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    元スレマリオ「最近、テニスやパーティーにゴルフばかりで…何かを忘れているような」

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    351 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 12:23:14.43 ID:osH3ANs40 (+33,+30,+0)


     それを見て真っ先に叫んだのはワルイージだった

    "何の冗談だ?"まさしく言い得て妙である



    既製の航空技術を何世紀分も飛び越した科学技術だ
    プロペラ機だとかジェットエンジン、そんなレベルじゃない

    レトロなSF映画でお決まりのように宇宙人が乗ってる"空飛ぶ円盤"
    それに使われているような反重力装置と言っていいだろう



    ルイージ「な、な…なっ!」パクパク




     思わずハンドルを握る手が震えた
    唐突に飛来して来た"空飛ぶ円盤"

     これといって彼らは歴史のお勉強は大好きという訳ではない
    あくまで世間一般レベルの常識さえ学べば良いだけであって
    それ以上の知識を求むのは考古学者志望くらいのモノである


    今、目にしてるものはそんな世間一般レベルで学べるモノだ
    ハイスクールの教科書にそのシルエットはデカデカと記載されている

    十数年前、過去のキノコ王国にやって来た"災厄達"であるッ!!




    まるで理解が追い付かないッ!!とでも言ったようにワルイージは呆然と
    そして…それ以上の衝撃を受けるルイージ!







    ルイージ「ば、馬鹿な…!あり得ない!アイツ等は過去の世界で
                        僕達が倒した筈だっ!!!」








    かつて…!【ゲドンコ姫】と【ゲドンコ姫の姉】が住みやすい惑星を求め
    遠い宇宙の彼方からキノコ王国へとやって来たのだ

    首都や近辺の村、非武装の民間施設、軍事施設問わずに侵攻を初め
    一般市民を捕まえては生命力を奪い取り兵器群のエネルギーにするなど

    言って見れば旧世紀の非人道的な植民地支配と似たような事を始めた訳だ


    決して風化させてはならない恐怖の時代として義務教育で習う歴史の一頁
    その象徴が目の前を我が物顔で飛んでいるのだ…冗談にしては度が過ぎる











            マリオ「ぅぁ…あ、頭が…ッ!?」ズキッ




    352 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 12:44:38.41 ID:osH3ANs40 (+35,+30,+0)


    ルイージ「ハッ!に、兄さんッ!」バッ!



    まるで自分達を見下すかのように平行して
    3人の頭上を飛ぶ忌々しいフォルムから視線を外す…!



    あまりにも突飛した出来事…ッ!

    故に反応が遅れた…ッ!





    マリオ「あ」

















    マリオ「うおあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァ――」










    ルイージ(っ!な、なんてこった!!)




    今の今まで彼らはマリオには事実を隠し続けていた
    直ぐに記憶を戻してやるべきだ、戻さない方が良い

    これは賛否評論だ

    元からルイージ等は命に関わる程の無理をしてほしくないという事も
    確かにあった、それに記憶喪失には様々な種類がある

    一例だが本人が自身を護る為、無意識に事故に遭った記憶に蓋をする
    解離性健忘の場合など
    無理に思い出させる事で脳に大きな負担が掛かる場合がある


    戻してやるにしてもゆっくりと時間を掛けて戻すように便宜を図るのが
    正しいのだ、あのクッパでさえ思い出して欲しいという本心を抑え
    好敵手の完全復活の為、協定を結んでいたくらいだ…




    だが、これで今までの苦労も水の泡…




    キイイイイイイィィ―――ッ ギャギャギャッ!!


    ワルイージ「オイオイ!!マリオの野郎…!
            ガードレールに擦りながら走ってやがんぞオイ!」

    353 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 12:59:22.00 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-270)


    ―――いつだったか誰かが言ってた気がする



    悪い事というモノは一度起きてしまえば
         ドミノ倒しのように立て続けに起きる、と






    ルイージ(…なんだよコレ)




    刹那、ルイージの目には世界が白黒<モノクロ>に映った



    友人のヨッシーと自宅のソファーに座って
    世間話でもしながらプレイするゲームボーイの画面のように…


    世界が白と黒だけで構築されたように思えた






    時が長い







    一分一秒が長い、永い




    音が聴こえない








    よく自分達兄弟をライバル視する顎長男が兄に向って何か叫んでる

    でも内容が聴こえない




    兄が…ハンドルから手を離して頭を抱えている
            目の前の道なんて一切見やしない、手放し運転





    兄のカートが真っ白なガードレールに擦る度に火花が出ていく




    音は聴こえない、でも"何か"が見ろと叫んでいる気がした


    ゆっくりと上空の円盤に視線を向けようとする…

    思考回路は通常の速度なのに、首…いや、身体の動きがスローだ


    揺れ動く視界もスローだった
    354 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 13:07:14.75 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-139)







































               ゲドンコ星人「…ゲヒャッ」ニタァ…


























     毒々しい紫色キノコに手足が生えたような
    一度見たら、忘れたくても忘れられない気色悪い生物が
    開かれたハッチから顔を覗かせていた


    八重歯のような二本の歯と笑みを浮かべるように歪んだ赤紫色の目

    奴は…枯れ木みたいな細長い腕に銃を構えていて…


    その銃口は地上に向けられていた


    射線の先は僕でも、顎長男でもない…ずっとずっとその先…


      今、一番狙いやすい標的と化した人だった

    355 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 13:22:55.82 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-289)




           ルイージ「止めろおおおおおおおおおぉぉぉッ!!!」









    ――僕が声を発したと同時だったッ!



