元スレ朝潮「制裁」
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701 = 1 :
朝潮 「司令官は、一応・・・誰か一人でも大破すれば道中撤退しますよね?」
大和 「当然です」
大和 「轟沈が多いものの、軍上層部に干されず艦娘が反旗を翻さないのは、適切に道中撤退をしているからです」
朝潮 「でしたら、大破進撃のための細工は、少なくとも弱い艦種・・・」
朝潮 「もっと言えば、駆逐艦全員にはしておかないと意味がない・・・そう思いませんか?」
朝潮 「一人でも大破すれば、撤退しないといけなくなるんですから」
大和 「朝潮さんの仮定が事実だとすると、その通りかもしれません」
朝潮 「そうすると、普通に大破した荒潮・・・中破に細工されていた私・・・」
朝潮 「あの日、私達二人の違いは何だったんでしょうか?」
朝潮 「大和さんもこれは不思議ではありませんでしたか?」
大和 「私は犯人ではないので考えもしませんでした」
朝潮 「二人の違いは、荒潮が死んでからわかったんです」
朝潮 「荒潮は、第一艦隊でない遠征艦隊所属の、朝潮型艦娘(霞)と出撃前日に制服を交換していました」
朝潮 「あの日、荒潮はその交換した制服で出撃していたんです」
大和 「制服を?とんでもないことを・・・」
大和 「軍規に触れるのは置いておいても、それが出撃においてどれだけ危険かわかっていますか?」
朝潮 「元通りにしたので今は問題ありません」
大和 「はい?」
朝潮 「このことを知って、大破進撃と制服が私の中で漠然と繋がったんです」
朝潮 「ただ、何の確証もありませんでした」
大和 「”でした”?」
702 = 1 :
朝潮 「昨日の私の出撃で・・・調べたんです」
大和 「・・・方法を聞いても?」
朝潮 「ある戦闘後に、私が司令官に対して言っただけです」
朝潮 「”制服は中破だけど、知覚で大破してるように感じる”、と」
朝潮 「結果は大和さんも知っての通りです」
朝潮 「私の報告を聞いてすぐ、司令官は道中撤退を決めてくれました」
大和 「虚偽報告で提督を騙したということですか?」
朝潮 「そんなことはどうでもいいんです」
朝潮 「私の発言で知覚を信じている司令官が、道中撤退を決めたんですよ?」
朝潮 「中破に見えるのに大破している可能性がある、と司令官はわかっていたんです」
大和 「・・・」
朝潮 「ここからは私の想像ですけど・・・」
朝潮 「私の知覚を信じ、大破の可能性を考えた司令官は・・・」
朝潮 「大破進撃のため細工した制服の、取り違えか混入を警戒したのではないでしょうか」
大和 「そして、道中撤退したとでも?」
大和 「他にも提督が道中撤退を決めた理由は考えられるのではないですか?」
朝潮 「例えば何ですか?」
大和 「提督が知覚を持った朝潮さんを心配した・・・とか」
朝潮 「そのような立派な人間ですか?」
大和 「・・・前日に荒潮さんの轟沈がありましたから、警戒した可能性だってあります」
朝潮 「これまでどれだけ轟沈しても怖気付かず出撃していた司令官がですか?」
朝潮 「ありえません」
703 = 1 :
大和 「確かに今は・・・他に理由が思い当たりません」
大和 「ですけれど、朝潮さんの考える道中撤退の理由が正しいと言い切れますか?」
朝潮 「・・・」
大和 「できないでしょうね」
大和 「確証があると言うから聞いてみれば・・・がっかりです」
大和 「現実は朝潮さんが提督を騙し撤退させただけで、そこからは全て憶測未満の妄想ではないですか」
朝潮 「そうですね」
朝潮 「今わかってることは、「司令官が大破進撃の存在を知ってる可能性がある」・・・”それだけ”です」
朝潮 「制服と大破進撃を結び付ける明確な証拠にはなりません」
朝潮 「それに、加賀さんが損傷表を細工した可能性も未だ残っています」
大和 「その通りです」
大和さんが微笑む。
朝潮 「ここまで調べた内容だけなら、そうなります」
大和 「はい?」
朝潮 「全て調べたんです・・・大和さんが細工した制服で」
朝潮 「深海棲艦の放火に身を晒し、旗艦として出撃前に損傷表を確認し・・・」
朝潮 「細工された制服が存在し、その制服は大破しても制服の損傷が中破止まりになること」
朝潮 「損傷表が荒潮が轟沈した日と変わりなく、損傷表は細工されていなかったこと」
朝潮 「二つの事実が、大破進撃させる細工が制服に施されていたことを私に教えてくれました」
大和 「朝潮さん自身が証拠・・・ということですか」
大和 「その細工された制服はどうやって?」
朝潮 「三日前に荒潮が着る筈だった制服を持つ艦娘(霞)に、制服を返してもらっただけです」
大和 「先程の”元に戻した”とは、そういうことですか」
朝潮 「そうです」
