私的良スレ書庫
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元スレ照「ドーモ。スガ=サン。バカップルスレイヤーです」京太郎「!?」
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ゴールデンウィークも過ぎた五月中旬の日曜日。
とある図書館内部。
仄かに漂う本の匂いが、照の鼻腔を擽ってきていた。
嫌な匂いという訳ではない。
むしろ、どこか気持ちを落ち着かせてくれる香りだと感じる。
……これは、紙とインクの匂いだけでなく、文化と歴史の薫りでもあるだろう。
照は胸中で独り言ちながら、本棚に手を伸ばして一冊抜き取った。
背表紙には『拝啓カフカ』の文字。
カフカの著作自体は何冊か読んでいるため、興味を惹かれたのだ。
タイトルからしてカフカ本人かその作品を題材にしたものなのだろうと、見当を付けていた。
そして、本を片手に読書スペースへと向かい、不意に気付く。
四人掛けの机に、見知った顔が二つあった。
一人は広げた本へと何やら視線を落としたままの妹。咲だ。
その右隣に座っているのは、口元を押さえつつ欠伸なんてしている京太郎で、彼は続け様に背伸びをした後、ふと視線を彷徨わせた。
目が合う。
こちらを、彼も認識したのだと判る。
京太郎は咲の袖を僅かに引っ張り、本から面を上げた妹へと何やら耳打ちをしていた。
二人の距離が近い、と照は感じた。
まるで咲の横顔へと接吻をしている様に見えなくもない。
……中学や高校時代、こんなシチュエーションは、ついぞ私に訪れなかった。
……そう、なかった。文学少女的に考えれば、妹と同じく起こり得ても良かった筈なのに、なかった。
そんな事を考えながらも、当然照は承知していた。
いきなり二人がイチャつき始めた訳ではない事を。
だが、イチャつく意図はないにしても、見方によってはリア充アピールめいた行動だ。
さながら砂漠で水を欲する旅人相手に、与えず見せつけるだけの如き挑発的な非人道的行為。
……おかしい。こんなことは許されない。
……バカップル殺すべし。慈悲はない。
飛躍した論理をもって、脳内の高速裁判で有罪(ギルティ)を宣言しつつ、妹とその彼氏、二人が座る机へと歩を進める。
よくよく観察すれば、机の上には筆記用具と教材、そしてノートがあった。
「――なるほど。咲と須賀くんは図書館デート、と」
咲と京太郎の正面の席に座るなり、照は殊更無表情で言葉を投げた。
すると、京太郎が眦を下げる。
「あー、そう言われると、確かに……うん、まあ、これもデートっちゃデートなんですかね」
思わず、絶句。
呆れを通り越して感心してしまう。
……こやつ、ストレートに惚気で返してくるとは。
予想外の反応に照の毒気が抜かれた矢先、咲が机の上に広げた教材をシャープペンで指し示してきた。
「おねえちゃん、ほら、中間テストがもうすぐだから、試験勉強なの」
「ん、それは見れば判る。からかっただけ……でも、あんな返しが須賀くんから来るとは予想してなかった」
そう告げると、京太郎が困った様に頭を掻いた。
「あー……照さんは、俺にどんな反応を期待してたんですか?」
「それは……慌てた感じで必死に否定するとか、お姉さんにからかわれる年下系の反応とか、もっとこう……」
適切な言葉を選ぶため、一瞬思索を巡らせる。
照の考えるところ、年上ならば、ウィットに富み、かつ相手に理解出来そうなものを選ばなくてはならない。
この場合、二人に相応しそうなものは――。
「うん、そう……例えば、長野の雪原でもっと私を笑顔にしてよなものに対するリアクション」
「おねえちゃん、怒るよ」
じとりと咲の目が据わった。
何が気に入らなかったのだろうと思いつつも、素知らぬ振りで回避。
続けて、京太郎の様子を照が窺ってみれば、彼はそっと視線を机に落としていた。
「言いにくいんですけど……」
と、前置きして、なんだか痛ましげな京太郎が続ける。
「照さんは、竹井先輩から、すっごい悪影響を受けてます。間違いないっす。俺は詳しいんです」
……何について詳しいのだろうか。
……いや、そもそも。
「何故そんな沈痛な面持ち? 須賀くん的に、それは目頭を押さえて、涙を堪えるフリをすることなのかな?」
「後輩として部長の代わりに謝罪するべきかもしれません。まさか、照さんが毒電波の餌食になるなんて……」
「私に対してなら、雛見沢症候群感染の方が合うと思うけど」
というか、照としては、餌食になった覚えがないのだが。
京太郎の言動は、些か大袈裟であろう。
「とにかく、アレを見本にしては駄目ですからね? 俺の照さんに対する“尊敬し得る人物度数”がダダ下がりしていきますよ?」
アレ呼ばわりされた久の事はさておき、そんな数値があるとは初耳だ。
一体、自分はどの程度なのだろうかと、照は興味を引かれた。
「その数値って……私はどれ位?」
「んー、100を最高値として現在72ってとこですかね」
72。
そう、ななじゅうに、だ。
特に意味はないが72だった。
数字に何か嫌なものを感じたりもしたが、それは気のせいだ。
間違いない。きっと鉄板である。
兎にも角にも、照からしてみれば、高いか低いか判断しかねる数値だった。
「ふむふむ」
「ちなみに、俺が高校一年の時、IHで照さんを見た時は限りなく100に近かったです」
京太郎から、さらりと言われた内容を、照は即座に理解出来なかった。
「……えっ? ということは、既にかなり下がってるような」
「昔に比べれば、下がってますね」
はっきり、しっかり、容赦なく言い渡された。
照の主観的に驚愕の事実である。
「あれ?」と、思わず首を傾げてしまう程だった。
「本当に?」
「残念ながら本当っすね」
何故だか知らないが、ダダ下がりしていたらしい。
その事実を受け止め、アイエエエ! ナンデ!?
