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    元スレ黒井「765のプロデューサーは静かに笑う」

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    201 = 151 :

    ~961プロ~

    ガチャッ!

    黒井「はぁ、はぁ……はぁ……!」

    黒井「うぐ……!」ズズ…

    黒井「くそ、何も味がしない……何てひどいコーヒーだ……!」


    黒井「……ん?」

    黒井「これは……私の机に、何だこの手紙は……」

    ペラッ…


    黒井「!!?」

    202 = 151 :

      写 真 の 男 は  某 国 を 国 外 追 放 さ れ た

      テ ロ リ ス ト だ

      決 し て  野 放 し に し て は な ら な い

      俺 達  コ イ ツ に  ハ メ ら れ た


    黒井「ぷ、プロデューサー……765プロの、プロデューサーの写真が……!」


    黒井「だ、誰がこの手紙を!? いや、そんな事はどうでも良い!」

    黒井「あの男が、アメリカから国外追放されたテロリスト、だと……!?」

    203 :

    ミキミキとらぶるに巻き込まれすぎっしょ…
    おぉ恐い恐い

    204 = 151 :

    プルルルルルル…!

    黒井「!!」ビクッ!


    ガチャッ

    黒井「もしもし」

    黒井「……もしもし、誰だ」



    『……見てくれました? 俺のラブレター……』


    黒井「!? き、貴様、誰だ!」


    『ひどいなぁ、黒井社長』

    『せっかく、あなたから仰せつかった調査の最終報告をしたってのに……』

    『まっ、俺をクビにした今では、もはやどうでも良くなった事なのかも知れませんけど』


    黒井「! ……貴様、元秘書の……」

    205 = 151 :

    『書いてあることは事実ですよ』

    『俺達、騙されていたようですね。あの男に』

    『いや、アイツに出会った全ての人間が、騙されている可能性もありますが……
     それももうどうでも良いや』


    『おかげで俺は職を失い、女房にも愛想をつかされ、息子を連れて家を出ていかれ……』

    『なんにもねぇよ。もう、俺には何も失うものがない』


    『だからね、社長……せめて、俺の人生をめちゃくちゃにした奴らだけは、
     同じくらいめちゃくちゃな目に合わせてやらなきゃと思ってさぁ』


    黒井「さっきから何を言っている」


    『でもね、当のあの男の居場所は、全く掴めない……となると……』

    『当面の標的は、765プロと、黒井社長……あなたになるんですよ』


    黒井「!」


    『さて……分かります? これから、俺、何をしようとしているのか……』

    『ヒントはねぇ……』

    『今、俺のそばには、星井美希ちゃんがいます』

    206 = 151 :

    黒井「!? な、何をする気だ……」

    黒井「彼女にひどい事をしようと言うのなら、アテが外れているぞ。
       星井美希はもう、961プロとは無関係だ」


    『ハハハハ、この子を庇う気ですか?』

    『変な所で優しいのは、昔と変わりませんね』

    『だが……別に誰だって良いんですよ。961プロに少しでも関わりのある人間ならね』


    黒井「何だと……!」


    『例えばの話……
     ある日、元961プロ所属のアイドルと秘書の遺体がどこかで見つかったとしてね?』

    『その秘書の遺体から、961プロの凄惨な職場の実態や、
     黒井社長への恨みつらみが書かれた遺書が見つかったとしたら……』


    黒井「!?」


    『どうですかね……ちょっとした、スキャンダルになると思いませんか?』

    『色々と勘ぐられちゃいますよねぇ……ヒヒヒ…』

    207 = 151 :

    黒井「ふざけた事を……貴様、今どこにいる!!」


    『簡単に教えると思ってんですか? ククク…』

    『まぁ……あんたの目の前で死んでやるのも、面白そうですねぇ』


    『品川ふ頭の南に、誰にも使われていない廃倉庫があります』

    『美女と野獣の死体があるかも、ね……ヒヒヒ……!』

    『あぁ、それと……警察には連絡しても無駄ですよ。連絡した所で、どうせ警察は動きません』

    『最近、同じ場所で「誘拐が起きた」っていう嘘の通報が続発してますからねぇ。
     もう警察もまともに取り合ってくれないでしょう』

    『まっ、オオカミ少年は何を隠そう、この俺なんですけどね。はははは!』

    ブツッ!


