずは……乗せる事に馴れるところから。初戦はあまり賭けないでいい……『見』っつーヤツっすかね)


     何度か目を擦るが、余り緑点が収まる気配はない。

     ご丁寧に仗助に話しかけてから賭け事を持ちかけ、ルールを設定する間に日除けのパラソルをさりげなく畳んでいた。

     戦闘巧者だ――。

     値踏みの為か、つまらなそうに仗助を見つめるジョニィのその涼しげな仮面の奥の、これまでの経験を察して口を噤む。

     荒事かはともかく、勝負事には慣れている。かなり柔軟な――相応の経験を積んだ青年。

     仗助は改めて、ジョニィという男をここで理解した。


    「それじゃあチップは一つ……」

    「さっき『波が来た』って言う割には……随分弱気なんだな」


     「別にだからどーだこーだ言うつもりはないが」=ジョニィの煽動。

     しかしそれが却って心を落ち着けた――――震える手で、チップを乗せる。意趣返しとばかりに、蓋を下にした裏向きで。

     ナプキンの上、積み上がった三つのガムシロップとミルクのタワー。

     透明な液体を向こうにしたプラスチックと、白い漣型の円錐形めいて先が細まる円柱。

    931 = 1 :


    「それで……」

    「――賭けるのは『裏』」


     ここまで、おおよそ確率は同じだか……先ほどの遣り取りでは『表』が二連続。

     となれば、次は裏が出る確率の方が高いだろう――それが仗助の判断。


    「それじゃあ、一つか」


     応じて積み上げるジョニィ。並んだ四つの目チップ。

     その事は対してプレッシャーでもないと、平然とした様子で乗ったチップ。やはり、動作に詰まりやつっかえはない。

     そして――互いがそれ以上「上乗せ」しない以上、ナプキンは開かれる。

     公正を表すかの如く、五指を開いて仗助に向けられたジョニィの両手。

     積み上げられたチップを脇にどかすと、勿体ぶった動作でナプキンの縁を摘まみ上げ――そして。


    「なっ」

    「どうやら……やっぱりさっきので『運を使い切った』んじゃあないか……?」


     ――開かれた先にあるのは、『裏』。

     

    932 = 1 :


    「使い切ったァ? どっからどう見ても――」

    「そう、どこからどう見ても……」


     ――――否ッ、そこにあったのは『表』だ!


    「な……今、『裏』だったじゃあねーか!」


     テーブルに手を付き身を乗り出す仗助だが……やはり、どう見ても表でしかない。

     ジョニィは、呆れたようにナプキンの端を摘まんだまま静止する。


    「見間違いじゃあないの? 本気で?」

    「うるせえ――――ッ! そのナプキンから手を退けるんだよォォォォ――――ッ!」


     つまらなそうな息を一つ。

     ジョニィが落としたナプキン。そして、翳されたままの手のひら……隠し持ったコインが落ちる音はしない。

     乱暴に掴み取ったナプキンも、それを放り捨て手に取ったコインにも……どちらにも異常はまるでないのだ。


    「な……」

    「どーゆー訳かは知らないが、見ての通りなんにもない……余計な物言いだな」

    「グ……!」

    933 = 1 :


     拳を握りしめ――爪が食い込むほど――しかし、仗助に出来る事はない。

     まさしくジョニィの言うとおり、ただ『アヤ』を付けた……その程度の事実しか残されないのだ。

     或いは本当に、光の加減で見間違えただけなのかもしれないし……ジョニィが“何か”仕掛けたのかも知れない。

     ただ、二つ――確実な事がある。

     今後、仗助は――――彼は容易く『イカサマだ』と言い出せぬように心理的な封がされてしまった事。

     そして、余計な精神の乱れが手元に現れる……という事だ。


    「とりあえず……チップがこれで二つ増えた訳だ。君風に言うなら、『流れが来た』って事になるのか?」


     笑いもしない真顔で、ジョニィがチップをこそぎ取った。

     掌で作った壁が、不完全な円であるそれを巻き込みながら彼のチッププールに運ぶ。

     その数――十五。

     対する仗助は、チップが十一。……既にリードを許してしまった。それだけでない、心理的な数馬身も。


    「次は君が親の番だ」


     そして、投げ渡されるコイン――――二戦目は。

    934 = 1 :


    「な……ッ」


     仗助が持ち上げたナプキンの横――倒れたチップは六つ。つまり、二つを上乗せした賭け。

     紙の端を摘まんだ彼の手。滲み出た脂汗。

     驚愕に目を見開いた仗助の、その視線の先にあるのは――表向きのコイン!


