私的良スレ書庫
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元スレ照「ドーモ。スガ=サン。バカップルスレイヤーです」京太郎「!?」
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本音はまた別であるが、そんな風に理論武装してみた。
「まあ、照魔鏡は冗談だけど」
プリンを口へと運ぶ合間に、ぼそりと零す。
麻雀で同卓したら傾向を判断出来るのは真実であるけれども、流石に照魔鏡とてそこまで万能ではないのだ。
「――ご馳走様でした」
ややあって全て平らげた後、プリン美味しゅうございましたと咲へ感謝の合掌。
そうして、空いた容器等を片付ける。
「さて……」
これから照が向かおうとした先は――もちろん咲の自室だった。
人の恋路を邪魔するやつは云々かんぬんという言葉はあるものの、照が出歯亀じみたマネをしようとするのは、無理ならぬ事であろう。
興味を持つなという方が、きっと間違っている。
妹があれだけ熱をあげているのだから、少し話してみたくなったのだ。
ついでに、この状況で咲をからかうと面白いかもしれないとか企んでいた。
散々……そう本当に散々、咲から惚気けられたのだ。
多少の仕返し位、神様も大目に見てくれるだろう。
照は咲の部屋を目指しながら、妹の惚気話を思い返した。
『京ちゃんったらさ、日替わりのレディースランチ食べたいからっていきなり私に頼むんだよ? そのためだけに食事に誘うってどうかと思わない?』
と、非難めいた風情で訊いておきながら『……まあ、おいしそうにご飯を食べるところとかは嫌いじゃないけど』とか。
『昔からなんだけどお調子者というか、子供っぽいとこがあるというか……まあ、そこが可愛いかったりするんだけど』とか。
『すぐ茶化してくるんだよ。……まあ、誰にでもしてるわけじゃないし、私も嫌ってわけじゃないけど。でも人前ではやめて欲しいかな』とか。
『それにね――――』
これは駄目だと、思考を打ち切る。
自虐風自慢にも似た惚気が、こうまで気分をささくれ立たせるとは。
人によっては壁ドン案件の範疇だろう。
もちろん女子の憧れのシチュエーションである壁ドンではない。
イラついたら突然開始してしまう拳vs壁の異種格闘技戦的なアレだ。
照は微妙に憤りつつ、部屋の前で立ち止まった。
取り付けられたドアプレートには、アルファベットでsakiと書かれている。
ドアを静かに少しだけ開け、中の様子をこそっと覗き――驚愕すると共に硬直した。
家政婦は見たならぬ、照は見たというやつである。
そこには、隣り合って座っている一組の男女、宮永咲と須賀京太郎がいた。
まあ、それはいい。これまでの経緯からすれば当たり前である。
問題は二人が……なんというか……こう……人工呼吸的な行為をしている点だ。
言い方を変えればマウストゥマウス。つまりは接吻。それも、かなーり熱烈な感じであった。
咲の方は身長差を埋めるために頤を反らし、隣の彼氏つまり京太郎の方は、咲の腰へと手を回し横抱きにした姿勢。
そんな感じの密着状態で互いに目を閉じ、時に角度を変え口付けを交わし合い、二人の世界に浸っている。
照が生ける彫像と化して十秒、いや二十秒ほど経っただろうか。
粘着質な音――多分舌を絡め合っているのだろう――と偶に漏れている妹の艶やかな吐息が、微かに耳へと届き続ける中。
照ははっと我に返り、音を立てぬようドアをゆっくり閉めた。
(見てはいけないものを見てしまった……)
照は瞼を落とし、ふるふると首を左右に振った。
次いで、落ち着くために何度も深呼吸する。
予想だにしていなかった桃色時空を直視し続けたせいか、頬が熱く胸の鼓動がうるさい。
戦略的撤退という選択肢が脳裏にふと過るものの、却下。
すごすごと引き下がるのは姉の沽券に関わる。
ここまで来たらもう意地であった。
少し時間をおいて動悸が収まった頃を見計らい、照はドアをノックした。
「咲、ちょっといい?」
すぐさま室内から聞こえる衣擦れとドタバタとした音。