    奴の手に持つ光線銃が地上目掛けて熱線を放ったのは…っ!





    ジイィィィ――――ッ! ジュウウウウゥゥ…!



    文字通り、光の速さで降り注いだレーザー光線はいともたやすく
                    兄さんの機体の前半分を"溶断"した


    熱線で溶断された機体の前半分はそのまま後方へ吹っ飛び
    高温で真っ赤になった断面図を見せつけながら走行する僕らの後ろへ
    ド派手な音を立てながらこの下り坂を豪快に転げ落ちていく








    前輪が無くなった事で嫌な音を立てて前のめりになる機体と
    むき出しになった動力部…











    奴はそこに無慈悲にも2発目をぶち当てたッッ!














    ワルイージ「……マリオの機体が…」

    ルイージ「…」





    ワルイージ「…粉々にぶっ飛んじまった」


    その日、渓谷にガソリンエンジンの爆発による黒煙が立ち上った
    356 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 13:38:04.84 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-232)



    キキッーッ!




    ルイージ「…」スタッ



    ワルイージ「んなっ!?お、オイ!何、カートから降りてんだよォ!?」






    ルイージ「」チラッ





    【炎上したマリオの機体】ボォォォォォ…!




    ブレーキを掛けて、機体を停めて彼は大地の上に降り立つ
    逃げるように走行を続ける顎長男がルイージに向かって叫ぶ


    が、無視する








    ワルイージ「っ…!そ、そりゃあよォ!!

            【マリオが"ぶっ殺されんだ"!】

               動揺すんのはわかっけど逃げねぇと―!」









    この時、彼は見た…ッ!



    遠い向こうから…更に飛んでくる数機の円盤をッ!


    さしずめ、"援軍"という奴なのだろう



    ワルイージ「じょ、冗談じゃねぇぞ!
              …死んじまったら元も子もねぇ…っ!」




    ワルイージ「お、オイ!!言っとくが俺は警告したかんなっ!!!
              わりぃ事言わねぇからテメェも早く逃げやがれ!」



    357 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 13:55:17.55 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-271)


    別に彼、ワルイージを非難するつもりはない

    彼の行動は"人間"として正しい




    『死んじまったら元も子もない』その通りである



    彼は努力家にして慎重な男だ

     英雄兄弟よりも自分が優れた人間だと世間にアピールしたい
    そういう願望を持ちながらも彼がマリオ達と競うのは
    『テニス大会』や『サイコロを振るパーティ』…といった具合の
    本気で命を賭けない闘いだ


    必要最低限、本当に"ヤバい橋を渡る"事だけは避けるのだ!


    人間なら自分の命を誰よりも大切に想う、当たり前の感情だ

     此処で彼が逃げたとして誰も咎められないし
    むしろ賢明な判断と評価できよう








    もしも、此処で彼が逃げてなかったとしよう…








    それならば彼は間違いなく…





              "叩きのめされた"だろう…ッッッ!














             ルイージ「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!





    英雄兄弟<マリオブラザーズ>の片割れ…ッ!


    その闘いはまさしく鬼神の如しッ!!

    見てしまえば彼は叩きのめされた…ッ!


    そう…決して努力だけでは勝てない…っ! 圧倒的才能…っ!


     英雄達を越えたいッ!そんな彼の夢、目標は粉々になっただろうッ!
    358 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 14:12:38.76 ID:osH3ANs40 (+35,+30,+0)



      ゲドンコ星人A「ゲーヒャヒャッwwww!」

      ゲドンコ星人B「ζ†ζΘ§ζ――!!」ゲラゲラ

      ゲドンコ星人C「ケケッ!!」ビシッ!



    醜いエイリアン共が母星の語源で何かを言い合っている

     一匹は腹を抱えて大笑い、別の円盤から此方を見る奴も
    同じように大口開けて嘲笑う

     そして、先程熱線を命中させた奴は恐らく上官と
    思われる奴に何か言われてるのだろう…地上からでは見え辛いが
    宇宙船内部に居る何者かに敬礼のポーズをしている


    だがッ!そんな事はどうだって良い!!!




      ルイージ「ふぅ…いつだって勝てなかったなぁ」スタスタ

      ルイージ「永遠の2番手、日陰者…」スタスタ


      ルイージ「僕だって人間さ、そうだよ"欲望"はあった」スタスタ



      ルイージ「いつか"勝ちたい"、追い抜きたい目標だった」スクッ




      ルイージ「僕も…あの顎長男と同じで勝ちたいって夢があったさ」





      ルイージ「……僕の、いつか乗り越えてゆく真の目標でもあった」スッ




    ルイージは上空に見える円盤目掛けてゆっくりと歩み出す手には今拾った
    人間の拳程度の大きさの石ころを抱えて…



    奴らが何を話そうがどうでも良い…っ!

