私的良スレ書庫
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元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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【しりある】
響「今日の朝ごはん、たまにはちょっと違うもの食べよっか」ザラザラ
たかね「ふむ……? ぱんでも、ごはんでもないのですね」
響「そう、コーンフレーク…… って言ってもわかんないか。はい、どうぞ」
たかね「このままいただいてよいのですか?」
響「そうだなぁ、自分はそのままで食べるのも結構好きかな」
たかね「では…… いただきます!」
たかね「む…… …… ふぉれは……」サクサク
響「どう?」
たかね「あまくて、びみですが、しょうしょうかたいですね」カリカリ
響「じゃあ、ちょっと牛乳入れるといいよ」
たかね「ぎゅうにゅう? どこにいれるのですか?」
響「どこ、って…… そりゃもちろん、おなじ器にだぞ」トクトク
たかね「ひびき!? な、なにをするのです!」
響「大丈夫だって。もともとはこうやって食べるものなんだから」
たかね「はあ…… しかし、ぎゅうにゅうびたしになってしまいましたが……」
響「だまされたと思って、まずは食べてみて」
たかね「ふむ、それでは……」ムグムグ
響「ね? どう、食べやすくなったんじゃない?」
たかね「…… おお……! しっとりと、やわらかになって、これはこれでびみです」
響「最後に残った牛乳は甘くなってておいしいから、それも飲んでみるといいぞー」
たかね「はいっ! たくさんのんで、はやくおおきくなります!」
響「…… あー、それはほどほどでいいかな。前以上に差がついても困るし」ボソッ
たかね「?」
【おでかけしましょ】
たかね「そういえばきょうのひびきは、いつものせいふくではないのですね」
響「土曜日だし年末近いからね。今週は授業がないのさー」
たかね「では、あさからおしごとですか?」
響「うん。自分、今日はレッスンがメインだから、いつもより早く戻ってこれると思うぞ」
たかね「ならば、わたくし、かえりにつれていってほしいところがございます!」
響「へえ? たぶんその時間はあると思うけど…… どこ行きたいの?」
たかね「それは…… ふふふ、そのときまで、とっぷしーくれっとです」
響「どうせラーメン屋さん行きたいとか、ケーキ屋さん行きたいとか言うんでしょ」
たかね「ち、ちがいます! まだないしょです!」
【重大任務】
P「よーし、みんな揃ったな。今日のスケジュール確認するぞー」
一同「はーい!」
律子「竜宮の三人は、午後からの収録に備えて最終の打ち合わせするわよ。それから……」
P「みんな、ちゃんと確認できたな? それじゃ各自、時間が来るまで――」
たかね「ぷろで…… ぷろ…… ぷろじゅーしゃーどの! わたくしはほんじつ、なにをいたしましょう」
P「うん? たかねは…… そうだな、事務所で音無さんと社長と一緒に待機だ」
たかね「それでは、いつもとおなじではありませんか」
P「そんなことはないぞ。響や俺たちがいない間、事務所をしっかり見張る、重要な役割だからな」
たかね「じゅうような……! つまり、わたくしが、さいごのとりででございますね?」
P「ああ、たかねにしか頼めない。やってくれるか?」キリ
たかね「……こころえました。このつとめ、りっぱにはたしてみせます!」キリ
P(まあたかねの言うとおり、いつもと一緒なんだけどな)
小鳥(ちょろかわいい) ●REC
【天海春香の場合】
たかね「む、これは…… なにやら、あまいにおいが……」スンスン
春香「あれ、たかねちゃん。どうかした?」
たかね「はるか、おつかれさまです。このあたりから、よいかおりがしたもので」
春香「お、さっすがたかねちゃん、鋭いなー」
たかね「はるかは、これがなんのかおりかしっているのですか?」
春香「たぶん…… これじゃないかな?」ゴソゴソ
たかね「?」
春香「……じゃん! 今日ね、クッキー作ったから持ってきたの」
たかね「ああ! まさしく、このかおりです! ……ところで、くっきーとはいったい?」
春香「これはね、お菓子。小麦粉とかお砂糖とか卵とかを混ぜて、焼いて作るんだよ」
たかね「こむぎこ……? ということは、らぁめんとおなじでございますね!!」
春香「えっ…… と、う、うん、小麦粉ってくくりだけでいえば、ね」
たかね「はるかが、その『くっきー』をつくったのですか?」
春香「うん、そうだよ。新しいレシピ試してみたから、みんなに食べてもらおうと思って!」
たかね「な、なるほど、そういうことですか」ジーッ
春香「……! あっ、でも、そうだなあ、まず最初に誰かに味見してもらったほうがいいかなー?」
たかね「おあじみ……! そうですね、それはまこと、だいじなことです!」ソワソワ
春香「どうしよ、誰か食べてみてくれる人、いないかなぁー……?」チラ
たかね「……! ……!!」
春香(めっちゃ見てる! 全身全霊でアピールしてる!)
