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元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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へーきへーき。正義の裁判官のうさちゃんが青竜刀だったかで敵の怪人をバッサバッサと膾にするアニメが螺旋の中にあるから。
しかもそれが大人気で血みどろウェスタン編なんてのもあるみたいだし。
しかもそれが大人気で血みどろウェスタン編なんてのもあるみたいだし。
生存報告です。
毎度期間が大きく空いてしまい、申し訳ありません。
今しばらくお待ちいただけると幸いです。
毎度期間が大きく空いてしまい、申し訳ありません。
今しばらくお待ちいただけると幸いです。
【はうめに】
響「あ、そうだ、たかねはいくつにする?」
たかね「はい? ひびきもしってのとおり、わたくしはごさいですよ」
響「ああ、いや、年の話じゃなくて、お雑煮のお餅のことさー」
たかね「おぞうに……? けさは、『おせち』をたべるのでは?」
響「おせちだけじゃ物足りないよ。お雑煮っていうのは、具がいろいろ入ったスープみたいなやつ」
たかね「すうぷですか。めんは、はいっていないのですか?」
響「残念ながら麺は入れないなー。だけど、お餅が入ってるぶん、ボリュームはあるから」
たかね「なるほど、それはそれでたのしみです!」
響「うん、もうちょっとでできるからね。で、お餅、いくつ欲しい?」
たかね「そうですね…… ならば、わたくしのとしにちなんで、いつつで!」
響「はぁっ!? い、5つ!?」
たかね「む、なにかおかしいですか」
響「いくらたかねでも、それはちょっとないんじゃないかなぁ……」
たかね「…… わたくし、しょうしょう、せんたくをあやまったようにおもいます」
響「そうそう、わかってくれればいいの」
たかね「ではここは、やっつでおねがいします!」
響「あのね、数が多いとえらいとか、そういうやつじゃないからね」
【アミロペクチン】
たかね「これが、おせち…… それに、おぞうに!」キラキラ
響「本格的とまでは言わないけど、我ながら雰囲気は十分だと思うぞ!」
たかね「いちねんのはじめの、おめでたいおしょくじです。こころして、いただかねば」
響「うん、自分が腕によりをかけて作ったんだから、気合入れて食べてね」
たかね「はいっ! それでは、いただきます!!」
たかね「ふぬぬぬぬぬぬ!!」
響「…… おおー……」
たかね「お、おもひ、とは…… ほ、ほのように、のびゆものほは!」
響「そんな長さまで切らずに伸ばせるなんて、たかねは器用だなあ」
【西と東でモノがちがう】
たかね「……おや? ひびき、かがみもちは、そのままなのですね」
響「んー? そうだよ、あれは新年の飾り物なんだって言ったでしょ?」
たかね「わたくし、おぞうにのおもちが、かがみもちだとおもっておりました」
響「鏡開きっていって、鏡餅には食べる決まったタイミングみたいなのがあるんだぞ」
たかね「ふむ、それはいつなのです?」
響「1月の…… えーっと、だいたい10日くらいかな。もうすぐだよ」
たかね「そのときはまた、おぞうにをつくるのですか」
響「決まりはないと思うけど、おぜんざいとか、おしることかにすることが多いかも」
たかね「おぜんざい? おしるこ……?」
響「そのふたつはあんまり違わないんだけどね、甘く煮たあずきとお餅を一緒にして食べるの」
たかね「あまい、あずき……! それも、たいへんにおいしそうです」ジュルリ
響「寒いときにはあったまるしね。ってわけで、そのときまでは、鏡餅はおあずけ」
たかね「ああ、おしるこに、おぜんざい! どのようなあじなのでしょう、まちどおしいです!」
響「…… えっ、ちょっと待って、両方は作んないよ?」
たかね「なんと!?」
響「いや、だって、ほとんど同じもの作ったってしょうがないし」
たかね「そ、そんな! わたくしのいきるたのしみのはんぶんを、うばおうというのですか!?」
響「さっき存在知ったばっかりで何言ってるの、たかね」
【debutante】
たかね「あの、ひびき。ほんじつの、わたくしのこおでぃねえとなのですが」
響「それなら心配ないぞー。新年最初のお出かけだもんね、ばっちりおしゃれに決めてあげる!」