    連中が何を想おうとどうだって良い…っ!


    何故ならばッ!



    ゲドンコ星人D「ケヒャ?」ユビサシ


    ゲドンコ星人「「「イーーーッ!!!」」」ゲラゲラ!



    一匹の宇宙人が歩み寄るルイージに気が付き指を射す
    多くの同胞がそれを見て大笑いだ

    そして一匹が先ほど、マリオの機体を壊した銃口を向けてッ!





               ゲドンコ星人C「キイイィィツ!!!」ガチャ!


    359 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 14:16:51.44 ID:osH3ANs40 (+29,+29,-40)























               ブ ン ッ ッ ッ ッ‼!!





                         ――――ゴスッ!!






















      ゲドンコ星人「「「「ケケケケケケケ!!………ケ ケッ…?」」」」







       ゲドンコ星人C「…ケ、ヒャ?」チラッ













    360 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 14:34:01.43 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-296)




    ゲドンコ星人の宇宙船は地上に居るマリオ等を的確に撃つべく
    可能な限りの低空飛行を試みていた






       円盤と地表との距離…高さにしておおよそ20m<メートル>ッッッ!!
               (※約マンション6~7階建てに相当)







    ゲドンコ星人が熱線を放つ事は無かった…

    引鉄を引く前に自分の真横を何がすっ飛んできたからだ



    渓谷のゴツゴツとした岩肌にもその音が反響するかのようだった

    目にもとまらぬ速さですっ飛んできたそれは…











      ゲドンコ星人C「!!!!!キ、キイイイイイイイイ!?!?!?!?!」







    彼らの宇宙船に大穴をブチ開けていたのだからなッ!!




    高さ20m<メートル>も離れた地表からプロ野球選手が全力のストレートを
    ブチ込んだ時と同じ態勢のルイージが宇宙船を睨みつけていた…ッッ!!




    ルイージ「…うん、兄さんの【ハンマー ナゲール】だったら
                   宇宙船の装甲を余裕で貫通してたなぁ」



    開かれたハッチのすぐ横…にデカデカと開いた大穴からは
    すぐさま火が噴き出す、その後は…簡単だ




     ゲドンコ星人「「「ΣζΠζΠ△▼Θ!!!!」」」



     制御不能となった機体はすぐさま、煙を巻き上げながらゴツゴツとした
    岩肌にぶつかりながら谷底へ滑り落ちていく


    煙をあげて墜落していく宇宙船
    その様は…かつて【ゲドンコ姫の姉】との最終決戦で
                        見た光景を思い出させる
    361 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 14:48:30.20 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-230)





    ――――奴らが何を話そうがどうでも良い…っ!



    ―――――連中が何を想おうとどうだって良い…っ!








    ――――――――何故ならばッ!









      ルイージ「さて…正直、自分で言うのもなんだけど
                     僕はあんま怒らないタチさ」




      ルイージ「…キミ達が一体どうして蘇っただとか
                      何を考えてるだとか」


      ルイージ「そんなモンはどうだって良いさ…重要な事は、そうだね」
















       ルイージ「キミ達は僕に"もう一度倒される"、ただそれだけだよ」




             ルイージ「掛かって来い…ッ!」






    ………数分後、数機の宇宙船の残骸とクレーターが渓谷にできたそうだ


    362 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 15:01:02.15 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-197)
    ―――――――――
    ――――――
    ――――



     ヒュウウウゥゥゥゥ…




     ― ……ッ!! うぉ…、身体…痛い、な… ―




               キョロキョロ…




     ― 俺…どう なったんだ? 死んだのか どこ見ても真っ暗だ ―




      ― 俺は たしか … … っ 頭 が 痛いっ …ぐっ ―





    ― た しか   空に 変なのが 飛んできて 光が 俺の機体 ―






     ― ……そう、だ  爆発して 俺の身体は 谷底に 落ちて行って―





     ― っ、身体中 あちこち 痛い  …? 『痛い』? ―


     ―痛み を感じる…? まだ 死んでない? ―




       『ヘイ!そろそろ夢から目を覚ましたらどうだい?』


               ―…だ れだ? ―


       『やれやれ…僕達を忘れちゃったのかい?酷いなぁ…
            キミの取り柄は身体の頑丈さだけじゃないだろう?』


          ― 俺 が 知ってる 奴 な、のか?  …


     『そうさ! 僕、いや、僕だけじゃない…
               キミの中に居るたくさんの人さ!』



            ― "俺の中のたくさんの人?" ―




    『そうさ……おっと、手は貸さないよ? "自分の力"思い出すんだ!』



     『ずっと忘れられてまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』



    363 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 15:05:41.71 ID:osH3ANs40 (+35,+30,-46)
    ********************************


              今回は此処まで!



      いつも保守してくださっている方…ありがとうございます!





