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    元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」

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    351 = 1 :


    上条(俺、C.C.の過去とか、そういう昔話は一切聞けてないからな……)


    『ギアス』の話をした時によく見せた、あの物悲しい表情と雰囲気。
    『昔』を語る時、彼女から自然と醸し出されるそれは、上条にそれ以上の事を聞くのを躊躇させていた。

    それに、彼女の持つ特異体質や『コード』という、普通の人間は持ち得ない特殊なモノ。
    それらが、彼女の人生に常に良い様に働いているとは思えない。

    いや、むしろそれは彼女を苦しめているのだろう。
    でなければ、過去を語る時、あんな風にはならないはずだ。

    そして、上条自身が『幻想殺し』などという特異な能力を持ち、凄惨な過去を味わったことがあるからこそ、
    その傷を抉るような事は彼にはできなかったのだ。


    上条(一体、どんな、過去なんだろうな……)


    単なる好奇心からではなく、出来る事なら、彼女の苦しみを少しでも和らげてやりたい、彼女の背負う重荷を
    少しでも減らしてやりたい、そういった想いがあるからこそ気になった。

    自分は彼女と『契約』したのだ。心の底から笑わせる、と。
    それは必ず守ってみせる。

    そうして長く、深い思考に沈んでいた上条だったが、いつしかその意識も深い眠りへと沈んでいった。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    352 = 1 :

    今回は以上です

    次からはいよいよ第三章に入ります
    どうぞ温かく見守ってくだされば幸いです

    ちなみにC.C.の寝姿はピクチャードラマのturn 0.923を参照してください

    それでは、また次回

    353 :



    ルルーシュは見る、上条さんは見られるか…
    とりあえず期待

    354 :



    ルルーシュ以上に童貞坊や言われてる上条さんwwwwww

    355 :

    オモロイ

    356 :

    どうもお久しぶりです…

    後期から実験のレポートやら、部活やらで書く時間が極端に減ってしまいました…
    以前に増して、亀更新になると思いますが、よろしくお付き合い下さい

    では、第三章の始まりです
    とはいっても、今回は導入部分だけで、かなり短いです…
    本当に申し訳ありません…

    それでは、投下します

    357 = 1 :





           「 人は善をなさんとして悪をなす 」
        
                 ―――ロバート・ストレンジ・マクナマラ―――




    358 = 1 :


    三年前
    イギリス・聖ジョージ大聖堂



    ロンドンの最中心部からやや外れた場所に位置する、イギリス清教の実質的な本拠地である聖ジョージ大聖堂。
    そこに一人の男が訪れていた。


    ???「……存外、この場所にも慣れたものだな」


    長身細身で、修道服を身に纏い、髪を緑に染め上げ、それをオールバックに整えている。

    その男の名は、アウレオルス=イザード。
    パラケルススの末裔、チューリッヒ学派の錬金術師である。

    しかし、彼はイギリス清教の人間ではない。
    彼はローマ正教に属する人間であり、その中でも数少ない『隠秘記録官』と呼ばれる役を担っている。
    その道においては『最速』と言われるほどに、有能な人物である。

    そんな彼が、何故ここ聖ジョージ大聖堂などにいるのか。

    その理由はただ一つ。

    彼自身が書いた魔道書を以って、とある二人の少女を救うためであった。

    一人は、世界中に存在する10万3000冊もの魔道書を記憶し、その毒に侵されながらも無邪気に笑う白き童女。
    少女はその魔道書の毒を抜くために、一年置きに記憶を消去しなければならなかった。

    一人は、万人に等しく与えられるはずの『死』を許されず、悠久の刻を孤独に歩み続ける事を余儀なくされた、異例の『魔女』。
    彼女は永遠の『生』に囚われながらも、それを受け入れ、あるいは諦観し、この世界を見守り続けている。

    359 :


    アウレオルスがそんな地獄の中で生きる二人の少女と出会ったのは、今より半年以上前の事であった。

    彼は、自身の書き記す魔道書は、この世の全ての人々に伝えられ、この世の全ての人々を救う力があると信じていた。
    しかし、彼の所属するローマ正教は彼の書き記した書物を、あくまでも自分達だけの『切り札』とし、一般大衆を救うために
    それを広める事はなかった。