    「どうやら……本当に流れが来てるみたいだな。レースの追い風みたいに……」


     その割に、涼しげな口調。

     見事更に追加のチップを『三つ』手にしたジョニィは――動揺する仗助を余所に、汗一つ掻かない。

     『そうなる事が決定されている』とでも言いたげなほどに、落ち着いた挙動。冷めた眼差し。

     今度は仗助も確かに見た。

     コインは初めから表であり、そして仗助自身が触ったコインにも奇妙な点は見られなかった。

     だとしても――――だというのに、既に四連続で『表』ッ!


    (こ、こんな偶然っつーのがあるって言うのか……? 確かに烈風や流星改を引く確率よりは『あり得る』だろうけどよぉ~~~~~~~~!?)

    935 = 1 :


     何度も目をしばたたかせつつ、見つめてもコインが変わる事はない。

     そうするその内に、ジョニィがひょいと摘み上げてしまった。同時に回収される、チップとナプキン。

     仗助のチップは八。対するジョニィのチップは、十八――その数は倍を超えた。

     まだ、全てを賭けて勝利すれば逆転の目はある。だが……。


    「次は……ここまで来たら『裏』か? それとも、そう思わせて『裏の裏』で『表』かもな」


     トラッシュトークか。

     至って冷静そのもののジョニィに対して、仗助の心理的な振れ幅はひた隠せぬほど顕著すぎる。

     こんな状態で、八つも……計十六ものチップを積み上げられるのか?

     そう問われては――彼としても、素直に頷けないものがあった。


    (ま、マズイ……! 『たかが賭け事』かもしれねえが……だからこそ余計に、簡単には納まっちゃあくれね~~~~~~ッ)


     それが戦闘なら、否応なく頭が平常を取り戻す――――というのはある。文字通りの命懸けだから。

     だが、たかが賭け事であるから……だからこそ、そんなセーフティというのは働かない。

     ルールがあり、打開策が限られるが故に……脳と言う天秤は揺らいだその均衡を取り戻すのに苦労する。

     負けて失うものが何か。その重さだけには、留まらない。むしろそれとは無関係に働く。

    936 = 1 :


     このままの続行――。

     仗助に取れる、失っても良い最後の限度は『七』。

     それを超えたら、もう一撃での逆転の目が無くなる。

     負けたとしても――――ジョニィの言葉通りなら、痛むのは精々の小金とプライドだけ。それ以上の損害はない。

     だとしても、ここまでコケにされて。それで“おさまり”が付くのか――そんな重さが天秤の片皿に乗る。


    (ろ……露伴の野郎もあの時こんな気分だったっつー事ッスか? 金額とかそーゆー話じゃあなくてよぉ~~~~~~ッ)


     己がかつて行った『イカサマ』の『賭け事』を思い返しつつ――仗助は歯を食い縛り、拳を握った。

     金銭の大小ではなく、『相手に完全にしてやられる』――――その事が、勝負への……勝利への滾りとなるのだと。

     だからこそ。

     だからこそここで、負けに近くなる選択を仗助は出来ない。

     この震える手のまま、逆転を狙って全てのチップを積み上げる事も難しいし……。

     逆転のチャンスを手放す事もまた、耐えがたい。

     故に――――次に仗助が取れる選択肢は、コイントスよりも先に“決定”していた。


    「それじゃあ……僕が『親』か。『次は何が出るか』……五回目の正直の『裏』かも……それとも、五回も続く事はまた続く『表』かもな」

    937 = 1 :


     与えられるプレッシャー。

     思わず唇を噛み締めそうになる仗助のそこ――彼を尻目に、再び、三度目ともなろう。コインが弾かれ、火蓋が落とされた。

     緩やかな放物線。

     一度目のように――――高く、余りにも高くコインは舞わない。ジョニィの頭を過ぎたところで頂点に達し、それから自由落下。

     合わせる風にナプキンを乗せたジョニィの左手が、コインをテーブルに挟み込む=不自然な動きは“なし”。

     ……いや。不自然であろうが、なかろうが、仗助に出来る事は一つしかない。


    「参加料を乗せて……どっちにする? 今度は……」

    「……『降り』」

    「ん……?」

    「今度は『降り』だぜ……。参加料だけで」


     積み上げるまでもないが――しかし儀式だと、ジョニィの置いたそれに被さったチップ=ガムシロップのケース。

     悔しげに拳を震わせる仗助の前、軽く首を傾げたジョニィが持ち上げる其処に示されたのは――


    「……これは『波』か? それとも『流れ』か?」


     ――また再びの、『表』のコイン。横たわった、Cの文字。

    938 = 1 :


    (おかしい……いくらなんでも『異常』すぎる……)


     苦虫を噛み潰したかの如く、顔を歪めた仗助。

     テーブルの下で作られた握り拳が力強く己から湧き出た汗を掴むそこ、しかし彼にはそれほどまでの強さの確信は得られない。


    (……なんだか判らねーが、こいつは仕掛けてやがるぜッ! 『イカサマ』って奴を……!)


