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元スレ八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」
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八幡(依頼内容の変更に伴い、俺達は改めてこれからのスタンスや方針について話し合った)
八幡(まあ積極的に広めたりはしないが聞かれれば否定はしない、くらいにしておこうとなった)
八幡(もっともぼっちとぼっちがくっついたからといって騒ぎ立てるようなやつもいないだろうが、いろんなことを想定しておいたほうがいいだろう。別に対策が無駄になったらそれはそれでいいわけだし)
八幡(五限終了のチャイムが鳴り、途中で花を摘みに行くらしい川崎と別れて一人教室に向かう)
八幡「が、廊下で厄介なやつに見つかり、うんざりしてしまった」
結衣「口に出てるし! 厄介って何だし!」
八幡「どうどう、落ち着け由比ヶ浜。可愛い顔が台無しだぞ」
結衣「かわっ……あうう」
八幡「落ち着いたか? 良かったな、じゃあ俺は教室戻るからまた放課後に部室で」
結衣「あ、うん、また……ってちょっと待って! そんなんで誤魔化されるわけないじゃん!」
八幡「九割がた誤魔化されてたじゃねえか……何か用か?」
結衣「その……昼休みと五時間目どこ行ってたの?」
八幡「昨日も言っただろ、川崎とメシ食ってたんだよ」
結衣「でもいつもの場所にもいなかったし……ヒッキーもサキサキも五時間目まで戻って来なかったし……」
八幡「いや、後者はお前のせいだからな」
結衣「えっ?」
八幡「元々寝不足だったのにお前が昨晩遅くまで付き合わさせるから昼休みに寝ちまったんだよ。五限が自習だと知ってた川崎が気を使ってギリギリまで寝かせてくれたんだ」
結衣「え、あ、ごめん……」
八幡「まあだいぶ頭もスッキリしたしもういいけどな」
八幡(まあ積極的に広めたりはしないが聞かれれば否定はしない、くらいにしておこうとなった)
八幡(もっともぼっちとぼっちがくっついたからといって騒ぎ立てるようなやつもいないだろうが、いろんなことを想定しておいたほうがいいだろう。別に対策が無駄になったらそれはそれでいいわけだし)
八幡(五限終了のチャイムが鳴り、途中で花を摘みに行くらしい川崎と別れて一人教室に向かう)
八幡「が、廊下で厄介なやつに見つかり、うんざりしてしまった」
結衣「口に出てるし! 厄介って何だし!」
八幡「どうどう、落ち着け由比ヶ浜。可愛い顔が台無しだぞ」
結衣「かわっ……あうう」
八幡「落ち着いたか? 良かったな、じゃあ俺は教室戻るからまた放課後に部室で」
結衣「あ、うん、また……ってちょっと待って! そんなんで誤魔化されるわけないじゃん!」
八幡「九割がた誤魔化されてたじゃねえか……何か用か?」
結衣「その……昼休みと五時間目どこ行ってたの?」
八幡「昨日も言っただろ、川崎とメシ食ってたんだよ」
結衣「でもいつもの場所にもいなかったし……ヒッキーもサキサキも五時間目まで戻って来なかったし……」
八幡「いや、後者はお前のせいだからな」
結衣「えっ?」
八幡「元々寝不足だったのにお前が昨晩遅くまで付き合わさせるから昼休みに寝ちまったんだよ。五限が自習だと知ってた川崎が気を使ってギリギリまで寝かせてくれたんだ」
結衣「え、あ、ごめん……」
八幡「まあだいぶ頭もスッキリしたしもういいけどな」
八幡(本当はだいぶ、どころかめちゃくちゃスッキリしている。短時間ながらも心地良く熟睡したせいだろう)
八幡(川崎の膝枕でしか寝れなくなったらどうしよう……)
結衣「ヒッキー、その……遅くならないならまたメール、してもいいかな?」
八幡「気が向いたらな。でも俺今彼女いるからあまり他の女子とメールする気にはならん」
結衣「フリじゃん! ホントはめんどくさいだけなのに言い訳に使ってるでしょ!」
八幡「おい、声がでかい。フリってのは特に秘匿事項なんだからな」
結衣「あ、ごめん……」
八幡「はあ……一応お前らを信用して話してんだから気をつけてくれよな」
結衣「わ、わかった」
八幡「もういいな? 俺教室戻るから」
結衣「うん、またあとで」
八幡(川崎の膝枕でしか寝れなくなったらどうしよう……)
結衣「ヒッキー、その……遅くならないならまたメール、してもいいかな?」
八幡「気が向いたらな。でも俺今彼女いるからあまり他の女子とメールする気にはならん」
結衣「フリじゃん! ホントはめんどくさいだけなのに言い訳に使ってるでしょ!」
八幡「おい、声がでかい。フリってのは特に秘匿事項なんだからな」
結衣「あ、ごめん……」
八幡「はあ……一応お前らを信用して話してんだから気をつけてくれよな」
結衣「わ、わかった」
八幡「もういいな? 俺教室戻るから」
結衣「うん、またあとで」
八幡(六限は国語。午前中はこの時間にうたた寝して平塚先生に鉄拳制裁を喰らうかもとヒヤヒヤしていたが、恙なく乗り越えた)
八幡(いや、むしろいつもより頭は冴えていた感じがする。何なの川崎さんの膝枕、特殊な成分でも出てるの?)
八幡(HRも終え、部室に向かおうとしたら由比ヶ浜が呼び止めてきた)
結衣「あ、ヒッキー、今日部活休みにするって連絡来たよ。ゆきのんが何か家の用事があるんだって」
八幡「あ、そうなの、んじゃとっとと帰るかな」
結衣「うん、あたしは優美子達と遊んでくから。また明日ね」
八幡「おう」
結衣(サキサキと一緒に帰ったりしないんだ、良かった…………ってなにがいいの!?)ワタワタブンブン
優美子(なんか結衣が奇妙な踊りしてるし……)
姫菜(きっとカップリングのリバ有りか無しかで悩んでるんだね!)
八幡(さて、どうすっか……そういやそろそろ新刊のチェックをしときたいな。本屋に寄ってくか)スタスタ
???「せーんぱい」
八幡(どこの本屋に行くか……少し遠いけど品揃えのいいあそこに行くかな)スタスタ
???「ちょっとちょっと先輩、無視しないでくださいよ!」
八幡「あん? なんだ一色だったのか」
いろは「もう! 聞こえてるなら返事してくださいよ!」
八幡「すまん、ちょっと考え事をしててな」
八幡(本当は俺を呼ぶ奴なんていないと思ってスルーしてただけなんだが)
八幡(いや、むしろいつもより頭は冴えていた感じがする。何なの川崎さんの膝枕、特殊な成分でも出てるの?)
八幡(HRも終え、部室に向かおうとしたら由比ヶ浜が呼び止めてきた)
結衣「あ、ヒッキー、今日部活休みにするって連絡来たよ。ゆきのんが何か家の用事があるんだって」
八幡「あ、そうなの、んじゃとっとと帰るかな」
結衣「うん、あたしは優美子達と遊んでくから。また明日ね」
八幡「おう」
結衣(サキサキと一緒に帰ったりしないんだ、良かった…………ってなにがいいの!?)ワタワタブンブン
優美子(なんか結衣が奇妙な踊りしてるし……)
姫菜(きっとカップリングのリバ有りか無しかで悩んでるんだね!)
