元スレ朝潮「制裁」
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501 = 1 :
大和 「大和も今来たところです」
朝潮 「何を見てらっしゃるんですか?」
大和 「そうですね・・・朝潮さんは知ってますか?」
朝潮 「え?・・・何をですか?」
大和 「海の向こうでは日本と違って深海棲艦に脅かされない広大な内陸があるそうですよ」
朝潮 「陸が・・・見えるのですか?」
訓練所の砲撃音に負けないようお互い大きめの声で応酬する。
大和と朝潮の視界の先には飲み込まれそうに暗く海が広がるだけだった。
大和が海から背後の朝潮へ振り返る。
夜の帳に包まれ大和の表情が朝潮にははっきりとわからない。
顔と艤装の輪郭だけが、弱い星明かりに照らし出されている。
大和 「荒潮さん、残念でしたね」
朝潮 「・・・」
大和 「大和も親しかった武蔵が轟沈したから気持ちがわかります」
大和 「仲・・・良かったんですよね?」
朝潮 「・・・はい」
大和 「・・・聞くまでもないですよね、ごめんなさい」
朝潮 「いいえ、それより・・・」
朝潮 「私の部屋で仰っていた、ここでしか話せないこととは何でしょうか?」
湿気を孕んだ冷たい風が二人を削るように吹く。
ビリビリと体を揺するほど砲撃音がする訓練所のすぐ近くとは言え、
季節的に長居するような場所でもなく、この時間に人が来ることのない場所だった。
502 = 1 :
大和 「命令違反の件、全て提督に聞きました」
大和の言葉が朝潮の心臓を鷲掴みにする。
朝潮 「!・・・」
朝潮 (脅すつもりなの・・・?)
朝潮は身構える。
朝潮は大和との接点が少ない。
荒潮の第一艦隊除隊のお願いで助太刀してくれたこと以外にはほぼなかった。
辛うじて大和に付いて知っていることは、
霞と大潮から聞いた大和と加賀が提督を取り合っているということだけだった。
朝潮 (この人は提督側の・・・)
朝潮 (知っていてもおかしくない・・・)
吐き出すように真意を尋ねる。
朝潮 「仰りたいのはっ・・・命令違反に付いてでしょうか?」
大和 「落ち着いて・・・朝潮さん」
大和 「命令違反を咎めるためとかで呼んだ訳ではないの」
心なしか強めの発言となってしまった朝潮に対し、
大和は優しい言葉使いと両手を振ることで害意がないと伝える。
朝潮はそれを理解し、提督にするように大和へ警戒を抱いていたことを恥じた。
503 = 1 :
朝潮 「すいません、作戦の責任で猛省するべきなのは私なのに・・・」
朝潮 「こんな失礼な言い方を・・・」
大和 「気にしないでください」
大和 「朝潮さんが不安なのも痛いほどわかりますから・・・」
大和 「いつ命令違反が露呈するか心配なのでしょう?」
朝潮 「・・・」
大和 「ごめんなさい、言えないですよね」
大和 「怖がらせたくて言ったんじゃないんです、それに安心して下さい」
大和 「提督が告発することはありえませんから」
朝潮 「?」
大和 「信じられないってリアクションですね」
朝潮 「はい・・・」
大和 「命令違反が露呈したら提督にとって損なんです」
大和 「命令違反を部下に当たる艦娘が起こすなんて・・・」
大和 「上に向かって私は指揮能力がありませんと大声で言うようなものなんですから」
大和 「あのプライドの高い提督がわざわざ自身が不利になる告発なんてすると思いますか?」
朝潮 「・・・思いません」
大和 「そうでしょ?」
大和 「少しは安心できましたか?」
朝潮 「はい・・・ありがとうございます」
闇の向こうで優しく微笑んでいるであろう大和に朝潮は心を開きかける。
荒潮の死は慰められても、命令違反の責任を慰めてくれる人はいなかった。
自身の責任なので慰められるものでないと心で分かっていても、
朝潮は一人で抱えていた心の傷が少し軽くなるのを感じていた。
504 = 1 :
朝潮 「このことで私を・・・?」
大和 「それもあります、けど・・・」
朝潮 「けど?」
大和 「本題は別です」
朝潮 「ここ・・・でないと言い難いことなのでしょうか?」
大和 「寮の一室ですと誰に聞かれているかわかりません」
