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元スレ八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」
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トレーナー「それじゃ、まず始めにストレッチをしますので、二人一組になってくださーい」
八幡「なん……だと……!?」
思わず漏れた俺の呟きもなんのその、モブドルたちは「はーい」と何の気無しにペアを作り始める。
まさか、ここであの必殺“二人組作ってー”を発動するとは……!
トレーナーさん、恐ろしい子……!
俺が当事者だったと思うとぞっとする。しかし、今問題なのは、現在進行形でぞっとしている奴がいるという事だ。
輝子「……ッ!」カタカタ
き、キノ子ォォォオオオオッ!!!!
戦慄の表情で動けずにいる輝子。もはや笑う事すら出来てねぇぞ!
やばい。俺もアイツもぼっちだからこそ分かるのだ。
今どれだけ自分が不味い状況にいるのかが。
待て、落ち着くんだ。koolになれ比企谷八幡。
そうだ。今この場には、もう一人の担当アイドルがいるじゃないか!
「ねぇ、あたしと組まない?」
凛「え? で、でも……」チラッ
「いいからいいから!」
凛「ちょ、ちょっと……!」
モブドルゥゥゥウウウウッ!!??
どこぞの誰かも分からないモブドルに凛が引っ張られて行ってしまった。
くそっ! この世に神はいないってのか! ちひろの目にも涙ってのは嘘だったのかよ!
輝子「……っあ…」
すがるように凛を目で追う輝子。
もうやめてくれよ、輝子のHPはとっくにゼロだよ……
つーか、自分がそういう立場になるのは勿論キツいけど、知り合いがなってる場面見るのも大分堪えるなオイ……
八幡「……チッ」
もう殆どペアは出来ている。見るに、余った奴は居なさそうだ。輝子を除いて。
……仕方ねぇ、ここはアレしかねぇか。
題して“先生と一緒”作戦(今回の場合はトレーナーさんにあたる)。
いや、ただ単に先生とペアを組むって事なんだけどね。しかも作戦と言っておきながら、結局こうならざるをえないのだが。先生と組むって、生徒には酷過ぎるでしょ……
どうせ輝子には一人余った事を告げる勇気は無いので、俺がトレーナーさんに言ってやる事にする。
気づかれるのを待ってたらまた怒られそうだしな。
トレーナー「それじゃあ私たちはお手本として、前でやるから…」
ルーキー「ふむふむ…」
ルキトレさァァァアアアアんッ!!!???
なんてこった、まさかの先生役までいないとは……!
これは、詰んだ。詰みと言わざるをえない。
見ると、輝子は動けずにじっとしたままだ。
八幡「……」
普段の俺なら、見限っていた。もう出来る事は無いと、見放していただろう。
これがぼっちの宿命。
一人でいるのは楽だ。しかし、生き辛い。
受け入れるしかない。
普段の俺なら、そう言っていただろう。
しかし、ホントに残念な事に……
臨時とはいえ、俺は、アイツのプロデューサーなんだよな。
八幡「……仕方ねぇか」
俺はジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを解く。
輝子「……は、八幡…?」
近づいて来た俺に、不思議そうな声を出す輝子。
八幡「俺が組んでやる」
輝子「……え…?」
八幡「ぼっちはぼっち同士、俺が組んでやるって言ったんだよ」
ひとりぼっちは、寂しいもんな。
凛「いやダメだから」
ダメだった。
凛「プロデューサーが組んでどうするの。アイドルでも目指すつもり?」
八幡「うぐっ……しょうがないだろペアがいないんだから」
凛「だからって、女の子とペア組んでストレッチとか、セクハラって言われて仕方ないよ?」
呆れたように冷たい視線を送ってくる凛。
ふえぇ……凛に雪ノ下が取り憑いてるよぉ……
凛「まぁ冗談はこの辺にして」
八幡「冗談だったのか……」
絶対本心だったろ。
凛「プロデューサーの心遣いは分かるけど、やっぱり問題あると思うしさ。私が組むよ」
輝子「えっ……?」
八幡「いやでも、お前さっきの子はどうしたんだよ」
さっきの無理矢理連れて行ったモブ子。いやモブドルか。どっちでもいいね。
凛「うん。さっきの子には事情を説明して、分かれてきた。他のペアに入れてもらって三人でやるってさ」
なるほど、三人でやるっていう手もあったのか。
長い事ぼっちをやって来たが、いつも“先生と一緒”作戦か“仮病で見学”作戦しかしてなかったからな。もう作戦でもなんでもないが。
しかしそれならば、輝子がどこかのペアに入れてもらうという手もあったはずだ。おそらく、凛が輝子に気を遣ったのだろう。こっちの方が輝子の気が楽だと。
輝子「ど、どうして……そこまで…?」
心底不思議そうに訪ねる輝子。
