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元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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【"FAIRY" Tale】
たかね「ひびき。ねむれないので、なにか、おはなしをしてほしいです」
響「え? ああ、お話、お話かあ…… どんなのでもいい?」
たかね「はい!」
響「――とある南の島にね、元気な女の子がいたんだ」
たかね「おんなのこ……」
響「その子は、家族に大事にされて、すくすく元気に育ったの」
たかね「ふふ、わたくしとにています」
響「大きくなって、どうしてもやってみたいことができたその子は、住んでる島を離れることにした」
たかね「かぞくからはなれて、ひとりになるのは、さびしかったでしょうね」
響「きっとね。人前じゃ泣かなくても…… ひとりの時とかは、どうだっただろうなー」
たかね「そのこは、やってみたいことは、できたのでしょうか?」
響「ふるさとから離れてまで始めたことだから、すごく頑張ったんだ。寝る間もないくらい」
たかね「すごい…… わたくしには、なかなかまねできそうにありません」
響「でも、出てきたばっかりで友達もいないし、やっぱり大変だしで、くじけそうになっちゃったの」
たかね「ああ、むりもないことですが…… それから、それからどうなったのです?」
響「そこで、同じ目標を持った友達ができたんだ」
たかね「おお! それはいったい、どのような?」
響「それがまあ変わった友達でさ、実力はあるし性格もいいんだけど、どこか抜けてるの」
たかね「ぬけている、とは?」
響「うーんと…… そうだなぁ、ちょうどたかねみたいな感じ」
たかね「し、しつれいな!?」
響「…… とまあ、それで、友達もできた女の子は、改めて目標に向かって頑張った」
たかね「みかたもできて、がんばりやさんですから、きっと、うまくいったのですね!」
響「ところが、そうでもなかったのさー」
たかね「え?」
響「その子と友達は一緒に大きな勝負をしたんだけど、負けちゃったの」
たかね「なんと……」
響「悪いことって続くもので、負けたのを理由に、それまで味方してくれてた人に見放されちゃって」
たかね「それは、あんまりです。だれだって、いつもかてるわけではないのに」
響「たかねの言う通りだぞ。でも、それでも許してもらえない場合って、あるんだよね」
たかね「しかし…… うう、それでは、そのこと、おともだちは……」
響「そう、目標は変わらずあるんだけど、そこからどうしていいかわからなくなっちゃった」
たかね「……」
響「…… でもね、悪いことばかりでもなかったのさー」
たかね「なにかいいことがあったのですか?」
響「行くところがないなら一緒においで、がんばろう、って誘ってくれる人たちが現れたの」
たかね「お、おお!!」
響「ちょっと悩んだけど、その子も友達も一緒に、その誘いを受けることにしたんだ」
たかね「ばしょはちがっても、こころざしがあれば、がんばれますからね」
響「そうだね。いろいろ変化があった分、苦労もあったみたいだけど」
響「そうやってその子が新しい居場所を見つけたところで、お話はおしまい。おもしろかった?」
たかね「ええ、とても、それで、いま、そのおんなのこは?」
響「さあ、どうなったのでしょう…… たかねは、その子がどうなってると思う?」
たかね「わたくしの、かんですが…… おさないながら、よくできたしゅくじょと、くらしていそうです」
響「…… ふふ、さて、どうだろうね?」
【いまいるもの】
響「さて、たかね、ほかになにか欲しいものとか、食べたいものとかはない?」