    黒井「あっ! ……し、品川ふ頭……!」


    黒井「おいっ! 車を出せ!! ……って、誰もいないんだったな」

    黒井「ちぃっ……冗談ではないっ!!」

    ダッ!

    208 = 164 :

    急展開?

    209 = 151 :

    ~夜、廃倉庫~

    美希「ひっく……ひっく……」

    元秘書「へへへ……怖い思いをさせてすまないねぇ、美希ちゃん」

    元秘書「でも、もう少しで解放してやるよ……恐怖からね、ヒヒヒ……」


    美希「ヤ……やだ、助けて……放してよう……!」ガタガタ…

    元秘書「恨むんなら、あの男と黒井社長を恨むんだなぁ? 君もかわいそうに」

    美希「あ、あの男……?」



    バァン…!

    元秘書「! ……来たか」

    美希「えっ?」


    元秘書「……!? いや、違う……黒井社長じゃない!?」



    「はぁ……はぁ………!」

    210 = 151 :

    美希「は、ハニー!!」

    元秘書「なっ……どうして、貴様がここに!?」


    「美希、今日のオーディション良かったぞ。全部見ていた」

    美希「えっ……?」

    「仰々しい退職願を765プロに残しといてアレだが、やっぱ皆の出来が気になってな」


    「765プロに帰ってくれることになったようだな。ジュピターや響と貴音も」

    「すっかり安心したので、帰ろうと思ったら……
      グッタリしたお前を連れたそこの男が、会場の裏口から出てくるのが目に入ったんだ」

    「遠目で見たから気のせいかと思って、さっきまで放っておいてしまった……すまない」


    美希「は、ハニー……ハニー……!!」ボロボロ…

    211 = 151 :

    元秘書「けっ、こんな時にまでよくも心にもねぇ事をいけしゃあしゃあと言えるもんだぜ」

    「何だと?」


    元秘書「美希ちゃん、教えてやるよ。
        この男はな、数々の隣人を薬物でその手にかけてきたサイコキラーだ」

    美希「え、えっ……!?」

    「何を言っているんだ、お前」

    元秘書「すっとぼけてんじゃねぇよ! 俺には全て分かってんだ!」

    元秘書「アメリカでテロリスト名簿に載せられて、国外追放されたのだって知ってんだからな!
        大方、パラコートでも使って気に食わない奴らを殺していったんだろ!」


    美希「えっ……あ……?」

    「…………精神がイッてるな。美希、心配するな、大丈夫だ」

    美希「う、うん……! ミキ、ハニーを信じてるの!」


    元秘書「ふん! 信じられないんならそれでいい。
        てめぇらは、どのみちここで死ぬ運命なんだからな」

    美希「や、ヤ! 助けて、ハニー!!」

    「あぁ。心配するなって」

    212 = 151 :

    ゴソゴソ… スッ…

    元秘書「あん……何だそれ、注射器?」


    「これが何だか分かるか?」

    「プロポフォールという麻酔薬だ。
      最近だと、キング・オブ・ポップが致死量を服用して亡くなった事でも有名になった」

    「昔のトラウマを抑えるための、個人的な抗不安剤として持ち合わせてるんだが……
      まさか、護身用で使う事になるとはな」


    元秘書「それを俺に打とうって気かい?」

    「通常はもっと希釈して服用するんだが……
      まぁ、一本まるまる打っても意識を失う程度で、致死量にはならないはずだ」

    チャプッ… スッ…

    「これで良し、と」


    元秘書「ははは、コイツはいいや。
        業界からの人望厚い好青年が、まさか薬中だったとはなぁ!」

    「放っといてくれ。行くぞっ!」ダッ!

    213 = 151 :

    「うおぉっ!!」グアッ!

    バシッ!


    「ぐっ……!!」ギリギリ…!

    元秘書「甘ぇんだよ、クソが。俺は黒井社長の元秘書だぜ?」

    元秘書「いざって時は、その身で社長を守る役目も仰せつかってる。
        てめぇのようなヤワな男の相手なんぞ、造作もねぇんだよ」


    元秘書「おらっ!」ゴキッ!

    「がぁっ!!」ドサッ!

    美希「ハニー!!」


    「う、ぐっ……!」

    元秘書「寝てんじゃねぇよ、起きろコラァ!!」ドガッ! ドガッ!

