私的良スレ書庫
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元スレモバP「女は、信用できない」
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>>393
くせえ
くせえ
この>>1が書くssは雑談で埋まるのが特徴なのか?
新しいプロデューサーの第一印象は、普通のお兄さんって感じだった。眼鏡をかけていて、そこそこの顔立ちをした、普通の人。
この人とこれから仕事するんだ……男の人と一緒に仕事をするのは初めてでは無いけど、プロデューサーが男の人なのは初めてだから少しだけ緊張と不安を感じた。
私が自己紹介をすると、プロデューサーは目を見開いて私をまじまじと見つめた。そんなに驚いたような表情をされる何かが私にはあるのだろうか。
驚いたような表情を浮かべた後、プロデューサーは急に顔を背けた。あくまで顔を横に向けただけ、だから見えてしまう。
――苦痛に歪んだ表情が。
「? いきなり苦しそうな顔してどうしたの?」
「別に、なんでも」
プロデューサーは最後まで目を合わせてくれなかった。
……私、何かしたのかな。
――――――――――――――――――――――――――
「ねぇ、プロデューサー。プロデューサーって何歳?」
「22歳だよ」
「大学は行ってないの?」
「……大学は途中でやめたんだ。ここの社長に誘われたからな」
プロデューサーの表情の変化を、私は見逃さなかった。
大学は途中でやめたと言った時、一瞬だけ、とても忌々しげな表情を浮かべていた。
……何か、あったのかな。
――――――――――――――――――――――――――
「プロデューサーってあんまり笑わないよね」
「そうか? 普通に笑うけど……」
笑うどころじゃない。プロデューサーは私を見る度に表情を曇らせる。
もしかして、自分で気付いていないの?
私はよく無愛想と言われている。もしかしたらそれが原因なのだろうか。客観的に見て態度が悪いかもしれない。
でもそれだと、敬語ではあるけど同じく愛想の無いまゆに対してのプロデューサーの態度は比較的普通だ。
私の何がいけないのかな。
ある日、私は加蓮と奈緒で出掛けた。特に目的も無く服を見たり、装飾品を見たりして時間を潰した。
今までは殆どの人が気付かなかったのに、所々で私達に気付いている人がいた。私達はそろそろ顔を隠さなきゃいけないようだ。
――新しいプロデューサーはそこそこ有能だ。
ファン自体は多かったが、一般的な知名度が低かった私達を、ここまでにしてくれた。
仕事だってどんどん増えてる。勿論、その分だけ忙しくなるけど、嬉しかった。
だけど、相変わらずプロデューサーは私を見て、僅かに表情を曇らせる。それだけが、悲しかった。
――――――――――――――――――――――――――
「新しいプロデューサーさんってさ……何か、壁を作ってるよね」
ずっと一緒にいると薄々感じ取れる事だった。プロデューサーは私達をどこか拒否しているような雰囲気がある。断言なんて出来ないし、根拠も無いけど。
「あー、分かるな、それ。あたし達を避けてるとか、女との会話を恥ずかしがってるとかじゃなくて……なんつーか、上手く言葉が見つかんないな」
奈緒の言いたい事は分かる。プロデューサーは何だか、私達にまったく興味を持っていないように感じた。仕事こそちゃんとしているけど。
「壁云々以前に私だけ嫌われてるような気がするんだけど……なんで?」
私は悩みを疑問に変えて二人に問いかける。
「そういやそうだな……何かやったのか? 悪口言ったとか、態度悪いとか」
「態度は悪かったかもしれないけど、別に悪口とか言ってないよ」
態度は確かに悪いかもしれないけど、悪口なんて言うわけない。
「あれじゃない? 凛に一目惚れしたとか……」
「ないでしょ。それだったら普通に接してくると思うし」
いっその事一目惚れとかの方がまだよかったって思うのはダメかな……。
「凛の事を嫌ってるって言うか、何か苦しげな表情で見てる時あるよね」
「あたしも見たなーそれ。凛が何かやらかしたのかと思ったな」
「何もやってないってば……」
本当に、何もやってない。
「って、噂をすれば、あそこにいるのプロデューサーじゃない?」
加蓮が指差す方向には、確かにプロデューサーがいた。似ている人とかではなく、本当にプロデューサーだ。
――だけど、私は目を疑った。
プロデューサーは、確かにいた。
……でもプロデューサーは、四人の小さな女の子と、そして、同じアイドルである美嘉と一緒にいたのだ。
それに……プロデューサーは……。
……遠目でも分かる。プロデューサーは笑っていた。
仕事場では絶対に見せない、幸せそうに笑うプロデューサーを、私は当分の間は忘れる事ができないだろう。
プロデューサーの横に美嘉が寄り添い、その後ろに小さな女の子達が続く。
かなり若いけど、それはまるで子連れの夫婦のようだった。
不意に、胸に小さな痛みが走った。
その痛みの理由を私は知らない。
後日、美嘉に訳を聞いた。
驚く事に、プロデューサーの周りにいた小さい女の子達は本当にプロデューサーの娘だったらしい。
そして、美嘉はプロデューサーの従妹だと言う事を知った。
だけど、私に向ける表情の理由だけは説明してくれなかった。
……それでも、理由があるという事だけは知ることが出来た。
それに、美嘉の話が本当ならば私は別に嫌われていないらしい。
それが分かって安堵した。
「それじゃ、撮影行ってくるね」
「あぁ、がんばれ」
いつも通り、あまり感情を表に出さないプロデューサー。
不意に浮かぶのは、あの日の、幸せそうに笑うプロデューサーだった。
どうしたら。
どうしたら私にその笑顔を見せてくれるの?
