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    元スレ黒井「765のプロデューサーは静かに笑う」

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    151 :

    ~765プロ~

    伊織「ちょっとコレ、どういう事なのよ!!」

    小鳥「こんなデタラメな事が週刊誌に書かれるだなんて……」


    律子「どうしよう……プロデューサー、全然携帯に出てくれないわ」

    「そんなっ!」


    高木「詳細を確認しようと、961プロにも電話してみたが、ロクに取り合ってもらえん」

    高木「しつこく電話して、やっと繋がったと思ったら黒井のヤツ……
       「もう貴様らとは縁を切る、二度と話しかけるな」だそうだ」

    あずさ「ど、どうしてこんな事になったのでしょう……?」

    千早「それに、プロデューサーが961プロの秘書と密会を交わして、
       私腹を肥やしていただなんて……」


    春香「千早ちゃん……そんな事、あるわけないよ!!」

    千早「!? は、春香……」

    春香「プロデューサーさんは、いつだって私達の事、考えてくれてたよ!」

    春香「ううん、私達だけじゃないよ! 美希や響ちゃん、貴音さん!
       それに、ジュピターの皆だって!」

    春香「少しでも私達が楽しくお仕事ができるように、いつも忙しく動き回って、
       色々な人に頭下げて、明るく振舞っていたの、皆だって見てたでしょ!?」

    152 = 151 :

    雪歩「は、春香ちゃん……」

    やよい「う……うっうー! そうですよ、プロデューサーはいい人ですー!」

    亜美「そりゃそうっしょ! 兄ちゃんがそんな悪い事できるワケないよ!」

    千早「春香……ごめんなさい、私、あの人の事を疑うなんて…」

    春香「ううん、いいの。私も、偉そうな事言っちゃってごめんね」

    真美「で、でも、肝心の兄ちゃん、どこ……?」


    律子「………………」ガラッ

    律子「!? ……こ、コレって……!」

    小鳥「律子さん、どうしたんですか!?」

    高木「“退職願”………見せてみたまえ」

    カサッ…


    高木「………………」

    高木「……彼は、ここにはもう帰って来ないそうだ」

    一同「ええぇぇぇっ!?」

    高木「既に、マスコミから厳しい追及があったそうだ……
       このままでは、きっと皆にも迷惑を掛けてしまうだろうから、と……」

    律子「えっ……?」

    153 = 151 :

    高木「京都の、かつて実家があった場所の近くで、静かに暮らしたいと……」

    高木「お騒がせして、ご迷惑を掛けて申し訳無い、と……
       皆一人一人に宛てたコメントや、当面のレッスンメニューが示されているな」

    高木「何と、何故、こんな事を……」

    律子「貸して下さい!」バッ!

    律子「…………ッ!!」

    律子「……あの人、961プロとの合併を考えていたみたい。
       社長達には俺から説得するつもりだったが、それも出来なくなって本当にすまない、って……!」

    小鳥「まさか、このままじゃウチの経営が長く持たない事を、知ってて……?」


    高木「何という事だ……せっかく彼が流してきた汗が、無駄になったというのか……」

    伊織「こんなの、何で……お金くらい、私がどうにかするんだから……!」

    「……伊織が実家に頭を下げるのが、どんなに我慢ならない事か、分かってるだろ。
      伊織も、ボク達も、プロデューサーだって!」

    伊織「でも、アイツがいなくなるくらいなら、お父様やお兄様にお願いする事くらい!!」ボロボロ…

    「それじゃ意味が無いだろ! 水瀬家を見返してやるんじゃなかったのかよ!!」

    伊織「何よっ!!」

    「何だよっ!!」

    154 = 151 :

    雪歩「あ、あの、二人とも……!」

    伊織「雪歩は黙ってて!!」

    雪歩「……ううん、黙っていられないよ!」

    一同「!?」


    雪歩「あの……こんな所で、プロデューサーが今まで頑張ってきたことを、無駄にしたくないよ」

    雪歩「今、私達にできる事……一生懸命、やろう」

    雪歩「『アイドル・クラシック・トーナメント』って……
       ジュピターさんや、美希ちゃん達フェアリーが出てきて、すごく大変だし……」

    雪歩「できる事なら……961プロの皆とも、仲良く一番を取りたいけど、それができないなら……!」

    雪歩「せめて、プロデューサーが指示した通りにレッスンをして、オーディションに受かろう!」

    雪歩「あの人は間違ってなかったんだ、って、皆で頑張ってオーディションで伝える事が、
       せめてもの恩返しだって……!」


    雪歩「そ、そう、思います……ご、ごめんなさい……」

    一同「………………」

    155 = 151 :

