元スレ美穂子「京太郎くん!」京太郎「……美穂子姉」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
202 :
阿知賀編でも玄とか話してたし大丈夫じゃない
204 :
ーーーーーーーーーー
「コンビ打ち?」
「ええ。ほんの余興にね。面白そうでしょ?」
「面白そうっておんし……」
また始まったと言わんばかりにまこの表情が呆れに染まる。
「でも俺がいたら端数が出ちゃいますよね?」
そう京太郎から物言いが入る。
暗に自分が抜けると言いたげなその少年に久はちっちっちっと指一本を口元で揺らした。
「心配しなくとも私が責任持って抜けるわよ。
ちなみにあくまで余興だし誰と組んでもいいからね」
ーー"誰と組んでも"ねぇ。
部長の意地の悪い笑みに思わず目線を細め、どうしたものかと考えていると、不意に後ろから裾をちょいちょいと掴む手を感じた。
206 :
もどかしい
207 :
キャップに性的にいじめられたい
210 :
まだ大丈夫だろうけどいずれエタりそう
211 :
1周間も経ってないんだけど早漏なの?
212 :
このスレは俺の癒やしなんだエタらんでほしい
213 :
京太郎スレの更新頻度が咲SSの中で一番だから
せっかちになるのもわかるよ
214 = 210 :
いやまだわからんよ?
215 :
どうでもいいけどはやくしろ
216 :
ぅゎ仕事っょぃ
週末まで待ってくださいなんでもしますから!
219 :
なんでも
220 :
週末まで待ちきれない
221 :
あのさぁ…
週末過ぎてんだけど
222 :
週末は「二日」あったッ!
すいませんちょっと仕事絡みで凹んでました
どこまで書けるかわからんですがいきます
223 :
おお、きたか
224 = 222 :
「……咲?」
「うん。その……よかったらでいいんだけど」
妙にいじらしい咲の様子は京太郎にとってもいかにも可愛らしかった。
断る理由もなく快諾しようとしたところ、
「ーーっす、須賀君!」
「……はい?」
背後から聞こえたいかにも聞き馴染みのある声に、若干の怯えを含めつつ京太郎は振り向いた。
「風越の部長さん」
「えっと、その……須賀君、いや、京くん……一緒に組まない……かしら?」
「京くん……」
美穂子のなりふり構わぬと言わんばかりの主張に咲は驚かされるも、京太郎の態度はあくまでそっけなかった。
「…………生憎、もう先約が決まってしまったので」
「そ……そうなの。それじゃ、仕方ないわね」
それは咲からしても只事ではない空気を感じ取れたのだが、だからといって手に入れた席を敢えて譲るほどのお人好しでもなかった。
225 = 222 :
「じゃあ、美穂子さんは私と組んでぶつかりましょうか」
「た、竹井さん!?」
急に肩を掴まれてトントン拍子に話が進む様子に美穂子は困惑させられた。
「今は何はともあれ接触を増やさなきゃ、でしょ?」
「……それはそうですが……」
京太郎たちに聞こえない程度の小声で意思疎通を図る。
「そういうわけで、いかがかしら?"京くん"」
「……好きにしてください」
「もちろん好きにさせてもらおうかしら。ね?美穂子さん」
「え?あ、はい」
露骨に眉間に皺を寄せた京太郎の返答を久はあっさりと聞き流し、他の部員達にもおいおい卓を囲むよう指示を出した。
226 = 222 :
―――――――――――
試合展開としてはがっぷり4つの様相を呈したが、その2チームのスタイルは互いに全く異なった。
片や悪待ちとオーソドックスな待ちの使い分けで単純に当たり牌を広げる久・美穂子のペア。
そちらがある意味で全うなコンビネーションであるとすれば、もう片方は異質と呼ぶべきコンビであった。
咲がチラリと京太郎を見やり、京太郎はわかってると言わんばかりにオタ風牌を切り出す。
「ポン」
久と美穂子は意図がわからずに困惑するが、一巡後にその意味がわかった時には既に遅かった。
「加カン!……ツモ!嶺上開花ドラ3、満貫です」
「……!」
相手2人はその息の合い方に驚愕していた。
単純に咲の特性そのものもあるが、それ以上に京太郎の献身に対してだ。
