元スレP「765プロに潜入、ですか?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
51 :
乙
続き待ってます
52 :
なんかこういう設定のアイマスの漫画あったよね
まぁ、面白いからこの先も期待
54 :
漫画は色日(カラデイ)だな
乙
貴音は終盤っぽいな、期待
55 = 47 :
カラデイじゃなくてざわわん(The world is all one!)だろ
961の社員が765プロにPとして潜入するのは
56 :
あ、マジだ
すまぬ
57 = 25 :
モバゲに招待されたのがきっかけで、
アニメではまってゲームもプレイしましたが、
まさか同じテーマのコミカライズがあるとは…。
気になるので今度買って読んでみることにします。
…ネタが被ってなければいいですが。
それはともかく、読んでくれてる人がいると思うと筆の進みも早くなりますね。
順調にいけば今夜中にもう一本いけそうな気がします。
それでは。
58 :
舞ってる
59 = 47 :
既にこのSSみたいなアイマス漫画があるのによくやるなぁと思ってたけど
やっぱり読んでなかったのか
面白いからアイマス好きなら読んでも損はないと思う
まあ頑張れ、応援してる
60 :
P「今日もいい天気だな…」
五月晴れの空は清々しいほどに青く広がっている。
辺りの木々もすっかり鮮やかな緑色となり、爽やかな風が事務所を通り抜けていった。
765プロに来て早一月。
自分で言うのもなんだが、仕事に関してはかなり順調と言っていい状態だ。
小鳥「今日はプロデューサーさんは春香ちゃんの付き添いでしたっけ?」
P「ええ、留守をお願いします」
アイドル達に関しても、最初こそ個性がバラバラで采配に困ることが多々あったが、今では大体の適材適所が分かるようになってきている。
この調子なら早ければ一年もしないうちにそこそこのレベルには達するはずだ。
春香「プロデューサーさん!おはようございます!」
P「おはよう。今日の午前はショッピングモールのイベントだからな。準備が出来たらすぐに出るぞ」
春香「はい!」
そう元気よく返事をして更衣室に向かったと思ったら…
ドンガラガッシャーン!!
…また何も無いところで転んだ。
そういう路線のキャラでいいのか?
61 :
春香「あいたたたたた…」
貴音「春香、大丈夫ですか?」
そう言いながら銀髪の少女が天海に手を貸す。
彼女の名は四条貴音、765プロのアイドルの一人なのだが…。
P「(正直、一番扱いに困ってるんだよな…)」
ミステリアス…と言えば聞こえはいいかもしれないが、言い方を変えれば謎が多く掴みどころが無いとも言える。
スタイルの良さはこの事務所でも上位クラスなので、主にグラビアやモデルの仕事を回しているが…。
P「(ま、現状特に問題がある訳でもない。気にしても仕方無いか)」
貴音「…プロデューサー」
P「どうした四条?お前は確か九時からスタジオ入りだろ」
貴音「もし宜しければ本日の昼餐をご一緒させていただきたいのですが」
P「は?」
62 :
正直、意外な言葉だった。
スケジュールの都合で所属アイドルと昼食を共にすることは何度かあったが、それ以外で誘われたのはこれが初めてだ。
さらにその相手が四条ともなれば驚きも一入である。
…まあ、誘うからには誘うだけの何らかの事情があるのだろう。
スケジュール的にも昼間は空いているし、無下に断る理由も無い。
P「分かった。天海の仕事が終わったら事務所に戻るから、お前も撮影が終わったら事務所で待っててくれ」
貴音「ありがとうございます。それでは失礼致します」