八幡(さて、どうすっか……そういやそろそろ新刊のチェックをしときたいな。本屋に寄ってくか)スタスタ
???「せーんぱい」
八幡(どこの本屋に行くか……少し遠いけど品揃えのいいあそこに行くかな)スタスタ
???「ちょっとちょっと先輩、無視しないでくださいよ!」
八幡「あん? なんだ一色だったのか」
いろは「もう! 聞こえてるなら返事してくださいよ!」
八幡「すまん、ちょっと考え事をしててな」
八幡(本当は俺を呼ぶ奴なんていないと思ってスルーしてただけなんだが)
いろは「先輩今日暇ですか? 暇ですね? ならちょっと買い物に付き合ってくださいありがとうございます」
八幡「いや、今日はいろいろアレがコレで忙しいから。じゃあな」
いろは「先輩が忙しいわけないじゃないですか。今日は奉仕部もお休みって聞いてますよ」
八幡「じゃあなおのことお前の頼みは聞けん。今日は奉仕部は活動してないんだからな。だいたいお前生徒会やサッカー部のマネージャーで忙しいだろ」
いろは「奉仕部としてでなく個人的な頼みですよー。それに今日はどっちもお休みです」
八幡「それを引き受けるメリットが俺に何もないだろ、むしろデメリットしかないまである」
いろは「何言ってるんですか、こんなに可愛い後輩と買い物できるんですよ。あ、でもデートなんかじゃないんでそんな勘違いして変な気を起こされても迷惑ですごめんなさい」
八幡「うぜえ……下駄箱で待ち伏せまでしやがって……」
八幡(ああそうか、川崎はこういうことを想定していたのか? よし、お前の存在、早速使わせてもらうぜ)
八幡「個人的つーならなおさら無理だ。俺達二人で行くつもりなんだろ?」
いろは「はい、でもただの荷物持ちですからね? それくらいで私が気を許してると思われても困ります」
八幡「好きでもない男を二人きりの買い物に誘ってんじゃねーよ。俺だって彼女や妹以外の女と必要なく出かけるつもりはない」
いろは「またまたそんなこと言ってー。妹はともかく彼女なんて先輩にできるわけないじゃないですか。あ、でも別に私のことを好きになるくらいは許してあげますから」
八幡「いるぞ」
いろは「…………え?」
八幡「この前できたんだよ」
いろは「……な、なーんだ、ゲームの話ですか、びっくりしちゃいましたよもー」
八幡「おい、俺を見くびるなよ。攻略サイトを見ない限りゲームですらグッドエンドに到達できないんだからな」
いろは「いえ、そんな自慢風自虐は聞きたくないです……て、え? じゃあゲームの話じゃないんですか?」
沙希「…………何やってんのこんなとこで」
八幡「いや、今日はいろいろアレがコレで忙しいから。じゃあな」
いろは「先輩が忙しいわけないじゃないですか。今日は奉仕部もお休みって聞いてますよ」
八幡「じゃあなおのことお前の頼みは聞けん。今日は奉仕部は活動してないんだからな。だいたいお前生徒会やサッカー部のマネージャーで忙しいだろ」
いろは「奉仕部としてでなく個人的な頼みですよー。それに今日はどっちもお休みです」
八幡「それを引き受けるメリットが俺に何もないだろ、むしろデメリットしかないまである」
いろは「何言ってるんですか、こんなに可愛い後輩と買い物できるんですよ。あ、でもデートなんかじゃないんでそんな勘違いして変な気を起こされても迷惑ですごめんなさい」
八幡「うぜえ……下駄箱で待ち伏せまでしやがって……」
八幡(ああそうか、川崎はこういうことを想定していたのか? よし、お前の存在、早速使わせてもらうぜ)
八幡「個人的つーならなおさら無理だ。俺達二人で行くつもりなんだろ?」
いろは「はい、でもただの荷物持ちですからね? それくらいで私が気を許してると思われても困ります」
八幡「好きでもない男を二人きりの買い物に誘ってんじゃねーよ。俺だって彼女や妹以外の女と必要なく出かけるつもりはない」
いろは「またまたそんなこと言ってー。妹はともかく彼女なんて先輩にできるわけないじゃないですか。あ、でも別に私のことを好きになるくらいは許してあげますから」
八幡「いるぞ」
いろは「…………え?」
八幡「この前できたんだよ」
いろは「……な、なーんだ、ゲームの話ですか、びっくりしちゃいましたよもー」
八幡「おい、俺を見くびるなよ。攻略サイトを見ない限りゲームですらグッドエンドに到達できないんだからな」
いろは「いえ、そんな自慢風自虐は聞きたくないです……て、え? じゃあゲームの話じゃないんですか?」
沙希「…………何やってんのこんなとこで」
誰が俺の彼女はおるかって三回言えっつったんだよ
川崎SSは良いものだ、支援
川崎SSは良いものだ、支援
八幡「おう、かわ……川本か」
沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」
八幡「やめてくださいごめんなさい」
沙希「まったく……今日奉仕部はどうしたのさ? そっちは……生徒会長さん?」
いろは「あ、はい、えっと…………」
沙希「あたしは比企谷と同じクラスの川崎だよ。あんまり関わることはないと思うけどよろしく」
いろは「は、はい、若輩者ですがよろしくお願いします」
八幡(なんでこんな畏まってんだ……ああ、猫被ってんのか)
いろは(うわあ、ちょっとキツそうだけど綺麗な人だな……)
沙希(……なんでコイツの周りには可愛い女の子ばっかりなんだろう)ハァ
沙希「で、何か揉め事? 言い合っていたみたいだけど」
いろは「あ、えっと……」
八幡「いや、何もねえよ。奉仕部に頼み事をしようとしたけど、今日は奉仕部はお休みだって説明してただけだ。な?」
いろは「は、はい」
沙希「そう、奉仕部休みなんだ……ならちょうどいいや。比企谷、買い物付き合ってよ」
八幡「あ? 別にいいけど何買うんだ?」
いろは「!!?」
いろは(わ、わたしの誘いは断ったのに!?)
沙希「近所のスーパーで色々と。お一人様数量制限の玉子とかもね」ニッ
八幡「! いいぜ、いや、是非手伝わせてくれ。俺の分の弁当の材料とかも買うなら無関係じゃないからな」
いろは(弁当!?)
八幡「ちょっと自転車取ってくるわ。門のとこで待っててくれ」
沙希「はいはい。まあタイムセールの時間までまだ少しあるから急がなくてもいいよ」
八幡「おう。じゃあな一色」スタスタ
沙希「……さて、と」
いろは「あ、あの、川崎先輩!」
沙希「ん?」
沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」
八幡「やめてくださいごめんなさい」
沙希「まったく……今日奉仕部はどうしたのさ? そっちは……生徒会長さん?」
いろは「あ、はい、えっと…………」
沙希「あたしは比企谷と同じクラスの川崎だよ。あんまり関わることはないと思うけどよろしく」
いろは「は、はい、若輩者ですがよろしくお願いします」
八幡(なんでこんな畏まってんだ……ああ、猫被ってんのか)
いろは(うわあ、ちょっとキツそうだけど綺麗な人だな……)
沙希(……なんでコイツの周りには可愛い女の子ばっかりなんだろう)ハァ
沙希「で、何か揉め事? 言い合っていたみたいだけど」
いろは「あ、えっと……」
八幡「いや、何もねえよ。奉仕部に頼み事をしようとしたけど、今日は奉仕部はお休みだって説明してただけだ。な?」
いろは「は、はい」
沙希「そう、奉仕部休みなんだ……ならちょうどいいや。比企谷、買い物付き合ってよ」
八幡「あ? 別にいいけど何買うんだ?」
いろは「!!?」
いろは(わ、わたしの誘いは断ったのに!?)
沙希「近所のスーパーで色々と。お一人様数量制限の玉子とかもね」ニッ
八幡「! いいぜ、いや、是非手伝わせてくれ。俺の分の弁当の材料とかも買うなら無関係じゃないからな」
いろは(弁当!?)