    彼は許せなかった。

    『魔女』の脅威から救われる術を自身が見出していながら、それで救われる者があまりにも少ない事が。
    それを広めようともしないローマ正教が。

    そんな彼が選んだ道。

    それは自身の記した本を、秘密裏に外部へと持ち出す事だった。
    彼が目指したのは、最も『魔女』の被害が多い魔術の国、イギリス。
    彼は細心の注意を払いながら、偽装を重ね、内密にイギリス清教の者と接触する事に成功した。

    そこで出会ったのが先の二人の少女だった。

    白き修道女、Index-Librorum-Prohibitorum。
    緑髪の魔女、C.C.。

    初め、イギリス清教を訪れた彼は『禁書目録』の事情しか知り得なかった。
    というのも、後者の『魔女』の事情は、『禁書目録』のそれをも上回るほどの機密であったがためだ。

    360 = 1 :


    出会ったそのたった一日で『禁書目録』を救う事などできないと悟ってしまった彼は、それからというもの、
    彼女一人を救うためだけに魔道書を書き始めた。
    この少女を救えずして、世界を救う事などできるはずがないと。

    彼は魔道書を一冊書き終えてはイギリスの地を訪れるようになった。

    そして、そんな風にイギリスを訪れていたある日。
    彼は偶然にも、イギリス清教『最大主教』、ローラ=スチュアートと緑髪の『魔女』の会話を聞いてしまう。

    そこで彼は知ってしまった。
    その『魔女』が抱える『禁書目録』をも上回るほどの深い闇を。

    その日から、彼は『禁書目録』を救うためだけでなく、『魔女』を救うためにも魔道書を書き始めた。
    彼は今まで以上に自身の時間と能力を費やした。
    体力の限界まで、不眠不休で作業する事など当たり前の生活になっていった。

    そんな彼を案じたのも先の二人だった。

    『禁書目録』は心から心配そうな顔を浮かべながら、『魔女』は呆れながらもそれとなく示唆するように。
    また後者は、アウレオルスに最初からはっきりと、救ってほしいとは思っていない、無意味だ、と明言もしていた。

    361 = 1 :


    しかし、彼は諦める事なく、魔道書を書き続けた。
    二人のために何十冊と失敗に終わっても、彼は筆を走らせ続け、今に至るのだった。

    アウレオルスが、そんな自身の行動を思い返していたその時。


    C.C.「……お前、また来たのか。お前もずいぶん諦めの悪い男だな。」


    突如後ろから、若干の呆れを含む、聞き馴染んだ声が響いた。
    振り向けば、そこには一人の女性が佇んでいた。


    アウレオルス「当然。我が真の目的は、君達を救えずにして成せるものではないからな、C.C.」


    自身の究極の目的。世界の全てを救済する事。
    それを成し遂げるのに、この程度の障害で躓く事は許されない。


    C.C.「お前の真の目的とやらが何かは知らんが、あまり気負わない事だな。それに何度も言うが、インデックスはともかく、
       私を救うなどということはやめるんだな。今の私はそれを望んではいないし、それほど困っている訳でもない」

    アウレオルス「……では、君は永遠に生き続けなければならない事を受け入れるのか?」


    永遠の命。死ねない身体。
    それがどのような事なのか、自分には想像する事もできない。

    362 = 1 :


    生き続けられる事に歓喜するのか、それとも生き続けなければならない事に絶望するのか。
    それは人による事かもしれないが、大多数の人間はまず後者であろう。

    少なくとも自分はなんとも恐ろしい事だと思う。
    錬金術の究極の到達地点、『黄金練成』の研究にはうってつけかもしれないが、それでも永遠に生きるなど御免被る。
    人の『生』とは、『死』があってこそのものだからだ。


    C.C.「……遠い昔に、私は決めたんだよ。ある男が、その命を捨ててまで残した世界の行く末を見守ると。
       結局、その世界も最後には滅んでしまったが、それでも人はまた一から、いや、ゼロから世界を創り直した。
       ……私は、私という存在がある限り、そんな人間達をこれからも見続けるつもりだ」

    アウレオルス「……死にたい、とは思わんのか?」

    C.C.「……昔は思っていたさ。ただ『死』だけを望みながら生きた事もある。だが、それが間違った望みである事を
       教えてくれた奴がいた。それからは、自発的に『死』を望む事はほとんどなくなったよ」


    そう語る彼女の目は、何処か遠くを見ているかのようだった。
    彼女の歩んできた道の中で、彼女に大きな影響を与えた人物でも思い出しているのだろうか?

