元スレ咲「クク…是非に及ばず…」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
301 = 241 :
稔『中堅戦終了――!!』
稔『そして、全国高校生麻雀大会長野県予選、ついに副将戦を迎えます――!!』
稔『風越二年深堀純代!鶴賀一年東横桃子!龍門渕二年龍門渕透華!清澄一年原村和!』
稔『間もなく試合開始です――!!』
和(今から私があそこに……)
和「……」スーハー
和「っ!」キッ ザッ
咲「んにゃ…ム…といれ…」ムクッ
カン!
302 = 241 :
三巻終了
まさか年跨ぐとは
来年もよろしくなのよー
303 :
完全にS村さんになってる…
305 :
ククク、古き時が消え、新たな時が生まれる……(意訳:新年あけましておめでとうございます)
306 :
おつおつ
307 :
乙
手が疼くとか、一ちゃん完全に原作通りなのに患ってるようにしか見えない
308 :
和(宮永さんのなっさけな…一緒に歩く景色…試合に負けたらもうそれを見ることも叶わない)
和(勝ってみんなで全国へ行きたい…八月のインターハイへ!)
久「バナナ食べた?」
和「食べました」
久「よし、じゃあ後はお任せね。頑張って」
和「はい」
309 = 308 :
一「ごめん、逆転できなかったよ」
透華「いえ、むしろよくやりましたわ。これで私が原村和を華麗にまくって大逆転!いっそう目立ちますわ!」
一(たくましいなぁ…)ハハ
透華「それは置いとくにしても、本当によくやってくれましたわ。もう、その鎖は必要ないかもしれませんわね」
一「ん…いや、ボクはこのままでいいよ」
透華「どうしてですの?」
一「これは…透華との絆、だから…」
透華「?…はぁ」
透華(この子もたまによくわからないことを言いますわね…?)
310 = 308 :
透華「ところで衣はまたなんですの?」
一「みたいだね。でも萩原さんが迎えに行ってるから大丈夫なんじゃないかな」
ハギヨシ「衣様」
衣「ハギヨシか…出迎え大儀」
ハギヨシ「どうしてまたこのようなところに」
衣「衣は人の犇く処とマスコミを疎む。ハラムラが行ってしまった以上彼処に些かの未練も無い」
衣「大将戦といえど、所詮は退屈凌ぎに過ぎない」
311 = 308 :
ハギヨシ「…それはどうでしょうね?」
衣「……」ピクッ
ハギヨシ「今年はそうはならないかもしれませんよ?如何に衣様でも楽にはいかぬやも…」
衣「そうか…居るのか、妖異幻怪の気形が!!」ニヤリ
衣「よし!戻るぞハギヨシ!!其を玩弄して打ち毀す!!」
ハギヨシ「は」
咲「……!」ブルッ
咲(寝冷えしたのかな…それとも)
咲「……」
咲「副将戦…いかなきゃ」
312 = 308 :
和「……」スタスタ
和(この部屋で打つのは去年の個人戦以来…)
和(宮永さん……)
和(…負けられない!)
タタタ…バンッ!
咲「原村ッ!…サン」ボソッ
和「!」
咲「――我の前の座興…無様を晒すこと、まかりならぬぞ!!」
313 = 308 :
和「……」
和(そうですね…――絶対勝ちますよ!)グッ
咲「ウム!心せよ!」
係員「関係者以外は出てってね」
咲「あ…はいっ、すみませんっ」ぺっこりん
咲(…頑張って…!)チラッ
和「……」ポフポフ
314 = 308 :
咲「我帰参せり」ガチャ
優希「おかえりおはよう咲ちゃん」
久「ちょうど始まるわよ」
咲「……」ポフッ
稔『副将戦開始――!!』
315 = 308 :
透華(原村和…!そのふざけた胸ごと徹底的に叩き潰してさしあげますわ!)