八幡「ちょっと自転車取ってくるわ。門のとこで待っててくれ」
沙希「はいはい。まあタイムセールの時間までまだ少しあるから急がなくてもいいよ」
八幡「おう。じゃあな一色」スタスタ
沙希「……さて、と」
いろは「あ、あの、川崎先輩!」
沙希「ん?」
いろは「か、川崎先輩は、比企谷先輩と、その、お付き合い、してらっしゃるんですか?」
沙希「…………比企谷がそう言ったの?」
いろは「その、さっき、最近彼女ができたと言ってました……」
沙希「そう……大っぴらには言いふらさないでね。煩わしいことになったら面倒だから」
いろは「じゃ、じゃあ本当なんですか?」
沙希「ああ」
いろは「な、なんで」
沙希「うん?」
いろは「なんで川崎先輩みたいな綺麗な人が、あんな捻くれ者で、嫌われ者で、目が腐ってるような先輩と」
沙希「…………むしろ本当にそう思ってるならあんたこそ比企谷に近付くんじゃないよ生徒会長サマ」
いろは「え……」
沙希「そんなふうに思ってる人のそばにいても評判が落ちるだけでしょ」
いろは「!!」
沙希「比企谷のことを好きで近付くならあたしも別に構いはしないよ。でも普段あいつを馬鹿にするような連中が、自分の都合のいい時にだけ都合のいいようにあいつを扱うのは我慢ならない」
いろは「…………」
沙希「あたしは好きで、あたし自身がそうしたくてあいつのそばにいるの。捻くれ者でも、嫌われ者でも、目が腐っていても、あたしにとってはどうでもいい」
いろは「…………」
沙希「…………ちょっとキツい言い方しちゃったね、謝るよ。でも、その辺はちゃんと考えて」
いろは「はい……」
沙希「…………わかってるよ、あんたが本心から言ってるわけじゃないのは」
いろは「え?」
沙希「そんじゃ、またね」
いろは「え、あ、は、はい」
沙希「…………比企谷がそう言ったの?」
いろは「その、さっき、最近彼女ができたと言ってました……」
沙希「そう……大っぴらには言いふらさないでね。煩わしいことになったら面倒だから」
いろは「じゃ、じゃあ本当なんですか?」
沙希「ああ」
いろは「な、なんで」
沙希「うん?」
いろは「なんで川崎先輩みたいな綺麗な人が、あんな捻くれ者で、嫌われ者で、目が腐ってるような先輩と」
沙希「…………むしろ本当にそう思ってるならあんたこそ比企谷に近付くんじゃないよ生徒会長サマ」
いろは「え……」
沙希「そんなふうに思ってる人のそばにいても評判が落ちるだけでしょ」
いろは「!!」
沙希「比企谷のことを好きで近付くならあたしも別に構いはしないよ。でも普段あいつを馬鹿にするような連中が、自分の都合のいい時にだけ都合のいいようにあいつを扱うのは我慢ならない」
いろは「…………」
沙希「あたしは好きで、あたし自身がそうしたくてあいつのそばにいるの。捻くれ者でも、嫌われ者でも、目が腐っていても、あたしにとってはどうでもいい」
いろは「…………」
沙希「…………ちょっとキツい言い方しちゃったね、謝るよ。でも、その辺はちゃんと考えて」
いろは「はい……」
沙希「…………わかってるよ、あんたが本心から言ってるわけじゃないのは」
いろは「え?」
沙希「そんじゃ、またね」
いろは「え、あ、は、はい」
沙希(多分あの子も比企谷のことを憎からず思っている)
沙希(少なくとも負の感情は持っていない。悪口っぽいのを言うのもどちらかといえば甘えているってのに近い)
沙希(そこから先が信頼なのか恋愛なのかはわからないけど)
沙希(なにが“ぼっち”なんだか……女誑しじゃない)
沙希「お待たせ、スケコマシ」
八幡「おいこら、挨拶と謂われのない悪口を同列にするな。てか何で俺の方が先に来てんだよ」
沙希「ああ、あの子に捕まってね、ちょっと話をしてたから」
八幡「話?」
沙希「あたし達が付き合ってるのか、みたいな」
八幡「なるほど、俺みたいな捻くれ嫌われぼっちと付き合うなんて気でも狂ったか、とか言われたのか」
沙希「うん、だいたい合ってる」
八幡「え、マジで……一色にどんだけダメ人間だと思われてるんだ俺は」
沙希「大丈夫、ちゃんと『あたしはそんな比企谷が好きになったんだ』って胸を張って答えておいたから」
八幡「そこだけ聞くとすげー変わり者みたいだな……てかかなり恥ずかしいこと言ってるのわかってるか?」
沙希「そうだね。でもフリだし演技だから」
八幡「そうだけどさ」
八幡(実際この“フリ”だとか“演技”ってのは実にやりやすい)
八幡(普段なら絶対言えないようなことも『これは演じているだけだから』といって言えてしまうのだ)
八幡(何より所詮演技なのだから最初から裏切られることもないしな)
八幡「んじゃ行くか、後ろ乗れよ」
沙希「三日連続でお世話になります、っと」
八幡「おう、行くぞ」
沙希(少なくとも負の感情は持っていない。悪口っぽいのを言うのもどちらかといえば甘えているってのに近い)
沙希(そこから先が信頼なのか恋愛なのかはわからないけど)
沙希(なにが“ぼっち”なんだか……女誑しじゃない)
沙希「お待たせ、スケコマシ」
八幡「おいこら、挨拶と謂われのない悪口を同列にするな。てか何で俺の方が先に来てんだよ」
沙希「ああ、あの子に捕まってね、ちょっと話をしてたから」
八幡「話?」
沙希「あたし達が付き合ってるのか、みたいな」
八幡「なるほど、俺みたいな捻くれ嫌われぼっちと付き合うなんて気でも狂ったか、とか言われたのか」
沙希「うん、だいたい合ってる」
八幡「え、マジで……一色にどんだけダメ人間だと思われてるんだ俺は」
沙希「大丈夫、ちゃんと『あたしはそんな比企谷が好きになったんだ』って胸を張って答えておいたから」
八幡「そこだけ聞くとすげー変わり者みたいだな……てかかなり恥ずかしいこと言ってるのわかってるか?」
沙希「そうだね。でもフリだし演技だから」
八幡「そうだけどさ」
八幡(実際この“フリ”だとか“演技”ってのは実にやりやすい)
八幡(普段なら絶対言えないようなことも『これは演じているだけだから』といって言えてしまうのだ)
八幡(何より所詮演技なのだから最初から裏切られることもないしな)
八幡「んじゃ行くか、後ろ乗れよ」
沙希「三日連続でお世話になります、っと」
八幡「おう、行くぞ」
八幡(三日連続、か)キコキコ
八幡(川崎から依頼を受けてまだ三日なのに随分昔のことだったような気がする)キコキコ
八幡(たった三日の間にいろんなことがあったからな)キコキコ
八幡(四日前だったら川崎とこんなに急接近するなんて考えもしなかっただろうに)キコキコ
八幡(背中に感じる川崎の存在が心地良い。いや、エロい意味でなく)キコキコ
八幡(俺の腰に回された腕がずっと解けなきゃいいのに、なんて柄にもなく考えてしまう)キコキコ
八幡(まああと五分もしないうちに着いちゃうんですけどね、目的地のスーパー)キコキコ
八幡(川崎から依頼を受けてまだ三日なのに随分昔のことだったような気がする)キコキコ
八幡(たった三日の間にいろんなことがあったからな)キコキコ
八幡(四日前だったら川崎とこんなに急接近するなんて考えもしなかっただろうに)キコキコ
八幡(背中に感じる川崎の存在が心地良い。いや、エロい意味でなく)キコキコ
八幡(俺の腰に回された腕がずっと解けなきゃいいのに、なんて柄にもなく考えてしまう)キコキコ
八幡(まああと五分もしないうちに着いちゃうんですけどね、目的地のスーパー)キコキコ
八幡(さて、自転車を駐輪場に停めてスーパーの店内に入ったわけだが)
八幡(買う物がだいたい決まってるのなら二手に別れて行動する方が効率がいい)
八幡(少し前の俺なら、あるいは連れが川崎でなく雪ノ下や由比ヶ浜だったら間違いなくそう提案していただろう)
八幡(だけどごく自然に俺は川崎が持とうとした店内用買い物カゴを先に取る)
八幡「よし、行こうぜ。どの辺から回る?」
沙希「ふふ、ありがと。じゃあ野菜のコーナーから行こうか」
八幡(川崎は物を吟味しながらカゴに次々と放り込んでいく)
八幡(やはり大家族のためか量が多く、カゴはどんどん重くなる)
八幡(それでも俺は苦に思わず、むしろついて来て良かったとさえ考えた。川崎に重いものを持たせずにすんだのだから)
八幡(別にカートを使ってもいいのだが、混雑してるタイムセール時には邪魔になるからな)
八幡(そんなこんなで会計を済ませる)
八幡「数量限定品も二人で並べば一気に二人分まとめて会計してくれるんだな。複数で利用することがないから知らなかったぜ」
沙希「そうなの? あたしは時々家族連れで来るから。あんたもここ使ってるんでしょ。小町とか連れてきたら?」
八幡「いや、小町をあんな戦場に放り込むわけにはいかん。人とぶつかって怪我でもしたらどうするんだ」
沙希「シスコン」
八幡「お前だってそうだろ。昨日の取り乱しっぷり」
沙希「うるさいよ」
八幡(そんなどうでもいい会話をしながら買った物を買い物袋に詰めていく)
八幡(川崎は確か口下手な方だったはずなのだが、俺との会話にその片鱗は見られない)
八幡(俺に対しては遠慮がいらないと思ってくれているのだろうか)
八幡(俺は、川崎にとっての特別になっているのだろうか)
八幡(今までなることもなられることも拒否し続けてきた特別)
八幡(…………演技、か)
八幡(買う物がだいたい決まってるのなら二手に別れて行動する方が効率がいい)
八幡(少し前の俺なら、あるいは連れが川崎でなく雪ノ下や由比ヶ浜だったら間違いなくそう提案していただろう)
八幡(だけどごく自然に俺は川崎が持とうとした店内用買い物カゴを先に取る)
八幡「よし、行こうぜ。どの辺から回る?」
沙希「ふふ、ありがと。じゃあ野菜のコーナーから行こうか」
八幡(川崎は物を吟味しながらカゴに次々と放り込んでいく)
八幡(やはり大家族のためか量が多く、カゴはどんどん重くなる)
八幡(それでも俺は苦に思わず、むしろついて来て良かったとさえ考えた。川崎に重いものを持たせずにすんだのだから)
八幡(別にカートを使ってもいいのだが、混雑してるタイムセール時には邪魔になるからな)
八幡(そんなこんなで会計を済ませる)
八幡「数量限定品も二人で並べば一気に二人分まとめて会計してくれるんだな。複数で利用することがないから知らなかったぜ」
沙希「そうなの? あたしは時々家族連れで来るから。あんたもここ使ってるんでしょ。小町とか連れてきたら?」
八幡「いや、小町をあんな戦場に放り込むわけにはいかん。人とぶつかって怪我でもしたらどうするんだ」
沙希「シスコン」
八幡「お前だってそうだろ。昨日の取り乱しっぷり」
沙希「うるさいよ」
八幡(そんなどうでもいい会話をしながら買った物を買い物袋に詰めていく)
八幡(川崎は確か口下手な方だったはずなのだが、俺との会話にその片鱗は見られない)
八幡(俺に対しては遠慮がいらないと思ってくれているのだろうか)
八幡(俺は、川崎にとっての特別になっているのだろうか)
八幡(今までなることもなられることも拒否し続けてきた特別)
八幡(…………演技、か)
たしかに、原作の冒頭の決め台詞青春とは嘘である(欺瞞だっけ?)
