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    元スレ咲「命にかえてもお嬢をお守りします」

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    1 :

    その日、辻垣内智葉の所属するプロ麻雀チームは
    翌日行われる試合の為会場近くのホテルに宿泊していた。

    「あ、このお菓子美味しい」

    洋榎「淡、そんなにお菓子ばっか食べてたら太るで」

    「まあまあ。ところで智葉遅いなぁ」

    ゆみ「一体何をしてるんだ、あいつは」
     
    智葉以外のメンバーは智葉の部屋に集まって夕食後の時間をのんびりと過ごしている最中だ。
    部屋の主である智葉は用事があると言って出ていったっきり、もう1時間は帰ってきていない。

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1401617452

    2 :

    最近咲智多いね、すばら!
    スレタイだけでオラワクワクしてきたぞ!

    3 = 1 :

    不意に入り口のインターホンが鳴った。

    憩が立ち上がり、チェーンを外してドアを開ける。
    そこにいたのは黒いスーツ姿の大柄な男性だった。

    「はぁい、なんですかぁ?」

    「夜分にすみません。智葉様はいらっしゃいませんか?」

    男はにこりと微笑みながら言った。
    背後には同じような黒スーツと同じような背格好の男が2人控えている。

    「はぁ。それが智葉、今いないんですよ」

    「え、そうなんですか?しかし、中から話し声がしましたが」

    「ああ、みんなで今しゃべってて。智葉だけちょうど外してるんですぅ」

    「……失礼ですが、あなた方は智葉様の?」

    「えーっと、ゆうじん?ですかね?」

    「……そうか。友人を誘拐するという手立てもあるな」

    男がにやりと笑った、そののちの一瞬の出来事だった。

    4 = 1 :

    男がスッと腕を上げると、背後の男のうち一人が扉を押し入ってきた。
    男たちは全員さっきまでの表情が嘘のように無表情で、まるで冷たい刃のような雰囲気を纏っていた。

    「な、なんなんですかぁ、あんたら!」

    慌てる憩の目の前で扉がぱたんと閉まったと思ったら、
    最初の男がスーツの中からとある黒い塊を取り出した。

    それはどうみても拳銃だった。

    銃口が自分達に向けられている光景に我が目を疑った憩達の横をすり抜け、
    男のうちの一人がベッドの上のクッションの一つを取り、一気に切り裂く。

    中に詰まっていた白い綿が、一斉に飛び出した。
    ヒッと声を出したのは、一体誰だったのだろう。

    「全員、動くな。少しでも動けば、このクッションの羽毛のようにお前達の血が飛び出るだろう」

    洋榎「ひっ…」

    ゆみ「け、拳銃…!?」

    「あわわわ、な、ナイフ…」

    「全員、ポケットの中身を捨てたのち、手を上げてこちらへ来い」

    何が何だか分からない憩達は、言われるがままに
    ポケットの中に入れていたスマホやお菓子といったものを取り出して放り投げる。

    心臓がどくどくと煩い。生命の危機を感じて全員が息を呑む。
    拳銃は分からないが、少なくともナイフの切れ味は本物だったのだ。

    6 = 1 :

    「素直な女は好きだぜ、レディ達。今から誘導する。全員外へ出て、ハイヤーに、」

    拳銃を自分達に付きつけた男は、しかし最後まで言葉を紡げなかった。
    前のめりに倒れ伏したのだ。

    男が倒れたあと憩達の視界に入ってきたのは、見知った女の姿。

    「宮永…咲…?」

    6年前、高校のインターハイ以来消息の途絶えていた彼女。
    その咲が今、皆の前に佇んでいた。

    シュン、と咲が何かを投げる。
    それが細身のナイフだということに憩達は気付けない。
    何より、彼女のモーションが速すぎて動作が追えない。

    クッションを無残に切り裂いたナイフが、咲のナイフに弾かれて床に落ちる。
    その隙に咲が高く跳躍する。

    鳥類が川魚を仕留めるような美しい動作で背面跳びをし、
    その途中再び投げられたナイフが男の胸に吸い込まれていく。

    ぐあ、と男が低い悲鳴を上げた。
    ひるんだ最後の男が咲は掴みかかるが、咲はすばやく男の首にナイフを突き刺した。
    そうして最後の男も床に倒れる。

    その間、わずか数秒だった。

    憩達は何が起こったのか分からずに、
    腰が抜けてしまって床にしゃがみこむことしか出来なかった。
    そんな憩達の姿に咲は何も言わず、ただ彼女らを冷たい目で睥睨していた。

