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    元スレエレン「ま、やれるだけやるさ」

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    201 :

    やったぞ!

    202 = 198 :

    ブーツが床を打つ音がする。

    リヴァイは自分の息遣いが響くのをじっと聞いていた。

    静寂。

    「……なあエレンよ」

    視線を上げる――天井に蜘蛛のように張り付き、こちらをじっと窺っている男が一人。

    まだ少年とも言えるあどけない顔つきだ。

    「お前がなぜあの時、あれほどの力を発揮したのか、俺は知らん。見てもいないのに分かるはずがない」

    ただな、と両手のブレードを構える。

    「力がないお前は、ただの兵士だ。だから、俺でも簡単に勝てる」

    「――ッ!!」

    脚力と重力加速を乗せた爆発的な加速が、少年を真下へ突撃させた。

    ただの少しも動揺することなく、リヴァイは――

    203 = 198 :

    「はい兵長の3勝目」

    「どうしてお前が兵長に勝てないか教えてやろうか? お前がまだ兵長の領域に届いていないからだ」

    「うぐっ……」

    そこは、調査兵団本部の中でも隔離された部屋だった。


    人類の刃として戦うことを許された者は、誰しもが守りたいものを持つ。

    街を守る者は駐屯兵団に、生活や家を守る者は憲兵団に。

    では調査兵団に入るものは、何を守るのか。

    人類の尊厳だと、ある兵士は言った。

    子供のころからの夢だと、一人の兵士が言った。



    ではエレン・イェーガーは。

    この隔離室で、ごく一部の人間とのみ面会を許された半人間は。

    いったい何を守ろうというのか。

    204 = 198 :

    「……」

    部下が淹れた紅茶を啜る。

    「兵長、今日の訓練はどうでした?」

    「……やる側もやられる側も、やる意味を感じていないんだ。有意義になんぞなるはずがない」

    巨人との戦いにおいて、なぜあのような狭苦しい空間での戦闘を想定しているのか。

    このメニューを組んだ上層部の思惑は二つほど。


    まず一つ目は、エレン・イェーガーを外に出さないこと。

    現在は兵士長のリヴァイと彼直属の部下、それに調査兵団団長のエルヴィン以外で、エレンと面会できるものはいない。

    それはもちろん104期生も当然である。


    そして二つ目は、いざという時にエレン・イェーガーを殺せるよう、リヴァイに手馴れさせておくこと。

    実際のところ、立体機動はともかく、室内での白兵戦ならリヴァイの全勝ではある。



    (とはいえ、三回目にして俺に傷をつけやがった)

    真っ二つになったブレードと、引きちぎられたスカーフ。

    それらの替えを調達するのを、リヴァイは眉間を揉みながら先送りにした。

    205 :

    ずっとずっと>>1クンのこと、待ってたんだからぁ!

    206 = 198 :

    「おい小僧、兵長にちょっと当てたからっていい気になるなよ?」

    「や、そんな調子乗ってないですって俺。むしろ偶然過ぎるし神様万々歳って感じですし」

    「おおいオルオ、新人君が鬼強いからって苛めすぎじゃないか?」

    一方、エレンに割り当てられた部屋。

    鎖で体を縛っても勝手に引きちぎってしまうので、諦めてエレンはもう部屋の中に放っておくことにした、らしい。

    本人としてはそもそも抵抗の意思がないので無駄なことをされても気分が悪いのだが。

    「それにしてもイェーガー君、同期と会えないのは、つらくないかい?」

    リヴァイ班の一人、グンタが何気なく言葉を発した。

    「……ッ、そうですね。少し、寂しいです」

    薄っぺらい笑顔を貼り付ける。ハンジから聞かされた、憲兵団によるこの少年への実験内容。

    人知を超える苦痛だっただろう。

    その結果、憲兵団が何を得たのか――否、

    207 = 198 :




    エレン・イェーガーから何を奪ったのかは、何人たりとも知る由もない。


    208 = 198 :

