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元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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使者「本来であれば、定められた試練の期間が終わり次第幼子に戻られ、迎えの者がすぐ参ります」
響「今あんたがここにいるのも、そのルールに従ったからじゃないの?」
使者「その前に、そもそもまず私含め、ほとんどの者は試練の正確な期間を知らされておりません」
響「……じゃあ、どうやって迎えにくるタイミングを合わせられるんだ?」
使者「元に戻られたことが我々に自動的に伝わる仕組みになっており、それを確認してから伺うのです」
響「おかしいじゃないか! だって、貴音がたかねになっちゃったのはもう一月くらい前なのに!」
使者「今回に限り、少々事情が異なっておりましたゆえ」
響「事情……?」
使者「はい。姫君は、王位継承の優先権で言うと第一位にあたるお方です」
響「女王様の候補として、優先順位が一番上、ってこと?」
使者「その通りです。その分、試練も常と比べると困難なものとなります」
響「あんたたち……、こんなちっちゃい子にどれだけ要求したら気が済むんだ!?」
使者「そう申されましても、こちらにはこちらの慣例がございますので」
響「っ……、もういいよ! それで、たかねの場合が普通とはどう違ったっていうの?」
使者「単純なことです。姫君の側から、接触を図ってもらう必要がございまして」
響「接触…… っていったって、たかねが自分から誰かに連絡を取る手段なんて…… ……まさか」
使者「お気づきになりましたか。こちらで言う『満月』直前の月を、姫君がご覧になることが必要でした」
響「じゃあ…… この間の晩、たかねが急にしばらく反応しなくなったのって……」
使者「お察しの通り、その折に我々と交信しておられたためです」
響「それで、貴音がたかねになっ…… "戻ってる"のがようやくわかって、あんたがのこのこ来たってわけだ」
使者「ええ。すでに一月近くも経っているとは、さすがに思いませんでしたが」
響「それで家来とかよく言えるよ! ふつう、心配でいてもたってもいられないんじゃないの!?」
使者「我々は決め事に従うのみです。仮に姫君が失敗なさったとして、そこまでの器だっただけのこと」
響「……もうこの際、あんたが本当に月の人で、たかねを連れ戻しに来た、ってのは信じるしかなさそうだぞ」
使者「それは大変に助かります」
響「でも…… なら、あんたが、たかねをちゃんと無事に連れて帰ってくれる、って保証は?」
使者「かえって疑念を抱かせてしまいましたか。しかし、もしも私が姫君に害意を抱く身なら――」フッ
響(なっ…… き、消え…… っ!?)
使者「――貴女相手にゆるりと言葉を交わしている必要など、特にないのでございまして」
響「…… ひっ!?」
響(い、いつの間に自分の後ろに!? 見えもしなかったし、気配も、全然……!)
使者「ここまでで『そうした行動』を取っていないこと、それ自体をもって信用していただければ、と」
響「…… じ、自分のこと、どうにか、するつもり…… なの?」
使者「申し上げましたでしょう。そうする必要があれば、最初からそのようにしております」
響「っ……!」
使者「むしろ貴女には感謝しているのですよ。この一月ほどの間、姫君を保護してくださったのですから」
響「それ、は…… だって当然でしょ、友達が、困ってたんだから」
使者「…… なんにせよ、おかげで何事もなく無事に試練が済みましたこと、改めて礼を申し上げます」
響「あ…… ああ、ごていねいにどうも…… 別に自分、たいしたことはしてないけど」
響(どうにもペースが狂わされちゃうぞ…… そういう意味では貴音と似てるけど、でも……!)