    あ、それと訂正です…



    ×『ずっと忘れられてまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』


    『ずっと忘れられてたまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』



     『た』が抜けてましたね…

    ********************************
    364 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 15:08:39.55 ID:Vk+6MJjGO (+10,+25,-1)
    おつおつ
    365 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 17:58:05.94 ID:mIFH8V1Y0 (+24,+29,-17)
    なんか上がってたから開いたけどすっげえ引き込まれて一気に読んじまった

    アツい展開だなあ、○○ノ出てくるのはずるいわww
    366 : 以下、名無しにか - 2015/12/16(水) 20:42:50.85 ID:gmdHI3T5o (+24,+29,-16)
    乙乙
    ここであいつが出てくるとかもうね
    367 : 以下、名無しにか - 2015/12/17(木) 00:39:44.62 ID:vc+Hd2dvo (+24,+29,-12)
    乙乙
    おいここでそいつを出すの止めろよ、俺が泣く
    368 : 以下、名無しにか - 2015/12/17(木) 14:35:30.91 ID:UxzUFUH6o (+24,+29,-22)
    なんていう熱い展開……ルイージさんマジかっけえ
    乙!
    369 : 以下、名無しにか - 2015/12/17(木) 18:30:10.29 ID:3SPqWuQM0 (+24,+29,-22)
    おつおつ!ここまでルイージがカッコいいSSは珍しい
    370 : 以下、名無しにか - 2015/12/18(金) 08:25:56.18 ID:nPf/nSNA0 (+24,+29,-29)
    また懐かしいキャラが…
    ところで作者はマリルイの新作(ペーパーマリオミックス)はプレイしてる?
    371 : 以下、名無しにか - 2015/12/29(火) 19:55:01.80 ID:Xj8ENF4N0 (+24,+29,-8)
    忘れられてたも何も最近まで黒歴史だった人?じゃないか
    372 : 名無しNIPPE - 2016/01/06(水) 19:06:24.24 ID:VPM2K+bAO (-23,-11,-4)
    保守
    373 : 以下、2015年 - 2016/01/13(水) 09:04:03.91 ID:5kflNC4+0 (+9,+24,-2)
    まだかな
    374 : 以下、2015年 - 2016/01/14(木) 21:04:14.82 ID:7tgcFgJw0 (+17,+27,-2)
    楽しみに待ってる
    375 : 以下、2015年 - 2016/01/15(金) 21:43:16.28 ID:MZthYEMXO (+24,+29,-5)
    最近またテニスやってるらしいなマリオさん
    376 : 以下、名無しにか - 2016/02/02(火) 21:19:06.85 ID:i6xh4V/70 (+33,+30,-171)





               声の主は誰かわからない

           懸命に記憶を辿ろうとするも顔が分からない



      頭の中に靄が掛かったようにその"誰か"を思い出す事ができない
















                 だけど…





          ― 俺は…お前を知っている…気がする ―







       胸の奥で熱く、何かが込み上げ来る、何かが叫びをあげる




    『焦る必要はないさ!キミは…そうだな少し頑張り過ぎただけなんだ』

    『たまには落ち着いてよーく周りを見る事だって大切なんだぜ?』





      『だから焦らないで思い出すんだ…キミならできるんだ』







     涙が出そうだった…年甲斐もなく

     いい歳した男が大粒の涙を流しそうになる…


     理由も何も分かりはしない…だが
        思い出してやれない事が無性に悔しく思えた




     遠い昔に忘れてきた大切な何か…


     平和を謳歌する世界の何処かで見失った"落とし物"…




    377 : 以下、名無しにか - 2016/02/02(火) 21:47:27.85 ID:i6xh4V/70 (+33,+30,-273)



    [もう大丈夫です すみません う~ん!泣いた後って すっきり!]



               - っ!  -



     靄が掛かった記憶の片隅に一瞬誰かの姿が見えた気がした…

     見慣れた王国で自分が一人の少年と出会っている






     [キミが助けてくれたのかい! ありがとう!助かったよ!]

     [キミの噂は天空まで届いているよ]



     深い森の奥で自分が一本の弓矢を叩き落とし誰かを救っている


       - …あ、あぁ…お、俺は…!!俺は…!! ―






     靄は次々と消え去り…彼は声の主達の顔を思い出していく…っ!










      - お、俺は…   お前たちを 知っているッ! -










     『…フフッ、やっと思い出してくれたのかい?やれやれだよ…』


     『ぼく達だけじゃないですよ…
       もっと もーっとたくさんの人が貴方の中に居るんです!』


     『キミの強さは…人と人との繋がりさ!
       キミが誰かを護ろうとする想い、そして
             皆が心からキミの事を覚えていようとする想い』



     『昔は小さな子供、今は大きくなってもう大人かもしれないよ』


     『けどね…"皆"は大人になった今も子供の頃
        強く憧れたスーパーヒーローを今だって覚えてるんだ』


     『誰かを想うからこそ、逆にキミ自身も誰かに強く想われている…』


     『それこそがキミ自身の"誰かの為に頑張ろう"っていう
                  力強い意志の源…そうだろう?』

    378 : 以下、名無しにか - 2016/02/02(火) 23:59:30.04 ID:i6xh4V/70 (+33,+30,+0)


    『今は大人で、かつて子供だった…そんなたくさんの"誰か"達』



     『キミと一緒に胸躍る大冒険を夢見た子供たちは
         キミの勇姿を決して忘れてなんかいないんだよ』



     - …なのに、俺が忘れてたら、恰好つかないよな…すまん -



     『…さぁ、もう夢から醒める時間だ、行くんだっ!』


     『皆が貴方の帰りを待ってるんですよ!行きましょう!』




     - …! 待ってくれ!!!『---』『--』! -





      記憶の奥に掛かっていた霧は今っ!散り散りになって消えたッ!