たかね「そこはひびきのことですから、しんようしております」
響「うん、自分に任せといて! で、コーディネートがどうしたの? なにか注文ある?」
たかね「そうなのです。ひとつ、ぜひともみにつけたいものがございまして」
響「ふんふん、じゃあ今日はそれをメインにしよっか。どれが着たいの?」
たかね「いえ、その…… おようふくではなくて、ですね」
響「洋服じゃない? ……たかね、前にも言ったけど、シャンプーハットはお外には――」
たかね「ちがいます!! それではありません!!」
【周囲に植わってる】
響「やっぱりお正月の街って、独特な雰囲気があるなー」
たかね「ひびき、さきほどから、あちこちにたけがたててあるのはなぜですか?」
響「ああ、あれ? あれは門松って言って、鏡餅とかと同じお正月の飾りのひとつなの」
たかね「ほほう…… しかしなぜ、『かどたけ』ではなく『かどまつ』なのでしょう」
響「えっ?」
たかね「たけが、まんなかで、とてもめだっています。しゅやくはたけなのでは?」
響「…… いい、たかね。目立ってる人やものが、いつも主役だとは限らないんだよ」
たかね「はっ……!」
たかね「いえ、そういうことではなく、りゆうをきいたのです。ごまかさないでください」
響「さあてたかね急がないとみんなとの待ち合わせに遅れちゃうぞー」
たかね「ひびき、ひびき! こちらを! わたくしのめをみてはなすのです!!」
【暗くないところで】
亜美「おっ、二人とも来たみたいだよん」
真美「やっほーひびきん、おひめっち! あけおめー!」
響「ごめんみんなー、お待たせー! あけましておめでとーっ」
たかね「あけましておめでとうございます。ことしも、よろしくおねがいします」
あずさ「うふふ、こちらこそよろしくね~、たかねちゃん」
律子「ああそうだ、響? ゆうべのメールだけど、あんな遅くまでたかねを起こしとくのは……」
真美「げげっ……!? り、律っちゃん、その話は今はしなくていーっしょ!」
亜美「そーそー律子サマ、年のはじめくらいカタいこと言いっこナシでさ、ね?」
【ふぁっしょんちぇっく】
たかね「みき、それに、はるかも、いつもとおようふくがちがいますね」
美希「ミキはメンドくさいからいいって言ったんだけど、ママがせっかくだからって」
春香「わたしはみんなでお参りするこの機会に、と思ったの。どう、たかねちゃん、似合うかな?」
たかね「はい! はるかもみきも、とてもきれいで、すてきです」
春香「本当? えへへ、ありがとう!」
美希「……まあ、ホントはこういう和服って、貴音のほうがぴったりってカンジもするけど」
春香「ああ…… うん、それはわかるかも」
たかね「? わたくしが、どうかしたのですか?」
春香「んーん、なんでもないよ。きっと、たかねちゃんが着ても似合うよね、って話」
たかね「おお! まことですかっ!」
美希「……あれ? たかね、イヤリングなんて前からつけてたっけ?」
たかね「ふふふ、ほんじつはわたくし、おめかししているのです!」
春香「えっ? あっ、ホントだ! おしゃれさんだねー、たかねちゃん」
たかね「ふたりとも、さすが、おめがたかいですね。どうでしょうか、にあっておりますか?」
春香「うん、とっても! 銀色がたかねちゃんの髪と引き立てあってて、すごく綺麗だよ!」
美希「へえー…… それに、これ、三日月の形してるんだ」
春香「…… ねえ、たかねちゃん。これ、響ちゃんからもらったんでしょ?」
たかね「ええ、そうです。やはりわかりますか」
美希「ミキたちにはすぐわかっちゃうの。たかね、それ、大事にしなくちゃダメだよ」
春香「きっとね…… 響ちゃん、選ぶのに時間とかいっぱいかけたと思うんだ」
たかね「もちろんです。ひびきが"わたくし"にくれた、たいせつな、おくりものですから」
【ご対面の前に】
たかね「としのはじめから、たくさんのひとがあつまっているのですね」
真「初めだからこそ、だよ。お参りしたら、なんとなくいいことありそうな感じがするしさ」
たかね「いちりあります。では、さっそくまいりましょう!」
雪歩「あっ! ちょっと待って、たかねちゃん。まずこっちで手とお口をすすがないと」
たかね「そういえば、ゆきほも、きょうはわふくなのですね?」
雪歩「うん、わたしはお洋服にしようと思ってたんだけど、お父さんがどうしてもって……」