に通ずるところが出てきたな
に通ずるところが出てきたな
八幡「到着、っと」キキッ
沙希「ん、ありがと」
八幡「結構重いけど大丈夫か? 玄関くらいまでなら運ぶぞ」
沙希「平気、慣れてるからね」
八幡「そうか、んじゃ……」
???「あら、沙希……そちら様は……?」
八幡(後ろから声がして振り向くと、川崎にちょっと似た女性が立っていた。おそらく母親だろう)
八幡(そして案の定俺の顔を見るとびくっとする。この世に唯一無二の選ばれし目だから仕方ないが。え? 別に羨ましくも何ともないって?)
沙希「あ、母さんおかえり、今日は早かったんだね。こっちはクラスメートの比企谷。買い物を手伝ってくれたんだ」
八幡「どうも」ペコリ
川崎母「あ、どうも。いつも沙希がお世話になっております」
八幡「いえ……」
「あ、はーちゃーん!」
「お兄さんじゃないっすか」
八幡(さらに後方から新たな声がかかる。お迎えだったらしく手を繋いでる大志とけーちゃんだ。なんで川崎一族が次々集まってくんの? あ、川崎家の前でしたねここ)
八幡「俺をお兄さんと呼ぶな」
大志「じゃあ俺もはーちゃんって呼べばいいっすか?」
八幡「ぶっ飛ばすぞこの野郎」
沙希「そんなことしたらあたしがあんたをぶっ飛ばすよ」
八幡「暴力反対、平和が一番」
京華「はーちゃん、あそびにきたのー?」トテテ
八幡「ん、ちょっと寄っただけだけどな」ナデナデ
川崎母「え、じゃああなたが……あの、良ければお茶でも飲んでいってくれませんか? ちょっとお話したいこともございますし」
八幡「あ、えっと……」
沙希「あんたさえ良けりゃ寄ってってよ。下の弟もあんたに会いたいって言ってたし」
八幡「……じゃあ少しだけお邪魔します」
沙希「ん、ありがと」
八幡「結構重いけど大丈夫か? 玄関くらいまでなら運ぶぞ」
沙希「平気、慣れてるからね」
八幡「そうか、んじゃ……」
???「あら、沙希……そちら様は……?」
八幡(後ろから声がして振り向くと、川崎にちょっと似た女性が立っていた。おそらく母親だろう)
八幡(そして案の定俺の顔を見るとびくっとする。この世に唯一無二の選ばれし目だから仕方ないが。え? 別に羨ましくも何ともないって?)
沙希「あ、母さんおかえり、今日は早かったんだね。こっちはクラスメートの比企谷。買い物を手伝ってくれたんだ」
八幡「どうも」ペコリ
川崎母「あ、どうも。いつも沙希がお世話になっております」
八幡「いえ……」
「あ、はーちゃーん!」
「お兄さんじゃないっすか」
八幡(さらに後方から新たな声がかかる。お迎えだったらしく手を繋いでる大志とけーちゃんだ。なんで川崎一族が次々集まってくんの? あ、川崎家の前でしたねここ)
八幡「俺をお兄さんと呼ぶな」
大志「じゃあ俺もはーちゃんって呼べばいいっすか?」
八幡「ぶっ飛ばすぞこの野郎」
沙希「そんなことしたらあたしがあんたをぶっ飛ばすよ」
八幡「暴力反対、平和が一番」
京華「はーちゃん、あそびにきたのー?」トテテ
八幡「ん、ちょっと寄っただけだけどな」ナデナデ
川崎母「え、じゃああなたが……あの、良ければお茶でも飲んでいってくれませんか? ちょっとお話したいこともございますし」
八幡「あ、えっと……」
沙希「あんたさえ良けりゃ寄ってってよ。下の弟もあんたに会いたいって言ってたし」
八幡「……じゃあ少しだけお邪魔します」
八幡(川崎家の居間に通されてお茶を出されたわけだが)
八幡(川崎や大志は着替えやら弟妹の世話やらで今は席を外している)
八幡(必然的に俺は川崎の母親と二人になってしまうわけで、正直ちょっと気まずい)
川崎母「えっと、比企谷君、ね?」
八幡「は、はい、比企谷八幡です。かわ……沙希さんにはいつもお世話になってます」
川崎母「そう……八幡だからはーちゃん、ね。あなたが…………どうも、ありがとうございます」
八幡(そう言って突然頭を下げられる。俺は慌てふためいてしまった)
八幡「ちょ、ちょっと、頭上げてください。いきなりどうしたんですか?」
川崎母「昨日のこと、お聞きしました」
八幡「あ……いえ、特に大したことをしたわけでもないですしそんな改めてお礼を言われるような事では」
川崎母「園のほうからも聞きました。いろいろ気を使っていただいて、とてもよく出来た男性でしたと」
八幡「いや、そんな……」
八幡(手放しで賞賛されても困る。実際俺はそこまで出来た人間ではないのだから)
川崎母「本当はこちらからお礼に伺うのが筋なのですが、なにぶんお名前もわからなくて……沙希は教えてくれないし京華は『はーちゃん』としか言わないしで」
八幡「いや、お礼ならもう沙希さんからいただいてますから。そんなお気になさらないでください」
川崎母「お弁当、かしら?」
八幡「あ、はい、御存知でしたか」
川崎母「ふふ、作ってる時の態度がいつもよりすごく真剣だったから。親の贔屓目で言ってるかもだけど、あの子、なかなか料理上手でしょう?」
八幡「はい、それはもう」
八幡(川崎や大志は着替えやら弟妹の世話やらで今は席を外している)
八幡(必然的に俺は川崎の母親と二人になってしまうわけで、正直ちょっと気まずい)
川崎母「えっと、比企谷君、ね?」
八幡「は、はい、比企谷八幡です。かわ……沙希さんにはいつもお世話になってます」
川崎母「そう……八幡だからはーちゃん、ね。あなたが…………どうも、ありがとうございます」
八幡(そう言って突然頭を下げられる。俺は慌てふためいてしまった)
八幡「ちょ、ちょっと、頭上げてください。いきなりどうしたんですか?」
川崎母「昨日のこと、お聞きしました」
八幡「あ……いえ、特に大したことをしたわけでもないですしそんな改めてお礼を言われるような事では」
川崎母「園のほうからも聞きました。いろいろ気を使っていただいて、とてもよく出来た男性でしたと」
八幡「いや、そんな……」
八幡(手放しで賞賛されても困る。実際俺はそこまで出来た人間ではないのだから)
川崎母「本当はこちらからお礼に伺うのが筋なのですが、なにぶんお名前もわからなくて……沙希は教えてくれないし京華は『はーちゃん』としか言わないしで」
八幡「いや、お礼ならもう沙希さんからいただいてますから。そんなお気になさらないでください」
川崎母「お弁当、かしら?」
八幡「あ、はい、御存知でしたか」
川崎母「ふふ、作ってる時の態度がいつもよりすごく真剣だったから。親の贔屓目で言ってるかもだけど、あの子、なかなか料理上手でしょう?」
八幡「はい、それはもう」
川崎母「でもそれは私達が忙しいのをいいことに家の事を押し付けたりであの子には本当に苦労をさせてしまったせいでもあって……あまり自分の時間もないんじゃないかと」
八幡「…………」
川崎母「それに少し人見知りで人間関係は不器用だからお友達もいなかったようで……だからまさかあなたみたいな方がいるとは思わなかったわ」
八幡「…………沙希さんは」
川崎母「はい?」
八幡「沙希さんは家族が本当に大好きなんですよ。だから家族のためになることを苦だなんて思っていません。人見知りで不器用かもしれませんが、それ以上に優しくて気が利く子です」
川崎母「まあ……」
沙希「ちょっと、人の親の前で何恥ずかしいこと言ってんの」
京華「はーちゃーん」トテトテダキッ
八幡「おっと……別に嘘を言ってるわけじゃないから」
沙希「はあ……」
京華「はーちゃん、あそぼー」
八幡「おう、いいぞ」ナデナデ
川崎母「あらあら、沙希だけでなくうちの子みんなと仲良くしていただいてるのね。大志も知っているみたいだし。京華、あまりお兄ちゃんを困らせちゃダメだからね」
京華「はーい」
八幡「…………」
川崎母「それに少し人見知りで人間関係は不器用だからお友達もいなかったようで……だからまさかあなたみたいな方がいるとは思わなかったわ」
八幡「…………沙希さんは」
川崎母「はい?」
八幡「沙希さんは家族が本当に大好きなんですよ。だから家族のためになることを苦だなんて思っていません。人見知りで不器用かもしれませんが、それ以上に優しくて気が利く子です」
川崎母「まあ……」
沙希「ちょっと、人の親の前で何恥ずかしいこと言ってんの」
京華「はーちゃーん」トテトテダキッ
八幡「おっと……別に嘘を言ってるわけじゃないから」
沙希「はあ……」
京華「はーちゃん、あそぼー」
八幡「おう、いいぞ」ナデナデ
川崎母「あらあら、沙希だけでなくうちの子みんなと仲良くしていただいてるのね。大志も知っているみたいだし。京華、あまりお兄ちゃんを困らせちゃダメだからね」
京華「はーい」
八幡(夕飯の時間まで俺は川崎家の子供達と遊んで過ごした)
八幡(夕飯も一緒にどうかと誘われたが、さすがにそれはお断りしておく。ウチで小町一人になっちゃうからな)
八幡(それを言ったら万が一ここで一緒にとか言われかねないから隠しておくが)
八幡(大志さえいなきゃそれでもいいのだが。あの野郎をふんじばって庭にでも転がしてればよかったか)
沙希「変なこと考えてるとあんたの両腕腐らすよ」
八幡(門のとこまで見送りに来てくれた川崎がそう言ってきた。なに、エスパーなの? 弟に対するわずかな邪気を感じ取ったの?)