    「ぐっ! はがっ……!」

    美希「ヤ、やめてっ!! ハニーにひどい事しないで!!」


    コロッ…

    元秘書「? ん~~、ほう……」スッ

    214 = 151 :

    元秘書「……プロポフォール、って言ったか?」チャプッ…

    元秘書「確か、1本じゃ致死量じゃないって言ってたな?」

    元秘書「何本か持ち合わせているようだが……2本打てばどうかな?」スッ


    「!?」

    元秘書「ははは、心配するな。おたくには打たねぇよ」

    元秘書「だが……」クルッ

    テクテク…


    美希「……えっ?」

    元秘書「大好きな“ハニー”が使ってるクスリでイケるんなら、お前も本望だろ?」


    「!! や、やめろ……!」

    元秘書「はははは、そうかそうか。やっぱり危険な量なんだな?」スチャッ

    美希「ヤ……ヤ、来ないで……やめてぇ!!」


    プスッ

    美希「うっ……!」

    「み、美希っ!!」

    215 = 151 :

    元秘書「まずは一本」ポイッ

    元秘書「それじゃあ、とどめのもう一本を……」スッ

    「や、やめろ!! やめろぉーー!!!」


    美希「は……はに……はにぃ………たす……け……」


    プスッ


    美希「あ………ぁ…………」

    「うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」ダッ!

    元秘書「あっははははははは!!」ゴッ!

    「ぐぁっ!!」ドサッ!


    「み、美希ぃ……!!」

    美希「ぁ…………ぃ………っ……………」フラッ…


    ガクン…

    216 = 151 :

    「……ッ!!」

    「お、お前……よくもお前ぇ!!!」

    元秘書「あーあ、おたくが変なクスリ持ってくるから。やっぱ殺人鬼じゃねぇか」

    「ぐ、ううぅぅぅぅ!!!」


    ダダダ…!

    黒井「はぁ、はぁ………こ、ここか!?」


    「く、黒井社長っ!!」

    黒井「き、貴様は……なぜ貴様がこんな所にいる!?」

    元秘書「おーう、ようやくお出ましか」

    元秘書「だが残念だったな。星井美希はたった今死んだよ、コイツのクスリで」

    黒井「なっ、何だとぉ!?」

    「ちっ、違う、俺じゃない!! アイツが殺したんです!!
      アイツがプロポフォールを!!!」


    元秘書「まぁ細かい事はこの際どうでも良いじゃないっすか」

    元秘書「ちょうどいいから、やっぱ黒井社長もここで仲良く一緒に死にましょうや。
        どのみちお前らもここで終わりだしよ」


    元秘書「……あっ、そうだ言うの忘れてた」

    217 = 151 :

    「な、何だ……」


    元秘書「おたくの経歴を調べていくうちに、パラコートってどんなものなのか気になってねぇ」

    元秘書「たまたまツテがあったので、ちょいといただいた事があったのよ。
        なるほど、確かにありゃあ危険な香りがした」

    元秘書「で、どうせだから、お世話になった連中にもお裾分けしてやろうと思ってな……」


    黒井「な、何を言っているのだ……もったいぶらずに話せ!」

    元秘書「いや、別に……」

    元秘書「確か、765プロの高木社長……
        以前、黒井社長が飲んでらしたコーヒーをしきりに飲みたがっていましたねぇ」


    元秘書「だから、送ってやったんですよ……“香り高い”コーヒーの豆を」

    黒井・P「!!!」

    元秘書「今日あたり、事務所に届いてるんじゃないかなぁ」

    元秘書「もう飲んでるかも……ヒヒヒ…」

    218 = 151 :

    黒井「ふ、ふざけた事を……!」ダッ!

    元秘書「おぉっと、逃がさねぇよ。あんたもここで死ぬんだから」ザッ

    元秘書「それに、765プロを一番嫌っていたのは黒井社長、アンタだろ。
        何で止めに行こうとしてんだよ」


    黒井「貴様……私は、私のやり方で高木を倒さなくては気が済まないのだ!」

    黒井「薬を飲んで死ぬなどと、万が一にもそのような結末で
       私と高木の戦いを終わらせてなるものか!!」

    元秘書「ふん! 知らねぇよ、おら、さっさとあんたもあの世へ……」


    ガシッ!

