私的良スレ書庫
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元スレ沙希「ねぇ…」 八幡「」
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嫌じゃないっす。
マジで全然嫌じゃないっす。
ていうか妹にかまってもらえて嫌になる兄とかいないんじゃない?
そろそろ企業は妹付与とかのサービスしたら売り上げとか莫大に伸びそう。
八幡「あのな、嫌とかそういう問題じゃねえだろ…。………はぁ、まぁもういいわ、もう諦めたわ考えるの面倒くさいし」
小町「うむ、それで良いのだっ」
深い溜息を吐いて、小町から視線を外す。
たぶんきっと絶対ダメなんだろうけど、もう今日は良い。
もう今日は疲れました。
もう隣に小町がいるだけで癒されるから良いわ。
………アレ?ちゃんと癒されちゃってんじゃねーか。
アレ?だったら全然良くね?
たぶんきっと絶対ダメだけど。
Never say neverだよ、うん。
小町「……なんかあったのは、お兄ちゃんの方じゃないの?」
八幡「………」
小町「……なんとなくね、分かるんだ。アホな妹でも、ずっと一緒にいると。小町、いつでも相談に乗るからね?小町ってそれくらいしかできないから…」
八幡「………」
小町「……なんかごめんね、おやすみっ」
八幡「……あぁ、おやすみ」
そう言うと小町は横向きのまま完全に密着してきて、キュッと俺の手を握った。
その手を俺も極力そっと握り返す。
もしここに雪ノ下が居たら即刻通報されてる。
他人が兄妹でこんなことしてるトコロに出くわしたら俺が通報してるまである。
そんな小町の手の体温をしっかりと受け取って、静かに目を閉じた。
小町にはいつも助けられてる。
今だって、こうして落ち着いて瞼を閉じることができる。
今日は色々とあったのに…。
色々と……。
……………由比ヶ浜…。
そんな事を考えているうちに、深い眠りに落ちていった。
高坂さんのとこの兄妹といい、比企谷さんとこの兄妹といい全くけしからんな
続けろ下さい
続けろ下さい
翌日の土曜日、現在14時過ぎ。
昨日の雨は止み、曇り空から少し晴れ間が差し込んでいた。
晴れ間が差し込んでいていてもこの季節は少し雨が降っただけで気温がグッと下がる。
実際には気温としてはそんな低くはないのだが、体感温度としては寒い。
願わくばこういう寒い日は家で炬燵にコッポリ入ってダラダラするに限るのだが、俺の現状はさにあらず。
八幡「お前昼飯は?」
現在俺は最寄りのララポートに来ている。
こんな寒い日といえど、世の中子供から大人まで元気あり過ぎというか暇人が多いというか、多くの人で賑わっていらっしゃる。
もちろん俺は暇人の部類に入る。
そんな俺の今日の出かける要因になった隣を淡々と歩く人物に話しかける。
下はジーンズ、上はグレーのタートルネックのニット、その上にベージュのステンカラーコートを羽織り、歩くごとに綺麗にシュシュでまとめられた青みがかった黒髪が揺れている。
つまるところ川なんとかさんが居るわけだ。
俺の問いに川なんとかさんは特に感情も込めずに応える。
沙希「食べてきた。……あんたは?」
八幡「俺も食べてきた」
沙希「……ふーん…」
俺の返答に少し眉間に皺を寄せる川なんとかさんを横目で見て変な気分になったが、それきり会話は特になく、更に行き先があるわけでもなく、ただ二人とも店内をブラブラと歩いていた。
ブラブラであって決してラブラブではない。
俺がラブラブなのは戸塚だけだ。もちろん一方的なラブだけどね!
