元スレ美琴「ねぇ、今のキス…もう一回…」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
206 :
今日は無理そうか
207 :
―――そのへんの公園とか、なんとか…かんとか…話せる場所なんて他にいくらでもあっただろうが
…何で、ソッコーで自宅を選択するんだよ、俺……
早々と気づいた方ではあるが、我ながら自分の無神経さに驚き落胆した。
上条は困ったようにうーっと目を細めながら、
ドアノブに手をかけたままピタリと動きを止める。
「…………」
先週の出来事を思い出して、美琴を家に入れて良いものかと
上条は思いとどまり扉を引くことができなかった。
ほんの数秒、上条は思考を巡らせる。
スーパーの袋を二つ持った自分に、そこそこ膨れたトートバックを持った美琴。
荷物は重い、どこかに置けると良いだろう。
……ならば、すぐに向かえる我が家に置いておく方が良いではないか。
おそらく食料品だろうスーパーの袋の中身は…冷蔵庫に入れるておくべきだろう。
ならば、すぐに向かえる我が家の冷蔵庫に入れておく方が良いに決まっている。
つまり、とりあえず家に…という選択は間違っていないはずだと。
これは正当な判断であると。
家に連れ込むといっても何も不純な理由などないはずだ、
…と上条は自分に言い聞かせた。
209 = 1 :
しかし、そんなことを言い聞かせたところで
彼を悩ます現状が変わるわけではない。
―――はぁ…結局、やましい理由がなくとも、お付き合いをしているといっても
はたから見れば、女子中学生を自室に連れ込もうとする
(変態)男子高校生には変わりはないわけで…はぁぁ
上条は、そんなことを考えながら美琴をチラリと見やる。
その時、何かを期待していたのかも知れない。
「早くしなさいよ」とか、「なにぼーっと、してんのよ」とか…
気が強くて、勝ち気ないつも通りの美琴の姿を。
しかし、違った。
そこには…――――
「―――!」
―――……そこには唇をかみしめながら、
ただ一点を見つめる二つの丸くなった瞳。
ドアノブを握る上条の右手にじぃっと視線を注いでいる美琴がいた。
息も漏らさないようにかたく閉じた唇。
緊張から強張った体。
――いつもの美琴――
…なんて姿は、無かった。
210 = 1 :
すみません
ここまで、準備して書き込みせずに寝落ちした;
本当にすみません。
今日は無理なので、金曜日に投下したいと思います。
中途半端な感じですがまた金曜日に
211 :
乙
舞ってる
213 :
乙
早くいちゃいちゃが読みたいよー
215 :
もうクリスマスだよ……
216 :
上条の手がドアノブにかけられた途端に、美琴の心臓はドクンと大きく跳ねた。
時間の流れが妙にゆっくりとして、ドアノブを回そうとしている上条の手から目が離せない。
―――今度は、
美琴は、頭からだんだんと熱っぽくなる体の異変に気づく。
逃げ出したくなるほどの不安と緊張で体にぐっと力が入った。
―――…ちゃんと伝えなきゃだめんだから…
今度は彼に背中を向けたくない。
そんな思いで美琴は強く彼の手に視線を注いでいた。
「……はぁ」
上条は小さくため息をついた。
そんな上条の反応に、美琴の耳がピクっと揺れる。
先ほどまで見入っていた右手への視線を外し上条の顔へと向けた。
「……やっぱ、……やめとくか」
「え!?」
美琴は上条の言った言葉に思わず驚きと疑問符の混じった声を漏らす。
「なっなんで、よ…」
そう問われても、先週の出来事が原因であることをわざわざここで、
説明するとさらに気まずくなるのは目に見えている。
217 = 216 :
上条は足を一歩後ろにひいて、美琴とわずかばかりに距離をとる。
ドアノブに手を置いたままなので、実際の距離なんてさほど変わらないが。
パフォーマンスのように引いた足がいた地面とドアノブ交互に目線を動かして、
上条はなんと言えばいいものかと悩みながら答えた。
「いや、その…なんだ…お前なんか様子変だし」
「…っ!?」
上条のその言い方には、なんとなく先週の出来事を思い出させるニュアンスが込められていた。
美琴だって、そのことを忘れていた訳ではない。
彼に押し倒された、キスをしたあの日。
そんな日を忘れられるはずがない。
意識せずにはいられない。
触れた唇の感触も、
手のぬくもりも、
自分の意志とは関係なく、
体は求めるように全てを思いだそうとしていた。
ドアノブに手をかけた、彼の右手は…
―――私の、
体に優しく触れてきたのだ。
触れた場所を思い出すと、そこの温度だけ上昇して
体から浮いているような感覚がした。
そんなことを考えていたのが見透かされたようで…
美琴は頬を真っ赤にして、はっと驚いた表情を浮かべていた。
美琴は思わず、上条から逃げるように目を逸らす。