春香「…… そうだ! たかねちゃん、よかったら味見してみてくれない?」
たかね「!! ええ! きぐうですね、わたくし、ちょうど、ここにいあわせましたので!」パァァ
春香(わっかりやすい! かわいいぃ!!)
たかね「……」サクサクサク
春香「たかねちゃん、どうかな?」
たかね「…… おいひい……! ふぁいこうに、びみでふ、はるか!」
春香「ほんと? やったあ!」
たかね「あまくて…… さくさくとしたかんしょくが、たまりません……!」
春香「実はこれ、けっこう自信作だったんだ。こんなに気に入ってもらえたら、もうばっちりだね!」
たかね「それに、おくちのなかで、ほろっと、とけるようで……」
春香「ふふふ、そうでしょー? まだまだたっくさんあるから、もう少しいかが?」
たかね「よいのですかっ!? では、もういちまいだけ、いただきます!」
春香「うんうん! おいしいって食べてもらえるのが、わたしも一番うれしいからねっ」
春香「…… ね、ねえ、あのさ、たかねちゃん、そろそろ……」
たかね「はるかのくっきーは、ほんとうにびみです!」サクサク
春香「えへへ、そ、そうかな。そんなにおいしい?」
たかね「はい! わたくし、いくらでもたべられます!」
春香「そうかぁ、そう言ってもらえるとうれしいなぁ…… じゃあ、もう一枚いっちゃう?」
たかね「はいっ! ぜひ、ください!」キラキラ
春香(ああぁ、もう…… なんなのこれ! かーわいいなぁもう!!)
春香「…… なんてことがあって、今日のおやつはたかねちゃんのおなかの中だよ」
亜美「ええーっ…… でもまぁ、おひめっちなら、ちかたないね」
あずさ「春香ちゃんのクッキーが食べられないのは残念だけど、この幸せそうな顔を見ちゃうとねぇ」ナデナデ
たかね「…… むにゃ、…… あまくて…… さくさく……」
【突撃となりの】
真美「ねーねーおひめっち。ひびきんと一緒に住んでてさ、どんなごはん食べてんのー?」
美希「あ、それ、ミキもちょっと気になるの」
たかね「いつもびみなごちそうをいただいております。ゆうべは、じょうやなべでした!」
美希「へー…… ジョーヤナベ? ってミキ知らないけど、響が作ったならきっとおいしいの」
真美「じゃあじゃあ、きょうの朝ごはんはなんだった?」
たかね「けさは…… ええと、なまえはわすれましたが、『かりかり』をいただきました」
真美「」
美希「」
たかね「……おや? ふたりとも、どうしたのですか」
真美「カリカリ!? おひめっち今カリカリって言った!?」
たかね「は、はい、そうですが……?」
美希「ええっ!? じゃあたかねは今日の朝ごはん、カリカリをそのまま食べちゃったってコト!?」
たかね「あ…… いえ! ちゃんとあとから、ぎゅうにゅうをかけてもらいました!」
真美「まるっきりペット扱いじゃん!!」
たかね「ぺっと!? しかし、ひびきもおなじものでしたが……」
真美「な、なんだってー!?」
美希「…… これ、響が帰りしだい、ちょっとハナシ聞かせてもらうべきだって思うな……」
響「たっだいまー。あ、真美、美希も、たかねの相手してくれてたの? ありがt」
真美「ちょっとひびきん!! おひめっちになんてことしてるのさ、もうギャクタイだよこれ!?」
響「ぎゃ、虐待!? なんの話してるんだー!?」
美希「あのさ、響…… 響が自分でカリカリ食べるのはともかく、たかねにまでってのは、さすがにミキも引くの」
響「美希までなに言ってるのさー! さっぱり意味がわかんないぞ!?」
【シアトル系】
響「それでたかね、行きたいところってどこなの? そろそろ教えてよ」
たかね「はい! ではひびき、わたくしを"かへ"につれていってください!」
響「か、かへ……? かへ…… ……ひょっとして、カフェ?」