たかね「たべたい、もの……? ほしいもの……」
響「うちに今ないものなら、言ってくれればすぐ買ってくるよ」
たかね「…… そうですね、とくになにも、いりません」
響「そう? 冷たいものとかいらない? ほら、前に飲んだアクエリとか、アイスとかさ」
たかね「いまのところは、だいじょうぶそうです」
響「そっか。あ、もし気を遣ってるんだったら、遠慮なんかしなくても――」
たかね「ですので、ひびき…… わたくしが、ねむるまで、てをにぎっていてくれませんか?」
響「……ふーん、それだけでいいの? お安い御用だぞ」
【まなばない】
響「たかねー! ほーら起きた起きた、朝だよ朝ーっ!」
たかね「…… くうう、すぴいいー」
響「わざとらしい寝息立てたってダメだぞ。目が覚めてるの、わかってるんだから」
たかね「ですが、ひびき、おそとはさむいです」モゾ
響「確かにね。でもそこをえいやっ! と起きちゃえば大丈夫さー」
たかね「しかし、このおふとんのぬくもりは、なにものにもかえがたく……」
響「……実はきょう、雪が積もってるんだけど」
たかね「まことですかっ!?」ガバ
響「まことまこと。さ、見に行っておいでよ」
たかね「はいっ!」タタタ
たかね「どこにもつもっていないではありませんか! だましたのですね!?」
響「…… たかね、これでひっかかるの何度目だっけ。そろそろ気づこうよ」
たかね「ああっ!? いまのあいだに、おふとんをあげてしまうとは! なんとひれつな!」
響「ここまでチョロいとかえって不安になってくるぞ、自分」
たかね「おに! あくま! いけず! ひびき!!」
響「はいはい、まず顔洗っておいでー」
【櫛にながるる】
響「今に始まった話じゃないけど、頭が毎朝すごいことになるよね、たかねは」
たかね「わたくし、かたにはまらないおなごなのです」ボワン
響「なんの自慢なんだか…… 梳かしてあげるからほら、こっちおいで」
たかね「はい、いつもどおり、おねがいいたします」ボワ-
たかね「…… なぜ、わたくしのかみはこうなるのに、ひびきはならないのですか?」
響「うーん、なんでかなぁ。髪の質とか?」
たかね「そうです! きっと、わたくしのかみのほうが、ひびきのものよりげんきなのです!」
響「なるほどね。でも、それを言うなら、自分の髪のほうがおしとやかなのかもよ?」
たかね「むっ…… ちがいます、しゅくじょのわたくしのほうが、おしとやかです!」
響「あー、こら、あんまり動かないでよ、うまく梳けないからさ」
【あさらー】
響「さてと。きょうはパンとごはん、どっちが食べたい?」
たかね「ときにひびき、わたくし、こんしゅうぶんのかっぷめんを、まだいただいておりません」
響「そういえばそうだなー…… って、たかね、まさかと思うけど」
たかね「あさ、しょくしてはいけない、というるーるは、ありませんでしたね?」
響「ええー…… ホントに? 夜とかの方がよくない?」
たかね「これはわたくしの、せいとうなけんりです! ひびき、らぁめんをください!」
たかね「ひさかたぶりの、たいめん……! ああ、おなつかしゅうございます!」
響「…… うがー、見てるだけで胃にきそう。よく朝からそんなの食べられるなぁ、たかね」
たかね「ふふ、あさのらぁめんはきん、ひるのらぁめんはきん、よるのらぁめんはきん、ともうしますよ?」
響「自分の人生で間違いなく初耳だぞ、それ」
【in a sense】
たかね「ひびき、このうわぎなら、したはなにがおすすめですか?」
響「そうだなぁ。このスカートとか、合うと思うよ」
たかね「ふむ、これが、こおでぃねえと、というものなのですね」
響「そういえばたかね、最近は、自分で何着ていくか決めなくなったなー」
たかね「…… はなすも、くつじょくなのですが」ギリギリギリ
響「え…… えっ、屈辱? なにが?」