     それと同時に声の主は彼の見える所から消えていく…




     ようやく顔を思い出せたのに…



     『うふふ!あの二人だけじゃないわよ!英雄さん!』


               - !! -


     『くすっ!貴方…ちゃんと自分の名前を言えるかしら?』




          - ああ…言えるさ…俺は…っ! -





     マリオ「俺はマリオ…いやッ "スーパーマリオ"なんだ…!」



    『…うふっ!安心したわよ?…マリオ、帰り道分かる?
     もしも分からなかったら私が杖で叩いて誘導してあげちゃうわよ♪』



    マリオ「…大丈夫だ、昔みたいにバケツを頭から被ってないからな」ニィ



    『そっ!安心したわ!なら早く帰りなさい、ルイージ君が一人寂しく
     ゴールで待ってるわよ?』


     真っ暗な世界…見渡す限り闇しかない空間で目の前の人物が
     指し示す方角は光り輝いていていた、そして…


    『マリオ!』『マリオさん!』『頑張れ!マリオ』『マリオ、サン!』



     彼の思い出の中に居るたくさんの人が道を切り拓いていく…
    379 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 00:21:53.57 ID:Gn+7Kvbl0 (+30,+30,+0)


    一歩、彼は歩み出す


    白いグローブをはめた手で帽子の鍔を摘まむように持ち、少しだけ
    深く被りなおす



     『たまには会いに来いよ!』
     『僕らのトコに時々で良いから顔を見せなよ!』



    二歩目を踏み出す

    焦げ茶色の年季の入ったブーツ、すり減った厚底が靴音を鳴らし
    彼の身体を光の方へと進ませる



     『マリオサン!もし疲れたらまたバカンスにでも来てくだサイ!』
     『私の所にも遊びに来てよねっ!待ってるんだから!』



    ゆったりと歩き出した初歩から少し早めの駆け足気味に

    3歩目、4歩目…5歩、6歩、次々とペースを速めていく



     『おーい!オイラ達だっているんだぜ!』
     『ゴンザレス!また闘技場に来い!今度こそ俺が勝ってやるからな』



    歩く速度から駆け足に、そして彼は走り出す


    何物にも代えることのできない友人達の顔を見渡しながら…


     『アニキ!頑張れよ!』
     『マリオちん!がんばるでしゅ!』


     『マリオ!』
     『マリオさん!』
     『マリオ!!』
     『マリオくん!!』


     誰も彼もがその顔に微笑みを浮かべる


     長らく待ちわびた英雄の帰還を…っ!


     記憶の中の存在である彼等はマリオに次々と激励の言葉を掛け
     腕を伸ばし、勇気を分け与えるかの様に
     ハイタッチをしようとする者も居た


     思い出の彼等に触れる事はできない、その腕は全てすり抜けてしまう


     だが…




         マリオ「ああ、行ってくるさ…っ!」


     決して触れる事は叶わなくとも、"燃え上がるような熱き何か"が
     彼には伝わって来るような気がした




     それが…今は何よりも誇らしかった

    380 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 00:35:20.29 ID:Gn+7Kvbl0 (+33,+30,-252)
    ―――
    ――



    【渓谷:奈落の底】



    …パチッ




    マリオ「……」ムクッ



    彼は長い眠りから目を醒まし、ゆっくりと身体を起こす



    マリオ「…いっ…あたた…落ちた時に腰を思いっ切り打ったか…?」

    マリオ「…歳は取りたくないもんだなぁ…」チラッ




            ヒュウウウウゥゥ…




    上を見上げる、光はほんの小さな一点のみ、それほどまでに空は遠く
    如何に今居る場所が地上からほど遠い場所かを思い知らされる




    マリオ「…ゲドンコ星人か…やれやれ
         なんでこの時代に連中が居るんだか…」フゥ…



    自機の爆破で奈落の底へと投げ飛ばされ、高さにして
    おおよそ高層ビル15階からの飛び降自殺のようなモノだった

    常人なら"腰が痛い"程度で済むレベルでは無い




    マリオ「ふぅ…マントや尻尾で空飛んでた時は彼方上空から落下しても
        ビクともしなかったがな…足腰が弱るとコレだもんな」


    さも何事でも無いかのように軽い屈伸運動を済ませ、数歩後ずさる




    そしてそこから助走をつけて…っ!







      マリオ「…フンッ!」






      彼は…"飛んだ"


      もはや"跳んだ"ではない、"飛んだ"のだ…ッッッ!!

