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元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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【Waning Gibbous / 19.9】
響「お、もう明るいのに…… そっか、そろそろ下弦の月だっけ」
響「夜空の月はもちろんきれいだけど、青空に月っていうのもいいよね」
響「太陽と月がいっしょの空で見えるなんて、よくよく考えたら不思議っていうか」
響「ふつうは対照的だけど、コンビにしたらそれはそれで――」
響「……ん?」
響「下弦の、月……? なんでそんな名前、急に出てきたんだろ」
響「確かに習ったはずだけど、今見えてるあれ、それで合ってるんだっけ……」
響「今度誰かに聞いてみようっと。律子…… それか、あずささんも占いつながりで詳しいかな?」
【Last Quarter / 21.8】
響「よしっ、きょうもいい天気。傘はなくても大丈夫そう!」
響「…… それはいいんだけど、この窓一面の結露。これ、なんとかなんないかなぁ」
響「暖房入れる以上は仕方ないけど、なんかすっきりしないぞ」
響「……」スッ
響「…… うひゃっ、つ、つめたっ!?」
響「もう、何やってるんだ、自分…… 窓にお絵かきなんて年でもないのにさ」
【高槻やよいの場合:2】
やよい「あっ、真さん! おはようございまーすっ!」
真「おはよっ、やよい。そうだ、いつものあれ、やってくれる?」
やよい「! わかりましたっ! じゃあ、行きますよー?」
真「よーし、思いっきり頼むよっ」
やよい「はい! せーのっ、はいたーっ――」
真「いえ……」
やよい「………… あれっ……?」
真「……っっとぉ!? ちょっとちょっと、やよい、なんで途中でやめちゃうの?」
やよい「え? …… あ、あっ、ご、ごめんなさい真さん! 大丈夫でしたか!?」
真「うん、思いっきり空振りしただけだよ、あははは……」
やよい「…… 真さん。ちょっとだけ、ヘンなことお願いしてもいいですか?」
真「変なこと? なーに?」
やよい「ハイタッチするときに、しゃがんでほしいんです」
真「えっ? ……ん、んん、ええ? ボクがしゃがんだらそれ、ハイタッチにならなくない?」
やよい「あのっ、一回! 一回だけでいいんですっ、お願いします!」
真「いやまあ、ボクのほうは別になんの苦労もないけどさ」
真「えーと、そしたら……、よっと。こんな感じ?」グッ
やよい「あっ…… それ、その高さですー! ありがとうございます真さん! 今度こそ、いきますよっ」
真「あはは、やっぱりこれじゃ低すぎて、やよいもちょっとかがみ気味じゃない」
「「はいたーっち! いえい!」」パンッ
【Last Quarter / 22.4】
響「うわっ、これ…… ちょっとねこ吉! またオウ助にちょっかい出したな!?」
響「言い訳しない! こんなに羽とか毛とかが散らばってて、自分にばれないとでも思ったの?」
響「ああもう、今からだと掃除機かけるには微妙な時間だぞ…… ん、そうだ!」
響「あったあった、コロコロ。ちゃんとこういう時にも備えてる自分って、やっぱりカン……」
響「…… あれっ、これ、開けてからそんなに経ってないよね?」
響「残りがずいぶん少ないなぁ…… 今までしまいこんでたし、大して使ってないはずなのに」
響「まあ、いいか。次の買い物のとき、買うの忘れないようにしとかなくちゃ」
【Waning Crescent / 22.8】
響「この時間なら十分間に合うな、よしよし…… ん?」
響「おっ……? キミ、このへんじゃ見かけない子だね。おっはよ!」