    「うーんこの立体機動装置、絶対使えないと思ってたんだけどなあ」

    調査兵団の訓練用グラウンド。

    分隊長ハンジ・ゾエはゴーグルを引っ掛けたり外したりしながら、目の前の光景を見つめていた。

    あのエレンとかいう少年は憲兵団によって壊されてしまったので、ひとまず直るまでは楽しみとしてとっておくことにする。

    問題は、彼の同期である、新たな兵士たちだ。

    「マルコォ! 引導を渡してやるよ!!」

    「そろそろ突っ込んでくるな……サシャ、正面からジャンを押さえて。そろそろこっちも隠し玉だ、覚悟しろよジャン!」

    障害物を設置しての、立体機動装置に模擬刀を使っての演習訓練。

    5対5のチーム戦で行うそれは、巨人との戦闘というより、対人戦闘を強く意識していることを隠しもしない訓練。

    他の団員たちも興味深そうにそれを見ていた。

    「」

    209 = 198 :

    ジャンが率いるのは、コニー、ライナー、ユミル、サムエル。

    対するマルコの組は、サシャ、ベルトルト、トーマス、そしてクリスタ。

    脱落している、戦闘不能判定を受けたのはユミルとサムエル、ベルトルトにトーマスだ。

    数だけなら互角だが、ジャンはまだコニーにライナーという強力な手札を残している。

    ジャン「っし、ライナーもコニーも小細工する必要はねえ、今は思いっきり突っ込むときだ!」

    コニー「おう!」

    ライナー「サシャは任せたぞ、俺はマルコを狙う!」

    このゲームの勝敗は単純で、相手のチームの王を戦闘不能にすればよい。

    ライナー「終わりだなマルコ!」

    マルコ「……それはどうかな?」

    不適な笑み。

    一対一なら当然ライナーが勝つ。

    だがしかし――マルコの勝利条件は、今このタイミングで、ライナーもコニーもジャンの傍にいないことだった。

    210 = 198 :

    ジャン「ん?」

    斜め後ろ、茂みからアンカーが射出される。

    残っている人間はクリスタか――と考えたところで、違和感。

    彼女は片腕で、どう戦うんだ?

    確かに自ら参加を申し出てはいたが、みんなは注意も払わなかった。戦えるはずがないのだ。

    しかし、現実が、執念が、ジャンの眼前に躍り出る。


    クリスタ「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」


    視認できたのは、風を切る金髪と、片手にのみ握られた剣。

    211 = 198 :



    え待って待ってなんでいきなり台本形式にしてんの俺

    >>209>>210は読み飛ばしてください。

    212 = 198 :

    ジャンが率いるのは、コニー、ライナー、ユミル、サムエル。

    対するマルコの組は、サシャ、ベルトルト、トーマス、そしてクリスタ。

    脱落している、戦闘不能判定を受けたのはユミルとサムエル、ベルトルトにトーマスだ。

    数だけなら互角だが、ジャンはまだコニーにライナーという強力な手札を残している。

    「っし、ライナーもコニーも小細工する必要はねえ、今は思いっきり突っ込むときだ!」

    戦力差を確認し、ジャンはぎらりと瞳に光を宿した。

    スチールの刃で目標を指す。

    「おう!」

    「コニー、サシャは任せたぞ、俺はマルコを狙う!」

    ライナーとコニーは二手に分かれた。

    このゲームの勝敗は単純で、相手のチームの王を戦闘不能にすればよい。

    どうやらコニーが残ったサシャを押さえている間に、ライナーが敵の王であるマルコを仕留める作戦のようだ。

    「終わりだなマルコ!」

    「……それはどうかな?」

    不適な笑み。

    一対一なら当然ライナーが勝つ。

    だがしかし――マルコの勝利条件は、今このタイミングで、ライナーもコニーもジャンの傍にいないことだった。

    213 = 198 :

    「ん?」

    ジャンはふと悪寒に背を震わせた。

    斜め後ろ、茂みからアンカーが射出される。

    残っている人間はクリスタか――と考えたところで、違和感。

    彼女は片腕で、どう戦うんだ?

    確かに自ら参加を申し出てはいたが、みんなは注意も払わなかった。戦えるはずがないのだ。

    柄を握り締めるは戦女神。

    しかし、現実が、執念が、ジャンの眼前に躍り出る。


    「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」


    視認できたのは、風を切る金髪と、片手にのみ握られた剣。

    214 = 198 :

    「うおっ!?」

    両手のブレードを交差させガード。一撃を防がれ、クリスタは素早く後退。

    追いすがろうとしたジャンは、改めて彼女の様子を確認して絶句した。

    たなびくジャケットの片袖はいつもどおり。

    健在する右手に握った剣が、おかしな形をしている。

    立体機動装置を扱うトリガーが、一本の剣に四つついているのだ。

    (こいつ……ッ!? 片手でやろうってのか!?)