真「いいなあ。ボクも振袖着てみたかったんだけど、父さんがどうしてもダメだって……」
たかね「…… よのなかは、いずこも、かなしいすれちがいばかりです」
たかね「ところでわたくし、おうちをでるまえに、てはあらっておりますよ」
真「うーんとね…… 今から神様に会うんだから、もう一度ちゃんと洗うのがルールなんだよ」
たかね「そういうものなのですか」
雪歩「ちょっと面倒かもしれないけど、そういうものなの。はい、たかねちゃん、ひしゃくをどうぞ」
たかね「ありがとうございます。これで、おみずをくむのですね?」
雪歩「そう、それで両手を片方ずつ洗ってね、それからお口もすすぐの」
たかね「こころえました!」
たかね「ところで、このおみずは、のんでもよろしいのですか?」
真「うん、よろしくないね」
雪歩「マナー的にも衛生的にもやめとこうね、たかねちゃん」
【いざお目見え】
たかね「……」
千早「…… あら? たかねちゃん、どうしたの?」
伊織「あとは参拝するだけでしょ? なにをぼーっと突っ立ってるのよ」
たかね「その…… じつは、さほうが、わからないのです」
千早「ああ、なるほど……」
伊織「日ごろの振舞い見てると忘れそうになるけど、あんた5歳だものね……」
伊織「いい? まずは、この紐をひっぱって鈴を鳴らすのよ」
たかね「…… あっ、よくみると、うえにまるいものが! あれが、すずなのですね」
伊織「そうよ。この鈴の音には、神様をお招きする意味があるんですって」
ガラガラガラ
伊織「……っと、こんなものかしら」
たかね「……」ジー
伊織「ん? なあに、鈴を鳴らす仕草もパーフェクトな伊織ちゃんに思わず見とれちゃった?」
たかね「いえ、いおりがせのびをしているのは、あまりみないものですから」
伊織「なぁっ!?」
千早「…… くすっ」
伊織「ち、千早、あんた今笑ったわね!? あとで覚えてなさいよ!」
たかね「はて…… せのびをするのは、なにかはずかしいことなのですか?」
伊織「たかね、いい!? 念のために言っとくけど、響よりはわたしの方が身長高いんだから!」
たかね「なんと! ほとんどおなじとおもっておりました」
伊織「なんですって!? 1cmよ!? 1cmも違うんだから今後は気をつけなさいよね!」
響「ところで念のために言っとくけど、自分、ちゃんと聞いてるからなー?」
千早「さて、それじゃあたかねちゃん、改めて参拝のしかたを教えてあげるわ」
たかね「ちはや、よしなにおねがいします」
伊織「ちょっと待ちなさい千早、なにさらっと流してるの!?」
響「それより伊織はさ、身長の件で自分とちょっと話、しようか」ガッ
伊織「い、いやああああ!?」ズルズル
千早「最初は、さっき水瀬さんがしたように鈴を鳴らしてから、お賽銭を投げるの」
たかね「おさいせん、というのはしっております! ひびきから、このごえんだまをもらいました」
千早「そうだったのね。それは、目の前の賽銭箱に投げ込めばいいわ」
たかね「はい! では…… とおっ!」
チャリン
千早「ふふ、上手。この後はいくつか決まった作法があるけど、すぐ覚えてしまえるから」
たかね「わたくしに、おぼえきれるでしょうか。しょうしょうふあんが……」
千早「大丈夫。少しくらい間違ったとしても、神様はそんなことで怒ったりしないわ」
千早「まずは、おじぎを二回するの。神様に尊敬の気持ちを表すためね」
たかね「さいしょは、おじぎがにかいですね」
千早「そう。そうしたら次は、手を胸の高さに持ち上げて、手のひらを重ねて」
たかね「むねのたかさで、りょうてを…… ゆびは、のばしていてよいのですか?」
千早「それでいいわ。じゃあ、合わせた手をこうして、肩幅より少し狭いくらいに開きましょう」
たかね「……はい! ひらきました!」
千早「そして、二回、拍手(かしわで)…… つまり、手を打ち合わせて音を立てるの」
たかね「なんと。それでは、かみさまがびっくりしてしまいませんか?」
千早「たかねちゃんは嬉しいときや驚いたとき、思わず手を叩いてしまいたくなることがない?」
たかね「そういえば、ほんとうにするかどうかはべつで、あります」
千早「もともとこの拍手は、そういう自然な感情の表れが由来だと聞いたことがあるわ」
たかね「なるほど…… かみさまにあえた、うれしさがこもっているのですか」
千早「そうね。素敵な音楽や歌を聴いたときに思わず拍手(はくしゅ)をするのも、きっと同じ」