    元秘書「ムッ!?」

    「黒井社長! 765プロへ行って下さい、早く!!」ググッ…!

    黒井「なっ、貴様……!?」

    「これ以上、犠牲を増やしちゃダメなんです!
      早く!! 手遅れになる前にっ!!」

    黒井「……フン! 偉そうに指図するな」ダッ!

    タタタ…

    219 = 151 :

    元秘書「放せ!」ガッ!

    「うっ!」ドサッ


    元秘書「ちっ……まぁいい、どうせ手遅れだ」

    元秘書「それに、送り主は黒井社長にしといたから、何かあればアイツが罪を被ることになるのさ」

    「………………」


    元秘書「ははは、ざまぁみろ!!」

    元秘書「俺をコケにしやがった奴は、皆まとめてあの世へ行けばいいのさ!!」

    元秘書「この星井美希もかわいそうになぁ!?
        大人同士のつまらん諍いに巻き込まれちまって!」

    元秘書「結構好きだったんだぜ? まさかこんな事で死ぬとは。
        やれやれ、愛しの“ハニー”のクスリはひでぇモンだなぁ」


    「俺の薬が、どうしたって?」

    元秘書「あん?」

    元秘書「……いや、だからお前のクスリのせいでこの子が死んでかわいそう、って…」



    「心配はいらない。美希は寝ているだけだ」

    220 = 151 :

    元秘書「…………は?」


    美希「スゥ………スゥ………」


    「さっきあんたが美希に打ったのは、ただの弱い睡眠薬だよ」

    元秘書「なっ………あ……?」


    ドスッ

    元秘書「うぐっ!?」

    「そして、これがパラコートだ」

    「おたくに一部をあげた、ね」


    元秘書「!? ……! がっ!! か……あっ……!!」ガクガク…


    「あぁ、それと……」ゴソゴソ…

    「黒井社長の車のスペアキー……借りてたから返すよ」チャリッ


    元秘書「かぁ……あ……ば………ぎぁ………!」ガクガク…



    ピクピク…

    221 = 151 :

    「………………」


    「……………………」



    「………………」スッ…


    つ レンガ


    「………………」

    「…………ッ」グアァ…!

    ガンッ!!


    「!! ぐっ……」フラッ…

    ポタポタ…


    「うっ、ぐ……ふっ……ふ………」ポタポタ…



    「ふ…………ふふ……うふふ………」


    バタッ…

    222 = 171 :

    やべぇ、やべぇよ…

    223 :

    「………………」スッ…

    つ レンガ

    ワロタwwwwww

    224 = 151 :

    ~765プロ~

    高木「……遅いな」

    小鳥「律子さんが皆を連れて品川ふ頭に行ってから、大分経ちますね」

    小鳥「プロデューサーさんから、急に連絡が入ったと思ったら、
       そんな恐ろしい事が起きていただなんて……」

    高木「無事だといいのだが……美希君も、彼も」

    小鳥「えぇ……」


    高木「……ところで、音無君。こんな時になんだが……」

    小鳥「はい?」

    高木「そこに置いてある小包は、一体何だね?」

    小鳥「あぁ、これですか?」


    小鳥「今日、オーディション会場から帰ってたら、届いていたんです」

    小鳥「黒井社長から、コーヒーのお裾分けのようで……
       今使っているものが無くなってから、このコーヒーで淹れようかなぁって思っていたのですが」

    高木「そうか……黒井のヤツ、憎らしいのか仲良くしたいのか分からんな」

    小鳥「あの人、素直じゃないですよね……昔から」

    高木「あぁ、全くだよ」

    225 :

    何が怖いって、いまだにPの目的が明確になってないんだよな……

    226 :

    目的がわからんあたりサイコっぽい

    227 = 151 :

    ブロロロロロ… キキィッ!

    高木「ムッ?」

    小鳥「車の音? 荒い運転ねぇ、誰かしら」


    ガチャッ!