先程京太郎の切った牌は捨て牌の構成的に考えておおよそ持っているはずのない牌だった。
つまり、咲が対子として重ね、かつ有無を言わさず上がれるタイミングまで抱え続けていたことになる。
「……悔しい」
美穂子がボソリと言った言葉は久にしか聞こえなかったが、その心意を図るに十分すぎる一言に、久は内心シニカルな笑みを浮かべていた。
227 :
ファッキューヒッサ
228 = 222 :
それだけではない。
今度は逆に京太郎が咲を見やり、咲が頷くと、
「リーチ」
それに対しセオリー通りに現物を通す2人に対し、
「カン!」
咲が暗槓を宣言し、それを受けて京太郎が次の牌を引く。
「……ツモ。リーヅモドラ3。裏1で跳満です」
無論、表ドラの3枚は咲が直前にカンしたことによる新ドラだ。
良くも悪くもツモとロンのバランスで考えた戦略の部長ペアに対し、咲・京太郎のペアはいわばほぼガード不能のツモり戦略で組み立っていた。
初見殺しの要素もあったとはいえ、その結果は歴然たる点差として現れたのだった。
229 = 222 :
「いやー……なんというかとんでもないわね。特に咲、いくらなんでも見えすぎでしょ」
「とんでもないですよ。京ちゃんのおかげで勝てたんです」
「お前の見立てがなかったら2人相手にそうそうリーチなんかかけられないさ。胸を張れよ」
「――うん。やっぱり私達、"ベストパートナー"だよね!」
「ええ、そうね。それじゃあ、そろそろ練習試合もお開きにしましょうか」
「……」
意図的な強調が感じ取れないほど美穂子も子供ではなく、彼女の外面からは考えられないほど内心は強く歯噛みしていた。
見るからに顔が青い美穂子を横目に見つつ、
(悪いわね。でも、これで仕込みは整った。後はその場の状況次第かしら、ね)
見る人が見なければ分からない程度のその微かな笑みを、見る人の一人たる副部長が怜悧な視線とともに見据えていた。
230 = 222 :
――――――――――
翌日・日曜
roof-top
「――で、成果は上がったのか」
「ええとっても」
「……とてもそうは思えんが」
久の自信満々な顔に対し、いかにも眉唾の様子で藤田プロは問い返す。
藤田からする『成果』とは、無論聞き及んでいる京太郎の美穂子との関係についてだ。
「藤田さんの考える意味ではそうでしょうけど」
「……どういう意味だ?」
「他に優先すべき成果が上がった、というところじゃろうかの」
「あら、まこ」
「……否定しないということは図星か。ろくな運命辿らんで、おんし」
「否定はしないけれど……肯定もしてないわよ?」
「どういう意味じゃ?」
「おい、私を置いてけぼりにするな!」
煙管を2人の合間に通し、説明を要求する藤田。
「つまり、斯く斯く然々で……、――後は龍門渕の動向次第ってとこ」
「下衆じゃな」「刺されても文句は言えん」
あまりにも率直な感想に久は予想通りと自嘲をないまぜにした笑みを漏らした。
「勿論よ。でも、私も必死なのよ、県予選を勝ち上がるために、ね」
「――はぁ。やれやれ。わかった、この一件はわしの腹の底に仕舞っておいてやるわい」
「さっすが、まこは話がわかるわねぇ」
「……‥…まあ、それぐらいの荒療治のほうがあの小僧にとってもいいのかもしれんが」
大会までの一ヶ月半程度を慮り、藤田は吸い込んだ煙管の煙を大きく空へ吐き出した。
231 = 222 :
今日の投下は以上にしときます
あと数レスで一段落つきますかね……
234 :
乙乙
235 :
乙
咲ちゃんのベストパートナー強調するとこかわいい
236 :
みぽりんの不憫ぷりが報われる日は来るのだろうか
237 :
乙
京キャプのイチャラブはよ
238 :
大会ルールに八連荘ってありましたっけ
239 :
たしかないはず
あったら団体戦が照一人でほぼ確実に終わるし…
241 = 239 :
すまん、一応「咲 大会 ルール」でググったら八連荘は不明っぽい
242 = 239 :
(´・ω・`)おぅ… そこの辞書に明記あったか
なんかすまん
243 :
なるほどなるほど感謝です
大枠固まってるのに書く暇ねぇ…
244 :
――――――――――
県予選・2日目
――――――――――
「一体どうしたと言うのでしょうか!