大和 「万が一朝潮さんがそれで困るようなことがあれば大和も悲しいです」
朝潮 「ありがとうございます」
朝潮 「・・・では、お話しになりたいこととは一体?」
大和 「最終戦闘の終盤・・・」
大和 「加賀さんが制空権を放棄して、荒潮さんを助けに行ったそうですね」
大和 「そして・・・荒潮さんはタ級に殺された」
朝潮 「はい・・・」
フラッシュバックのような一瞬のものではない、
隙があれば壊れたビデオデッキのようにあのシーンが朝潮の脳内で繰り返し再生されていた。
悲しみや怒りの感情だけじゃない、浴びた血の感触まで鮮明に思い出せた。
朝潮 「戦闘報告書は鎮守府の全員に公開されています」
朝潮 「御存知の通り、報告書の命令系統は虚偽のものです」
朝潮 「しかし、戦闘行動は間違いなく全て本当です」
朝潮 「確認すべきようなおかしい点でもあるのでしょうか」
大和 「・・・あります」
大和 「今日はそのことで呼んだんです」
朝潮 「はぁ・・・」
大和 「落ち着いて聞いて下さい」
大和 「荒潮さんを殺したのは・・・タ級ではなく加賀さんです」
朝潮 「はい?」
訳がわからない。
505 = 1 :
大和 「訳がわかりませんか?」
頭から血がスッと引いていく感じがする。
大和 「正確には加賀さんが・・・荒潮さんを意図的に見殺しにしたということです」
朝潮 「確かに荒潮は最終戦闘のタ級から最後の砲撃を受ける前に・・・」
朝潮 (轟沈寸前だったけれど)
知覚のことを話すなと言う提督の言葉が頭をよぎり、朝潮は言葉を引っ込める。
大和 「朝潮さん?」
朝潮 「すいません。何でもありません」
大和 「朝潮さん・・・大和が聞いたのは命令違反だけではありません」
大和 「当然・・・知覚のことも提督から聞いています」
大和 「今、言いかけたのはそのことではありませんか?」
朝潮 「え・・・」
大和 「図星のようですね」
大和 「もしかして、あなたも薄っすらと・・・」
大和 「荒潮さんが最終戦闘開始時点で大破していたのに気付いていたのではないですか?」
朝潮 「?!!」
大和 「その反応ですと・・・心当たりはあるようですね?」
大和 「覚醒前で荒潮さんの大破に確信まで持てなかったのでしょう?」
大和 「なので朝潮さんは仕方ないでしょう」
大和 「けれど・・・加賀さんはどうかしらね?」
506 = 1 :
朝潮 「加賀さん?」
大和 「そう・・・あなたより早く知覚に覚醒して使いこなしている加賀さん」
朝潮 「加賀さん?・・・・」
朝潮 「え・・・まさか・・・」
大和 「想像の通りよ」
朝潮 「加賀さんは気付いていた?!荒潮の大破に????」
大和 「当然ですよねぇ」
大和 「覚醒前の朝潮さんでも薄っすら気付くのに加賀さんが気付かない訳がないですよね」
朝潮 「な、何で・・・」
朝潮 「加賀さんが大破進軍を?意図的に?」
朝潮 「ありえません・・・加賀さんは命懸けで荒潮を守っていました」
大和 「加賀さんは提督と艦隊を守るために演技をしただけですよ」
大和 「あなたに指揮作戦艇を守らせるためにそうしたに過ぎません」
朝潮 「確かに・・・それは提督にも同じことを言われました」
大和 「そうでしょう? その目的のために命懸けの振りをしただけです」
大和 「そして怪我をしない内に切り上げようとした」
朝潮 「あれが・・・演技?」
大和 「まんまと騙されていたようですね・・・」
507 = 1 :
大和 「考えてもみて下さい」
大和 「加賀さんの大破要因は何でしたか?」
朝潮 「タ級の砲撃に当たり、体勢を崩されてヲ級の攻撃を
大和 「不自然とは思いませんでしたか!?」
大和 「報告書の通りなら、かすっただけで四肢を吹き飛ばすような猛火の中で・・・」
大和 「それまで全弾避けられていたのに急に被弾したことに!!!」
大和 「しかも!!被弾した攻撃では体勢を崩しただけです」
大和 「まるで・・・」
大和 「タ級の弱い砲弾を選んでわざと当たりに行ったかのようだとは思いませんか?」
朝潮 「荒潮を守る演技を切り上げるために、意図的に被弾した?」
大和 「そうです」
朝潮 「荒潮が大破しているのがわかっていて?」