たかね「ひびきにふくをえらんでもらったひは、みな、『おしゃれだね』といってくれるのです」
響「そりゃ当然さー、カンペキな自分のチョイスだからね!」
たかね「そして、わたくしがじぶんでえらんだときは……」
響「選んだときは……?」
たかね「……『きばつだね』『さすがたかねちゃん、めんようだね』などと!!」
響「えーっと……、それもさ、みんなきっと褒めてくれてr」
たかね「みえすいたきやすめはおやめなさい!!」クワッ
響「うん、ごめんなさい」
【カンガルー状態】
たかね「うう、かぜがしょうしょう、こたえます……」
響「駅のホームって、壁がなくて吹きさらしだからねー」
たかね「ひびきのうわぎは、ぶあつくて、あたたかそうです」
響「ダッフルコートって言うんだぞ。もともとは漁師さんが海で着てたやつ」
たかね「なるほど……」ブルブル
響「…… あ、そうだ、いいこと思いついた。たかね、こっちにおいでよ」
たかね「いいこと? なんでしょうか、たのしいことですか?」トコトコ
響「ふふ…… よっと!」バサッ
たかね「ひゃあ!?」
響「どう? 寒いの、少しはマシになったでしょ?」
たかね「はいっ! ぽかぽかです! だっふるこおとは、いだいですね」
響「だぼっとしてる分、たかねくらいならこうやって、一緒にくるんであげられるからなー」
たかね「それにひびきも、わたくしがくっついたぶん、よりあたたかでしょう?」
響「うん、お互いいいとこどりさー。 ……おっ、電車来たよ」
たかね「でんしゃのなかでも、このままがいいです、ひびき」
響「えー、さすがにそれは暑苦しくない?」
たかね「さきほどまで、たいへんさむかったので、しばらくだんをとらせてください!」ヌクヌク
【立ち往生】
響「はいさーい! ピヨ子、おはよーっ」
小鳥「おはよう響ちゃ…… あら? たかねちゃんは?」
響「ふっふっふっふ…… たかねなら……」
たかね「ここにおります!」ヒョコッ
小鳥「ピヨッ!?」
響「へへー、どうどう? びっくりした? 人間カンガルー、なんちゃって!」
たかね「ふふっ、おどろいたでしょう、ことりじょ…… あの、ことりじょう?」
響「ん、あれっ、ピヨ子……?」
小鳥「」ダラダラ
たかね「ひびき。ことりじょうはなぜ、はなぢをながしているのですか?」
響「…… ええっと、その、ちょっと衝撃が強すぎたのかも」
たかね「それになぜ、ほほえみをうかべて、たちつくしているのですか?」
響「だいたい察しはつくけど、とりあえず幸せそうだからいいってことにしとこう、ね」
【水瀬伊織の場合】
伊織「……なあに、人のことじっと見て」
たかね「いおりはいつも、そのうさぎさんをつれているのですね」
伊織「そう、だけど…… なによ、なんか悪い?」
たかね「いえ、うさぎさんがとてもかわいらしいと、わたくし、つねづねおもっておりまして」
伊織「えっ…… あ、そ、そう? ふーん、なかなか見る目があるじゃない」
たかね「もしよろしければ、わたくしにも、だかせてもらえませんか?」
伊織「…… 仕方ないわね、そーっとよ? 落っことしたりしたら承知しないんだから」
たかね「は、はいっ! こころします」
たかね「おお…… このうさぎさんは、ふわふわで、てろてろです」
伊織「……シャルル、よ」
たかね「え?」
伊織「この子の名前。シャルルっていうの」
たかね「しゃりゅ…… しゃ、しゃるりゅ……」
伊織「…… あー、そうだった、あんた元々カタカナはダメだったわね……」
たかね「はい…… どうにも、はつおんがふえてで……」
伊織「じゃあ仕方ないわね、特別に、"うさぎちゃん"って呼んでもいいわよ」
たかね「うさぎちゃん……どの?」
伊織「殿、はなくても…… まあいいわ。あ、そうそう、間違っても"うさちゃん"じゃないからね」