それにやや遅れて、上擦った妹の声が返ってくる。
「お、おねえちゃん!? な、な、な、な、何かな?」
「挨拶でもしておこうと思って」
照が再度扉を開けると、先程の密着した状態とは違い、咲と京太郎の距離はやたらと離れていた。
二人は慌てて取り繕ったのだろう。そう容易く見て取れる状況であった。
京太郎に関しては、窓の外を見遣り、何もない様子を装っている。極めて不自然である。
咲にいたっては、さも読書していましたといわんばかりであるが、しかし手に持った上下逆の文庫本のせいで台無しとなっている。
更には二人共頬が上気したままだ。
それらを敢えて無視して、照はクッションの上にちょこんと正座した。
「ドーモ。スガ=サン。バカップルスレイヤーです」
照は丁寧にオジギをした。
アイサツは絶対の礼儀だ。古事記にもそう書かれている。
「!?」
「お、おねえちゃん!」
あまりといえばあまりな挨拶に、京太郎が動揺を露わにし、咲は咎める様な声を上げた。
乙ー
でもこれは割りとショックだよね……
弟に「兄貴ってまだ童貞?」って言われるぐらいショックだよね
でもこれは割りとショックだよね……
弟に「兄貴ってまだ童貞?」って言われるぐらいショックだよね
>>62
なんっ...でそこまで!的確に人を傷つける例えが出せるんだよお前はあああああっ!!
なんっ...でそこまで!的確に人を傷つける例えが出せるんだよお前はあああああっ!!
>>67
実際に弟に言われた経験がある………。だったら笑える、のか?判らんけど
実際に弟に言われた経験がある………。だったら笑える、のか?判らんけど
「もちろん冗談……宮永照です」
「あー、えっと須賀京太郎です」
ぺこりと頭を下げ合う。
そうして、0.2秒というわけでもないが、顔を上げると互いの視線がぶつかる。
両者そのままじっと見つめ合った。
「……えっと、それだけ?」
咲がおずおずとそう訊いてくるのも無理はない。
照と京太郎の二人が無言のままで、獅子おどしに水が溜まりきりカコンと落ちる程度の時間が流れていた。
まあ、見つめ合っていた事自体は、特に意味はない。
単に照が話題を思いつかなかっただけである。京太郎側もきっとそうなのだろう。
取り敢えず、こちらが主導権を握らなくては――と、照は口を開いた。
「ご趣味は?」
「あー、と。俺の場合、麻雀と筋トレとかっすね――――って、見合いじゃないんですから!」
「須賀くん、ナイスツッコミ」
「ああ、おねえちゃん的にボケたつもりだったんだ、それ……」
ボケに即反応してくれるのは、照的にポイントが高かった。
何故なら、ボケっぱなしほど悲しいものはないからだ。
照が弘世菫と仲良くなったのも、そこらあたりが関係しているのかもしれない。
菫のツッコミ能力は優秀なのだ。
「まあ、それはともかく……二人はどこまで進んでるの?」
照は当初の目的を果たすために爆弾を投下した。
「えぇっ!?」
「なっ!?」
二人が同時に仰け反った。
やたらとオーバーリアクション。
何か後ろめたい事でも……まあ、多分あるのだろう。
例えば、先ほど照が見たぐっちょんぐっちょんな感じのアレとか。
「あ、あ、あ、あのね、おねえちゃん……なんていうかその……ふ、ふつーな感じだよ! そう普通! だよね京ちゃん!?」
「え、あ、うん。そう、ふつーっすよ。普通。あはは……」
あたふたしている二人を見て、全く答えになっていないのではと、照は思う。
「なるほど、フレンチキスは普通と」
「「え゛!?」」
照が落としてみた爆弾に、二人は顔を赤くして固まった。
そしてややあって、油が切れたからくり人形の様にギギギと動き出す咲。
ちなみにこのギギギとは、照に対して大星淡が言った「ギギギ」とはまた別であり。
というか「ギギギ」って何なんだろう。
早く進んで欲しいものである。
「お、お、お、おねえちゃん。なんでそれを……」
「さっき見ちゃった」
てへっと、よそ行き用の笑顔で応じてみる照。
一方、京太郎はバツが悪そうに目を逸らし、咲は「あうあうあうあう」と意味の通らない言葉を零している。
もちろん、二人共もはや耳まで真っ赤であった。