    黒井「高木っ!!」

    小鳥「きゃあっ! ……く、黒井社長!?」

    高木「黒井……一体どうしたんだね?」


    黒井「高木、ここにコーヒーが届けられていなかったか!?」

    高木「あぁ、キミが送ってくれたというコーヒーならあるよ、ありがとう。
       どうしても飲みたくてウズウズしているのが、キミにも分かってもらえ…」

    黒井「即刻捨てろ、それは私が送ったものではない。これは毒物だ」

    高木「はっ?」

    黒井「ウッ……ゴホッ、ゴホッ! ゲェホ!!」

    小鳥「く、黒井社長大丈夫ですか!? 落ち着いて……」

    228 = 151 :

    高木「…………まさか、そのような事が……」

    小鳥「そ、それじゃあ美希ちゃんはもう……それに、プロデューサーさんもっ!!」


    黒井「現場には誰が行っているのだ」

    高木「ここにいたアイドル達は、皆向かったよ。
       危険だと言ったのに、律子君の車で足りない分は皆でタクシーを捕まえてね」

    黒井「さすがの団結力だな。だが、今はそんな事はどうでも良い。
       警察への連絡は?」

    小鳥「何度も連絡したんですが……どうせお前もイタズラなんだろう、って
       まともに話を聞いてくれなくて……!」

    黒井「チッ……そうか。なら仕方が無いな」


    黒井「おい、高木。一緒に警察に行くぞ」

    高木「ウム……直接行って話をしなければ、警察も動いてくれまい」

    小鳥「わ、私も行きます!」

    高木「音無君、君はここに残ってくれたまえ。連絡係が一人ここにいた方が良い」


    小鳥「……分かりました。社長をよろしくお願いします、黒井社長」ペコリ

    黒井「フン……」

    229 = 151 :

    ガチャッ

    黒井「乗れ」

    高木「ありがとう」

    バタン


    高木「……キミの車に乗るのも、久しぶりだな」

    黒井「………………」


    高木「できれば、もっと楽しいシチュエーションで乗りたかったものだが……」

    230 = 151 :

    ブロロロロロロ…

    黒井「警察署までは、20分ほどかかるだろう」

    高木「そうか……」


    高木「おっ?」

    コポコポ…

    高木「そういえば、コーヒーセットが車内に置いてあると聞いていたが、これがそれかね?」

    高木「どれどれ……おぉ~」

    231 = 151 :

    黒井「何をしている」

    高木「いや、何、コーヒーセットがあるのが羨ましいなぁと思ってねぇ」

    高木「それに、このコーヒーは今日765プロに送られてきたものと同じ銘柄じゃないかね?
       私がずっと飲みたいと言っていた」

    黒井「そうだったらどうする」

    高木「キミも意地が悪いなぁ。この際なんだし、飲ませてくれたって良いじゃないか」

    黒井「この非常時にコーヒーか……どこまでもおめでたい男だ」


    黒井「…………勝手にしろ」

    高木「ハハハ、ありがとう」


    高木「キミも飲むかい?」

    黒井「運転が終わってからな」

    高木「そうか。それじゃあ、私だけ遠慮なくお先に」

    コポコポコポ…

    232 = 151 :

    高木「うーん、この香り」

    黒井「ゴホッ! う、グッ……ゲェホ、ウェホッ!!」

    高木「大丈夫かい? キミも、そろそろ病院に行った方が…」

    黒井「大きなお世話だ」


    黒井「……高木」

    高木「ん?」ズズ…

    黒井「私は、貴様の唱える、信頼関係だの絆だのという精神論が大嫌いだ」

    黒井「だから、私は私に従う者達に甘えを許さなかった」

    黒井「部下達を次々に解雇していったのは……
       半分は、765プロに心を許していた当時の自分への戒めでもあったのだが……」

    黒井「それでも、私はその判断を間違っていたとは思っていない」


    黒井「今回のような事件に、貴様ら765プロを巻き込んだ事は、すまなかったと思う」

    黒井「しかし、高木……常に貴様より優位に立つという、自分の決意を曲げる事はできん」

    黒井「恐怖政治が上手く行った試しは無い、とでも言いたいのだろうが……
       私は、私のやり方でもう一度トップに立ってみせる」

    黒井「だから、どんなに不器用だろうと…………高木?」


    黒井「………おい、高木、聞いているのか」

    233 = 151 :

    黒井「…………高木!」クルッ


    ガシャ-ン!

    高木「がっ……あが、か! ………うっ……ぶ……!!」ガクガク…

    黒井「!? た、高木、どうした!!」


    キキィッ! ガチャッ!