八幡「じゃあな川崎」
沙希「あ、ちょっと待って。あんたに聞きたいことあったんだけど」
八幡「あん?」
沙希「あんたさ、よくあたしの苗字覚えてなかったり間違えたりしてるけど、あれってわざとなの?」
八幡「以前は本当に覚えてなかったが、今はただのネタだ。悪かった」
沙希「いいんだけどさ、そんなに覚えにくい苗字ってわけでもないでしょ? 何で?」
八幡「何でだろ?」
沙希「原因不明なんだ……じゃ、じゃあさ、苗字、覚えにくいんだったら、別に名前で呼んでくれても、いいんだよ?」
八幡「な……」
八幡(誰この子。赤くなって俯いてるのが可愛いお持ち帰りしたい)
沙希「親や医者とかの前では呼んでたし、初めてってわけでもないんでしょ?」
八幡(なにその言い方エロい)
沙希「だから、その……」モジモジ
八幡「…………じゃあまた明日な、沙希」
沙希「! うん、また明日ね、八幡」
八幡(別れの挨拶を交わし、俺は自転車を漕ぎ出す)
八幡(初めて同級生の女の子と名前で呼び合った。全身がむず痒い)
八幡(しかしそれ以上に心が暖かくなる)
八幡(…………はあ)
八幡(夕飯も一緒にどうかと誘われたが、さすがにそれはお断りしておく。ウチで小町一人になっちゃうからな)
八幡(それを言ったら万が一ここで一緒にとか言われかねないから隠しておくが)
八幡(大志さえいなきゃそれでもいいのだが。あの野郎をふんじばって庭にでも転がしてればよかったか)
沙希「変なこと考えてるとあんたの両腕腐らすよ」
八幡(門のとこまで見送りに来てくれた川崎がそう言ってきた。なに、エスパーなの? 弟に対するわずかな邪気を感じ取ったの?)
八幡「じゃあな川崎」
沙希「あ、ちょっと待って。あんたに聞きたいことあったんだけど」
八幡「あん?」
沙希「あんたさ、よくあたしの苗字覚えてなかったり間違えたりしてるけど、あれってわざとなの?」
八幡「以前は本当に覚えてなかったが、今はただのネタだ。悪かった」
沙希「いいんだけどさ、そんなに覚えにくい苗字ってわけでもないでしょ? 何で?」
八幡「何でだろ?」
沙希「原因不明なんだ……じゃ、じゃあさ、苗字、覚えにくいんだったら、別に名前で呼んでくれても、いいんだよ?」
八幡「な……」
八幡(誰この子。赤くなって俯いてるのが可愛いお持ち帰りしたい)
沙希「親や医者とかの前では呼んでたし、初めてってわけでもないんでしょ?」
八幡(なにその言い方エロい)
沙希「だから、その……」モジモジ
八幡「…………じゃあまた明日な、沙希」
沙希「! うん、また明日ね、八幡」
八幡(別れの挨拶を交わし、俺は自転車を漕ぎ出す)
八幡(初めて同級生の女の子と名前で呼び合った。全身がむず痒い)
八幡(しかしそれ以上に心が暖かくなる)
八幡(…………はあ)
八幡「ただいまー」
小町「おかえりお兄ちゃん、小町にする? 小町にする? それとも小町?」
八幡「一択じゃねえか。じゃあ小町で」
小町「はい、ではご飯を食べながら小町とお話できるコースですね。ご案内ー」
八幡「なんかテンション高いな」
小町「だってだって、お兄ちゃんが沙希さんと一緒に買い物なんてしてたんだよ! あのお兄ちゃんが女の子とスーパーで買い物するなんて!」
八幡「付き合ってんのはフリだからな、勘違いすんなよ。てかどっかで見かけたのか?」
小町「うん、ちょうど二人がスーパーに入るとこを。お邪魔しちゃいけないと思ったから声はかけなかったけど」
八幡「別にかけてもいいのに。数量限定品とかあったから人数増えたほうが良かったんじゃねえかな」
小町「これだからゴミいちゃんは……」
八幡「あん?」
小町「何でもないでーす。もうすぐ夕ご飯できるから着替えて待ってて」
八幡「あいよ」
小町「おかえりお兄ちゃん、小町にする? 小町にする? それとも小町?」
八幡「一択じゃねえか。じゃあ小町で」
小町「はい、ではご飯を食べながら小町とお話できるコースですね。ご案内ー」
八幡「なんかテンション高いな」
小町「だってだって、お兄ちゃんが沙希さんと一緒に買い物なんてしてたんだよ! あのお兄ちゃんが女の子とスーパーで買い物するなんて!」
八幡「付き合ってんのはフリだからな、勘違いすんなよ。てかどっかで見かけたのか?」
小町「うん、ちょうど二人がスーパーに入るとこを。お邪魔しちゃいけないと思ったから声はかけなかったけど」
八幡「別にかけてもいいのに。数量限定品とかあったから人数増えたほうが良かったんじゃねえかな」
小町「これだからゴミいちゃんは……」
八幡「あん?」
小町「何でもないでーす。もうすぐ夕ご飯できるから着替えて待ってて」
八幡「あいよ」
八幡「いただきます」
小町「いただきまーす、それでお兄ちゃん、沙希さんとはスーパー行っただけ? それにしては遅かったしデートでもしてきた? キャー!」
八幡「少しはゆっくり食わせろよ……いや、そのままあいつの家にお邪魔してちっちゃい妹達と遊んできただけだから」
小町「へー」ニヤニヤ
八幡「妹のニヤケ顔がうざい」モグモグ
小町「外堀から埋めていくなんてなかなかの策士だねお兄ちゃん、成長して妹は嬉しいよ」ヨヨヨ
八幡「うぜえ……」
小町「そんでそんで、朝言ってた沙希さんとの約束って何だったの? スーパーに行くこと?」
八幡「いや……弁当を作ってきてくれるって話だ」
小町「え、でもそれは昨日からでしょ?」
八幡「今日も一緒に食べようって約束しただけのことだ」
小町「……ふーん」
八幡(そのあとも根掘り葉掘りいろんなことを聞かれた)
八幡(あくまでもフリだっていうのに俺達の行動を聞くたびに一喜一憂する小町)
八幡(ちょっと騒がしいけどまあいいか)
八幡(少しだけ刺激的で、それでも波風のない日々が続けばなと思っていた)
八幡(しかし次の日、事件は起きた)
小町「いただきまーす、それでお兄ちゃん、沙希さんとはスーパー行っただけ? それにしては遅かったしデートでもしてきた? キャー!」
八幡「少しはゆっくり食わせろよ……いや、そのままあいつの家にお邪魔してちっちゃい妹達と遊んできただけだから」
小町「へー」ニヤニヤ
八幡「妹のニヤケ顔がうざい」モグモグ
小町「外堀から埋めていくなんてなかなかの策士だねお兄ちゃん、成長して妹は嬉しいよ」ヨヨヨ
八幡「うぜえ……」
小町「そんでそんで、朝言ってた沙希さんとの約束って何だったの? スーパーに行くこと?」
八幡「いや……弁当を作ってきてくれるって話だ」
小町「え、でもそれは昨日からでしょ?」
八幡「今日も一緒に食べようって約束しただけのことだ」
小町「……ふーん」
八幡(そのあとも根掘り葉掘りいろんなことを聞かれた)
八幡(あくまでもフリだっていうのに俺達の行動を聞くたびに一喜一憂する小町)
八幡(ちょっと騒がしいけどまあいいか)
八幡(少しだけ刺激的で、それでも波風のない日々が続けばなと思っていた)
八幡(しかし次の日、事件は起きた)
>>130
不意打ちすぎんだろwwww
不意打ちすぎんだろwwww
最近いろはすの甘甘SSが多かったせいか
いろはす完全敗北はなんか新鮮だな。相手がさっぱりしてるせいか、あんまりドロドロしてないし
いろはす完全敗北はなんか新鮮だな。相手がさっぱりしてるせいか、あんまりドロドロしてないし
八幡(久しぶりに寝不足でない朝である)
八幡(心なしか目の腐り具合も昨日より二割減といった感じだ。あれ、でも昨日は二割増で腐ってたからプラマイゼロじゃね?)