そう言って深々とお辞儀をして、四条は悠然と事務所から出て行った。
P「(ま、大方仕事の相談だろう…)」
小鳥「モテモテですね、プロデューサーさん♪」
P「たかだか昼食で大げさですね」
小鳥「いやいや、女の子からしてみれば男の人を食事に誘うのって結構勇気がいるものなんですよ?ところで今度私とも一緒に…」
P「すみませんが、この書類を夕方までに処理しておいてください」ドサッ
小鳥「…ぴよ」
63 :
天海の仕事を終えて事務所に戻ると、すでに四条がソファに座って待っていた。
しかし何と言うべきか、ただ座っているだけなのに無駄に壮麗な風格を漂わせている気がする。
双子が四条のことを"お姫ちん"と呼んでいるのも何となく頷ける話だ。
P「待たせたな。で、何か食べたいものでもあるのか?流石に懐石料理とかフレンチは難しいが」
貴音「でしたら…らぁめんを」
P「ラーメン?」
貴音「ええ、らぁめんです」
P「…変わった奴だな」
四条がラーメンを食べる姿など想像がつかないが、もしかして俺に気を遣ってるのだろうか。
まあどこぞの高級料亭と言われるよりは遥かにマシだが。
貴音「?」
P「まあいい、この近くでラーメン屋となると…」
64 :
貴音「これは…歴史を感じさせる佇まいですね。趣があります」
どう見てもただボロいだけの寂れた店なのだが物は言い様だな。
P「人通りの少ない路地裏にあるからな。だが味は悪くないし他人の目を気にしないで済むのも大きい」
貴音「成程、"隠れた名店"…ということでしょうか?」
アイドルと二人きりで食事ともなると、まず店選びから気を遣う必要がある。
今の765プロの知名度で考えればそれほど気にすることでもないのだろうが、後々面倒なことにならないとも限らないからな。
まして今の俺の複雑な立場を考えれば尚更だ。
店主「らっしゃい!」
P「俺は塩ラーメンにするか。四条はどうする?」
貴音「でしたら私はこの"すぺしゃる海鮮らぁめん昇天ぺがさすMIX盛り"を」
P「(…突っ込むべきなのだろうか)」
65 :
P「で、そろそろ俺を食事に誘った目的を聞いていいか?」
貴音「ええ、まずはプロデューサーに一言お礼をと思いまして」
P「礼?」
貴音「はい。遅ればせながら、響を助けていただき真にありがとうございます」
そう言って四条は席に座ったまま深々と頭を下げた。
P「いや、俺は別に助けたつもりは…と言うか何で四条が俺に礼を?」
貴音「私は響の太陽のような明るさからいつも活力を貰っております。ですから響の笑顔を取り戻してくれたプロデューサーは私にとっても恩人と言えましょう」
P「…変わった奴だな。俺は別に大したことはしてないぞ」
しかし、こいつといい水瀬といい、よくもまあ他人のことをそんなに強く思えるものだ。
人気商売である以上、同じ事務所内でもいつかは敵になるかもしれないというのに。
…少なくとも俺が961プロで関わった事務所はみんなギスギスした関係だったからな。
貴音「謙遜なさらずとも、プロデューサーの才腕については響だけでなく伊織からも伺っております」
P「…買い被り過ぎだ」
貴音「ふふ、慎み深い方なのですね」
66 :
P「で、話はそれだけか?」
貴音「はい、それと実は…」
店主「へいっ!ラーメン二丁お待ちしやしたあっ!」
話を遮るように店主が注文したラーメンを持ってきた。
一つは普通のラーメン、もう一つは…バベルの塔と表現すれば的確だろうか。
P「(並の人間の許容値を遥かに超えてるぞこれは…)」
貴音「…」
P「で、話の続きだが他に何かあるのか?」