使者「それでは、私どもはこれで失礼致します。もうお会いすることもありませんゆえ、ご安心を」
響「…… 気に入らないぞ、自分。やっぱり、どうしても気に入らない」
使者「礼ならば申し上げましたし、貴女をどうこうするつもりもございませんが…… 他に何かご不満でも?」
響「いっぱいあるよ。その中でもいっちばん気に食わないこと、言っていいかな」
使者「構いませんが、手短に願えますか」
響「ありがと。じゃあ、教えてほしいんだけど」
響「ねえ、あんたさ…… なんでたかねに謝らないの?」
使者「…… はい?」
響「さっきからずーっと気になってたんだ。自分でおかしいと思わない?」
使者「私は役目通りお迎えに上がったまでで…… 姫君にお詫びするようなことは、特にないかと思いますが」
響「…… たぶん、自分、あんたとは一生わかりあえないさー」
使者「立場も何もかも異なる以上、当然かと。それで、つまり、貴女は何が仰りたいのですか?」
響「なにが、って……? ホントにまだわかんないのか?」
使者「ええ。解りかねます」
響「こん…… っの、ふらー!! あんた、やっぱりどうしようもない大バカだぞ!」
使者「…… どういうことでしょうか。さすがに聞き捨てなりませんが」
響「迎えに来たあんたがいまここで、たかねに言わなきゃいけないことなんてひとつだけでしょ!?」
響「『ずっとひとりぼっちにさせてさびしかったよね、待たせてごめんね』って!!」
響「お姫様とかの前に、お母さんや、……お父さんと、一緒にいるのが当たり前の年の子なんだよっ!?」
たかね「……!」
響「よくがんばったねって、もう心配ないよって…… どうして言ってあげられないのさ!!」
使者「……やはり、貴女の仰ることは、私には理解の及ばないところが多いようです」
響「自分も、だぞ。たかねの知り合い相手にこんなこと言いたくないけど、わかりたくもないよ!」
使者「まあ、どうとでもご自由に。それでは、もうよろしいですね?」
響「……」
たかね「あ、あの……」
使者「お待たせ致しまして申し訳ございません、姫君。さ、参りましょう」
たかね「…… ……」
使者「……はて。もうよろしいですね、と、つい今しがた確認させていただいたはずですが」
響「…………」
使者「私の袖を、放していただけますか?」
響「…… 待って……、やっぱり自分、いやだ、これでお別れなんて納得できるわけない!!」
たかね「…… ……ひびき」
使者「失礼ながら、貴女が得心されるかどうかは私になんら関わりのないことです」
響「お願い、お願いしますっ、せめて最後にたかねと話をさせて!」
使者「お断りします。貴女とお会いするのは勿論、ここまで時間を割いたこと自体、特例中の特例のようなもので――」
たかね「……よいのです。すこしのあいだ、はなれていなさい」
使者「なっ、しかし姫君! この者の振る舞いはあまりにも目に余ります、本来ならば」
たかね「ひかえよ!!」
使者「!?」
響「っ、た、たかね……?」
たかね「すこしのあいだ、はなれていなさい、と、わたくしはそうもうしましたよ」
使者「……っ。仰せの、通りに」
たかね「おおきなこえをだして、ごめんなさい、ひびき。あちらで、おはなししましょう」
たかね「…… あのもののことを、わるくおもわないであげてくださいね」
響「う、うん。まあ実際、無理言ってるの、たぶん、自分のほう、なんだし……」
たかね「きっと、なれないばしょで、きんちょうしているのですよ。ふふ、いつぞやのねこさんのようです」
響「…… たかね、ホントに、お姫様だったんだね」
たかね「はい…… しかし! ほんとうにおぼえていなかったのです。それはどうか、しんじてください」
響「そこはもう疑ってないよ。たかねが最初から覚えてたら、隠しとけるわけないもんね」
たかね「む。どういういみです?」
響「だって…… 自分にばれずに隠し事なんて、たかねはできないでしょ?」
たかね「そっ、そんなことはありません! わたくしのえんぎをもってすれば!」
響「よく言うよ。サーターアンダギーつまみ食いしてたのとか、バレバレだったのに」
たかね「う…… ……ふふっ。たしかに、そのとおりですね」
響「それより、ねえ、たかね…… ……ホントに、もう月に、"くに"に帰っちゃっていいの?」
たかね「……」
響「あと5日もしたら、前に教えてあげた鏡開きだぞ。おぜんざいも、おしるこも、まだ食べてないでしょ」
