私的良スレ書庫
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元スレいろは「せーんぱいっ」八幡「」
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初ssです
要望あればエロいシーンも書くかもしれません
誤字、脱字あったらすみません
口調が変だったら指摘して頂けると嬉しいです
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1412859595
冬休みが明けてもう数日がたつ。
今思い返すと冬休み前、要するに昨年は本当に色々あった。
俺の人生においてあそこまで色々あった年は過去にも、そして今後の未来においてもないんじゃないか…そう思える程色々あった。
…………自分で言ってて辛くなるぜ。
だが俺はぼっちだ。
リア充様方の様にイベント毎に友達ができて、遊んで、笑って、泣いて、みたいな青春は起こりえない。
だがそれで良い。
俺には孤どk…いや、孤高が丁度良い。
そんなしょっちゅう何かのフラグが建ってたら疲れるし面倒だ。
つまるところ、俺は辛いことも面倒事も嫌いだ。平穏が一番良いと心からそう思う。将来は専業主婦になって穏やかな家庭を築きたいと思う。
だが………!
近頃俺の平穏は壊されつつある。
せっかく生徒会選挙からクリスマスイベントを経て奉仕部にも穏やかな日々が流れていたのに!
あいつの…。そう!あのゆるふわビッチこと、一色いろはによって…。
現に今も奉仕部へと繋がる廊下の数メートル先で
いろは「せんぱーいっ!」
とあざとく手を振っている。
いや、きっと俺のことではない。先輩は学校に沢山いる。
そこで俺は見なかった事にしてあいつ
の横を素通りしようとした。
一色の横を通り過ぎて3歩ほど歩いたときだった。
ぐいっ!!
八幡「おえっ?!」
思いっきり後ろから制服の襟を掴まれて尻もちをついた。目の前に笑顔で仁王立ちしている一色いろは。おい、パンツ見えそうで見えねぇとか生殺しかよ!
とりあえず首がしまったせでかなり咳き込んでいる俺に一色が話しかけてくる。
いろは「せーんぱい、何で無視するんですかー?」
どうやらあの先輩コールは俺宛てだったようだ。
八幡「げほっ、げほっ。いや悪い、俺じゃないかと思ってたわ」
いろは「わ、わたしが先輩って呼ぶのは先輩だけですよー。だいたい普通顔見知りが目の前に居たら一声かけてから通り抜けるのがマナだと思いますけどー。」
ぷくーっと頬を膨らませる一色。…うーん、やはりあざとい。だがそれに関しては最もだな。
八幡「確かにそうだな、それに関しては悪かった」
いろは「せ、先輩が素直に謝るなんて!で、でも私は傷付きました、す・ご・く!傷付きましたー」
なんか行動も言葉も全てあざとい。どこでそんなにあざとさ学んでんだよ…。
それはさておき、この流れはまずい。近頃の経験からこの流れが不味いことを俺は知っている。
八幡「おいいっしkーーーー」
いろは「なので今日の部活終わり、お買い物付き合って下さいね」
八幡「」
やっぱり…。俺の悪い予想はかなり当たる。もしろ良い予想は一度も当たったことはない。何それ悲しい…
いろは「まぁ実際はこんなことがなくても誘うつもりで来たんですけどー。まっ、これでもう逃げれませんよね?」
きゃぴるんっといった調子、ではまた後で、と付け加えると一色は行ってしまった。
はぁ、面倒くせぇ…
…………とりあえず奉仕部行くか…
ガラガラと音をたてて開いた戸の向こうにはすでに奉仕部の2人が来てそれぞれ読書とケータイいじいじに集中していた。
俺が来たのに気付いた2人が顔を上げ、視線が俺に集まる。
八幡「……うす」
雪乃「こんにちは、遅企谷くん。」
結衣「やっはろー。ていうかヒッキー遅いよ!何してたの!」
いやいや、別に遅かろうが早かろうが大して問題なかろう、人滅多に来ないんだし…
八幡「いや、まぁ、ほら、アレだよアレ。」
なぜか言葉が出てこない。いや、その理由はわかっているのだが…
結衣「アレじゃ分かんないよ!」
八幡「いや、だからアレで〜、その〜……」
俺が言い淀んでいると由比ヶ浜がはっとした様な顔をする。
結衣「……いろはちゃんでしょ」
その単語が出てくるとまた読書に戻っていた雪ノ下がピクッと反応して顔を上げる。
八幡「…………はい。」
結衣「またー・冬休み終わってから何度目・ていうか毎日じゃない・」
八幡「…………はい。」
雪乃「比企谷くん、そろそろどういったことか説明して貰えるかしら?」
雪ノ下は本を閉じ少し眉間にしわを寄せている。由比ヶ浜はんんー?と机に前のめりになる。……由比ヶ浜さん、双丘が!そしてチラリと見える鎖骨がぁっ!!