たかね「こころえました。うさぎちゃん……どの、うさぎちゃんどのですね!」
伊織「ところでたかね、あんたのど渇いてない?」
たかね「はい? いえ、さほどは」
伊織「そうかしら。ここ、結構乾燥してるし、それなりに渇いてるはずよ」
たかね「ふむ……、そういえば、しょうしょう……」
伊織「そ、じゃあちょっと待ってなさい」
たかね「?」
伊織「はいこれ。シャル…… うさぎちゃんから、お近づきのしるしよ」コト
たかね「これは…… おれんじじゅーす?」
伊織「そうよ。のどが"すっっごく"渇いてるならしょうがないわ、ちょっとだけ分けてあげる」
たかね「まことですか! ありがとうございます、いおり。では、さっそく……」
伊織「……どう?」
たかね「びみです…… これはたいへんにびみです! まさに、かんろ!」
伊織「ふ、ふん、当然よ。この伊織ちゃんが愛飲してる特製なんだから」
たかね「いおりは、いつもこのようなおれんじじゅーすをのんでいるのですか?」
伊織「まあね。あ、勘違いしないでよ、特別に今日はちょっと分けてあげただけで――」
たかね「…… これからはもう、いただけないのですね」ウルッ
伊織「え…… ……えっと、その」
たかね「いまいただいたぶんが…… こんじょうの、わかれのさかずきに……」ウルウル
伊織「…… あー、もう、大げさなんだから。今後あげない、とは言ってないでしょ」
たかね「!」
伊織「のどが渇いてしょうがない、ってときは言いなさい。分けてあげなくもないから」
たかね「……いおりっ! いおりが、まばゆくかがやく、めがみにみえます!」キラキラ
伊織「な、なによ、やめなさいよ…… もう、現金なんだから」
【黒蝸牛】
真美「…… ショージキ、真美はこれ、いらないかなぁ」
春香「ううーん、といって、捨てるのもなんだかね…… どうしよっか」
たかね「おや? ふたりとも、どうしたのですか?」
真美「あ、おひめっち。いやー、これなんだけどさあ……」
たかね「…… なにか、どくとくなにおいがしますね」
春香「今日収録のあった番組で扱ってた余りを、スタッフさんがくれたんだけど……」
たかね「この、くろいうずまきのようなものは、いったいなんですか」
春香「一応、分類上はお菓子なんだよ。……分類の上では、ね」
たかね「おかし!?」キラキラ
真美「ちょっとはるるん、それフェアじゃないって。おひめっち反応するに決まってるじゃん」
たかね「す…… しゅ、しゅにぇけん?」
真美「おしい、ちょーっと言えてないなー。"シュネッケン"っていうんだって」
春香「ただ、番組内での触れ込みからして…… 世界で一番まずいグミ、っていうコピーで……」
たかね「ぐみ……? おかしなのに、おいしくないのですか?」
春香「……うぷっ、おえ」ズーン
たかね「!?」
真美「はるるん!? まずい、フラッシュバック起こしてるYO!」
たかね「そ、それほどまでに……」
春香「…… その、なんていうか、養命酒に漬けたタイヤを噛んでるみたいな……」
たかね「たいや……? ようめいしゅ?」
真美「真美もほんのちょっとかじったけど…… お菓子っていうか、食べ物とは認めたくないかな」
春香「うん、だから、こればっかりはたかねちゃんもやめといた方がいいよ」
たかね「…… しかし、おかしはおかしなのですね?」
真美「いやいやいや、おひめっち。よーく考えてみなよ、この見た目とにおいなんだし」
たかね「いえ、いただいてみます」ヒョイ パクッ
真美「うえええっ、マジで!?」
春香「そんな、丸ごとなんて自殺行為だよたかねちゃん!!」
たかね「……ふむ? それふぉろ、ひろいあじれもないれふが?」ムグムグ
春香「ええーっ!? いや、たかねちゃん、ホントに無理しなくていいんだよっ!?」
真美「はるるんですら素のリアクションしたんだよ!? 耐えても別にえらくないよおひめっち!」