たかね「そうでした…… きっと、ひびきがつくってくれたら、びみなのでしょうね」
響「そうだよ、甘くて、あつあつでさ…… 食べたかったら、両方作ってあげたっていいし」
たかね「…… くすっ…… かがみもちだけでは、たりなくなってしまいそうです……」
響「事務所のみんなにもお別れのあいさつ、していこうよ」
たかね「ええ、したかったですね…… これほど、きゅうなはなしでなければよかったのに」
響「確かに急だけど、きっとみんなわかってくれるよ。自分もいっしょについてってあげるからさぁ!」
たかね「…… ひびきは、ほんとうに、やさしいですね」
響「自分の家族だっているぞ! 今日のおでかけが実は最後だったなんて、みんな絶対さびしがるって!」
たかね「でも、おわかれをいうためだけにもういちどあうのも…… きっと、さびしいです」
響「それ、は…… そうかもしれないけど、だけど……!」
響「それにさ…… そうだ、たかね、まだお年玉のきっぷだって1枚も使ってないじゃないか!」
たかね「ああ、それについてはまこと、おしいことをしてしまいました」
響「今からだって使えばいいよ! なんだったら、毎週2個くらいまでは食べたって――」
たかね「とてもみりょくてきな、ていあんですが…… それは、わたくし、おことわりいたしましょう」
響「どうして!? たかねは立派な淑女なんだから、カップ麺のひとつやふたつ!」
たかね「ひびきとの、たいせつな、おやくそくです。わたくしのいままでのがまんを、むだにするのですか?」
響「なんで…… なんでこんなときだけそんなに物分かりがいいんだよ、たかね!」
たかね「……わたくしも、わからないのです。なぜでしょうね……」
響「無理にいい子ぶらなくていいから…… 自分に今までさんざん言ったみたいに、わがまま言いなよ!」
たかね「…… ふふっ…… これは、こまってしまいました」
響「なにがさ!?」
たかね「いままで、ひびきに、たくさんわがままをきいてもらったから…… もう、おもいつかないのです」
響「…… ねえ、やだよぅ…… たかね、行かないで、もっと自分にわがまま言ってよ……」
たかね「ふふ…… あべこべではありませんか、ひびきが、わがままをいって、どうするのですか……」
響「あべこべでいい、わがままだって言うよ、たかねがいなくなるなんて自分絶対やだ、だから――」
使者「さて。そろそろよろしいですか、姫君」グイ
たかね「あっ……!」
響「そんな! ちょっと待ってよ、まだ話は―― っ!?」ガクッ
響(な、なん……、で、こんな…… 急に、眠気が…… っ……!?)
響(…… だ、めだぞ…… ここ、で、……寝ちゃ、っ、たら! たかね、と―― にど、と…… ……)
響「……」
たかね「ほんとうに…… ぶじなのですか? ねむるだけ、なのですね?」
使者「はい。時間が来れば、問題なくお目覚めになります」
たかね「ここはとてもさむいです。ひびきが、かぜをひいてしまいませんか?」
使者「ご心配なく。目を覚まされるまで、危険がないよう、監視および温度の調節を行います」
たかね「……そう、ですか。それなら、だいじょうぶ、ですね」
使者「さあ、もう十分でしょう、姫君。参りますよ」
たかね「あの…… まってください、さいごに、いますこしだけ」タタッ
使者「……! 姫君、どちらへ?」
たかね「きてはなりません!!」
使者「!」
たかね「すぐです。すぐにもどります。ですから、あとほんの、ひとときだけ」
使者「…… やれやれ。お気の済みますように」
響「……」
たかね「ひびき。これで、おわかれです」
たかね「いままで、わたくしも、ほんとうにたのしかったですよ」
たかね「……ひびきは、いつも、わたくしのあたまを、なでていましたね」
たかね「わたくしがとめてもきかず、それはもう、すきなように、わしわしと……」
たかね「じつはわたくし、ずうっと、ひびきにしかえしをするきかいをねらっていたのです!」
たかね「しかし、てがとどきそうにないので、あきらめていましたが……」
たかね「ふふふ…… ねているいまならば、わたくしでも、かんたんにさわれます」
たかね「かくごしなさい、ひびき。いままでのぶんの、おかえしですよ。ふふふふ……!!」
たかね「おお…… これが、ひびきのあたまのてざわりですか。これは、なかなか」