    7 = 1 :

    智葉「お前達、無事か!?」

    その場の緊張を解いたのは、いつになく慌てた様子の智葉だった。
    転がり込むように部屋に入って来て、部屋の様子と咲の姿を見てほっと息を吐く。

    咲は智葉が部屋を見易いように一歩下がると、ポケットからスマホを取り出した。

    「確保しました。すぐに」

    智葉「怪我はないか…。無事であったなら何よりだ」

    洋榎「み、宮永…?」

    「あ、あわわわ…」

    ゆみ「智葉!これはいったいなん、」

    その動作も、あっという間だった。
    誰ひとり悲鳴を上げる暇さえないくらいに。

    最も近くにいたゆみを背中から押した咲は、その腕を締めあげて首元にナイフを突き付ける。
    それは軽い力なのに、ゆみはびくとも動かない。

    「――お嬢」

    ゆみの腕がギリギリと引かれる。
    物理的な痛みがゆみを襲う。

    8 = 1 :

    ゆみ「……い、いっ!た……ッ!」

    「ゆみ!?」

    洋榎「ゆみ!!」

    「…お嬢、いかがいたしましょうか」

    智葉「いかがする、とは?咲」

    「彼女ら4人に目撃されました。この場で始末いたしますか?」

    その言葉に、憩達は凍りついた。
    人生で初めて目の当たりにする殺気というものに、本能が恐怖を感じて震える。

    ゆみだけは痛みに何も言えないようだったが、咲は大真面目だった。
    智葉は澄き通って濁りのない真っ直ぐな咲の瞳を見て、フッと笑った。

    智葉「…いや、いい。ゆみを離してやれ、咲。それからいい加減お嬢はやめろ」

    「はあ。ではなんと」

    智葉「智葉でいい」

    「…了解しました。智葉様」

    咲はすばやい動作でナイフを仕舞った。
    ゆみの腕を解放し、その上から退く。

    9 = 1 :

    コン コンコンコン、と扉のドアが4回ノックされた。

    「智葉様。ルームサービスをお届けにまいりました」

    「…赤い小さな小鳥は?」

    「トマトのようだと伺いました」

    「入室確認が取れました、智葉様。開けます」

    咲が扉の外の何者かと簡単なやりとりをしたあと、
    入ってきたのはこのホテルのボーイの服を着た男だった。

    しかし、ルームサービス用のワゴンなどはまるで持っていない。
    男は部屋の惨状を見ても全く驚かず、冷静な動作で扉を閉めると小走りで咲に近づいた。

    「咲様、お怪我は」

    「問題ありません。お嬢にも私にもかすり傷もありません。そちらの守備は」

    「こちらは5人、仕留めました。全員です」

    「御苦労さまです」

    「それで、やつらの処遇は」

    「おそらくコレが主犯なので、その床に転がっている二人含む他の7人はもう不要でしょう。処理部と実験部に送るよう手配を」

    「了解いたしました。拷問部へは?」

    「そちらも不要です。私が直々にやりますので、これは捕えたのち、本部の地下へ……」

    10 = 1 :

    「さ、サキ……? なんなの、そいつ」

    どう見てもカタギではない男と対等に、いやむしろ敬われながら淡々と話をする咲に、
    淡は涙目になりながらようやっと声を掛けることができた。

    咲は今自分の置かれた状況を思い出したようにきょとんとすると、
    『あとのことは任せます』と男に告げる。

    すると再び4回 ノックが鳴って、部屋の中にボーイ姿の男たちが数人入ってきた。

    今度は大きめのワゴンが2つも一緒に入ってきて、
    ボーイ姿の男たちはてきぱきと床に倒れ伏した黒スーツの3人をワゴンの中に回収すると
    その上に白い厚手のシーツを被せて出ていってしまう。

