元スレ食蜂「きょうはとうまさんといっしょにあそびました」
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251 = 1 :
膝にうずめていた顔を上げて、目の前のとうまさんを見上げた
その顔は、とても優しい
食蜂「私……あなたに褒めてほしくて……ただ、それだけで……」
食蜂「とうまさんを喜ばせようって……それで……研究所で教わった通りに……あなたの友達を……」
震える声でそう言う私の顔を、とうまさんはじっと見つめていた
私は思わず言葉に詰まった。今から言おうとしている言葉は、8年間逃げ続けてきた全てを否定し、正反対の道へ進もうとする言葉だ
言わなくちゃならない。言わなくちゃ、先へは進めない
食蜂「ごめん…なさい……とうまさん…………」
今まで逃げ続けてきたものと向き合って
逃げることしかできなかった弱い自分と向き合って
私は、とうまさんに頭を下げた
252 :
これで終わればすべてはきれいに終わる……
253 = 1 :
とうまさんは、道路に座り込んでいる私の目線に合わせるようにしゃがみ込み、私の頭にポン、と手を置いて、にっこり笑った
上条「よし、許す!」
私は、一瞬、耳を疑った
とうまさんは今、許すと言った?
こんなにもあっさりと?こんなにも笑顔で?
上条「俺ともっと話をしよう。上辺だけじゃない、本当のお前を知りたいんだ」
上条「あの時、お前をもっとちゃんと分かっていりゃこんなことにはならなかった」
上条「だから、もうすれ違わないように、きちんと話そう」
上条「今まで出来なかった分も含めて、な」ニコリ
いつの間にか、自分でも気付かないうちに涙がこぼれていた
言葉では言い表せないような温かなものが、心の中を満たしていく……
食蜂「私も……」
食蜂「私も、とうまさんと…………ずっと、話したかった……!!」
254 = 1 :
私はぴょん、と勢いよくとうまさんの胸に飛びこんだ
そして、小さな子供のようにわんわん泣いた
とうまさんは最初こそ硬直していたけれど、すぐに優しく抱きしめてくれた
とても、とても温かい………
この温もりは、私が世界の何よりも欲しかったものなんだ
もう二度と手放したくないと……手放すものか、と
強く、強く、想った
255 = 1 :
―――――――――――
―――――
上条「あの……腕、痛いんですけど……」
食蜂「……」ギュー
上条「お前、力強くなったのな……ま、当たり前だよな。あの頃とは全然違うに決まってるもんなぁ」
上条「昔はあんなに小さかったのに、今ではこんなに大きくなっちまって……」
食蜂「……小さい方が、とうまさんは好き?」
上条「ん?いや、俺は身長とかあんまり気にしないけど」
食蜂「え?なぁんだ!身長の話だったのぉ?」
上条「何だと思ってたんだ……?」
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上条「うーん……それにしても、今頃ビリビリのヤツすっげえ怒ってんだろうなぁ……」
上条「後始末も全部アイツ任せだし、悪いことしたな……」
食蜂「とうまさん、さっきから言ってたけど、ビリビリってだぁれ?」
上条「んーと、みさきは多分知ってると思うけど。御坂美琴って名前だ」
食蜂「はぁ?御坂美琴ですってぇ?」
上条「何だよ、そんな怖い顔して……」
食蜂(私のせいでとうまさんが御坂さんに弱みを握られてしまうなんて……)
食蜂(でも……この状況は、あの人のおかげでもあるのよねぇ……むぅ……)
食蜂「御坂さん一人じゃ大変だろうしぃ……私も手伝ってあげようかしらねぇ」
上条「おお!ありがとなみさき。俺にもできることあれば言ってくれよ」
食蜂「いいのよぉとうまさんは」
上条「そういうわけにはいかないんだよ」
食蜂「おせっかいなのは相変わらずなのねぇ……安心したわぁ」ニッコリ
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上条「さて、そろそろ着くぞ」
食蜂「…………ねぇ、とうまさん」
上条「ん?何だよ」
食蜂「私達は……私は、またあの頃みたいに笑えるかしら……」
食蜂「私は……もうあの頃のような純粋無垢な子供じゃないわぁ。色々と世の中の汚いところも知っているし、汚いこともやってきた」
食蜂「それでも、また、あの頃のように笑えるかしらぁ……」
上条「歳を取りゃそんなの当たり前だろ。笑えるはずだ。あの頃よりも、もっと」