    スッ…

    雪歩「ふぇっ?」

    あずさ「雪歩ちゃん……良く言ったわ」ニコッ


    真美「いよーし、いっちょやるっきゃないっしょ→!!」

    春香「えへへ、春香さんは最初からそのつもりですよー!!」

    「雪歩、ありがとう! ダンスならボクも皆に教えられるからさ、一緒に頑張ろうね!」

    律子「レッスンメニューを見ると、皆一人一人の長所を伸ばす事を考えているようね」

    伊織「誰かの弱点くらい、私達皆でカバーできるもの。まっ、アイツにしては妥当な判断ね」


    千早「とはいえ、迷惑は掛けられないわ。真、今度私のダンスレッスンに付き合って」

    亜美「またまたぁ、千早お姉ちゃん考えが固いってば。そう、この胸板のように」ペタペタ

    千早「んあぁ?」ゴゴゴ…

    真美「あっ、亜美死んだ」

    156 = 151 :

    律子「そうね……せめてプロデューサーの期待に応えられるよう、頑張らないとね!」

    小鳥「私、本番まで空いてるレッスンスタジオを片っ端から確保しておきます!」

    高木「ウム」


    高木(黒井と再び袂を分かったのは残念だが……こうなった以上、負ける訳にはいくまい)

    高木(黒井……このオーディションを通し、
       キミにも私達の考えを理解してもらえると良いのだが……)


    ………………

    157 = 150 :

    DEADENDしか見えないんですがそれは……

    158 :

    このPはどうやっても悪役臭がとれない

    ところで、961の秘書さん一人で可哀想なんですが救いはないんですか?

    159 = 151 :

    ………………


    「……くっ!」タンッ タタン…


    コーチ「我那覇さん、また同じ所! 焦りすぎてテンポがめちゃくちゃよ!」パン! パン!

    「うがーっ!! 分かってるぞ、もううるさいなぁ!!」

    貴音「響」

    「うっ! ……ご、ごめんなさい……」ペコリ

    コーチ「ううん、いいのよ」


    コーチ「……765プロの皆と会えなくなって、寂しいのね?」

    「………………」

    160 = 151 :

    「……自分、東京に来てから、貴音くらいしか友達いなくて……」

    「それが、美希や765プロの皆……ジュピターの冬馬達とも仲良くなれて、
      本当に嬉しくて……!」ジワァ…


    美希「響、泣いてもしょうがないの。黒井社長が決めたんだし」

    美希「ミキ達プロなんだから、やらなきゃいけない事はちゃんとやらなきゃ!」

    「わ、分かってるよぉっ! でもさー……皆と、レッスンしたいさー……」ポロポロ…

    貴音「響……」ギュゥ…

    「うええぇぇぇぇぇ……!」ボロボロ…


    貴音「貴女は、寂しくないのですか、美希」

    貴音「765プロと最も親交があったのは、貴女でしょう?」

    161 = 151 :

    美希「……寂しくないワケないの」

    美希「でも、ここで挫けちゃったら、ハニーに笑われちゃうし……」

    美希「頑張って、もっとテレビとかに出れたら、きっとハニーにも見てもらえるから!」

    美希「だから……今は、ミキ的にはガマン! ガマンの時なんだって思うな」


    貴音「……貴女は強い人ですね、美希。さすがは私達のりぃだぁです」

    美希「アハッ! それじゃあ先生、さっさとレッスン再開しよ?」

    コーチ「えぇ……そうね。ほら、我那覇さん! 辛いけど位置について」

    「えっぐ、ぐすっ…………うん!」ゴシゴシ!



    コーチ「はい、それじゃあ同じ所からサン、ハイ!
        1、2、3、4、1、2……」パン パン…

    162 = 151 :

    シャアアァァァァ…! キュッ

    ガチャッ

    「ふぃ~、今日も疲れたぞー」フキフキ…

    貴音「いよいよ特訓も大詰めですね」


    美希「それじゃあミキ、先に帰るね。お疲れ様なのー!」フリフリ

    貴音「あ、美希。よろしければこの後食事に……」

    「うん、バイバーイ!」フリフリ

    貴音「ひ、響……?」

    美希「じゃあねー!」フリフリ

    ガチャッ バタン



    「……自分、知ってるんさー。美希がレッスンの帰り道、途中の公園でいつも泣いてるの」

    貴音「…………」


    「美希が一番寂しいんさー。765のプロデューサーと一番仲良かったの、美希だもん」

    「でも、自分達には絶対弱音は吐かなくて……それなのに、自分、子供だよね。
      美希より二つも年上なのに……」

    163 = 151 :