たかね「すると、ごちそうをまえにしたとき、てをうちたくなるのもおなじですね!」
千早「ふふっ…… そうね、それも一緒に違いないわ」
千早「ここまで済んだら、最後にもう一回おじぎをして、それでおしまい。簡単でしょう?」
たかね「おじぎ、おじぎ、てをうつ、てをうつ、おじぎ…… で、あっておりますか?」
千早「ええ、ばっちりよ。ああ、それと最後のおじぎのときに、お願い事をするのも忘れずに」
たかね「おねがいごと?」
千早「拍手までが神様へのご挨拶みたいなもので、その後でお願いをする感覚ね」
たかね「おねがいごと…… といっても、どのていどのことをおつたえすれば?」
千早「確かに、複雑だと神様も困ってしまうかしら。じゃあ、好きなもののことを考えてみたら?」
たかね「おや、それだけでよいのですか」
千早「シンプルなほうがわかりやすくていいと思うわ。神様もきっと、察してくれるでしょう」
たかね「それならかんたんです。わたくしのおねがいごとは、もうきまりました!」
千早「そう? だったら早速、実際に参拝しましょうか」
【でざいあ】
ガラガラガラ
パン パンッ
千早(…… さすが元四条さん、ちゃんと一度の説明で全部覚えているわね)
千早(あとは一礼して…… ふふ、小さな手を合わせて、いったいどんなことをお願いし――)
たかね「らぁめん!!!!」
千早「!?」
周囲「ブフォッ」
千早「ちょっ、ちょっと、四じ…… たかねちゃん、別に声に出す必要はなくて――」
たかね「それから、もちろん…… ひびき!!!!!」
千早「!」
周囲「……」ザワザワ
たかね「……はっ!? わ、わたくし、ねんじるあまり、つい、くちに……!」
響「なんか大声で呼ばれた気がしてこっち来たんだけど…… たかね、どうかした?」
たかね「い、いえ、なにもありませんよ、ひびき」
響「そうなの? ねえ千早、たかねと一緒にいたんでしょ、何か知らない?」
千早「さあ? 私は何も。それより我那覇さん、今年はきっといい年になるわ」
響「?」
【Green-Eyed-Carmined-Eyes】
伊織「まったく。わたし、本当のこと言っただけなのに……」ズズッ
やよい「でも伊織ちゃん、人が気にしてることを言うのって、あんまりよくないかも」ズズ
伊織「う…… わ、わかってるわよ」
たかね「あっ! ふたりとも、それはなにをのんでいるのですか?」
やよい「たかねちゃん、おかえりー。これはね、甘酒っていうの。あっちでもらえるよ」
たかね「おさけですか。わたくし、もうごさいですから、だいじょうぶかとはおもいますが……」チラ
響「はいはい、飲んでみたくてしょうがないんだよね?」
たかね「とうぜんです! いろいろなあじをしってこその、しゅくじょですから」
響「仕方ないなー。やよい、伊織も、いっしょに行かない?」
やよい「ええっ? でもわたし、もう一杯もらっちゃいましたし……」
伊織「まあおめでたいお正月だし、神様もそうケチじゃないでしょ。付き合ってあげるわ」
たかね「…… こうしてみると、たしかにいおりのほうが、ひびきよりも、すこしおおきいですね」
伊織「ちょっと!? たかね、やめなさい、その話はもういいから!」
響「そりゃしょうがないさー、1cm"も"違うんだもん。1cmも」ジトー
伊織「だ、だから、悪かったって言ってるじゃないの」
やよい「でも、うらやましいなあ。わたしなんて、まだ150センチにもとどいてないんですよ」
響「なに言ってるの、やよいはそれがいいんじゃないかー」ナデナデ
伊織「そうよ、突き詰めたら小柄なのも立派な個性になるんだから」ナデナデ
やよい「えへへー、そうですかー?」
響「うん、絶対そうだぞ!」ナデナデ
たかね「……」
響「もう事務所で自分よりちっちゃいのやよいくらいだし、いっそ連れて帰っ…… ん?」
たかね「ひびき、はやく、あまざけをもらいにまいりましょう」クイクイ
響「どうしたのさ、たかね。焦らなくたってなくならないよ」
たかね「……」ギュッ
伊織「…… よく考えたらわたしたち、わざわざ二杯目もらいに行くこともないわね、やよい」
響「え?」
やよい「うん、まだたっぷり残ってるもんね。待ってますから、二人で行ってきてください!」
響「急になに言い出すの、二人とも。さっきまでは一緒に行こうって……」
伊織(…… 響、ちょっと耳貸して)
響(えっ、なになに? なんか内緒話でもある?)
