元スレ上条「アイテムの正規メンバーですか」
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pi
木原「こちら『木原』。……あぁ……ほう。……了解」
木原「おら、テメェら撤収だ! アンチスキルも近くに来てるようだからさっさと離れるぞ」
御坂妹(確かにそう遠くない所から多数の人が車でこちらに向かってきていますね……)
木原「なぁ『人形たち』よぉ、今回は時間稼ぎに重きを置いていたが、次回はそこのクソガキを『使えなく』してテメェらも『回収』してやっからな。怯えて待ってろよ、ぎゃははははは」
木原数多とその部下の猟犬部隊は、彼らの死体を含め、本来であれば一方通行が回収するはずだった多くの学園都市製の最新武器とともに足速に立ち去って行った
打ち止め「……助かったの、かな? ってミサカはミサカは緊張が途切れて思わず腰を降ろしてみたり」
御坂妹「そのようですね……近くには人もいないようですし、一先ずはここから離れましょう。アンチスキルのお世話になるのは面倒です、とミサカは今やるべきことの優先順位を一瞬にして導き出し上位個体に行動を促します」
打ち止め「……うん。この人はどうすれば……、ってミサカはミサカは激しく困ってみたり」
御坂妹「よいしょ、っと。こいつ本当にメシ喰ってんのかよ、ってくらい軽い白モヤシを肩で担ぎながらミサカは上位個体に逃走ルートの検索を頼みます。持てるけど意外と辛い」
打ち止め「ちょっと待ってね……こっち! こっちなら人と会わずにグループのアジトへ行けそうだよ、ってミサカはミサカはこの人をすごく心配しながらもかけ足」
御坂妹「おそらくショックで気を失っているだけだとは思いますが、起きた後の反応が想像し難いものがありますね、とミサカは予想外で気を失うと反射も解けるのかよコイツ、と新事実に驚愕します。寝てる時は反射効いてんのに」
打ち止め「うぅ……、ミサカたちからは離れたりしないよね……?」
御坂妹「……どうでしょうね、こればかりはなんとも言えないかと……」
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~サイド麦野~
上条へと向かっていく無数の原子崩し
それが次々と降り注ぎ、上条の姿を光で覆う
麦野(これならどうだ……)
「くくくくくっ、くはははは、あはははははは」
上条の笑い声が響く
上条の周りは上条を中心に半径50センチほどのみが元あった通りで、それ以外は焦げていたり穴があいていたりしていた
上条「麦野沈利~、お前すごいよ。一方通行と御坂美琴、二人と戦っても成長出来なかった俺の『幻想殺し』がお前と戦うことで新たな段階に辿り着けたようだ。くくくっ、あはははは」
上条は麦野の広範囲に及ぶ原子崩しを無傷で回避しただけでなく、嬉々として麦野に衝撃の事実を告げる
麦野(一方通行と御坂美琴……第一位と第三位じゃねぇかっ! あいつらと戦ってきただと!? それに『幻想殺し』……それが上条の能力の名前……)
上条「ははははは……はは……はぁ、ふぅーっ。さぁて麦野よ、こっちから仕掛けていいか?」
上条は嫌な笑みを浮かべ麦野に言葉を投げかける
麦野(クソッ! あいつの能力はまだハッキリとしたわけじゃないが右手以外でも消せると見て良さそうだな……どうする、打つ手なしじゃねぇか!!)
上条「それじゃあ、こっちから行くぜ?」
上条は軽いフットワークで穴のあいた床を飛びながら麦野へ迫っていく
麦野(チッ、今は原子崩しで何とか距離を保つしか方法が……)
麦野は原子崩しを放ちながら上条との距離を開けようと縦横無尽に動き回る
上条は麦野の放つ原子崩しに対して先ほどと同じで、避けたり右手で消していたりしていたのだが、少し違う行動も見せていた
それは……
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――原子崩しを右手で『掴み取りその軌道を逸らす』こと
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本来、麦野の原子崩しは当たったものを問答無用で破壊するLevel5の中でも絶大な攻撃力を持つ能力である
それを『掴み取る』など、出来るものではなかった
しかし、上条はそれをやってのける
麦野(可笑しいだろっ! 何なんだよアレはッ!!)