響「そんなに緊張しないでよ。ねえねえ、キミはどのへんから来――」
響「…… えっ、ごめん、そうだっけ……? 前にも会ってたっけ? ど忘れかなあ」
響「前のときに、一緒にいた…… ちっこいの? ちっこいの、って…… 子猫とか?」
響「じゃあ、自分はそろそろ学校に行かなくちゃ。呼び止めてごめんねー」
響「あ、待って、そっちはやめといたほうがいいよ。このあたりのボス猫の縄張りが……」
響「それも聞いた……? そっか、ならいいんだ、何度もごめん」
【秋月律子の場合:2】
律子「……」カタカタカタカタ
律子「…… ……ふぅっ。あとは細かいところ詰めたらオッケー、かな」
律子「よし、もうひと頑張り…… と、その前に……」ゴソゴソ
亜美「ねーえー、律っちゃーん」
真美「軍そ…… 律っちゃんどのぉー」
律子「…… ふぁによ」カタカタカタカタ
真美「真美たち、ヒマでしょーがないんだけどー…… って」
亜美「あれれ、なに今の? 律っちゃん、今日カツゼツすっごい悪くない?」
律子「ひょうろいいわ、これあふぇるから、おとなひくひてなさい」コロン
真美「えっ? おおっ、キャンディだー!」
亜美「これ亜美たちがもらっちゃっていいのー? わーい!」
律子「わたひ…… ん、ん、こほん。私の好みで選んでるから、味の文句は受け付けないわよ」
亜美「ぜんぜんいーよ! あんがとー律っちゃん!」
真美「…… でもさー、なんか意外ってゆーか、めずらちーね」
亜美「だよねー、お仕事しながら律っちゃんがお菓子食べてるなんてさー」
律子「べ、別に、それくらいいいでしょ? 最近、飴舐めてる方がはかどるのよ」
【星井美希の場合:2】
律子「……」ペラッ
小鳥「……」カタカタカタ ターンッ
ガチャ
美希「ねえ小鳥、律子…… さん」
律子「あんた、寝てたんじゃなかったの。どうしたのよ」ペラッ
小鳥「あら美希ちゃん、何かあった?」カタカタカタカタ
美希「ミキね、眠れないの」
律子「ああ、そう」ペラ
小鳥「へえー、珍し」カタカタカ
律子「なんっですって!?」ガタタッ
小鳥「み、美希ちゃんがおかしくなった!」ガタッ
美希「ちょっ…… な、なんなのなの、二人して」
律子「美希あんた、熱でもあるんじゃないでしょうね」
小鳥「だ、大丈夫なの? 病院にはもう行った?」
美希「ミキのこといったいなんだと思ってるの!? いまいち寝つけないだけなのー!」
律子「あんたが眠れないなんて異常事態以外のなにものでもないわよ……」
美希「むー…… あ、ねえねえ小鳥、抱き枕みたいなものってなーい?」
律子「あのねえ、毎度のことだけど、あんたこそ事務所をなんだと思ってるの?」
小鳥「うーん、タオルケットくらいしかないわね…… これ、丸めたらかわりにならないかしら」
律子「小鳥さんも! そんなに甘やかしてやらなくていいんですよ!」
美希「んー…… もっとあったかくて、もふもふしてて、ぎゅってできるくらいのサイズのがいいな」
小鳥「ああ、そうなるとちょっと難しいかなぁ……」
律子「だいたいあんた、今までそんなのなくてもぐーすか寝てたじゃない」
美希「そのハズ、なんだけど…… なーんか、物足りないの」
【Waning Crescent / 23.4】
響「…………」カリカリカリ
響「……」カリカリ ペラッ
響「…… ……あ、違った。こっちか」
響「…… ……」カリカリ
響「…………」ペラ カリカリカリ
響「…… ふーっ。でーきたっ!」
響「今日はなんだかいつもより集中できた気がするなー。なんでだろ?」
響「ああ、そっか、誰も邪魔しに来なかったからか! いぬ美、ねこ吉も、ありがとね」
【Waning Crescent / 24.8】
響「さてと、忘れ物はしてないよね? よし、大丈夫……」
響「……あー! 透明ピアスつけてなかったぞ、危ない危ない」