やよい(あの、響さん。たかねちゃん、すごくむくれちゃってます)
響(え、ええっ!?)チラッ
たかね「……」
伊織(きっと、あんたがやよいにとられちゃったような気がしてるんでしょ)
響(だって自分、ちょっとやよいの頭なでたくらいだよ?)
やよい(ちっちゃい子って、そういうのよく見てますし、けっこう気にするんですよー)
伊織(しっかりしてるように見えても、まだまだ子供ってことよ。ちゃんと安心させてあげなさい)
響「…… よし、たかね。それじゃ改めて、甘酒もらいに行こっか」
たかね「……」
響「あったかくて、ちょっと不思議な味で、おいしいぞ。期待してていいよ」
たかね「…… ひびき」
響「なあに?」
たかね「ひびきは、わたくしよりやよいのほうが、かぞくにほしいですか?」
響「!」
たかね「たしかに、やよいは、しっかりしていて、おうちのこともできますし――」
響「…… ここで、たかねに問題!」
たかね「は、はい?」
響「お餅はお餅でも食べられないお餅って、なーんだ?」
たかね「たべられないおもち? …… そのようなめんようなものが、あるのですか?」
響「あるんだよ。しかも今、ちょうどたかねが持ってるね」
たかね「わたくしが? というと…… ひびきがよくいう、わたくしのほっぺですか?」
響「ブッブー。それじゃないぞ。ほかには?」
たかね「む、むむむ…… おもち、たべられない、おもち……」
響「どう、もう降参?」
たかね「うう…… こうさんいたします。こたえはなんですか?」
響「…… "やきもち"」
たかね「む…… わたくし、べつに、やきもちなど、やいておりません」
響「ごめん。自分、ちょっと無神経だった」
たかね「……やよいがこがらで、かわいいのはじじつです。でも、わたくしだって、こがらです」
響「うん、たかねは自分より、やよいより、ずっとちっちゃいもんね」
たかね「けっしておおきくはないひびきが、かんたんに、あたまをなでられるほどに!」
響「そうそう。ちょうどいい高さだから、ついなでちゃうんだよなぁ」
たかね「どうせ、いやだといっても、ひびきはやめないのですから」
響「そんなことないよ。はっきり言ってくれたら、自分、やらないように……」
たかね「いまだけは、もんくをもうしません。ですから、その…… すきになでても、かまいませんよ」
響「お、そうなんだ? それじゃ遠慮なく、お言葉に甘えて」ナデナデナデ
たかね「…… んふふ、ふふ」
たかね「あっつ、あちっ…… あちちっ!?」
響「無理しないほうがいいよ、たかね。冷めるまで自分が持っといてあげるってば」
たかね「いいえ! これは、あち、わたくしがいただいたぶんですから、わたくしがじぶんで!」
響「心配しなくても、誰も取ったりしないって」
たかね「そうではないのです! おとなとして、そのくらいのことは、じしんで、あちち!!」
響「大人ならちゃんとそのへん、聞き分けてくれたっていいでしょ!?」
ギャーギャー
やよい「あっ、響さんとたかねちゃん、帰ってきたよ! 大丈夫だったかなぁ?」
伊織「…… ここからでも見えるくらい、にこにこしてるじゃない。心配するだけ損ってやつよ」
【実力のうち】
亜美「さーて、おひめっち! 亜美たちとことし最初の勝負といこーぜぃ!」