――――――――――――――――――――――――――
最近、プロデューサーの表情が柔らかくなった。私達に対するどこか尖った雰囲気が無くなった。
優しい雰囲気が出て、時々微笑む事すらあった。
それがとっても嬉しかった。家で枕に顔を埋めて悶えるくらい嬉しかった。
……だけど、ふと気付く。
プロデューサーは、まゆや美嘉と話す時はとっても親しげだ。
美嘉はともかく、何でまゆまで?
私の気のせい?
でも、二人が話す雰囲気は……恋人とかそういう類のものではないけど、本当に、親しげな……。
少しだけ踏み込んだ仲……そんな雰囲気だった。
……また、胸が痛んだ。
その痛みの理由を、私はまだ知らない。
「酷い雨だったな……風邪引くからこれ着てろ」
私は、急な雨に打たれながら、仕事場から事務所に帰ってきた。ずぶ濡れの私に、プロデューサーはスーツの上着を羽織らせてくれた。
衣装に着替えるわけにもいかないし、代えの着替えもないから、仕方ないよね。
プロデューサーの上着は、とっても温かかった。
「とりあえず奈緒を迎えに行ってくる。帰ってきたら二人とも家まで送るから、待っててくれ」
「うん。分かった。いってらっしゃい」
プロデューサーは奈緒を迎えに行った。
事務所には私一人だけが残った。今はちひろさんも何かの支払いだかでいない。
「……?」
不意に、いい匂いがした。
香水の類でも、消臭剤とかそういう類のものでもない、どこか自然な匂い。
気になって原因を探ってみると、どうやらプロデューサーが羽織らせてくれた上着から匂ってきたらしい。
裾を嗅いで見ると、とってもいい匂いがした。胸が温かくなるような、不思議な匂い。
これは、もしかしなくても、プロデューサーの匂い、だよね?
せっかく羽織らせてくれた上着だけど、私はそれを脱いで手に取った。
気になるから、少しだけ……。
顔を近づけて匂いを嗅ぐ。
いい匂いがした。いつの間にか顔に押し付けてしまうくらい。
脳に充満した匂いが、何か別のものに変わって行く感覚がした。
「っ?!」ビク
不意に体中を何かが走った。奇妙な脱力感に襲われる。
何か、変な感覚……プロデューサーの匂いは、やたらと癖になる匂いだった。
雨のせいで全身ずぶ濡れだけど、太股を伝った一筋の雫は、水では無いような気がした。
まだ続きますが、寝ます。
本編はもう完結してるというのに、おまけに時間かかってごめんなさい。
本編はもう完結してるというのに、おまけに時間かかってごめんなさい。
乙です
気にせず納得のいく様に書いてください、待ってますから。
気にせず納得のいく様に書いてください、待ってますから。
このss好きだから作者の気の済むまでおまけ書いちゃてくれたら嬉しい
りんわんわん可愛いなぁ
りんわんわん可愛いなぁ
>>393
(何この図々しさ)
(何この図々しさ)
乙乙
>>421今さら弄ってやるなよ、また意味もなく荒れるだろ
>>421今さら弄ってやるなよ、また意味もなく荒れるだろ
乙。
ここまでなら凛ちゃんも普通の恋していく乙女って感じなんですけどねぇ。
いや、最後はちょっとアレですがww
ここまでなら凛ちゃんも普通の恋していく乙女って感じなんですけどねぇ。
いや、最後はちょっとアレですがww
この凜ならPになら裸で首輪つけて散歩させられても受け入れそうだって話だっけ
「凛? 何か近くないか?」
「別に」
とっさに距離を取る。
プロデューサーの匂いを嗅いでいたのはばれなかったらしい。
未だに、私に対してどこか余所余所しい所はまだあるけれど、それでも前よりは数倍もマシだ。
家に帰ると、隠し撮りしたプロデューサーの写メを眺めた。
美嘉と楽しそうに話していた所を撮ったものだ。勿論、美嘉は写していない。
「もっと、仲良くなりたいな……」
仲良く、と言うのは……どの程度だろう。
プロデューサーに寄り添う美嘉の姿が頭に浮かんだ。
あれぐらいかな……。
同時に、嫌な気持ちになる。
……だって、美嘉は既にその域に達しているのだから。
何で嫌な気分になるんだろ。
「プロデューサーってさ……何か、いい匂いするよね」