透華(――と言いたいところですけれど…互いに理論派、この短期決戦で実力の違いを見せつけることは到底無理…)
透華(それは口惜しいですが…それはそれとして、私は私の打ち方であなたに勝ち、龍門渕を勝利へと導いてみせますわ!)キュ
藤田「もったいないな…」
稔「…と、言いますと?」
藤田「今年は色々とルールが偏っている。特に運の要素が強い。この副将戦に集まった選手のような、堅実で現実的な、いわゆる理論派の打ち手としてはさぞ納得のいかない結果もあるだろう」
稔「はぁ…しかしそれも仕方ないのでは?」
藤田「そうかな…まるで今年のインハイは『特殊な子供』を選り分けるシステムみたいに思えるんだが…」
316 = 308 :
純代「…リーチ」
和「……」ヒュッ タン
京太郎「和は即オリかぁ」
優希「のどちゃんらしいじぇ」
317 = 308 :
透華「……」スッ チャ
純「透華もオリたか…オレならツッパるなぁ」
一「大丈夫。透華は負けないよ」
一(徹底的に理論を追求して、その為にあらゆる情報を吸収し…そうして透華は去年よりずっと強くなってるんだから…!)
一「それに…今回の相手はあの原村和だからね」
純「たしかにな…あいつは相手が強ければ強いほど…」
一「そう。相手が強いほど燃え上がり、けれど一方ではもう一人の…ひどく冷たい透華が顔を見せる」
一(それは…ボクたちにさえ一分の隙も見せないほどの――)
318 = 308 :
和「ロン」
純代「はい」
稔「副将戦最初の和了りは清澄・原村!」
藤田「略して清原か」
稔「ずいぶん地味な手だがこれはどうなるか――!」
藤田「無視かオイ」
稔「それにしてもやっと和了りが出ましたね」
藤田「…まぁいいけど。堅いメンツだし、ダマで攻めたり迷彩をうまく使うなどの工夫に気を遣わなければなかなか場が動かんかもな」
319 = 308 :
透華(悪くない配牌ですわね)タン
和「ポン」スッ
透華(特急券――!…ふ、フン。それくらいなんですの)
和「チー」
透華(二副露!ですがこちらも一向聴…序盤の二副露くらいならば…いらっしゃいまし!)カッ
透華「リーチ!ですわ!」
和「……」ヒュッ ピシ
純「親番に副露しといてベタオリかよ。だせぇな」
一「だからこそ強い…そんな人もいるんだよ」
320 = 308 :
透華(流局…なんでしょうこの違和感…)
透華(こんな打ち方がのどっち?否…それならばこの状況は?)
透華(答えはひとつ…のどっちはまだ覚醒しきっていない!)
透華(…さぁ、はやく覚醒なさい…さもなくば――容赦なく潰しますわよ!)
321 = 308 :
純代「リーチ」
和「……」
和(私、緊張してる…思えばチームの思いを背負って大舞台に立つのはこれが初めて…)
和(それに…宮永さんが見ている!)
和(だからこそ、対局に集中しなければ…!)
322 = 308 :
和(ツモ切り…)ヒュン パシッ
和(いつも通り…)ギュッ
エトペン「おう」
和(このためですか、部長…)
和(緊張していて尚…いつもネット対戦している時の、最高の状態に近づいていく――)
和(覚醒していく!)
和「――ロン」
透華(そろそろかしら…?)ゾクッ
323 = 308 :
透華「ポンですわっ!」カッ
純代「……」タン
和「……」キュ
和「リーチ」ピシィ
稔「原村、風越・深堀の六索を見逃してツモってきた西でリーチをかけた!」
透華「……!」チャッ
透華(この西…!)
透華(くっ…)タン
稔「龍門渕選手掴まされた――!」
藤田「オリたな」
324 = 308 :
和「ツモ。裏は――」
透華(乗らないでくださいますっ!?)
和「――乗ってません」
透華「……」ホッ
透華(原村和――!)
和「……」ホゥ…
透華(なぜそんなに顔を赤らめてますの!?)
透華(それにこの感じ…)
和「……」ヴゥン…
透華(――お、おはよう…!のどっち!!)
透華(この気配、このプレッシャー…やはり生の感触はジューシーですわ!)