そんな二人の慌てる様を眺めて、照は溜飲を下げた。
妹をからかうのは、これ位にしておこうと決める。
惚気話の仕返しとしては十分であった。
やり過ぎて恨まれるのも不味かろう。
「というわけで、将来の義弟と親交を深めに来た」
割りと素直な気持ちで言った照の発言に――――咲が湯気を上げ倒れてしまったのは、言うまでもないだろう。
【②たまには宮永照だって意地悪する】――了
宮永照の昼食は、大学内において幾つかのパターンが決まっている。
もちろん便所飯などという考えるだに恐ろしい行為はしたことがない。
学生食堂等を利用するレアケースもあるものの、大抵ロビー等適当な場所にてランチタイムとなるのだ。
これはいつも昼食を共にする学友二人に関係していた。
友人達――正確にはその内一人――は弁当持参が殆どであり、照もそれに合わせる形で昼食をとる事となる。
ただ合わせる形といっても、照が弁当を作って大学へと持っていくかといえば、その時々の気分としか言い様がない。
普段朝に弁当を作っている妹へ頼めば用意してもらえるが、照としては流石にそれは気が引ける上に、姉として如何なものかと思う。
なので、照が弁当を持参するパターンは、起床時間を妹に合わせ一緒に作る時位であった。
朝食がてらのつまみ食いや他愛のない世間話をしながらの料理を弁当箱に詰める時間は、照にとって楽しいものである。
まあ、毎日まではしようとは思わないけれど。
――そういえば。
弁当といえば春休みが終わって以来、時々咲が弁当を二人分作るようになった。
最初にその二個分の弁当を照が見た時、まさか妹が愛する姉のため自発的に?
と、照は感激しかけたのだが……当然そんな理由で二人分作っていたわけではなかった。
無論、交際し始めた彼氏のためだ。
はにかみながらその旨をこっそり告げてきた咲に対して、照はなんたる女子力と愕然としたものである。
あまりのリア充っぷりに、妹がなんだか遠く感じたりもした。
もしかして、いわゆるカップルの定番である“あーん”とか恥ずかしげもなくするのだろうか。
――そう、この二人がたまにやっている風にと、照は共に昼食をとっている彼女達をちらりと見た。
「美穂子、それ美味しそう……一つもらってもいい?」
そう訊いたのは、赤みがかった茶髪が緩くウェーブしたセミロングの女学生――竹井久である。
その胸は標準的だった。
「ええ、いいですよ。どれですか?」
と小首を傾げ、色素の薄い淡く金色がかった長い髪を揺らしながら応じたのは――福路美穂子。
なんとなく雰囲気からして家庭的で優しげな女学生だ。
実際、料理等彼女の家事能力はすこぶる高い。
いつも作ってくる弁当からも、それは窺えるだろう。
更に……その胸は豊満である。
つまり内面的、外見的にも男性に好まれるタイプ。
ナンパされる頻度も、それを証明している。
「その唐揚げが欲しいかな、なんて」
「竜田揚げですねけどね……はい」
美穂子は、手ずから箸で摘んだ竜田揚げを久の口元へと運んであげていた。
そんな仲睦まじげに「あーん」している二人から、照は視線を外し、なんとなく自身の胸元見て、ぺたぺたと撫でる。
思わず溜息が零れた。
その胸は――平坦であった。
いや、全く無いわけではないのだが、残念ながら比較的平坦なのだ。
まことに悲しい物語である。
そういや高卒でプロ入りしなかったんだな
何か照か淡辺りは大学行ったらさいてょ化しちゃいそうな気もするが
何か照か淡辺りは大学行ったらさいてょ化しちゃいそうな気もするが
「あら、照どうしたの? この世の終わりみたいな顔しちゃって」
「格差社会の悲哀を噛み締めてたところ」
照はツナサンドを一口齧り、久へ素っ気なく返した。
そんな二人の会話を聞いていた美穂子が、要領を得ない様子で首を捻る。
「……格差社会、ですか?」
「ははーん、さては」
と、久がしたり顔で口を開いた。
「私と美穂子がラブラブだから妬いちゃった? いやー、モテる女はツライわね」
「ひ、久! ラブラブだなんてそんなっ……私と久はそんな関係じゃないでしょう!」
「やーねー美穂子、冗談よ。冗談」