    それを横目で見やりながら咲は、智葉へと視線を移す。
    憩達もつられて智葉を見る。

    智葉「よくやってくれた。咲」

    「いえ。智葉様の側近として当然のことです」

    「そ、そっきん?」

    なんだっけ、そっきんって。ふっきんの親戚かなにか?
    追い付かない思考に、智葉が割り入った。

    智葉「…お前たちに紹介しておく」

    智葉「彼女は咲。この私、辻垣内組次期組長の配下でボディガードだ」

    洋榎「は?次期組長?」

    「ボディガード?」

    皆頭上にはてなマークを浮かべている。
    お嬢、何もそこまで正直に話すことはないのでは?と咲は場違いにも呆れていた。

    11 = 1 :

    とりあえずここまでです。
    週一のスローペース更新ですが暇つぶしにでも見て頂けると幸いです。

    13 :

    乙 なかなか面白い

    14 :

    乙です これからに期待

    15 :

    すっげー期待してる自分がいる

    16 :

    サンデーGXでヨルムンガンド描いてた人のあれ思い出す

    17 :


    咲さんかわいい!!

    18 :

    本編の咲さんは感情が無いからどんなキャラでもいけるな

    19 :

    感情はあるだろ!コミュ障なだけで

    20 :

    ヤクザ物だと咲の地球儀を思い出すな
    このssはあっちみたいにエタらないで欲しいな

    21 :

    コミュ症じゃなくて過去のトラウマから人と深く関わるのを避けてるっぽい

    22 :

    ガイトさんがカタギではないという風潮

    23 :

    え、ごめん、これなんのクロス?

    24 :

    地球儀みたいに急な強姦的なのはいらないけどな
    格好いい咲さんと智葉お嬢様が見られればいいんだ

    25 :

    強姦は必要

    26 :

    オリキャラの公衆便所にされる咲キャラが必要とは凄い性癖だなぁ

    27 :

    世の中そんな本で溢れてるじゃん

    28 :

    不毛な議論すぎ
    書く書かないは>>1次第なんだから黙って見とけ
    嫌な奴は見なきゃいいし要望出す奴もマイノリティーなんだから読みたきゃ自分で書くか薄い本買え

    29 :

    咲ちゃんスレが荒れる風潮。
    こんな扱いな主人公が他にいますかって

    30 :

    続きはよ

    31 :

    前に何か書いてたことある?

    32 :

    咲さんが池田さんを暗殺しようとするやつやろ知らんけど

    33 :

    話長くなりそう?

    34 :

    続きを投下する前に、いくつかのレスについて。

    後々回想で陵辱シーンが出てきます。
    苦手な方はくれぐれもご注意願います。

    あとこの話はそんなに長くはならないです。来月中くらいには終わらせる予定。
    それから元ネタはありません。オリジナルです。
    ついでに池田ァと咲さんの話とやらの作者は俺ではないです。

    それでは投下します。

    35 = 34 :



    ――――――――――――
    ――――――――
    ――――


    昨夜のことは徹頭徹尾、夢のような出来事だった。
    あれは幻だったのだと言われた方がまだ納得できた。

    しかし4人同時に白昼夢を見るとは考えづらいし、
    智葉の部屋には悪夢の名残のようにクッションから飛び散った羽毛が残っていた。

    あれから智葉は“詳しくはいずれ”と言うだけで何も話してくれないし、
    もう一人の当事者である咲の姿も見当たらない。


    朝起きてホテルで朝食を取っている間も、移動中も皆で手分けして散々探したが、
    対局が終わり夕食の時間になるまでついに咲を発見することはできなかった。


    洋榎「一体どうなってるねん。智葉のボディガードなら傍にいるはずやないんかい!」

    「うーん、いないねー……もしかして、ほんとにいないんじゃないの?」

    ゆみ「食べ終わったらもう一回智葉の部屋行ってみよう。このままじゃ明日の対局も全然集中できない」

    36 = 34 :

    バイキング形式の夕食を皿に取りながら4人は話し合う。
    ちなみに洋榎はこれで5度目のおかわりだ。
    相当な量の食べっぷりに、他の3人が引き気味になっていたところだった。


    智葉「―――皆」

    彼女の声は、静かだがよく響く。
    4人が振り向くと、そこにはすでに食事を終え席を外していた智葉が立っていた。

    智葉「全員、夕食が終わり次第私の部屋に来てくれ」

    智葉はそれだけ言うと、さっさと踵を返してエレベーターへ向かった。
    4人はぽかんとして顔を見合わせたが、
    すぐに智葉の言った意味を理解して席に着き、あっという間に食事を平らげた。