南3局にして風越主将・福路、この半荘2度目の振込みです!」
龍門渕 142,400
清澄 114,800
鶴賀 86,900
風越 55,900
「今年の福治選手は細々としたケアレスミスが多い気がしますね。
決勝ともなるとそれを見過ごすようなメンツではないということでしょう」
実況の悪い意味での驚嘆に対し解説が淡々と言葉をつなぐ。
事実、美穂子の戦績がここまで落ち込んだことは彼女が主将となってから初めてのことであった。
美穂子の額にも焦りの汗がじんわりと浮かんでいるが、それを払拭する手立ては今のところ思いついていないのが現実だった。
245 = 244 :
清澄・控室
「あの風越部長があそこまでボロボロになるなんてのう」
「優希ちゃん、京ちゃんの特性タコスで調子もすこぶる良いみたいなのにね」
「ええ。あの龍門渕の不可思議な鳴き方に調子を狂わされているのでしょう」
まこ、咲、和が口々にそれぞれの感想を漏らしていく。
その様子とは裏腹に、なんとも形容しがたい感情で唇を噛む少年が一人いた。
あえて理由を説明する必要もないであろうその少年に対し、そっとお下げ姿の少女が近づき呟く。
「昨日の事、気にしてるようね」
「……部長」
246 = 244 :
――――――――――
県予選1日目・2回線終了後
「ちょっといい?」
決勝進出を決めた後、帰路へ着こうとする清澄の面々の前に姿を表したのは池田だった。
「おんしは風越の。一体どうしたんじゃ?」
「ちょっとそこの1年坊に用があってですね」
ビシッと指差しを受けた京太郎は一瞬きょとんとするが、直後におおよその予想を立てた。
「わかりました。長くなりますか?」
「んー、君次第だし」
「だそうです。すみませんが、先に帰っていてください」
「そうも行くかいの。しばらくラーメンでも啜って待っておるか。のう?」
「別に私は構いませんけど……」
「同感だじぇ」
「……だ、そうです。それじゃあ、少し歩きましょうか」
京太郎の言葉に池田も首を縦に振り、一度2人と清澄部員たちは別れた。
247 = 244 :
「……それで、福路さんに何か?」
「うわっ!お前、エスパーか何かだし!?」
あたふたしながら耳のような髪がピコピコするように見える池田を大変可愛らしいと感じたが、
案件が案件だけにそんな茶化した顔をするわけにもいかなかった。
「心当たりがあるなら話は早いし!なんでもいいから一度キャプテンと話しな!」
「……今、ですか?」
「今じゃなくていつ話すし!」
「……どこにいらっしゃるので?」
「あそこのホテル。少しだけでもいいから――」
「それは呑めない相談ね」
「「!?」」
もはや周りも薄暗くなっている時分におもむろに現れたのは、先程別れたと思っていた久だった。
「ど、どういう訳ですし!?」
「どうもこうもないわよ。そんな利敵行為は認められないってだけ。少なくとも、今はね」
「利敵行為って――何かキャプテンのこと知ってるし!?」
「さあて、ね。少なくともうちにとってプラスにはならない。それだけよ」
「ぐ――」
この手の腹の探り合いで華菜が久に勝てるわけもなく、華菜は歯ぎしりして久を睨みつける。
それならとばかりに矛先を京太郎に向け、仕方ないとばかりに一つ溜息を吐く。
「とにかく、キャプテンと関わりがあると自覚してるならはっきりとしてほしいし!
これ以上キャップが苦しんでるのは見てられないし!」
「苦しんでる……だって?」
「そう!あれは何かを抑えこんでる姿だって華菜にはわかるし!