八幡(まあ腐ってようがそうでなかろうが気にするやつなんてそういないけど)
八幡(…………川崎は気にしないって言ってくれたしな)
八幡(が、教室に入ったところで俺は不穏な空気に気付く)
八幡(いつもなら一瞥したあとは興味を一切示さないクラスの連中がこぞってこっちを見ているのだ)
八幡(え? 何? ひょっとしてみんな今日は俺の目の腐り具合が昨日より薄いことに気付いたの?)
結衣「お、おはよヒッキー、その…………黒板」
八幡「あん? …………あ」
八幡(なるほど、ちょっとこれは予想外だったな。まさか写真とは)
八幡(黒板には昨日の昼休みに撮られたであろう俺達を被写体にした写真が貼り出されていた。あのほとんど人気のない裏庭のベンチで俺が川崎に膝枕されているシーンだ)
八幡(ふむ、誰が何の目的で写真を撮って晒したのかは知らんが……相手が悪かったな)
八幡「由比ヶ浜、アレ誰がやったかわかってるか?」
結衣「え、ううん……朝早かった人達が来た時にはもう貼られてたみたい」
八幡「そうか」
八幡(まあこんなことするようなやつがすぐバレるようなヘマをするわけないか)
結衣「……ヒッキー、どうするの?」
八幡「どうもしねえよほっとけ」
結衣「え……」
八幡「こういうのはこっちが慌てふためくほど相手の思う壺なんだ。反応すんな」
結衣「で、でもサキサキが」
八幡「いいから」
八幡(不安そうな由比ヶ浜を押しとどめ、俺は委細構わずに自分の席に着く)
八幡(心なしか目の腐り具合も昨日より二割減といった感じだ。あれ、でも昨日は二割増で腐ってたからプラマイゼロじゃね?)
八幡(まあ腐ってようがそうでなかろうが気にするやつなんてそういないけど)
八幡(…………川崎は気にしないって言ってくれたしな)
八幡(が、教室に入ったところで俺は不穏な空気に気付く)
八幡(いつもなら一瞥したあとは興味を一切示さないクラスの連中がこぞってこっちを見ているのだ)
八幡(え? 何? ひょっとしてみんな今日は俺の目の腐り具合が昨日より薄いことに気付いたの?)
結衣「お、おはよヒッキー、その…………黒板」
八幡「あん? …………あ」
八幡(なるほど、ちょっとこれは予想外だったな。まさか写真とは)
八幡(黒板には昨日の昼休みに撮られたであろう俺達を被写体にした写真が貼り出されていた。あのほとんど人気のない裏庭のベンチで俺が川崎に膝枕されているシーンだ)
八幡(ふむ、誰が何の目的で写真を撮って晒したのかは知らんが……相手が悪かったな)
八幡「由比ヶ浜、アレ誰がやったかわかってるか?」
結衣「え、ううん……朝早かった人達が来た時にはもう貼られてたみたい」
八幡「そうか」
八幡(まあこんなことするようなやつがすぐバレるようなヘマをするわけないか)
結衣「……ヒッキー、どうするの?」
八幡「どうもしねえよほっとけ」
結衣「え……」
八幡「こういうのはこっちが慌てふためくほど相手の思う壺なんだ。反応すんな」
結衣「で、でもサキサキが」
八幡「いいから」
八幡(不安そうな由比ヶ浜を押しとどめ、俺は委細構わずに自分の席に着く)
八幡(貼り出し効果の狙いの対象が俺か川崎かはしらんが、目的は俺達を気まずくさせることと思っていいだろう)
八幡(しかし残念だったな! 俺にはからかったり揶揄してきたりするような友達なぞいない!)
八幡(よって俺に精神的ダメージを与えることはできん。ぼっち最強)
八幡(現に皆は写真を見てはチラチラとこちらを見てくるものの、実際に話しかけてきたのは由比ヶ浜だけだ。戸塚は朝練があるらしくまだ来てないし)
八幡(ずっと貼りっぱなしだといずれ先生に見つかるが……別にやましいことをしているわけでもないしな)
八幡(それより…………)
八幡(………………)
八幡(…………なるほど)
ガラガラ
八幡(お、川崎さんがいらっしゃった)
八幡(相変わらずの仏頂面だ。写真の中ではあんなに優しそうな表情なのに。まあそのギャップも魅力のひとつということで)
八幡(ちなみに俺は間抜けな寝顔を晒している。撮り直しを要求したい)
八幡(しかし残念だったな! 俺にはからかったり揶揄してきたりするような友達なぞいない!)
八幡(よって俺に精神的ダメージを与えることはできん。ぼっち最強)
八幡(現に皆は写真を見てはチラチラとこちらを見てくるものの、実際に話しかけてきたのは由比ヶ浜だけだ。戸塚は朝練があるらしくまだ来てないし)
八幡(ずっと貼りっぱなしだといずれ先生に見つかるが……別にやましいことをしているわけでもないしな)
八幡(それより…………)
八幡(………………)
八幡(…………なるほど)
ガラガラ
八幡(お、川崎さんがいらっしゃった)
八幡(相変わらずの仏頂面だ。写真の中ではあんなに優しそうな表情なのに。まあそのギャップも魅力のひとつということで)
八幡(ちなみに俺は間抜けな寝顔を晒している。撮り直しを要求したい)
沙希(……?)
沙希(なんでみんなこっち見てんの?)
沙希(ん? 比企谷が黒板を顎で差して……ああ、そういうこと)
沙希(気付かなかったけど誰かいたのね、まあこの時は比企谷しか見てなかったから仕方ないか)
姫菜「さ、サキサキ、おはよう…………」
沙希「ん、おはよう。ねえ、これ誰がやったかわかる?」
姫菜「いや、朝早くから貼られてたみたいで……」
沙希「そう。じゃあこれ、貰っちゃってもいいのかな?」
姫菜「え?」
沙希「隠し撮りっぽいけど良く撮れてるじゃない。言えばもっとちゃんと写ってあげたのに」ペリペリ
八幡(川崎はそう言うと写真を剥がし、席に向かう)
八幡(途中俺のそばを通るので全員の視線が俺達に集まった)
八幡(こうした注目を浴びるのは苦手だったはずなのだが……なぜか今の俺は平常心を保てている)
沙希「これどうする? 欲しけりゃカラーコピーするけど」ヒラヒラ
八幡「いらんわ自分の寝顔の写真なんか。さっさとしまえ」
沙希「はいはい」
八幡(それだけの短い会話をし、川崎は自分の席に着いた)
八幡(クラスの大半は拍子抜けしたような怪訝な表情になる)
八幡(俺達があまりにも平然と対処したのでどうしたものかと思っているようだ。そういう関係ならもっと会話や距離が近いだろうし、そうでないならもっと騒ぎ立てたりするだろうし)
八幡(俺と同じく川崎にも揶揄してくるような友達がいない。せいぜい文化祭以降海老名さんが懐いてるくらいだが、こういう男女の色恋沙汰には変に口出ししないだろう)
八幡(……男同士の色恋沙汰は置いといて)
沙希(なんでみんなこっち見てんの?)
沙希(ん? 比企谷が黒板を顎で差して……ああ、そういうこと)
沙希(気付かなかったけど誰かいたのね、まあこの時は比企谷しか見てなかったから仕方ないか)
姫菜「さ、サキサキ、おはよう…………」
沙希「ん、おはよう。ねえ、これ誰がやったかわかる?」
姫菜「いや、朝早くから貼られてたみたいで……」
沙希「そう。じゃあこれ、貰っちゃってもいいのかな?」
姫菜「え?」
沙希「隠し撮りっぽいけど良く撮れてるじゃない。言えばもっとちゃんと写ってあげたのに」ペリペリ
八幡(川崎はそう言うと写真を剥がし、席に向かう)
八幡(途中俺のそばを通るので全員の視線が俺達に集まった)
八幡(こうした注目を浴びるのは苦手だったはずなのだが……なぜか今の俺は平常心を保てている)
沙希「これどうする? 欲しけりゃカラーコピーするけど」ヒラヒラ
八幡「いらんわ自分の寝顔の写真なんか。さっさとしまえ」
沙希「はいはい」
八幡(それだけの短い会話をし、川崎は自分の席に着いた)
八幡(クラスの大半は拍子抜けしたような怪訝な表情になる)
八幡(俺達があまりにも平然と対処したのでどうしたものかと思っているようだ。そういう関係ならもっと会話や距離が近いだろうし、そうでないならもっと騒ぎ立てたりするだろうし)
八幡(俺と同じく川崎にも揶揄してくるような友達がいない。せいぜい文化祭以降海老名さんが懐いてるくらいだが、こういう男女の色恋沙汰には変に口出ししないだろう)
八幡(……男同士の色恋沙汰は置いといて)
彩加「ねえ八幡、今日はなんかクラスの雰囲気が妙なんだけど……みんなチラチラ八幡の方を見てるし、何かあったの?」
八幡(二限が終わったあと、戸塚が心配そうに話しかけてきた。ああ、何てことだ! 俺のせいで戸塚を不安にさせてしまった! これはお詫びに今度デートに誘ってあげなければ!)