    貴音「……私も、精進しなければなりませんね」

    「貴音は大丈夫さー」

    貴音「いいえ……」


    貴音「ですが……響、良く聞いて下さい」

    「ん、どうしたんだ?」


    貴音「765のプロデューサー……彼の動向には、くれぐれも注意して下さい」

    貴音「このまま、あの方が引き下がるとは思えません。
       いずれまた、私達の前に姿を現す時が、きっと来るでしょう」

    「そうだなー。早く戻ってきてくれると良いけど……」


    「あ、あれ、そういう意味じゃなかった?
      ……どうしたんさー貴音、何か目が怖いぞ……」


    貴音「………………」

    164 :

    渋澤さん…

    165 = 151 :

    ~翌日、961プロ~

    テクテク…

    「はいさーい! お姉さん、はいさい!」

    受付嬢G「あっ、我那覇響さんですね。おはようございます」ペコリ

    「あ、あれ? いつもの人じゃないぞ」

    受付嬢G「私は、今日からこちらに新しく入ることになりまして……」

    「ふぅーん……」


    バァンッ!

    「ひっ!?」ビクッ!



    社員A「お願いです! どうか、どうかクビだけは勘弁して下さいこの通りですっ!!」ガバッ!

    課長C「しょうがないだろう、社の方針なんだから! 私に付きまとわないでくれ!」

    社員A「俺もう行く所無いんですよ!
        それに、やっとおふくろにも孫の顔を見せられるって、そんな時にこんな……!!」

    課長C「すまないな……君の事をもっと評価してくれる会社に行きたまえ」

    社員A「課長、そんな!! 待って下さい、課長、課長ぉーっ!!!」

    166 :

    目的のために手段を選ばないのか…?
    目的は不明なようだけど

    167 :

    俺の思い通りにならない奴はみんな[ピーーー]

    じゃね?

    168 = 151 :

    「……あっちでも、リストラか………」


    コーチ「最近、多いのよ。急に社長の方針が変わったみたいで」

    「あっ、コーチ、はいさい。社長、どうしちゃったんだ?」

    コーチ「私にも分からないわ。
        でも、ちょっとでも他社と仲良くしてきた人は、即コレみたいね」チョキン

    コーチ「他社に媚びを売ったり売られたりして、社の品格を落とすものは許さない、ってさ」

    「品格って、そんな大事なモノなのか?
      皆で仲良く仕事できた方が、よっぽど楽しいのに……」

    コーチ「あっ、我那覇さん。今の、間違っても社長の前で言わないようにね。ほら来た」

    「うぇっ!?」ハッ!



    コツコツ…

    黒井「ブツブツ……ブツブツ……!」

    秘書「社長……お体が優れないようですが、大丈夫でしょうか? ご無理はしない方が…」

    黒井「くどい! 貴様などに言われずとも、自分で体調管理くらいできる!!」

    秘書「は、はっ! 申し訳ございません!」ペコッ

    黒井「それより、新しいコーヒーはどうした!?」

    169 :

    目的はマジで自分の王国つくることだったりな

    170 :

    展開予想はやめろとあれほど(ry

    171 :

    ああ、薬切れッスか…

    172 = 151 :

    秘書「はっ。先日同じものを調達し、本日の朝に淹れたものが、それだったのですが……」

    黒井「……何だとぉ~?」クルッ

    黒井「するとアレかね?
       キミは今朝、私が以前いつも飲んでいたコーヒーの味に気づかなかったとでも?」

    黒井「いつもと同じ豆で淹れたにも関わらず、
       それに気づかずに新しい豆を催促した私を鼻で笑う気だな?」

    秘書「えっ!? い、いえ、そんなっ! そのような事は決して!!」


    黒井「誰かこの女をつまみ出せ。あぁ、そこの貴様」

    部長B「は、はっ!」ビクッ!

    黒井「貴様の秘書を私によこせ。コーヒーを持たせてな」

    部長B「えっ?」

    秘書「しゃ、社長! 社長っ!!」

    黒服「どうかお引き取り願います」ガシッ!

    秘書「い、いや!! そんな、待ってぇ!!」ジタバタ!

    黒井「ブツブツ……ブツブツ……!」



    「め、目がヤバいぞ、社長……」ガタガタ…

    「どうなっちゃうんだ、この事務所……」

    173 = 151 :

    ~某スタジオ~

    やよい「ふえぇぇ、つ、つかれましたー……」ヘタッ…

    あずさ「ちょ、ちょっと……はぁ、はぁ、休憩……しましょう、ね?」

    律子「そうですね。本番も近いから、オーバーワークして体を壊してはいけないし」

    春香「あ、私飲み物買ってきます!」ダッ!

