元スレ仗助「艦隊これくしょんンンン~~~~?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
51 :
これだけじゃ流石にネタ潰ししようにも出来んよ
52 :
台詞回しが実に仗助らしい!
ディ・モールト!!
53 :
スタンドとは――。
一つ――スタンドとは生命力あるヴィジョン。
一つ――スタンドは一人一体、特殊能力を持つ。
一つ――スタンドを感じる事が出来るのはスタンド使いだけ。
一つ――スタンドが傷付くと本体も傷付く。
一つ――スタンドはスタンド使い本人の精神の現れである。
54 = 1 :
執務室、二人。
巨躯を装飾過多な学ランに収めた、特徴的なリーゼントの少年と。
丁度彼の胸ほどに位置する頭の左側で髪を括った、弓道着めいた和装の女性。
それぞれを、スタンド使い東方仗助――――航空母艦娘・加賀と言った。
「――という事です。判った?」
「加賀さんは、航路を荒らす『深海棲艦』って化け物と戦う艦娘」
「はい」
「このままだと資源が干上がって日本はマジにやべー」
「残念ながら」
「で、そんな艦娘の指揮を行うのが提督――この場合は俺――で」
「そうなります」
「俺が命じるのは、『建造』『開発』『出撃』『遠征』『演習』の5つって事っすね」
「ええ」
軽く顎を動かし、首肯する加賀。
右手に包帯を巻いた仗助と対照的に無傷な彼女は、極めて沈着冷静然としている。
55 = 1 :
そんな彼女に目をやる仗助は、心の中で溜め息を漏らした。
(とりあえず、俺はどーにも艦これっつーゲームの中にいるみてーなのと……これが夢の中じゃあねーって事)
砲弾を逸らした反動を受け罅割れた右手には、痛みがある。
ひょっとすると痛みがある夢なのかも知れないが――なら現実と変わらない。
その夢の中で死ぬという事は、現実で死に等しいダメージを負うのと同じである。
(不味いのは……これがどんなスタンドでどんな本体なのか、何を考えてるのか全く判らねー事――)
そこでちらりと、加賀を一瞥。
(――『よりも』、この人との沈黙は恐ろしいって事だぜ)
むっつりと黙り混む加賀。何を考えているのか判らぬ、氷めいた美貌。実際怖い。
何度も言うが、空条承太郎と近しいものを感じる。
だが、空条承太郎とは共通の話題があるが――加賀は別だ。
56 = 1 :
(この沈黙がマジにこえーんだよなぁ~~~……)
不機嫌なのか、それともそれが平常なのか。
怒っているのか、疑っているのか、憂いているのかが読めない表情。
これで帽子でも被って目許を覆っていたら――もう完全に判らない。
(スタンドはともかく……一体どう説明すりゃあいいんだっつーんだよォ)
――『貴女はゲームの中の登場人物で』。
――『私は違う世界から来ました』。
――『元に戻る方法を探しています』。
そんな事実、告げろと言う方が無体だ。信じられぬ、戯言を言う人間と思われるだろう。
だが、仗助の懸念はそこではない。
(ショックに決まってるぜ……誰かが作ったゲームの登場人物、なんて言われたら)
そう、仗助は加賀を気遣っていたのだ。
57 = 1 :
もしも貴方が『君は物語の一員だ』と言われたら許せるだろうか?
信じられぬ、というのは置いておこう。
そこで信じるに足る理由や証拠を用意されてしまったら――。
貴方が行ったこれまでの苦労や努力、或いは不幸や迷惑……ともすれば貴方の思考や性格すら誰かの筋書きなのだ。
そんな事を言われて、衝撃を受けない人間はいない。ひょっとすれば、侮辱とも思えるだろう。
そう。
例え加賀に正直に話してしまえば、何かしら己の状況を打破する手懸かりが見付かる可能性があるとしても――
(良く判らねえ人だが……何となくこの人の『本気』や『覚悟』に、泥を塗りたくねーぜ)
――己自身の為にそれを行えないのが、東方仗助という男であった。
彼がそんな風に内心苦悶を浮かべるのを、見つめ続ける加賀。
そんな一方の、彼女の懸念は……。
(出撃すると……お腹が空くわね)
――誇りや覚悟の事ではなく、食事ッ!
腹が減っては戦は出来ぬというのは本気。
兵站がない事が何を意味するかなどは、軍務に関わるものなら誰でも知っているのだ!
