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    元スレ男「イジメで地下倉庫に閉じ込められてる間に学校にテロリストが……」

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    551 :

    上がってると思ってきたらこれだ
    いい加減にしとけ

    552 :

    >>545
    また一人馬鹿が現れたか...

    553 :


    ───

     北校舎 玄関脇

    救急隊員A「おい……これ……」

    救急隊員B「……」

    救急隊員A「頭蓋損傷が激しいから一概には言えないが……この痕は……」

    救急隊員B「でも……まさか、こんな平和な町だぜ?」

    救急隊員A「しかしなぁ……」

     ……ウゥ────  ウゥ────

    救急隊員A「! 来たか!」

    救急隊員B「こりゃ俺たちの手には負えないからな……」

     キキーッ 

       バタン!

    警官A「どうも! お疲れ様です!」

    救急隊員A「お疲れ様です! それで……仏さんなんですが……」チラ

    警官A「う……これは……」

    救急隊員A「飛び降り、です」

    警官A「……ふむ……」

    救急隊員A「それで、ちょっと気になることが……」

    警官A「気になること?」

    救急隊員A「……そこです……」

    警官A「……ちょっと失礼」 ゴソ…

     ゴトリ…

    救急隊員A「……」

    救急隊員B「……」

    警官A「これは……」

    警官A「………銃痕………」

    ───

    554 :

    待ってた

    555 = 553 :


    ───

      南校舎 1階 空き教室

     部屋に、沈黙が降りた。
     主に沈黙を守っているのは隊長だ。
     口に指を当てながら、考え込む素振りを見せている。
     一方で3BOはおろおろと動きながら落ち着かない。

    隊長「………」

    3BO「た、隊長! どうするんですか!? もう、警察もこっちに……奴を捕まえるどころじゃ……」

    隊長「………」

    3BO「……?」

    隊長「奴の情報を手に入れることは出来なかった」

    隊長「が、」

    隊長「計画に変更は無い」

    3BO「え……」

    隊長「警察に知られた今がタイミングだ。 声明文を発表する。」

    3BO「声明文……あ、……そうか、そうでしたね……」

     隊長が腰の無線を取り上げる。

    隊長「……1AO、1BO、1CO、1DO、聞こえるか」

    ───

    556 = 553 :


    ───


    1AO「……」


    ───


    隊長「今こそ、我々の思想を、行動を、魂を、全世界へ示す時だ。」


    ───


    1BO「……」


    ───


    隊長「この瞬間から、我が教団の、我ら一同の、新世界が幕を開けるのだ!」


    ───


    1CO「……」


    ───


    隊長「各自、自身の担当する公表先へ、速やかに……」


    ───


    1DO「……」


    ───


    隊長「 声明文を、発表せよ!! 」


    ───

    557 = 553 :


    ───


      毎朝新聞社

     リーンリーン ガヤガヤ

       ザワザワ  ガシャンガシャン

     ジリリリリ!  オーイ! コッチダコッチ!

      ウィーーン ガシャ     プルルルルル

    記者A「ケッ……何だよ何だよ、シケたネタしか上がってこねーなぁ」

    記者B「んー……ロクなネタがねぇな……えーと何々?、岡山県で猫が一日駅長、と……」

    記者A「かァ~~っ! しょっぱい!しょっぱすぎる! もっとこう……ガツンとしたネタはねぇのかよ!」

    記者B「すぐそれだな、お前は……。 そんな都合の良く事件なんか起こるもんか」  プルルルル!

    記者A「ん……? 何だ? 電話?」プルルルルル!

    記者B「なんだ何だ、事件の知らせかもしれねぇぞ」

    記者A「よせよ、そんなウマい話……。 ガチャ はい、もしもし」

    ───

    558 = 553 :


    ───

      西スポ新聞社

    デスク「で、だ。 新ネタは上がったのか?」

    記者C「は、はい! えっと、大阪で新妖怪現る……! というネタなんですが、どうでしょうか……?」

    デスク「新妖怪?」

    記者C「はい、えっと、かみつきオヤジ、という新たな妖怪というか、都市伝説というか、そんなウワサが……」パラパラ

    デスク「………」

    記者C「上手く行けば、口裂け女のように全国レベルの大スクープに……!」

    デスク「却下」

    記者C「……」シュン…

    記者D「あ、デスクー! デスクさんーっ!」パタパタ

    デスク「何だ、騒がしい」

    記者D「お電話ですっ」

    デスク「チッ……何だ、こんな時に」

    ───

    559 = 553 :