つかなんで俺は浮気した夫みたいな状態になってんだよ…
冬休み明けてから本当に一色は毎日の様に放課後、俺の元に来ては今日のように帰りの買い物に付き合わせる。
そのことについてこの2人はどうやらあまり良く思っていないようなのだ。なので言葉にも詰まってしまう。まぁ実際俺も面倒なので付き合いたくはない。
八幡「い、いやむしろ俺が聞きたいくらいだぞ。俺だってこういうの面倒だし、か、買い物付き合ったら荷物持ちで疲れるだけだし…」
だからなんで俺は浮気した(ry。
雪乃「…そう。つまりあなたは付き合いたくもない買い物に無理矢理連れ回されて迷惑していると、そういうことなのね?」
八幡「い、いや、迷惑ってわけでは……」
なんで若干怒ってるんだよ…?
どうやら俺の返答が更にイラッときたらしく、
雪乃「どっちなの?はっきりしてくれるかしら?」
なんか絶対零度みたいな冷やっとした目で睨まれる。俺はそんな目で見られてビクンビクンってしちゃう変態じゃないわけだが…
八幡「や、やっぱり迷惑な方だな…?」
この返答にはご満悦のようでふふんと鼻を鳴らして口元に笑みを浮かべた。
雪乃「そう?では今度一色さんと会った時、比企谷くんがそう思っている、としっかり懇切丁寧に彼女に伝えておくわね?」
こ、怖い!なんなのこの娘っ?!
さすがにそれは一色に悪いので俺も反論する。
八幡「なにも別にそこまでしたくても良いだろ!俺も一色には迷惑をだな…」
雪乃「何を言っているの比企谷くん?あなたはここの部員なのよ?部員が困っていたら助力するのが部長の務めよ」
八幡「それはーーー」
雪乃「それに、これはあなたの為でもあり一色さんの為でもあるのよ?」
八幡「一色の?」
雪乃「ええ、だって彼女は他ならぬあなたとお買い物に行っているのよね?」
八幡「あ、あぁ。それがどうしたってーー」
雪乃「分からないの?なら教えてあげましょう。一色さんに限らず、女性があなたのような目の腐った男と二人で歩いていたら周りの人間はその女性があなたに脅されていると思うはずよ?ましてや、それがここの生徒だったら?それ以上の事はあなたでも分かると思うわおどし企谷くん。」
ひ、ひどすぎるっ!!!クリスマスイベントでできたと思っていた確かな繋がりはどこへ?!
結衣「ーーーーーねぇ」
ここまで空気化していたガハマさんが口を開いた。居たんですか?嘘です気付いてました。ただ俺が雪ノ下と喋ってる最中も前のめりのまま俺の顔をじーーーっと見ていたのでそっちを向けませんでした、はい。
由比ヶ浜は一旦間を置き、すっと息を吸い込んだ。そしてかなり真剣な眼差しを向けてくる。
結衣「…ヒッキーは、その、いろはちゃんの事が、す、すす、好き、、なの……?」
寝ます。続きはまたちゃんと書きます。完結させたいとおもっています!
では、お休みなさい。
では、お休みなさい。
乙
今後はこのスレに期待だなぁ
前のいろはスレはホモエンドだったからなぁ
今後はこのスレに期待だなぁ
前のいろはスレはホモエンドだったからなぁ
八幡「…」
そんな伏し目がちに頬を紅く染めながら噛むなよ…。何か変に意識しちゃうだろうが。
俺はその問いに対して即答はできなかった。由比ヶ浜はより一層前のめりになる。……近くないですかねぇ?なんでこいつを含むリア充どもはこう人との距離が近いんでしょうか…あっ、俺が離れ過ぎてるだけか。もはや離れ過ぎて認知されないまである。………悲しい。
八幡「ちょっ、お前近いから…」
結衣「…へっ?あ!はわわ、ごめん!」
とっさに体勢を戻してすっと彼女は目を逸らした。頬は紅く染まっており、眉を寄せて不満顔をしていらっしゃる。
結衣「…そ、それで!どうなの?いろはちゃんのこと…」
だんだんと声はか弱くなっている。
俺はその問いに関して少し考える。すると雪ノ下までもが口を開く。
雪乃「そうね、そこには私にも興味があるわ。今後の参考にさせてもらうわ。」
………何の参考にするんですかねぇ?今後の俺の罵倒にでも使うつもりか?おいやめろよな。恋愛事をネタにしたからかいや罵倒はマジでトラウマになるから。
八幡「……別に好きとかじゃねぇよ…。まぁでも確かに一人の後輩としては好き、かもしれないが、お前らの言う様な恋愛みたいな好きとは違う。」
なんだか二人ともほっしていらっしゃる。そんなに俺に好かれた時の一色がかわいそうなんですか?俺は誰も好きになっちゃいけないんでしょうかね…
それに、と俺は続ける。
八幡「第一、このずっと話し掛けられてるのも、買い物に付き合わされるのも俺からじゃねーだろ。つまり、その問いは俺じゃなくて一色に対してするべきものだろ?」
すると二人とも顔を見合わせ確かに、と頷いている。
最近の、いやわゆるクリスマスイベント以降の奉仕部はこんな感じだ。こんな、他愛の話をして、雪ノ下のいれる紅茶を3人ですすり、由比ヶ浜の持ってきたお菓子を食べて…俺が失いたくなかったものは、きっと守れている。友達なんて曖昧な関係じゃなくて、もっと強くて、ずっと優しい、そんな本物。
こんならしくない思考をしていると、不意に教室のドアが勢いよく開けられた。3人の目線がそちらに動く。
そこにいたのはなんと、いや、やはり一色いろはだった。なぜか息を切らしている。