大和 「そうです」
頭がくらくらする。息苦しい。
底なし沼に体を保ったままずぶずぶと沈んでいくような感覚。
大和の背後に暗闇は果てしなく続いている。
朝潮 「冗談なら・・・止めて下さい・・・」
大和 「・・・」
朝潮 「そうだ・・・私の知覚は提督に否定されているんです」
朝潮 「だから、私が戦闘開始から荒潮が大破していたかもと思うのは間違っていたんです」
大和 「あなたの知覚は・・・紛れも無く本物です」
朝潮の頭はあれほど信じたかった知覚の存在を拒否している。
何か触れてはならないものに触れてしまう、全身が最終戦闘の時と違うアラームを発していた。
508 = 1 :
朝潮 「そんなわけない!!!提督が!!」
大和 「その提督が否定したのも・・・加賀さんの差し金だとしたら?」
朝潮 「!!!」
朝潮 「・・・加賀さんにそれをする意味があると思えません」
大和 「大破進軍をするとどういうメリットがあるか朝潮さんはご存知ですか?」
朝潮 「大破進軍???」
大和 「そうです、答えて下さい」
大和 「加賀さんの意図的な大破進軍、この真相を知るのに重要な質問です」
朝潮 「海域突破率やボス到達率の上昇・・・ですか」
大和 「その通り、秘書艦として戦果を稼ぎ出世するには重要です」
朝潮 「まさか・・・」
大和 「加賀さんは戦闘マシーンと言われるほど職務に真面目です」
大和 「それは私も認めていますけど、この頃は行き過ぎなんです」
大和 「朝潮さんが言ったようなメリットを求めて大破進軍をするようになってしまいました」
大和 「戦闘マシーンだからこそ・・・弱いものを省みることができないからかもしれません」
大和 「加賀さんには朝潮さんや荒潮さんのような大破し易い駆逐艦は・・・」
大和 「足手まといでしかないんでしょうね、悲しいことに」
朝潮 「加賀さんがそういうことを考えていも、不可能です」
朝潮 「提督も・・・私も・・・荒潮の制服の損傷は確認したんです」
朝潮 「間違いなく中破でした」
大和 「制服の損傷はそうでしょうね・・・」
朝潮 (制服の損傷は?・・・)
509 = 1 :
大和 「信じられない、信じたくない気持ちはわかります」
大和 「ですけど、中破と誤認させる方法なんていくらでもありますよ」
朝潮 「はぁ?!」
大和 「あなたは深夜に立ち入り禁止の執務室にいる加賀に会ったことがありますね」
朝潮 「何で知っているんですか?!」
大和 「それは今どうでもいいことです」
大和 「あの時、加賀さんは大破進軍する準備をしていたんですよ」
大和 「そう、入れ替えていたんですよ」
大和 「損傷表の写真をね」
朝潮 「!!!!!」
激高した朝潮が殴り込み逆に叩きのめされた執務室。
加賀が書類を漁っていたのを朝潮は見ていた。
朝潮 「加賀さんが?・・・本当に?」
朝潮 「そんな・・・」
緊張による発汗が顔を叩く海風で更に冷やされちりちりと顔が痛い。
風の圧力が、痛みが、加賀に床へ叩き伏せられたあの日の絶望的な感覚を蘇らせる。
510 = 1 :
大和 「今なら朝潮さんの知覚を加賀さんが提督に否定させた理由がわかるでしょう?」
朝潮 「損傷度を隠すためですか・・・」
大和 「そうです」
大和 「加賀さんは損傷度が制服以外でわかると都合が悪いんです」
大和 「提督が損傷確認に利用する損傷表に記録される写真は大破直前のみ」
大和 「だから大破進軍を防ぐことができます・・・普通なら」
大和 「その写真を入れ替えているんですからね」
大和 「大破でも轟沈寸前の酷い損傷度の写真のものと」
朝潮 「そんな損傷表で確認を行えば・・・」
大和 「提督でも誰でも大破していないと誤認して進軍をしてしまうでしょうね」
朝潮 「では、加賀さんが否定させるということは、私の知覚は・・・」
大和 「本物です」
大和 「思えば加賀さんは朝潮さんが覚醒することもわかっていたんじゃないでしょうか」
大和 「加賀の艤装と同調させることで朝潮さん自身の艤装との同調を下げる」
大和 「証拠を残さず殺すためとは言え、こんな危険なこと普通ならさせません」
朝潮 (あの強力な加賀が殺そうとしていた?私を?)