たかね「んく…… かんぽうやくのようで、なかなかにいけます」
真美「…… うわー、マジかー。はらぺこおひめっち、おそるべし、だぜぃ……」
春香「ねえところで真美、はるるん"ですら"ってどういう意味かな」
たかね「ひびき。きょうは、はるかとまみから、めずらしいがいこくのおかしをいただきました」
響「へえ、ほんと? よかったなー! ねえねえ、それって自分のぶんもある?」
たかね「もちろんですよ、たくさんあります。かえったら、いっしょにたべましょう!」
響「いいねー、どんなのか楽しみだぞ」
響「な、なにこれ、どう見ても食べ物じゃないでしょ!? たかね、絶対だまされてるって!!」
たかね「ひびき! なぜにげるのです! みためのわりにびみですから、ほら、さあ!」
響「や、やめ、いらないってば…… ちょっ、口に、むぐっ!?」
たかね「どうです? かおりたかく、ほのかなあまみと、にがみが…… ……ひびき?」
\ うぎゃーっ /
【らいくらいすけーき】
響「……」ボー
たかね「……」ポケー
響「……」
響「……」ムニ
たかね「…… にゃにを、ひゅるのでふ、ひびひ」
響「なんか、たかねのほっぺ、お餅みたいだなーと思って」
たかね「はなひてふだはい」
響「よく伸びるなあ、ほんとにお餅みたい」ニュー
たかね「ひゃめなはい、ひゃめゆのでふ」
響「なに言ってるかわかんないぞー」ムニュー
たかね「……わたくし、たいへんくつじょくをあじわいましたので、やりかえします」ゴゴゴ
響「でも、自分のほっぺはそんなにぷにぷにしてないよ」
たかね「もんだいはそこではありません。おもうさま、つねられたことです」
響「力もそこまで入れてたつもりはないけどなぁ」
たかね「もんどうむよう! ひびき、むくいをおうけなさい!」バッ
響「手触りも含めて、やっぱりお餅だなぁこれ」ムギュ
たかね「ひ、ひひょうな! ひびひ、てをのふぁふのは、ひひょうでふ」ジタバタ
響「あはは、今度もなに言ってるかわかんないなー」ムニー
たかね「めんひょうにゃーっ!」
なお、これも今更ですが、脱字の訂正をさせていただきます。
>>286
× たかね「…… ところで、まさかとおもいますが、ひびき…… ぶたたは、いずれ……?」
↓
○ たかね「…… ところで、まさかとおもいますが、ひびき…… ぶたたどのは、いずれ……?」
>>286
× たかね「…… ところで、まさかとおもいますが、ひびき…… ぶたたは、いずれ……?」
↓
○ たかね「…… ところで、まさかとおもいますが、ひびき…… ぶたたどのは、いずれ……?」
【摘出】
響「よいしょっと……」ゴソゴソ
たかね「おふとんというのは、そとがわと、うちがわがあったのですね」
響「この外側のはシーツっていうんだよ。いい天気だし、ちょうどいいから洗っとこう」
たかね「うちがわのほうはあらわないのですか?」
響「そっちは洗うんじゃなくて、干すの。ふかふかになって気持ちいいよ」
たかね「ふかふか……! なんと、かんびなひびきでしょう」
響「よーし、じゃあたかね、ベランダに出すの手伝ってくれる?」
たかね「はいっ!」
【お砂糖てんぷら】
たかね「ごはんには、まだはやいきがしますが…… ひびき、おりょうりをするのですか?」
響「うん、明日は久々に事務所におみやげ持って行こうかと思って」
たかね「なにができるのです?」
響「自分の地元の名物でね、サーターアンダギーっていうの」
たかね「さ、さーた……?」
響「だから、"サーターアンダギー"だぞ」
たかね「さー、しゃーた……、しゃ、さーた、あんだ、ぐゅ」
響「……」
たかね「さ、さた、あん…… それは、いったいなんですか」
響「あー、たかね、うまく言えないからってごまかしたなー?」
たかね「ちがいます! きょうは、その、したのちょうしが、しょうしょう……」