    ───

     日売テレビ 報道部

    記者E「何!? 救急無線から異状死体って単語が出て来た!?」

    記者E「よし!! そのまま傍受を続け……ああ分かったよ!謝礼は今度払う!また頼むぜ!」

    記者G「?? 何か事件ですかぁ?」

    記者E「おう! 何だか面白いことになりそうだぞ! ちょっと取材してくる!」

    記者G「え……で、でも今から会議じゃ……」

    記者E「んなもんほっとけ! 特ダネだ! 上手く行けば夕方のニュースまでに間に合うかも知れん」バタバタ

    記者G「えぇ!? 夕方のニュースのトップは、大物女優の不倫と、あと、」パラパラ…

    記者E「はぁ……お前なぁ……」

    記者G「ハチローのメジャー進出と、関西の新型インフルエンザ特集と、あと……」

    記者E「馬ッ鹿野郎!!」ドン!

    記者G「っ」ビクッ

    記者E「記者なら最新の情報を追いかけろ!! いつまでも古い情報にこだわってんじゃねぇ! 俺ぁもう行くぞ!」

     ピリリリッ

    記者E「あぁ? 何だぁ?」

     ピリリリリリリ!

    記者E「ったく、こんな時に……」

    ───

    560 = 553 :


    ───

     警察本部

    警官B「はいこちら本部……」

    警官B「はい、……はい?」

    警官B「あのねぇ、イタズラならよそで……」

    警官B「………」

    警官B「……!」

    警官B「……ちょ、ちょっと待ってなさい……」

    警官B「っ部長! 部長ー~~ っ !!」

    ───

    561 = 553 :


    ───

     MHK 報道部

    記者H「おい……このメール、どう思う?」

    記者J「ん? どれどれ?」

    記者H「既に電話にて詳細は聞いた……わざわざ文面でも"発表"してきやがったよ」

    記者J「……これ……本物なのか? 本当に……こんな……」

    記者H「……やりかねない。 奴らなら……」

    記者J「お、おい! もしこれが本当なら、すぐに速報で……」

    記者H「もう上に話は通した。 もうじき速報テロップが流れるだろう……」

    記者J「……他社は?」

    記者H「確認した。 ほぼ全ての主要マスコミに声明文が発表されているらしい」

    記者J「……それなら……」

    記者H「ああ、」

    記者H「乗り遅れる訳には、いかないな……!」

    ───

    562 = 553 :


    ───

     (アパート)

    TV『さて、大人気のこちらの商品がなんと……』

    「ふーん、いいわねぇこれ」ボ~~…

    TV『本日限定の特別…… ザザ… パッ  えー、番組の途中ですが、失礼します。緊急ニュースをお伝えします。』

    「緊急ニュース……?」

    TV『えー、先程、新興宗教団体"無応真理教"から声明文が届きました。教団によると、』

    「あ、洗濯物干さないと」

     そう言って男の母はリモコンへ手を伸ばした。

    TV『武装した信者が……』 ピッ  

    「やれやれ、主婦も楽じゃないわねー」ヨッコラセ

    ───

    563 = 553 :


    ───

     警視庁

    総監「……本当なのか、これは……」

    監理官「……はい。」

    総監「……すぐに関係各所へ連絡、SATを手配しろ」

    監理官「はい、ただちに……」

    副総監「……警視総監、」

    総監「……どうした」

    副総監「お電話です…………総理から」

    総監「……」

    ───

    564 = 553 :


    ───

    警官A「……銃痕です……間違い無い……」

    救急隊員A「やはり……銃による……」

    救急隊員B「……」ゴクリ

     …ザッ…

    警官A「あ、無線が……」

    警官A「あー、こちら現場から。 ちょうど良かった、すぐに応援を……」

    警官A「え!? 即、帰って来い、ですって!? そんな馬鹿な……!」

    警官A「だって、銃による異状死体ですよ!? しかも、この学校も変だ! 人っ子一人……」

    警官A「……そんな、本庁から……」

    警官A「………」

    警官A「……了解」 ザッ

    救急隊員A「……どうしたんですか?」

    警官A「……すぐにここを離れるぞ」

    救急隊員B「え……?」

    警官A「これは………命令だ」

    警官A「国からの、な」

    ───

    565 = 553 :