響「よーし、今度こそばっちり…… って」
響「…… ……? あれ、自分、こんなイヤリング買ったっけ……」
響「記憶にないぞ…… これ、誰かうちに来たときに忘れて帰ったんだったかな?」
響「銀の、三日月かー。デザイン的には…… シンプルだし、伊織か千早あたりが好きそう」
響「でも付けてるの見た記憶はないし、置いてったら自分に聞くだろうし……」
響「うーん。今度事務所で、みんなに確に…… って、うぎゃー! 時間ーっ!!」
【水瀬伊織の場合:2】
伊織「…… どう考えても、おかしいわ。いったい誰が……」
やよい「あれっ、伊織ちゃん? 冷蔵庫になにか探しもの?」
伊織「えっ?」
やよい「えーっと、用事が済んだなら、扉は早めに閉めたほうがいいかなー、って」
伊織「あ…… ああ、そうね、うっかりしてたわ、ごめんなさい」
やよい「それで、どうしたの? 伊織ちゃん、なにか困ったことでもあったの?」
伊織「…… 誰にも言わないでくれる?」
やよい「ええっ、そんな大変なこと……!? う、うん、わかった、わたし、約束する」
伊織「実は…… オレンジジュースが、減ってるの」
やよい「えっ?」
伊織「名前書いたびんに入れて、勝手に飲むな、って注意書きまでしてるのに!」
やよい「でも、みんな伊織ちゃんがオレンジジュース大事にしてることは知ってるし、そんなこと……」
伊織「だから悩んでるんじゃないの…… まさか、プロデューサー……?」
やよい「そんな、それこそありえないよ。プロデューサーは黙ってそんなことしないよ!」
伊織「わ、わかってるわよ。言ってみただけ」
やよい「うーん、でもたしかに、どうして少なくなっちゃったんだろう……」
伊織「……わたしが自分で、無意識に飲んだのかしら」
やよい「それはちょっと無理があるんじゃないかなぁ、伊織ちゃん」
伊織「疲れてたりで記憶にない、とか…… あるいは、誰かに分けてあげたのを覚えてないとか」
やよい「ひょっとして、そういう心あたりがあるの?」
伊織「ぜんぜん。そうとでも考えないと、この状況に説明がつかないってだけよ」
【Waning Crescent / 25.5】
響「…… んー。なんか、寒いなぁ」
響「あれ、なあに、ねこ吉。どうしたの?」
響「…… いや、これはこの順番でいいの。毛布を上にかけたほうがあったかいんだよ」
響「なんででも! ふとんの上に毛布ってしたほうが熱が逃げないんだぞ!」
響「そのはず、なのに、どうしても、なんか寒い感じがするぞ……」
響「…… 誰かいっしょにいてくれたら、この寒いの、少しはマシになるのかなぁ」
響「って、うぎゃー!? じ、自分のバカ、なに考えてるんだ!?」
響「ああもう、ねこ吉でいいよ、おいで…… って、どうしてそこで出て行っちゃうのさー!」
【Waning Crescent / 25.8】
< 『そして今日最も悪い運勢なのは、ごめんなさーい、てんびん座のあなた!』
響「うがっ…… 今日の自分、ワースト!?」
響「いやまあ、別に本気で信じてはいないけど、朝からこれだとテンション下がっちゃうぞ……」
< 『でも大丈夫! そんなてんびん座のツキを回復させるラッキーパーソンは「最近会ってない人」!』
響「最近会ってない友達、かぁ…… うちなーのみんな、元気にしてるかな」
響「でもこれ、ラッキーパーソンって、つまりはその人に会えってことだよね?」
響「しばらくぶりの人にばったり会えるなら、それ自体がラッキーなことなんじゃ……」
響「……ま、どうでもいいか。さっさと準備しなくっちゃ」
【三浦あずさの場合:2】
あずさ「…… ふむふむ?」
あずさ「えーっと、ああ、でも、そうねえ、それなら……」
あずさ「じゃあ最後は…… さあて。何が出るかしら~、っと!」
あずさ「…… ……あら? 今度も、まただわ」