食蜂「……そうよねぇ。とうまさんが笑わせてくれるものねぇ」クスッ
上条「はは、お手柔らかに……」
258 = 1 :
上条「お、着いたな」
食蜂「さて、後始末しなきゃねぇ。私の改竄力の見せ所かしらぁ」
食蜂(あっ……とうまさんの前で、まずかったかしらぁ……)
上条「あんまりやりすぎんなよ?」
食蜂「!」
食蜂「…………怒らないのぉ?」
上条「怒らねえよ。お前が頑張って身に付けた立派な能力を、俺なんかが批判していいわけねえんだ。あの頃はそれすら考えられなかったけどさ」
食蜂「とうまさん……!!わ、私、張り切って後始末してくるわぁ!!」
上条「あまり相手に害が無いようにしてくれよ?」
食蜂「うんっ!」
259 = 1 :
――――――――――――
―――――
食蜂「もう終わったわよぉとうまさん」
上条「お疲れ様。ごめんな、迷惑かけて」
食蜂「いいのよぉ、これくらい。大した手間じゃないしぃ」
上条「そういえばビリビリは?」
食蜂「知らないわよぉ?」
上条「あれ?おっかしいなー……探さないと」
食蜂「…………」チッ
上条「さて、今日はもうこんな時間だし、ビリビリも探さなきゃだし、また今度改めて話をしような。お前と話したいことがまだまだたくさんあるんだ」
食蜂「ええ。私もいっぱいあるのよぉ。ずっとずっと話したかったことが、いっぱいあるんだから」
260 = 1 :
上条「…………みさき」
食蜂「なあにとうまさん」
上条「今更だけどさ」
上条「俺と出会ってくれてありがとう」
上条「俺は……お前と出会えたことが、何よりの幸せだよ」
上条「8年ぶりに会えた今だからこそ、伝えたかったんだ」
上条「本当にありがとう」
食蜂(…………なによぉ……それぇ…)ポロッ
食蜂「と、とうまさんのばかぁ……!!私を……私を嬉し泣きさせて、どうしようって言うのよぉ……!!」ビエーン
上条「えっ、いや、そんなつもりじゃ……」
食蜂「うえええん……わあああん……」
―――私は、本当に幸せな気持ちに包まれていた
何度も何度も思い描いていた、幸せのカタチを
私はやっと手に入れることができたんだと
私は世界で一番の幸せ者だと
心から、そう思った
261 = 1 :
262 = 1 :
7月19日
この日記を書くのも実に8年ぶりだ
8年前の7月1日からこの日記は白紙のままだった
しかし、今日はどうしても書きたいことがあったのだ
まだ日が変わって間もない、午前2時に
とうまさんと再会した
とうまさんはあの頃と変わらず優しくて、温かい人だった
そして、私ともっと話したいと言ってくれた
こんな私に、出会ってくれてありがとう、と言ってくれた
私と出会えたことが何よりの幸せだと言ってくれた
私は、今日という日を一生忘れることはないだろう
たとえ明日世界が終わってしまっても、私は絶対にとうまさんのそばを離れない
もう絶対にあの手を離さない
とうまさんのそばでずっと生きていきたい
それだけが、私の生きる道だ
263 = 1 :
7月20日
264 = 1 :
END
266 = 1 :
読んでくれた人ありがとうございました
267 = 248 :
良い終わり方だ乙
270 :
乙
このあとが原作通りだとすると悲しいな…
271 :
乙!
うん良かった!
273 :
いやー面白かった!乙です!
274 :
乙!!!
後日談…いやなんでもないです
275 :
ここから原作につながるのか・・・美しい出来だ。
276 :
よかった!!
これ以上は書かなくていい!
ていうか、これから原作だと思うとみさきちェ……
277 = 273 :
美しい終わり方だな
乙
278 :
原作途中から読んでないが面白かったよ
279 :
インさんはよ
280 :
7月20日で途切れたってそれ
乙!
281 :
》1さん、期待していいのか?
282 :
良い終わり方でした!
283 :
素晴らしい出来でした
284 :
>>276
こいつ何様なの?
285 :
>>284
単にこの後が鬱展開待ったなしだから見たくないってだけだと思うが
286 :
寧ろENDって書いてるのに、未だどうこう言ってる奴は何なの?
まあ上条さんと御坂の仲が原作開始前で割と良好だから、このまま進めても原作通りになるか分からないが
287 :
この>>1って締め方が上手いよな
みんなの評価 : ★
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