    ───

    3BO「……これからどうなるんですか?」

    隊長「…………」

    隊長「……まず、この学校は警察とマスコミに完全に包囲される」

    3BO「!!」

    隊長「ただし、半径500m以内を極力無人にし、望遠による監視、ヘリを飛ばすことを禁じた。」

    隊長「破れば、人質を即殺す、とな。」

    3BO「……」

    隊長「資金の受け渡し、独立候補地への我々と生徒の輸送は別途要求してある」

    3BO「……なるほど……なるほど……」

    隊長「………」

    隊長(………)

    隊長(……今の敵は、警察でも、国でもない……)

    隊長(………)

    隊長(…………)

    隊長(……奴だ……。)

    隊長(奴は……、)

    隊長(奴は、どう出る……?)

    ───

    567 = 553 :

    ここまで。

    574 :

    応援してるから頑張れ

    575 :

    乙!

    頑張ってください

    576 :


    頑張れ!!

    577 :

    面白い
    でも気持ちが悪い

    578 :

    乙!
    つまりスルーってことだね。 気を付けます

    579 :

    乙です!
    オカン無関心すぎワロタww
    まぁ、オレオレ詐欺の電話(偽)が何度も来たから機嫌悪かったんだろうけどな。

    580 :

    乙乙!!

    581 :

    俺は>>567に従おう

    >>1乙!

    582 :

    用するに、スルーが一番ってことだな

    583 :

    お疲れ様
    >>582
    そういうのがいらない

    584 :

    ブーメラン乙ww

    585 :

    お前等わざとだろ……
    >>1にこんなに言わせたんだから落ち着いてくださいお願いします

    586 :

    正しいか正しくないかの裁量でいえば俺が正しかった
    ただつまらない論争を呼ぶこと自体が正しいかというとそれに正当性はない
    >>1は間違いなく正しい

    587 :


    ーーーーーここまで>>1による策略ーーーーー

    588 :

    おとなしく策略にはまろうぜ

    589 :

    漢は黙って>>1

    590 :


    見事なスルータイミング…流石俺の母ちゃんだ

    592 :

    声明文への掲示板の書き込みがリアリティあって良い
    こういう描写って面白いよね

    男のこの長い休憩が後に窮地の原因になりそうな予感


    593 :


    ───

    隊長「………」

    3BO「……いよいよです、ね」

    隊長「……ああ」

    3BO「……もう戻れません、ね」

    隊長「……ああ」 カチカチ…

    3BO「……? 何してるんですか?」

    隊長「奴が持っている無線……元はスナイパーの物だが……それを遠隔で無効にする」

    3BO「! そ、そんなことが出来るんですか?」

    隊長「私が持っているのがマスター機だ。 周波を変えればた易い……。 が、」

    隊長「………」

    3BO「どうしたんですか?」

    隊長「……無線……いや………」

    隊長「何でもない」

    3BO「……?」

    隊長(何かが……何かが引っ掛かる……)

    3BO「隊長……?」

    隊長「いや……少し、考え事だ」

    3BO「気を付けてくださいよ……いつ、どこから奴が狙撃してくるか……」

     3BOは震え上がっている。
     当然だ。
     スナイパーに狙われるなぞ、正に生きた心地もしないだろう。

    594 = 593 :