沙希「そこ入らない?」
それからわずか4分程度で沈黙を破ったのは川崎の方で、指を指したのはララポート内にあるカフェスペース。
八幡「ん、あぁ」
店員に促されるまま席に着いて適当にコーヒーの注文を済ます。
高校生が休日に私服でとはいえカフェにいるのはなんだか浮く。
高校生の財布事情にカフェは値段が釣り合っておらず、おそらく周りの大人達には大人気分に浸りたいガキが…という目で見られているのだろう。
それに加えて川崎の容姿に相反して目の腐った俺が居ては悪目立ちしてしまうんじゃないかと心配にもなる。
世界って残酷だね。
人は見た目でしか判断されないんだから。
八幡「それで、今日は何の用事だ?」
コーヒーが出てくるまでの間に今日の本題を投げかける。
事の発端は今朝の10時前くらい。
リビングでぼーっとして小町の話に適当に相槌を打っていた時、小町の携帯に彼女の弟の川崎大志から連絡が入ったのだ。
電話を切るなり小町に『今日の14時、ララポート前ね』と言われて、意味も分からず来てみれば川崎沙希が居たというわけだ。
自分でも何を言っているのかよく分からないから突っ込まないでほしい。
沙希「あんた、妹から何も聞いてないわけ?」
八幡「まぁ…」
沙希「…………なんかあった?」
八幡「は?」
川崎の問いに心臓が飛び跳ねる。
ちょうどその時、店員がコーヒーを置いてごゆっくりどうぞ、と定型文を述べて立ち去っていった。
無意識に視線をマグカップ内のコーヒーに落とす。
今の会話のどこに俺の内面を見透かせるポイントがあったのだろうか?
俺は川崎の問いにたったの二文字しか使っていないわけだが…。
俺の声色か?表情に出ていたか?
俺の疑問を読み取ったように川崎が応えた。
沙希「……理由も何も聞いてないのにここまで来るって、なんていうか、らしくないし」
………あぁ、なるほど。本当だ。確かにそうだ。
川崎の言葉はストンと俺の中に落ちた。
詳細も教えられてないし、理由もないのに俺が休日にこんなとこまで一人でノコノコとやって来た、全くもって俺らしからぬ行動だ。
そしてそんな行動をした理由は分かっている。
自覚はしていながらも、それを川崎に言うべきか、言ってもいいものなのか、判断がつかず適当に濁した。
八幡「たまたま今日は出かけたい気分だっただけだ」
沙希「それ自体が全然らしくないんだけど」
川崎の言う通りだ。
そんな事あるはずがないのに。
八幡「……んで、お前の話は?」
俺の乱暴な切り返しに川崎は少し不満そうに眉根を寄せる。
沙希「……いい」
八幡「は?」
沙希「あたしの話はいい。っていうかもとから特にないし」
八幡「待て、意味が分かんないんだけど」
沙希「あたしもあんたと同じで、昨日大志にこの14時くらいにララポート前って言われて来ただけだから」
八幡「それって……」
あー、お兄ちゃん段々分かってきちゃったよ小町ちゃん。
これは帰ってお仕置きが必要ですね。
休日に俺を外に出した罰と、このカフェ代の分はきっちり叱ってやらにゃならん。
大志に関しては今度会ったらもうただじゃおかねぇ。
頭の中で(大志だけに)呪詛を呟いていたが、川崎の気怠げな目と目が合ってやめた。
沙希「でもそれも別にいいよ」
八幡「いや俺はよくねえんだけど…」
全然いくない!
時は金なりという言葉を知らんのか。
タイムイズマネーだよタイムイズマネー。
んー、この英語で言った時の海浜幕張高校っぽさがヤバい。
どのくらいヤバいかって、思い出しただけで頭を抑えたくなるくらいヤバい。
彼らの意識の高さは家庭でも発揮されるのだろうか?
つまり自分の親とかの前でもあんな感じなのだろうか?