雪歩「あっ、あずささん、タロットですか。いい運勢でした?」
あずさ「ああ雪歩ちゃん、おかえりなさい。それが、ちょっと変なのよねぇ」
雪歩「ヘン? そういえばあずささん、すっごく難しい顔してましたね」
あずさ「ええ。レッスンの時間まで、ちょっと暇つぶし程度のつもりで始めたんだけど……」
雪歩「…… ま、まさか、すごく悪い結果が出ちゃったとかですかぁ!?」
あずさ「ううん、そんなことじゃないの。むしろ運勢自体は好調そう♪」
雪歩「そ、そうですか? よかった…… ほっとしました」
あずさ「ただ…… さっきから、何度やってもおんなじカードが必ずどこかに出るのよね~」
雪歩「それって、やっぱり珍しいことなんですか」
あずさ「そうね、78枚もあるのに毎回、ってなると、ちょっと気になっちゃうかも」
雪歩「へえ…… ちなみに、よく出るのはどのカードなんですか?」
あずさ「『月』と『太陽』の2枚。う~ん…… 不思議ねぇ。もう一度、やってみようかしら」
【Waning Crescent / 26.1】
ガタンゴトン
響「ぁーっ、くたびれたぞ…… でも、レコーティング、大変だったけどいい感じ!」
響「事務所戻ったら次は即ダンスレッスンだっけ。急がなくちゃね」
「ねえ、おかーさん、しりとりしたい!」
「いいわよ、ふふっ、ほんとに好きなのねぇ。じゃあ、――ちゃんからスタートよ」
「よーし、それじゃあ…… しりとりの"り"!」
「り、ね? そうね…… さっきいっしょに買った、"りんご"」
「ご、ご…… うーんと、あっ、あった! "ごみばこ"!」
響「……子供って、なんであんなにしりとりが好きなのかな?」
「何にしようかしら。"こ"で始まることば、たくさんあるし……」
響「しりとり、かぁ…… 最後に自分が真剣にやったのって、いつだったかなぁ」
【音無小鳥の場合:2】
小鳥「…… なんだか、そろそろ降り出しそうですね」
高木「ん? ああ、確かにね。予報では午後もせいぜい曇りと言っていたはずだが」
小鳥「にわか雨で済めばいいんですけどね。けっこう冷えてますし」
高木「まったくだ。音無君は傘の用意はあるのかね?」
小鳥「わたしより社長、みんなの方が心配なんです。今日はほぼ全員、現場の移動がありますから」
高木「ああ…… いかん、アイドル諸君のことにまで頭が回っていなかった」
小鳥「一応、傘のストックはあるので、事務所に寄って帰る子たちのフォローはできると思うんですけど」
小鳥「…… あー、やっぱり。響ちゃんと真ちゃん、それに伊織ちゃん、今日は直帰だわ」
高木「ふうむ…… 彼女たちが傘を持っていてくれることを祈りたいものだ」
小鳥「伊織ちゃんには新堂さんがいらっしゃるので大丈夫でしょう。問題はあとの二人ですね……」
高木「……音無君は、まるでアイドル諸君の母のような存在だな」
小鳥「はは? 母…… え、ええっ、急になに言い出すんですか社長!」
高木「いや、変な含みはないよ。君は本当に、皆のことを娘のように思っているのだな、と、今更感じたまでだ」
小鳥「そんな、大げさですよ、わたしにできることはしてあげたいな、ってだけです。それに」
高木「それに?」
小鳥「一番年下の亜美ちゃん真美ちゃんだって、わたしの娘としてはまだまだ大きすぎますっ!」
高木「ははは、確かにその通りだね。幼児、せいぜいが幼稚園生くらいなら――」
小鳥「社長?」ギロッ
高木「……と、すまない。軽口が過ぎたようだ」
小鳥「ホントですよ、もうっ」
【我那覇響の場合】
響「うひゃーっ、思いっきり降られちゃった…… みんなー、ただいまー!」
響「おー、よしよし、ちょっとだけ待っててね。すぐ着替えないと自分、風邪引いちゃう」
響「さて…… と、みんなお待たせ。はいっ、じゃ、食べていいよーっ!」