     そう。

     なんだか判らない。

     きっとおそらく、相手は仗助に何かを仕掛けて居よう。或いはコインに仕組みがあるのかもしれないし、ナプキンがそうなのかも知れない。

     だが全て――決定打ではない。決断には至らない。決心は出来ない。

     ただの偶然と吐き捨てられたら、それでお終いの事態ばかり。


    (最初にコインを弾いたあの時に……俺の視線は上に行った…………やるとしたらそこか?)


     あれは目晦ましではなく――何かしらの仕掛けを実行する為の、視線誘導。

     そして、そんな短時間で仕掛けを行えるものなど……仗助が知る限りでは、ただ一つ。

     つまりは――


    (こいつは……新手のスタンド使いなんスか……!)

    939 = 1 :


     だとしたら――――だとしても――能力は“何”で、その目的は“何”だ?

     かつてないまでに眉間に皺を寄せる仗助に対し、その言葉はぽつりと呟かれた。


    「ところで……時間が判るなら教えて欲しいんだが」

    「あン?」

    「君の連れってのはいつ来るんだ? ……いや、だから別にどーだって話じゃあないけどな」

    「……ッ」


     辺りに目をやるジョニィに、仗助は勢いよく背後を振り返る――視線の先は大きなガラス窓を嵌め込んだ先の店内。

     日光の反射故に、その内情を知る事は出来ないが――。

     そう。それにしても、遅すぎる。

     何かをただ注文に向かったというそんな行為だけで――ここまで時間がかかるというのは、不自然極まりない。


    「おめー……!」


     睨み付ける仗助と――涼しい顔のジョニィ。

     仗助の頬を伝う冷や汗が増え、余計に手のひらに滲む脂汗。

    940 = 1 :


    (野郎……まさか、仕掛けて来てやがるっつーのか? 『初めから』……ッ)


     握る拳に力が満ちて、思わず唇が強張る。

     この世界の住人である――仗助はそう考えていたが、どうやら、空条承太郎や東方仗助自身のようにスタンド使いであり――。

     そして仗助らに害意を以って攻撃を仕掛けてきている。その可能性が高い。

     何を目的に艦娘を巻き込んだのかは知らないが――しかしこちらの住人ならば、余計にその理由はない。深海棲艦への唯一の切り札へ、敵意を抱く必要がない。

     ここに来て――俄かに意味を持ち始める、あの宣言。


    「それで……どうするんだ? 僕としては、ここで終わりでも構わないけど……まったく一向に」


     呟くジョニィの手元――並んだ十九個のチップ=十三個のミルク/六つのガムシロップ。

     ジョニィの言葉に従うなら。そして彼がスタンド使いであるなら――意味を持つかもしれない、あの宣言。それを表す差。


    「ふ、ふふふ、ふふふふ……」


     圧倒的なチップ差を前に――しかし仗助が零したのは、笑み。


    「“ここで”……じゃあなくて、“ここから”の間違いだぜ」

    「……?」

    「初めから宣言しといてやるぜ。次は『オールベット』……加賀さんのお盆に乗ったおかずよりも散々なぐらいに、むしり取ってやるからよォ~~~~~!」

    「グッド……気に入った。かなり気に入ったよ、ヒガシカタ・ジョースケ」

    「そーっすかぁ? なら気兼ねなく……気持ちよく賭けさせて貰うぜ! 『おめーが吠え面掻く』って方に、チップ全てをよぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~ッ!」

    941 = 1 :







    ←To be continued...


    942 = 1 :

    ここまで

    944 :

    艦これ抜きで話が成立してて笑うわ

    945 :

    乙!面白くなってきた

    946 :

    ジョジョ4部、アニメ化ですって!とっても楽しみ、ですって!

    947 :

    マジで?!
    マジだ!!!

    948 :

    四部アニメ化来たな!
    ジョジョと艦これ盛り上がってくれるとうれしい

    950 :

    4部アニメ化とかwktk止まらねーぞッ!


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