貴音「…いえ、何でもありません。店主が腕を振るって作ってくださったらぁめん、折角ですので麺が伸びぬ内に頂きましょう。ところでプロデューサー」
P「ん?」
貴音「このらぁめんはどこから食せばよいのでしょうか?」
P「知らん」
67 :
貴音「真、美味しゅうございました。良き店を教えていただき感謝いたします」
P「そんな畏まって礼を言われるほどのことじゃない。美味かったのならまた来てやれば店主が喜ぶさ」
しかしまさか貴音の方が先に食べ終わるとは…男として少しプライドが傷付くな。
貴音「殿方と二人きりでの食事は初めてでしたが、とても有意義な時間を過ごすことができました。もし宜しければまた御一緒しても宜しいでしょうか?」
P「…何か相談事があるなら別だが、それ以外でプライベートまで付き合うことは出来ない。俺はプロデューサーでお前はアイドルだ。それを忘れるな」
別に四条との食事が不快だったと言うわけではないが、今一度お互いの関係について明確に線引きしておく必要がある。
深入りしても後々のことを考えればプラスになることはない。
貴音「…そうですね。申し訳ございません」
P「分かればいいさ」
ま、四条のことが少し分かっただけでも今回の食事は無駄ではなかったのかもしれないが。
68 = 34 :
四条と食事を共にしてから一週間。
スケジュールの都合であれから四条の仕事に付き添ってはいないが、事務所で何度か顔を合わせても特に変わった様子はないようだ。
相変わらず無駄に壮麗でミステリアスで…扱い辛い存在だった。
真美「にっしっし、聞いたよにい…プロデューサー」
自分の席で来週のスケジュールを調整していると、突然双海姉に肩を掴まれた。
プロデューサーと呼ぶようになったのはいいが、この馴れ馴れしさも早いとこ矯正する必要があるな。
P「何だ双海姉?」
真美「お姫ちんと二人で食事行ったんでしょ。ねえねえ、私も連れてってよー!」
P「誰から聞いた?」
真美「ピヨちゃん」
小鳥「ピヨッ!?」
音無さんの方を向くと、わざとらしく視線を逸らされた。
全く、口の軽い人だ。
P「…まあ、何か相談事でもあれば考えるさ」
真美「お姫ちん何か悩み事でもあったの?あ、そう言えば昨日…」
69 :
P「四条が男と二人で食事してた?」
真美「うん、ダンスレッスンの帰りに見かけたんだけど。ね~まこちん」
P「菊地、本当か?」
真「え、ええ。遠目だったのではっきり見たわけじゃないですけど、親子くらい年が離れてたような」
真美「まさか、お姫ちんの父親…つまりお殿ちんってことになるのかい?」
真「そんな雰囲気には見えなかったけど…ボクたちなんかじゃ入れないような高級な店に入っていきましたよ」
四条のスケジュール…昨日は確か深夜番組のアシスタントでTV局に行っていたはずだ。
一番最初の収録は俺も同行したが、その次からは四条一人で行っていたはずだが…。
言われてみれば確かに前より帰りが遅かったな。
収録が長引いたものだと思ってたんだが…。
P「…分かった。二人ともこのことは他言無用にしておいてくれ」
真「わ、分かりました」
…まさかとは思うが、念のため話を聞いておいた方が良さそうだ。
70 = 34 :
春香「お疲れ様でした!」
千早「明日もお願いします」
夕方、レッスン後に荷物を取りに来た春香と千早が帰って行き、事務所には俺と音無さん…そして四条だけが残っていた。
四条には前もって話があるから残るようにと伝えてある。
貴音「プロデューサー、お話と言うのは?」
P「ああ、単刀直入に言うが昨日お前が男と二人で食事していたのを見た奴がいるんだ」
貴音「!?」
P「今のお前の知名度なら問題になることはまず無いだろうが、所属事務所としてお前の交友関係をしっかり把握しておく必要がある」