たかね「ふふふ。はるかにせのちいさいわたくしからなでまわされるとは、いいきみです!」
たかね「さきほど、わたくしが、ひびきにはかくしごとをできない、といいましたね」
たかね「それはほんとうですが…… わたくし、ひとつだけ、ひびきをだましおおせましたよ」
たかね「この、よっかかん…… ひびきと、おわかれせねばならぬと、しってから……」
たかね「そのことを、ひびきにけどられぬよう、わたくしはひっしでした」
たかね「どうです? ひびき、きづいていなかったでしょう? ……ふふっ、わたくしのかちです!」
たかね「それにしても……、ほんとうに、ひびきのかみは、くろくて、ゆたかで…… つのも、はえていて……」
たかね「……っ、つやつや、と、していて…… ふれて、いて、とても…… ここちがよい、ですね……」
たかね「これが…… さいご、ですから…… っ、いますこし、いま、すこし、だけ……」
たかね「…… ごめんなさい、ひびき。ちゃんと、さよならを、いえなくて、ごめんなさい」
たかね「どうか…… わたくしのことは、わすれてください」
たかね「わたくしが、ひびきをおぼえていれば…… それで、いいのです」
たかね「……じかんをとらせました。まいりましょう」
使者「ご随意に」
たかね「もう、てはずはととのったのですか?」
使者「万端です。もっとも難儀するであろうこの方には無事お休み頂きましたので、あとは順次」
たかね「ひびきも、ほかのみなにも…… くれぐれも、きけんなど、ないようにしてください」
使者「もちろんでございます、姫君。すべて心得ておりますので、ご安心を」
たかね「ならば、よいのです」
響「…… ん、ううん……」
響「んんー……? う、うわっ!?」
響「寝て…… たのか、自分。ううー、それにしても寒いぞぉ……」
響「…… ちょっと、だいたいここ、どこ!? 丘…… っていうか、山っていうか……?」
響「あっ! そ、そうだ、スマホで見てみたらわかるかも!」ゴソゴソ
響「えっと…… って、うぎゃー! もう真夜中じゃないか!? と、とりあえず、今は場所を……」
響「うわー、うちから結構遠いなあ…… まあ、歩いて帰れない距離じゃなさそうだけど」
響「ああもう、なんでこんなとこにいるんだ自分!? あのまま寝てたら凍え死んじゃってもおかしくないぞ!」
響「とりあえず、そんなことより今は早く帰らなきゃ。明日にも差支えちゃう」
響「……あ」
響「今日、満月なんだ…… ここから見るお月様、すごく、きれいだなぁ……」
響「は……っ、 くしゅんっ! …… ああ寒いぃ、風邪ひいてないといいけど……!」
【"As Usual"】
ガチャ
響「はいさーい、おっはよーっ!」
小鳥「あら、おはよう、響ちゃん。今日はずいぶん早いわね」
響「う…… うん。実は昨日の夜、あんまり寝られなくって……」
小鳥「そうなの? まだまだ毎日寒いんだし、あんまり無理したらだめよ」
響「ありがと、ピヨ子。でも自分カンペキだから、このくらいへっちゃらさー!」
小鳥「ふふ、そうよね、響ちゃんなら大丈夫よね」
小鳥「あら、そういえば…… 今朝は響ちゃん、一人なの?」
響「えっ? うん、そうだぞ、特に誰とも一緒にならなかったもん。どうして?」
小鳥「…… あれ? なんでわたし、わざわざこんなこと聞いたのかしら……」
響「もー、自分みたいにカンペキになれとは言わないけどさ、しっかりしてよピヨ子ぉ」
P「よーし、みんな揃ったなー? それじゃあミーティング始めるぞー」
P「今日は…… スケジュール見ての通り、だいたいみんなレッスンとレコーディングだな」
P「まず春香、真美、それに雪歩。午前中にボーカルレッスンだからすぐ移動な、遅れないように」
P「あずささんと千早はスタジオでレコーディングだ。千早、あずささんの先導頼むぞ」
P「伊織と亜美は…… と、そうか、雑誌取材だったな、ちゃんと律子の指示に従えよー」
P「真に響、美希、それとやよいは、ダンススタジオでレッスン。俺が車で送ってく」
P「えーと、とりあえずは以上だけど…… なんか確認しときたいこととか、あるか?」
P「大丈夫そうだな。じゃあ、765プロ全員、今日も一日しっかり頑張ろう!」
一同「「「「「「「「「「「「はーいっ!」」」」」」」」」」」」
せめて最後に響にとっての本来の貴音を見せてあげてほしかったなぁ…