たかね「せけんでは、そうともいうようですね」
響「カフェ、ねえ…… なんでまたわざわざカフェに行きたいのさ」
たかね「おや、ひびきはしらないのですか?」
響「知らないって、なにを?」
たかね「『いしきたかいけい』のおなごは、かへ…… かふぇで、かちゃかちゃたーん、とするのがたしなみなのです!」
響「」
たかね「そのときはもちろん、じぶんをさつえいし、それから『ついったあ』で『かふぇなう』と」
響「ちょっと待って、誰に吹き込まれたのそれ」
たかね「あみとまみから、おそわりました」
響「やっぱりそうか」
たかね「そして、かかせないのみものが…… から…… ええと、か、からむ……」
響「……キャラメルマキアート?」
たかね「! そう、それです、さすがはひびきですね」
響「それは美希から教えてもらったんでしょ?」
たかね「なんと、そこまでわかるのですか? すごい!」
【5歳児は見た】
たかね「ひびき、ひびき! あれをみてください!」
響「んー? なにか面白いものでもあった?」
たかね「あのとのがたは、ひとりでてーぶるをせんりょうして、かちゃかちゃたーんしています!」
響「ちょっ……!? たかね、そんなこと大声で言わないの!」
たかね「あれが、『いしきたかいけい』のとのがたですね? わたくし、おちかづきになりたいです!」
周囲「……」プルプル
響「こ、こら、やめるんだたかね! きっとお仕事してるんだよ、邪魔しちゃダメだぞ」
たかね「でも、うしろをとおるときみたら、がめんにとらんぷがたくさんうつっていました」
周囲「ブフォッ」
たかね「…… あっ、もし、どちらへいかれるのです? そこの『いしきたかいけい』のかた! もし!」
響「やめてあげて! たかね、もうやめてあげて!」
【トラベラーリッド】
たかね「これが、みきおすすめの、からむるまきゃあと……」
響(……そういえばベースはコーヒーだけど、大丈夫かなあ、たかね)
たかね「ところで、ひびき…… これはいったい、どのようにしてのめばよいのでしょうか」
響「ああ、ふたに小さい穴が空いてるでしょ? そこから吸い出すみたいにして飲むの」
たかね「…… む、ここですね。では、さっそくいただきましょう」
響「でも当然、中身はすごく熱いから気をつけ――」
たかね「!? ひゃ、あ、あちちちっ!?」
響「あー、遅かったかー……」
たかね「…… さて、いかにすべきか……」
響「そんなに警戒しなくても大丈夫さー、さっきのでこりたでしょ?」
たかね「さきほどは、ふかくをとりましたが…… しかとあじわうために、さいぜんをつくさねば……!」
響「じゃあ、もうふた外しちゃうといいよ。ちょうどよく冷えるから」カパ
たかね「……おお! しろいあわが、ふわふわとして、ゆきのようです」
響「そうそう、ふたがあると冷めにくい反面、見た目とか香りとかわかりにくいんだよね」
たかね「これは……! あまさと、ほのかなにがさと、まろやかなあわが…… おくちのなかで、いっしょになって!」
響「……」プルプル
たかね「みきがすすめるのも、どうりというもの…… ……ひびき、なぜふるえているのです?」
響「な、なんでも、くふっ……、ない、ぞ…… ふふ、ふ」プルプル
たかね「? おかしなひびきですね」
響(泡が! ミルクの泡が! サンタさんのひげみたいに!!)プルプルプル
【目標達成】
たかね「ひびき…… たべないのですか?」チラッ
響「ん…… そうだね、自分はいいや。これ、たかねにあげるよ」
たかね「まことですかっ!」
響「時間はじゅうぶんあるから、ゆっくり落ち着いて食べるんだぞー」
たかね「はい! では、えんりょなく…… ふむ、これもまたびみ!」