うちの親の前であんな感じだとぶたれそうなんだが…。小町には嫌われるまである。
八幡「つうか俺自身、お前に話すことは特にないからな?」
これは事実だ。
確かに俺は昨日、由比ヶ浜に告白をされた。
だがそれを他人に話したところで何も変わらない。
他人に話した故に、噂となることだってある。
噂は次々と曲解されていき、最悪もう俺と由比ヶ浜は他人によって関係を切ることになるかもしれない。
川崎が他人に言うとは思わないが、ていうかこいつも言う友達いないだろうし…、でも言わないに越したことはない。
川崎は口を引き結んで、ジロッと睨めつけてくる。
八幡「………確かに何も無かったわけじゃねぇよ。でも人に言うようなモンでもねぇし、言う理由も……」
『理由』、その言葉を俺は使って良いのだろうか。
由比ヶ浜を理由もなしにフった俺に、そんな言葉を使う価値があるのか。
川崎は俺の言葉が切れたことに怪訝な視線を向けてきてから、諦観混じりに深い溜め息を吐いた。
沙希「……またそれ?」
川崎の目はいつものように気怠げで、でもどこか寂しそうで。
その視線に飲み込まれて、ただ黙って彼女の言葉の続きを待った。
沙希「理由って、そんな大事なわけ?」
店内には他の客だっている。
当然喋っている人だっている。
でも、川崎の声が、とてもクリアに聞こえた。
昼時の少しざわついた店内に、まるで俺たち2人しかいないかのように、ただ静かに、川崎の言葉を待った。
俺が欲しかった答を彼女が知っているような気がして。
沙希「……理由って大事だとは思うけど、必要なものだとは思わない、っていうかさ…。まぁあれば楽だとは思うけど…」
理由が必要ないという理論はどこからくるのだろうか。
わからない。
わからないはずなのに、なぜか、その言葉たちがストンと中に入ってくる。
なぜか、その理論に胸の奥が、熱くなる。
だからだろうか。
言うつもりもなかったし、川崎に言う理由もなかったのに、なぜか無意識的に言葉を発していた。
八幡「由比ヶ浜に、告られた…」
沙希「でもなんていうかーーーは?」
先ほどまで言葉に出すことを頑なに拒んでいたのに、俺の中で何かが吹っ切れたのか、スルリと言葉が出てくれる。
八幡「いやだから、由比ヶ浜に、告られた」
沙希「………ぇ?」
ん?もしもし?あれーおかしいなぁ。俺の声が聞こえてない?
ならもう一回言ってみるか。
これで聞こえなかったらきっと川崎にはノイズキャンセリング機能が付いていて、俺の声をノイズだと認識しているという風に解釈しよう。
八幡「だからーーー」
俺の言葉を両手を胸の前でブンブン振って遮る。
沙希「ちょっ、ちょちょ、ちょっと待って!え?由比ヶ浜?こ、こ告白?え?は?え?」
八幡「おい、ちょっと落ち着け」
沙希「お、おおお落ちついてるからっ!」
うーむ、なんでこの娘こんなにドタバタしてるの?
そんなに俺が告白されるのが意外でした?
俺みたいな男子が告白されてはダメでした?
良いじゃありませんか、目が腐ってる所を除けば顔はそれなりにマトモな方なんだぞ!
川崎はぬるくなったコーヒーを一気に飲み干して、額に手を当てて尋ねてくる。
おぉ、そのポーズ、雪ノ下みたい。
沙希「そ、それって、その、本当…?」
八幡「いや、こんな嘘つかねぇよ。エイプリルフールじゃねぇんだから。いやエイプリルフールでもつかねぇけど」
ていうかそもそもエイプリルフールに嘘つき会ってキャッキャウフフする様な友達がいないんですけどね?
そもそもエイプリルフールだからって無理して嘘つかなくても良いと思うのん。
沙希「えっと……、その、へ、返事は…?」
その視線落としてモジモジ喋るのやめてもらえませんかね?