いろは「はぁ…はぁ、、先輩、迎えに、来ました、よぉ」
かなり息が切れている。…全力で走ってきたようだ。顔はにこりとしているが何かこっちが心配になってくる。
結衣「い、いろはちゃん、そんな息切らしてなどうしたの?」
由比ヶ浜がオドオドしながら聞くと一色は頬を少し朱に染めさっきよりもにこーっとした笑顔をして口を開いた。
いろは「はぁ、はぁ、そんなの、先輩に1分でも1秒でも、早く、逢いたかったからに、決まってるじゃないですかっ」
結衣「」
雪乃「」
八幡「」
世界が、止まった気がした。
いつもならここで一色の発言に対してサラッと流したりツッコミを入れたりするんだが、今の俺は何も言えなかった。本当に俺の時間が止まってしまったのだろうか。そんなはずはない。ただ、本当に何も応えられなかったのだ。なぜならーーー
雪乃「あ、あの一色さん……?」
結衣「それってつまりーーーー」
いろは「ーーーーえっ?!ち、違いますよー!嘘に決まってるじゃないですかー!」
結衣「だ、たよねー。そんなわけない、よ………ね?」
いろは「は、はははいっ!ちょっ、先輩も何で黙ってるんですかー!!あー、もしかして勘違いしちゃいました?普通に考えて私が先輩を、だなんてありえませんし、私は葉山先輩一筋ですから先輩とかまだちょっと無理ですごめんなさい。」
一色がいつものように早口でまくしたてる。そこで俺も我に返っていつもの如く一色に言う。
八幡「だから俺はお前に何回フラれれば済むんだよ。そもそも俺は過去のトラウマから勘違いなんて起こさない様に訓練されてんだよ。そこらの弱小ぼっちと一緒にすんな。俺はぼっちのエキスパートだぞ。」
雪乃「そんなことを自慢気に言えるのがあなたの唯一すごいところよね。」
雪ノ下がこめかみに手を当ててため息混じりに言う。お前ホントそれ好きだな。似合ってるけど。
八幡「つか黙ってたのも他の考え事してたからだしな。」
いろは「ちょっ、酷くないですか?!可愛い後輩が来てあんな事言ってくれてるのに他の考え事とか!」
八幡「へーへー、悪かったよ。つかお前そんな早口でよく噛まないよな、いつも関心するわ。」
そんな会話をしていると最終下校のチャイムが校内中に鳴り響く。それを機に俺たちも帰り支度をして、校門へ向かう。
その後の一色の買い物はまた何やら生徒会の備品の買い溜めやグッズなどを見て回り、必要そうな物を買っては俺に持たせ、という感じだった。
一色に話を振られればきちんと応えてはいたし、必要そうな物を見つければこれとかどうだ?と普通に話をしていた。
だが俺の心はここに在らずって感じだった。
なぜなら俺は、あの部室で見せた一色の顔が、あの笑顔がーーーーー
ーーーーーあいつの、一色いろはという女の子の素の顔であることを、知っていたからだ。
気付けばすでに家。なんだかあの部室からここまで一瞬で時が動いたようだ。
小町「お兄ちゃん?箸止まってるよ?」
我が最愛の妹、小町がじとっとした目で睨めつけてくる。あぁ悪い悪い、とまた晩飯を口に入れる。
ここ最近一色の買い物に付き合わされる事が多いため、当然帰宅も遅くなる。最初の頃は帰って来てから1人で晩飯を食べていたのだが、この頃は小町が晩飯を食べずに待っていてくれる。
八幡「…なぁ小町。」
俺が話しかけると箸を口に咥えたまま ん?小首を傾げて俺を見る。あー、あざと可愛い。
八幡「この前も言ったけどお前も腹空かして帰ってくんだから、俺を待たずに先食ってて良いぞ?俺が帰ってくるまで腹空かしたまま勉強してるんじゃ頭入んないだろ」
高校受験は2月の頭の方にある。すでに1月の半ばであり、勉強も大詰めといったところだろう。どうしたって合格して喜んだ小町の顔が見たいので家族みんなが小町のためにできることは惜しみなくしてる。俺だって当然こんな可愛い妹の小町の邪魔はしたくないのだ。
だがそんな俺の気持ちを差し置いて、小町は少しムスっとした顔になる。
小町「その時にも言ったけど良いの!ご飯はやっぱ1人で食べても美味しくないし…それに小町はお兄ちゃんと一緒に食べたいの!あ、今の小町的にポイント高い!」
その最後の言葉がなけりゃあな。にへらっと笑う小町に、そうか、と言うとまた食事に戻る。
確かに小町の言う通りだ。飯は大勢で食った方が美味い…と思う。いや、本当にそうか?家族以外と食わねえからよく分かんねえよ…。
家庭科で作った物を班で一緒に食べる事は何度かあったが、どれも話に入れなくて正直そんな美味しくなかったぞ…。
小町「ね、お兄ちゃん。」
そんな思考をしていると小町がクイクイと手招きしている。小町は向かい側に座っているので自然と顔を前に出す。
八幡「なんだよ?」
すると小町はニカっとして、俺の頬に着いていたと思われるご飯粒をとってパクッと食べた。
小町「ど?今のは八幡的にポイント高かったですかな?」
八幡「…あー高い高い。だからほら、馬鹿やってないでとっと食え。」
小町「んもう!小町がこんなことするのはお兄ちゃんだけだよ!あ、いまの小町的にポイント高い!」
他の誰かにこんなことしてたらソイツ[ピーーー]自信あるわマジで。
至って平静を装っていたつもりだが、正直先ほどの言動に内心ドキッとしてしまっていた。いかん、相手は妹、その道へは進まないぞ絶対にだっ!!!!