久がケラケラと笑いながら、照の顔を見る。
「本当はあれよね? 発育の差に絶望してたのよね?」
二人同時にからかう機会が出来たためか、久は見るからに楽しそうであった。
まあ、いつもの事である。こういう性格なのだ彼女は。
「……絶望なんかしてない」
照は無表情でそう言い、豆乳フルーツミックスのパックに刺さったストローを、不満気な様子も露わにして音を立てて吸った。
「久はいつもそう、すぐ人をからかってくる。美穂子から言ってあげて、そういうのは良くないって」
「えっ、私ですか!? ……え、えっと……そ、そうですよ、久。人が気にしてるところをあげつらうのは駄目」
「……また二人して私を悪者にする」
その場でしなを作り、よよよと目元に手をやる久。
しかし、すぐにその真に迫った泣きマネをやめ、やれやれと肩を竦める。
見事な変わり身の速さだった。
「まあ……照はそんなに気にしなくてもいいのに。十人十色っていうじゃない」
「久に持たざる者の気持ちは分からない」
照としては、やはり無いよりもある方が良いのだ。
大体、妹に僅かばかりでも負けてしまっている事からしてショックなのである。
以前は負けてな……いや、同程度であったというのに。
「もしかして、あれ? 意中の人がそういう好みとか? 照に春が来ちゃった?」
いきなり久は何を言い出すのかと、照は唖然とした。
美穂子も目を丸くしている。
ついでに彼女の胸も丸く、つまりは豊満であった。
「あらあら……照、そうなの?」
「男は胸の大きな女性に弱いっていうしね……高校の時、麻雀部の後輩もそうだったし」
何故か久はうんうんと頷いているが、意中の人云々は全くもって的外れである。
話をありもしない方向へと進められても、照としては困ってしまう。
「久、別にそういうわけじゃない」
「あら、そうなんだ。面白くな……じゃなかった、手伝ってあげようかと思ったのに」
「……仮に好きな人が出来ても、久には相談しない。碌な事にならなさそう」
「む、酷い言い草ね」
「普段の行いを省みるべき」
二人の遣り取りを見て苦笑している豊満な美穂子を横目に、一体どう手伝うつもりなのか、と照は胸の内で付け足した。
そもそも胸が大きい方がタイプな男性ばかりではないだろう。
その後輩についても偶々そうだっただけではないのか。
照はそこまで考え、……ん? 麻雀部の後輩? と首を傾げる。
久が清澄麻雀部に在籍していた頃、女子部員は団体戦ギリギリの人数であり、男子部員に至っては一名だけという有様だった筈。
以前に確かそう聞いた。
つまり、その年下の男子部員は咲と同じ部活であり、同時期に在籍していたという事だ。
咲の惚気話を考慮すれば必然的に――。
「久、その後輩についてなんだけど」
「須賀くんがどうかしたの? ……って、照は会った事ないから分からないか」
「ううん、会った事はある」
照はそう言い、ふむと顎に手を添えた。
久の話からすれば、須賀京太郎は胸が大きい娘がタイプだったらしい。
しかし、今は咲と絶賛交際中である。ベロチューしていたのも見たしラブラブであろう。
二人して石破天驚拳を撃てそうな勢いだ。
これらと慎ましい咲の胸から、導き出される答えは……。
「という事は、趣味が変わったのかな」
「……ん? 須賀くんが? なんで?」
久が怪訝そうな顔を向けてきた。
「なんでって……その須賀くんは、私の妹と付き合ってるから。つまり咲の彼氏」
さらりと照は暴露した。
二人は妹と知り合いであるから、問題なかろうとの判断だ。
特段隠さないといけない様な事ではない。
「あらあらまあまあ……確かにあの二人ならお似合いですね。以前から仲が良さそうでしたし」
照の発言を受け、のんびりと言う美穂子の一方で、久が口を尖らせる。
「……ちょっと待って、照。二人が付き合ってるって……いつから?」
「春休み前に須賀くんの方から告白したって、咲に聞いたけど」
「何それ、私聞いてない」
久はなんだか不満気に呟いた後、ポケットから取り出したスマートフォンを操作し出す。
「まあ、自分から言いふらす事でもないでしょうしね」