たかね「ほう…… わたくし、まけませんよ。なにでたたかうのです?」
真美「んっふっふー、読みが甘いぞよおひめっち。みんなで初詣とくれば、アレっきゃないっしょ?」
たかね「はて、あれ、とは?」
亜美「これだよこれっ! 年のはじめの運だめしといえばこれ、おみくじなのだー!」
律子「はぁ、全く、勝負って…… あの子たち、縁起物だってことわかってるのかしら」
あずさ「でもお正月には引きたくなりますよね~。そうだ、律子さん、わたしたちもやりましょう!」
律子「は!? え、いえ、私は別に……」
あずさ「わたしもたまには、誰かに運勢を見てもらいたいんですよ。ほらほら♪」
律子「ちょっ、あずささん、わ、わかりましたから、引っ張るのは!」
真美「そんじゃ、いっせーのせ、でみんな開くんだよっ!」
亜美「おひめっち、負けを認めるならいまのうちだよん」
たかね「ふっ、なにをいっているやら…… あみもまみも、てきではありません」
あずさ「うふふ、何が出るかしら~。どきどきしちゃうわ」
律子「…… ねえあずささん、なんで私たちまで一緒に混じってるんです?」
真美「よーし、行っちゃうかんねー!? いっせえのー…… せっ!!」
亜美「…… しょ、小吉…… うあうあー、ビミョーすぎてコメントしづらいよー!」
真美「真美は吉ゲットだーっ! ……ねえ亜美、小吉と吉ってどっちがいいんだったっけ?」
あずさ「えいっ…… わあ、中吉! 二番目にいいのを引けるなんて、いい年になりそう♪」
律子「どうして私までこんな…… …… あっ、大吉……」
あずさ「まあ、おめでとうございます律子さん。きっと今年は最高の年ですよ~!」
真美「あーっ、いいなー、律っちゃん」
亜美「ていうかもうこれで勝者確定じゃーん、つまんないのー!」
真美「あ、そーいえば、おひめっちはどうだったのさ?」
亜美「黙りこくってるとこ見るとー? んっふっふ、さては……」
たかね「…… ……ふふ、ふふふ」
律子「た、たかね? どうしたの、大丈夫?」
あずさ「たかねちゃん、前も言ったけど、占いやおみくじの結果ってそんなに気にしなくていいのよ?」
たかね「ふふふ。わたくしがだまっていたりゆうは、そのようなことではないのですよ、みな」
真美「んんー……? どゆこと?」
亜美「およっ、てことはおひめっちも大吉だったの?」
たかね「さあ、これをごらんなさい! きっと、たいへんにめずらしいものにそういありません!!」
「大凶」 バァーン
真美(……ねえ亜美、おひめっちアレ読めてないっぽいから、ホントのこと教えてあげなよ)
亜美(うええっ、なんで亜美!? そーゆーのはズノーどーろ担当の律っちゃんっしょ!)
律子(それこそどうして私なのよ! ……確か一番いい運勢引いた人が勝ちで、偉いのよね?)
あずさ(り、律子さん、どうしてそれをわたしの方を見ながら言うんですか~!?)
律子(だって占いやおみくじに一番造詣が深いのはあずささんじゃありませんか!)
あずさ(で、でもっ! たかねちゃん以外でいちばん結果が悪かったのは真美ちゃんですよ!?)
真美(にゃ、にゃんだってー!? あずさお姉ちゃん、真美のこと売るつもりなの!?)
たかね「ふふふ、みな、わたくしのごううんに、こえもありませんか」ドヤァ…
亜美(声が出てないのはホントだけど理由が全然ちがーう!!)