218 = 216 :
その表情に上条はやっぱり美琴も困った状況にあるのだと確信した。
『―――やめてよ!』
脳裏に浮かんだ、あの時の美琴の顔。
もう、あんな顔をさせたくなかった。
あんな思いをしたくなかった。
美琴に拒まれたくない……
……と、この期に及んで、自分のことしか考えていないことに気づく。
その思いに上条は自身に苛立ちを覚えた。
悲しませたくないから、
つらい思いをさせたくないから、
そう言って守ろうとしているのは
美琴ではなく、
―――自分自身じゃねぇか……
「…荷物は置いといてかまわねえからさ」
何もないように。
明るい声で、上条はそう言った。
「ちょっとここで待ってろよ、な?」
言い聞かせるように上条は言葉を続けたが…美琴の反応はない。
そらした視線をあげようとはしなかった。
食材は空っぽの冷蔵庫に入れて、美琴の鞄はとりあえず玄関先に
置いておこうと上条は頭の中で扉を開けてからの行動を立てていた。
「……公園とか…カフェとか…ほら、俺ん家じゃ気ま………―――」
言いながら、美琴の持つトートバッグを預かろうと上条がドアノブから手を離そうとした。
219 = 216 :
――――その瞬間。
「―――ここでいいのよっ!!」
美琴は声を張り上げてドアノブから離れようとした上条のその手を
押さえつけるように握りしめた。
「へっ!?」
驚くのが先で、力強く握りしめられた手の痛みは
後からじわりとやってきた。
「アンタと……ふっ、ふた……二人っきりじゃなきゃ…意味ない……」
―――ここじゃなきゃ、だめなのよ……
「みっ…御坂?」
握られた右手が熱い。
「………また…ここから逃げたら…だめなんだから…」
上条の右手を掴んだ美琴は、そうつぶやいてさらにギュッと手に力を込めた。
小さくボソッとつぶやいた美琴の声を聞き取れなかった上条が
「なんて?」と聞き返してきた。
美琴はキッ視線を上条に向けると怒鳴るように声を上げた。
「っ!!!!とにかく!!!!!なかっ入るわよ!!!!」
そのまま無理やりドアノブを回したものだから、
上条は「う゛っ!」と小さく呻き声を漏らした。
そんな声はさっぱり聞こえてない様子で強引に扉を開けた美琴は
そのまま勢いで上条より早く、部屋の中へと入っていってしまった。
220 = 216 :
4レス投下しました
また、お約束した日に投下できず…;
やっと密室に二人きりとなりそうです。
いちゃいちゃタイムも近いか…?
いつもありがとうございます。
こんな拙い妄想ですが少しでも上琴楽しんでもらえたら幸いです。
お察しの通り、上琴AAににやにやしております。
美琴さんほんと可愛いですね。
次は、来週中に来れたらと思いますが年末ですのでね…
221 :
乙
舞ってる
222 :
乙面!
超待ってます
223 :
乙なんだよ!
224 :
一気に読んだー
なんていうかこう…いいもどかしさだな
227 :
下着脱いで上着を着て舞ってる
228 :
凍死しそうなんだよ!
229 :
久々覗いたら進んでたっ!ついに入ったか・・・(部屋に)
いつまでも全裸で待ち続けてる
233 :
待てねぇーー
誰かこれみたいな上琴ラブラブちゅっちゅもの知りませんか?
234 :
待つのが辛い、その気持ちは良くわかる!
けどそういうことは、おすすめスレで訊くべきだと思う
236 :
お久しぶりです
こんなのに待ってくださってありがとうございます;
今月中には投下できる目処が立ちそうです。
ヒロインタイムあたりくらいが目標。
そのくらいに覗いていただければ進んでいるかと思います。
近況としましては、相変わらず、美琴さんの可愛さに翻弄されています
では
237 :
全力で舞ってる
238 :
よっしゃ全裸待機
239 :
パンツ投げ捨てた
240 :
盗んだパンツで走り出す~♪
241 :
―――どうしよう
――――どうしよう、どうしよう
美琴はスカートの端を小さくギュッと、ほんの少しだけつまんだ。
手のひらに集まった汗が気持ち悪い。
扉を開けたその勢いで入ったはいいが、いざ目の前に広がった
彼の部屋の光景に体は固まってピタリと止まってしまう。
頭の中では、あの日のフィルムが断片的に、カシャカシャと切り替わっていた。
触れた唇
ふりほどけない手
知らない感情
見たことない
―――アイツの姿
―――アイツの、
悲しい顔………
呼吸がうまくできなくて、鼓動は焦るようにはやくて。
―――…息、…できな……――――
「………あのぉ、」
「―――ッ!?」
驚いた猫みたいに美琴はびくっと肩を震わせて、首を傾け後方を確認する。
扉を片手で引いたままの上条がそこにいた。
「……入るなら入ってくんねーと、俺も入れないし」
美琴が小さな玄関を占領したため、我が家であるはずの玄関に