58 = 1 :
(でもよォ~~~~、絶対さっきのあれは不審がられてるよなぁ~~~~)
(今日のお昼は何かしら。気分としてはカレー……いや、蕎麦ね)
(深海棲艦のアレは『火薬庫の誤作動』だと思われても……自分の身体の事なら一番良く解るだろうし)
(蕎麦……鯖もアリです。納豆もいい。私自身のお腹の事だけど、食べたいものは判らないわね)
(そーなったら【クレイジー・ダイヤモンド】の説明も必要だろうが……間違いなくモノホンの提督はきっとそんなモン持っちゃあいねーよな)
(いえ……気持ちの説明は不要ね。食べたいものを食べる。私はそれでいい)
(そーなると、俺の素性も明かさねーとならねーだろうし……どうするっスかねー)
(ソーメンと、酢醤油の餃子は外さないとならない……食べ合わせになる)
(グレートな問題だぜ……こいつァ)
(クレープも問題ない……これはいい)
神妙そうな澄まし顔の加賀と、両手で顔を挟み込んで百面相の仗助。
互いに互いが見えていない。
59 = 1 :
一先ず仗助は――彼なりに結論を出した。これがゲームならば、その筋道に従うのがいいだろうと。
「とりあえず加賀さん、これから何をどーしたらいいんスか?」
「食事」
「え?」
「いえ……出撃が終わったら補給を欠かさずに。ルールです」
「はあ」
「このルールは絶対……いいですね?」
「あ、はい」
「それから、開発でもしましょう」
(……普通そうな顔して、空母ってのはスゲー食欲だな)
資源の各種補給を済ませて。
そのついでに食事を終わらせた加賀を思い返して、仗助は冷や汗を流す。
もしもあれが彼のポケットマネーから支払われていたら――どうしようもない。
なお、覗き込んだ食堂には誰もいなかった。それなのに食事が置いてあるのは不思議だ。
60 = 1 :
「……私の顔に、何か?」
「いや…………開発って、装備とかを作る奴なんすよね?」
「ええ。主砲や艦載機……偵察機や攻撃機など」
「で、作るのに失敗したりもする」
「そう」
「んで……誰が作るっつーんすか? 見たところ人はいないし……加賀さんが?」
「妖精です」
「……は?」
「……妖精よ。何か?」
仗助の問い返しに、加賀の眉間の皺が若干深くなった。
加賀のようなクールビューティーが、真顔で妖精を口にしたのには面喰らったが――。
深海棲艦や艦娘がいるのだ。
妖精という、特殊な存在が居ても不思議がない。
「資源を置いて、後は任せます。何が出来るかは妖精次第」
「マジっすか? 中々運の要素が高いっつーか、実は俺あんまりギャンブルって得意じゃないんだよなァ~~~」
今まであまりいい思い出はない、と――暫く恨まれ続ける事になった事があると仗助は顔に手をやった。
61 = 1 :
だが、どこ吹く風の加賀は、
「なら……初心者なら艦載機を勧めます」
「そーなんすか?」
「ええ。在って困る事はない。艦載機が強力なほど、一度に敵を焼き払える」
「へー。じゃあ、加賀さん一人でもなんとかなるっつーんすかね……さっきみたいな状況でも」
「……装備を言い訳にはしないけど。強いものの方が良いのは事実です」
「ふーん」
念押しするように、仗助は改めて加賀を眺める。
「初心者は艦載機?」
「ええ」
「あると強い?」
「勿論」
「絶対に艦載機がお奨め?」
「そうなります」
「なら……艦載機レシピってのを回して見るか」
「はい」
「……ただ加賀さんが艦載機欲しい、って訳じゃあねーっすよね?」
「……まさか」
62 = 1 :
(ここが工廠か……工場みてーなとこに行った事がねーから、ここが本物っぽいのかそーじゃねーのかは良く判らねーっスけど)
クレーンや鋼鉄の梁。
海水を引き込むプールめいた設備や、バーナーなどが安置された倉庫……のような場所。
物珍しげに見回す仗助を、
「提督……こっちです」
無愛想な加賀が引率する。
和風の着物姿の女性と、学生服の不良然とした長身の少年が並び歩くには奇妙過ぎる背景であろう。
(さて……開発か……)
する事は他にもあるのだろうが――。
この世にはルールがある。
太陽が東から昇って西に沈むように、物体同士には引き付け合う力が存在するように……。
同じようにこの不可解な状況にもルールがあるとするならば――。
『ゲーム』という最もルールが明確な存在に乗っ取っている以上は、そのルールに従うのが何よりもの近道であった。
(ただし……開発しに来たのはいいけどよぉ、しょ~~~~~じき自信ないぜ)
頬を掻く仗助。
開発の説明を加賀から受けた――。
即ち妖精任せであり、“どんな系統の装備を作ろうか”資源の量を決める事が出来ても、何を作るかまでは決められないという事まで。
(賭け事にはいい思い出がねーんだよなぁ……こないだ億泰の野郎とやったポーカーでも大負けしたしよぉ~~~~)
63 = 1 :
特に邪念――俗に言う物欲センサーのような物が絡むかも知れない。そうなると碌な事がない。
事実、それで今まで仗助は知人の漫画家の家を全焼させてしまっている。事故だが。
……と、何か動き回る影。
梁の影や柱の裏。工具や機材の隙間に――何かいるッ!