大和が軽く話すほど事態は甘くないと朝潮が一番わかっていた。
朝潮と加賀はあの夜に格付けが済んでいる。
寒さからでない震えがした。
朝潮 (この会話が加賀に知られたらただで済むわけがないっ・・・)
周囲を見渡して確認し、大和に少し近付き声を落とす。
511 = 1 :
朝潮 「・・・大和さん!!!」
朝潮 「もう憲兵か海軍上部に通報はしているんですか?!」
大和 「していません」
朝潮 「何でですか?!」
大和 「残念ながら加賀さんを通報するには証拠が足りないんです」
朝潮 「荒潮を殺したんですよ?」
大和 「加賀さんが知覚に付いてしらばっくれれば終わりですよ」
大和 「通報しても証拠不十分で不起訴か・・・」
大和 「下手をすれば無実の提督や他の艦娘になすりつけてくる可能性さえあります」
朝潮 「どうすればいいんですか・・・」
大和 「いい案があるんです」
大和 「加賀さんを・・・こらしめる」
朝潮 「本当ですか?!」
大和 「模擬演習のことはご存知ですか」
512 = 1 :
朝潮 「聞いています、明日大和さんと加賀さんが行うと・・・」
大和 「知っているのなら話が早いです」
大和 「第一艦隊の朝潮さんは一番近い指揮作戦艇から見学ができるはずです」
朝潮 「それも聞いています」
大和 「大和の攻撃に合わせて朝潮さん・・・加賀さんの艤装との同調に干渉してください」
朝潮 「干渉?どうしてですか?」
大和 「ピンと来ませんでしたか」
大和 「同じ艦の艤装が一つの艦隊に入ることができない理由は知っていますね」
朝潮 「あ・・・」
同じ艦の同調はお互いに干渉してしまうため、
一つの艦隊にいれば二人共艤装と同調できなくなる。
なので、例えば加賀と加賀を同じ艦隊に組むようなことはできなかった。
朝潮 「加賀さんの同調に干渉して艤装との同調を妨害するんですか?」
大和 「そういうことです」
大和 「加賀さんはあなたを殺すために自身の艤装に朝潮さんを同調させたんでしょうけど」
大和 「自身がそれで危機に陥るなんてとんだ誤算でしょうね」フフ
大和 「明日の加賀さんの反応が楽しみです」
513 = 1 :
朝潮 「殺す・・・ことになりませんか?」
大和 「殺すなんて野蛮なことをする積もりはありません」
大和 「傷めつけるだけでいいんです、後はもうしないように脅すだけです」
朝潮 「しかし、加賀さんの同調が下がるどころかなくなれば・・・」
大和 「死ぬことだってありますね」
大和 「けれど、仕方ないと思いませんか?」
大和 「加賀さんは荒潮さんを殺したんですよ?」
大和 「それに、加賀さんはあなたをも殺そうとしていたのですよ?」
朝潮 「そっ・・・それは」
大和 「それに何よりこれは朝潮さんのために言っているんです」
大和 「・・・知覚が覚醒した今、もっと露骨に加賀さんは朝潮さんを殺そうとしてくるでしょう」
大和 「止めるにはこうするしかないと思いませんか?」
大和 「当然やってくれますよね?」
朝潮 (加賀さんを殺す???)