たかね「ああ…… わたくし、なんと、いしきがたかいけいなのでしょう……!」
響「キャラメルマキアート飲んで、ケーキとスコーン食べただけだけどなー」
たかね「しらないのですか、ひびき? なにごとも、きのもちようなのですよ」ドヤー
響「たぶん言うタイミングがだいぶ違うぞ、それ」
【人をダメにするアレ】
たかね「おや、まだおやすみするにははやくありませんか」
響「ああ、これは寝るためのじゃないんだよ」
たかね「はて……? しかし、それはおふとんでしょう?」
響「今年はばたばたしててまだ出してなかったから、この機会にと思ってさ」
響「よーし、完成!」
たかね「……なぜ、つくえにおふとんをかぶせてあるのです?」
響「こたつって言うんだぞ。入ってごらんよ」
たかね「はいる…… といっても、ひびき、これは、つくえにおふとんをかぶせただけでは……」
響「まあまあ、いいからいいから」
たかね「ひびき。わたくしはきょうから、このなかにすみます」
響「とりあえず、せめて上半身はこたつから出してしゃべろうか、たかね」
【おーるどめいど】
たかね「さあひびき、はやくおひきなさい」
響「うーん、そうだな、どれにしようかなー、っと」ウロウロ
響(自分がババ持ってないってことは、たかねが持ってるわけだけど……)
たかね「……」
響「このへんかなー? それとも…… ここらへん?」
たかね「……!」パア
響(……なるほど、今のやつか。まったく、わかりやすいんだから)
響「よーし、じゃあこれ…… と見せかけて、そのとなり!」スッ
たかね「!!」
響(もうちょっと普通に遊んで、手札が減ってきたらわざと…… って、今のがババっ!?)
たかね「…… どうですか、ひびき。わたくし、えんぎがじょうずでしょう?」ニヤリ
響「め、面妖なっ!?」
【寝落ちのしまつ】
たかね「ふにゃ……」コックリ
響「おーい、たかねー?」
たかね「…… は!? ふぁ、は、はいっ!」
響「トランプもこのへんにして、もうそろそろ寝よっか」
たかね「い、いえ…… まだ、わたくし…… ねむたくありません」
響「無理しないの。明日は自分がオフだから、一日一緒にいられるしさ」
たかね「…… わたくし、ねません…… ただ、この、こたつが…… たいへん、ぽかぽかと…… するので……」カクッ
響「あー、そこで寝ると風邪ひいちゃうから、ちゃんとお布団で…… たかね?」
たかね「…… くー……」コックリ
響「……ふふ、まったくもー…… 言うこと聞けない子は、自分のベッドに放り込むからなー」
【寝てていい朝に限って】
たかね「ひびき、ひびき。あさですよ」ユサユサ
響「…… ん…… たかね、とけい、とって」
たかね「はい!」
響「……まだ、6時にもなってないんだけど……」
たかね「わたくし、おなかがすきました」
響「それに、自分さ…… きょう、オフなんだけど……」
たかね「わたくしのおなかはつねにおんです!」
響「…… それでうまいこと言ったつもりなのか、このぉ!」ガバ
たかね「ひゃんっ!? な、なにをするのですか、ひびき!」
響「せっかくの朝寝を邪魔する悪い子は、二度寝に付き合わせてやるー!」
たかね「ち、ちがいます、わたくしはわるいこでは…… やつあたりはおやめなさい!」ジタバタ
【ぎぶあんどていく】
響「あーあ、もう…… きょうくらい、ゆっくり寝とこうと思ってたのに……」
たかね「おやすみのひこそ、はやおきすれば、ゆうこうにつかえます」
響「自分だけ早く寝てたからって、気楽に言ってくれちゃって。まあ、いいけどさ」
たかね「ひびき、きょうもおでかけをしましょう!」
響「いいけど、まずは家の中のことを片付けてからね」
たかね「いえのなかのこと、とは?」
響「お掃除とか、洗濯とか。たかねもちゃんと手伝ってよ?」