大和 「ですから、制服を管理する私を犯人と疑った・・・と、そういう訳ですか?」
朝潮 「それだけが理由ではありません」
大和 「?」
704 = 1 :
朝潮 「確かに私は昨日の出撃で、「知覚で大破してるように感じる」と司令官に"言いました"」
大和 「それはもう聞きました」
朝潮 「ですけれど、大和さんが言ったように・・・」
朝潮 「「知覚で大破してるように感じる」と司令官に"嘘を付いた"とか"騙した"とは、私は一言も言ってないんです」
大和 「それがどうしたと言うんですか?」
朝潮 「昨日の出撃で、私が”嘘を付いて”いると思うのは・・・」
朝潮 「大破進撃させる細工の有無を、大和さんが知っていたからですよね?」
大和 「意味がわかりません」
大和 「何でそうなるんですか?」
朝潮 「大和さんは、昨日出撃した私の制服に大破進撃させる細工をしなかった」
朝潮 「ですから、私が司令官にした「知覚で大破してるように感じる」と言う報告を無視し・・・」
朝潮 「制服の損傷通り中破していると思い込んだ」
朝潮 「直前に私が知覚で自身の損傷度がわかると言っているにも関わらず、です」
大和 「・・・」
朝潮 「そして、”嘘を付いた””騙した”と間違った思い込みを口に出してしまったんですよね?」
大和 「それは・・・」
705 = 1 :
朝潮 「大和さんが制服に大破進撃させる細工をしていたんですね」
朝潮 「その細工した制服で、荒潮を含め何人手にかけたんですか?」
大和 「・・・」
朝潮 「大和さん!!!」
朝潮の怒気が空気を揺らす。
大和 「提督に・・・」
大和が悔しそうに顔を伏せ涙が落ちる。
大和 「提督に命令されたんです・・・仕方がなかったんです!!」
大和 「私だって!!!・・・出来るならやりたくなかった!!!!!!!!」
言葉と共に、更に涙が落ちた。
―――――
―――
706 = 1 :
朝潮 「まだ嘘を重ねるんですか?」
大和 「嘘なんて・・・」
朝潮 「最初は私もそう思ったんです、騙されていました」
朝潮 「出撃編成を決めている司令官が、轟沈しても良い艦娘の制服へ細工するよう大和さんに命令する」
朝潮 「そういうものだと・・・」
大和 「その通りですよ」
大和 「私は・・・提督の命令通りに何人もの艦娘を手にかけてしまいました」
大和 「許されることではありません」
朝潮 「違いますよね」
大和 「え?」
朝潮 「大破進撃の目的が、司令官の望む進撃率やボス到達率を上げるためなら、変なことがいくつもあるんです」
大和 「どういうことですか?」
朝潮 「一昨日の荒潮が轟沈した出撃と昨日の私が大破していた出撃で・・・」
朝潮 「司令官がわざわざ旗艦を駆逐艦にしたのも、その一つです」
朝潮 「進撃率を考えるなら、大破即撤退の旗艦に弱い艦種の駆逐艦を据えるのは非効率的です」
朝潮 「あの司令官なら、駆逐艦は随伴艦にして、何時でも切り捨てられるようにするのが道理ではないですか」
大和 「駆逐艦を旗艦にしたのは、朝潮さんが頼み込んだからではないんですか」
朝潮 「それは事実ですけど、そんなことで温情を示す司令官ですか?」
大和 「示したではないですか?」
707 = 1 :
朝潮 「本当に私や荒潮のことを司令官が考えていたなら、すぐ第一艦隊から外した筈です」
朝潮 「司令官側に轟沈を避けたがる事情があったからとか、他に理由があったとしか思えません」
朝潮 「その事情が上からのものか何なのかまではわかりませんけど」
大和 「・・・」
朝潮 「それに、何より異常に感じたのは・・・」
朝潮 「司令官が昨日の旗艦を知覚に覚醒した私にしたことです」
大和 「どこもおかしいところはないのではないですか」
大和 「知覚を持った朝潮さんを大事にしようという提督の心遣いですよね」
朝潮 「知覚には、自身や友軍の同調の状態がわかる能力もあるんですよ?」
朝潮 「これは司令官も知っています」
大和 「何か問題がありますか?」
朝潮 「大アリです」
朝潮 「随伴艦でも第五や第六のような、陣形で外側になる配置ならわかるんです」
朝潮 「それが陣形の中心となる旗艦に配置となると、艦隊のほぼ全員の同調がわかってしまいます」
朝潮 「大破進撃、ひいては制服へ細工したことが露呈する可能性が高くなるんです」
大和 「昨日は、提督に制服への細工を命令されていません」
大和 「そのせいではないですか?」
708 = 1 :
朝潮 「制服への細工を命令されていない???」
朝潮 「でしたら、私を旗艦にする必要は益々なくなるのではないですか?」
朝潮 「大破進撃も轟沈の可能性もないんですから!!」
大和 「それは・・・」
朝潮 「ここまでの不審なことは全て・・・」
朝潮 「司令官が制服への細工を正確に知らなかったと考えれば、辻褄が合うんです」