【氏名住所を忘れずに】
春香「うーんと…… どうしようかなぁ……」
美希「あふぅ…… ミキは、こんなカンジでいーかな、っと」
春香「は、はやっ! え、美希、もう書いちゃったの!?」
美希「神様へのお願い、でしょ? ミキの自力じゃできないことなんて、ケンコー祈願くらいなの」
春香「う、うわあ…… これだけ言い切られて説得力があるの、なんかくやしい……!」
真「雪歩ー、できたー? あんまりのんびりしてたら、いい場所とられちゃうよー」
雪歩「あ、あうぅ、ごめんね、真ちゃん…… もうちょっと待ってて」
真「待つのはいいけど…… そんなに熱心になに書いてるのさ、ちょっとボクにも見せてよー」
雪歩「わあっ!? ダメ、見ちゃダメー!」
たかね「はて。みなできのいたをてに、なにをしているのです?」
春香「あっ、たかねちゃん。これ、絵馬っていう、お願い事を書くものなんだよ」
たかね「…… おねがいごとは、さんぱいのときにおつたえするのではないのですか?」
春香「あ、そういえば……」
真「言われてみればそうだね…… 絵馬って、なんのために書いてるんだっけ」
美希「単に口で伝えるだけじゃなくて、書いてショーコも残しとく、ってことじゃないの?」
春香「証拠、かぁ…… なんか世知辛いけど、そんなところかもね」
雪歩「…… ええっとね、みんな。昔は、本物のお馬さんを神様に捧げてたんだよ」
真「ええ!?」
たかね「なんと!?」
雪歩「貴重なお馬さんをあげるから、かわりにお願いを聞いてください、ってことだったの」
春香「じゃあ絵馬って、本物の馬のかわりにこれで、ってことだったんだ……」
美希「ふーん。それでオッケーなんだったらずいぶん安上がりなの」
雪歩「ちょっ、美希ちゃん!? ストレートすぎるよぉ!」
真「さてと、せっかくだからたかねも書いていけば?」
たかね「それはよいですね。かみさまに、ねんをおしておきましょう!」
春香「そうだ。たかねちゃん、絵馬の書き方のコツ知ってる?」
たかね「いえ、わたくし、みるのもはじめてですので」
春香「あはは、だよね。これ、お願いするんじゃなくて、言い切るといいんだって」
たかね「いいきる?」
美希「『○○できますように』じゃなくて、『○○する!』みたいに書くといいってコトだよ」
たかね「なるほど! では、すこし、かえまして……」
たかね「これで…… できました!」
真(三文字!)
美希(ミキよりシンプルなの!)
雪歩(漢字はまだ難しいよね。あの字は、特に)
春香(ふふっ、たかねちゃんなら当然、そうなるよねっ)
【注連/三五七】
たかね「ひびき、さきほどから、きになっているのですが」
響「なあに、どうしたの?」
たかね「おみせやおうちのとびらのまえに、みかんがあります! ほら、あそこにも、ここも!」
響「…… さっきからやたらそわそわしてると思ったら、それが原因だったんだな」
たかね「どれもたいへんおおきく、いろもきれいです! いただいてもよいのでしょうか」キラキラ
響「ダーメ。っていうかそもそもあれ、みかんじゃないからね?」
たかね「ぬ…… わたくしをあきらめさせようとして、うそをついていますね、ひびき」
響「嘘じゃないよ。確かにみかんの仲間だけど、ダイダイって言って、種類が違うんだぞ」
たかね「だいだい?」
響「お家や子孫が代々栄えるようにって、そういう願いをこめてあるの」
たかね「なんと! ただのだじゃれではありませんか!」
響「縁起物なんて、どれも案外そういうものさー」
【いま明かされる衝撃の】
たかね「えんぎもの、といえば…… ひびきは、おみくじはひきましたか?」
響「おみくじ? ああ、そういえば今年は引かなかったなー」
たかね「おや、それでは、わたくしとしょうぶできませんね」
響「たかねは引いてたんだ。 ……ちょっと待って、勝負ってなに?」
たかね「もちろん、おみくじのけっかのよしあしできそいあうのですよ」
響「どうせ亜美と真美が言い出したんでしょ、それ。で、たかねはどうだったの」
たかね「このとおり、わたくしにふさわしい、さいこうのものでした!」ピラ
響「へえー? まあ、初詣のときは大吉多めに入れてる、なんて話もあ――」
たかね「ふふふ、どうです? それをみるとみな、ひびきのように、おしだまってしまうのですよ」
響(……ってことはつまり、その場にいた誰もまだホントのこと言ってないんだな!? もー!!)