たかね「のぞむところです。そのためには、まず、びみなあさげをようきゅうします!」
響「…… ふふ、結局いつもと同じじゃないか。パンとごはん、どっちがいいの?」
たかね「ごはん…… いえ、やはり、ぱんがいいです」
響「りょーかーい」
【配膳係】
たかね「ひびき! いぬみどのとねこきちどののごはん、わたしてきました」
響「おー、ありがと。うさ江もシマ男もオウ助もモモ次郎も済んだし、あとは……」
たかね「はむぞうどのと、ぶたたどのには?」
響「どっちにも自分がもうあげてきたぞ。だから……」
たかね「そうですかそれではわたくしはきゅうにたいせつなようじをおもいだしましたので」ダッ
響「……へび香とワニ子のごはんだけだな」ガシィ
たかね「そ、それだけは、ゆるしてください!」ジタバタ
響「あんまり嫌わないであげてよ、いい子たちなんだから」
たかね「じぶんではどうしようもないことが、よのなかにはあるのですーっ!!」
【警戒態勢】
ブォォォォォォ
響「…… もー、ねこ吉ったら。いい加減慣れてくれないかなぁ」
ねこ吉「フゥーッ」
響「だから、掃除機は敵じゃないってば。お部屋をきれいにしてくれる便利な機械なんだぞ?」
ブォォォォォォ
ねこ吉「シャーッ!」
響「ねこ吉の落とす毛だって吸い取ってくれるんだし、そんなにおびえなくても」
ねこ吉「……ニ゙ャッ」ダッ
響「うーん、やっぱりダメかぁ…… まあ、理屈じゃないんだろうけどさー」
響「で、たかねはそこで何してるの」
ブォォォォォ
たかね「ひぃぃぃ!! そ、そのめんようなものを、どこかにやってください、ひびきぃぃ!」
【縦型より危ない】
たかね「ほう……」ジーッ
ゴウンゴウンゴウン
たかね「おおお……」ジーッ
響「…… それ見てて、そんなにおもしろい?」
たかね「ええ、ぐるぐると、なかではねまわって…… みあきません」ジーッ
響「ふーん? まあ、たかねがじっとしててくれる分にはいいんだけどさ」
たかね「ところでこれは、なんのためにぐるぐるしているのですか?」
響「たかねと自分のお洋服を洗ってるんだ。もうしばらくは回ってるから、見てていいよ」
たかね「はい! ところで、ひびき」
響「なに?」
たかね「つぎのときは、わたくしもこのなかにはいってみたいのですが」ワクワク
響「うん、絶対ダメ。命にかかわるからね、ホントに」
【約束が違うけど】
響「ところで、今気がついたんだけどさ」
たかね「どうかしたのですか?」
響「ワニ子とへび香のごはんは、最終的に自分が持っていったよね」
たかね「…… いずれ、なれてみせます。いずれは」
響「掃除機かけてる間はたかね、ずっと逃げまわってたし」
たかね「あ、あのようなめんようなものをつかうというおはなしは、きいておりませんでした!」
響「そしてその後、たかねは洗濯機をずっと見てたね」
たかね「はい! とてもおもしろかったです!!」
響「……どうも結局、全部自分ひとりでやってる気がするぞ」
たかね「?」キョトン
響(…… ふふ、まあ、いいか)
【氷上デビュー】
響「さて、じゃあ洗濯物干してる間、お出かけしようか。ところでたかね、どこか行きたいの?」
たかね「わたくし、すけーとをしてみたいです」
響「スケート!? え、テレビで見たあれ、そんなに気に入った?」
たかね「はい! わたくしもこおりのうえを、まいおどってみたいのです!」
響「いきなりあんな動きは無理なんじゃ…… まずそもそも、この近くにリンクとかあるのかなぁ」
たかね「だめ、でしょうか……?」
響「ダメっていうか、自分もそんなに詳しくないからね…… っと、意外と近くにあるみたい」
たかね「ならば!」
響「……まあ、何事も経験っていうしね。でもそれなら、ちゃんと準備していかなきゃなー」