    「ボクも行くよ!」ダッ!

    ガチャッ バタン


    雪歩「春香ちゃんと真ちゃん、元気ですぅ……」

    伊織「あっちにはもっと元気な連中がいるけどね」

    亜美「ぢーがーれーだー!」ジタバタ
    真美「もううごぎだぐないー!」スイム スイム


    千早「ふ……くっ……!」タンッ タン…!

    律子「千早、あなたも休みなさい」

    千早「でも、今の感覚を忘れないうちに…」

    律子「いいから」

    千早「……えぇ、そうね」

    174 = 151 :

    テクテク…

    春香「あずささん、本当におしるこで良かったのかな?」

    「「運動の合間には、甘いものが良いと思うから~」って言ってたけど、
      さすがにおしるこは……うーん」

    春香「ま、まぁ一応言われた通り買ってはみたものの……」


    「あっ」ピタッ

    春香「えっ」ピタッ


    冬馬「……おう、久しぶりじゃねぇか」

    春香「と、冬馬君! どうしたの、こんな所で?」

    冬馬「いつもは961プロのスタジオ使うんだが……少し、足を伸ばしてみようと思ってな」

    「そうなんだ……何で今日は961プロのスタジオじゃなくて、こっちへ?」


    冬馬「いや、何つーか……最近あそこ、雰囲気悪くてよ」

    春香「えっ?」

    175 = 151 :

    テクテク…

    翔太「あ、冬馬君ここにいたの?」

    北斗「そろそろ練習再開するぞ、冬馬」

    冬馬「おう、今行く」


    北斗「あれ……おい冬馬、彼女達と話をしていたのか?」

    冬馬「うるせーな、ちょっとだけだよ」

    翔太「気をつけなよ。いくら僕達でも、いつ標的になるか分からないんだからね」

    冬馬「チッ、めんどくせぇな」


    春香「あ、あのー……標的、って、何の話?」

    冬馬「悪いがこっちの話だ。それに、お前らとこうして話すのも本当はタブーなんだよ」

    北斗「そういう事。本当に残念だけど、エンジェルちゃんまたね。チャオ☆」

    翔太「ごめんねー」フリフリ

    テクテク…

    176 = 151 :

    「……本当に、どうしちゃったんだろう」

    春香「北斗さん、真がいたのに全然話しかけてこなかったね」

    「いや、それは別にいいんだけどさ」


    テクテク…

    律子「どうも、961プロの中で大規模なリストラが起きているみたいね」

    春香「あっ、律子さん」

    「大規模なリストラ、って、どうして……えぇと、経営不振、なの?」

    律子「それがねぇ……私にも良く分からないわ」

    律子「いいえ、噂に聞くと、961プロの社員達自身も良く分かっていないみたいなのよ。
       どうやら、社長の機嫌を損ねた瞬間にアウトになるケースが大半らしいけどね」

    春香「えぇっ!?」


    春香「厳しそうな人だなぁとは思ってましたけど、そんな怖い人だったなんて……」

    律子「アイツは決して感情的に物事を推し進めることはしない、って……
       高木社長はそうおっしゃっていて、私もそう思うのだけれど…」


    「……元気かな、響」

    春香「うん……美希や貴音さんも、今頃どうしてるんだろう……」

    177 = 151 :

    ~路頭~

    元秘書「うぅ、くそぉ……!」フラフラ…

    元秘書「女房も、息子も……皆、無くなっちまった……」


    元秘書「どうして……どうしてこんな事に……!」ガクッ

    元秘書「ぐっ、う……うぅぅ……!!」ボロボロ…



    スッ…

    「………………」

    元秘書「……!? だ、誰だ!」


    「お困りのようですね」

    「あなたを苦しめているのは、黒井社長……そして、765プロ、でしょう?」

    元秘書「えっ……!?」


    「よろしければ、相談に乗ります」

    178 = 151 :

    ~961プロ~

    黒井「はぁ……はぁ………」

    黒井「うぐっ……!」ズズ…


    黒井「くそ……何だ、頭が痛む……」


    ガチャッ プルルルルルル…

    黒井「おい、依頼していた例の件、まだ分からないのか!?」

    黒井「……全く進んでいないだとぉ!? ふざけるんじゃあないっ!!」

    黒井「明日の朝までには上げてこい、いいなっ!!」

    ガチャン!