たかね「……」ズーン
響「えーとね、その…… そう、珍しいのは間違いないから、ある意味運はいいんだって!」
たかね「…… そのようななぐさめ、けっこうです……」ズーン
響「ただの運試しなんだから、そんな気にするようなことじゃないさー」
たかね「よりによって…… あたらしい、いちねんのはじめに……」
響「いやでもおみくじってだいたい、年の初めくらいにしか引かないし」
たかね「それにくわえ、みながこのことをひみつにしていたのもゆるせません!」
響「みんな、たかねがショック受けないようにって気を遣ってくれたんだよ、きっと」
たかね「あとできかされるほうが、よりしょっくです!!」
響「…… あー、そこはさ、あのー…… あれだよ、ほら、その……」
響「…… でもさ、たかね、考えようによっては大凶って、すごくいいのかもよ」
たかね「なにがですか!? まずみかけない、さいあくのけっかなのでしょう!」
響「今が最悪なんだったら、これから先はいいことしか起こらない、ってことじゃない?」
たかね「え? …… あっ、なるほど……」
響「それに、たかね一人だったら大変だけど、自分もいっしょにいるんだから大丈夫だよ」
たかね「…… ふふふっ。それならば、わるいことはすべて、ひびきに、ひきうけてもらいましょうか」
響「えーっ、何それ。ひっどいなぁ」
たかね「おみくじをひいていないひびきへの、おすそわけですよ」
響「…… 夕飯、たかねの食べたがってたカレーの予定だったけど、やめちゃおうかな?」
たかね「な、そ、そんな!? さっそく、わるいことがはじまっているではありませんか!?」
響「いーや、これに関してはたかねの自業自得だぞー」
【もはや日本料理】
たかね「おおお…… これは、はじめてかぐ、えもいわれぬかおり……」スンスン
響「確かにこの匂いって、これでしか味わえないからね」
たかね「みためにも、こがねいろ…… ともうしますか、つやつやと、かがやいていて!」
響「あんまり眺めてばっかりいると冷めちゃうから、早く食べようよ、たかね」
たかね「なりません! まずは、めとはなで、しっかりとたのしまねば!」
響「まったくもう。どこの美食家なのさ……」
たかね「んん! んんんん!!」ムグモグムグ
響「どう? これが、日本人のソウルフードのひとつとか言われることもあるカレーだぞ!」
たかね「んんむ…… こ、これは、まさしくびみです!!」
たかね「ほどよいからさで、とろみが、ごはんとからみあって!」
響「そうそう、カレーはお米でこそだよね。いや、ナンとかでもおいしいけどさ」
たかね「なん……? ごはんのほかにも、かれーとくみあわせられるものが!?」
響「え? ああ…… うん、外国のパンみたいなのがあるんだよ」
たかね「なんと! それは、ほんじつはないのですか!?」
響「ごめん、今日は準備してないや。次にカレー食べるときはそっちにしようね」
たかね「むぅ…… いたしかたありませんね。つぎのたのしみに、とっておきます」
たかね「さきほどひびきのいっていた、"そうるふーど"とはなんですか?」
響「ようは、その国の人ならたいてい好きで、よく食べるお料理のことさー」
たかね「ではたとえば、ごはんや、おにぎり…… それに、おみそしるなどでしょうか」
響「そういうのだぞ。それ以外に、カレーとか、ラーメンもそうだって言う人もいるね」
たかね「らぁめんもですか! ではわたくしは、みもこころも、まぎれもないにほんじんです!」
響「間違いないね。ちなみに、組み合わせたカレーラーメンなんてのもあるよ」
たかね「まことですか!? ではつぎのときは、ぜひそれを!」キラキラ
響「それはいいけど、そうするとナンが食べられなくなっちゃうぞ?」
たかね「あっ…… うう、それはこまります……」
響「ふふふ、いっぱい悩むといいよ。そうだ、ラーメンとカレーならどっちが好きだった?」
たかね「どっち? ……らぁめんと、かれーで?」
響「そ、あえてひとつだけ選ぶとしたら、たかねはどっちが好き?」
たかね「……」
たかね「…… ……」ポロポロポロポロ
響「ちょっ!?」
響「ホントにごめん、ちょっと聞いただけだから、ね、自分が軽率だったぞ、ごめんね」
たかね「う、うう…… わたくし、じしんのこころは、うらぎれませんでした……」ポロポロ
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