貴音「…」
P「誰と食事していた?」
貴音「…申し上げることはできません」
71 :
言えない相手…家族や親戚の類ではないのだろう。
ならば尚更把握しておかねばならない。
P「俺はお前のプロデューサーで、お前を一人前のアイドルとして育てるのが仕事だ。そして何かあった時にお前を守る立場でもある。それを踏まえた上でもう一度聞く、誰と食事していた?」
貴音「…」
沈黙。
どうやらこれ以上の追求は時間の無駄なようだ。
P「…そうか、ならもう帰っていい」
貴音「失礼致します…」
最初に驚いた以外は終始表情を崩さず、貴音は静かに事務所から出て行った。
あの様子ではこちらがいくら追求しても口を割らないだろう。
P「どうやら俺は信頼されていないようですね」
黙って経緯を見守っていた音無さんに自虐的に話しかける。
以前音無さんにアイドルとの信頼関係がどうとか言われたが、結局これが現実と言うわけだ。
小鳥「いえ、貴音ちゃんは響ちゃんの一件以来プロデューサーさんのことは強く信頼していると思いますよ?」
P「そんな馬鹿な。だったら何で相手を教えないんですか?」
小鳥「詳しくは分かりませんが…"言わない"のと"言えない"のは違うということじゃないでしょうか」
72 :
小鳥「もし単純に教えたくないだけだったとしたら、嘘を吐けばいいだけじゃないですか。親戚って言われても私達には分かりませんし」
P「それはまあ…確かに」
小鳥「でも貴音ちゃんは嘘を吐かなかった。少なくとも嘘を吐きたくないくらいには信頼されてるってことですよ」
P「つまり何か"言えない"理由があると?」
小鳥「そこまでは分かりませんが、ここから先はプロデューサーさん次第です。貴音ちゃんのことしっかり見ててあげてくださいね」
73 = 38 :
『しっかり見てて』…そう音無さんに言われたものの、特に何の進展もトラブルも無いまま時間だけが無為に過ぎていった。
変わったところと言えば四条との会話が減ったことくらいだが、元々口数の多い奴じゃなかったから大して気になる問題でもない。
P「(今日のスケジュール…四条はTV局で収録。あの日と同じ深夜番組…か)」
正直なところ、四条の食事の相手と"言えない"理由については大体の目星が付いていた。
芸能界とて必ずしも華やかな世界ではなく、見えないところでは様々な裏取引が行われている。
今回のことも恐らく…。
P「四条、そろそろ出るぞ」
貴音「はい…」
もし仮に予想が当たっていたとしても、何も知らない俺には何もできない。
…それに、仮に四条の行動が何らかのトラブルを招いたとしても、俺に彼女を責める権利は無い。
周りに隠し事をしているのは四条だけでなく俺もなのだから。
74 = 34 :
P「(…終わったか)」
TV局での営業回りを終えてスタジオに戻ると、丁度四条の出番も終わったところだった。
収録自体はまだ続いているが、四条の仕事は一部のコーナーでフリップボードを持つだけだったので、これで今日の仕事は終わりだ。
しかし…いかにも深夜番組らしい無駄に露出の多い煽情的な衣装だな。
あまり四条に似合ってるとは思えないが…。
P「(…四条を迎えに行ってさっさと帰るか)」
そう思い先に出演者の控え室へと向かう。
しばし扉の前で待っていると四条と同じく役目を終えたアシスタント達が数人やってきたが…。
P「…?」
そこに四条の姿は無かった。
75 :
P「…ここにもいないか」
スタジオの周囲を探してみるが一向に見つからない。
流石に迷ってるなんてことはないだろうが、それならば一体どこに行ったんだ?