「え? いい匂い? 匂いなんてするか?」
「そう? 加蓮は?」
「私も特に感じた事はないなぁ。プロデューサーって香水つけてたんだ」
あれ? おかしいな。
「香水じゃないと思う……上手く言葉に表せないような匂い。私は好きなんだけどな、プロデューサーの匂い」
毎日嗅いでいたいぐらい、好き。
加蓮がプロデューサーのスーツを覗き見る。
「どうしたんだ? プロデューサーのスーツ凝視して」
「べ、別に何でも」
奈緒に見つかって加蓮が焦る。でも仕方ないよね、気になるよね、プロデューサーの匂い。
「スーツにも匂いついてるよ。ちょっと嗅いでみてよ」
私はプロデューサーのスーツを手に取り、加蓮達に突き出した。
「いや、何でいきなり」
「いいから、嗅いでみてよ」
戸惑う奈緒に、強く言う。プロデューサーの匂いを知らないのは人生損している気がしたからだ。
「分かったよ……何か変態みたいで嫌だな……」
「……」
悪態をつきながら奈緒は大人しく鼻を近づけて匂いを嗅いだ。加蓮は言わずとも積極的に嗅いでいる。
「ね、するでしょ?」
「別に何もしないけど……」
「うーん、匂いしないなぁ……」
「あれ? 私の鼻がおかしいのかな……」
二人は匂いが分からないの? それとも今日はスーツに匂いがついていないのかな……。
顔を近づけて確認した。
「……ん……ふぁ……」
匂いは普通にした。いつも通りの、プロデューサーの匂い。
この匂いは、とっても落ち着く。
プロデューサーの匂いを嗅ぐと、心が安らぐ。
私は匂い嗅がないと一日落ち着けないぐらいなんだけどなぁ。皆はそもそも匂いが分からないんだ……。
「~~~~~~~っ」
不意に、前と同じような、電気が走ったような感覚が全身を駆け抜けた。
でも、前よりも、ずっと強い。
一体何なの、これ……? 頭の中、焼けそう……それに、背中凄いゾクゾクして……。
「おーい、凛……? スーツに顔を埋めてどうした?」
「え、あ……何かぼーっとしてた……」
奈緒に指摘され、慌てて顔を上げる。
「そろそろ仕事行かないとね」
「今日の帰りは七時か……仕事面倒だなー」
「……」
二人が仕事へ行く準備を始めてしまったので、私もせざるを得ない。
……もっと嗅ぎたかったな。
「渋谷? 俺の顔に何かついてるか?」
「……」
――最近、プロデューサーの事しか考えられなくなってる。
プロデューサーと恋人になる妄想を一日中したりして、バカみたい。
……匂いだってもっと嗅ぎたい。
何で私こんな風になっちゃったんだろ。プロデューサーのせいだよね。
プロデューサーを観察していると、ある事実に気付く。
「あぁ、まゆ、今日の仕事についてだけど――」
まゆの事をプロデューサーは名前で呼んでいた。
……何でまゆは名前呼びで、私は苗字なの? 私も名前で呼んで欲しい。
後で言おうかな……名前で呼んでって。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『あの日』
仕事場から事務所に帰ってきた私は、入り口の扉を開けようとしたけど、ふと手を止めた。
事務所から聞こえてくる話。美嘉とまゆが話している内容は、私にとってとても重要な内容だった。
もし美嘉の話が本当なら、私の姉が、プロデューサーに酷い事をしたらしい。
その話は多分本当……だから、お姉ちゃんと似てる私を避けていたんだ。
…………お姉ちゃん、付き合ってたんだ……プロデューサーと。
――どうしようもなく、嫉妬しちゃう……。
「そういう、事だったんだ……」
私は静かに事務所を後にした。
そして行こう、プロデューサーの所へ。
あの二人よりも先に。
整形するわけには行かない。だから、自分は姉と違うという事をがんばって説得しなければならない。
何で私がこんな目に……屑姉のせいだ。
「何だ、渋谷……こんな所に呼び出して」
「来てくれたんだ、プロデューサー」
「そりゃあ、話があるって言われて無視もできないだろ。何か、相談か?」
「……プロデューサーは、今でも私に姉を重ねているの?」