「虫……じゃあねーっすよね?」
「言葉には気を付けて。機嫌を損なわせてもいい事はないわ」
「って言うと……こいつらが……」
「……ええ。尤も、機嫌を損なわせたから何かが起きるとは限らないけど」
ただ、願掛けのような物だろう。勝利の女神と同じだ。
最善を尽くして駄目ならばそーゆーものだと思えるし、だからこそ祈れるかもしれない。
しかし、万が一そこで“妖精の機嫌を損なわせてしまっていた”としたら……。
そこには『後悔』が生まれるだろう。そういう事だ。
「はー」
とりあえず仗助は、(特に逆らう理由もないし)頷いた。
ちらりと覗いた影は、二頭身ほどのデフォルメされたファンシーキャラクターめいた人間。
それが、工事用のヘルメットのようなものを被って動き回っている。
なるほど、妖精という呼び方も頷ける。
(重ちーの【ハーヴェスト】みてーっスね。『ひこにゃん』と『せんとくん』ぐらい可愛さに差はあるとしても)
64 = 1 :
いざ始めようか。
意気込んで見たもののの、内心のプレッシャーに手が落ち着かない仗助。
そんな彼へと、加賀が出し抜けに言った。全くの不意討ち気味に。
「提督……さっきはああ言ったけど、初心者は開発に失敗しても何もおかしくはないわ」
「え?」
「だから、提督が失敗しても残念がらないで。別に提督が未熟だからという訳ではないです。仕方ないわ」
焚き付けてみたはいいものの、という奴なのだろう。
なるほど仗助の事を気遣っている風であり、事実でもある事は間違いない。
だけれども、と仗助は思う。
「……その言い方、なんか引っかかるっスよねぇ~~~~。まるで俺が初めから失敗するみてーじゃないっすか。やってもないのに」
「そう、なら期待しているわ」
ちょっと一言言ってみようとしただけだったが……。
(げ~~~~~~~ッ)
余計に己を追い詰める事になってしまったらしい。
両頬に手を当てるが、もう遅い。
やるならやるで構わない、というスタンスなのだろう。加賀は。
65 = 1 :
(頼むぜ……これで失敗とか赤っ恥はよォ~~~~~~~~~)
加賀に言われた通りに――資源を並べる。
何を並べるかは、彼の自由だ。大まかにこうしたらどういう風になる……という目安は聞いたが。
そして、三つルールを告げられた。
一つ――『妖精を脅して作るものを決めさせてはならない』。
一つ――『妖精が装備を作っているところを細かく覗いてはならない』。
一つ――『どれかの資材を全くゼロにしてはならない』。
これが“ルール”。
そう言われたら、従うしかない。
(なんだかグレムリンって映画を思い出すぜ……あれのモグワイもルールが多い妖精みてーなモンだったよなぁ)
ぽりぽりと鼻の頭を掻いて、天井を見上げる。
今は加賀と二人、資材を置いて妖精達に背を向けている。完了待ちだ。
加賀の視線は相変わらずで、詰まらなそうでもなければ面白そうでもない。
ただ、“ある”ものを“ある”として見ている――そんな目。
66 = 1 :
「あのー、加賀さん?」
その間に雑談でもするか、と加賀の方に身を乗り出してみれば、
「……終わりました」
「え、もうっスか? 回収になったカップ焼きそばよりもはえーぜ」
言いつつ――釣られて背後を振り替える。
そこに置いてあったのは、『紫電改』と下手くそな手書きのメモが残されたプロペラ機。
心なしか……だが。
心なしか機体が輝いている風でもあるし、“特別だ”と言わんばかりにメモ帳には花の落書きが添えられている。
「どぉ~~~~っスか? これ自分で言うのもどーかと思うんスけど、中々の出来映えっすよ」
「ええ……手持ちの艦載機よりも上です」
「ひょっとしたらオレって才能あるんじゃないっスかねぇ~~~~? いや、一度だけど幸先ズイブンいい感じだしよォ――――」
「そうね」
静かに加賀が首肯。
とりあえずここまでで仗助に判っている限り、加賀は正直者。
彼女がそう言うという事は、そのままその通りなのだと拳を握り締めようとし――
「では提督、次も期待しています」
「へ」
追撃を叩き込まれた。
(次ィィィ~~~~~~~~~!?)