響「あとは自分の分だな。ううー、おなかすいた……」
響「でもなー、外すっごく寒かったし、まだ雨はひどいし。買い物に行くの、めんどくさいなぁ……」
響「帰りにスーパーでも寄っとくんだったぞ…… 冷蔵庫になんか残ってないかなー?」
響「……あっ! よかった、卵がまだあった! 今日はこれでなんとかなる!」
響「何つくろっかなー…… お腹空いてるし、ちゃちゃっとできる炒り卵にでもしようっと」
響「2個でいいかな…… いや、今日は豪勢に3ついっちゃおう!」
響「あ、バターも少なくなってる。今度買ってくるの忘れないようにしなきゃ」
響「固まりすぎないように、火を通しすぎないように、外から中に、寄せる感じで……」
響「まだ、ちょっとだけ、やわらかすぎる、かなー? ……ってタイミングですぐお皿にあける!」
響「…… よしよし、いい感じにとろっとろのふわふわさー。ふふふ、我ながらカンペキっ!」
響「生クリームあったらもっとふわっとするんだけどなー、今日は牛乳でがまんだぞ」
響「この前作った時は自分でも最高の出来だったもん、 だってあんなに大喜びして――」
響「……ん? そういえばこの前炒り卵作ったのって、いつだったっけ?」
響「やだなー、こんなことも思い出せないなんて。自分、ボケちゃってるんじゃないか? あはは!」
響「ああ、そうだ! 卵が余ってて、使い切っちゃいたいから卵料理にしよう、って、 に言って」
響「んん……? …… あれ…… うーん……?」
響「なんだろ、これ…… おかしいぞ?」
響「あはは、まいったなぁ…… ホントに、自分、きょうは、どうしちゃったんだろ……」
響「………… なん、で…… なみ…… だ、とま、ら、 な、っ…… ……」
響「そ、うだ…… よ、そう、だ……」
響「そう、だっ、た、…… これ……、炒り卵、じゃ、ない…… スクランブル、エッグ、だ」
響「…… そうだ、自分…… 前にも、おなじ、こと……、炒り卵の、つもりで…… お願いされて、」
響「誰に?」
響「…… ……決まってる…… じゃないか、そんなの、っ」
響「たかね」
響「貴音」
響「貴音!」
響「なんで…… なんで、自分、こんな大事なこと…… 大事な友達のこと、今の今まで!!」
ヤバい…響がたかね(貴音)の記憶思い出したところでジーンときて目から汗が出てきた…
【我那覇響の場合:2】
ガチャッ
P「おはようございまーす」
やよい「あっ…… よかった、プロデューサーっ!!」
P「お、やよい。おは……」
伊織「あんたやっと着いたのね!? いいからこっち、すぐ来て! お願い、早くっ!!」
P「うわっ、い、伊織っ!? 待ってくれ、一体どうしたんだ? わけが――」
「――だからっ! なんで、どうしてみんなわかってくれないんだ!?」
「落ち着いてよ!! おねがいだから話を聞いてほしいの!!」
P「な、なんだ!? 誰か喧嘩でもしてるのか?」
響「美希、美希なら覚えてるよね!? プロジェクト・フェアリーは、三人のユニットで!」
美希「…… やめてよ…… なに、言ってるの? 響とミキは、二人で、ずっといっしょに……」
響「ちがう、違うよっ、美希と、自分と…… それに貴音と! 三人で一緒にやってきたんじゃないか!!」
美希「ねえ…… さっきからずっと言ってる、その"たかね"って、いったい誰のこと……?」
響「……美希、まで? 美希も、やっぱり、忘れちゃってるの……?」
春香(あっ…… プロデューサーさん!!)
P(今来たところなんだ、状況がわからない! 春香、二人に何があったんだ?)
春香(わたしもわからないんです! わたしが来たときから響ちゃん、ずっとあんなふうで……)
P(あんな風、って?)
春香(この事務所にはもう一人、"たかね"ってアイドルが所属してるはずだ、って言い張ってるんです!)