【ここでそうびしていくかい?】
響「えーっと、なになに? 『初めての人は転びやすいため、長袖と長ズボンが基本』か」
たかね「だいじょうぶですよ。わたくし、そうそうころんだりいたしません」
響「あとは、『手袋は必須、頭の保護と防寒を兼ねて帽子もあるほうがいい』…… なるほど、じゃあ」ゴソゴソ
たかね「なんといってもわたくしですから、はじめてでも、かれいに、わぷっ!?」ズボ
響「よしよし、サイズもちょうどよさそう」
たかね「い…… いきなり、なにをするのですか!?」
響「ん、それ、編んでみたの。似合ってるよ、たかね」
たかね「このぼうしを、ひびきが……!? それはすご…… ではなく! とつぜんかぶせないでください!」
響「あはは、ごめんごめん。ちょうどいい機会だと思って」
たかね「…… たしかに、あたたかですし、よくできてはいますが」
響「ふっふーん、そうでしょ? 実は、それとおそろいの手袋とマフラーもあるんだぞ」ゴソゴソ
たかね「なんと、まことですか! はやくみせてください!」
【逆ハの字】
たかね「おお…… ここが、すけーとりんぐ!!」
響「一文字違うだけで、なんかずいぶん物騒な感じに聞こえるなー」
たかね「…… こ、これは、なかなか、しんけいをつかいますね……」プルプル
響「ええっとね、まずは、足を揃えるんじゃなくて、V字型にして立つのが最初なんだって」
たかね「ぶい、じ? ぶいじとは、なんですか?」プルプル
響「え? ああそうか、アルファベットじゃわかんないか…… となると……」
たかね「…… あの、ひびき、かってに、すすんでしまうのですが……」ススー
響(V字…… なんて言えばたかねに伝わるかなあ、山型…… じゃなくて谷型?)
たかね「ひびき、ひびき!? と、とまれなっ、あいたっ!」ステーン
響「……たかねっ!? なにやってんの、大丈夫!?」
たかね「だれのせいだとおもっているのです!?」
【秘訣】
たかね「…… さきほどは、おしえてくれないだれかのせいで、ふかくをとりましたが」
響「うー、だからあれは悪かったってば……」
たかね「わたくし、もうすでに、こつをつかみました」スイー
響「おっ、ホント? すごい!」
たかね「つまるところ、きをつけることはただひとつ、それは」ススー
響「それは?」
たかね「ころびそうになったら、さからわず、そのままおしりからいたああっ!」ステーン
響「…… さすが、み、みごとな転がりっぷりで……」プルプル
【南国出身故】
たかね「…… ところで、ひびき?」
響「あははは! あははははは、ひぃ、あはは…… ん、どうしたの、たかね」
たかね「なぜひびきは、ずっとてすりをつかんでいるのですか?」
響「え? …… えーと、んーと、これはね……」
たかね「これは?」
響「……そう! ころころ転ぶたかね見てたら、笑っちゃって倒れそうだから、その支えにさ」
たかね「はなしてみてください」
響「えっ」
たかね「てを、はなしてみてください、ひびき」
響「いやぁ、それは無理だぞ。自分、さっき言った通りで立ってられないかも」
たかね「……」
響「な、なに? 言っとくけど別に滑れないとかじゃないよ、なんたって自分――」
たかね「…… かんぺき(笑)」
響「」
響「そこまで言われたら黙ってられないさー! 見てなよたかね、自分の完璧な滑あいだぁっ!?」ズデーン
たかね「ほう…… ひびき、みごとにすべりましたね」スイー
響「うがーっ! は、腹立つ!」
たかね「ふふふ、そのようにすわったままでは、わたくしをつかまえら…… ああっ!?」ステーン
【あらがえない】
響「よーし、洗濯物の取り込みはおしまいっ」
たかね「こうしてみると、ぞんがいにたくさんあるものですね」