朝潮 「・・・」
大和 「朝潮さんどうするんですか?」
パチ・・・パチパチ・・・パチパチパチ
朝潮の背後の暗闇から拍手が聞こえてきた。
―――――
―――
514 = 1 :
大和 「誰!?」
朝潮も振り返るが訓練所までの暗闇に潜んでいるであろう存在が掴めない。
暗闇から拍手だけが続く。
大和 「朝潮さん、誰かわかりますか?」
朝潮 「えっ・・・何で私に聞くんでしょうか?」
大和 「わからないんですか?!」
朝潮 「はいっ」
大和 「提督ですか!!」
訓練所の砲撃音を背に暗闇から人型が現れた。
ただ存在だけわかる程度にそこにあり、未だ暗闇に溶けている。
加賀 「名演技だったわよ、大和さん」パチパチパチ
加賀 「艦娘を止めても食べていけそうなくらいにはね」パチパチ
朝潮 「加賀ッ・・・!」
声のする方へ振り向いた朝潮の艤装を大和ががっしりと掴む。
背負い紐はがっちりと固定され身構えて前傾姿勢になろうとした朝潮を抑えた。
朝潮は不満を表すかのように大和へ振り向く。
515 = 1 :
大和 「待ちなさい」
朝潮 「どうしてですか?!」
加賀 「何にでもキャンキャン吠えて・・・まるで臆病な小型犬のようね」
加賀 「強がるならその震えを止めてからにしたら?」
朝潮 「五月蝿いっ!!!荒潮を返して!!!」
加賀 「ふふ、飼い犬はしっかりと躾をしてくれる?大和さん」
朝潮 「大和さんっ!!!離してっ!!!」
加賀 「そりゃ止めるわよねぇ」
朝潮 「今なら!!」
加賀 「朝潮に同調を干渉させないと私に勝てる道理がないものね」
加賀 「前回の模擬演習で手も足も出ず大破轟沈判定を出されたんですから・・・」
加賀 「今朝潮を失えば致命的よね」
加賀 「命綱は離しちゃ駄目よねぇ」フフ
朝潮 「・・・」
加賀 「それにしても、あれだけこてんぱんにしたのに模擬演習をしたいと言うから」
加賀 「どんな奥の手があるのかと思ったら・・・ふッふふふ」
加賀 「他力本願とはね、演技もそうだけど芸人の素質もあるわね」
516 = 1 :
大和 ギリッ「・・・どういうつもりですか?」
加賀 「どういうつもり?」
加賀 「そうね・・・大和さん、あなたと二人だけで話をしたいの」
加賀 「まずは朝潮を下げなさい」
大和 「命綱を離せ・・・と?」
加賀 「朝潮が感知しなかったことでわかるでしょう?」
加賀 「私は今艤装と同調していないの」
朝潮 (そういうこと・・・)
大和が朝潮に拍手した存在の名前を聞いた理由に気付く。
そして、加賀が朝潮の知覚を認めていることも。
大和 「それでも、艤装を持っていないとは限らないですよね」
加賀 「隠しても仕方がないから言うけど艤装は持っているわ」
加賀 「けれど・・・ご存知の通り空母は夜間戦闘能力が乏しいの」
加賀 「弓で射抜くことはできるけど、それなら砲撃できるあなたと対等でしょう?」
大和 「・・・」
加賀 「改めて言うわ」
加賀 「朝潮を下げて・・・・対等に二人だけで話がしたいわ」
大和 「朝潮さん下がってくれますか?」
朝潮 「しかし、今なら!!」
大和 「下がってください」
朝潮 「っ・・・」
517 = 1 :
気圧される。
鎮守府トップ2が殺気をぶつけ合う狭間で
朝潮は自身の存在がちっぽけなのを否応なく痛感させられていた。
朝潮の足は手で抑えても小刻みに震えていた。
朝潮 「わかり・・・ました」
大和 「ごめんなさいね」
大和 「しっかり加賀さんとは話をつけますから」
大和が朝潮の艤装を離す。
朝潮はぎこちない足取りでゆっくり歩を寮の方へ進める。
暗闇から加賀に言葉をぶつけられる。
加賀 「上官の命令はすぐ聞きなさい」
怯える体と怒る心で朝潮は壊れそうになっていた。
朝潮の足音が遠ざかるのを確認して加賀が大和へ口を開いた。
―――――
―――
518 = 1 :
本日分投下終了です。
ご読了ありがとうございました。
525 :
明日で2ヶ月か
大丈夫かな?