325 = 308 :
衣「……」ピクッ
ハギヨシ「衣様?どうかしましたか?」
衣「……」
ハギヨシ「透華お嬢様の試合ですか」スッ
ハギヨシ「トップは清澄高校、龍門渕は次いで二位でございます」
衣「ハラムラ…?ハラムラってとーかの敵なのか?」
ハギヨシ「そうなりますね」
326 = 308 :
衣(そっか…友達になってって言い損ねたけど、元より仲良くなれるはずがなかったんだ…)
ハギヨシ「先程申し上げた楽にはいかぬ相手というのも原村と同じ清澄の大将です」
衣「…そいつとハラムラは仲が良いのか?」
ハギヨシ「そうですね。私にはそのように見えましたが…」
衣「そうか…」
327 = 308 :
衣「母君がよく言っていた。幸せとは刹那の中にあり――この風、この光、この時を楽しめるのも幸せの形だと」
衣「それを共有したいと思う心が愛や娯楽に向かう。でも麻雀ではそうはいかない」
ハギヨシ「……」
衣「衣と打った者は皆世界の終焉を見たような表情をする。……衣はそれでまた、独りぼっちになっちゃうんだ……」
328 = 308 :
純代「ポン」
透華(鳴きでツモ順を飛ばされるウザさは慣れませんわね…索子臭が鼻につきまくりですわ)
モモ「リーチ」
透華(親リー…)タン
純代「……」タン
透華(…に対してその打牌…こちらも要注意ですわね)
和「……」カッ
京太郎「和も聴牌!」
久「でもこれじゃフリテンね」
咲「フン…実に愉しげではないか」
咲(ククッ…疼く…早く!私も打ちたい!)
329 = 308 :
稔「あーっと!原村選手の待ちである中が東横選手に――!しかも原村選手はフリテンのためこれで和了ることはできません!」
稔「最後の希望が今断たれた――!」
藤田「違うだろ」フフ
モモ「……」タンッ
和「ポン」
透華(もうすでに聴牌していたのではなくて…?ということは…待ちを変えた?)
330 = 308 :
和「ツモです」ヒュン パシッ
透華(は…?)
透華(…もう…もうオーラスですの?何もした気が…)
透華(って、本当に何もしてませんわ――!?)
透華(そんなの…)ピシッ
331 = 308 :
和「……」パシッ
透華「……」キュ
透華「リーチですわ!」ボッ
透華(…いつもならリーチをかけずヤミテンでいくところ…ですが!)
透華(それでは観客はブーイングをなさるでしょう。それならばリーチをかけ!派手に原村のパーフェクト阻止と参りましょう!)
透華「いらっしゃいまし!」スッ
透華「ツモ!――8000オールいただきますわ」
稔「龍門渕選手、親倍でパーフェクト阻止――!」
332 = 308 :
透華「さぁ、連荘でしてよ!」
透華(フフ…いい感じの一向聴でしてよ。これを張ったら今度はヤミで…)タン
モモ「ロン」
透華「は…?」
モモ「メンタンっす」
透華(リーチ!?いつの間に――!?)
モモ「これで――前半戦終了っすね」ユラッ
333 = 308 :
稔「五分間の休憩の後に後半戦を開始します!」
ゆみ「モモ!どこだ?」
モモ「ここっすよ」スッ
ゆみ「おおっ」ビクッ
334 = 308 :
モモ「さすがに決勝は手強いっすね。『消える』のに時間がかかったっす」
ゆみ「どうだ?いけそうか?」
モモ「はい。…これは、影の薄い私を見つけてくれた先輩への恩返しっす」
モモ「『私のリーチはダマと同じ』。『私は誰にも振り込まない』…リーチにアタリ牌を打っても相手がフリテンになるだけ」
モモ「――『私は存在しない』」ユラッ
モモ「ここからは――『ステルスモモ』の独壇場っすよ!」
カン!