    隊長「狙撃、か……」

    3BO「……?」

    隊長「………」

    隊長「3BO」

    3BO「ッ? はいっ」

    隊長「何故奴は……狙撃していることを自ら我々に教えて来たんだ?」

    3BO「え……?」

    隊長「狙撃のことを知らせずに、こちらが隠れる前に数名狙撃して殺した方が、奴には有利だろう?」

    3BO「それはぁ……そうですけど……。 あ、アレじゃないですか、撃つより脅した方がめんどくさくない、というか」

    隊長「めんどくさくない……?」

    3BO「ええ、まず、我々を脅す。 そして、我々が降伏してくるのを待つんです。」

    隊長「降伏……。」

    3BO「はい、そうすれば、狙撃する労力を使わずに、我々に勝つことが出来るじゃないですか」

    隊長「なるほど……。」

    3BO「へへ……」

    隊長「しかし、だ」

    3BO「え?」

    隊長「奴は……無線を切っている」

    3BO「……あ。」

    隊長「恐らく、こちらとの交渉を拒んでいるのだろう……。 確かに、場合によっては交渉は自身には不利になることもある。」

    隊長「無線を切った判断が間違いだとは思わない。 しかしだ、」

    隊長「もし奴が"降伏を促したい"のなら……こちらとの通信を完全に絶ってしまう、というのはおかしい」

    3BO「確かに……無線で『もう降参です』って伝えることが出来ないですもんね……」

    隊長「更に、奴はわざわざ自身が訓練を受けた身であること、こちらを皆殺しにするという意思、加えて狙撃という具体的な行動まで示して来た……」

    隊長「明らかに"こっちに近付くな"と言っている。 我々の動きを封じる為だろうが……それなら益々"我々が降伏の意思を伝える"ことは困難になる」

    3BO「た、確かに……」

    隊長「奴がしていることが……いちいちチグハグなんだ……辻褄が合わない……。」

    3BO「う、うーん……考えれば考える程分からなくなってきました……」

    3BO「奴は……奴は一体何がしたいんでしょう……?」

    595 = 593 :


    隊長「……」

    隊長「『何故奴は狙撃することを我々にわざわざ教えて来たのか?』 この問いを言い換えれば……」

    3BO「言い換えれば……?」

    隊長「『何故奴は黙って狙撃しなかったのか?』となる……。 何故……。」

    3BO「うーん……俺達が上手く見えなくて、それで狙撃できなかったとか……あと下手だったとか……いや、そんな……」ブツブツ

    隊長「…」ピク

    隊長「……今何と言った」

    3BO「え?」

    隊長「今、何と言った?」

    3BO「え、あ、いえ…その、我々が、その、よく見えなくて、狙撃できなかったのではないかとぉ……」

    隊長「その後だ!」

    3BO「ひっ!? え、えっと……下手だったから、狙撃の腕に自信が無かったんじゃないか、とか、そんな、ことを、はい、すいませんっ」

    隊長「………」

    隊長「…………」

    隊長「……3BO」

    3BO「っはい!」

    隊長「……私は………」

    隊長「私は、お前に何と言っていた?」

    3BO「へっ……」

     戸惑う3BO。
     隊長の頬を汗が流れる。

    隊長「私はお前に……"奴について"何と言っていた?」

    3BO「えっ、奴について、ですかっ? ええっと……」

    3BO「軍事的な訓練を受けていて……頭も良くって……勇気もある……とても恐ろしい人間だ、と」

    隊長「………」

    3BO「………た、隊長?」

    隊長「……私は」

    3BO「……」

    隊長(私は……何か重大な思い違いをしているのか……?)

     口に手を当てて考え込む隊長。
     その目が、微かに、その野生の光を増しつつあった。

    ───

    596 = 593 :


    ───


      ゾ  ク  ッ


    「~~ ッ!?」

    (な、何だ……急に、背筋が、ゾクッと……)ビクビク

    「………」

    「………」ゴクッ…

    (……何か)

    (何か、見落としがある……のか……?)ビク、ビク

    ───

    597 = 593 :


    ───

     男 宅

    「やれやれ、やっと洗濯終わり……」

    「よっこらせ」

    「テレビは何かやってるかしら」 ピッ

    TV『── ザッ …… えー、引き続き臨時ニュースをお伝えします』

    「なぁんだ、まだ物騒なニュースやってるのね……」

    「やめたやめた」

    TV『えー、信者達が立て篭もっている高…』 ピッ

    「……ふぅ、一休みしてごろごろしようかしら」

    「うーん……」ゴロゴロ…

    「………」ゴロゴロ

    「……」

    「………z」

    「……zZZ……」スー…スー…

    「……zzZZ……」スー… スー……

     ……スー ………
        
        ……スー ………

      …………

    ~~~~~~~

    「そんな………」

      「………」

    「ウソでしょ!? ねえ……!」

      「……別れる」

    「そんな……そんな、だって……」

      「………」

    「結婚、してくれるって……言ったじゃない……」

      「………」

    「だから……だから、あたし、あたし…それ信じて……ずっと……!」

      「……お前とは、遊びだった」

    「っ……そん、な………」

    598 = 593 :