こんな食を終えて先に風呂に入る。小町は一緒に入る?と言ってきたが阿保、とデコピンをしてやった。
実際は小町も先に風呂に入ると眠気がきて勉強できないとか何とか。
身体を洗い終え、顎まで湯船に浸かる。冬はこの風呂に入った時の身体の表面から内側にぐわーっと熱が染み込む感じが堪らん。
八幡「極楽、極楽〜っと。」
独り言を呟きながら目を閉じる。
小町も受験もうすぐだな。あんな顔して内心緊張してるだろうし、風呂上がったらココアなり作って持っていってやるか。ホント小町が俺の妹で良かった。
そういや一色もあのキャラと後輩という面も含めて妹みたいだよなぁ。あぁ、だから俺なんだかんだアイツの言う事に従っちまうのか納得。
つか最近ホント一色とよく居るな。昨日も、今日も…。
………………今日……。
そんな物思いにふけっている時だった。
今日の一色のあの笑顔が一瞬にしてまるで写真で撮ったかのように頭の中で鮮明に蘇る。
その瞬間俺は目を見開き思いっきり立ち上がった。湯がザバーッと音を立てて浴槽から飛び出る。
なんだ?…顔が熱い。でもこれは風呂のせいじゃない。曇った鏡を拭いて自分の顔を見る。頬から耳まで真っ赤だ。
その後風呂を出て髪を乾かした後、リビングのソファに座って考え込んだ。
確かにあの時、一色の顔は素の顔だった、と思う。アイツの事だってまだほとんど知らないが、分かることだってある。アイツは猫を被ってはいるが、薄っぺらい。
故に本心かそうでないかの区別ははたから客観的に見ていれば分かりやすい。
アイツのあの笑顔と、あの言葉を考えないようにしてきたが、それはもう無理だ。そもそも考えないようにしている時点で考えている。
ならあの笑顔と言葉の意味は、何度考えても答えはそこに行きつく。
一色が、俺を、……………好き?
いいや!騙されるな俺!!俺はこの持ち前の自意識過剰で何度黒歴史をつくってきたと思ってる!!!そろそろ月光蝶が出せそうだよ∀のお兄さんっ。
そうだ、だからこそ俺は他との関わりを絶った。俺は受動的ぼっちじゃない。能動的ぼっちだ。俺はぼっちにしてぼっちかいのエキスパート。もう勘違いなんてしないしつねに理性的であると決めたじゃないか。そうだ、思い出せ。あの時の俺を。孤高という己の中の心理に行き着いたあの瞬間を。
OK。落ち着いた。
つまりあれもアイツの被り物の一つだ。そう、あれは素なんかじゃない。俺の知らなかった、勘違いしていた一色いろはの一面が出てきただけだ。
何かある事にそこに意味を見い出そうとするのは三流のすることだ。
よし、これで明日からもアイツと普通に接していける。これにて本日の自分会議は終了だ。
思考がまとまった?ところで2人分のココアを作り小町の部屋のドアをノックする。
はいはーいっと、中から軽快な声がするので入るぞと言って中に入る。
小町「およ?何?お兄ちゃん」
机に向かったまま首だけこちらに向けてくる。ん、と机の空いたスペースにココアを置く。
小町「さすがお兄ちゃん!気が聞くぅ」
八幡「まぁな。気が聞き過ぎるから他と関わらない様にしてるといつの間にか空気よりも軽くなっちゃうのが俺だからな。」
辛過ぎる自虐ネタを披露したところでそれじゃ頑張れよ、と言って部屋を後にしようとすると小町が話しかけてきた。
小町「お兄ちゃん、最近奉仕部上手くいってるみたいだね。」
とても暖かい声音だった。
八幡「なんだ?由比ヶ浜からでも聞いたのか?今度アイツに小町の邪魔すんなって言っt」
小町「違うよ。お兄ちゃんの顔見ただけで小町は何でもわかっちゃうの!……ホント、良かったね、お兄ちゃん。」
お前は臥煙さんかよ…