P「(勝手に帰った…わけはないよな、流石に)」
そうこうしている内に番組の収録が終わったのか、出演者やスタッフがスタジオから続々と出てきた。
仕方無い、とりあえず何か知らないかスタッフに尋ねてみるか。
P「あの、すいま…」
スタッフ「いやー今日の収録も大変だったなー」
AD「まあな…ってかまたディレクター途中でいなくなってたし」
スタッフ「ああ、そう言えば今日もアシスタントの女の子を口説いてたな」
AD「はっ!どうせあのエロオヤジのことだ。仕事サボって応接室あたりでよろしくやってるんだろうよ」
スタッフ「でもあの銀髪の娘、確かに可愛かったからなあ」
AD「おいおいお前もかよ、まあ美人だったのは同意せざるを得ないけど」
P「…」
76 = 28 :
P「…ここか」
スタッフ達の話に出てきた応接室。
場所を聞き出すのに手間取ったが、どうやらここで間違いないようだ。
カチャ
P「(鍵は開いてるか…)」
一先ず、ばれない程度にドアを開けて中の様子を伺う。
?「…」
?「…」
…ドアの向こうから言い争う男女の声が聞こえてきた。
貴音「…ですから、あの時は一度食事を共にするだけだと仰っていたではありませんか」
ディレクター「つれないねえ。そんなこと言わずにさあ、ね?」
77 :
聞こえてきたのは貴音の声と粘りつくような中年男性の声。
P「(まさかこいつが相手だったとはな…)」
黒井社長の下にいたときに何度か関わったが、俺としては公私共に二度と顔を合わせたくない男だった。
ディレクターの立場を利用してアイドル達を弄び、飽きたら躊躇いも無く捨てる。
芸能界の暗部の象徴とも言える男だが、まさかこんな形で再会することになるとはな。
ディレクター「私の言うとおりにすれば君はすぐにでもトップアイドルになれるんだがねえ」
貴音「誇りなき地位に価値などありません!離しなさい!」
ディレクター「強情な娘だ。まあ、別に君じゃなくてもいいんだけどねえ。前に君と一緒にいた…響ちゃんと雪歩ちゃんだっけ?彼女達も魅力的だったしねえ」
貴音「なっ!?」
ディレクター「それとも君たちを出入り禁止にするのも悪くないかなあ。765プロなんて弱小プロダクション、ちょっと不祥事をでっち上げればそれくらい簡単に出来ちゃうからねえ」
P「…」
相変わらずの下劣な物言いに虫唾が走る。
この男の立場でそんなことが出来るはずもないだろうに。
考えるまでも無くさっさと止めるべきだが、ここで俺が出ていっても765プロが逆恨みされるだけだ。
俺のことがばれても厄介だし、回りくどいが関係無い第三者を呼んできて…。
ディレクター「…そう言えば最近やっと君たちの事務所にプロデューサーが入ったそうじゃないか」
貴音「!?」
P「!?」
78 = 33 :
ディレクター「今日も必死に局内で営業してたみたいだが、肝心のアイドルがこう強情じゃあねえ。彼のことも何とかしなくちゃなあ」
貴音「…」
ディレクター「ま、そういう態度なら仕方ないねえ。私も心が痛いが…」
貴音「…なさい」
ディレクター「ん?」
貴音「誓いなさい!響や雪歩…それにプロデューサーには手を出さぬと!」
P「!?」
79 :
P「(我那覇や萩原だけじゃなく俺も…?)」
…嫌なら断ればいいだけじゃないか。
他人なんて気にせず、全て自分の意志で決めればいい。
少なくとも普段のお前ならこんな愚劣な行為を是としないはずだ。
なのにあいつは俺達を守るために自分を犠牲にするのか?
自分が売れるためではなく、ただ他人を守るために?