    高木「あっ、ば……がぁ! ……かふっ………う……ぁ………!」ガクガク…

    黒井「こ、これは……!」


    黒井「!! ま、まさか……!!」


    黒井「このコーヒーに、何か……!?」

    235 = 151 :

    ヴィー!… ヴィー!…

    黒井「!!」ビクッ!

    黒井「た、高木の携帯……!?」


    ピッ


    黒井「も、もしもし……」

    『もしもし、音無……あ、あれ? 黒井社長、ですか?』

    黒井「あぁ……どうした?」

    『今、律子さん達が現場に到着して……
     美希ちゃんも、プロデューサーさんも何とか無事だって……』

    黒井「そ、そうか……」


    『と、ところで……高木社長、いますか? どうして、黒井社長が高木社長の携帯を……?』

    黒井「!!」ギクッ!

    ピッ!



    小鳥「あ、あれ? ……切れ、ちゃった………?」

    236 = 151 :

    黒井「はぁ、はぁ……はぁっ……!!」

    黒井「…………ッ」チラッ


    高木「…………………………」ブクブク…



    黒井「!! は、はぁ……はぁっ……!!」ガタガタ…

    黒井「く、クソッ!!」バタン!

    ブキキキキキ…!

    237 = 151 :

    黒井「何で、この私が、逃げようとしているのだ……!!」

    黒井「私じゃない……私が、高木を殺したんじゃあない!!!」

    ブキキキキキ…!


    黒井「クソッ!! このポンコツが、動け!! さっさとエンジンを付けろ!!」

    ブキキキキキ ブオン……!!


    ドゴォンッ!!

    黒井「うおっ!?」

    238 = 151 :

    メラメラ… パチッ パチパチ…

    黒井「な、何だ、これは……?」


    ゴォォォォォォ…!

    黒井「車が、発火だと……まさか、整備不良……」


    黒井「!! ……星井美希が乗っていた車も、発火……!」

    黒井「馬鹿な……関連があると言うのか!?」

    ゴォォォォォォ…!!


    黒井「クソッ! 開け、開けぇ!!」ガチャガチャッ!

    黒井「ふざけるな……こんな事があってたま……ウグッ!」

    黒井「ゴホッ! ゲェホッ! ゲボッ!!」


    黒井「はぁ……はぁ……!!」



    黒井「う、うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


    ………………

    ………………………………

    239 = 151 :

    ………………


    「あの子は危険だ……警察に事情を相談して、施設に引き取ってもらわなくては……」

    「そんな……イヤよ! だって、私達の子供なのよ?」

    「それを言わないでくれ、俺だって辛いんだ」

    「でも……今のまま、あの子が社会に出れば、間違いなく不幸な目に遭う人が増える」


    「イヤ、そんな……あの子はまだ子供なの。何も責任は無いはずよ?」

    「私達があの子の味方をしないで、誰があの子を支えてあげられると言うの!?」

    「し、しかしっ!」


    ガチャッ…

    「あっ…………」

    プスッ

    「うぐっ!? …………がはっ!!」バタッ

    「あ、あなたっ!!」


    「や、止めて……お願い、いい子だから……!」


    ………………

    240 = 151 :

    ………………


    「おい兄弟、悪かったって!」

    「お前の女にツバつけたのは謝るよ。だから、俺を放してくれないか」


    「あっ? ……おいちょっと待て、何だその薬は」

    「……ぱ、パラコート………おい、パラコートって言ったのか!?」

    「ヘイ、ヘイヘイヘイヘイヘイ!! 冗談だろ、おいっ! 近寄るんじゃねぇ!!」


    プスッ

    「ぐぁ……!」


    「……? ……あ、あれ、何ともない……」

    「何だ、ジョークかよ……まったく、最近のジャパニーズジョークはキツイぜ」


    「……えっ………時間差で発症? ……遅効性の新型パラコート、の実験………?」

    「お、俺は、死ぬのか? ……おい、ちょっと待てよ、待っ……!!」


    ………………

    241 = 151 :

    ………………


    「当局に、君の名前をリストに加えてもらうよう手配した」

    「即刻、この国を去りたまえ。アメリカは、君のようなテロリストの存在を許さない」


    「ん? ……何だねその顔は。言いたい事があるなら聞こう」

    「……私が死んで喜ぶ人間が、社内には大勢いるだと? フッ……」

    「確かに、誰が吹き込んだかは知らないが、
     この会社には、私の地位を狙って良からぬ企みをしている者はいるな」

    「だが、それが何だというのだ。まさか、この私まで手にかけようと?」

    「無駄だよ。君の手口は知っている。
     君と一緒に食事をする機会でも無い限り、毒物を私に飲ませようなどと…」


    「!? グッ………グアァ……!?」ガクッ

    「な、何だ……馬鹿な……が、はっ!! ………一体、い……つ………!」


    ………………

    243 :