その気持ちは、同じぼっちの俺としてもよく分かる。
凛「どうして?」
今度は、凛の方が心底不思議そうに言葉を返す。
凛「組みたかったから、だけじゃダメなの?」
輝子「……ッ…!」
……相変わらず、コイツは真っ直ぐだな。
思った事は言うし、思った事は曲げない。
そこが凛の魅力なんだろうな。思わず惚れそうだ。
こんなぼっちの自分に、嫌な素振りも見せず話しかけてくれる、バカっぽい明るい少女。
そんなとあるクラスメイトを思い出した。
凛「ほら、早くしないとレッスン始まるよ」
輝子「……り、凛ちゃん……」
凛「何?」
輝子はいつかと同じように、躊躇い、意を決し、言葉を紡いだ。
輝子「わ、わたしと……友達に、なってくれませんか……?」
凛「……何それ。傷つくんだけど」
輝子「……ッ」ビクッ
凛の答えに、怯えるように俯く輝子。
それに対し凛はーー
凛「私は、もう友達だと思ってたよ?」
輝子「……え…?」
凛は、心からの本心を言葉にしていた。
凛「ほら、行こ輝子」
手を引っ張る凛。
輝子は、俯いていた顔を上げ、戸惑いの表情を浮かべ、
輝子「…っ…うん……フフ……」
心から、笑っていた。
八幡「……ったく」
二人でレッスンに向かうその姿を見て、苦笑混じりにため息を吐く。
ちょっとだけ寂しい気分になったのは、秘密である。
× × ×
八幡「まぁそんなわけで、無事レッスンを終える事が出来たわけです」
回想、終了。
ちひろ「良かったじゃないですか! ちゃんとレッスンも出来て、仲も深まって!」
まぁ確かにその通りだ。その後のレッスンも順調にこなしていったし、大きな失敗も無かった。大成功とも言えるだろう。
……言えるんだが。
ちひろ「で、なんでそんなにやつれてるんです?」
そこである。
八幡「いえね。さっきレッスンが無事終わったら、焼き肉に行くって言ったじゃないですか」
ちひろ「あぁ、そういえば言ってましたね。キノコも食べられるとか……」
そう。行ってきた。
行ってきた結果……
八幡「食べ過ぎました……」
凛「もう、キノコは食べたくない……」
輝子「フ、フヒヒ……まんまん満足……」
ちひろ「そこっ!?」
もう当分はキノコはいいや……
見たくもない。すぐ足下にあるけど。
ちひろ「いやいやいや、レッスンじゃなくてそこでヤラレたんですか!?」
八幡「食べ放題だったんですけど、輝子が尋常じゃない量のキノコ(+野菜)を頼みまして……」
それの消費を手伝ったというわけだ。焼き肉の食べ放題なのに、明らかキノコのが食ってたぞ。
凛「しかも食べ残すと、料金が発生しちゃうお店だったから……」
ちひろ「注文した時には既に遅し、と」
八幡「そういう事です」
輝子「お、お持ち帰り出来なかったのが、残念……」
あれだけ食ってまだ食うのかコイツは。いいのそんなに友達食べちゃって?
輝子「り、凛ちゃん、また……一緒に食べに行こう…?」
凛「うっ……プロデューサー……」
そんな目で俺を見るな。俺にはどうしてやる事も出来ん。
しかしこうして見ていると、凛が輝子の頼みを断れないとことか、は雪ノ下と由比ヶ浜に少し似ているな。
微笑ましいな。見ている分には。
ちひろ「折角レッスンしたのに、勿体無いですねぇ……」
八幡「言わんでください」
そこが一番突いてほしくない所だ。こりゃ当分はレッスン漬けだな。
しかし俺がそんあ風に考えていると、ちひろさんは呆れ顔から一転、笑顔になる。
ちひろ「しかしそんな比企谷くんたちに、朗報があります」
八幡「朗報?」
凛・輝子「「?」」
ちひろ「じゃじゃーん! これです!」
ちひろさんが差し出してきた一枚の紙。というか書類には、こう書いてあった。
八幡「『○○会社のイメージタレント募集オーディション』……って」
凛・輝子「「オーディションっ!?」」
……どうなる事やら。
ということで今回はここまで!
たぶん次回でキノ子編はラストです。と言ってもその後もちょくちょく登場はすると思いますが。
たぶん次回でキノ子編はラストです。と言ってもその後もちょくちょく登場はすると思いますが。
きの子ちゃん、ちょっと本性が見えてたな。
八幡はそこに気付けてるか?
乙。
八幡はそこに気付けてるか?
乙。
凛が可愛すぎてヤバい
焼き肉に誘ってもらうとことかもうほんとヤバい
焼き肉に誘ってもらうとことかもうほんとヤバい
乙
ああ、もうキノ子ちゃんに片鱗が……
凛はなんつーかいじらしいな、すごい可愛い
二人組作ってーで一人余ってるのにそのままトレーナー同士で組んじゃうトレーナー2人にはちょっと怒りが……
ああ、もうキノ子ちゃんに片鱗が……
凛はなんつーかいじらしいな、すごい可愛い
二人組作ってーで一人余ってるのにそのままトレーナー同士で組んじゃうトレーナー2人にはちょっと怒りが……
乙!
なんだよヒキタニくん焼肉誘えるとか全然ぼっちじゃねーじゃん!
なんだよヒキタニくん焼肉誘えるとか全然ぼっちじゃねーじゃん!