今日だっていつもならありえないミスが――」
「――行きましょ、須賀君。みんな待ってるわよ」
華菜の懇願にも近い語りを久が強引に制す。
「部長、ですが……」
「肝心のあなたに動く気がないならいつまでも平行線よ。そういうわけで」
京太郎の手をとった久はそのまま華菜から遠ざかるように歩いて行った。
「く――もう、知らないし!勝手にするし!」
華菜が憤慨してホテルへと戻っていく様を、京太郎はもやもやとした気分で振り返り見やることしか出来なかった。
248 = 244 :
――――――――――
「言いたいことがあるならはっきり言ってもいいのよ。
少なくとも、あの姿を見て思うところがないというならそれでもいいけれど」
そう言うなり、モニター上の苦しそうに汗を滲ませる美穂子へと視線を送る久。
「ですが部長、昨日ああ言ったのは」
「気が変わった、というとあれだけれど。
3年の夏をああもしてしまうのは、流石の私でも心が痛むわよ」
「…………」
久の憐憫じみた瞳に対し、まこは一貫して冷ややかな表情を保っていた。
「もっとも、あなたがそうでないなら私は一向に構わないしね」
「……そんなことは――」
「――もう素直になりなよ、京ちゃん」
「さ、咲……!?」
「ずっと京ちゃんと一緒にいた私だからわかるよ。
京ちゃんはあの練習試合の日から、ずっとあの人しか見えてないんだってことぐらいは」
「それは……」
「どんなすれ違いがあったのか私は知らないけど……それはきっと、そのままじゃ誰も幸せになれないって思うから」
「咲……」
「だから、行ってあげて。それで、言ってあげて」
咲の文学少女らしい韻を踏んだ言葉は京太郎の胸にじんわりと染みこみ、それはさながらハートのランプのように京太郎に灯を灯したのだった。
249 = 244 :
「じゃが、試合が始まってしまった以上、もう控室には入れんじゃろ?」
「それに関しては私にいい考えがあるわ」
「なにやら信用ならない響きですが……」
「なぁに、単純な話よ。規定上は部外者が中に入っちゃいけないだけだもの」
――――――――――
250 = 244 :
足取りが重い。
これほど自分の心に嘘を付くことが辛いだなんて、思ってもみなかった。
ほうほうの体で控室へと戻った私を真っ先に出迎えたのは、やはり久保コーチだった。
ビンタの一つでは足りないだろうと自分から顔を差し出すと、
「今はいい。時間がない、とっととこれを耳に当てろ」
「え……?」
言われるがままに差し出された携帯を耳に当てると、コーチが一際大きな声で叫んだ。
「おい須賀ァ!!こんな時にぐらい男見せろよなぁ!!」
『イエスマム!』
「その声は……須賀くん!?」
『ああ。福路さん……いや、ミホ姉!』
「は、はひっ」
今までに聞いたこともないぐらい凛々しい声に、私は思わず情けない声を出してしまった。
『俺、バカだった。あんな昔のことを引っ張り続けて、それを確かめもしないで……けど、今はっきりわかったんだ』
「……」
『あんな苦い顔のミホ姉を、俺はやっぱり見たくない。俺がミホ姉にできることならなんだってしてやりたい。
たとえミホ姉の気持ちが俺に向いてないとしても、俺はミホ姉の為に尽くしたいんだ!』
「……!!」
『――だからミホ姉、勝ってくれ!俺が大好きなミホ姉として!!』
「……待ってた」
『……え?』
「その言葉……ずっと、ずっと待ってたんだからぁ……!」
電話口での怒涛の告白に、美穂子は溢れ出る涙を止めようともしなかった。
「あー……お熱い所誠に申し訳ないんだが、後半開始まであと1分だ」
「えっ!?あ、その、えっと!」
「安心しろ、今は殴らないでおいてやる。……心のつかえは取れたか?」
私は満面の笑みを見せつけてやり、コーチもそれに合わせて不敵に微笑んでくれた。
「ならいい。お前の真の力、とくと拝ませてもらおうじゃねえか」
「はい!」
私はあの天に昇る太陽にも負けないぐらいの昂ぶりを全身に感じながら、会場へと戻っていった。
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