    381 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 00:56:47.50 ID:Gn+7Kvbl0 (+33,+30,+0)
    ―――
    ――


    ワルイージ「ひ、ひぃぃぃ…!!!た、たすけてくれぇ!!!」


      ゲドンコ星人「「「ギィィィィ!!!」」」



    ワルイージ「ち、ぢぐじょうううう!!なんで俺を追ってくんだよォ」


    自慢の【ダッシュキノコ】3つ分相当の加速が可能なエンジンを
    フル活用して彼は上空から今も執拗に追い続ける異星人から逃れようと
    必死で車体を走らせていた


    ワルイージ「クソ!クソ!クソォ!!俺が何したってんだよ!!」


    ただカートレースに出てただけなのにこの理不尽なアクシデント
    どうこうなる訳でも無いのに叫ばずには居られなかった



    ジイィィィ――――ッ! ジュウウウウゥゥ…!


    ワルイージ「う、うわぁっ!…あ、あぶねぇ…ッ!」


    すぐ真横でアスファルトが煙を発し液状化する…
    上空の空飛ぶ円盤から放たれる凶悪な熱線がいつ己の身を焼き滅ぼすか

    彼はそれを想像するだけで今にも泣き出してしまいそうだった…


    ワルイージ「あぁ!神様でも悪魔でも何でも
               良いから誰か助けてくれぇぃ!!」


    マリオ「よっ!ワルイージ、随分困ってそうだな?」シュタッ


    ワルイージ「はぁああん!?………っ!?で、でたァ!?」


    マリオ「わっ!…っとと、前見て運転しろよ」グラッ


    ワルイージ「ま、マリオのお化けがががが…!」ガクガクガク

    マリオ「…あー、気持ちは分かるが俺は死んでない
           ほら見ろ、脚だってちゃんとあるだろ?」


    ワルイージ「ほ、ほほほ、本当にマリオか!?生きてんのかよォ!?」

    マリオ「ああ…壁キックなんて久しぶりにやったよ」


    今しがたほぼ垂直な絶壁と言っても差し支えない岩肌を昇り切り
    丁度目の前を走ってた彼のマシンへと飛び乗った自慢の剛脚を指さす


    マリオ「なぁ、ワルイージ…お前はまだ死にたかないよな?」

    ワルイージ「んなモンあたりめーだろボケッ!」



    マリオ「…ならこの機体を俺にくれ
         コイツで俺が後ろのアレ潰して来てやるぜ」ニィ

    久しく忘れていた闘志が彼の中を血液のように廻っていく…


     最近、テニスやゴルフにパーティばかりで忘れていた彼の生きがい…



             冒険の始まりだ…っ!
    382 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 01:03:00.31 ID:Gn+7Kvbl0 (+33,+30,-94)
    ********************************

              今回は此処まで!



             マリオついに覚醒ッ!!


        プロのロッククライマーでも登れない絶壁を
     平然と壁キックで1分も掛けずに登って来るマリオさんマジ異常


     ※普通の人間なら高層ビル15階程度の高さから落ちたら死にます

      が……しっぽマリオやらマントやら風船やらで普通に
      雲より上ぐらいまで飛んで落下しても死なないのがマリオですね

     なお3D系からはちょっとライフが減る程度で済む模様(即死しない)


    ********************************
    383 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 01:07:16.35 ID:5IVacQhaO (-14,-2,-3)
    乙!
    384 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 04:17:53.01 ID:DrNGF3vFO (+24,+29,-19)
    乙!

    なおスレスレヒップドロップでノーダメの模様
    385 : 以下、名無しにか - 2016/02/03(水) 12:30:26.81 ID:G2hPJW0Io (+24,+29,-35)
    ついに覚醒きたぁあああ!
    この安心感、さすがマリオさん
    乙乙
    386 : 以下、名無しにか - 2016/02/04(木) 20:45:38.26 ID:lTMJ4+Rso (+19,+29,-3)
    乙乙
    何この展開激熱なんだけど
    387 : 以下、名無しにか - 2016/02/05(金) 08:17:01.07 ID:CHlnggGg0 (+24,+29,-30)
    RPGシリーズにも触れてくれて感謝
    多くの仲間がいてくれたからこそマリオも頑張れたんだよな…
    388 : 以下、名無しにか - 2016/02/09(火) 23:49:32.43 ID:xyodwzFKO (+7,+22,-2)
    これは熱い
    389 : 以下、名無しにか - 2016/02/13(土) 17:18:20.00 ID:DTUPfhYT0 (+24,+29,-30)
    うおおおおおおおお更新されてんじゃん!!!!しかも覚醒してんじゃん!!!!!!
    その辺のSSとは異質な熱さを持ったこのマリオSSほんとすこ
    390 : 以下、名無しにか - 2016/03/01(火) 20:12:20.48 ID:/Ebgoglf0 (+24,+29,-32)
    ********************************


