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    元スレ友「ハーレムエンドっていいよな」

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    1 :

                                              ・・
    (――高校からの帰り道……。他愛もない話をしながら歩いていると友人のソイツは唐突にソレについて話を始めた)


    「いきなり何を言い出すのお前」

    「昨日やったやつがハーレムモノだったんがな……エロ目的で買ったんだが、予想以上にストーリーも良かったんで」

    「誰も不幸にならずにみんなハッピーとか現実ではありえないだろ?そんな優しい世界をエロゲの中では作れちゃうんだよ」
     
    「お前にも布教をって思ったんだけど……どう?」

    「んーいいんじゃない? というか、むしろやりたい」

    「でも、俺そういう系のゲームとかほとんどやったこと無いんだけど」

    「確かにお前は漫画やアニメしか見てこなかったしなー。まぁこの機会にいいんじゃないか? パソコン持ってないわけでもないだろ」


    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1512193606

    2 = 1 :


    「まぁ……そうだな」

    (家でやるには色んな危険性を孕んでるからあんまり進んでやれたもんじゃなんだけど)

    「なら今日貸してやるよ! 俺はもう5週はしたからよ~」

    「いくら何でもやりすぎじゃないか……」

    「いいやこれでもまだ甘いな。好きな作品は何週クリアしても足りないなっ!」

    「……そういう熱意を勉強にも出せよ」

    「うぐっ! と、とにかく! 貸してやるか俺ん家よってけよ!」

    「……あいよ」

    3 = 1 :


    ~~~~~~~~



    「……これねぇ」

    (部屋の椅子に座ってパソコンの電源を入れた後、友人に借りたいかがわしい絵に包まれた箱を眺める)

    (うん! 実にエッチいね! こんなのを見続けてたら息子も元気になってしまうよ!)ムスコ「ヤァ」

    (そんでもってこれを持ってる姿を女性に見られたら軽蔑されるよね! ソフトだけ出してさっさとパッケージはタンスの奥にでも隠しておこう……)ササッ

    (これでいいか……。あの人にこれを見られたら、ホントに俺の人生どうなるか分かったもんじゃないしな……)

    (まぁ、あの人も節操なく俺の家とかに来ないし大丈夫か。だいたいはアポとってからだし)

    (前置きはさておき、ディスクを入れよう……よしっ)

    「これで俺もエロゲデ「……入るわよ」

    4 = 1 :


    「ビューッ!!!! ……って、えっ?」

    「……?」

    (ノックも無しに入ってきた人物の顔は俺が驚いてる様子をまるで疑問視するような顔をしている)

    (そして数秒経った頃、腰にまで届こうとしている艶のある綺麗な黒髪をなびかせながら彼女は、ある言って一定の答えを導き出したようだ)

    「……もしかして今、オn「はいそれ以上言わない! そんでもって、やってない!」

    (彼女は今盛大な勘違いをしている。いや、それに準ずるやましいことはやろうとしていたけども!)

    「あら、残念……。もし、あなたが望むのであれば私の”手”で……」

    「してねぇって言ってんだろ!」

    「……まったくもってあなたは臆病で意気地なしで度胸もへったくれもないヘタレね。こんなに魅力的な私の提案を断るなんて」

    5 = 1 :


    「学校中の男共ならこの提案を断る人なんていないでしょうね。それこそあなたの友人のヘンタイ君だって……ね?」

    「ヘタレで結構。別に他がどうでも俺には関係ねーし」

    「ふぅん……本当に?」ボソッ

    (俺の耳元に口を近づけ、そう囁く彼女。その動作に距離の近さを感じてしまい不意に緊張してしまう)

    「だ、だからやってないって……!」

    「……じゃあ、この画面に出ているのは何かしら」

    「……?」

    (彼女の指差した先にはパソコンの画面。そこに映し出されていたのは……)

    6 = 1 :
















                                                              ・・
    「『幼馴染も姉妹もクラスメイトも学園長も全員○ましてやる! おっぱいハーレムカーニバル!』……って、これであなたはナニをしようとしていたの?」

    「――――」



    (――これが、俺のエロゲデビューの瞬間であった)


















    7 = 1 :





















    「ハーレムエンドっていいよな」



















    8 = 1 :