    黒井「はぁ、はぁ………!」

    黒井「あの男……結局何者だったのだ……」


    ガタッ

    黒井「ぐ、くっ……もっと、コーヒーを………!」フラフラ…

    黒井「くそ、おいっ! 誰かいないのか!!」

    黒井「おいっ!! ……ちっ、秘書め、逃げたな……」フラフラ…

    179 :

    なんとなく悪の教典を思い出すわ

    180 = 171 :

    おお怖い怖い

    181 = 151 :

    ~数日後、オーディション会場~

    五十嵐「すなわち!
        この『アイドル・クラシック・トーナメント』の覇者となった者こそが!」

    五十嵐「真のトップアイドルを決める歌番組、『アイドルアルティメイト』への
        出場権を得るのであります!」

    五十嵐「そして、ここに揃ったアイドルはいずれも今をときめくスターばかり!」

    五十嵐「それでもなお、合格できるのはただ1ユニットのみ!
        よって、私から皆さんにお願いしたい事は……!」

    五十嵐「どうかベストを尽くして下さい!!
        そして、会場にお集まりの皆様方も、彼らに精一杯の合いの手を入れて下さいますよう!!」

    五十嵐「どうか、よろしくお願いしますっ!!」

    ワアァァァァァァァァァァァァッ…!! パチパチパチ…!!


    高木「ウーム、さすがに大きな会場だねぇ」

    春香「お、大きすぎて、心臓飛び出しそう……」

    雪歩「はは、は、ははは春香ちゃん、おおおお茶をを……」ドバドバ…

    「雪歩、落ち着いて! めちゃくちゃこぼしてるよ!」

    小鳥「あっつ! お茶あっつ!!」

    182 = 151 :

    テクテク…

    「……あぁ~~っ!!」ダッ!

    やよい「あっ、響さぁーん!」フリフリ

    「やよいぃ~~!! 会いたかったぞぉ~~!!」ガシィッ! スリスリ…

    やよい「はわっ! ひ、響さんくるひぃ、苦しいですー!」


    美希「亜美と真美もおはようなのー! あっ、でーこちゃん!」ヒョコッ

    貴音「765プロの皆、ご無沙汰しております。伊織も、元気そうで何よりです」ニコッ

    伊織「ふん! そりゃそうよ。こっちはそっちと違って、練習も楽しくやってるもの」

    美希「……それもそうだね、アハッ!」

    あずさ「辛かったでしょうね……でも、今日は私達、負けてあげられないの」


    「あれっ? ひょっとして、皆でエントリーしたのか!?」

    亜美「んっふっふ~、そうだよん!」

    真美「名付けて、『765 ALL ST@RS』!
       めちゃパワーアップした真美達を見せちゃうからね→!」

    貴音「ゆにっと名は普通ですね」

    千早(わ、私が考えたのに……!)ガーン!

    春香(いや、途中『ゴンザレス』とか色々変なのあったからね?)

    183 = 151 :

    ザッ…

    冬馬「よぉ」

    春香「あっ、冬馬君! 北斗さんと翔太君も」

    北斗「チャオ☆ エンジェルちゃん達」

    翔太「皆も揃ってここに来たんだね」


    北斗「やぁ、愛しのエンジェルちゃん。この間はロクに話ができなくてごめんよ」ナデナデ

    「うわっ、来た! やめてよ、いいから触るなってば!」ブンブン!

    小鳥(ウホッ、久々のほくまこ……眼福ピヨッ!)グッ!

    「ていうか、いいの? ボク達と不用意に話すのは、危ないんじゃ……」

    千早「そうね。美希達も、私達に普通に話しかけてくれたけれど、良かったのかしら?」


    美希「うん……どうせ、もう関係無いの」

    冬馬「このオーディションに落ちたら、俺達どのみちクビにさせられるしな」

    律子「……何ですって?」


    コツッ…

    黒井「…………ゲホッ、ゲェホ! ……」

    高木「黒井……」

    184 :

    一体Pは何を盛ってたんですかねぇ(震え声

    185 = 151 :

    春香「く、黒井社長……顔色がすごく悪いですよ、大丈夫…」

    黒井「触るなっ!!」バシッ!

    春香「きゃあっ!」ドテッ

    「春香っ!!」


    黒井「フ、フフフ……いいか、貴様ら765プロなどというじゃくしょ……弱小事務所が……!」

    黒井「私の961プロに歯向かおうなど、笑止せ、千万なのだよ……ククッ……!」

    黒井「所詮、巨象はアリに踏み潰される運命……あ、違う、アリは巨象に……」

    黒井「……まぁいいか、どのみち貴様らは今日で終わりだ、ハハッ!」


    やよい「は、はわわわ……!」ガタガタ…

    伊織「この男……どうしちゃったのよ、これまでと別人じゃない……」

    律子(この変わりよう……最近の961プロの変な噂と、明らかに関係あるわね)


    高木「……黒井」

    黒井「? ……アァ~~、高木か? 相変わらずしょぼけた顔をしているなぁ?」

    高木「……キミの身に何が起きたのかは、敢えて聞かん」

    高木「だが、キミに負ける訳にはいかない……今日のキミを見て、改めて確信したよ」

    186 = 151 :

    黒井「……何だとこの野郎ぉっ!!」ガシィッ!