上条のこの行動により、原子崩しを消し切るのを待たずして麦野との距離を詰めることが出来るようになった上条は、麦野に一気に詰め寄った
麦野「っ!」
麦野(ヤバいッ……)
上条「うおらッ!」
上条の右拳が麦野の顔面を捉え、麦野を数メートル飛ばした
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――麦野沈利はお嬢様だった
資産家の家に生まれ、欲しいものは何でも苦労せずに手に入れた
大人たちにはちやほやされ、専属の執事までついた
当時、小学生ながらも高校生や二十代の男性に口説かれることなども少なくなく、多くの女性は麦野の前にひれ伏すばかりであった
資産家の一人娘だったので最低限のマナーは身に付けたが、性格はやんちゃであったがために麦野の周りの人間は日々奔走し、麦野の要求を叶えるためだけに家族を捨てるものもいた
それほどに自由奔放で人を使い金を使い勝手気ままに生きてきた勝ち組の人生だった
しかし、その人生はすぐに終わりを迎える
計画的な犯行だった
麦野の父が無茶苦茶な事業展開をしてきたせいで、潰された会社の元社長らが麦野の家に放火をした
犯人グループは麦野家の外にあった監視カメラによってすぐに捕まることになるのだが、麦野の両親と数人の使用人が焼死してしまった
麦野自身は執事の機転により助けられはしたが、執事の顔や身体に一生消えない傷痕を残してしまった
麦野は泣いた
両親が死んでしまったこと
家を失ってしまったこと
両親の次に信頼していた執事に一生消えない傷痕を残してしまったこと
それを笑って許してもらったこと
哀しみと喪失感と少しの嬉しさと怒りに泣いた
それからというもの、親戚のいなかった麦野は多くの大人に養子にならないかと誘われた
だが、彼らは決して麦野沈利を見ていたわけではなかった
麦野の背後にある莫大な資産
これだけが目的だった
麦野は理解していた
今まで自分が思い通りの人生を送ってこれたのは全て両親の資産とその権威があったからこそだと
麦野は大人が信じられなくなった
麦野は何を信じれば良いのかわからなくなった
麦野は……
麦野は執事に頼った
もうそれしか頼れるものがなかった
もうそれしか自分の手には残っていないと思った
両親の資産など麦野自身の価値を薄めてしまうものでしかないように思えた
執事は全ての養子縁組を断った
執事は保護者という立場で麦野を引き取り、質素だがしっかりとした暮らしを二人で始めた
麦野家の資産はほとんと手付かずの状態で放置された
執事は顔の傷痕のせいで仕事は夜勤の肉体労働
麦野は私立の小学校から普通の小学校へと転校した
そこでの生活は今までとは違った
男の子には少しモテていたようだが、女の子には日々嫌がらせを受ける日々
頭は良かったのだが教科書に落書きをされまともに授業など受けられなかったため成績は悪かった
イジメを教師には告げ口しなかった
いや、出来なかった
プライドが邪魔をしたからだ
執事にも相談出来なかった
成績が悪いのを自分が出来ないからだと言い張った
執事を困らせたくなかったからだ
そして、麦野は気付く
前の学校で悠々自適に暮らしていたのも全て両親の資産と権威があったからなのだと
やがて男の子も女の子も信じられなくなった
信じられるのは世の中で執事のみとなった
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麦野が中学生へ上がろうかという時に、麦野は執事に話があると言われた
イジメられていたのがバレたのかと思っていると、学園都市へ行ってみないかと誘われた
学園都市
あらゆる教育機関・研究組織の集合体であり、学生が人口の八割を占める学生の街にして、外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街
また、人為的な超能力開発実用化されている側面も持つ街でもある
そこへ行ってみたらどうなのか、と言われたのだ
それも一人で
最初、麦野は激しい反対した
しかし執事の、人は一人で生きていけるようにならなければいけない、という言葉に麦野は辛かったここ数年を思い出し、渋々了承した
そして、麦野沈利は学園都市へ行く