    ~~~~~~~~



    「もうエロゲはやらねぇ」


    「おいおい友よ、朝からいきなりそんなやさぐれた声出してどうしたんだ? もちろんアレ、やったんだろう」

    「……そうか。お前にはあの甘美な世界はまだ早かったか――」

    「勝手に悟ってんじゃねぇよ」

    (……今、俺と会話をしている奴は友。見ての通り、エロゲオタクである)

    (ちなみに中学からの付き合い。顔もそんなに悪くないし、気さくでいいやつなんだが現実では出会いは無い)

    (友いわく『女と出会う前にエロゲと出会ってしまった』との事だ。なお未成年の彼がどこでエロゲを入手しているかは不明だ)

    9 = 1 :


    「なーんてな。しっかし、不思議だなぁ。普通の人間のプレイ時間から考えてそこまで酷い内容が出てくるようなシナリオではなかった気がするぞ?」

    「見つかった」

    「え? まさか親に?」

    「いや、アレに」クイッ

    (俺の指した方にいる女性……。校門で挨拶をしている黒髪がトレードマークの彼女だ)

    「マジかよ……。それなら親に見つかってた方がマシだったな」

    「あぁ……」


    「……♪」ニコッ

    10 = 1 :


    「げっ、やべっ……」

    「あら、おはよう友君」



    「――そして、見境なしに女の子を○ませようとしていた男君」ボソッ



    「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」



    (悪魔的な笑みを見せながら挨拶をしてきた彼女、その人こそ俺のエロゲデビューを邪魔をした、黒髪。俺の1つ上の三年生)

    (端正な顔立ちに抜群のスタイル。男女共に学校中の憧れの的だ)

    (そんな彼女と俺は昔に色々あり……今でもこうして親しくしている。……腐れ縁の様なものだと俺は思っている)


    「はぁー……。相変わらず黒髪先輩は凄く綺麗だなぁ……」

    「それに目をつけられてるお前も羨ましいよな。いや、弄ばれてるって方が正しいのか」

    「うるせえよ……」

    (ここ何週間は、その事をずっとイジられ続けるのではないか。そう思案させる秋風の吹く朝の出来事だった)

    11 = 1 :


    オハヨー ウッス オイッスー



    「――よりにもよってまさかあの人に見つかるとはお前も災難だったな……」

    「……それで、ソフトは没収とか?」

    「されてない。友からの借り物だってハッキリと言っといたから」

    「ごっそり好感度落としていくなお前」

    「仕方ないだろ、その時は頭回らなくて適当な理由を考えられなかったし」

    「へいへい……。どうせ元々好感度なんぞミリも無いから減りもすることなんて無いだろう」

    「いや、そんなことはないと思うが……」

    「えっ、マジ!?」ガタッ

    12 = 1 :


    「はーい、そこまでだよ二人共ー。ホームルーム始まるから友君は自分の席に戻ってね~」


    「お、委員長か。すまんな」

    「ん、よろしい。よいっしょっと」

    (委員長と呼ばれた隣の席の彼女の名は女。友が言ったようにこのクラスのクラス委員をしている)

    (1年生の頃から同じクラスだったり、今はこうして隣の席って事で多少は仲良くしてもらっている感じだ)

    (肩ぐらいまで伸びた明るい茶髪、そして大きくパッチリと開いた目から快活な印象を受ける。実際にその通りで、男女分け隔てなく明るく接する姿はまさしく彼女らしいと言うべきか)

    (制服の着こなし方や、喋りといい……雰囲気は今時の女子高生といった感じだ)

    (そして、彼女の一番の魅力。それは……)

    13 = 1 :


    「――おはよっ」ニコッ


    「お、おう……おはよう」


    (不意にされると緊張してしまう……曇りの一点もない、透き通った笑顔だ)


    「ちゃんと数学の宿題やってきた? あの先生結構当てられるとめんどくさいからねー」

    「大丈夫。ほんと心配性だよな、女は」

    「いや、そういう訳じゃないよー。今の内に男君と答え合わせしようかなって。男君って無駄に頭良いし」

    「無駄は余計。日頃からちゃんと復習してる成果なんだよ……ほい、これ」

    「ありがとー! やっぱり持つべきは友だねぇ~。……そういえば、あの黒髪先輩が勉強教えてくれるんだっけ?」

    「たまになー。余計なお世話なんだよな……」

    (そのお陰で昨日もいきなり家に来て大変な事になったんだけど……)