美穂子のさりげないフォロー。彼女の胸は豊満だった。きっと心も豊かなのだろう。
……こういう気遣いがモテる女の秘訣なのだろうか。覚えておかないと。
照はそんな事を思いながら、プラスチックのフォーク片手にマカロニサラダを平らげにかかる。
暫くの間会話が途切れ、黙々と食事を取る三人。
照的には、黙ったままの久が不気味といえば不気味であった。
照が知る彼女ならば、先程の反応から何かしらのリアクションはあってもおかしくないのだ。
まあ、何も無いなら無いで、問題は無いのだけど――と照が思った瞬間、突然久が「ふふふふ」と不吉な笑みを零す。
久の視線の先には、手に持ったスマートフォンがあった。
「ふーん……そうなんだ……須賀くんったら、私に向かってそんな態度とるんだ……いい度胸じゃない」
薄く笑みを浮かべたまま、そう呟く久。
非常に攻撃的な――なんだか獲物を発見した猫科の獣を連想させる笑顔だ。
「……久、どうしたの?」
照が訊くと、「これ!」と久がスマートフォン向けてくる。見ろという事であろう。
照は画面――LINEのメッセージが表示されてる――を見遣り、内容をそのまま声に出した。
「『須賀くん、私に至急報告しないといけない事は無いかしら?』、『特にないっす』」
訂正
×照が訊くと、「これ!」と久がスマートフォン向けてくる。見ろという事であろう。
◯照が訊くと、「これ!」と久がスマートフォンを向けてくる。見ろという事であろう。
×照が訊くと、「これ!」と久がスマートフォン向けてくる。見ろという事であろう。
◯照が訊くと、「これ!」と久がスマートフォンを向けてくる。見ろという事であろう。
咲の性格からして身内以外にはあまり言いふらさないようにしていそう
「先輩かつ師匠である私へ、そんな面白い事を報告しないなんて……乾たく……じゃなかった、須賀くんは許せないね」
一人ヒートアップしている久に、照ははてと首を傾げる。
「……師匠?」
「えっと、高校の時久が麻雀とか教えてあげてたらしいですよ」
「美穂子、それはついでね! 主に女の子の口説き方とかよ! まあ、それは別にどうでもいいわ!」
どうでもいいらしかった。
久は言うなり、鞄から手帳を取り出し、それを捲り内容を確認している。
「次の土曜が良さそうね……部活はあるか和に確認しておかないと……」
どうやら久は直接清澄高校へと強襲するつもりのようだ。
そうなれば、咲と京太郎は多分イジられる事になるだろう。
照はそう推測して、心の中で二人に南無と合掌した。
もちろん自分が二人の仲を暴露したのが、そもそもの原因であると、照自身判っている。
しかし、その事から全力で目を逸らしているのだ。
覆水盆に返らずなのだから仕方がない。過去は振り返らない質なのだ。
「大体相談に乗ってあげてた私に何も言わないなんて、薄情過ぎじゃないかしら……」
……ブツブツ言っている久は放っておくとして。
……まあ、どうせいつかはバレるのだし、遅かれ早かれこうなる。『私は悪くない』。
照はそう思いつつも、忠告はしておこうと咲と京太郎へメールを送るのであった。
□■□
――清澄高校屋上。
宮永咲と須賀京太郎は二人仲良く隣り合って座り、昼食をとっていた。
「はい、あーん」
「咲、やっぱりそれは恥ずかしいっていうか……」
「……京ちゃん」
うるうると見上げてくる咲に根負けして、京太郎は箸で掴まれた玉子焼きを頬張った。
程良い甘さがふんわりと口の中に広がる。
「うん、美味い」
京太郎が褒めると同時に、ポケットに入れていたスマートフォンがぶるぶると震えた。
隣の咲も同様である。取り出し確認してみれば、メールの差出人は照であった。
「なになに……『面倒な事になったけど頑張って』?」
「これ同時送信されてるね。私も同じメールだ」
「……何だろうな、これ?」
「……何だろうね?」
不思議そうに顔を見合わせる二人が、忠告として機能していないメールの意味を悟るのは――もちろん後日の事である。
【③これでも大学ではうまくやっている】――了
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