響「確かにねー。じゃあたかね、服は自分がやるから、こっちのタオルたたんでくれる?」
たかね「しょうちしました!」
響「やっぱり二人いると作業が早いなー。ありがと、たかね」
たかね「……」ウズウズ
響「ん? どうしたの?」
たかね「……えいっ!」ボフー
響「ああっ、ちょっと!? なにしてるのさ、せっかく畳んだタオルに!」
たかね「てざわりが、たいへんよかったので…… ああ、まことにふかふかです……!」スリスリ
響「気持ちはわかんなくもないけど。ほら、もういいでしょ?」
たかね「ひびきもいっしょにいかがですか。とても、ここちよいですよ」
響「ば、バカ言わないでよ。自分子供じゃないし、そんなことしないぞ」
たかね「そうですか? では、わたくしは、もうすこし!」ゴロゴロ
響「……」
たかね「おや、ひびき? どうしました?」
響「…… おりゃーっ!」ボフーッ
たかね「ふふ、やはり、そのきになりましたか」
響「まあ…… たかね一人に遊ばせとくのもあれだからね。付き合いだぞ、付き合い」
たかね「そういうことにしておいてあげましょう」
響「……言ったなー、このぉ!」ガバー
たかね「あ、あはははっ!? や、やめっ、くすぐったいです、ひびき!」
【始めようか】
響「たかね、夜になったらさ、ちょっとまたお出かけしようよ」
たかね「おでかけ…… ごはんをたべにゆくのですか? もしや、らぁめんでしょうかっ!?」
響「あ、いや、食事は食べてからね」
たかね「むう…… そう、ですか……」
響「もー、そんな露骨にがっかりしないでよ。それに、たかねはきっと気に入ると思うぞ」
響「ただでさえこの時期の夜は寒いからね。しっかり準備してかないと、風邪引いちゃう」
たかね「それはよいのですが…… ひびき、いったいどこへいくのです?」
響「ふふふ、そこは着いてからのお楽しみさー」
たかね「むむ…… あっ、でも、きょうひびきのくれたぼうしや、てぶくろのでばんですね!」
響「うん、それにしっかり上着も着込んでね。ああそうだ、カイロも持っていっとかなきゃ」
たかね「なんと!? それほどさむいところへ?」
響「まあ暖かいとは言えないけど、歩いていけるとこだから大丈夫。さ、じゃあ行こうか」
たかね「はいっ!」
響「よーし、着いたよ」
たかね「…… ここは? ただの、こだかいくさちのようですが……」
響「たかね、そっちじゃなくて。ほら、上見てごらんよ」
たかね「うえ?」
たかね「……おお! すごい!!」
響「ね、ちょっと中心部を離れたら、街中でもけっこう星が見えるんだ」
たかね「きらきらしたひかりが、あんなにたくさん…… あれがすべて、ほしなのですね!」
響「そうだよ、全部。今だけは、ひとりじめできちゃう」
たかね「はて…… それをいうなら、ふたりじめ、では?」
響「えっ? ……あはは、なるほど、確かにね!」
響「たかね、わりと低いとこに、すごく明るい星があるのはわかる?」
たかね「…… あれ、でしょうか?」
響「そうそう。で、そのちょっと左でけっこう上のほうに、赤っぽいのがあるよね」
たかね「……ひびき、みつけました! かなり、たかいところのほしですね」
響「そして最後に、いまのふたつと三角になる左のほうにも、明るい星があるでしょ?」
たかね「はい! あります!」
響「その三つを結んだのが、『冬の大三角』って言うんだぞ」
たかね「ふゆの、だいさんかく…… それぞれのほしに、なまえはないのですか?」
響「あるけど…… カタカナの苦手なたかねに言えるかなー?」
たかね「もちろんです。しゅくじょのわたくしなら、あさめしまえです!」
たかね「べて、べてりゅ、べてるぎゅ、…… ぷろ、ぷりょき、ぴゅ…… うう……」ウルウル
響「あ、あのさ、たかね…… 名前なんて言えなくても別に困らないから、ねっ?」