『置き去り(チャイルドエラー)』として
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麦野は最初、パンフレットで見た校舎と違うことに戸惑った
しかもどこかの研究施設のような所で寝泊まりを強要され、風呂は週二日
話が全く違うと思った
それでも執事がせっかく入学費を払ってまで入れてくれた学校だと思って耐えていた
一ヶ月が過ぎた頃、研究員が話していたのをたまたま聞いてしまった
「あの子らは何も知らずに捨てられてしまっているのですよね……」
「モルモットに同情などするな。無用な資源を使って科学を発展させることだけに意識を向けろ」
「……」
「そう思っていないとこの先やっていけないぞ?」
「……そう、ですね。わかりました」
「さぁ、続きを始めよう」
「……はい」
嘘だと思った
麦野家の娘としてではなく、麦野沈利として唯一見てくれた執事がそんなことをするはずがない
捨てるなんてありえない
そう思って、学園都市へくる前に買って貰った携帯電話を取り出し執事へ掛ける
通じなかった
いや、麦野の携帯電話は電話としての機能すら果たすことが出来なかった
電話料金など払われていなかったのだ
麦野の電話には掛けてくる友達もいないし、頻繁に連絡を取り合わないようにしようと執事と決めていたので麦野から電話を掛けることもなかったので気が付かなかったのだ
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執事は疲弊しきっていた
夜勤の肉体労働は思ったよりも辛く厳しいものだった
それに顔に火傷の痕があるため外で買い物をすることも憚れる
人目に触れず、血の繋がりもない麦野を一人で養っていかなければならない
そしてそれに拍車をかけるように麦野の小学校の成績が非常に悪かった事実が執事の精神状態を悪化させる
執事は執事としては珍しく女性だった
執事は家族を捨ててまで麦野家に、麦野沈利に仕える立派な執事だった
家族を捨ててまで選んだ仕事を途中で投げ出したくはなかった
だからこそ、麦野沈利ではなく麦野家の資産を狙う大人たちに真っ向から立ち向かい、麦野を守ってきた
麦野家に仕える者として資産に手を出すこともしなかった
だが執事の顔は火傷の痕で醜くなっているのに対し、麦野自身はどんどん綺麗になっていく
麦野には毎日顔を合わせなければならず、時々彼女が笑うとそれは執事にとっては嘲笑にしか見えなかった
嫉妬していた
麦野は両親の資産を狙う汚い男ではなく、麦野沈利を見てくれる男と将来結婚できるだろう
それが容易に想像出来るほど麦野の容姿は精錬されていった
それに今の自分の境遇を比べて執事は激しく嫉妬していた
そして、決めてしまった
麦野沈利を捨ててしまうことを
執事は学園都市の入学費のみを払い麦野を『置き去り』として捨てた
しかし罪悪感に苛まれ、この数年間何のために耐えてきたのかわからなくなり精神を壊す
非情になりにれなかった彼女は麦野家の資産で精神病院に通い入退院を繰り返す日々を過ごすことになってしまった
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そんなことなど知る由も無い麦野は一人絶望する
両親を失い、汚い大人に狙われ、人を信じられなくなり、信頼していた人にさえも裏切られた
一人でこの劣悪な環境を生き抜いていかなければならないことに精神が壊れそうになる
それでも……、それでも壊れずに生きていけたのは同じ『置き去り』たちと、一人の女の子がいたからだ
同じ境遇の彼らと少しずつ心を通わせ合い、一番年上の一人の女の子を頼ることで壊れそうな心を修復していくことが出来た
学園都市は力が全て
力があればお金が手に入る
お金が手に入れば良い暮らしが出来る
良い暮らしが出来れば昔みたいに幸せに暮らせる
少し短絡的だったのかもしれないが麦野はそうして力を求めていく
例の女の子もLevel3と認定されてから麦野たちをよく銭湯に連れて行ってくれたし、食べ物もたくさんくれた
麦野もそうなりたいと徐々に思うようになっていくのに時間はそうかからなかった
元々麦野は頭が良かった