P「お、おい、響……」
響「プロデューサー……? プロデューサー!! プロデューサーは貴音のこと、思い出せるでしょ!?」
P「たかね……?」
響「そうっ、貴音! 髪が銀色で、すっごく背が高くて! 自分と一緒に765に入社したアイドルの!!」
P「…… あのな、響、落ち着いて聞い……」
響「ちょっと不思議な、でも高貴な感じでっ、そう、だから亜美や真美はお姫ちんなんてあだ名を――」
P「………… すまん、響。嘘はつけない。お前の言ってることが、俺には…… わからない」
響「~~~~~~~~っっ!!」
ガチャ
小鳥「おはようござい…… って、あれ? みんな集まって、何かあったんですか?」
響「ピヨ子…… ……あっ、そ、そうだ!! そうだよ、ピヨ子っ!!」
小鳥「え……? わ、わたし!? わたしが、なに?」
響「ピヨ子はさ、事務所にたかねがいるとき、たっくさんビデオ撮ってたよね!?」
小鳥「なに、なんの話!? ちょっと落ち着きましょ、響ちゃん、ねっ?」
響「あのビデオカメラ、どこにあるの!? メモリーにきっと映像が残ってるはず! 」
小鳥「カメラの…… メモリー? それがなにか必要なの?」
律子「…… いい加減にしなさいよ、響。小鳥さんも困ってるでしょう」
小鳥「いえ、大丈夫ですよ、律子さん。よくわかりませんけど、響ちゃんの役に立つなら」
小鳥「ええと、最近だと…… これね。ここ1ヶ月くらいずっと使ってたと思うわ」
響「ほんとにありがとっ、ピヨ子! これがあれば絶対みんなも思い出してくれるぞ!」
響「じゃあ、いい? みんなよく見ててよ……」
千早「我那覇さん……? その映像で、いったい何が……」
響「あっ、これ、ほらここっ! 朝のミーティングのあとで、プロデューサーと、たか…… ね……」
P『みんな、ちゃんと確認できたな? それじゃ各自、時間が来るまで――』
亜美「…… ねえ、これさ…… ずーっとにーちゃんしか写ってないよ、ひびきん……」
真美「しっ! 黙ってなよ亜美、それがなんか大事なのかもしれないっしょ!?」
響「…… そんな、なんで…… あ、あっ、そうか、たかねが小柄すぎて写せてないんだ!」
美希「響、あのね――」
響「そっか、そうだ、美希がたかね抱えて寝てるとこだったらもっと見やすいはず!」
伊織『例によって寝てたのね、美希……』
美希『ふにゃ…… くぅ……』
美希「……ミキが、ソファで寝てるだけだよ。その、えっと…… たかねだっけ、その子、どこにいるの?」
響「なん……で、どうして!? あんなにずっと事務所にいたのに、なんでどこにも写ってないの!?」
小鳥「響ちゃん…… わたし、確かによくビデオまわしてるけど、そのたかねちゃんって子は、一度も……」
響「……ピヨ子! ピヨ子もグルなんだな!?」
小鳥「えっ?」
響「後から編集してたかねのことだけ消しちゃったんだな!? ピヨ子ならきっとそんなの簡単に!」
小鳥「きゃっ……!? やめて響ちゃん、待って、わたし、そんなこと全然……!」
響「そうなんでしょ、ねえっ!? そうだって言ってよピヨ子ぉぉ!!」
真「ちょっと響っ!? 小鳥さんに何してるんだよっ! やめ――」
響「放してよ!! こんなのありえない、おかしいよ、自分絶対信じないぞ!」
真「うわっ、この……っ、落ち着いてってば響! プロデューサー、押さえるの手伝ってくださいっ!」
P「あ…… ああ、すまん!」
響「うがああああっ!! 放して! 二人とも、放せよっ、はなせぇえーっ!!」
P「響、いったいどうしたっていうんだ、落ち着け、頼むから落ち着いてくれ!」
あずさ「音無さんっ、大丈夫ですか!? 怪我とか、してないですか」
雪歩「わ、わたし、救急箱取ってきますっ!」
小鳥「けほ、っ、げほっ…… わたし、っ、だいじょうぶ、ですから、響ちゃんを……!」