    雪歩「きゃああっ!!」

    冬馬「お、おいおっさん何してんだ! 止めろ!!」

    高木「…………」ユサユサ…

    北斗「冬馬! 黒井社長を引き離せ!!」ガシッ!


    黒井「はぁ、はぁ、はぁ……!!」


    高木「……今、キミが独りで苦しんでいるのを、私は友の一人として見過ごすことができない」

    高木「そして、宿敵であるキミの思想に、私は今日打ち勝たなくてはならない」


    高木「キミの友であり、宿敵として、今日はその責任を果たそう」

    高木「彼が我々に説いたように……皆が手を取り合い、協力し合う事の大切さを、
       このオーディション終了後には、キミにも分かってもらえることを願っているよ」

    黒井「はぁ………はぁ………」


    高木「お互い、体調には気をつけて。では、失礼する」スッ

    コツコツ…

    小鳥「あっ、社長」タタタ…

    187 = 151 :

    春香「じゃ、じゃあ……私達もこれで、ね?」

    美希「うん! 今日は、皆で頑張るの!」

    「よーし負けないぞ、響!」

    「ふふん、自分もさー!」

    貴音「三浦あずさ。貴女が手に持っている、その面妖な飲み物は一体……?」

    あずさ「うふふ、おしるこよ。
        このオーディション終わったら、貴音ちゃんにも買ってあげるわね」

    千早(おしるこを飲んでいれば、いつか私もあずささんのように…?)

    律子「ならないわよ」

    千早「な、何よいきなり……」

    テクテク…


    北斗「それじゃあ、お互い悔いは残さないようにね。チャオ☆」

    雪歩「あ、ありがとうございますぅ」ペコリ

    亜美「あまとう、今日はたぶんミスるんじゃないかな→」

    真美「ここ一番って時にお腹壊しそうだよね→、あまとう」

    冬馬「壊さねぇよ! ていうかあまとうって呼ぶな!」

    188 = 151 :

    やよい「翔太君も、バック転ばかりしてケガしないように注意しなきゃダメだよ」

    翔太「ヘーキヘーキ! 伊織ちゃんもしっかり見ててね、僕のダンス!」

    伊織「そっちこそ、この伊織ちゃんのステージが見られることに感謝しなさいよね!」

    ハハハハハハ…!

    テクテク…


    黒井「………………」


    黒井「フン……別にどうでも良い事よ……」

    黒井「961プロの理念が正しい事が、証明されればなぁ……フ、フフフ……!」

    黒井「グ……ウェホ、ゲホッ! ウ、フ……」

    フラフラ…

    189 = 151 :

    キャアアァァァァァァァァ…!!

    「こ! え! のー! とどかないめいろを こーえーてぇー!」

    「てーをーのばせたぁーらぁー」



    ワアアァァァァァァァァァ…!!

    「スーリルのない あいなんーてー」

    「きょーうみ あーるわけ なーいじゃーなーいー!」

    「わーかんーなーいーかーなー」



    ウオォァァァァァァァァァ…!!

    「アーユレディー! アイムレイディー! うたーを うったっおー!」

    「ひとつ ひとつー! えがおと なみーだはー ゆめにーなーるー エンタテイメーン!」

    190 = 151 :

    審査員「さぁ、いよいよ運命の合格発表だ」


    ドゥルルルルルルルルルル…

    審査員「ドキドキするだろ? 審査結果は……」


    ドゥルルルルルルルルルルルルルル… デデンッ!



    審査員「エントリーナンバー5番、『765 ALL ST@RS』の合格だ! おめでとう!」

    ワアアァァァァァァァァァァァァァァァ…!!! パチパチパチパチ…!



    春香「う、そ………か、勝っちゃった……!」

    一同「やったああぁぁぁぁぁぁーー!!!」バンザーイ!!