八幡「別によく何かねえよ。また毎日雪ノ下に罵倒される日々だぞ。今にも精神崩壊しそうだわ」
小町はクスッと笑い、でもね、と続けた。
小町「ちゃんとあの2人とは本当の意味で向き合ってあげてね。そればっかりはお兄ちゃんがやるしかないって小町は思いますな」
八幡「…………あんま遅くまで無理すんなよ。お休み」
ふふんと鼻を鳴らす小町の言葉に何も言えないまま、小町の部屋を出て俺は眠りに就いた。
翌日の登校時、自転車小屋にチャリを置いて振り返ると一色が立っていた。
昨日の夜、俺は自分のエキスパート性を再確認していたので何一つ取り乱すことなく普通に挨拶を交わした。
八幡「うす。」
いろは「おはようございます先輩!先ほど見かけたので昨日のお礼をと思いまして」
八幡「いらねえよ、そんなもん。つかここ最近ずっとなんだから今更だろ」
いろは「ま、そうですねー。私も実はそんな感謝してませんし」
八幡「いや、しろよ。俺は生徒会役員でも何でもねぇんだぞ」
いろは「だって、先輩には私を会長にした責任がありますからー。むしろー、当然の事だと思いますよー」
八幡「んぐっ!」
それを言われると何も言い返せない。あぁ、そうか。俺がこいつの言う事に付き合ってやるのは妹みたいだからじゃなくて、責任をとらなくちゃいけないからか…。何それ逃げられないorz…
いろは「ということでー、今日もお願いしてもいいですか?」
八幡「い、いや、今日はアレで、その…」
いろは「責任…」
ボソッとしかし確実に聞こえる声で言う一色。こ、こいつ、なんて野郎だっ!
八幡「………はぁ、分かったよ。」
いろは「さっすが先輩!では今日は部活終わりに校門で待ち合わせしましょう!」
それでは、と言ってタタターと駆けていく一色。はぁ、面倒くさい。でも、こんな事で責任を果たせているなら安いもんか…。
その日の放課後、部活に行く前に平塚先生に呼び出されたので職員室へ行くと、職員室脇にある個室に連れて来られた。
個室に着くなり平塚先生はソファにドスッと座りポケットから取り出した煙草に火をつけ、スパーッと一度吸ってから話を始めた。
静「比企谷、君の妹の調子はどうかね?間も無く高校受験だろう。やはりここに入学希望なのか?」
八幡「えぇ、そのようですね。まぁ大丈夫じゃないっすかね。我が妹ながら俺よりちゃんとしてるんで。」
静「そうか、それは何よりだ。前にも言った様に、私たち教員もまた一人の人間だ。私は君を含めた奉仕部の子たちのことはお気に入りだからな、他の子よりも君の妹には合格してほしいと思っているよ。」
煙草の吸殻をトントンと落として続ける。
静「あのクリスマスイベント以降、奉仕部はどうだ?」
八幡「……困ったもんすね。」
静「…ほぅ。何に困っているのだ?」
八幡「また雪ノ下の罵倒が飛んでくることが…」
平塚先生は目をパチクリさせてたかと思うと急に笑い出す。
静「はっはっは。なんだそんなことか!また何かあったのかと心配したよ!」
笑い事じゃねぇ!こっちは日々心が抉られてるんですよっ!!
ふふっと笑って平塚先生は俺の目を見据える。とても優しい目だ。
静「はー、本当に君は面白い子だよ。それにそれは雪ノ下なりの照れ隠しだよ。君も気付いているだろう。あの子は誰よりも遠くにいる様に見えるが案外近くにいるのさ。特に君と由比ヶ浜の前ではな。」
うっ……。何かこのままだと不味いと思ったので話を変えることにした。
八幡「ところで、要件はなんすか?このために呼び出したわけじゃないっすよね」
静「確かにそうだが、君とは話が合うし面白いからな。たまに理由がなくても呼びそうになる。」
呼ばないで下さい。
…独身こじらすと生徒との会話に花を咲かせてしまうのか。誰かもらったげて!