    14 = 1 :


    「いいなぁ~あんな綺麗な先輩と勉強会って女子の私からしても羨ましいよー」

    (……女は何も知らないからそう言えるだろう。実際あの監きn……勉強会は地獄そのものだ)

    (その地獄の頻度を減らす為に勉強もしているという次第だぞ)

    「ははー。そうだなー」

    「そうだよっ、このこのぉ~」ツンツン

    (あとこの女、なんかあざとい)

    (アッ、ダメ、脇腹ヨワイッ)

    15 = 1 :


    ~~~~~~~



    「えーからしてこの問の回答は――」


    (四時間目、数学。先週予習した範囲をしている授業そっちのけで外の体育の様子を眺める)

    (黒髪がいるってことは今の授業は3年生ってことか……)


    黒髪「――」ボヨンッ


    (つうか三階から見てもわかるその暴力的な双丘はなんなんだよ)

    (あー男共が見てるのが容易に想像できんなー。アレ間近で見れるって裏山……じゃなくてなんか悔しいな)

    (勉強会とかとこういう学校生活ってのはあくまで別物だからな、ウン)

    16 = 1 :


    「なーに見てるの」ボソッ

    「うおっ……て、別に外眺めてただけだぞ」

    「この時間は確か3年生の体育……。ははーん」

    (なにわかったような顔してんのアンタ、つかなんで時間割把握してるんですか)

    「黒髪先輩、見てたの?」ササヤキ

    「ん、んなわけ――」

    「おい、男少し騒がしいぞ」

    「あ、すみません……」

    「……ったく」

    「あはは……」

    17 = 1 :


    ~~~~~~



    キーンコーンカーンコーン

    ジャアネー マタアシター バイバーイ



    「じゃあねー男君~」

    「おう、またなー」ヒラヒラ


    「男ー帰ろうぜ―」

    「悪い、今日は部活に顔出してくるわ。最近ちょっとサボり気味だったし」

    「分かった。んじゃまた明日な~」

    「おう。また明日」


    「さて、と……」

    18 = 1 :


    『文芸部』



    「……」コンコン

    「……どうぞ」

    「うっす……って今日もまた一人か」
     
    「あっ、先輩……。こんにちは」ニコッ

    (文芸部の部室の片隅で優しい笑顔で迎えてくれた彼女は後輩。俺の一つ下の1年生)

    (年下にしては大人びた容姿、雰囲気を持っている彼女。性格も物静かではあるが、素直でいい子だ)

    (この部活内でも幽霊部員一号の俺とか、その他の幽霊部員を慕ってくれている所も後輩がいかに良い奴であるかを物語っているだろう)


    後輩「……」


    (――ただ、少し稀に陰のある表情を見せるのを知るのは……数少ないと思う)

    19 = 1 :


    (しっかし、あれだなぁ。どれかの部活に所属しなくちゃいけない学校のシステムが理由で帰宅部員の受け皿になってる文芸部で真面目に活動してるって、ほんといい子だよなー後輩は)

    (まぁ、なんかいつも一人で本を読んでるのもかわいそうって思っちゃうから俺も部室に来てるんだけどなー。本を読みたい後輩にとっては余計なお世話になってんのは分かってはいるが)

    「毎回部室来るといつも後輩いるけどさ……。文芸部だからって真面目に部室で本を読む必要なんかないんだぞ」

    「放課後なんてもっと友達となんか……ほら、カフェとか行ったりさ」

    (女子が放課後何して遊ぶかわからなくてカフェなんて口走ってしまったぞ)

    後輩「女子高生が放課後にカフェに行くって……先輩、ちょっと女の子に夢見過ぎじゃないですか?」フフッ

    「はははっ……」

    後輩「別に私はそういった事はあまり好きでは無いですし……。好きなんです、ここで本を読むのが」


    後輩「……こうして先輩がたまに来てくれたりして寂しくもありませんから」


    「……そうか。そりゃあ良かった」

    20 = 1 :


    後輩「あっ、そういえば……何か飲みますか? 紅茶とコーヒーならインスタントでもよければありますけど……」

    「あーいいよ。自分でやるから。俺の事なんて気にしないで本読んでて」

    後輩「……じゃあ、お言葉に甘えて」

    (そう言うと後輩は彼女の定位置とも言える部室の隅の方の席に着き、本に挟んであった栞を取り出し読書を再開した)