それが功を奏したのか、才能があったのかはわからないが(おそらく、というよりも確実に後者であるが)、電子制御系のLevel4に短期間で認識される
通常の電子制御系能力は電撃使い(エレクトロマスター)となるのだが、麦野は少し違った
本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子を、その二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定し、強制的に操ることが出来たのだ
今までで類を見ない珍しい能力として麦野は重宝される
お金も大量に入り、『置き去り』たちに豊かな暮らしをさせてやることも少しずつ出来るようになっていった
そして尊敬する年上の女の子にも褒めてもらえてすごく気持ちが良かった
麦野の能力はすでに並のLevel4の枠には収まらず当時、最もLevel5に近いLevel4とされた
麦野はどんどんとその活気に溢れた元の性格を取り戻していく
充実し始めた生活と、失った自信が蘇り、また優れた容姿も重なって、高嶺の花…手を出すのも勇気のいるような女王様気質の綺麗な女性となっていた
年は中学二年生の十四歳
大人になり始める中学生であった
960 = 552 :
そんな時だった
例の年上の女の子が複数の研究員とともに普段使われていない部屋に入るのを目撃したのは
別に今まで何度かあったが今まではそれほど気になったわけではなかった
でも性の知識も少しばかり身に付けた麦野にとってそれらしい匂いがして興味がわいた
だからこそその部屋のすぐ外で耳を壁に当て中の様子を伺っていたのだ
「それじゃいつもみたいに頼むぜ?」
「はい……」
「おいおい、嫌な顔すんなよな。別にお前がやらないなら麦野とか言う中二の女でも良いんだぞ?」
「だ、だめっ!」
「ほら、いつもみたいにやってみろよ」
「早くやんないと終わらないぜ?」
「う…うぅ……」
「かぁーっ、もう一年以上も経つのにまだ慣れてないのかよ。ほらこうやって舐めるんだよっ!」
「きゃっ!」
麦野は尊敬する年上の女の子が自分の身代わりにこうなってしまったのかと思った途端怒りが沸々とわいてきて、今すぐにでもその研究員たちを跡形もなく消し去ろうと、扉に手を掛けた
その時…
「それにしても、『置き去り』たち全員の身の安全を確保するために自分からこんなことし始めるなんて立派なモンだなぁ」
「それが代々受け継がれてきた『置き去り』のシステムってんだから学園都市の研究職はやめられねぇ」
「あぁ、最先端技術もいじくれるし文句なしだ。ほら、今度はこっちにケツ向けろやっ!」
「は、はい……どう、ぞ……」
「イイぞ。ほらお前はその物足りなそうな口でも塞いでやれ」
「おぉ、これ咥えろ。ほら」
「ぐぼっ……じゅぶっ……じゅぼっ……」
聞こえてきた事実に麦野は扉に手をかけたまま固まってしまった
自分が能力開発に集中出来ていたのは……
自分たち『置き去り』が安全に生活出来ていたのは……
誰かの犠牲の上に成り立っていたから
その誰かはずっと大人たちに汚され、良いように扱われ、性欲の捌け口にされる
女としての尊厳なんてない
ただただ性欲処理の道具として扱われる
そんな犠牲の上で何も知らずに自分は笑っていたなんて……
何も知らずに能力開発のみに力を注いできたなんて……
何も知らずに彼女だけに負担を強いていたなんて……
何も知らずに……
麦野は何時の間にか自室へと戻っていた
例の彼女は麦野と二人の『置き去り』の子を挟んで横に寝ているのが見えた
しかし、泣いていた
こんなことに一年以上も気が付かなかったなんて……
麦野は人生何度目かの絶望と激しい怒りをその身に宿す
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次の日、麦野は能力判定のテストを受けていた
次々とメニューをこなしていき、最後に原子崩しを何層にも重なった鉄版へと放つ試験に臨んだ
その試験をやる監督の研究員が昨日の汚らわしい行為をしていた奴らだと気が付いたのは試験をやる直前だった
その時麦野はどうしようもない怒りを抑えられなくなり原子崩しが暴走する
今まで一度たりとも全ての鉄版を一回の原子崩しで貫いたことがなかったのに、その時は一瞬だった