67 = 1 :
「……」
「……仕方ないわ」
「……そ、そ~~~っスよね。流石に二回連続は期待しすぎっつーか」
「……ええ、残念ですが」
「そーっスよ。残念だけど仕方ないっスよ」
「そうね。提督が素人という事を差し引いて……一回でも成功しただけ上出来と言えます」
――ぴくり。
仗助の、眉が動く。
「…………。まぁ、次があったらって感じっスけどね……まだ一勝一敗な訳だし……」
「なら」
「へ」
「もう一度どうぞ」
――建造枠が広いではないか、行け。
有無を言わさぬ加賀の口調。
おどけるように仗助が笑おうとも、何百年も前にスデに彫り上げられてしまったヴィーナス像のように揺らがない。
鉄の女、とはこの人の為にある言葉なのか――なんて余計な事を考えつつも仗助は、
(お、おいおい……マジに言ってるんスか~~~~~~!?)
ヤバイ冷や汗がOUTしていた。
68 = 1 :
その後……。
「……」
「失敗ね」
資源のお供えを繰り返し、背を向けてはまたすぐに振り替える二名。
「……」
「失敗です」
何処と無くシュールな光景だが、当の本人――東方仗助には全く笑えない状況だ。
「……」
「……失敗」
振り替える度に資材が消えて、代わりに良く判らないぬいぐるみのようなものが安置されているのだから。
どうして鉄や弾薬からぬいぐるみが生まれるのかは全くの不明だ。
よっぽどぬいぐるみが好きすぎたスタンド使いが死んで、その能力が暴走しているというのか。
「……」
「……」
たまにぬいぐるみ以外の形のものが出来れば、
「おっと、こいつぁ――」
「既に持っている装備と同じです」
「……」
「……」
しかしそれも成功とは言い難い。
終わりがないのが終わり。それが開発レクイエム!――なんて声が仗助の脳内で反響した。
クレーンゲームで調子に乗った常連客よりも、二人の両脇にはぬいぐるみが積み重なる。
69 = 1 :
(いくら何でも、こんなに失敗すんのかよ! 駄菓子屋の紐付き飴でももーちょっと当たりが出るぜッ)
再び、資源を乗せようとする仗助だが……そこで“待った”。
正直最初はその気でもなかったし、彼としてはもっと早くそれが起こって欲しかったが……。
遣り始めて熱中してしまっている間に忘れていたのだ。そもそも己が乗り気でなかった事を。
「提督、これ以上は……資源の無駄です」
「う……」
言い方もキツいが、それよりもまして……。
何も考えずにスロットをブン回し続ける駄目人間というレッテルを貼られたような対応の方が、辛いのだ。この場合。
ただし、と加賀は付け加えた。
「妖精の開発が成功するかしないかは提督のレベルによります」
「……は?」
「理屈は判らないけど……提督として戦果が多いほど……実力があるほど成功する」
「……」
「繰り返しますが……あの一度で上出来です」
70 = 1 :
(……ふふふ、ふふふ)
取り出した櫛で、髪をセット。
不適な笑みを浮かべる仗助にあるのは怒りでもなければ、哀しみでもない。
加賀が事実を隠していた事に憤っている? ――否ッ!
これまで成功しない自分自身を蔑んでいる? ――否ッ!
積み重なったぬいぐるみの置き場所に困っている? ――否ッ!