    (彼女のその姿を確認し、部室に備えてある紙コップの中にインスタントのコーヒーの粉末を開け、お湯を入れる)

    (そして後輩とはそう遠くない席に腰を落ち着け、カバンの中から文庫本を取り出す)

    (空間に沈黙が訪れる。聞こえるのは本を捲る音、飲み物をすする音、そして外から聞こえる運動部の声)

    (少し気まずくもあるが、なぜか俺はこの時間が嫌いではなかった)

    (喋る言葉は少なくても、後輩といるこの時間は心を安らげてくれる……そんな気がしている)

    21 = 1 :


    ~~~~~~



    後輩「……そろそろ暗くなってきましたね」

    「おっと……もうそんな時間か。そろそろ帰るか」

    後輩「はい。あっ、戸締まりとかは……」

    「いいよ、俺がやっとくから。たまにしか来ないんだし、先輩らしくこれぐらいの事はしないとな」

    後輩「じゃあ、お願いしますね。お先に失礼します」

    「おう、また今度な」

    (家まで送る事はできないが、せめて扉までは見送ろとしていると、後輩は扉の前で立ち止まった)

    (そして急に振り返り……)

    後輩「せ、先輩っ」

    「ん、なんだ?」




    後輩「次は、その……いつ来てくれますか?」




    22 = 1 :


    「……そうだな、また近い内に来る」

    後輩「そうですか……。あの、私――」



    後輩「待ってますからね。ここで先輩の事……」


    「ありがとな……。なんか幽霊部員の俺なんかに気遣わして」

    後輩「そんなことないですっ……! と、という事でさ、さようなら!」


    (急にしおらしくなったり、興奮したり変な後輩ではあったが……。普段物静かな後輩のなんだかこういう姿は目新しいな……)


    (……さて、片付けも済ませて俺も早く帰るとしますか)

    23 = 1 :


    ~~~~~~~



    「ふぅ……」


    (明日の範囲を予習を終え、時計を見てみると1時を指していた。もうそんな時間だったのか……)

    (あまり酷く眠気に襲われない事を思うと、部室で飲んだコーヒーの効果が思った以上に続いているようだ)

    (かといってこれ以上起きてても明日に支障が出かねないし、最悪寝坊なんかもあり得る)

    (早く布団に入ってしまおう……)


    「……」

    24 = 1 :


    (……今日も色んな事があった)

    (黒髪に例のゲームをイジられたり、女に少しイタズラの様な事をされたり……って俺イジられてばかりじゃねえか)

    (あとは……後輩か。後輩のなんか新しい一面って言うか……そんな様なモノを見れた気がする)

    (先を考えると例のゲームの件は頭が痛いし、今後何を仕掛けてくるか分かったもんじゃねえ)

    (さっさとクリアして、友に返すとするか……)


    「……おやすみ」


    (誰に言うのでもなく、俺はただその言葉を呟き眠りについた――)

    25 = 1 :










































    ―――――――――カチッ。






































    26 = 1 :

    長編になる予定です!文も下手です!誤字多いです!語彙もたまにおかしいです!それでもよろしければ是非お読みください!

    後、このSSは特定の物語などを誹謗・中傷するようなものでも擁護するなものでもありません!


    書き溜めもしないと思うんで更新頻度は低いです!すみません!

    27 :

    おつ

    28 :

    おつ

    29 :

    >>1
    ・・
    ソレ
    >>6
    ・・
    ナニ


    いきなり誤字ってましたすみません

    30 = 29 :

    ~~~~~~



    (翌日。遅い時間に寝たのに幾分、体の調子が良い)

    (朝飯は……途中のコンビニでパンでも買うか。食べる時間確保したいし、早めに出るか)

    (顔洗って、歯磨いてーっと……)

    (……髪はこんなもんでいいか)

    (昨日の内に準備しておいた制服に着替え、出る準備を終えた。そしていつものように必ずすることがある)


    「そんじゃ、今日も行ってくるよ兄」


    (幼い顔立ちを写した遺影に挨拶をする。彼は俺の兄であり親友であった人物だ)

    (俺が9歳の時に交通事故によって亡くなってしまったが、親友として、家族として今でも俺の心の中に生き続けている)

    (……今週の終わりの日は、そんな兄の命日だ)