静「さて、本題に入らせてもらうが。近頃、とりわけ冬休み明けから妙な噂を聞いてな。」
八幡「噂?」
静「あぁいや、実際は噂というか目撃情報でな。情報提供者は私の友人の友人だ。」
何か胡散臭いな…。
静「なんでもその私の友人の友人によると総武高校の生徒が毎日夜の19時前あたりからから20時半前後までデ、デデ、デートをしているというのだ。」
八幡「は、はぁ」
なんでその歳にもなってデートって単語で詰まるんだよ…。もしかして、したことないのか…。
八幡「それと俺の何の関係が?」
静「まぁ最後まで聞け。その私の友人の友人によると、総武校の生徒で男の方は何とも言えないほど目が腐っているんだそうだ。」
ツーッと背中を嫌な汗が通る。
静「女生徒の方は何だかふわっとした、まるで生徒会長の様な顔をしているそうなんだがーーーー」
平塚先生の言葉はどんどんと熱を帯びてきて今にも爆発しそうだ。
俺は全身汗だくである。
静「ーーー比企谷、どういうことだぁぁぁぁぁああああっっっ!!!!!」
クワッと音がしそうな勢いで見開かれた目からは今にも火が出そうだ。だが急にショボショボとなっていく。次第にはソファの上で膝を抱えて下を向いてしまった。
静「なぜなんだ、比企谷。私はお前の事は信じていたのに…グスッ。私の目の前でイチャコライチャコラと…ズズッ。だいたいこの世界はおかしいのだ。こんな目の腐った男に女ができるより、私に男ができる方がよっぽど確率は高いはずではないか…グスッ。そんなの、国語教師の私でも直感的に分かることなのに…ズズッ。」
泣き出してしまった。ていうか情報提供者アンタ自身かよ…。
八幡「あの、先生。俺は別に一色と付き合っていませんよ。ただ生徒会の手伝いをしてただけです。それに先生は本当に美人なんで男の方が近寄り難いだけじゃないっすかね…」
何か酷い事言われてたのは俺の方なのに慰めてしまった。
そうこうしている内に先生は泣き止み、俺も職員室を後にした。
誰か今すぐもらってあげてっ!!!!
その後、奉仕部に行くとまた遅れて来た事にいちゃもんを付けられたが今日のは本当に平塚先生の用事(あれを用事と呼んでよいのこ疑問だが)だったので難を逃れた。
奉仕部が終わった後、俺は自転車小屋から自転車を取り出し、一色との約束があるので校門へと向かう。どうやらまだ一色は来ていないようだ。
ーーーー5分後。
ーーーーーーーー10分後。
ーーーーーーーーーーーーー20分後。
あっれー?おかしくない?あの子来ないよ?もう校門周りを歩いている生徒は誰もいないし。あれ?世界って俺一人しかいないのん?何かそれかっこいい…
じゃなくて!も、もしかしてこれは!トラウマが脳内に蘇る。こ、ここ、これは待たせといて実は先に帰ったパターンじゃ…。絶対今友達とネタにしてるよ。
『ホントあの先輩キモくてさー。』『もしかして今もまだ校門で待ってたりしてー』『あはは、まじそれキモいわないわー。』『だよねー、超ウケる。』
ふっ、ふふふ、そういうことか一色いろは。貴様はこの俺で遊んだのか。誰にも迷惑をかけないように自らぼっちにまでなったこの俺を、更に痛めつけようと…。許すまじ一色ぃぃぃいいい!!
と校門前でしゃがみ込んで脳内で妄想を繰り広げていると後ろからトントンと肩を叩かれた。
楽しい楽しい妄想を一旦やめて、振り返ると驚いた顔をした一色が立っていた。
いろは「な、何してるんですか先輩!こんなところで!」
八幡「な、何って…お前が言ったんだろ。ここで待ち合わせだって。」
いろは「でも!待ち合わせの時間だってもう30分以上経ってますし、今1月ですよ?!風邪ひいたらどうするんですか!だいたいこんな所に座り込んで何してたんですか!」
八幡「……お前にすっぽかされたと思ってたった今自分を戒めてたとこだよ。」
いろは「私がすっぽかすわけないじゃないですか!ただ生徒会の仕事が長引いただけですよ!」
な、なんでこいつはこんなに怒ってるんだ?つうかここは俺が怒るところだろ
でも先に怒られるとこっちが悪くなくても謝らなきゃいけない気がしてくる。これが社畜の気持ちだろうか…
八幡「よく分からんが悪かった」
いろは「ホントです!反省して下さい!」
だから何をだよっ!
すると一色が急にしゃがみ込んだ。下を向いてしまいその表情は分からない。そのまま顔を手で覆い隠した一色はポツリポツリと言葉を紡ぐ。
いろは「……ホント、何で待ってるんですか…。もう、帰ったと思ってたのに…。…………こんな事して、また私の好感度上げる気ですか…………本当に急上昇しちゃってるんで、やめて下さいよ………」
最後の方はよく聞こえなかったが俺は何も言わずただ一色の目の前に立ち尽くしていた。
いろは「先輩」
八幡「ん?」
いろは「頭」
八幡「頭?痛いのか?」
するとバッと顔を上げる一色。
……………え?なんで泣いてんの?