ヒキタニくん別にコミュ障なわけじゃないんだよなww
暑いよねって言われて蒸し暑いよねって返して実は自分に話しかけてたわけじゃないというぼっち
暑いよねって言われて蒸し暑いよねって返して実は自分に話しかけてたわけじゃないというぼっち
ちひろさんが顧問、八幡がちょっとひねくれた部長、凛が真面目だけど経験不足な部員というか助手だな。
>>578
やめろ……やめてくれ……
やめろ……やめてくれ……
横断歩道の向かい側から女子高生がひさしぶりーーー!!!って手を振りながら近づいてきたのに合わせて俺を見てたから自分のことかと思ってこっちも手を振り替えしたらあああああああああああああああああああああqwwせdrftgyふじこlp;@
自分と同じ名前の奴だって分かってるのに呼ばれるとどうしても反応してしまう
こうやって続きが投下されると平和だな。
みんな続きに飢えてるんだなって思うわ。
みんな続きに飢えてるんだなって思うわ。
遅くなりました、今夜は投下したいと思います! ただ日付は変わるかと。
あとキノ子編まだ終わらないです。次回かな?
あとキノ子編まだ終わらないです。次回かな?
めっちゃ遅くなりましたが、そろそろ投下したいと思います!
最初に言っておくと今回は若干俺ガイル側です。
……人おる?
最初に言っておくと今回は若干俺ガイル側です。
……人おる?
*
小学生の時の話だ。
当時はまだぼっちなんて言葉を知らなくて、一人ぼっちだった時の話だ。
小学生の頃の事など、もうあまり覚えちゃいないが、いくつか覚えている事がある。
……まぁ、ほぼ嫌な思い出なんだけどな。
けどその時の事は別にトラウマでもなんでもなく、ただ、なんとなく覚えていた。
小学生の頃俺は、当時通っていた小学校まで徒歩で通学していた。
別に珍しい事でもない。むしろ割合としては一番多い通学方法だろう。
まぁ、今はモンスターペアレントなんてのもいるらしいし、車で送る家庭も増えているのかもしれないが。
とにかく。俺は当時徒歩通学であった。
別に特別遠いわけでも、めちゃくちゃ近かったわけでもない。至って普通の、小学生が歩いていける距離。
そんな通学路で、ある一カ所。横断歩道があった。
もちろん横断歩道なんていくらでもある。通学路にも当然いくつかあった。
しかしその横断歩道はあまり車の通らない路地にあり、ほぼあって無いようなもの。
誰しもが思った事があるであろう、「ここ、信号必要なの?」という交差点。
そこの横断歩道であった。
ここで繰り返すが、俺は当時小学生であった。正直学年はあやふやだ。
しかし当時の俺たちは、純真無垢な子供から、思春期の少年少女へと変わりつつあったのだ。
成長とは、何も良い事だけではない。
得るものは何も、良い事ばかりではないのだ。
この時、この横断歩道を通る小学生。
いつからだろうか。
車が通らないなら、と。小学生が信号を待たなくなったのは。
別に命に関わるような問題でもない。
確かにそこの交差点は車の通りがほとんど無いし、実際小学校を卒業するまで、事故なんてものも聞いた事が無かった。
その小学生たちだって、他の横断歩道では信号が青になるのを待つだろう。
けれど。いつからか小学生は、信号を無視するようになったのだ。
俺はその当時も一人ぼっちであった。
小町が通うようになるまで、俺は一人で通学していた。
そんな時、ある光景を見たんだ。
3人~4人の集団下校する同級生たち。
見かけたのは例の横断歩道。別に車は通っていない。
楽しそうに騒ぎながら、話しながら渡っていく小学生たち。信号は赤。
その中で、一人だけ躊躇う少年がいた。
他が気にせず渡っていく中、その少年は躊躇した。
けれど、それも一瞬の事だった。
赤信号、皆で渡れば怖くない、ってか。
俺はその言葉を、何年後かに知る事になるが……正直、嫌いな言葉だ。
当時の俺は、信号を待たずに渡った“皆”よりも。
“皆”がやるなら、と自分を曲げた少年の方が、
カッコ悪いと、思ってしまったのだ。
しかし、言ってしまえばたったそれだけの事。
今そんな光景を見た所で何とも思わないし、気にも留めないだろう。
けど、何故かその時の事は覚えている。
……そういえば、律儀に信号待ってたら、女子に「何アイツ、あんな所で一人で突っ立って……キモっ」って言われた事があったな。
八幡「……やっぱ嫌な思い出じゃねーか。何トラウマ思い出してんだ、俺……」
早朝6時。
割と最悪な目覚めであった。
*
小町「ふーん。また懐かしい夢を見たねお兄ちゃん」
眼前におわすは我が妹、小町。
そして眼前に並ぶは我が妹の手料理の、朝食。
……ふむ。良い朝だ。
そんな風に目覚めの悪さを癒す朝。
例のオーディションを告げられた翌日である。
基本的にうちの親は家をあける事が多いので、こうして小町の手料理を頂く事も少なくない。その点は感謝だな。自分で作らなきゃならん時は面倒だが。
八幡「まぁな。またいらんトラウマを思い出してしまった」
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