と、表情を崩さず首を傾げたまま内心ショックを受けている照の一方で、さもありなんといった風情で咲が呟いた。
「だって、最初に直接会って、あの言動だったから……京ちゃん面食らってたもんね」
ああ、と京太郎が頷いた。
「思ってたよりも遥かにユニークな人だな、と」
「おねえちゃんは、ちょっと天然入っちゃってるから」
「なるほどな。咲が結構ぽんこつなのと同じか」
「そうそう一緒……って、ちょっと! 京ちゃん、私はぽんこつじゃないよ!? 家事だって出来るし!」
「家事はともかく、俺目線だとそうでもないぞ? つか、自分でもわかってるだろ?」
「ど、どこが!?」
「ほら、天性の超絶的な方向音痴とか。お前は分類するなら、色々と残念系だ。わりと澄ましてるけど、仲良くなると特にな」
「そんなことないですっ!」
「まあ、他にもあるけど……咲の名誉の為に言わないでおく」
「う……京ちゃんがそこまで言うなら、私も言わせてもらいますけどっ!!」
と、ヒートアップしている様子の咲が、フンスと腕を組み、京太郎を睨め上げた。
「京ちゃんだって、時々頭悪くなってるよね。特定の状況で」
「ばっか、俺は至って普通だろ? 平凡と書いてふつーと読むだぜ?」
言いつつ、おどけた調子の京太郎に対して、咲がぼそりと零す。
「昔、部屋に隠してた本とか。その好みに関する諸々」
「すいません、ほんと勘弁して下さい」
即堕ち二コマめいた敗北宣言であった。実際早い。
だが、咲は追撃の手を緩めない。
「他にも、中学三年の時とか。高校に入ってからだって……詳しく言おうか?」
「咲さん、やめて。その話題は死にたくなるんで。いやマジで」
そんな将来の力関係が容易く想像出来る二人を眺めながら、照は“尊敬し得る人物度数”の減少に関する過去を省みた。
暫しの間追憶してみれば、思い当たる節が、確かにあった。
しかし、下がる事もあるのなら、上がる事もある筈。
そう思い至る間も、夫婦漫才地味た遣り取りが、照の眼前で繰り広げていた。
周りから注がれる視線が非常に痛い。とりあえず、延々と続けそうな二人を、止めないといけないと判断する。
「ストップ。二人とも、図書館では静粛に」
図書館を強調して告げると、咲と京太郎はぴたりと静止した。
二人は周囲の状況を理解したのだろう。
咲は赤面し、京太郎に関しては、やってしまったと言わんばかりに天を――屋内故見えないだろうが――仰いでいる。
居たたまれないのは、照だって一緒だ。
耳に微かに届いてくる『修羅場』等の単語とか、『バカップルは死ね』といった風情の呪いが込められた視線に、すこぶる居心地が悪い。
直接関係ないし、悪くないのに、なんたる理不尽なのだろう、と思う。
「ともあれ……話を戻して参考までに訊くけど、須賀くん、その“尊敬し得る人物度数”とやらの基準は?」
大丈夫!b どうせ挽回しようとしたけど空回ってさらに評価が落ちるさ!
今日は暗黒メガコーポの陰謀でチョコレートが飛び交い、多くのマケグミが涙する日だ
ここ保守って必要ないぞ
スレ立てした本人以外が保守しても無意味という意味で
確かスレ立てした本人が二ヶ月だか三ヶ月だかくらい書き込みないと落ちるルールだったはず
スレ立てした本人以外が保守しても無意味という意味で
確かスレ立てした本人が二ヶ月だか三ヶ月だかくらい書き込みないと落ちるルールだったはず
誰も1か月書き込まなかったら落ちるルールはあったよね?
だから作者の最終書きこみから1カ月間は保守すべし
1、2週間に一回でいいけど
ageてるやつは荒らし
だから作者の最終書きこみから1カ月間は保守すべし
1、2週間に一回でいいけど
ageてるやつは荒らし
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