    363 = 1 :


    アウレオルス「……ほとんど、ということは、そう望む事もあるのだろう?」

    C.C.「……ないとは言わない。私も『限りある生』というのに興味がない訳ではないからな」


    彼女が言った事は、半分が嘘で、半分が本当だろう。
    興味がない訳ではない、のではなく、『限りある生』を手に入れたい、と彼女は思っているに違いない。

    それならば。


    アウレオルス「自然、私がそれを君に与えよう。『限りある生』、そして『死』を」


    そう告げ、彼は歩き出す。もう一人の救われぬ少女の下へと。
    確たる信念と強い意志を持って。

    そして、その場に残されたC.C.は彼のその背を見送った。


    C.C.「……それを達成できなかった時、お前は一体どうなってしまうんだろうな」


    小さく呟いたその言葉が、アウレオルスに届くことはなかった。

    この三ヵ月後。
    彼の努力は実る事無く、『禁書目録』は全ての記憶を失う事になる。

    そしてさらに、その一ヵ月後。
    ローマ正教『隠秘記録官』、アウレオルス=イザードは世界から忽然とその姿を消した。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    364 = 1 :

    とりあえず、今日はここまでです

    もう、ほんと短くて、ほんと申し訳ありませんです…
    次の更新もいつになるかわかりませんが、どうか気長に待っていただければと思います

    それではまた

    365 :


    待ってるよー

    367 :

    1乙

    コードギアスのSSはあまり見ないから、楽しみにしてます

    368 :

    こんばんわ

    やっと投下できる…
    読んで下さってる方には、お待たせしてしまってホント申し訳ないです…

    それでは投下します

    369 = 1 :


    8月8日
    学園都市・駅前付近



    上条「まさか参考書がこんなに高いとは……。不幸だ……」


    その日、上条当麻は珍しく参考書という物を買いに出掛けた。
    しかし、それは別に彼が勉強に目覚めたとか、自分の馬鹿さ加減に嫌気が差してとか、そういう理由ではない。

    彼がそんな物を買いに出掛ける起因となったのは、隣を悠々と歩く彼女である。


    C.C.「しかも昨日まで参考書は全品半額だったらしいな。お前の『不幸』とやらも極まったものだ」

    上条「そんなもの極めても、まったく嬉しくありませんの事よ……」


    彼女の名はC.C.。
    7月の下旬のとある日に上条と出会い、紆余曲折を経て、今現在上条の家に居候となっている少女である。

    その彼女が昨日上条に対し、お前の本棚は漫画しかないんだな、という何気ない一言を零した。
    その際、軽い嘲笑を浮かべて。

    そこで上条は僅かな見栄を張るために、参考書を買いに駅前に出掛けた訳だったのだが、一冊3600円と思いの外高額だった。
    ちなみに、C.C.の言うように昨日までは夏の受験勉強フェアで参考書は全品半額だったらしい。

    そして、今はその帰り道。上条は一人うだうだと文句を垂らしているのである。

    370 = 1 :


    上条「……ったく、冷静に考えてみりゃ、別に参考書なんて買う必要ねぇじゃねーか。はぁ、何やってんだか……」

    C.C.「だから私も言っただろう?下らん見栄は張るなと。……ああ、3600円もあれば美味いピザが食べれたものを」


    溜め息をついて僅かな落胆を示すC.C.。
    上条はそんな彼女をジト目で見る。


    上条「……あんな人をバカにした目して、嘲笑浮かべてた奴がよく言いますね」

    C.C.「私は事実を言っていただけだ。目つきやら嘲笑やらはお前の被害妄想だな」

    上条「いやいや!あなた、あれ確実にバカにしてたでしょ!?」

    C.C「私はしているつもりはなかった。お前自身が思い当たる事があるから、そう見えただけだろう?くっくっくっ……」

    上条「……はぁ」


    上条は溜め息をついてジト目でC.C.を睨んだが、彼女は飄々としていて、まったく意に介さない。
    ただ上条を見てニヤニヤと笑うだけである。

    彼女と過ごし始めて二週間が経ったが、こんなやりとりがほぼ毎日繰り返されている。
    そのため、上条もある程度の慣れというか、耐性がついてきていた。
    かといって、黙って言われ続ける訳ではなく、ある程度の反論もするにはするが、彼女を言い負かした例がなかった。