    31 = 29 :


    (俺の家は昔から少し特殊だった。理由としては父さんが仕事が忙しい為に、年に数回にしか帰ってこないのだ)

    (そんなわけで食事も自分で作ったり、買わなきゃならない。こうやってコンビニ食で済ましてしまうこともある)

    (そんな生活を見かねた家が近い黒髪の母親が食事を届けてくれたりすることもある。たまに黒髪自身が家に作りに来ることだってある)

    (ちなみに黒髪の料理は超絶美味い。俺の料理の腕前が普通の男に毛が生えた程度だとかではなく、ファミレスとかの美味さなんて比べ物にならない)

    (容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群……。おまけに料理も美味いし、手芸もできる。完璧超人だよなぁ、あの人は)

    (……まぁ、少しスキンシップが過剰って所は欠点というべきなのだろうか)

    (……黒髪の超人ぶりはそこまでにしとくか。さてと、さっきコンビニで買った牛乳でも飲むか)ガサガサ


    「あー、食べ歩きはいけないよー!」


    「……その声は女か。朝から委員長らしく大変だな」ススゥー

    「そうだよー。そうやって、男君が牛乳を飲むのをやめてくれないと仕事が増えて大変だよー」

    「別にストローで飲んでるくらいはかまわないだろ? 朝飯食べてないからハラ減ってるんだ」

    「だからって校則破っていい理由にはならないけどね……。まぁ、今回は多目に見てあげる」

    「さすが委員長! っということでこのサンドイッチもここで食べていいか?」

    「ダーメ。ちゃんと教室に着いてからだよ」

    「へいへい」

    32 = 29 :


    「そういえば、いつもこんぐらい早い時間に出るのか?」

    「うん。委員長として色々とやることあるしね~」

    「というか私元々早起きする方だから」

    「生活から何まで優等生だなー。とても俺には真似できそうにはねえな」

    「そうだねぇ……男君が委員長として色々と働くことなんて想像できないもんね」

    「確かにホームルーム始まる前にクラスを静かにさせようとしても余計に騒がしくしそうだし、授業合間の休み時間だって日直の手伝いなんてやらずに友達と駄弁ってるかもなー」

    「男子からエロ本を取り上げようとしたら俺も一緒に読んじゃうだろうな」アハハ

    「……」ジー

    「……って、さすがにデリカシーなかったな。わるいわるい」

    「もうっ……私だって女の子なんだよー?」

    (いつも平然とケロッとしながらエロ本取り上げるもんだから平気だと思ってた)

    33 = 29 :


    「……やっぱり、男君も興味あるんだ」

    「いやっ、まぁ……人並みには」


    「……えっち」ボソッ


    「――っ」

    (ジト目気味にそう言葉を零した女に、不意にドキッとしてしまう)

    「……なーんてね。冗談だよっ。それじゃ、急ぐから先に行くね」

    「お、おう。頑張れよ、仕事」

    「ありがとっ。じゃあ、また教室でね」

    (そう言うと女は小走りになって俺の先を行く。……と思っていたら、少し進んだ所で女は俺の方を振り向き、そして大きく深呼吸をして――)


    「サンドイッチ! 絶対に教室で食べなきゃダメだよーっ!」


    (……ほーんと、委員長のくせにあざといんだよ、あいつ)

    (だから人気あるんだけどさ……。委員長に言われた通りこのサンドイッチは教室で食べるとしますか)

    (時間も余裕はあまり無いし、少し早く歩くか)

    34 = 29 :

    ~~~~~~





    「ふぅー食った食った~」

    「……ごちそうさま」ボソッ

    「そういえば、昨日は俺の貸したやつはやった?」

    「昨日は部活から帰ってから色々とやってたら、やる時間無かった。今日あたりにでも――」

    ブブブブブブブブブ

    (右ポケットから振動を感じる。この振動の感じからして、おそらくメールでも来たのだろう)

    (携帯を画面を見るとそこには『黒髪』の名前が表示されていた)

    「……っわり。ちょっとメール返すわ」

    「んー」

    35 = 29 :


    (黒髪からのメールは少なく、大体が重要な連絡事項がほとんどなので確認は早めにしといた方がいい)

    (早速メールを確認する。そこに記さていた内容は……)





    「……すまん、友。今日も例のゲームできそうにない」

    「へ?」

    36 :