確認の意を込めて、聞いた。聞きたくなんてなかったけれど。
「…………姉から、聞いたのか?」
プロデューサーの反応……美嘉とまゆの話はやっぱり本当だったみたい。
「そんな所……それで、答えは?」
「正直、渋谷を見る度に、思い出すよ……渋谷の姉と恋人だった時の事」
やっぱり。私とお姉ちゃん、似てるもんね……。
「どれくらい、好きだったの?」
「……どれくらいって」
プロデューサーは返答に困ったようだったが、暫くして口を開いた。
「愛していたよ……もう、他に何も要らないってぐらい……」
「……そう、なんだ」
姉なんて、要らない。心の底からそう思った。
今まではそれなりに好きだったけど、もう、消えて欲しい。
……私のプロデューサーに、こんなにも愛されてッ!!
「プロデューサー」
愛しい人の名前を呼ぶ。
「――裏切らない」
私は、裏切らない。プロデューサーを傷つけたりなんかしない。
「何か言ったか?」
「私は、裏切らない!!」
思わず声を荒げてしまう。自分は姉と違うという事を伝えたくて。
「い、いきなりどうした、渋谷」
案の定、プロデューサーは戸惑っているが、この際仕方ない。私は言葉を続けた。
「あのね、プロデューサー、私、プロデューサーの事、好きだよ……」
私は、自分でも引いてしまうぐらい、プロデューサーへの愛を語った。
途中から自分で何を言ってるのか分からなくなるぐらい、一心不乱にプロデューサーに自分の気持ちを伝えた。
だけど、プロデューサーの顔が、徐々に青ざめていく……どうして?
「あ……あぁ……」
プロデューサーが後ずさった。
「私にお姉ちゃんを重ねないでッ!!」
気がつけば、叫んでいた。殆ど何も考えずに。
「っ!」
「プロデューサー、好き……引退するまでは、がんばって、我慢する、から……だから」
「お、俺は……姉云々の前に、渋谷に恋愛感情なんて……」
「好きになってもらえるように努力するから! 美嘉よりも、まゆよりも、ずっと、ずっといい女になるから……!」
――お願い。
「だから、私に姉を重ねないで……私を見て……」
――お願いだから。
「私は、私は絶対にプロデューサーを裏切らないからッ!!」
――私と一緒になって……プロデューサー。
「――それじゃあダメだって、分からないかなぁ……」
プロデューサーと私だけの空間にいきなり入ってきたのは、美嘉とまゆだった。
美嘉は、今の私の言葉じゃプロデューサーの恋人になれないと言った。
「何? どこがダメなの? 私、本気でPさんの事が好きだよ……裏切る事なんてない! 勝手な事言わないで」
私は意地になって反論する。プロデューサーへの愛が否定されたようで、嫌だった。
「裏切らないだとか、愛してるだとか言ったって、Pさんには意味ないよ」
――どうして?
「凛と似たような事を、姉が言ってるんだから」
頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。
……そうだった。どうして、今まで気付かなかったんだろう……。
このままじゃ、Pさんの恋人に、なれない……。
「……そんな……それじゃ、どうしろって言うの?! 言葉で伝わらないのなら、いっその事、体で……」
「アホなんですか、凛ちゃんは」
「だって、だって、もうそれしか……」
涙が止め処なく溢れた。
もどかしくて、切なくて、悲しくて。
「――証明するんだよ、自分は浮気していないって」
思わず泣き出してしまった私に、美嘉は静かにそう言った。薄ら寒い笑みを口元に貼り付けて。
「嘘をつく余地も無いぐらいに、きちんと、伝えるんです。身の潔白を」
まゆが続いた。
二人が言っているのは、本当の信頼関係を結ぼうというもの。
私達に恋愛感情を持っていないプロデューサーがいきなりこんな話されても戸惑うだけ……だけど、二人は畳み掛けた。
二人は本当にプロデューサーの事が好きなんだって、凄く伝わってくる。二人とも、狂気的なほど恐ろしく強い意志だった。
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