響「うそだ、うそだ、うそだ、こんなの絶対うそだぞ! 映像にも写真にもどこにもたかねがいないなんてうそだ!」
P「…… 社長。これから響を自宅まで送り届けてきます。すみませんが、その間……」
高木「わかっている。事務所は私と律子君で取りまとめておくよ。幸い、音無君も大事ないようだ」
P「申し訳ありません、お手数をおかけします」
高木「何、気にしないでくれたまえ、いつもキミには苦労をかけているからね。それよりも」
P「はい?」
高木「我那覇君を、しっかり支えてあげてほしい。彼女に何があったのか、私にはわからないが……」
P「……はい。正直なところまだ原因はわからないんですが、全力を尽くします」
高木「うむ。とはいえ、今日のところはまず、しっかり休ませてあげるべきだろうな」
P「そう思います。話を聞くにしても、もう少し落ち着いてからがよさそうですね」
P「それじゃあ社長、しばらく空けます。後のことをお願いします」
高木「ああ、引き受けたよ。大変だと思うがキミも、よろしく頼む」
P「もちろんです。失礼します」
ガチャ
P「……! お前たち」
春香「あのっ、プロデューサーさん! 今から響ちゃんのこと、送っていくんですよね?」
P「……ああ、そうだ。今日の響は、レッスンとかできる状態じゃなさそうだからな」
春香「だったらお願いします、わたしにも手伝わせてください!」
P「春香…… 気持ちはありがたいが、いまの響には……」
春香「何ができるわけじゃなくても、響ちゃんのそばにいてあげたいんです」
真「ボクも、一緒に行きます。万が一、またさっきみたいなことになったら危ないですし」
美希「ミキもついていくの。みんなの中で、響といちばん一緒にいる時間が長いの、ミキだから」
P「ダメだ…… って言っても来るんだろうな、三人とも」
春香「はい!」
真「へへっ、もちろんですよ」
美希「トーゼンなの」
P「…… 女の子の部屋に俺だけで入るのはマズいだろうし、どうしようかと思ってたとこだ」
春香「じゃあ!」
P「今日は三人ともレッスンだけだったな?」
美希「えーっと、そうだったっけ? でもこの際、そんなのどーでもいいよ」
真「こら、美希、何言ってるのさ。プロデューサー、ボクら三人とも午後からですよ」
P「……よし、わかった。それまでには戻れるようにしよう」
ガチャ
春香「…… おじゃま、しまーす」
美希「ミキ、響の家族とはだいたい顔見知りだから、ちょっとアイサツしとくね」
春香「そうなんだ? 助かるよ、そっちはよろしくね。……真、大丈夫?」
真「うん、オッケー。響、歩ける? ゆっくりでいいからね」
響「……」
P(…… 真、俺も手を貸そうか?)
真(ありがとうございます、ボクひとりで大丈夫ですよ)
美希「みんな、久しぶりー。ごめんね、今日はちょっとだけお騒がせするの」
春香「えっと…… 響ちゃん、まず、シャワーでも浴びてきたらどうかな? きっとさっぱりするよ」
響「……」
春香「じゃあ、すみませんけどプロデューサーさん、リビングで待っててもらえますか?」
P「ああ、わかった、そうする。お前たちに来てもらってよかったよ」
美希「ぜーったい、のぞいたりしちゃダメだからね?」
P「なっ…… なに言ってるんだバカ! そんなこと、するわけないだろ」
真「あははっ。それまで響の家族のこと、ちょっと見といてあげてください」
P「そ、そうだな…… 三人とも、よろしく頼む」
P(…… 響の部屋、か。こんな形で足を踏み入れることになるとは思わなかったよ)
P(大家族がいる分広めだけど、それ以外はいたって普通だな)
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