ディレクター「それはつまりOKだと受け取っていいのかなあ?」
貴音「ひっ…」
四条の小さな悲鳴を聞いたとき、俺の体は考えるより先に動きだしていた。
80 :
部屋に入ったと同時に、四条の胸元に伸びた男の腕を掴んで止める。
いつも凛としている貴音の顔は今まで見たことが無い怯えた表情をしていた。
その顔を見て沸々と怒りがこみ上げてくる。
P「…うちの四条の相手をしてもらっていたようで、ありがとうございます」
貴音「プロデューサー…?」
ディレクター「あん?何だ貴様は…」
P「お話に出てきた彼女のプロデューサーですよ。仕事の話でしたら私が代わりに承りますので…こちらに」
掴んだ腕により力を込める。
今のうちに貴音を安全なところに…。
ディレクター「ええい離せ!無礼者!!」
そう言って男は掴まれた腕を思い切り振り回した。
バシッ
P「…っ」
腕を離しこそしなかったが、振り回された手の甲が顔面に当たり、かけていた眼鏡が飛ばされた。
ディレクター「ん…?き、貴様は!?」
P「…四条、お前は先に控え室に戻れ」
貴音「で、ですがプロデューサーは」
P「いいから!」
貴音「は、はいっ!」
81 = 34 :
貴音が部屋から出て行ったのを見届け、床に落ちた眼鏡を拾う。
ディレクター「な、何故貴様がここに…」
P「…そう言えば以前お会いしたときは眼鏡をかけていませんでしたっけ」
前に黒井社長に指摘されたことだが、どうも俺はコンタクトだと目つきが悪くなるらしい。
故に簡単な変装も兼ねて、765プロに潜入してる間は眼鏡をかけることにしていた。
信頼は別に必要無いが、無駄に警戒までされては仕事もやりづらくなるからな。
おかげでこの男も今の今まで気付かなかったみたいだが。
P「何はともあれ思い出していただいて光栄です…が、貴方も懲りない人だ。淫行をネタに散々黒井社長に脅されて利用されたというのに」
ディレクター「黒井の犬に言われたくはないわ!」
犬…ね。
否定はしないが、言われて気分がいい言葉ではないな。
82 = 23 :
見てるよ
超面白い
83 :
P「…今のご自身の立場を理解しているんですか?まあ、また昔の様に戻りたいと言うなら話は別ですが。今回のことを報告すれば黒井社長もさぞ喜ぶでしょうし」
ディレクター「ちっ…」
P「…ま、今の俺は故あって765プロでプロデューサーをしているので、正直厄介事は御免なんですよね。ですからここは相互不干渉といきましょう」
ディレクター「何?」
P「今回の件を黙っている代わりに仕事を斡旋しろ…なんてことは言いません。ですから貴方も765プロに手出し無用でお願いします。もし彼女達に手を出したら…その時は俺も容赦しませんので」
ディレクター「…」
偉そうに啖呵を切ったところで、俺には本来この男を裁く権利など無い。
やり方は異なると言っても、黒井社長の共犯者として数多のアイドルを陥れてきたのは俺も同じだ。
…そして今も現在進行形で765プロに対して大きな嘘を吐いている。
この嘘を吐いている限り、俺と四条たちの間には本当の信頼関係なんて生まれないだろう。
だがそれでも今は…一人のプロデューサーとして彼女達を守りたかった。
84 :
ディレクターとの話を終えて控え室に戻ると、着替え終わった四条が一人で椅子に座って待っていた。
口調や容姿から年齢以上に大人びた奴だと思っていたが、こうして萎縮してるところを見ると、四条もまた一介の少女に過ぎないことを実感させられる。
貴音「プロデューサー…」
P「全く…そんなあからさまに不安そうな顔をするな。お前はアイドルなんだぞ」
戻る途中で買ってきたカップのココアを手渡し、四条の正面に座る。
貴音「あ、ありがとうございます。それで、その…」
P「安心しろ、お前が心配してるようなことにはならないさ」
懲りない男だが、あれだけ脅せば少なくとも765プロに手を出してくることは無いだろう。
どちらかと言えば961プロの人間が765プロでプロデューサーをしていると知られてしまったことの方が問題だが…。
そちらも誰にも言わないよう念を押しておいたので大丈夫だとは思うが。
貴音「私、あなた様に何とお礼を申せばよいのか…」
P「気にするな。俺も虎の威を借りただけだ」
貴音「?」
それにしても我ながら一時の感情で動いてしまうとは…やはり、らしくないな。
不思議とあまり後悔はしていないが。
85 :
このちょっとワルなP、どこかで見た事あるような。
もしかして、VIPでバネPにコーラぶっかけてなかった?