それも鉄版だけでなく、その直線上の幾つもの部屋を一発の原子崩しが貫き、消し去った
麦野は気分が今までにないくらい良かった
全力に近い形で原子崩しを撃つことでこれまでの人生の鬱憤を発散出来ているような気がして
そしてその高揚感のまま例の研究員たちを跡形もなく消し去る
周囲の部屋も原子崩しを放ち消し去った
研究所が慌ただしくなり研究員たちは逃げ惑い、原子崩しの盾に『置き去り』たちが使われた
その中、麦野の前に例の彼女が立ち塞がる
自分が身体を汚してまで守ってきた『置き去り』たちが無慈悲に何のためらいもなく殺されていく現実に耐えられなくなって……
冷静な判断の出来なくなった彼女は麦野のせいにすることでそれを昇華しようとした
麦野がいけないんだ
麦野のせいなんだ
だからこそ麦野の前に立ち塞がる
明らかな敵意を持って
麦野は訳がわからなかった
自分は彼女のためにこのくだらない研究所を消し去り、彼女や他の『置き去り』たちとともに暮らそうと思っていたのだから
彼女の尊厳を取り戻そうと……
彼女に普通の女の子として生きてもらおうと思っての行動だったのに……
それを彼女は裏切ったのだと麦野は捉えてしまった
麦野の精神は完全に壊れた
麦野が気が付いた時には自分の身体はボロボロ
辺りには何もなかった
そう、何もなかった
絶対的な力の前には、何ものもその形をこの世に残すことすら許されなかったのだった
962 = 552 :
この日、一つの研究所とそこに勤めていた全ての研究員、そして一人を除く全ての『置き去り』たちがこの世から消え去り、新たなLevel5が誕生した
認定当時、Level5序列第三位『原子崩し(メルトダウナー)』麦野沈利
そして、彼女は大衆にその美しいバラのような姿をさらすことなく闇へと落ちた
963 = 552 :
麦野(こんなときに昔のこと思い出してんじゃねぇよ……)
麦野は立ち上がる
上条に殴られた左頬が薄い青紫色になり少し腫れてはいるものの、麦野に対しては決定打にならなかったようだ
麦野(力がなくちゃ生き残れない……)
麦野の目が暗く沈む
ただ単純に力を求め、怒りに身を任せ自身の能力で障害となるものを消し去ったあの日のように
麦野「かーみじょう、私ぃ思い出したよぉ」
艶かしい声を発しながら、バラのように美しくもトゲのある姿で上条に向かい合う
麦野「私の邪魔をする奴は消し去ることが正しいってことになぁああああああああああああああああああああああああ!!」
麦野が本気を出す
通常の原子崩しが幻想殺しで消されてしまうならば、消されてしまう前に上条自体を消し去ってしまえばいいのだ
麦野の身体が青白い光に包まれる
その状態を保ったまま上条に向かって駆け出そうとした
その時、上条と麦野の間に人形が放り込まれそれが爆発し、砂埃が立ち込める
964 = 552 :
麦野「っ! フレンダァああああああああああああああああああ!! 何邪魔してんだクソガキがぁああああああああああああああああああああああ」
麦野は上条の姿が見えなくなり、人形が放りこまれた方向
つまり、フレンダに向かい合う
フレンダ「ひっ!!」
麦野「テメェ、上条に手貸しやがったな……。静粛されたいのか? あぁん!?」
フレンダ「ち、ちがっ……、麦野…はな、しを……きい……」
フレンダの身体が恐怖で震える
声がうまく出せなくなりそれが麦野の神経を逆撫でする
麦野「オ・シ・オ・キ・か・く・て・い・ね」
麦野がニヤリとまるで獲物を狩る死神のように顔を歪め、フレンダに向かって右手を構え原子崩しを放とうとした
しかし、急に能力が使えなくなり身に纏っていた青白い光も収縮していく
麦野「なっ…これは……ッ! たーきーつぼぉ、なにしてくれてんだゴラァああああああああああああああああああああ!!」
麦野の能力を抑え付けることになった要因である滝壺理后が、絹旗の肩を借りヨロヨロとまだ完調でない身体を動かしながら、麦野を睨む
滝壺「むぎの、本気出そうとしたでしょ……そんなの許さないよ」
965 = 552 :
麦野「誰を許さないってぇ~? 滝壺ぉ、勘違いしてそうだから言ってあげるけどね、私しか上条を倒せないんだよ!!? テメェら揃いも揃って何邪魔してくれてんだぁ!! あぁ!?」
滝壺「うん、むぎのしかかみじょうは倒せない」