いろは「違いますよ!頭!!その……………な、撫でて下さい」
八幡「……………は?」
いろは「泣かせた罰です。撫でて下さい。」
……そうは言われても中々撫でられるものじゃない。
そもそも一色が葉山に告白したあの日の帰り道、泣く一色の頭を撫でてやらなかったよな俺。それはほら、頭を撫でるという行為は俺の愛する妹専用コマンドだからだ。それは今も昔も、そしてこの先も変わらないはずだ。
だから俺はしゃがんでいる一色の頭にポスッと手を置いた。
いろは「…………?先輩、早く撫でて下さいよー」
八幡「残念だが一色、ここまでだ。撫でるのは妹専用なんだよ」
いろは「……何ちょっとカッコつけて言ってるんですか。ただのシスコンじゃないですかそれー」
もういいです!とスクッと立ち上がった一色は少し先を歩き出した。俺もカバンをとってその後ろを付いていく。
数歩歩いたところで一色がクルリと振り返り、にこっと笑みを浮かべる。
いろは「今日はとことん付き合ってもらいますね、せーんぱいっ」
八幡「…………はいよ」
まぁ泣かせちまったしな。俺が悪いのかよく分からんが…。
何だかおかしい。
とことん付き合ってもらう、と言った割にはただずっと歩いているだけだ。時折俺の顔をチラチラと見てくるが、話しかけてくる風もないし、どこかの店に入ってもずっと歩いているだけで何も買わない。
八幡「今日は何も買わないのか?」
いろは「………んー、何か良いものがあったら買いますよー」
こんな会話をすでに何度かした。
…………何も買わないなら荷物持ちの俺いらないんじゃないですかねぇ…
そのまま何も買わないまま時間だけが過ぎていく。気付けばすでに帰路についていた。こうして一色の買い物に付き合った帰りは毎回、俺と一色は違う駅だがさすがにこんな闇夜に女の子一人帰らせるわけにもいかないので一色の家の近くまで送る。
そろそろそのいつもの場所だ。
ほとんど喋ることなく、何一つ買い物をすることもなかったが、まぁ俺としてはどちらでも良かった。
八幡「一色、そろそろーーーーー」
俺が別れの挨拶をしようとすると一色の言葉がそれを遮った。
いろは「先輩、もう少しだけ、良いですか?」
そう言うと一色は俺の返答を待たずにスタスタと家とは違った方向へと歩いていく。
俺もそれに習って後ろを付いていった。着いた先は小さな公園だ。2人一緒にベンチに座る。
こんな夜に後輩の女の子と公園で2人きり…だが俺は知っている。こんな絵に描いたようなシーンでも俺にラブコメの神は降りては来ない。
俺も一色も制服の上にコートを羽織ってはいるがすでに1月の半ばだ。夜に外でじっとしているのはまるで修行よようだ…。
なので正直俺も早く帰りたかった。それに一色も先ほどから手を擦り合わせて手に息を吐いている。その白い息が手にかかるのが電灯に照らされて妙に艶めかしい。
一色が喋りそうにもなかったので俺から口を開くことにした。
八幡「何かあったのか?」
一色が目をパチクリさせて俺を覗き込んでくる。何で?とでも言いたげな顔だったので先に喋る。
八幡「いや、ほら、…何かお前、あんま喋らねえし、何も買わねえし…。なんとなくそう思っただけだ。」
すると一色はクスッと笑って言う。
いろは「いえ、別に何でそう思うか?が聞きたい訳でわなくてですね、先輩が心配してきた事がなんだか可笑しくて…」
八幡「悪かったな、柄にもないことして…」
いろは「……いえ。」
また少しの沈黙があった後、今度は一色が先輩、と言って切り出した。
いろは「私ってほら、葉山先輩に告白したじゃないですかー。」
俺はそうだな、と首肯する。
一色はそれを見るとふいっと顔を前にし遠くを見つめる。
いろは「それで完璧にフラれてしまって、その後帰りの電車の中で、先輩の前で、泣いたじゃないですか。…なんだか自分で言うと恥ずかしいですねー」
そう言う一色の頬は確かにほのかに紅い。でも、と一色は続ける。
いろは「私、葉山先輩に告白して、良かったです。あれからもう一カ月近く経ちますけど、あの時は泣いちゃいましたけど、でも今思い返すとあの時を誇らしく思えるんですよねー」
遠くを見つめる一色の目は確かに優しいものだった。だが少し引っかかる。
八幡「そうか。だけど一色、お前の今の言い方だとまるでもう葉山の事がーーー」
いろは「その通りです。」
一色は俺の言葉を遮る。
いろは「好きじゃ、ない、です。正直、あの時も葉山先輩を好きだったかは分かりません。」
八幡「おい、それはないだろ。だってお前は生徒会長になるのだって、葉山との事をーーー」
いろは「そうです。確かに私は葉山先輩のことを好きだと確信していました。」
まるで話が掴めない。つまりこいつはあの頃から葉山の事を何とも思ってなかったのか?いや違う。葉山隼人の事となると目を輝かせていたし、食い付いてきた。俺だってそれで作戦を立てて一色を生徒会長にしたんだ。
俺が思考していると一色はまた口を開く。
一色「あの時も言ったじゃないですか。私も、本物、が欲しくなったって。」
あぁそうだ。こいつは確かに葉山にフラれた後そう言った。