                生存報告

     投下したいとは思っておりますが少々、故あってで
     時期を見計らっております…

     もうしばし、お待ちください…


    ********************************
    391 : 以下、名無しにか - 2016/03/01(火) 20:42:13.61 ID:fYSWiThKO (+2,+17,-1)
    うい
    392 : 以下、名無しにか - 2016/03/02(水) 16:36:55.35 ID:Lvdp8IGCo (+9,+24,-2)
    あいさ
    393 : 以下、名無しにか - 2016/03/06(日) 12:04:14.00 ID:qawn/Uie0 (-23,-11,-4)
    保守
    394 : 以下、名無しにか - 2016/03/23(水) 10:36:41.48 ID:rsPSgBR70 (+9,+24,-2)
    まだかな
    395 : 以下、名無しにか - 2016/04/06(水) 14:07:17.82 ID:JvXA6bns0 (+24,+29,-8)
    うおおお久しぶりに見たらかなり更新されてる!お疲れ様です!
    頑張ってください!
    396 : 以下、名無しにか - 2016/04/12(火) 22:44:05.43 ID:fUC6YaBM0 (+30,+30,+0)


    ワルイージ「ハァ!?俺のマシンを寄越せだとォ!?」

    マリオ「ああ、頼む」





    ワルイージ「ぐっ…こ、この野郎…こいつは特注製なんだぞ
                滅多糞に金が掛かったってのにィ~!」

    マリオ「金じゃ命は買えないだろう?」ニィ


    ワルイージ「そ、そりゃあ、そうだが…」




    "金じゃ命は買えない"

     全くのド正論だが、この男がそう言うと何故か
    説得力が欠けるように思えるので不思議である
      命知らずの冒険野郎がッ!と彼は内心で悪態を吐いた



    ワルイージ「良いかッ!"貸すだけ"だからな!!壊すんじゃねぇぞ!」

    マリオ「ああ、十分さ!」




    ―――
    ――






    ゲドンコ星人D「ギッ?」





    一匹の異星人は奇妙なモノを見た

    彼等が乗り込んだ機体は未だ"狩り"の真っ最中だった



    空想物語によくありがちなシンプルな形状の飛行物体は
    依然変わらず高度20m<メートル>を維持、速度は地表を走る自動車に合せる

     航空機特有の翼に掛かる揚力もプロペラも何もあったもんじゃない
    現代航空工学を完全に無視したソレに乗り込んでいたパイロット達も
    その奇妙なモノに首を傾げた



    ゲドンコ星人E「ギギィ?」

    ゲドンコ星人F「ウケキャ!!」


     空飛ぶ円盤内部は人間が見れば思わず目を背けたくなるような
    毒々しい色合いの電子光で彩られていた


    我々、人類が…脳が生理的に嫌悪する、否定したくなるような心理の色

    異星人たる彼等には心落ち着くような色合いなのだろうが…


    さて、そんな異色な色彩を放つ計器達
    【高度計】から【磁気コンパス】…etc、その中で人類が未だ見る事の
    叶わないだろう未知の測定器もある

    そして…その一つ、テレビ画面のような小さな画面を彼等は凝視する
    397 : 以下、名無しにか - 2016/04/12(火) 23:05:54.33 ID:fUC6YaBM0 (+33,+30,+0)

     小さな窓枠のような正方形のモニタリング
    そこから溢れだす色合いだけは人類にとって救いであり
    彼等にとっては"ゲドンコ流のテラフォーミング"したくて堪らない光景


    愛すべきこの惑星の景色が映し出されていた…



    ゲドンコ星人F「ギィィ?」チラッ

    ゲドンコ星人E「!…!ケヒャッ!」


    ゲドンコ星人F「!!…キヒャヒャッ」ニタァ



    モニターに映し出されたのは母なる大地
    そして先程まで彼等が執拗に追い回していた一台の"原始的な乗り物"


    技術の発達した彼等から見て、あの乗り物は"原始的"なモノだ
    そう結論付け、見下していた

    その様を象徴するかのように上空から…!



    そうッ!まるで…!無邪気な子供が道端で蟻の巣を見つけ
       "お遊び感覚"で潰してやろうとでも言うかのようにッッ!!





     追い回す円盤とそれに乗り込む仲間達と通信機で話していた
    誰が一番にアレを壊せるか遊ぼうぜ、っと…



    もう一度言う、彼等は正しく"狩り"の真っ最中だった





    "狩り"の対象は車輪を停め、その場に留まった

    それを画面越しに見て彼らは仲間の顔を見やり笑った




      『ああ、ついにコイツは観念したんだな』っと






    ゲドンコ星人F「キッキッ!」ゲラゲラ

    ゲドンコ星人E「キャキャキャ!」ゲラゲラ





    ゲドンコ星人たちは高らかに笑い、そして獲物を嗤った
    低速飛行ゆえに風圧を物ともせず開いたハッチから顔を覗かせていた
    同胞に戻って来いと合図を送り…、そして



     ゲドンコ星人D「キーッ!キキキッ!」

     ゲドンコ星人「「「キキッー!」」」


     絶望し、諦めたのであろう相手を完膚無きまでに蹂躙し尽くしてやる
    そう考えた残虐な異星人共はあえて破壊力の高い機体に備え付けらえた
    熱線銃の方を使い盛大な花火にしてやろうとコンソールを弄る
    398 : 以下、名無しにか - 2016/04/12(火) 23:18:15.64 ID:fUC6YaBM0 (+33,+30,-191)














        読者諸氏よッッッ!!!あえてもう一度言おうッッ!!