    37 = 34 :

    食事が終わると、彼女らは智葉の部屋へ直行した。
    智葉は部屋の中でなく、扉の前に立って待っていた。

    智葉「来たな、お前達」

    「智葉、なんで中で待ってないん?」

    智葉「まあ入れば分かる」

    彼女はそう言うと、カードキーを差し込んだ。
    最近のホテルはハイテクで、カードキーは紙製で客が変わるごとに変更できる仕組みだ。

    ピーッと音がして、鍵の開く音がする。
    智葉がドアを開くと、中にはすでに先客がいた。

    白鷺「あら。来たわね皆」

    園田「ようこそ、皆さん」

    洋榎「…マネージャーの白鷺と園田?」

    そこにいたのは、チームのマネージャーである白鷺と園田だった。

    二人は当然のように智葉の部屋にいて、
    当然のように茶を啜り、当然のように馴染んでいる。

    38 = 34 :

    「……あー!」

    ゆみ「どうした、淡」

    「今気づいたんだけど、昨日サキと話してたやつ、園田じゃない!?」

    「……あ」

    洋榎「あ!」

    ゆみ「本当だ、まるで気づかなかった…」

    4人は唖然とした。
    今の今まで全く気付かなかったが、昨日咲が指示を出していたボーイ姿の男と、
    甲斐甲斐しく5人分の紅茶を入れている園田の雰囲気は酷似していた。

    というより、園田そのものだった。

    名を呼ばれた園田はいたずらがバレた子どものようににやりと笑うと、
    ソファに腰掛けた智葉にティーカップを差し出した。

    園田「おや、このタイミングですか。実はいつバレるかとひやひやしていたのですが、意外とバレないものですね」

    洋榎「いや、昨日はどう見てもヤーさんの雰囲気醸し出してたからなぁ」

    「ところでサキは?どこにいるの?」

    ゆみ「私たちは宮永に話があって来たんだ」

    智葉「咲は……」

    39 = 34 :

    智葉が言いかけた、そのとき。
    コンコンコンコン、と扉が4回ノックされた。昨日ぶりのデジャブだ。

    「――お嬢、あなたに手紙が来ています」

    智葉「咲か?入れ」

    「………。お嬢、あなたに手紙が来ています」

    智葉「ああ。だから入れ」

    「……」

    智葉が促しても、ドアの外の咲は入ってこなかった。
    それどころか、小さく溜息が聞こえてきた。

    淡達がはてなマークを浮かべていると、苦笑した園田が扉へ近づいて、
    コンコンコンコンと4回ノックを返す。

    「……お嬢。あなたに手紙が来ています」

    園田「赤い小鳥たちがなく。何故?」

    「知りません。捨てますか?」

    園田「何故?」

    「不必要なものはゴミ箱へ。そうでないものも、厳選しなくては」

    園田「――智葉様。入室許可が取れましたので、開けます」

    園田が扉を開けて、ようやく咲が入ってきた。

    40 = 34 :

    「園田さん。お疲れ様です」

    園田「いいえ。あなたこそお疲れ様です、咲様」

    扉を閉めると、咲が園田をさりげなく労う。
    園田もそれに倣う。

    カツカツと部屋の中央へ進み出た咲は智葉の丁度3歩手前で止まり、
    非難がましい視線を向けた。

    「………お嬢」

    智葉「なんだ、咲。言いたいことがあるならハッキリ言え」

    「あなたは次期組長である大事なお体なんです。もっと注意深くなって頂かないと」

    智葉「私はお前に対して警戒する必要性を感じない」

    「私の声真似をしている場合もあるでしょう」

    智葉「ふっ、私が咲の声を聞き間違えるとでも?」

    「あなたはもっと警戒心を持つべきです」

    智葉「そんなに心配するな。私は強い。お前と同様にな」

    「……」

    41 = 34 :

    智葉「それで?その右腕は誰にやられたんだ」

    咲の表情がかすかに動く。

    「……お気付きでしたか」

    智葉「当たり前だろう?私はお前のことならどんなことでも見抜く」

    「えっ、サキ怪我してるの?」

    動揺しながらもそう尋ねたのは淡だった。
    咲は渋々という様子でスーツの袖をまくり上げた。
    その左腕には、縦にくっきりと赤い切り傷が伸びていた。

    ゆみ「……ッ!」

    「うわ、なにそれ……!」

    「す、すぐに手当てせんと!」

    「必要ありません。消毒は済ませてあります」

    42 = 34 :