何かすごく居づらいんだけどなー。
八幡「それは…………断った…」
>>168
エイプリルフールじゃねぇか
エイプリルフールじゃねぇか
あの時の由比ヶ浜の布越しの肌の柔らかさが、温もりが、顔が、頭の中にフラッシュバックして、つい声に力が無くなった。
俺のその反応に川崎は落ち着きを取り戻して、すっといつも通りの、しかし真剣な顔に戻る。
沙希「………そう、だったんだ…」
八幡「あー、いやそんなお前が暗くなるような話じゃないだろ。俺と由比ヶ浜の問題だし、それに一応こうして解は出てんだから」
沙希「………なんで?」
八幡「は?」
沙希「……由比ヶ浜をフった理由。なんでフったわけ…?」
八幡「それこそ聞いてどうすんだよ…」
沙希「それは……その、参考に…」
八幡「俺の話なんて聞いても参考になんねぇよ。自分で言うのもなんだが、周りの奴らと考え方とか価値観とかかなり違うと思うぞ俺って」
沙希「良いよ、それでも」
八幡「………エラく食い下がるな」
沙希「そういうわけじゃ…」
川崎の目は至って真面目だ。
ただの好奇心や、からかいのために聞いてきているのではないと分かる。
ここまで食い下がってくるのも、何か意味があるのだろう。
だからこいつになら俺は言っても良いと思える。
というよりすでにここまで言っているのだ。
今さら渋っても仕方ない。
だから少し息を吸い込む。
八幡「アイツをフった理由があるんなら、俺が知りてぇよ…」
* * *
翌々日の月曜、俺は憂鬱だった。
朝、否が応でも由比ヶ浜と顔を合わせることになるであろうことを思うと憂鬱になった。
登校後、一度も視線を向けてこない由比ヶ浜の態度に思わず屋上から飛び降りそうになった。
そして現在放課後、とりあえず部室に行こうと鞄を手に取り、ノソノソと廊下を歩いていると後ろから背中を叩かれた。
振り向いた先にいた人物に思わず息を飲む。
結衣「やっはろ〜」
俺の顔が相当面白い顔になっていたのか、由比ヶ浜はしてやったりという風ににっしっしとイタズラな笑顔を見せる。
それでも俺がポカンとしていると、今度はその顔をしまい、少し真面目な顔になって見据えてきた。
結衣「ヒッキーすごくビックリした顔してる」
八幡「え、いや、だって、お前……」
何か言わねばならないのに、何も言葉が見つからない。
俺の疑問を解消してくれるように、全てお見通しといったように、優しい目で優しい声音で話しかけてくる。
結衣「もう、話したりしないって思ってた?」
八幡「…そりゃ、まぁ……あんな事があったし…」
結衣「もうやっぱりっ!そんな、中学生じゃないんだしさ!」
2期忘れてた・・・
とりあえず俺ガイルのSSが増えていく事に期待
する
作者さん頑張って~
とりあえず俺ガイルのSSが増えていく事に期待
する
作者さん頑張って~
一期でカットした。サンキュー、愛しているぜ川崎!の回収無しでした
やはりアニメの地域格差は間違っている
不毛の静岡と九州南部の地獄よ……
不毛の静岡と九州南部の地獄よ……
えるしっているか
しずおかのゆうがたのアニメ枠はしょうめつした
しずおかのゆうがたのアニメ枠はしょうめつした
そこで由比ヶ浜はいつものように笑顔になる。
その笑顔を見て、俺もどこかホッとした。
しばらくその顔を見ていなかったような気がする。
だからだろうか、とてもその笑顔が、眩しい。
結衣「そんな風にはなんないよ。なりたく、ないよ…」
八幡「………」
再び真剣な表情。
そこで由比ヶ浜が歩き出したので俺もそれに続く。
いつもの部室までの道のりだ。
なのにとても遠く、放課後の学校の賑わいなど感じさせない廊下に軽くめまいを感じた。
由比ヶ浜がポツリと、独り言のように言葉を漏らすが、こんな静寂の中では全てがハッキリと聞こえる。
結衣「……もうすぐで2年も終わりだね…」
八幡「……そうだな」
結衣「………きっと3年生もすぐ終わるんだろうなぁ」
八幡「…………たぶんな」
結衣「……そしたらさ…」
由比ヶ浜の言葉が詰まった。
言おうとしていること、あるいは考えていることは分かる。
それはきっと、俺の、俺達の、彼女達の、未来。
俺がずっと、ずっと考えてきた、あるいは避けてきた、現実。
結衣「……そしたら、、どうなっちゃうのかな?」
八幡「………」
なぜ、由比ヶ浜は唐突に、このタイミングでこの話をしてきたのだろう?