足先も入れられず、そのまま立ち尽くしていたのだ。
242 = 1 :
「う、うるさいわね!入るわよ!」
大袈裟な動作でズカズカと、美琴は靴を脱いで部屋の奥へと歩みを進める。
美琴が部屋の奥に歩みを進めるのを確認して、上条はひとつため息をついた。
―――はぁ……どうすっかなぁ~……
これから、この部屋で美琴と二人きりになることを思うと…会えて嬉しい半分、
何とも言えない重苦しい空気に耐えきれなくなりそうで気が引けた。
上条は首をふってマイナスに流れる思考を止める。
そして、そのまま靴を脱ごうと、視線を落とす。
ふと目に入った美琴の脱いだローファー。
あの入り方でも美しく揃えられているのは、やはりお嬢様というべきか。
243 = 1 :
テーブル、ゲーム、ベッド、あの日に関わるものたちの佇まいはそのままで、
部屋の奥で美琴を静かに待ち受けていた。
―――あの時と、全く同じってわけじゃない…
………落ち着きなさいよ、私
美琴は、小さく息を吐いた。
―――決めてきたじゃない
………何のために来たのよ
決意をゆっくり確かめるように心の中で繰り返す。
―――アイツにちゃんと……言わなきゃ…
このままじゃ………
「―――……なぁ!おい!」
「ッ!?」
慌ただしい動きで、美琴が振り返るとスーパーの袋を
両手に2つ抱え込んだ上条が呆れた顔をしている。
どうにも、何度も美琴に声をかけていたようだった。
「あー、もう…座っとけよ…落ち着かねーだろ……はぁ~……」
「何よ、そのため息!」
何でもねーよ、というように首を小さくふって、上条は美琴に背を向けた。
向けられた背中を見送ってから、美琴はまた部屋をぐるりと
半周ほど見渡した。
「とりあえず、冷蔵庫入れとくからな~」
「………あ、うん…ありがと」
声がする方に顔を向けて、背中を見せたままの上条に
美琴はそう言葉を返す。
244 = 1 :
冷蔵庫を開け、中身を確認するため袋の中をのぞき込んで…
そして、自分の家の冷蔵庫の中を睨みつける。
袋ごと突っ込んでやろうと思ったが、そこまでのスペースを
上条宅の冷蔵庫は確保できていなかった。
上条は面倒くさそうに、袋から中身を取り出して冷蔵庫へと詰め込んでいった。
「つーか、なんだよこの量?」
「えっと…お昼…ごはん…とか…」
すぐ食べれそうな、サンドイッチやらおにぎりやらがいくつか上条の手に握られていた。
袋の中にもまだ残っている。
「へー…、御坂もけっこう食うんだな」
明らかに一人分以上の量に、某大食いシスターを思い出す。
彼女にはこんな量じゃ足りないくらいだ。
「なっ、ば、ばかじゃないの!アンタの分に決まってるでしょ!」
「へ?」
「…お昼まだ…だったら、と思って…その一応……」
「え?……あ、あぁ……ありが、とな」
「う!あ!ど、どういたしまして……」
妙にぎこちない会話に、二人とも引きつった笑みを浮かべていた。
「………」
「………」
ついには沈黙。
互いの心情を感じ取って、言わなきゃいけない…と、小さな決意に二人は心を揺らす。
245 = 1 :
上条は何となく音を立てないように静かに冷蔵庫の扉をしめた。
それでも、パタンとその音は静まり返った部屋に充分すぎるほど
響いてしまった。
美琴もテーブル前に静かに腰を下ろしてぺたりと座り込む。
床に腰を落ち着けると、なんとなく焦る気持ちにゆとりができた気がした。
息を吸い込んで、美琴は心を決めた。
「「―――…あの、」」
互いの姿が見えない状況で二人の声が重なる。
「えっ!!!?」
「う!!あ……っとー、御坂さんからどうぞ…」
「な、なによ?」
「いや、お前こそなんだよ…」
「私は…べつに…―――」
言いかけて美琴は首を振る。
ここで、ごまかしてしまっては結局何も言えないではないか。
「アンタ…そんなとこに居ちゃ話せないじゃない…こっち来なさいよ」
「…あ~確かに、そうだな」
上条はゆっくりした動きで、冷蔵庫の前から立ち上がると
美琴のいる部屋に向かう。
「…こちらに座らせていただきますね」
「アンタん家でしょ、勝手にしなさいよ」
そう言って、上条は美琴と少し距離をとってあぐらをかいた。
座る時の動きで、部屋の空気がふわりと揺らいだ。
鼻の前を通ったその揺らいだ風の中から、美琴は無意識のうちに
彼の匂いを追っていた。
246 = 1 :
5レス投下しました;
いちゃいちゃまで…はやくいちゃいちゃまで
夜来れたら投下します
無理なら次はたぶん木曜日か土曜日あたりに
247 :
いつもながら丁寧な描写だ 乙!
249 :
おつにゃんだよ!
250 :
このもどかしさ、そしてこのもどかしさ……
乙!
みんなの評価 : ★
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