    191 = 151 :

    春香「律子さぁん! 私達……私達っ!!」ボロボロ…

    律子「えぇ、良く頑張ったわ。最高のパフォーマンスだったわよ」

    伊織「当然じゃない! この伊織ちゃんが、どれだけ……えぐ、うぅ……!」ボロボロ…

    あずさ「あらあら、伊織ちゃんが人前で泣くなんて……よしよし」ギューッ

    やよい「うっうー! みんなでつかんだ勝利ですー!!」


    美希「……やっぱり、敵わなかったの」パチパチ

    「うん、すごかったぞ! 自分達よりも完璧だったさー!」パチパチ

    貴音「真、素晴らしいすてぇじでした」パチパチ

    千早「えぇ……ありがとう、皆」


    冬馬「案の定、こうなっちまったか」

    翔太「まぁしょうがないんじゃない? 正直、聞いててすごくワクワクしたもん」

    北斗「そうだな、皆の連帯感が伝わってきたよ。君達こそ王者にふさわしい」パチパチ

    雪歩「ジュピターの皆さんも、お客さんすごく喜んでました……すごかったですぅ」

    「へへーん! でも、次にやる時だって負けないからね!」


    黒井「そ、そんな馬鹿なっ……!!」

    192 = 151 :

    黒井「こんなオーディションはインチキだ! 今すぐやり直せ!!」

    高木「…………」

    黒井「……あぁそうか、分かったぞ。高木、貴様さては関係者に金を……!!
       正々堂々と勝負しないとは、そうまでしてこの私を…!」


    冬馬「その辺にしとけよ、おっさん」

    黒井「何だ! あぁ、役に立たん負け犬共め、まだいたのか」

    美希「…………」

    黒井「何だその目は。慰めの言葉でも待っているのか?」


    黒井「泣きたいのはこっちの方だ! ハンッ!」

    黒井「今すぐにでも貴様らにかけた金と時間を返してほしいものだが、
       貴様らが視界に映ることの不愉快さに比べれば、もはやそれすらどうでも良い!」


    黒井「さっさと去れ! 二度と私にその顔を見せるな!!」

    193 = 151 :

    「だってさ。行こう、貴音、美希」スッ

    貴音「えぇ」スッ

    黒井「……何っ!?」

    美希「ミキ達、765プロに行くから。ジュピターもね。バイバイ」


    冬馬「もう、潮時ってヤツだな」

    翔太「クロちゃんには悪いけど、ここまでこじれちゃあね」

    北斗「正直、ついて行けないですよ」


    黒井「な、何だと……」


    高木「……という訳だ、黒井」

    高木「指導者とアイドル……
       その信頼を欠いたユニットが、満足なパフォーマンスを発揮できる事は無い」

    高木「彼らはそれに気づいた……次は、キミの番だ、黒井」


    黒井「……………………」

    194 = 151 :

    黒井「…………」

    黒井「ククク……そうか、そうまでして私を蹴落としたいというのか、高木……」

    黒井「つまらん甘言を使って私のアイドルを引き抜こうなどと……ゲホッ、ゲェホ!」


    黒井「グッ……フフ、良いだろう、貴様ら覚えておけよ」

    黒井「絶対に許さん……今に見ていろ」

    黒井「いつか必ず、この私に盾突いた事を後悔させてやるからな!!」


    高木「黒井……!」

    黒井「首を洗って、待っていろ、高木……! グッ、ウ、ゴホッ!」

    黒井「はぁ……はぁ……!」クルッ

    フラフラ…

    195 = 151 :

    小鳥「行っちゃいましたね……大丈夫かしら。すごく具合が悪そうだったけれど……」

    「うーん、せっかく勝ったのに、何か後味悪いなぁ」


    真美「ま、まぁまぁ! 過ぎた事はしょうがないんじゃない!?」

    亜美「そうそう、なーやんでも ちーかたない! 心技一体、頑張るっきゃないっしょ→!」

    貴音「双海亜美、それを言うなら“心機一転”では?」

    亜美「そうともゆう」


    コツッ…

    武田「高木さん」

    高木「おぉ、武田プロデューサーに、五十嵐局長。今日はどうもお世話様でした」

    五十嵐「先ほどの黒井社長、どうにもいつもと様子が違いましたな。
        あんな声を荒げるような人ではなかったのに」

    高木「ハハハ、見られていましたか。いや、お恥ずかしい」

    武田「すみません。盗み見するつもりは無かったのですが、つい……
       しかし、ともあれ合格おめでとうございます」

    高木「ありがとう。彼女達の努力の賜物ですよ」

    196 = 151 :