これは先日の彼女の告白に何か関係性があるのだろうか?
いや、関係があろうとなかろうと、俺にはその問いに答えられる解がない。
だから俺はただ黙るしかなくて、そんな俺を横目でチラリと見た由比ヶ浜はクスッと微笑んだ。
結衣「きっとね、3人とも違う進路に進むと思うんだ。だから来年の1月にセンター試験があって、その頃は勉強が忙しくて部活そんな出来なくなって、試験のあとは自由登校とかになってさ、たぶん、もう奉仕部でいられる時間って少ないんじゃないかなって思う」
由比ヶ浜の指摘はおそらく間違いなくて、ものすごく現実的で、あまりにも生々しくて、だからこそ俺は未来が怖くて、どこか痛くて、なぜか切なくて、無自覚に寂しくて。
結衣「進学、それとも就職で誰かが県外に行くかもだし。もしかしたら外国行っちゃうかもだし…」
パッと雪ノ下の顔が思い浮かんだ。
あいつなら本当に海外とかまで行ってしまいそうだ。
でもね、と由比ヶ浜は言葉を繋いだ。
結衣「きっとあたし達は、大丈夫だと思うんだ。だからーーー」
何が大丈夫なのだろうか。
不確定の未来をこうも強く信じられる由比ヶ浜の根幹を支えるものはなんなんだ。
いつか絶対に終わりは来るのに。
結衣「ーーーだからこの前、ヒッキーに告白したんだよ」
だから、と言われても何がだからなのか分からない。
由比ヶ浜の言葉の意図するところが全く読めず、隣を歩く由比ヶ浜をチラリと見ると頬を少し朱に染めていた。
うん、そういう顔見るとドキドキしてきちゃうからやめてね?
八幡「それって、、どういう…」
結衣「きっと、大丈夫だって、思ったから…」
たははと照れくさそうに笑うと、由比ヶ浜はキュッと足を止めた。
俺もつられて足を止めて、由比ヶ浜に向き直る。
結衣「告白してフられても、きっと、いつもみたいに居られるって……もしかしたら、もっと強く繋がれるかなって、思ったから」
互いに向き合って、その真剣な目を見ればなんとなく由比ヶ浜の本意が読み取れた。
そのくらいには、俺たちはもう繋がれているということだろうか。
由比ヶ浜はきっと、自分の奥深くにある想いをぶつけることで、再び、より強く繋がれるのではないかと思ったのだろう。
例えそれが、俺への告白でも。
そして俺が、断ったとしても。
それでも強く繋がれると思ったのは、きっと俺への信頼。
八幡「……いやでも俺、さっきお前に話しかけられるまで…」
結衣「そりゃね、あたしもそうだし。なんて話しかけたら良いのかなぁとか全然分かんなくて困ってたから…。でも良いじゃん!今こうして話せてるんだから。結果オーライだよっ!」
八幡「お、おう、そうか…」
そうなのだっ!と元気よく相槌を打つ由比ヶ浜。
そこで再び歩き出そうとする彼女に、俺はつい聞きたいという衝動を抑えられず、声を発した。
八幡「なんで、そんなに俺を信頼してるんだよ」
結衣「んー…」
由比ヶ浜は顎に指を立てて少し黙考してから顔を上げると、意地悪そうに聞き返してくる。
結衣「ヒッキーはなんであたしをフッたの?」
八幡「は?えっ、あ、あー、それは……」
まさかの不意打ちに急所を突かれて動揺してしまう。
いやホントアレな。たまにいる不意打ち持ちのガルーラ様。
この前も不意打ち急所当たってやられたからなー。マジで次回作ではガルーラ様の調整おなしゃす。
って今大事なのはそこじゃなくてぇッ!!
あぁ、なんて答えれば良いんだよぉ…。
八幡「あー、まぁそのなんだ、別にお前のことが嫌いとかじゃなくて、むしろアレで、アレなんだけどなんか違うっつーか、よく分からんっつーのが実際のとこっつーか、なんか俺自身よく分かってないみたいな………」
結衣「あー、いやもう良いから。なんかよく分かったから。っていうかヒッキー言ってること最低だし…」
え?なにその目…。
俺そんな最低なこと言ってた?