いろは「本当はですね、私、葉山先輩に告白する時にはすでに、葉山先輩を好きじゃない自分に気がついていたんです」
八幡「……は?ならお前は好きでもない相手に告白してフラれたっていうのか?」
ますます分からなくなってきた。好きでもない相手に告白してボロクソにフラれるだと?そんなの罰ゲームでもない限りしねーだろ。自分からわざわざ不幸になりにいく奴なんているはずがない。
一色は首肯しながら応える。
いろは「その通りです。だってアレは私の、私がこれから求める、本物のためのケジメでしたから。」
そこまで言われて俺ははっと気付く。この可能性は昨日散々自分を戒めた際に消していた。だが、あの可能性が当たっていたのかもしれない。これは一色の言葉を最後まで聞かなければ確信にはならないが、直感として、これ以上一色に喋らせるわけにはいかないと思った。
一色「先輩、私hーーーーーー」
八幡「一色!!」
俺の声が夜の静寂の中へ一際大きく放たれた。
八幡が叫ぶと事故かと思う俺ガイル
SSでの八幡の事故率が高い所為だ
SSでの八幡の事故率が高い所為だ
地の文が面白いssは名作
いや本当他のヒロインを疎かにしてないのご凄いわ
いや本当他のヒロインを疎かにしてないのご凄いわ
突然の声にびくっとして一色は俺の方を向く。
八幡「もうそろそろ帰った方が良いんじゃねえか?親も心配するだろ」
いろは「せ、先輩?」
八幡「俺ももう帰るわ。身体も冷えたし、腹も減ったからな。お前も家すぐだろうけど気を付けて帰れよ」
そう言ってスッと立ち上がり来た道に踵を返す。最後に振り向くこともせずじゃあな、と言ってその場を後にした。
…………足が重い。駅からここまで来るのは何とも思わなかった。でも今はほんの一歩が、辛い。
ーーー俺はあの時から変わっていない。由比ヶ浜の言葉を聞けなかった、聞かなかったあの時からーーー
だがさっきの雰囲気はヤバかった。一色の言葉を最後まで聞かなかったので、実際のところどうなのかは断言できないが、まるで告白されそうな勢いだった。
だが冷静に考えてみれば一色が俺に告白?ありえないだろ。俺のどこに惚れる要素があるんだ?うーむ…やっぱ何一つねぇな。
でももしアレが本当に告白だったら?なぜ俺はそれを遮ろうとしたんだ?…そんなの分かってる。
俺はここ最近のあいつとの関係を壊したく、なかったんだ。
すいません、文を考えている内に寝落ちしてました。書きながら考えてるのでゆっくりの投下で悪いですが、おおめにみて下さると嬉しいです。
>>15
どのスレ?
どのスレ?
あいつが毎日のように話しかけてきて、他愛のたい会話をしながら買い物に付き合って…
そうだ、俺はそんな関係が心地良かった。楽しかったんだ。だからこそ、壊したくなかった。
壊れそうな予兆はあった。でもそこに気付かない様にして、あえて俺は『いつも』を送ってたんだ。
ーーーーはっ、笑えるな。俺はそれを欺瞞だと、ほんの1、2ヶ月前に体験していたじゃないか。
あの奉仕部で、彼女たちとーーー。だが今は違う。あそこには確かな繋がりが、本物が、ある。本物、そんなの抽象的過ぎて説明するのも難しい。でも確かに感じるんだ。ならなぜ俺は彼女たちとそんな上手く説明できないような関係を求めたんだ?そうだ。
欺瞞であると分かっていながらもその関係を求めたからこそ、俺は本物が欲しいと願ったんだ。
欺瞞であったとしても、失いたくなかった。それはつまり、大切に思ってたんだ、あの空間を、あの関係を、彼女たちのことを。
ーーーーーでもーーー
本物を求めた俺が奉仕部で今の関係を築けたのはなぜだ?それはクリスマスイベントがあったからだ。そう、自分の気持ちと向き合うことは時間さえあればできるけど、行動するのにはきっかけが必要なんだ。
俺は今こうして思考している中で、欺瞞を求めた=大切に思ってる、という等式をたてたわけだが、それはつまり、一色の事も当て嵌まる。
だからこそ、変わろうと決意したからこそ、俺はこのままではいられない。そう、何か一つきっかけがあれば、行動を起こせるものがあればーーーーー
足に鉛が乗っているかの様な足取りで俺は歩いていた。足を止めて場所を、確認する。気付けばまだいつも一色と別れを言う辺りだ。
これだけ時間がかかってここまでしか来れてないのに、一色は来ない。つまりまだあの公園にいるのだろう。
心配ではある。でも俺は後ろを振り向けない。俺は彼女の言葉を遮り、逃げたのだから絶対に後ろは振り返れないのだ。
自分の中のそんな小さなプライドに嫌気を感じながらまた一歩踏み出そうとした時だった。
タッタッタと一瞬、足音が聞こえたと思ったら、ドンッッッ!と背中に強い正直が走る。
一瞬息がつまり、ぐぇっと変な声が出てしまう。
跳ねられた?いいや違う。車はもっと硬くてひんやりしてて、強烈な痛みだ。だがこれは違う。
これはもっと柔らかくて、そして暖かいものだった。
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