仗助にあるのは今、たった一つのシンプルな事。
(『提督の実力があるなら開発に成功する』っつー事は……相手を見てちゃんとやるか決めてるっつー風にも思われても仕方ねーぜ)
事実がどうあるとしても――だ。
そしてそうなら一つ、仗助の内での呵責が無くなる。
暗い笑いを零しつつ、ぬいぐるみの山に近付く仗助。
(『イカサマ』するみてーで気が進まねーけどよォ――――……『油の一滴は血の一滴』って言うし)
その内の一つに手を伸ばす。
――重なった、雄々しい【クレイジー・ダイヤモンド】のヴィジョン。
(本当にこのぬいぐるみに資源が使われてるか確かめるッ! 【クレイジー・ダイヤモンド】!)
そして思いっきり、ぬいぐるみの山を殴り付けたッ!
71 :
これで成功したらリサイクルでウハウハ
72 = 1 :
宙を舞うぬいぐるみが、拳の衝撃にひび割れるよりも早く――。
まるで逆再生のように。
使用された燃料のドラム缶が、弾薬の包装が、鋼材のインゴットが、ボーキサイトの塊が!
千切り落ちながら膨れ上がり、空中に現れた。
「【クレイジー・ダイヤモンド】……材料の時点まで『直した』」
落下するそれらがぬいぐるみの山をクッションにするのを眺めつつ、仗助は肩息を吐く。
「失敗したのはやれやれっスけど、まぁ……不正はされてないって判っただけで良しとするぜ」
疑って悪かった、と振り返ろうとして――。
加賀。
無言の加賀が、仗助を眺める。
いや、眺めるというよりは睨み付けるというか――――なんというか。
「い、いやあ……加賀さん?」
「……」
「殴ったら元に戻るとか……テレビみてーっすよね。ははは。ははは……」
とりあえず、言い逃れができないのは確定である。
73 :
自分には治癒が効かないけど、それ以外の対象物ならチート能力だもんな。クレイジーダイヤモンド
74 = 71 :
どっかの考察で時間の巻き戻しが本質って話しもあるくらいだし
75 :
…直す能力じゃなかったらいまいち優しくないだろ!
76 = 1 :
(やっべぇ~~~~~~、つい熱くなりすぎちまった――――)
今さら、どう答えようと全てが遅い。
これだから賭け事ってのは嫌なんだとか、なんだかさっきから俺マヌケみてーじゃねーっすか?と漏らしそうになる仗助と。
仗助に目をやって、今度は生まれた資材に目線を向ける加賀。
処刑台に乗せられた気分だ。
次に何が出てくるかは判らないが――とりあえず碌な事ではないだろう、と肩に力を籠めた仗助に、
「……やっぱり、あれは偶然ではなかったのね」
「う……」
「確かめる為と言っても、騙してすみませんでした」
頭も下げずに、至って平素な表情のまま、加賀は瞳を落とした。
床に向いた視線と、無言。
どうしたものかと窺おうとする仗助へと紡がれる二の句。
「提督が、何故隠そうとしているのか判りませんが」
「……」
「いえ……、その…………どんな力を持っていても、貴方は私の提督です」
それを伝えたかったと、加賀は口を結ぶ。
そこで漸く、仗助の中で合点が行った。
なるほど――――つまりは。
加賀は仗助が、“人とは違う異能を持ち”“他人に打ち明けても理解が得られず”“それが故に自らを偽っている”――。
そんな風に感じたのだろう。
であるからこそ、こうも回りくどい方法で仗助を刺激して能力の使用するよう仕向けた。
それも全て、『言い逃れが出来ない状況で能力を使わせ』『使った上で「仗助を差別した目で見ない」と伝える為』に。
77 = 1 :
とりあえず、未だに仗助には判らない事が多い。
この世界についても。
自分が置かれた状況についても。