八幡「ああ、実は俺と川崎が交際しているんじゃないかっていう噂が流れてな。それを気にしているらしい」
彩加「え、八幡と川崎さんが?」
八幡「一緒にメシ食ってるとことか見られたようでな、ぼっち同士がくっついたのかみんな気になるんだろ」
彩加「へえ……」
八幡「…………戸塚は気にならないのか? 聞いてこないけど」
彩加「うん、八幡はあまり気にしないで欲しそうだったから……どっちでも八幡が八幡なのは変わらないしね。でもそれが本当で僕との遊んだりする時間が減ったりするのはちょっと寂しいかな」
八幡「戸塚…………大丈夫、俺の戸塚への愛情はどんなになっても変わらないから!」
彩加「あはは、八幡間違えてるよ。愛情じゃなくて友情でしょ」
八幡(いえ、愛情で合ってます)
彩加「でも何か困ったら僕にも相談してよね。僕にできることなんかたかが知れてるけど……」
八幡「いや、そう言ってくれるだけで嬉しいよ。ありがとう戸塚」
彩加「うん、どういたしまして」ニコッ
八幡(天使や……)
八幡(二限が終わったあと、戸塚が心配そうに話しかけてきた。ああ、何てことだ! 俺のせいで戸塚を不安にさせてしまった! これはお詫びに今度デートに誘ってあげなければ!)
八幡「ああ、実は俺と川崎が交際しているんじゃないかっていう噂が流れてな。それを気にしているらしい」
彩加「え、八幡と川崎さんが?」
八幡「一緒にメシ食ってるとことか見られたようでな、ぼっち同士がくっついたのかみんな気になるんだろ」
彩加「へえ……」
八幡「…………戸塚は気にならないのか? 聞いてこないけど」
彩加「うん、八幡はあまり気にしないで欲しそうだったから……どっちでも八幡が八幡なのは変わらないしね。でもそれが本当で僕との遊んだりする時間が減ったりするのはちょっと寂しいかな」
八幡「戸塚…………大丈夫、俺の戸塚への愛情はどんなになっても変わらないから!」
彩加「あはは、八幡間違えてるよ。愛情じゃなくて友情でしょ」
八幡(いえ、愛情で合ってます)
彩加「でも何か困ったら僕にも相談してよね。僕にできることなんかたかが知れてるけど……」
八幡「いや、そう言ってくれるだけで嬉しいよ。ありがとう戸塚」
彩加「うん、どういたしまして」ニコッ
八幡(天使や……)
八幡(さて、このあとはどう動くか)
八幡(別に放っておいてもいいのだが、相手が諦めるかエスカレートするかはわからない)
八幡(少し川崎と話し合う必要があるが……その前に昼飯どうすっかな)
八幡(昨日の場所は写真でバレてるだろうし、どこに行っても好奇心旺盛なやつが見に来る可能性はある)
八幡(由比ヶ浜あたりなんかはあとを付けてくるかもしれんし……別々に食べるにしても一度は川崎に接触して弁当を受け取らなければならん)
八幡(そんなふうに試行錯誤しているうちに昼休みに突入してしまった)
八幡(川崎が弁当の包みを持って席を立つと、俺と交互に注目が集まる)
八幡(あー、考えるのが面倒くさくなってきた。もう昼を一緒にしたのはバレてるんだし教室でもいいか。飲み物も買ってあるし)
八幡(席を立たない俺を見た川崎は一瞬考え、自分の椅子を引きずって俺の机にやってくる)
八幡(え、なに、俺の考えを読んだの? やっぱり川崎さんエスパーなの? それとも俺がわかりやすいだけ?)
八幡(俺の斜め向かいに椅子を据えて座り、包みをほどく)
沙希「はい、あんたの分」
八幡「おう……よく、わかったな」
沙希「何となくね」
八幡(会話はそれだけ。いただきますの挨拶をしてからは二人とも無言で食す)
八幡(別に俺達はそれが苦ではないのだが、こちらを窺っている連中は怪訝な表情をしている。由比ヶ浜も今日は三浦達と食べているようで、チラチラと時折視線を向けてきた)モグモグ
八幡(今日は甘い玉子焼きか……)モグモグ
八幡「ごちそうさまでした」
沙希「お粗末様でした。んじゃ」
八幡「ああ」
八幡(またもや必要最低限の言葉しか交わさずに俺達は席を離れた。川崎は自分の席に、俺は飲み物を買いに)
八幡(やはり大半は俺達の距離を計りあぐねているようだ。男女二人が一緒に昼を取っているのに会話がなく、しかもそれが自然体なのが理解しづらいのだろう。別に知ってほしいとも思わんが)
八幡(別に放っておいてもいいのだが、相手が諦めるかエスカレートするかはわからない)
八幡(少し川崎と話し合う必要があるが……その前に昼飯どうすっかな)
八幡(昨日の場所は写真でバレてるだろうし、どこに行っても好奇心旺盛なやつが見に来る可能性はある)
八幡(由比ヶ浜あたりなんかはあとを付けてくるかもしれんし……別々に食べるにしても一度は川崎に接触して弁当を受け取らなければならん)
八幡(そんなふうに試行錯誤しているうちに昼休みに突入してしまった)
八幡(川崎が弁当の包みを持って席を立つと、俺と交互に注目が集まる)
八幡(あー、考えるのが面倒くさくなってきた。もう昼を一緒にしたのはバレてるんだし教室でもいいか。飲み物も買ってあるし)
八幡(席を立たない俺を見た川崎は一瞬考え、自分の椅子を引きずって俺の机にやってくる)
八幡(え、なに、俺の考えを読んだの? やっぱり川崎さんエスパーなの? それとも俺がわかりやすいだけ?)
八幡(俺の斜め向かいに椅子を据えて座り、包みをほどく)
沙希「はい、あんたの分」
八幡「おう……よく、わかったな」
沙希「何となくね」
八幡(会話はそれだけ。いただきますの挨拶をしてからは二人とも無言で食す)
八幡(別に俺達はそれが苦ではないのだが、こちらを窺っている連中は怪訝な表情をしている。由比ヶ浜も今日は三浦達と食べているようで、チラチラと時折視線を向けてきた)モグモグ
八幡(今日は甘い玉子焼きか……)モグモグ
八幡「ごちそうさまでした」
沙希「お粗末様でした。んじゃ」
八幡「ああ」
八幡(またもや必要最低限の言葉しか交わさずに俺達は席を離れた。川崎は自分の席に、俺は飲み物を買いに)
八幡(やはり大半は俺達の距離を計りあぐねているようだ。男女二人が一緒に昼を取っているのに会話がなく、しかもそれが自然体なのが理解しづらいのだろう。別に知ってほしいとも思わんが)
すいません、仕事中の空いた時間とかに上司の目を盗んで投下したりしてるんで宣言しづらかったんです
これからはとりあえず間が空きそうなら宣言を入れときます
これからはとりあえず間が空きそうなら宣言を入れときます
八幡(やはり校内では人目というか犯人の目が気になるので、予備校で話し合うことにした)
八幡(幸い今日は予備校があるし、俺達が同じ予備校だと知っているやつはほぼいない)
八幡(そのことをメールで確認し、今日一日ほとんど川崎と言葉を交わさずにいた。いや、普段から話してないけど)
八幡(そのせいか写真を見てない川崎よりあとから来た連中は疑り深い目で俺達とクラスメイトを見ていた)
八幡(別に隠してるわけじゃないんだけどね。聞かれたら答える気はあるし。聞かれなかっただけで)
八幡(ただそんなポンポン必要なく会話が飛び交うような性格ってわけじゃないってだけだし、俺も川崎も)
八幡(そんなこんなで俺は特に誰かに絡まれることなく部室へ向かう)
八幡「うぃーっす」ガラガラ
雪乃「あら、誰かと思えば……誰だったかしら?」
八幡「おい、一日置いただけで記憶から消されるってなんなの? そんなに俺の存在を脳から抹消したいの?」
雪乃「冗談よ、ひ、ひ……えっと、あなたのことを忘れるわけないじゃない」
八幡「名前を現在進行形で忘れてるからなそれ」
結衣「ヒッキー!!」ガラッ
八幡(雪ノ下といつものようなくだらないやりとりをしていると由比ヶ浜が駆け込んできた)
八幡「おう、どうしたそんなに慌てて。二日振りに雪ノ下に会えるのがそこまで嬉しいのか」
結衣「あ、ゆきのんおとといぶりー」ダキッ
雪乃「暑苦しいから離れてちょうだい由比ヶ浜さん」
八幡(そうは言っても引き離そうとはしない雪ノ下さんです。ゆるゆりの世界を邪魔しちゃいけませんね、大人しく本でも読んでましょう)
雪乃「それでどうしたの由比ヶ浜さん?」
結衣「あ、そだ、ヒッキー! アレどういうこと!?」
雪乃「アレ?」
八幡(幸い今日は予備校があるし、俺達が同じ予備校だと知っているやつはほぼいない)