86 :
>>85
フリーランスのやつだっけ?
1年間契約で次の契約は投票で決めるとか決めないとかだか
87 :
P「悪かったな、俺がもっと早く気付いてやれればお前にこんな不快な思いをさせることは無かった」
一緒にラーメンを食べに行ったあの日、本当は四条はこのことを相談したかったんじゃないだろうか。
『無理やり誘われて困っている』…たったそれだけのことを言い出せなかったのは、四条なりに俺や事務所の仲間に迷惑をかけたくなかったからだろう。
…担当アイドルに気を遣われるとは、プロデューサー失格だな。
P「…だが同じ失態は繰り返さない。お前達のプロデューサーである以上、何があっても俺が必ず守ってみせる。だからお前も困ったことがあったら何でもすぐに話してくれ」
貴音「あなた様…グスッ…ヒック」
P「な、何でこのタイミングで泣くんだ!?」
貴音「ふふっ…涙は嬉しくても出るものなのですよ」
P「…」ドキッ
どこかの詩人が"美人の涙は彼女の微笑みより愛しい"と言っていたが、その気持ちが少し分かった気がする…。
って、何を考えてるんだ俺は…こんな感情はプロデューサーとして持つべきじゃない。
88 = 85 :
>>86
それそれww あのPも恰好良かったが、このPもなかなか男前だな。
89 :
>>86
961に堂々と発言してたやつか
90 :
P「…まあいい。ところで四条、このあたりの地理は詳しいか?」
貴音「こちらには仕事以外でも何度か訪れたことはありますが、それが何か…?」
P「そんな泣き顔で事務所に帰ったら音無さんに何言われるか分からないからな…」
貴音「?」
P「…丁度いい時間だし昼飯を食べてから帰るとしよう。前は俺が連れてったからな、今日はお前のオススメのラーメン屋を教えてくれ」
貴音「!…ふふ、そういうことでしたら私のらぁめんへの情熱に賭けて、至高の味を堪能させてさしあげます。それでは共に参りましょう、あなた様」
続く。
91 :
乙
こうやって皆に攻略されていくのか…
>>86
詳細を求む!
92 :
93 :
P「ここが765プロか…」
だった気がする。アニマス13話でライブ失敗したifストーリーみたいで楽しかった
94 :
それでは今回はここまでということで。
>>82
ありがとうございます。その言葉が何よりの活力となります。
>>85>>86>>88>>89
P「ここが765プロか…」
のことですね。
SSはこれが初めてなので別人ですが、アイマスSSの中で特に好きな作品です。
影響もかなり受けていると思います。
95 = 85 :
>>94
別人だったか。これは失礼しました。俺もあのSS大好きだ。
しかしこのPも恰好良いな。魅力のあるPってなかなか見かけないから期待してる。
乙。
96 = 89 :
>>94
影響受けてたか。道理でPがかっこいいわけだ。
とはいえ、ここまで書けるあたり>>1の才能もすごいんだろうけどさ
97 :
中々見かけないっていうか、大体の人の考えるPってのはゲームのような感じだからな
こういうタイプのを見るといつもと違った感覚を受けて魅力的に見えるのは往々にしてよくある
まあ何はともあれ、今日も乙
98 = 34 :
>>91
実際765プロに入社したら大抵の男は三日で篭絡されると思います。
>>92>>94>>96>>97
"カッコいいP"をテーマに書き始めたので、イケメンや魅力的と思っていただければ幸いです。
正直、少しやり過ぎかなと思っているところもありますので。
何はともあれ、ご披見いただきありがとうございました。
次回は週末頃になると思います。
次のお相手はプロジェクトフェアリー最後の一人…と言えば分かりますよね。
Pも少し吹っ切れてきたところなので、少しは肩の力が抜けてればなーと思います。
それでは。
99 :
100 = 89 :
>>99,99
おつかれさん。楽しみにまってるよ
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