仮に小さい方が本来の本当の姿であるとしても たぶん響はずっと待ってたはずなのに
仮に小さい方が本来の本当の姿であるとしても たぶん響はずっと待ってたはずなのに
【Waning Gibbous / 15.8】
響(……ん、 ……あー、朝かぁ)
響(そうだ、もう学校始まるんだったぞ。ぐずぐずしてらんない)
響(でも…… 寒いし、まだ時間は余裕あるし…… もうちょっと、あと5分だけ――)
いぬ美「ばうっ!」
響「うわ、わわぁっ!? ……あー、いぬ美、ありがと。おかげで目が覚めたよ」
いぬ美「くぅーん……」
響「あはは、大丈夫だってば。すぐ朝ご飯作るからね、ちょっと待っ……」
響「……え? いぬ美、ごめん、もう一回言って?」
響「あの、子……? はどこだ、って…… 待って待って、なんの話?」
響「へ、変な冗談やめてよ、もう…… いくらカンペキでも自分、そういうの得意じゃないんだから」
【双海亜美&双海真美の場合:2】
真美「ねーえ、亜ー美ー」
亜美「なーにさー」
真美「ヒマー。ヒーマーだーよーぉ」
亜美「だねぃ…… にーちゃん、早く帰ってきてくんなきゃ、亜美たち待ちボケ殺しだよー」
真美「あーあー。どーせレッスンまで待っとかなきゃだし…… ひと狩りしとこっか?」
亜美「いやいやいやそれはダメっしょ。亜美たち、事務所じゃハンターはいぎょーって決めたじゃん!」
真美「あっ……、そーだったそーだった! いやー、へへへ、うっかりうっかり……」
真美「…… ありっ? ねえ、真美たち、どうしてモンハンやんないことにしたんだっけ?」
亜美「何言ってんの真美、そりゃ…… ……えっ、と? あれっ、なんでだったっけ……」
真美「あ、それはそーとさ、亜美?」
亜美「なんだい、どしたい真美さんや」
真美「これ、マシンセッティングさぁ、変えるのはいーけど、ちゃんと戻しといてよねー」
亜美「は?」
真美「トボけたってムダだよー? どーしてこんな初心者向けなのかは知んないけど」
亜美「え、ちょっと待ってってば。最近、亜美はマリカーさわってもないよ?」
真美「真美も久々だったから、すぐには気づかなかったYO…… ああ、別に怒ってるわけじゃないから」
亜美「いやいやいや! 勝手に亜美が変えたことにしないでよ、知らないって!」
真美「オージョー際が悪いよん、亜美ー。次から気をつけてくれればそれでいい……」
亜美「違うよ! 亜美がこだわってるのはそこじゃないってば!!」
真美「もー、なんなのさ、しつっこいなぁ……」
【Waning Gibbous / 16.2】
響「まーったく、プロデューサーもいいかげんさー。レッスンの終了時間、勘違いするなんて」
響「時間潰しといてくれ、って言われてもなぁ…… 落ち着いて、座れるようなとこ……」
響「……あ! ちょうどいいところに!」
響(どれにしよう。レッスンでちょっとくたびれてるし、甘いの飲みたいなー)
響「えっと、じゃあ、このココアで」
響「…… あの、ごめんなさい、やっぱり変えていいですか?」
響「こっちのキャラメルマキアートにします。レギュラーサイズで!」
響「えっ? セットのほうがお得? んーと…… それじゃあ、スコーンもください」
響(……ここのお代くらい、あとでおごってもらってもバチはあたんないよね? くふふ)
【如月千早の場合:2】
千早「…… ~♪ …… ♪ ♪」カリカリ
千早「~♪ …… ~♪」ペラ カリカリカリ
ガチャ
真美「ひゃーっ、たっだいまーっ!!」
亜美「ううう…… なんで傘もってない日に限って雨なんかーっ! あ”ー、さぶいぃー……」
千早「ああ、お帰りなさい、二人とも。エアコンの温度、ちょっと上げる?」
真美「女神だ…… 千早お姉ちゃんマジ女神!」
亜美「ぜひ、ぜひともおねげーします!」
真美「あれっ? ねえねえ千早お姉ちゃん、なんで楽譜にわざわざドレミなんか書いてんの?」
千早「…… ……えっ?」
亜美「ホントだー。どしたのさ、千早おねーちゃんなら音符読むのなんかアホの子はいさいでしょ?」
千早「あほの……? ひょっとして、お茶の子さいさい、かしら?」
亜美「えへへ、うん、それそれ!」
真美「あー、亜美ってば、今のひびきんに聞かれたらメッチャ怒られちゃうYo」
千早「もう…… スマホやゲームもいいけれど、たまには本も読まなくちゃだめよ」
千早(…… でも確かに、私、どうしてこんなことを……?)