響「名前がちゃんと言えない子には、タダじゃ教えてあげられないなー」
たかね「せっしょうなーっ!?」
響「ということで、詳しく知りたかったらお手伝いをしてもらうぞ!」
たかね「むうぅ、いたしかたありません」
響「じゃあ、まずは卵を混ぜてね」
たかね「きみをつぶしてしまって、よいのですか?」
響「うん、いいよ。どうせ全部混ぜちゃうから」
たかね「では…… しょうしょう、なごりおしいですが」シャカシャカ
響「そこにお砂糖と、それからサラダ油も足すぞー」
たかね「これが、おさとう……? しかし、ひびき、いろがしろくありませんよ」
響「黒砂糖っていって、これはこういう色のがふつうなの。たかね、はい、あーん」
たかね「? あーん」
響「ほいっ」ポイ
たかね「むぐ!?」
たかね「お、おお、これは? あまいなかにも、どくとくなふうみが」ムグモグ
響「黒砂糖って、もともと固まりやすいの。そうやって飴みたいに食べてもおいしいでしょ?」
たかね「はい、はじめてたべるあじです」
響「やっぱり、サーターアンダギーにはこれ使わないとなー」
たかね「ということはつまり、その、さたん、だ…… それは、あまいおかしなのですね!?」キラキラ
響「そうだよ。何度か事務所に持っていったことあるんだけど、なかなか好評だったんだ」
たかね「どのようなものができるか、たのしみです!」
響「今度は…… 小麦粉とベーキングパウダー入れるんだけど、それ混ぜるのは自分がやるね」
たかね「む、なぜです? わたくしのうでを、しんようしないのですか」
響「たかねにはこの後、大事な作業をしてもらいたいんだ。そのために今は休んでてよ」
たかね「なんと、そのようなじゅうようなにんむが!? わかりました! ここは、おまかせします」
響(……粉を入れて『さっくり混ぜる』って、貴音もなかなか要領つかめなかったからね)
響「さて、お待ちかね。たかねの出番だよ!」
たかね「まちくたびれましたよ、ひびき。うでがなります」
響「いいかー、これ次第で出来栄えが変わるから、心してかかるんだぞ」
たかね「ほう…… のぞむところです。して、わたくしはなにをすれば?」
たかね「こ、これは、なかなかにてごわい……!」
響「けっこう生地の粘り気があるからね、こう、ぱぱっとやっちゃった方がいいよ」
たかね「しかしさきほどは、これを、まるくするようにと」
響「だいたいでいいのさー、だいたいで。同じくらいの大きさになってれば」
たかね「くっ、この、ぬ、むむ…… てに、くっついて!」
響「うーん、ちっちゃいたかねにはまだ難しかったかなー?」
たかね「そ、そんなことはありません!」
響「初めてでこれなら上出来さー、よくがんばったね」
たかね「なかなかのしれんでしたが、わたくし、やりとげました!」
響「うんうん、ご苦労だったなー、たかね。あとは自分にまかせといて!」
たかね「もうおてつだいはよいのですか?」
響「うん、今からは油とか使うし、危ないからね。いぬ美やみんなと遊んでてよ」
たかね「しょうちしました!」
響「おー、よしよし、いい色になってきたぞー」ジュウウゥゥ
たかね「あのう、ひびきー? ほんとうに、わたくしのたすけは、いりませんかー?」
響「大丈夫ー! それより油がはねると熱いからなー、しばらくこっち来ちゃダメだぞー」ジュワ-
いぬ美「……! ばうっ!」
たかね「いぬみどのも、わかりますか? とてもあまくて、こうばしいかおりです!」ワクワク
響「できたぞー、お待たせっ!」
たかね「おお! これが、さーて…… さ、しゃーたんだぎゅう!」
響「そう、サーターアンダギー、ね」
たかね「おや? わたくしがせっかくまんまるにしたのに、ひびがはいっています」
響「ああ、これはね、油で揚げるときにふくらむから、かりかりになった表面が割れるの」