335 = 308 :
ほぼ原作通りの前半戦はかじゅ仕込みのステルスモモの盛大な前振りってことで
337 :
いいぞ
338 :
おつ
最初の方なんか違和感あるなと思ってたらなるほどモモか
でもってやっぱり中身普通な咲ちゃんかわいいww
339 :
原作通りだが、患ってても同じセリフを言いそうだから油断できねえ…モモはどっちなんだ…
とりあえず乙
340 :
鶴賀控室
ゆみ「ただいま」
佳織「おかえりなさい~」
智美「モモはどうだったー?」
ゆみ「そろそろ『消える』そうだ」
智美「やっとか!」
341 = 340 :
睦月「そういえば裾花高校の時も時間がかかりましたね」
ゆみ「裾花も県内では強豪校に数えられるからな。それでも南二局では完全にモモを見失ってた」
智美「そう考えると決勝のやつらはすごいな!」
佳織「私、桃子さんって幽霊部員かと思ってました…昨日お会いするまでは…」
智美「佳織が部室にいた時は常にモモもいたけどなー」
佳織「ふぇ!?そーなの!?」
智美「ユミちんがモモを『見つけた』のは佳織が入部するより前だからな」
佳織「『見つけた』?」
342 = 340 :
智美「ちょうど一ヶ月前かな…うちは部員が少ないから、大会に出るためには部員を集めなくちゃいけなくて焦ってたんだ」
智美「佳織は幼馴染み権限で確保できるとして、最低でもあと一人」
佳織「え!?」
智美「あと一人…探してる時に、麻雀部のサーバを校内LANに繋いでプレイヤーを募ってたんだよ」
智美「その時――モモを現れた」
343 = 340 :
智美「その打ち筋と性格にユミちんが入れあげちゃってなー」
智美「それでみんなご存知、『ユミちん一年A組乱入事件』」
佳織「あっ!それ知ってる!あれって加治木先輩だったんですね」
ゆみ「……うむ」
睦月(あ、それ私の…)
344 = 340 :
佳織「学校中の噂になりましたよね…その時居合わせた生徒たちは演劇部の余興でも始まったのかと思ったとか」
睦月「芝居じみた口調と台詞、あまりの剣幕に聞き惚れる一年が多数いたとか」
智美「それでついたあだなが宝塚」ワハハ
佳織「ロミオとかもありませんでした?」
睦月「あったあった」
ゆみ「…さすがの私も少々恥ずかしい」
智美「でもどーゆーわけかあのお姫様はそれが気に入ったらしくてなー。そう…ユミちんの奇行が――岩戸をこじ開けたんだ!」
345 = 340 :
稔『副将戦後半戦開始――!!』
モモ(――たとえば、とんでもない目立ちたがり屋さんとか存在感のあるパーツを持った人がいるように…)
モモ(その逆もまたいるんすよね)
モモ(私は存在感ゼロ、どころではない――いわば『マイナスの気配』――!)
モモ(影に潜み、空気と同化す…それは一度発動すれば、不可視の脅威、瑕疵無き幻影――捨牌をも巻き込み幻惑するっすよ!)
346 = 340 :
ゆみ「モニター越しならばまだしものこと、傍にいると気配どころか声すらも聞き逃してしまうからな」
智美「モモがワザと点棒や牌で大きな音をたてない限りなー」
睦月「一方的な情報の遮断…敵であればこれほど恐ろしいこともそうないでしょうね」
佳織(…みんなが何を言ってるのかわかんないよ…)
347 = 340 :
透華(またもや絶好の聴牌ですわね)
透華「リーチですわ!」カッ
「――いいんすか?それ、ドラっすよ?」
透華(えっ…?)
モモ「ロンっす。リーチ一発ドラ1――5200っす」ユラッ
透華(すでにリーチが…!?)
透華「あなたっ!ちゃんとリーチ宣言はしまして!?」
モモ「したっすよ?」
透華「~~~~~~~っ!!」
348 = 340 :
モモ「……」チラッ
カメラ「キュイ」
モモ(…そういえばカメラを通してなら、私も沢山の人に見てもらえるんだっけ…)
モモ(この試合も多くの人が見てるんだろうな…でも、今の私は唯一人――あの人さえ見てくれれば、それでいい)
モモ(影が薄いだけの私を求めてくれた先輩…誰かと繋がることの楽しさ・嬉しさを教えてくれた先輩…)
モモ(見ててください、先輩!あなたが私を見出した意味を、私がこうして存在する意義を、今この卓上で証明してみせるっす!!)
349 = 340 :
モモ(…たぶんこの人達は、程度こそあれいずれも理論を重視するタイプ…かくいう私も似たようなものっすけど)
モモ(――唯一!私がこの中で卓越しているモノ――!)
モモ(それは、生来の影の薄さを利用したこの『ステルスモモ』!私はいわば能力と理論のハイブリッド!)
モモ(理論に従って効率的に打ち、張った時等の勝負所や逆に張られた時等の危険時には能力で切りぬける!この打ち方は親和性もかなり高い――)
モモ(つまり条件を満たした私は、卓上でほぼ無敵!悪いっすけど、後半戦は鶴賀のワンサイドゲームっすよ――!)
350 = 340 :
和「……」キュ
和「リーチ!」チャッ
モモ(おっぱいさん、調子いいっすね!でも、私ももうオリないっすよ)
モモ(たとえこれがアタリ牌だとしても、あなたはこれを見逃すっす。視えないものは、和了れない――!)
みんなの評価 : ★★
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