麦野「だったらどうし――」
滝壺「それでもやらせない」
麦野「何を……」
滝壺「むぎのがいなくなったら、わたしたちは『アイテム』じゃなくなるんだよ?」
麦野「っ!」
滝壺「ちゃんと全員生き残らなきゃダメだよ。それに、むぎのは本気でやっちゃダメだって四人で約束、したよね……?」
麦野「……」
フレンダ「私だって、さっきの爆弾を投げることで殺されるかもって思った」
フレンダ「前までの私なら自分の命を懸けて誰かをどうこうするなんて思わなかった訳よ」
フレンダ「でもっ!」
フレンダ「『アイテム』っていう『居場所』を守るために誰かが欠ける結末じゃダメだって思ったから……、思ったから麦野のために自分の命を懸けて麦野を止める行動が出来た」
フレンダ「結局、『アイテム』にいれば私は成長出来るって訳よ」
フレンダ「そんな『居場所』だから、私は命を懸けて守る。そう約束したんだから」
フレンダ「だから、麦野を一人では戦わせられない」
966 = 552 :
絹旗「麦野はもう少し私たちを信用してもいいと思うんです」
絹旗「私たちがただ上条に超コテンパンにされたわけじゃないんですから」
絹旗「『アイテム』の危機は『アイテム』で、みんなで解決しましょう」
絹旗「麦野から始まって、滝壺さんが整えて、私が超癒しになって、フレンダで騒がしくなった『アイテム』」
絹旗「それを誰か一人が背負うなんて超間違ってるんです」
滝壺「むぎのはもう一人じゃないんだよ?」
滝壺「わたし、きぬはた、ふれんだ」
滝壺「みんなむぎのを見捨てたりしない」
滝壺「むぎの、四人で戦おう。だって
――」
967 = 552 :
「「「『家族』なんだから」」」
言い切った三人の表情は真剣そのもので、その言葉がその意味を正しく表していることを確信させる
968 = 552 :
そして、それに気が付いた麦野は顔を真っ赤にし少し俯き手をギュッと握り締め身体を震わせながら、必至に涙を堪えていた
辛かった過去を思い出し、力で自分を見失いそうになった時にしっかりと止めてくれる存在がいたことで、涙腺が耐えられなくなりそうだったから
ひとしきりその余韻を噛み締めたあと麦野は顔を上げ、三人に向き合う
麦野「わかった、四人で戦おう。私たちは――」
969 = 552 :
「『家族』なんだもんね」
そう言って笑う彼女の表情は、元の自由奔放で笑顔の絶えなかったお嬢様時代をそのまま成長させた、赤みがかり照れた様子の十八歳の少女のそれであった
970 = 552 :
>>1でした
ちょいと次スレ建ててきます
975 :
>>1です
URL上手く貼れないみたいなので次スレのヤツ誰かお願いします
次の更新は未定です
アイテム戦がまだまだ続きそうな気がします
では
976 = 974 :
次スレ貼っときます
上条「アイテムの正規メンバーですか」麦野「2だにゃーん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391083966/
977 :
乙
次スレはここですって
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391083966/
978 = 977 :
リロードしてなかった
申し訳ない
979 :
更新は次のスレにしていきます
982 :
一方の精神ボコボコにされたなぁ
巻き返してくるかが期待
むぎのんイイね
照れ顔とかマジ見てみたい
乙!
こっちは埋めれば良いんだよね?
まぁ乙コメで埋まるか
983 :
一方あいかわらずの豆腐メンタルっぷりやな
984 :
このあとに上条さんが一方さんをそげぶ(ウホッ)するんですね分かります
990 :
乙
静粛されたいのか? でちょっと笑っちまった
991 :
>>1000ならフレンダが幸せ
994 :
1000なら上条さんハーレム
997 :
埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め兎埋め埋め埋め埋め埋めェ!!!
998 :
1000 :
貰った
みんなの評価 : ★★
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