      「……大体、そのお腹の子だって、俺の子か怪しいもんだ」

    「ッ!? そんな!? 本気で言ってるの!?」

      「……お前だって……俺みたいな一回りも歳が違う男に本気になる訳がない……」

    「っ違う! あたしは……あたしは本気であなたを……!」

      「どうせ、他の若い奴とデキてるんだろう? 腹の子はそいつの種で出来たんだろう……」

    「……ひどい……酷い……っ………。 この子は……この子は正真正銘、あなたの……」

      「黙れ」

    「………。」

      「………」

    「……勝手だよ……。 この子は……この子はどうするの……?」

      「堕ろせ。 金だけは出してやる。 俺の子か分からんモノに金を出してやるんだ、感謝しろ」

    「………だ……」ポロ…

      「あ?」

    「……やだ…… やだよ……」ポロ…ポロ…

      「………」

    「この子には……この子には何の罪も無いじゃない……」ポロ…ポロ…

      「………」

    「そんなの……そんなのおかしいよ……」ポロ…ポロ…

      「お前まさか……産む気か」

    「………」コク

      「……チッ…… 勝手にしろ…… もう、俺には関係の無い話だ」

    「………」ジワ…

      「……もう、会うことも無いだろう。 さよならだ。」

    「………」ポロ… ポロ…

      「………ふん」 

    「……分かったわ」ゴシゴシ

      「ん?」

    「この子は……私一人で育てる……」ゴシゴシ

      「……本気で言ってるのか」

    「……」

      「……勝手にしろ……っ」

    「……」

      「せいぜい、軟弱でひ弱なガキを育てるんだな」

    「………」

      「臆病で、軟弱で、最低のクズで……っ」

    「どんな子だっていい……ッ」

      「ッ」

    「あたしは……この子を……」

      「………」

    「 愛してる。 」

    599 = 593 :


      「……チッ…… これだから女は……」

    「………」

      「フン……」

    「貴方は……可哀相な人間だわ」

      「あ゙……?」

    「強がってて、強がることに必死で、哀れな人」

      「強がっている……だとォ?」

    「そうよ……弱くて可哀相な人間」

      「弱い……この俺が……弱い、だと?」

    「ええ……」

      「ッふざけるな! 俺が弱いなぞ……! 日々鍛錬を重ね、国の為に……ッ」

    「本当の強さは……!」

      「………」

    「本当に強いっていうのは……自分の弱さを認められる強さよ……!」
     
      「……くだらん。 自分の弱さを認める強さだと……? 軟弱者の世迷言だ。」

    「この子は……この子は、本当に強い子になるわ。 きっとそう 貴方とは違う」

      「はっ……戯言を」

    「………」キッ

      「ふん……まあいい。 俺は近々昇格が決まっている大事な身だ……。 くれぐれも、妙な騒ぎだけは起こすなよ」

    「……が……よ……」

      「あ?」
     
    「何が昇格よ……。 大事な身よ……。」

      「………」

    「家族も守れない人間が……国を護れる訳ないじゃない……っ!」

      「貴様ッ!!」


     バ シ ィ ッ !

    「あうっ……!」 ドサァ…

      「……はぁ……はぁ……」

    「………」キッ…

      「……フン……」 クルッ スタスタスタスタ…

      コツ、コツ、コツ

       コツ…… コツ……

         ……コツ……

    「………」

    600 = 593 :


    「………」

    「………ごめんね、痛かった?」ナデナデ

     そっと、優しい手つきでお腹を撫でる。

    「…………ごめんね……ごめん、ね………」ポロ…ポロ…

    「……ごめんね………」ポロポロ… ナデナデ

    ………



    ~~~~~

    ……

    ………


    「………ハッ……」パチ

    「………」

    (……いやな夢……もう……とっくに忘れたと思ったのに……。)ハァ

    「………」

    「~~~~ っ」ブンブン

    「忘れよ忘れよ、 夕飯の買い出し行かなきゃいけないしね、うん」

    「……今夜は何作ろうかな…… 何を買ったらいいかなぁ……」

     母はそう言いながら、テーブルの上のメモ帳のペンを取る。

    「今日は少し暑いから、さっぱりした物で……あと野菜も安くなってるから……」カリカリカリ

    「献立は……そうね、これで行こうかしら」カリカリカリカリ…

    「だから買う物は、と……」カリカリカリカリ…

    「………」ピタ

    「…………」

    「………ふっ……」

    (……メモを取る癖……元はあの人の癖だったのに……)

    (………)

    (…………)

    「……忘れよっ」

     そうつぶやくと、母はメモを掴んで立ち上がった。

    ───


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