八幡(そのことをメールで確認し、今日一日ほとんど川崎と言葉を交わさずにいた。いや、普段から話してないけど)
八幡(そのせいか写真を見てない川崎よりあとから来た連中は疑り深い目で俺達とクラスメイトを見ていた)
八幡(別に隠してるわけじゃないんだけどね。聞かれたら答える気はあるし。聞かれなかっただけで)
八幡(ただそんなポンポン必要なく会話が飛び交うような性格ってわけじゃないってだけだし、俺も川崎も)
八幡(そんなこんなで俺は特に誰かに絡まれることなく部室へ向かう)
八幡「うぃーっす」ガラガラ
雪乃「あら、誰かと思えば……誰だったかしら?」
八幡「おい、一日置いただけで記憶から消されるってなんなの? そんなに俺の存在を脳から抹消したいの?」
雪乃「冗談よ、ひ、ひ……えっと、あなたのことを忘れるわけないじゃない」
八幡「名前を現在進行形で忘れてるからなそれ」
結衣「ヒッキー!!」ガラッ
八幡(雪ノ下といつものようなくだらないやりとりをしていると由比ヶ浜が駆け込んできた)
八幡「おう、どうしたそんなに慌てて。二日振りに雪ノ下に会えるのがそこまで嬉しいのか」
結衣「あ、ゆきのんおとといぶりー」ダキッ
雪乃「暑苦しいから離れてちょうだい由比ヶ浜さん」
八幡(そうは言っても引き離そうとはしない雪ノ下さんです。ゆるゆりの世界を邪魔しちゃいけませんね、大人しく本でも読んでましょう)
雪乃「それでどうしたの由比ヶ浜さん?」
結衣「あ、そだ、ヒッキー! アレどういうこと!?」
雪乃「アレ?」
結衣「えっとね……」ヒソヒソ
八幡(ねえ由比ヶ浜さん、目の前に本人いるのにわざわざ内緒話っぽくするのは何でなんですかねえ。それでこっち見て嘲笑されたらトラウマ確定なんですけど)
雪乃「そう、そんなことが……」
結衣「で、結局あの写真はどういうことなの!?」
八幡「知らねえよ、誰が貼ったかなんて。自撮りしたわけでもねえし」
結衣「そうじゃなくて! なんでサキサキに膝枕されてるの!?」
八幡「なんでって……お前とのメールのやり取りで寝不足だって言ったらしてくれたんだよ」
結衣「あ、う……えと」
八幡「つまり原因を突き詰めたら由比ヶ浜がそもそもの原因ってわけだな」
雪乃「寝不足自体はそうだとしてもわざわざ膝枕である必要はないんじゃないかしら?」
結衣「そ、そうだよ! そんなうらや……恥ずかしいことをわざわざ!」
雪乃(でも、比企谷君が寝不足の機会があれば私も……)
結衣(あたしが膝枕してあげるって言ったらヒッキー喜んでくれるかな……)
八幡「んー、そういやそうだな。あまりに眠くてよく考えずに川崎の提案を受けてしまったが…………軽はずみに女子の身体に触れるようなことは極力避けるべきだな。これからは特に気を付けるから。もちろんお前らに対しても」
雪乃 ・結衣「えっ?」
八幡「? そう言いたいんだろ?」
雪乃「え、ええ、そうよ。色眼鏡で見ていかがわしいことをしていると思う人もいるかもしれないし」
結衣「こ、これからは気を付けてね!」
雪乃 ・結衣(またやってしまった……)
八幡(でも、女子側からくっついてくるのはセーフだよな。自転車の二人乗りの時とか)
八幡(ねえ由比ヶ浜さん、目の前に本人いるのにわざわざ内緒話っぽくするのは何でなんですかねえ。それでこっち見て嘲笑されたらトラウマ確定なんですけど)
雪乃「そう、そんなことが……」
結衣「で、結局あの写真はどういうことなの!?」
八幡「知らねえよ、誰が貼ったかなんて。自撮りしたわけでもねえし」
結衣「そうじゃなくて! なんでサキサキに膝枕されてるの!?」
八幡「なんでって……お前とのメールのやり取りで寝不足だって言ったらしてくれたんだよ」
結衣「あ、う……えと」
八幡「つまり原因を突き詰めたら由比ヶ浜がそもそもの原因ってわけだな」
雪乃「寝不足自体はそうだとしてもわざわざ膝枕である必要はないんじゃないかしら?」
結衣「そ、そうだよ! そんなうらや……恥ずかしいことをわざわざ!」
雪乃(でも、比企谷君が寝不足の機会があれば私も……)
結衣(あたしが膝枕してあげるって言ったらヒッキー喜んでくれるかな……)
八幡「んー、そういやそうだな。あまりに眠くてよく考えずに川崎の提案を受けてしまったが…………軽はずみに女子の身体に触れるようなことは極力避けるべきだな。これからは特に気を付けるから。もちろんお前らに対しても」
雪乃 ・結衣「えっ?」
八幡「? そう言いたいんだろ?」
雪乃「え、ええ、そうよ。色眼鏡で見ていかがわしいことをしていると思う人もいるかもしれないし」
結衣「こ、これからは気を付けてね!」
雪乃 ・結衣(またやってしまった……)
八幡(でも、女子側からくっついてくるのはセーフだよな。自転車の二人乗りの時とか)
雪乃「それで、結局この件はどうするのかしら?」
八幡「犯人ならある程度目星を付けてるが……どうするかはまだ考えてねえな」
結衣「えっ、わかってるの?」
八幡「候補を何人かに絞っただけだ」
雪乃「でも、たまたま通りがかった愉快犯かもしれないわよ?」
八幡「そうだな。その可能性も含めてあとで川崎と話し合っとくつもりだ」
結衣「……ねえヒッキー、まだサキサキと付き合うフリ続けるの?」
八幡「おう、今回みたいなのがあった以上ここで止めたら川崎がアレに屈したことになるしな。それは今後のことも考えると良くないだろ」
八幡(彼氏役であることに特典がないわけじゃないし。弁当とか玉子焼きとか)
雪乃「……あなた川崎さんに変なことをしてないでしょうね? 恋人役にかこつけて」
八幡「するか。手すら繋いどらんわ」
八幡(あん時のあれは俺から握っただけだから嘘じゃない)
結衣「まあヒッキーはヘタレだもんね」
八幡「出してなきゃ出してないで貶されるのかよ……」
雪乃「一応聞いておくけれど私達に出来ることはあるかしら?」
八幡「んー、今んとこねえな。方針も決まってねえし。でも何かあったら頼らせてもらってもいいか?」
結衣「! う、うん! 遠慮しないでどんどん頼ってよ!」
雪乃「困った人に手を貸すのが奉仕部よ」
八幡「サンキューな二人とも、あ……ありがとう」
雪乃「比企谷君、サンキューとありがとうが被ってるわよ」クスクス
八幡「うっせ」
八幡(愛してる、とか言いそうになってしまった。こういうのも軽々しく言っちゃいけねえな)
八幡「犯人ならある程度目星を付けてるが……どうするかはまだ考えてねえな」
結衣「えっ、わかってるの?」
八幡「候補を何人かに絞っただけだ」
雪乃「でも、たまたま通りがかった愉快犯かもしれないわよ?」
八幡「そうだな。その可能性も含めてあとで川崎と話し合っとくつもりだ」
結衣「……ねえヒッキー、まだサキサキと付き合うフリ続けるの?」
八幡「おう、今回みたいなのがあった以上ここで止めたら川崎がアレに屈したことになるしな。それは今後のことも考えると良くないだろ」
八幡(彼氏役であることに特典がないわけじゃないし。弁当とか玉子焼きとか)
雪乃「……あなた川崎さんに変なことをしてないでしょうね? 恋人役にかこつけて」
八幡「するか。手すら繋いどらんわ」
八幡(あん時のあれは俺から握っただけだから嘘じゃない)
結衣「まあヒッキーはヘタレだもんね」
八幡「出してなきゃ出してないで貶されるのかよ……」
雪乃「一応聞いておくけれど私達に出来ることはあるかしら?」
八幡「んー、今んとこねえな。方針も決まってねえし。でも何かあったら頼らせてもらってもいいか?」
結衣「! う、うん! 遠慮しないでどんどん頼ってよ!」
雪乃「困った人に手を貸すのが奉仕部よ」
八幡「サンキューな二人とも、あ……ありがとう」
雪乃「比企谷君、サンキューとありがとうが被ってるわよ」クスクス
八幡「うっせ」
八幡(愛してる、とか言いそうになってしまった。こういうのも軽々しく言っちゃいけねえな)
フリ、か……。
「そんなレプリカはいらない」とか思ったりしないんかな、この八幡。
「そんなレプリカはいらない」とか思ったりしないんかな、この八幡。
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