【Waning Gibbous / 16.4】
響「そうだ、たまには違うルート通って帰ってみようかな。なにか新発見があるかも!」
響「お! こんなとこにケーキ屋さんあったんだ、知らなかったぞ」
響「うわー、どれもきらきらしてて…… 全部おいしそうだなー、目移りしちゃう」
響「春香はここのお店、知ってるかな。今度教えてあげよっと」
響「…… はっ、この匂い! これ、間違いなくラーメン屋さん……」
響「ああ、ダメだー、ただでさえ寒い上、おなか空いてるときにこれ嗅いじゃったらダメだぞー……」
響「今月はそんなにお金使ってないし…… うん、たまにはいいよね!」
< イラッシャイマセー
【Waning Gibbous / 18.8】
響「みんな、おはよー。ごはんできてるぞー、おいでー」
響「はいはい、まだ、まだだぞー? 食べるのは全員にちゃんと行き渡ってからね」
響「ふーっ。お正月気分もずいぶん抜けてきたなー」
響「お飾りもそろそろ撤収しないと。……ああ、それに、そういえば今日って」
響「んー、朝からそこまで甘いの食べたいわけでもないし。帰ってきてからにしよう」
響「というか…… ひとりでおぜんざいとかお汁粉とかって、なんかわびしい気がするぞ」
響「だいたい自分、いつもはそこまで準備しないのに。なんで今年はこれ買ったんだっけ……?」
響「まあ、あるものは仕方ないよね。事務所で誰か、誘ってみようかな」
【菊地真の場合:2】
真「さーてっ、今日もいつものコース行ってこようっと!」
美希「こんなに寒いのにお外でランニングなんて、真くん、ホントに元気だね……」
真「トレーニングは毎日欠かさないのが基本なんだよ。たまには美希もいっしょにどう?」
美希「ヤなの。ミキ、毎日かかさずソファで寝なくちゃ死んじゃうもん」ボフ
真「それなら、ひとっ走りしてから寝てみたら? きっといつも以上に気持ちいいよ!」
美希「うーん…… そんなこと、しなくても…… 気持ち…… いい、から、だいじょーぶ……」
真「…… まーた話してるうちに寝ちゃうんだから。これってもう才能だよ」
真「いくら暖房きいてても、このままはちょっと…… タオルケット、どこかなぁ?」
真「じゃあボクは…… っと、出かける前に、ちゃんと持つもの持ったっけ?」
真「えーっと。タオルよーし、お金よーし、iPodよーし、飲み物よ……」
真「…… あれー、おっかしいなぁ。なんでボク、アクエリなんか持ってきちゃったんだろ」
真「これ、甘すぎるんだよねー…… ランニングで飲んでたら、すぐお腹たぽんたぽんになっちゃうし」
真「……まあ、でもいつも水ってのもあれだし、たまにはいいかな?」
真「よおーしっ、改めてしゅっぱーつ! いってきまーす!」
【萩原雪歩の場合:2】
雪歩「さてと。今日もみんなのぶんのお茶、おいしく淹れられますように……」
ガチャ
雪歩「はうぅ!?」
伊織「ちょっと、今の声なに!? なにかあったの!?」
雪歩「……えっ、な、なにこれ? どうして、こんなにたくさん……!?」
伊織「雪歩? どうしたの、お茶がなんだっていうの?」
雪歩「い、伊織ちゃん! 伊織ちゃん、お家からお茶っ葉持ってきてくれたりした!?」
伊織「…… はぁ?」
雪歩「だって、だってほら、給湯室のストックがいつの間にかこんなにいっぱいぃ!!」
伊織「え……? いや、わたしは何もしてないわよ」