たかね「なるほど…… ところで、ひびき」
響「どうかした?」
たかね「これを、じむしょへのおみやげにするなら、ひつようなことがありますね?」
響「必要なこと? えーと、なにかなぁ?」
たかね「もちろん、おあじみです! あじをみないで、みなにわたすわけにはいきません!」キラキラ
響「あはは! たかねなら絶対、そう言うと思ってたよ」
たかね「では…… あ、あちちっ!?」
響「こら、揚げたてだから熱いのも当然だよ。もうちょっと待っといたほうが……」
たかね「いいえ! あげたてだからこそ、いまいただくのがれいぎ!」
響「まあ確かに、作ったほうとしてはその方がうれしいけどさ」
たかね「でしょう? それでは、いただきます!」
たかね「んん! んむ、はむ……! こへは…… んく、これは!」
響「どうどう? これは自分よく作るし、けっこう自信あるんだけど」
たかね「…… ひとつだけでは、はんだんできないので、もうひとつ、いただくひつようがあります!」
響「ふふ、適当なこと言っちゃって、食いしん坊なんだから」
たかね「おあじみも、だいじなおてつだいです。ひびき、はやくつぎをください!」
響「はいはい、ちょっと待っててねー」
【スライディング】
たかね「とりこんだおふとんが、まだあたたかで…… それに、よいかおりがします」スンスン
響「お日様のにおい、ってやつさー。自分、このにおい、大好きなんだ」
たかね「わたくしもとてもすきです!」
響「なんだか落ち着くよね。あ、そうだ、たかね、ねこ吉どこにいるかわかる?」
たかね「ねこきちどのなら、さっき、おとなりのへやでねていましたよ」
響「ホント? じゃあちょうどいいや、さっさとお布団にシーツかけちゃおう」
たかね「はて…… ねこきちどのがいると、なにか、もんだいがあるのですか?」
響「そうなんだよ、あの子、シーツとふとんの間のすきまに突っ込んでくるの。ズサーって」
たかね「しーつと、おふとんのあいだ? というと、ずいぶんせまいのでは……」
響「その狭さが猫には魅力的みたい。よくわかんないけどさ」
たかね「めんような…… ねこきちどのは、いったいなにがたのしいのでしょうか」
響「んしょ…… ファスナー開けてお布団突っ込むの、意外とめんどくさいんだよね……」
たかね「……」ジーッ
響「よしっ、と。これでだいたい入ったかな?」
たかね「……とぉーっ!!」ズサー
響「ちょっ、ちょっとーっ!? たかね、何してんの!?」
たかね「おお!! ひびき、これはなかなかにたのしいです!」
響「もー、せっかくねこ吉に邪魔されずに済んだと思ったら…… いいから、早く出ておいでよ」
たかね「ふかふかのおふとんのうえで、しーつがやねになり、まるで、かくれがのような」
響「…… よーし、もうこのままファスナー閉めて、たかねも閉じ込めちゃう」ジー
たかね「な、なんと!? おまちを! まってください、ひびき!」ガサゴソ
【ともだおれ】
たかね「まったく…… ひびき、おどろかせないでください」ムス
響「たかねこそ、ねこ吉がなんでそんなことするかわかんない、なんて言ってたくせに」
たかね「やってみなければわからないこともあります!」
響「そりゃ確かにそうだけど、あれはやんなくていいことでしょ!」
たかね「むむむ……」
響「ぬぬぬ……」
たかね「…… よしましょう、ひびき。このおふとんのうえでは、ささいなことです」
響「そーだなー。ね、シーツ洗って干したお布団、気持ちいいでしょ?」
たかね「ええ、このまま…… ねむって、しまいそうな、ほどに……」
響「もー、しょうがないなー、ちょっと寝ててもいいよ。少ししたら起こしてあげる」
たかね「……くぅ」
響「すー…… むにゃ……」
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