提督のすべき事についても。
ただ――
「その……直す力。そのおかげで、助かりました」
「……」
「貴方が居なければ死んでいたわ。きっと……多分……」
「……」
「そんな力があったとしても……『自分の身も顧みずに』『私を庇って深海棲艦と戦った』……」
「……」
「危ないので今後は控えて貰いたいものだけど……、いえ、そうじゃなくて……」
この、加賀という艦娘は存外に不器用であり、
「……ありがとうございます。提督、貴方は優しい人ね。それを伝えたかった」
それ以上に――優しい艦娘である。その事は確かだった。
78 = 1 :
「いや……」
仗助は幸いにして、他人とは解り合えないとは思っていなかった。
だが、世の中には――世の中のスタンド使いには。
己にしか見えず、他の誰にも気付かれない、普通では出来ない事ができる精神の半身を抱えて。
ひょっとしてその事で他人との交友を、理解を、交流を諦めている人間もいるかも知れない。
そんな人間の為に手を伸ばそうとした加賀の方こそ、
「加賀さん、あんたの方がよっぽど優しいっスよ」
そうであると、仗助は認めざるを得なかった。
……。
ここで終わったの、ならば。
79 = 1 :
「それでは提督」
「なんスか? 折角だし親睦会とか――」
「いえ、その力……有効に使います」
「え?」
「『失敗したら直す』『成功しても目当ての艦載機以外は直す』……両方やるのが貴方の仕事」
「ちょ、加賀さん……?」
「覚悟はいい? 私は出来ています。作られた最新鋭の艦上機を使いこなして見せる覚悟が」
「はァァァ~~~~~~~~~~~~!?」
東方仗助『クレイジー・ダイヤモンド』――→『この後「烈風」「彗星一二甲」を引くまで直し続ける』
加賀『加賀型正規空母一番艦』――→『最新鋭の艦上機に早く慣れようと訓練する』『内心ウキウキ』
妖精さん『工廠の妖精さん』――→『成功しても失敗しても直され続けるのでそのうち考える事をやめる』
80 :
被害者は妖精さんやったか
81 = 71 :
妖精さん「終わりの無いのが終わり…それがクレイジー・ダイヤモンド・レクイエム(同じ所をローテする潜水艦のような目)」
82 = 73 :
能力は便利だけど、誰もがそれで幸せになれるわけではないんだな…(遠い目)
83 = 1 :
「あ、提督さん……ここに居たんだ」
「……」
「執務もあるし何やってるのよ! 勝手に居なくなられたら秘書艦の私が困るんだから!」
「……」
「ねえ、ちょっと聞いてる!? ちょっと! ねえ!」
「……」
「いっつもそーやって黙ってて、ちゃんと会話をしようよ!」
「……」
「そーゆー態度ばっかりとってる人知ってるけど、そいつは碌でもない奴で……顔を合わせる度に嫌味を言うし人の事を見下して――」
「やかましい! うっとおしいぞ、このアマッ!」
「――――っ、な、何よ! そんなに凄んで黙らせようとするなんて……爆撃されたいの!?」
「……」
「や、やるなら負けないわよ! あんたみたいなタイプにはうんざりなの!」
「……やれやれだぜ」
←To be continued...
84 = 1 :
ここまで。基本ギャグ
これを免罪符にされても困るが……ある程度の展開予想もまぁ大丈夫です
予想された展開を超えるか、予想できなくすればいい。ジョジョってのはそーゆーもんですから
85 = 73 :
乙
地の文が大川透のナレーションで自然と脳内再生されるの不思議…
そして嘘だろJ太郎!?
86 :
>>84
気に入ったッ!!
これから先の『予想』レスは読者の予想じゃない…
読者が>>1に『予想させられた』レスだッ!!