    「まだ慣れてないけど、対人戦ならこういう戦い方もできる」

    クリスタがアンカーを再び射出。狙いはジャンの真横スレスレ。これは立派な攻撃だ。

    「落ちてよ」

    冷たい、しかし奥底には煉獄の炎をたたえた双眸が、ジャンの瞳を射抜いた。


    衝撃。

    墜落。

    215 :

    クリスタカッコよすぎ濡れた

    216 = 198 :

    (うわぁ、本当に使ってる)

    想像以上の機動性にハンジは舌を巻いた。

    クリスタのなめらかな指の動きと、それに不釣り合いな重厚な駆動音に鼓膜を揺らしつつ、ハンジは技術班が手を加えたという新型の立体機動装置を見やった。

    基本的な原理も出力も変わらない、大きく違うのは、アンカー射出トリガーの役割を果たしていた剣を一本に減らしたこと。

    そして操作体系を簡略化し、射出トリガーをすべて一本の剣に集約させたことだ。

    無論それの操作には、想像を絶するほどの技量と練熟が必要となる。

    だがクリスタ・レンズは。

    「どう動かせばわかるの。なんでかは分からないけど」

    あの日以来、何かの歯車が欠けてしまった彼女は、その装置を自らの手足のように操っている。

    217 :

    自分を完璧に支配したか…

    218 = 198 :

    地面に仰向けに倒れたジャン。

    その上に、ちょうど彼の胴をまたぐような格好で仁王立ちしているクリスタ。

    勝敗は明らかだった。

    「ってぇ……隠し玉にもほどがあんだろ、オイ」

    「ジャンは周りを冷静に見ることができる。だから私は限界まで潜んでいた。早めに出ていたら、きっとジャンは私もどうにかしていたはずだから」

    褒められているのか、これは。

    少し意外だった。

    他のメンバーも続々と集まっている。

    「じゃあ反省会始めよっか。クリスタ、もうどいていいよ」

    「了解」

    クリスタがブレードを収め、ジャンはあぐらをかいて座り込んだ。

    219 :

    遂にきたか

    220 = 198 :

    そもそも彼らがなぜこのような訓練をしているのか。

    理由は、ただひとつであった。



    もし人類がエレンを排除しようとするのなら。

    そのときは、自分たちがエレンを守ろう――――

    221 = 200 :

    これミカサ憑依してね?

    222 = 198 :

    ひとまず今日はここまで。
    待っていてくださった方々、ありがとうございます。
    今のうちに注意しときます、中二汚染数値がどんどん跳ね上がっていきます。
    多分後半戦になるとオリジナルの敵も出さざるを得ないので、ご了承ください。

    セリフの前にキャラの名前入れたほうがいいかな?
    最初のころと今とで書き方ブレすぎて残像が……

    223 :

    乙でした

    224 = 201 :

    どっちでも面白いから問題ないです

    226 = 200 :

    乙でした
    まあ名前入れたほうが読みやすいけど自分の好みで問題ないと思います

    227 :

    来てたぁ!!
    待ってましたよ!

    228 :

    エレンを守りたいというミカサの亡霊にとりつかれたか…

    229 :

    クリスタにガッツみたいなギミック付きの義手つけたくなるな
    進撃世界なら小型大砲やボウガンよりも立体機動関連か単純にブレードを装填できるものになるだろうが

    231 :

    ブレード一本じゃうなじ削げないよな………と思ったけど、リヴァイみたいに回転して、二回斬りつければ削げるのかな

    233 :

    能力的にも喋り方的にもミカサinクリスタ状態

    234 :

    まさか本篇があんな展開になろうとはな

    235 :

    >>234
    ネタバレ嫌いな人もいるのでssスレでのそういう発言はご遠慮くださーい

    どうしても話したいならネタバレスレか本スレへ。

    236 :

    >>234
    まさか俺がクリスタと結婚する事になろうとは

    237 :

    >>236
    キモゴリラ、妄想はほどほどにしとけ

    238 :

    まさか僕がアニと結婚することになるとは

    239 :

    >>238
    ストーカーはゴリラと戯れてろ

    240 :

    高い中にひとつだけ低コンマとか使えないな

    242 :

    再開します。
    とりあえず名前は入れる方向で。

    >>クリスタ
    まあご想像にお任せするけど、進撃の世界観にあまり合わない設定というかオチになるかも。
    ガッツギミックはマジで悩んだけど「片手のビハインドをものともしない、人知を超えたバランス感覚……ッ!」ってクリスタTUEEEEしたいから隻腕状態のままで行きますわ。