     彼等、ゲドンコ星人は……まさしく"狩り"の真っ最中だったッ!








      そう…! "狩り"の真っ最中…『だった』…ッ!























               バシュンッ!ジイィィィ――――ッ!


               ギュィイィィィ――――ッ!










    ―――指先に掛けられた引鉄は引かれた

    ―――破滅への光は放たれた



    ―――フットペダルは強く踏みつけられた

    ―――急停止からの急加速、エンジンの魂は勢いよく燃え始めた




      ―――――光は放たれ、熱線は砂利をガラス状にするほどに焼き
                  地表は爆炎と赤黒い煙を天へと昇らせる


    破滅への光は放たれた、そして今ッ!
           "彼等"を殲滅せんとする序章の狼煙が上がったのだッ!
    399 : 以下、名無しにか - 2016/04/12(火) 23:59:47.90 ID:fUC6YaBM0 (+33,+30,+0)

    ワルイージ「ぎにゃああああああああああああ!?!?!?」ガクンッ!


    【ダッシュキノコ】3つ分相当の超加速に加え背後で起きた爆風を
    推力にした常識外れな機動


    言葉通り"爆発的な"加速を見せたそれは一気に彼等との距離を稼いだ



    元より円盤とワルイージのカートは相当距離を詰められており
    遅かれ早かれ、あの状態ではいつ追いつかれてもおかしくなかった

     いくらドライバーの運転テクニックが良かろうと機体性能に差が
    有り過ぎるのだ、向こうは障害物もコーナーサイトも無視した
    航空機、こっちはそれらを無視できない四輪車









     そこで運転を変わった英雄は特注製のエンジンを最大限に
    生かす方法を瞬時に察したのだ

    機体性能の特徴を簡潔に言われた彼は考えた

    エンジンを意図的に暴走させる急加速も一度使えば暫くの間
    クールタイムが必要となる

    更に先述の通り、敵は障害物も何も関係なく飛んでくるのだ


    このままいけばジリ貧なのは分かり切っていた





    だから"一度の加速"で数回分の差を開くことにしたのだッ!




     GYUROOOOOOOOoooooooo―――-!!!!!


    どの道追いつかれる程に詰められた距離を逆に利用する

     マリオはワザと機体を停車させ、相手が打ち込んでくる事を狙った
    何度も戦い抜いた相手ゆえ諦めた素振りを見せればタチの悪い彼等は
    最大火力で殺しにかかって来ると分かっていた


    彼等をギリギリの位置まで引きつけ、打ち込んでくる武装の火力による
    爆風すらも推進剤の代わりにしてぶっ飛ばすッ!


    ・停車した事で慢心した敵方は的中させるべく減速する

    ・宇宙船の主砲を避ける為の急加速で距離を開く

    ・それに付け加え、背後で起きるであろう爆風でぶっ飛ぶ


    通常の【ダッシュキノコ】一回では不可能な距離の取り方が完成である




    ……当たり前の事だが、ビーム砲は"光の速さ"で跳んでくるのだ
          ちょっとでも加速のタイミングが遅れれば機体は爆散

    コンマ0.1秒の遅れも許さない機械のような精密性が必要とされる作業



    この赤い帽子の男……ブランクがあるだろうに平然とやってのけた…!

    400 : 以下、名無しにか - 2016/04/13(水) 00:24:46.09 ID:v3R3vAJc0 (+29,+30,+0)


    ワルイージ「ヒッ、ヒィィィィ!!ばっきゃろォ!!!
           こんなとこでそんなん使ったらァぁぁあああ!!!!」


    曲がりくねった道の多い渓谷の車道

    ワルイージも逃れる為とはいえ、ほぼ直進しかない場面でしか
    加速装置を使用しなかったのだが…






    ワルイージ「あばばばばばば!ぶつかるゥゥゥ!?」

    マリオ「大丈夫だ、人間この程度じゃ死なんさ!」ギュィィン!!


    そう言って更にペダルを踏みしめ速度を上げる命知らず馬鹿



    ワルイージは…、今にも失神しそうな彼は薄れゆく意識の中で思った



       ‐ワルイージ『あぁ!神様でも悪魔でも何でも
                  良いから誰か助けてくれぇぃ!!』‐



     …確かに神様でも悪魔でも何でも良いから助けろと叫びはしたが

     何故よりによって命知らずな冒険馬鹿野郎に縋ったのか…

     過去に戻れるなら数刻前の自分をぶん殴ってやりたい、と思った

















      マリオ「…すまんな、壊しはせんが傷は付きそうだ
                心配するな、修理費は俺持ちだから、な?」




     申し訳なさそうに言う英雄の言葉が耳から入り

     集中線が見えるような気のする視界が前方に白いガードレール

     そして…その先に広がる青空とゴツゴツの岩肌、谷底の奈落




      ワルイージは思った


     「あっ、オレ、これ死んだわ」



     ズバッ、ベキャッ、ゴシャバキィィィ―――ッ!



     赤い帽子の英は大空を飛ぶ鳥の気持ちになった
     顎長男は目を剥いて精神が大空を飛んでいった
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