    ~~~~~~



    黒髪「~♪」トントン


    「……」


    (制服の上にエプロンを着て我が家のキッチンで料理に勤しむ黒髪。そう、今日の夕食は何を隠そう黒髪の手料理である)

    (頻度といえば黒髪の気まぐれで決まるために多い時は多いし、時には週に一度も来ないことだってある。

    (前に来たのは一昨日だとすると今週はわりと多目の部類に入る)


    (……にしても鼻歌混じりで料理を作る彼女は少し目に毒だ。制服エプロンという特定の性癖を狙い撃つ様な格好はやめませんか。俺に効くから)

    37 = 36 :


    黒髪「……なぜそんなに私の事を舐めるような目つきで見るのかしら。確かに男子としては私のようなスタイルの女性をジロジロ見るのもわからなくは無いけど」

    黒髪「まさか、制服エプロン姿に惚れ込んでるとかではないでしょうね?」

    「そ、そんなわけねえって! 料理に集中しろ!」

    黒髪「あら? なんだかまんざらでも無い様子ね。他の男子ならいざ知らずだけど……」

    黒髪「男なら昔からのよしみとして、特別にじっくり見てもいいのよ?」ボソッ

    「――っ!」

    「そうやって近づいて耳元で囁くのやめろ! 俺が耳弱いって分かってやってるだろ……!」

    黒髪「ふふっ……。やっぱり耳、弱点なんだ」フゥー

    「だあーっ! 息を吹きかけるな!」

    黒髪「……これ以上やるとかわいそうだから、今日はここまでにしとこうかしら」

    黒髪「男が望むなら、私はいくらやってもいいんだけどね?」

    「ぜぇぜぇ…。いや、今後一切やらなくていいから」

    黒髪「そう? 残念だわ……」

    38 = 36 :





    「……ごちそうさま」

    黒髪「お粗末さまでした」

    黒髪「お皿は洗っておくから置いといて」

    「いや、作ってもらってるんだからこれぐらいは自分でやるよ。何でもやってもらうのも申し訳ないし」

    黒髪「別にそんなこと気にする必要ないのよ?」

    「親しき仲にも礼儀ありってことだよ……。ほら食器」

    黒髪「私の食器を取り上げてどういうつもりかしら。箸でも舐めるつも、だったら直接キスしても……」

    「早く食器よこせ」

    39 = 36 :


    ジャー



    黒髪「臆病者……。据え膳食わぬは男の恥って言うでしょ?」

    「はいはい……」

    黒髪「……そういえば今週の土曜のことだけど」

    「兄の命日か? それがどうした?」

    黒髪「その日はちょうどお父さんも帰ってこられるのでしょう? 滅多にない機会だから私の家でお父さんを連れて食事でもって、母が言っていたのだけれど」

    「ああ、分かった。父さんに相談しておく。後、墓参り行くけど、来る?」

    黒髪「ええ、勿論行かせてもらうわ。……今年で8年になるのね」

    「……ああ」


    (まるで兄を想うように遠くを見る彼女。沈痛な表情を見せるのもその筈。二人は生まれた頃からずっと一緒に過ごしてきた幼馴染だったから)

    (黒髪と兄は仲が良かった。二人が優しかったから俺も間に入れたものの、普通ならあの頃の二人を割り込むことなんてできなかったと思う)


    (……あれほど仲が良かったんだ。こんな表情だってするだろう)

    40 = 36 :



    黒髪「……それじゃあ、用事も終わったし、帰るわ」

    「あいよ。送ってこうか?」

    黒髪「大丈夫よ。別にそんなに心配するほど長い距離でもないでしょ」

    「そりゃそうだけど……」

    黒髪「兄の話をした後だから不安になるのも分かるけど……」

    「……」

    黒髪「次はいつ来るかは分からないけど、来る前にはメールするから」

    黒髪「前みたいにいかがわしいゲームをやっててメール確認してなかった……なんてことしちゃダメよ?」

    「……肝に銘じておく」

    黒髪「じゃあ、また明日」ガチャ…

    「ああ。今日もありがとな」

    黒髪「ん……」


    バタン…

    41 = 36 :

    「……」


    (『兄の話をしたから不安になるのも分かる』ってか……)

    (黒髪は兄の話をすると、決まって俺の心配をしてくる)

    (普段はあれだけスキンシップをしてくる癖に、こういう時だけ大人しくなるんだ)

    (兄が死んだのなんてもう8年も前だ。もういい加減にそんなに気にするのはやめてもいいだろう?)