    243 = 242 :

    エレン「ん?」

    ジャン「うおっ」

    珍しく割り当てられた自由時間。

    もちろん監視役としてエルドとグンタの二人が後ろからついてきているが、比較的自由に出歩ける貴重な時間。

    顔を洗うべく井戸まで繰り出そうとして、エレンは思わぬ遭遇を果たした。

    エレン「よぉ。最近訓練がんばってるみたいじゃねえか。窓から見えてんぞ」

    ジャン「あ、ああ。は……え?」

    エレン「じゃーな」

    時間がもったいない。ひとまずエレンは歩みを始めた。

    ジャン「ちょっと待てや」

    エレン「ぐえっ」

    直後に襟元を引っ張られ、転倒。

    245 = 242 :

    ジャン「テッメェ久々に会えたってのにずいぶんな対応じゃねーの」

    エレン「ちょっ、苦しい。無理無理ギブギブ。グンタさんエルドさんやばいですってこれ」

    エルド「おいグンタまずい、雨が降りそうだ」

    グンタ「洗濯物干したままだな。オルオが取込むとは思えんしいったん戻るか」

    エレン「任務放棄ですよねそれッ!?」


    それが2人なりの気遣いだとは思わないのか、とオルオがいれば悪態をつくだろう。

    ジャンは目ざとく気づいたようだ。エレンには見えないように二人に対して会釈した。

    246 = 242 :

    グンタ(少しは羽伸ばしてこいよ)

    エルド(まだお前は15歳のガキなんだからな)



    エレン「……おいジャン、いい加減離せよ。床に2人で倒れこんでたら勘違いされるだろうが」

    ジャン「お前にそういう発想があるのか……ライナーかよ」

    エレン「あいつをことあるごとにホモ扱いするのやめろよ……」

    不憫そうにエレンは眉を寄せた。

    立ち上がって服についた埃を払う。

    ジャン「ちょっと付き合えよ、見せたいもんがあるんだ」

    247 = 242 :

    中庭でおこなれている訓練は、対人戦闘を想定している。

    チーム戦での互いに大将を狙いあう戦闘を見ながら、エレンは各々の戦いぶりを観察していた。

    エレン(……大将は保護対象ってことは、何かを守りつつ戦うケースを想定してるのか)

    エレン(しかも相手は複数、巨人ではなく人間)

    気づく。


    エレン(これは、俺を守るための訓練だ)

    248 = 242 :

    ふざけやがって。

    エレンは唇をかんだ。

    エレン(俺たちの使命は、お前たちの職務は、巨人を討伐することだろう? 俺なんかに時間を割いてるんじゃねえよ)

    悔しかった。

    自由の翼をもがれ、地に這いながら機をうかがうしかない自分が。

    同胞だったはずの彼らから、庇護対象として扱われている自分が。

    情けなかった。

    握りすぎたこぶしから、血が滴る。

    それでも、巨人化は起きなかった。

    249 = 242 :

    ジャン「っしゃあ勝ったッ! 午前訓練完ッ!!」

    マルコ「くっ、今日のジャンなんか指揮のキレが段違いだったんだけど、どうしたっていうんだよ」

    ジャン「へへっ、観客がいたから、みっともねえ真似できなかったんだよっ」

    コニー「観客……?」

    立体起動装置は身につけていない、エレンは歩いて林を抜けてきた。

    同期たちの顔を見るのも、久しく感じる。


    ……

    エレン「どんな表情してんだお前ら、間抜けすぎんだろ」

    クリスタ「エレンッッ」

    金髪が揺らめいた。

    エレンの着込んだジャケットで包める程度に小柄な少女が、飛び込んでくる。

    250 = 242 :

    ■■■『エレンッッ』



    違う。


    クリスタ「エレン、大丈夫だった? 本当に、本当に……心配だった」

    ■■■『エレン、大丈夫だった? 本当に、本当に……心配だった』


    違う。


    クリスタ「エレンがいなくなったら、私、私は……」

    ■■■『エレンがいなくなったら、私、私は……』



    否定のしようのないデジャヴ。

    絶対に見間違えるはずのない二人を視界に重ねて、エレンはあいまいに微笑む。

    それは、その笑みは――かつてのエレンはつけていた厚い仮面そのものだった。


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