大和 「正確に知らなかった?」
朝潮 「司令官は、大和さんが制服へ細工をして大破進撃できるようにしているのを知り、利用していた」
朝潮 「しかし、命令できなかったか、しなかったということです」
大和 「具体的ですね」
朝潮 「そうやって大破進撃し轟沈を起こしてきた」
朝潮 「そんな時、先程言った轟沈を減らさないといけない事情ができた」
朝潮 「駆逐艦を旗艦に配し、大和さんにも事情を伝えたかもしれません」
朝潮 「けれど、そこで荒潮の轟沈が起こった」
朝潮 「司令官は、大和さんへの不信感を募らせ・・・自分が消される可能性も考えた」
朝潮 「そこで、自身を守るために知覚で損傷度がわかる私を旗艦にしたのではないでしょうか」
朝潮 「大和さんも下手に手出しできないと考えて」
朝潮 「違いますか?!」
大和 「随分、大胆な推理ですね」
大和 「提督でなく、私が勝手に大破進撃をさせていたと思っているんですね」
大和 「けれど、この推理には大きな穴があるのではないですか」
朝潮 「穴?」
709 = 1 :
大和 「私は秘書艦から外れた身です」
大和 「秘書艦だった昔なら兎も角ですよ?」
大和 「提督からの情報がなければ、今の私には正確な出撃編成を知ることができません」
大和 「私が大破進撃をさせていたなら、もっと無差別に轟沈するのではないですか?」
朝潮 「正確な出撃編成?大和さんならわかっていましたよね?」
大和 「不可能です」
朝潮 「執務室に盗聴器を仕掛けているのですよね?」
朝潮 「そして毎日、加賀さんか当日の秘書艦が司令官と相談する出撃編成を盗み聞きしていた」
大和 「え?、あっはは、そうですか、そう・・・」
大和 「あの夜の・・・私と加賀さんの話を盗み聞きしていたんですか」
大和 「本当に・・・・・・小賢しい子ですね」
朝潮 「どうでしょうか、友人は守れませんでした」
大和 「はぁ・・・フ、おっかしい、フフフ」
大和 「この涙で憲兵は騙せたんですけどね」
朝潮 「え?!」
大和 「あなた達にどう説明されたか知りませんけど・・・」
大和 「昨晩来た憲兵は提督の脱走でなく大破進撃の捜査に乗り込んできていたんです」
朝潮 「・・・聞いていません」
大和 「既に制服が原因ということ”まで”は憲兵も突き止めていましたよ」
大和 「私が提督に命令されて仕方なくと泣き叫んだら素直に撤収してしまいましたけどね」
朝潮 「そんな・・・」
大和 「そう、制服ですけどね」
大和 「朝潮さんは”細工された制服”と言いますけど、正確には”偽物の制服”なんです」
朝潮 「偽物??」
大和 「その制服も捜査のためと根こそぎ回収されたんです」
710 = 1 :
大和 「朝潮さんは、提督が交代するから私が偽物の制服を昨晩中に処分すると思いましたか?」
大和 「昨晩、霞さんや大潮さんと交代で私を見張っていたようですけど」
朝潮 「気付いていたんですか?」
大和 「屋内での尾行監視なんて、玄人にだって難しいのですよ?」
朝潮 「・・・」
大和 「ところで、見張っている時に何か不審な点はありましたか?」
朝潮 「代理の司令官を眠らせて武器庫に閉じ込めて、主力艦娘の艤装を持ち出した以外は特に・・・」
朝潮 「後は、宿直の艦娘に差し入れをしたり秘書艦として施設の見回りをしていたり、おかしいところはなかったと思います」
大和 「ふふ、そうですか」
大和 「お仲間の二人は今どうしているんですか?」
朝潮 「霞は宿直室へ艤装を持った西村艦隊の人たちを呼びに、大潮は主力の長門さん達を起こしに向かっています」
朝潮 「大和さん、諦めて除装して下さい」
―――――
―――
711 = 1 :
投下終了です。
イベントでまた投下が遅れそうなので生存報告に最終回予定分を半分投下しました。
ご読了有難うございました。
712 :
乙
待ってた
713 :
乙
艤装を持った西村艦隊の人たち、今はイベントで忙しいだろうから続きはイベント後まで待ってる
714 :
例え決定的証拠を押さえていたとして、大和を拘束できるのか……
乙です
720 :
期末で忙しい中で時間をやりくりし足りない資源を大量のお金で補ったにも関わらず
全甲どころかクリアもままならず嫁ズイのクリア台詞も聞けなかったので艦これをこの度引退します
一応続きは殆ど書き上がっているものの、艦これに触れるのが嫌になっています。
書けるようになり投下できるのはかなり先となりそうです。
そのため、html化で一度落としてもらうようにします。
続きをご期待されていた方には誠に申し訳ありません。
723 :
昨日見つけて追い付いたと思ったらラストでエタってるやないかーい
みんなの評価 : ○
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