雪歩「ええっ、そしたら…… わ、わたしが買ってきたんだっけ? うう、覚えがないよぅ……」
伊織「そもそもここ、雪歩の聖域じゃない。誰も勝手に手を加えたりしないと思うけど」
雪歩「そ、そうかな、うん、そうかも……?」
雪歩「ああ、しかもこれ全部、ちょっとだけしか使った跡がないよ…… なんてもったいない!」
伊織「ふーん。ねえ、これ、似てるように見えるけど全部違うやつ?」
雪歩「そうだよ。せっかくだから今度みんながいる時に、飲み比べとか、してもらおうかなぁ」
伊織「ああ、いいんじゃない? 普通はなかなかそんな機会ないもの」
雪歩「うーん、でもでも、わたしの淹れ方のせいで、味がわかってもらえなかったりしたら……」
【Waning Gibbous / 19.3】
響「んっ? なんだろ、これ」
響「……あ、そっか。飾りつけの余り、せっかくだからってもらって帰ったんだった」
響「自分でもらって貼っといて、自分で忘れてたら世話はないなー」
響「クリスマスどころかもうお正月も過ぎちゃったし、固まっても困るし、はがしとこうっと」
響「…… しっかし、これ、なんでこんな低いところに貼ったんだっけ?」
響「うわっ、しかも噛んだあとまで! どうせねこ吉かブタ太あたりだろ、ほんとにもー……」
【天海春香の場合:2】
春香「よーっし、時間ぴったり! さてさて、本日のマドレーヌはっと……」
春香「どれどれー? ……わぁ、ばっちりきれいなきつね色っ♪」
春香「でもお菓子って、見た目だけじゃダメだもんね。かんじんのお味はどうでしょうか!」
春香「えへへ、焼きあがってすぐのお味見は、お菓子を作るひとだけの特権だよねー」
春香「それじゃ、早速…… いただきまーす」
春香「……んん! おおー! 我ながらこれはいい感じですよ、いい感じっ!」
春香「よしよしっと。うち用のは別にして、今日の事務所のおやつ用にラッピングしよっ」
春香「…… あれれ? おかしいなぁ…… やだなあ、わたしってホントにドジだなぁ」
春香「なんか自信なくなってきちゃった、念のためもう一回、確認してみよっと」
春香「千早ちゃんでしょ、あずささんでしょ、それに律子さん、伊織、亜美と真美」
春香「真、雪歩、やよい、美希、響ちゃん、そして、わたし。うん、12人、誰も忘れてない」
春香「それからプロデューサーさん、小鳥さん、社長で…… みんな合わせて15人。間違いないよね」
春香「……なのに、なんでわたし、16人分作っちゃったんだろう?」
【Waning Gibbous / 19.8】
響「よく晴れてるなー! 冬の朝は空気が澄んでる感じで気持ちいいさー」
響「…… うぅー、しかし、つめた……! やっぱりホームは風がモロに来るからきっついぞー……」
響「これ着ててまだ寒いってなんなのさー、もー! うちなーじゃこんなの、絶対いらないのに」
響「だぼだぼな分、ちょっと子供っぽい感じもするけど…… 背に腹はかえられないや」
響「それにしても、生地がもったいないなぁ。余裕ありすぎっていうか」
響「ちっちゃい子一人くらいなら一緒に入れちゃいそう。そしたらきっと、あったかいだろうなー」
響「…… なーんて。そんなの、まだまだずーっと先の話だよね」
響「あっ、よかった、電車、時間通りだ。はーっ、やっと少しはマシになる!」
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