    洋榎「そ、そういう問題じゃないやろ」

    白鷺「あはは、驚いてるわね。貴方達、こんな生々しい傷見るの初めて?」

    白鷺が笑いながら 手慣れた動作で救急箱を持ってきて脱脂綿にアルコールを染みこませた。
    咲は大人しくスーツの上着を脱ぎながら、無表情にそれを享受している。

    傍から見ても、素人目でも、ひどい傷だと分かった。
    なのに全く痛みを感じていないように振舞う咲に、淡達はある種の恐怖を感じた。

    「サキ、それ痛くないの……?」

    「はい」

    「で、でもちょっとは痛いんとちがう?」

    「これくらいは日常の範囲ですので」

    洋榎「日常の範囲、って」

    ゆみ「その傷が日常……?」

    「――智葉様。このような体勢で申し訳ありませんが、本日の報告を致します」

    43 :

    待ってたぜ
    ところで陵辱とは男に?女に?それによる

    44 = 34 :

    手当をされながら、咲はスッと顔を上げ智葉を見た。
    その視線は射るような鋭さがある。
    しかし智葉は、少しもうろたえることなく悠然と咲の言葉に耳を傾けていた。

    主人と、側近。
    昨日智葉から聞いた言葉が、ここへ来てようやく4人の胸に落ちてきた気がした。

    「昨夜逃がした実行犯の8人のうち、6人は捕えました」

    「しかし、主犯格が逃げたままです。急ごしらえですが数を増やした様子で」

    智葉「その傷はそいつらが?」

    「はい、増員のほうに気を取られているうちに。全ては私の不徳の致すところです」

    智葉「気にするな、私はお前が無事であっただけで充分だ」

    「……そこで、少々困ったことが起きたのですが」

    智葉「なんだ?」

    無表情のまま、ちらりと咲は淡達に視線を移す。
    それを彼女らが不思議に思う間もなく、咲は続く言葉を紡いだ。

    45 = 34 :

    「主犯の者は、お嬢のご友人の方々に目を付けたようです」

    「お嬢一人を狙うより、ご友人のうちの一人、または全員を狙った方が効率が良いと判断したのでしょう」

    智葉「……それは、また……」

    「恐れながら進言させていただきます」

    ガーゼを当てられた左腕に一部の隙もなく包帯が巻かれ、
    白鷺は満足そうに笑って咲から離れた。

    咲はブラウスの袖を元に戻し、スーツの上着を着込んで居住まいを正してから
    智葉に対して深く腰を折る。

    「ご友人方に護衛を付けたほうがよろしいかと。及ばずながら、その役目は私が適任かと存じます」

    その意味を理解して驚く一同と、鷹揚に頷く智葉。


    ―――こうして、淡達にとっては稀有なことこの上無い2日間が始まったのである。

    46 = 34 :

    今回はここまでです。
    >>43 すみません男です。何せこういう世界ですので

    47 :

    乙乙

    48 :

    乙 続き楽しみ

    50 :



    ――――――――――――
    ――――――――
    ――――


    対局を終え、智葉達は会場を出て黒いバンに乗り込んだ。
    もちろん今日は、咲も一緒だ。運転手は園田である。

    自分達が乗るバンは道路を順調に走る。
    皆で会話をしながら、一体この状況のどこが恐ろしいのかと淡達は思っていた。

    「つーかさ。何でそんな大事なこと隠してたの?智葉もサキも」

    智葉「軽々しく言えるような内容ではないからな」

    「それはそうだけど。でも何でサキが智葉のボディガードなんかになってんの? 」

    ゆみ「それは私も気になるな」

    「せやなぁ。宮永はプロに進むって誰もが思ってたやろうし」

    咲はそこで初めて、無表情に窓の外を眺めていた視線を車の中に向けた。
    全員が自分を見ているという状況に、こてりと首を傾げる。

    「私が何か?」

    洋榎「お前なぁ…人の話ちゃんと聞いとけや」

    智葉「普段の咲はちょっと抜けたところがあるからな。まあそこが可愛いんだが」

    はあ…、と咲は 気のない返事をする。
    運転席では園田がくすくすと笑っている。

    車がホテルに到着した。


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