527 :
お待たせして申し訳ありません。
私的な色々に加えこの度のイベントが重なり遅筆に拍車をかけてしまっている次第です。
恐らく現在の進みだと次回投下が6月末辺りになりそうな具合でございます。
528 :
良かった生きてたか
529 :
わたし待つわ
530 :
いつまでも待つわ
533 :
6月の始め頃にも生存報告よろ
534 :
基地航空隊の札を待機にして待ってる
536 :
お米ありがとうございます。
当SSがテンポが大事なストーリーものに関わらず我ながら情けない更新ペースですので、
完全終了を待つ方がいらっしゃっても、都度の更新を心待ちにしてくださる方たちがこんなに……と喜ぶとともに驚いています。
前回米からイベントを満喫してしまい、当初の見込み通り次回投下は6月下旬までにできる見込みです。
現在中旬投下を目指しせっせと書いているので実際の投下は少し早くなりそうです。
何卒引き続きよろしくお願い致します。
537 :
期待してる
538 :
了解
待ってる
539 :
朝潮改二とともに待ってる
541 :
そろそろかな?
542 :
待機
543 :
予告の期日よりずれ込み大変申し訳ありません。続きを本日中に投下します。
後、本SSについてお願いがあります。
もし、ご覧になってるまとめ関係の方がいらっしゃれば、
投下単位いくつかをまとめて、まとめサイトに掲載してもらえると幸いです。
まだ完結してない上での厚かましいお願いになるので、難しいことは重々承知ですのでご無理は禁物です。
理由は、上中下ドーンと一気にまとめサイトに出ると少し読む気力が減退するという利己的なものです。
朝潮改二可愛すぎませんかね。
544 :
朝潮ちゃああああああああああん
545 :
まだかなまだかな?
546 = 1 :
申し訳ありません。
ミスがあり後半部分に大幅な書き直しを行っています。投下は明日中になりそうです。
尚、万が一明日中に後半の書き直しが間に合わないことがありましても、
テンポを考えて投下を止めている完成した前半部分は確実に投下します。
何卒今少しお待ちいただければと存じます。
547 :
了解です
549 :
お待たせし申し訳ありません
投下再開します
550 = 1 :
加賀 「話をつける・・・ね」
深夜に向け気温は落ちる。
僅かな星明かりも薄まり、加賀の人型は再びすっかり闇に溶け込んでいた。
大和 「単刀直入に言いましょう」
大和 「明日の模擬演習、負けてください」
加賀 「言うことを聞かなければ?」
大和 「聞こえていたんでしょう?」
大和 「・・・不幸な事故が起きるだけですよ」
加賀 「私を殺すんでしたっけ?」
大和 「・・・そうなるかもしれません」
加賀 「負けたら事故が起こらない保証は?」
大和 「信じてもらうしかありません」
加賀 「ふっ・・・何それ、信じられると思うの?」
大和 「加賀さんに決定権はないんですよ」
加賀 「そうかもしれないわね」
加賀 「でも・・・負けるだけで良いの?」
加賀 「違うわよね」
大和 「・・・」
加賀 「正義として、フフ・・・私をこらしめる?裁く?・・・積もりなんでしょ」
加賀 「どうせなら今から私に説教してみる?」
大和 「何のことか・・・大和はただ勝ちたいだけですよ」
加賀 「なーんで、とぼけるのかしらね・・・」
加賀 「聞かれたら不味いことでも、朝潮に話していたのかしら?」
みんなの評価 : ○
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