    (……兄を意識してるのは、俺よりお前なんじゃないのか?)

    42 = 36 :

    今回はここまで

    43 :

    おつ

    44 = 36 :

    ~~~~~~~



    「あの、ちょっといいかな男君」

    「ん、どうした?」


    (今日も授業の全てを終え、放課後に何をするかを考えていた時。唐突に隣の席の女から声をかけられる)


    「手伝ってほしいことがあるんだけど……この後って時間あるかな?」

    「あー……」


    (今日は部活に顔を出そうと思っててんだよな……)


    後輩『待ってますからね。ここで先輩の事……』


    (なんだか、信頼されてるみたいだしな。近いうちに行くなんて言ったからなぁ……)

    45 = 36 :

    「……」


    (……別に明日でもいいか。今の女の表情を見ると相当困っているみたいだし)

    「もしかして、何か用事あった……?」シュン

    「いや、大丈夫。それで要件は?」

    「文化祭実行委員会でやる作業があるんだけど、人手が足りなくて」

    (そういえば文化祭実行委員も兼任してるんだったな……。って、文化祭のことすっかり忘れてた)

    「やることって言うのは倉庫の掃除。汚れちゃうかもしれないからジャージに着替えた方がいいかも」

    「わかった。それだったら、着替えてから落ち合うことにするか。倉庫っていうのは校舎裏のゴミ捨て場の近くの倉庫であってる?」

    「うんっ、急いで着替えてくるから男君も早めにね?」

    「……りょーかい」

    46 = 36 :




    「おまたせーっ」


    (早々に体操服に着替えて倉庫の前で待っていると、少し遅れて女がやってきた)

    (いつもは結んでない髪をポニーテールにし、上着のジャージを腰に巻いた上は半袖、下はジャージを着ている)

    (狙ってやってるのか、それとも普通なのかよくわからないラインではあるが、やはりその格好は危険だと思います。ウン)


    「待った?」

    「いんや、俺もさっき来たところだしそんなには」

    「……」

    47 = 36 :


    「手っ取り早く終わらせようぜ。……どうした」

    「いやっ、さっきのやり取りがそのっ……」

    「……?」

    「……デートの待ち合わせみたいだなって思って……」セキメン

    「――」

    「バ、バカなこと言ってないではやくやるぞ!」

    「う、うん」







    「……」

    48 = 36 :



    「よいっしょっと……。これはここでいいか?」

    「うん。あっ、中身割れやすいから、注意して置いてね」

    「はいよ……」


    (作業することおよそ30分。最初は去年の文化祭などで使ったものなどが整理されずに置かれている状態で大分酷かったが、結構片付いてきた)

    (あと30分もあれば終わるか……。もしかしたら部活に少しぐらいなら顔を出せるかもしれない)


    「っしょと……」

    「……」

    49 = 36 :


    (……まだ夏休みが明けてからまだ一月も経ってないせいか、締め切った倉庫内での作業は結構蒸し暑く、汗もかいてしまう)

    (それは女も同じ様で、ほのかに顔が火照っているような……。出るとこ出ててスタイル良いし、髪を纏めてる影響でうなじが見えて……。あれ、何だか色っぽく……)

    (って何を考えているんだ俺はっ! 女は実行委員として頑張っている中でやましいこと考えている場合じゃないだろ……!)

    (落ち着け俺……。黒髪のスキンシップに耐えてる時のように平常心だ……!)ブンブン


    「……どうかした男君?」

    「気にしないでくれ」キリッ

    「う、うん……」

    50 = 36 :


    「この具合なら後もう少し終わりそうだねぇ」

    「だな。こんな面倒くさい作業とっとと終わらせよう」

    「うん。あとは何かトラブルが起きないといいけど……」

    「トラブルというと?」

    「機材を落としちゃって壊したりとか、こんなに埃が積もってるし、隅っこの方で変な虫が出たりとか……」


    「二人っきりで倉庫に閉じ込められちゃったり……」


    「虫は出てくるかもしれないが、物の破損とかは注意して運べば大丈夫だし、倉庫に閉じ込められるってそんな漫画じゃあるまいし」


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