87 :
乙
加賀さんかわいい
88 :
乙
展開次第では瑞鶴以外に瑞鳳もいて承太郎がたまごやきたべりゅううう言う展開もあるかもしれないのか
89 :
承りに鳳翔さん来てたらドストライクだった可能性
90 :
おつです
加賀さん最高や…うけたまわり太郎さんにも期待w
91 :
クレDあればバケツどころかドックもいらないんだよな
92 :
承太郎は密かに鎮守府近海のヒトデ研究してそう
93 :
とりあえず生きて帰ってくれれば完全に治るってやっぱチートだよな
95 :
東方仗助のスタンド、【クレイジー・ダイヤモンド】。
彼が学生服に身に付ける象徴的なハートの意匠の如く、各部位にハートを思わせる造型を見せる屈強な人型のヴィジョン。
近未来のSFの鎧めいたその身体から繰り出される拳は岩やコンクリートを容易く破壊するが、反面遠くへは行けない。
それが触れる物体なら、ありとあらゆる物体を『なおす』。
傷を治し、新品に直し、材料に直し――――壊したもの二つを混ぜて、組み立て『なおす』事もできる。
ただし病気は治せず、また、死んでしまったものや自分自身の怪我も治せない。そんな能力。
破壊力―A(超スゴイ) スピード―A(超スゴイ) 射程距離―D(ニガテ)
持続力―B(スゴイ) 精密動作性―B(スゴイ) 成長性―C(人間並み)
96 = 1 :
「……で、今度は建造をやってみよーと思うんスけど」
「ドラゴンズドリーム」
「え?」
「なんでもないわ」
「……まあ、とにかく建造っつーのをやってみようとは思うんスよね~」
「いい考えね。流石に私一人では、出来る事と出来ない事があります」
例えば遠征――。
これは大本営から送られてくる司令書に基づいて、必要だと思われる民間船の護衛を行い……その見返りに資源を貰うものなのだが。
空母に出来るものも多くはないし、何より護衛というのは一人では足りない。
行っている最中に鎮守府が襲撃されてしまってはどうにもならないというのがあるのだ。
「一応聞いておきたいんスけど、どんな艦娘が必要だとか……そーゆーのってあるんスか?」
「そうね……。私たちでは潜水艦の相手が出来ない。駆逐艦か軽巡洋艦は必要です」
「潜水艦……」
「直接戦えば大した事がないと言っても、隠れるのと奇襲には長けている……補給線もズタズタにされるし、鎮守府への帰り道にも狙われる危険がある」
「なるほど……ある意味戦艦よりも恐ろしーんスね」
97 = 1 :
よし解った、と椅子から立ち上がる仗助。
あれから、時刻は既に夜になっていた。海上戦闘や提督業などのレクチャーを加賀からみっちりと仕込まれていたのだ。
言葉少なげに解説する加賀から教わるのには苦労したが――一応一通りの理解が出来る程度に、仗助の地頭も良いものだったと言っておこう。
「ところで加賀さん、一応言っときてーんだけどよォ……」
「何かしら?」
「目当ての艦娘が出ないから、【クレイジー・ダイヤモンド】で作り直しとか――」
「――やりません」
ぴしゃり、と断じて。
加賀の目が細まる。普段よりも二割増し程度に。
いつもの、どこかぼうっとした半眼ではない。明確に――しかもそれなりに怒っている。付き合いの短い仗助にも、十二分に理解可能。
表情に出辛いと言っても、そこはやはり目は口ほどに何とやらと言う奴だ。流石の仗助もこれには泡食った。
98 = 1 :
(ちょ、ちょっとしたジョーダンじゃあねーッスか……)
先ほどまでのあの妖精への無理難題というか、ブラックな態度というか、そういえば戦隊ものなら加賀はブラックっぽいなというか――。
そんなものはさておき、一応言っておこうと思っただけだったが。
これはどうにも失言だったらしい。仗助は、己の顔を押さえて視線を落とした。
艦娘になる前からの――いわば戦友を、悪戯にも解体するなどというのは侮辱が過ぎるだろう。改めて考えると後悔ばかり浮かぶ。
軽口が過ぎる、という奴だ。
そんな風にすごすごと肩を落として部屋を出る仗助には、
(そう、そんな事をする風に思われているの……。提督には私がそういう風に見えている……)
己の頬の辺りを指で撫でる加賀の表情は見えない。
実際のところ――加賀が眉を寄せているのは怒りではないとは、気付けないのであった。
99 = 1 :
【ヤバイ片割れがIN!】
100 = 1 :
建造、というのもまたある一定の資材を用意して妖精に任せる。
どんな艦娘ができるかは妖精次第、というものである。
ある程度何が出るか方向付ける事は出来ても、完全に何が生まれるかは誰にも判らない。
例えるなら、料理のレシピだ。
卵とバターを使って作れるものは――当然卵とバターを利用した料理。
だとしてもケーキやクッキーであったり、マヨネーズであったり、ムニエルであったりする。
つまりは建造というのも、同じである。
(……どー見ても人間の材料はねーから。まさか、加賀さんたちはロボットなんじゃあ)
資源を積み上げながらチラリと背後を振り返る仗助。
考えてみれば、どことなく映画に出てきた未来からの殺人機械のように加賀は揺らがない。
だが、こんな想像は失礼じゃないか?――反面仗助はそうも考えた。デリケートな問題だ。
加賀が人間かどうか、まさか人形よろしくスカートをずり下ろして彼処が本物と同じと確かめる訳には行かない。そもそも人形相手にも仗助はやるまい。
つまりは――『謎』である。
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