たかね「『しりうす』は、いえたのです!! あとふたつだって……!」
響「さてと、たかね、これ広げるのちょっと手伝って」バサッ
たかね「はて…… これは?」バサー
響「レジャーシート。ずっと立って上を見上げてたら、首が疲れちゃうからさ」
たかね「このしきものがあると、くびがつかれないのですか?」
響「うん、こうやって寝転んでみて?」ゴロン
たかね「はい……? ……おお!!」コロン
響「こうすれば、横になったままで空全体が見渡せるって寸法さー。たかね、寒くない?」
たかね「たしかにすこし、ひえますね」
響「だと思った。カイロ出すからちょっと待っ……」
たかね「ですので、ひびきにくっついていることにします!」ピト
響「…… ふふ、確かにこれならお互い、あったかいね」
たかね「それにしてもひびき、なぜこんなさむいときに、ほしをみようとおもったのですか?」
響「それはね…… 時間的に、そろそろ見えるんじゃないかな」
たかね「なにがです?」
響「…… あっ、今流れた!」
たかね「えっ?」
響「今日はね、ふたご座流星群っていって、流れ星がたくさん見えるタイミングなんだ」
たかね「ながれぼし!? ほしが、ながれるのですか!?」
響「そう、かなりたくさん流れるはずだから、気をつけててごらん」
たかね「し、しかし…… そうはいっても、どちらをみればよいやら」キョロキョロ
響「特にどっちとかは決まってないはずだから、空全体を眺めてればそのうちに……」
たかね「あっ……!?」
響「!」
たかね「ひびき、ひびき、みましたか!? いま、あちらからあちらへ、ひかりが、すうっと!!」
響「うん、見えた! ね、こんな調子でどんどん見られるはずだから」
響「ちょっと休憩しようか、たかね。やっぱり冷えるし、それにのども渇いてこない?」
たかね「ほしにむちゅうで、きづきませんでしたが、たしかに……」
響「あったかいココア、入れてきてるんだ」ゴソゴソ
たかね「まことですかっ!?」
響「ふふ、冬の夜に外で飲むココアってのも、なかなかおいしいんだよ」
たかね「ましゅまろ…… ましゅまろもあるでしょうか!?」
響「…… あー、マシュマロ…… それは……」
たかね「そうですか……」
響「……もちろん、ちゃんと持ってきてるぞ!」
たかね「!」パァ
たかね「ああ…… あたたかくて、あまくて…… しみわたります……」ズズ
響「もう、たかねはココアくらいで大げさだなぁ」ズズ
たかね「それにしても、すごいです! こんなにくわしいとは、ひびきは、てんたいかんそくのぷろですね!」
響「…… いや、そういうわけじゃないよ。こういうの全部、自分は教えてもらっただけでさ」
たかね「そうなのですか?」
響「うん。まあでも、たかねが楽しんでくれたなら、それで――」
たかね「あの…… ひびき?」
響「ん、どしたの?」
たかね「――なぜ、ないているのですか?」
響「……え?」
響「ちっ、違うよ、やだなあ、たかねの見間違いだぞ」
たかね「いいえ。それは、うそです」
響「嘘じゃないって。泣いてなんかないよ、自分」
たかね「どこか、いたいのですか? ぐあいがわるいのですか?」
響「違うってば! ほら、自分はどこもおかしくないし、いつも通り元気でカンペキだって――」
たかね「かくさないでください!!」
響「っ!」
たかね「ひびき…… わたくしは、ひびきのかぞくでしょう? ちがうのですか?」
響「違わないよ、だけど……!」
たかね「わたくしには、いえないことですか? わたくしが…… おこさまだから、きいても、むだなのですか……?」
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