    ヒエッ…

    244 :

    羊の皮を被った狼だな……

    245 = 151 :

    ………………


    「あー、そこでこっちを見ているキミ!
     そうキミだよ、キミ! まあ、こっちへ来なさい」

    「ほう、何といい面構えだ。ティンと来た!
     君のような人材を求めていたんだ!」

    「我が社は今、所属アイドル達をトップアイドルに導く、プロデューサーを募集中だ」


    「ほう? まさにプロデューサーを志望して、
     スカウトされるチャンスを期待してこのイベント会場に来たというのだね」

    「これは何と得難い出会いだろうか。
     ささっ、それじゃあさっそく我が765プロへ招待しよう」

    「……っとそうだ、私はこれから友人の主催するライブを見に行かなくてはならないのだった」

    「何のライブかって? あぁ、961プロというライバル事務所だよ。
     口を開けば金のことばかりな、ロクでもない男が社長でね」

    「いくらキミが実力主義だとしても、黒井のようにはならないように。という事で……」

    「それじゃあ、三日後はどうかね? ……大丈夫、あぁ良かった。
     では、三日後に我が765プロの事務所へ来てくれたまえ」


    「いやぁ、実に良い目をしている……人との絆を大切にすることができる、優しい目だ」


    ………………

    246 = 151 :

    ………………


    「はぁ……この喫茶店で待っておけば、スクープが撮れるってのか?」

    「その情報は確かなんだろうな。骨折り損のくたびれ儲けじゃかなわねぇぜ」


    「……なるほど、765プロと961プロの関係者同士の密会、か」

    「アイドル本人の特ダネじゃねぇのがちと残念だが、まぁ喜ぶ奴はいるだろうな」


    「分かった、じゃあその日時にこの喫茶店に行くことにしよう。
     で、情報料はいくらだ?」

    「……あっ? 金は要らない?
     何を言ってんだアンタ。やっぱ俺を騙す気か?」

    「961プロを潰してくれさえすれば良い、だと……?」


    「あっ、おい待てよ」


    ………………

    247 = 151 :

    ………………


    「はい、お疲れさんでしたー」

    「まったく、最近ここの会社って人使い荒いよなぁー。
     愚痴ってるの社長に知られたら即クビだし」


    「……あれ、誰ですかあなた?」

    チャリッ

    「おっ、それ社長の車の鍵……あぁ、新しく入った人ですね、あなたも」

    「いやぁ、最近この会社ってローテが激しくてねぇ。
     どんどん新しい人が入っては消えていくんですよ」

    「って、そんな事を愚痴ってもしょうがないっすよね、ハハハ」

    「あっ、社長の車はあっちの奥の方にあるんで、整備よろしくです」


    「……えっ? 一度、別の車の整備でここに来た事があるって?」

    「なんだ、出戻りだったんですか。へぇー、珍しいですね」

    「じゃあ、勝手は分かってるんですよね? よろしくお願いしまーす」


    ………………

    248 :

    社長の目が節穴すぎるww

    249 = 243 :

    >>248
    ある意味「純粋」なんだよ

    250 = 151 :

    ………………


    「うぅ、くそぉ……!」

    「女房も、息子も……皆、無くなっちまった……」


    「どうして……どうしてこんな事に……!」

    「ぐっ、う……うぅぅ……!!」ボロボロ…


    「……!? だ、誰だ!」


    「えっ……!? ど、どうしてそれを……」


    「……これが、パラコート………な、何でこんなものを俺に……?」

    「! ……フフフ、そうかなるほど……コイツを使えば、社会に復讐を……」


    「まずは黒井社長……それから、俺をハメやがった765のプロデューサーか……!」

    「えっ? ……あぁ、確かに、765プロの奴らをヤるのも楽しそうだなぁ」

    「ははは、なるほど。差出人を黒井社長に、コーヒーをね……アンタ、面白い人だねぇ」


    ………………


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