    「さーて、今日から自分達も念願の765プロの仲間入りさー! よろしくね、春香!」

    春香「うん! まさか、本当に一緒に活動できるなんて!」

    北斗「やれやれ、765プロに入った途端に元気だな、君は」

    「気取るなよー! 翔太達だって嬉しいだろー!?」ウリウリ

    翔太「そりゃそうだけど……あいたたた、肘が痛いって響ちゃん」

    美希「あふぅ、何だか疲れちゃったの。ミキ、ちょっとトイレに行ってくるね」テクテク…

    亜美「あっ、待ってミキミキ、亜美も行く→!」タタタ…


    高木「よし! 今日はキミ達を良い所へ招待しよう」

    真美「ホント、社長!?」

    冬馬「おいおい、手持ちがねぇぞ」

    高木「ハハハ、私がおごるに決まっているだろう。余計な気を遣わなくて良いよ」

    「やっりぃ~! すごいね雪歩、何をご馳走してくれるんだろう!?」

    雪歩「や、やっぱり焼肉かなぁ。えへへ」ニコニコ

    貴音「一度で良いから、ジォジォ苑なるお店の焼肉を味わってみたいと思っておりました」

    小鳥「ちょ、ちょっと貴音ちゃん、世の中には全品100円というありがたい居酒屋も…」

    伊織「いいからさっさと行きましょう。ずっとここにいてもしょうがないし」

    春香「それもそうだね。それじゃあ社長……って、あれ?」

    197 = 151 :

    高木「どうしたんだね?」

    春香「あ、いえ、美希と亜美がいないなーって」

    真美「亜美とミキミキはトイレだYO。もう少ししたら戻ってくるんじゃないかなー」


    あずさ「あら~。それじゃあ私もお手洗いに行ってこようかしら~」

    貴音「三浦あずさ。それよりも、私はおしるこに興味があるのですが」

    あずさ「あぁ、オーディション始まる前に話していたものね。
        良く覚えていたわねぇ貴音ちゃん、うふふ」

    律子「後でおしるこよりも美味しいものを食べるんだから、今日は我慢しなさい」

    貴音「秋月律子、貴女はいけずです……」シュン…

    あずさ「まぁまぁ、律子さんの言う通り、しばらくここで待っていましょう、ねっ?」ニコッ

    198 = 151 :

    ~トイレ~

    ジャアァァァァァ… ガチャッ

    美希「あふぅ……あれ、亜美ー、まだー?」


    亜美「ふんぬぬぬぬ……!」

    美希「えっ? もしかして、大きい方?」

    亜美「ミキミキ、そいつは言っちゃあイケナイぜ。
       ふんぐぅぅ~、燃え上がれ亜美のコスモぉ~~……!」

    美希「そ、そう……じゃあ、先に行ってるの」

    ジャ-… フキフキ…


    ガチャッ

    美希「えぇと、確かこっちだったよね? 広いから迷子になりそ……」

    ガバッ!

    美希「!? きゃっ……うぐっ!?」


    美希「!! ……! ~~~~~ッ!!!」ジタバタ…!



    亜美「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー……」

    199 = 151 :

    チクタク… チクタク…

    やよい「うぅ~~ん……」

    千早「遅いわね……」

    冬馬「迷子になってんじゃねぇのか?」

    真美「ちょっと、亜美の携帯にかけてみるね」


    ダダダ…

    真美「あっ、亜美帰ってきた」


    亜美「あれっ、ミキミキは!?」

    「まだ帰ってきてないぞ?」

    亜美「うあうあー! どこ行っちゃったんだろう!?」

    伊織「えっ、本当に迷子になっちゃったの?」



    「……ダメだ。電源が切れてるか電波が届かない所にいる、って」

    あずさ「で、電池が切れてしまったのかしら~?」オロオロ…

    律子「ちょっと心配ね……手分けして探してみましょう」

    200 = 151 :

    冬馬「で、どこにもいない、と……」

    亜美「も、もしかして……誘拐、だったりして……」

    伊織「縁起でもないこと言ってんじゃないわよ」

    「でも、いくらマイペースな美希でも、
      いきなり携帯の電源切ってどこか行くなんて事しないと思うぞ」

    雪歩「それはそうだけど……じゃあ、どうしてかなぁ……」


    高木「……すまない、キミ達。先ほどの話は無しにしよう」

    高木「今日はもう家に帰りたまえ。
       私と音無君、律子君で事務所に待機し、美希君の帰りを待ってみることにしよう」

    春香「あっ! それじゃあ私も残りますよ!」

    「ボクも!」

    貴音「私達も残りましょう。同じゆにっとの仲間なのですから」

    「うん! なんくるないさー!」

    北斗「女性を危ない目に遭わせる訳にはいかないですから、俺達も事務所に行きます」


    高木「……すまないね、キミ達」

    高木(嬉しい事だ……彼が説いた団結力が、こういう面でも生きている)



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