あー……うん言ってるね!
なんなら平手打ち飛んできてもおかしくないくらい最低なクズ男だね!
由比ヶ浜はやれやれといった風に溜め息を吐くと呆れ混じりの顔で見てくる。
うん、その気持ち分かるよ。
いやこんな奴の相手してると溜め息の一つや二つ吐きたくなるよね。
特にそんな奴に自分が告白したのかと思うと一気にやる気なくなると思うわ。なんなら屋上から飛び降りるまである。
結衣「……でもね」
八幡「お、おぅ」
結衣「………きっと、そんなモノだよ」
八幡「は?」
結衣「ヒッキーやゆきのんってあたしなんかよりずっと勉強できて、色んな事知ってて、使う言葉難しくて、カッコ良くて、すごくあったかいけど、けど、ホントにバカだよ」
八幡「………」
結衣「あたしだって、ヒッキーの事をこんなに信じられる理由なんてよく分かんないもん」
八幡「ぇ?」
結衣「きっとね、この一年ずっと一緒にいたってこともあるだろうけどさ、それだけじゃないもん。でも多分それは言葉じゃ言えないことだよ」
そうだ。
俺は由比ヶ浜をフった理由を言葉にできない。できなかった。
そんな俺を由比ヶ浜は許してくれるのか。
由比ヶ浜がずっと大事に閉まっていた想いを、たったの二言三言で一刀両断し、その一太刀の理由は実はありませんでしたなんて事を、由比ヶ浜は許容できるのか?
八幡「……なんでーーー」
俺の言葉を由比ヶ浜が端的な言葉で遮る。
結衣「人だからだよ」
八幡「は?ヒト?」
結衣「うん。きっとね、ヒッキーやゆきのんは人だからこそ理由とか論理?とか求めるべきだーって言うかもだけど、あたし思うんだ。人だからその時の感情とか雰囲気とかに流されるんだって」
由比ヶ浜の言葉は的を射ているのではないか。
その証拠にその言葉たちがパズルのように頭に吸い込まれていくのが分かる。
あぁ、やはりそうか…。
こいつは、由比ヶ浜はーーー。
結衣「ウチのサブレだって色んな事考えたり感じたりしてるんだろうけど、でもあたし達ってワンちゃん達よりも色んな事勉強してて、考えてて、感じられるじゃん」
八幡「……そうだな」
結衣「だからね、その時の感情とか雰囲気に流されてばっかなのはあんま良くないと思うけど、でもやっぱ理由がないのに勝手に動いちゃうんだよ!………アレ?なんか言ってること意味わかんないかも…」
八幡「心配すんな、たぶんちゃんと伝わってるから」
結衣「…そっか。なら、良かった!」
エヘヘ〜とはに噛む仕草に見惚れてしまう。
人は、他の動物以上に物事を感情的に、感覚的に捉えられるからこそ、動かずにはいられない。
そこに理由がある時もあるが、無い時の方が多い。
理性的であるはずの人間は、実は他生物よりもずっと利口になったせいで、ずっと本能的になってしまう、由比ヶ浜はそう言っているのではないだろうか。
ーーーそうだ。
ーーーこいつは、由比ヶ浜は、いつだって俺や、雪ノ下が辿り着けない答を持っていた。
俺たちがいつまで求めても辿り着けない境地にこいつは居て、いつだって俺たちを手招いてくれた。
だから素直に、ただ純粋に、由比ヶ浜結衣を、すごいと思った。
一期は「サンキュー!愛しているぜ!サキサキ」がカットされて
替わりに相模に振られて八幡が暴言吐いたとの噂を聞いて、八幡を睨みつけてた後そっぽを向いて不機嫌になるシーンが有ったから
アニ専のひとには川崎の行動は意味不明に見えるだろうな
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>>196
SSで補完したわ
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