    371 = 1 :


    上条「……わかった。わかりましたよ。上条さんの勘違いでしたー」


    大抵はこうやって上条が折れるか、いじけるかで勝負はつく。
    それは上条自身がそれほど大事な事を議論している訳でもないと理解しているからであった。

    また、それはC.C.も同様である。
    彼女から言わせれば、こうして上条を馬鹿にするのはただの遊びだ。

    上条もC.C.の物言いに辟易しているように見えても、意識していないところでは彼女との会話を楽しんでいた。


    C.C.「ふふふ、そうかそうか。だが、私を疑った罪は重いぞ?今なら、そこのアイスクリームで許してやらんこともない」


    そう言って、近くに見えたアイスクリームショップの看板を指差すC.C.。
    上条としてもこの暑さの中で、冷たいアイスでも食べて気持ち良くなりたいという思いはある。

    だがしかし……。


    上条「C.C.さん、上条さんも食べたいとは思うのですが、ここでお金を使ってしまいますと帰り賃が消滅してしまうのでせう……」


    本日、財布に入れてきた金は4000円とちょっとだけ。
    参考書が上条の予想を超えて高かったのだ。

    372 = 1 :


    C.C.「なら歩いて帰ればいいだろう?」

    上条「そうは言ってもですね、学園都市は東京都の約三分の一もの広さがあるんですよ?
       実際歩くのがそこまでの距離でないにしても、さすがに歩いて帰るにはちょっと……」


    仮にもC.C.は女の子だ。
    本人は散歩を趣味としているようだが、さすがに距離がありすぎた。

    ……というのは建前で、上条としては、この暑い中、長い距離を歩くのは嫌だった。


    C.C.「私にとってはその程度の距離などなんでもない。格好も普段と比べればずいぶんと涼しいものだしな」


    そう話すC.C.の服装は、膝下までのやや暗い緑色のカーゴパンツに、ヘソが見え隠れする黒のチューブトップと、
    中々に色っぽいというか、セクシーな服装だった。
    彼女がエメラルドグリーンの髪を持ち、外国人特有の透き通るような白い肌であることも、その色っぽさを高めている。

    先ほどから街ですれ違うほとんどの学生が、ちらちらと彼女を見ているのが、さすがの上条でもわかっていた。
    それほどまでに、目立つ。

    ちなみに、当然その洋服も上条の金で買ったものである。

    373 = 1 :


    上条「……なんつーかさ、お前、目立ち過ぎじゃないのか、それ。そんなんでまた狙われでもしたらどうすんだよ?」

    C.C.「問題はない。こんな人前で、白昼堂々手を出してくるような連中など、この街にはまずいないだろう。
       それに、あの女狐がここの『上』の人間と掛け合ったはずだ。それなりの身の安全は保障されているだろうさ」


    彼女の言う事は確かに当たっていた。

    あの件の後、イギリス清教『最大主教』ローラ=スチュアートは、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーと特別回線を開き、
    C.C.のIDの『臨時発行』とその身の安全を依頼していた。
    もちろん彼女の裏の事情は秘密のままで、単に留学生的な扱いとしてだが。

    それをアレイスターは快諾。
    どういう訳か、彼女についてはあまり深く追求する事もなく、二人の回線はなんの差し障りなく終了した。

    当然、互いに思う所はあったが、そこは共に巨大な組織を率いる者、そして明晰な頭脳を持つ者同士、穏便に済ませたようであった。

    そんなやりとりがあって、C.C.は今、こうして堂々と外を歩けているのである。

    374 = 1 :


    C.C.「それともなんだ?私が他の男に見られるのがそんなに嫌なのか?」


    ニヤリと笑みを浮かべて上条を伺い見るC.C.。
    対する上条は、その視線を横目で受け流すようにして話す。


    上条「いや、別にそんなことはありませんけど?」

    C.C.「照れ隠しする必要はないぞ?」

    上条「してねぇよ!つーか、どんだけ自分に自信持ってんだよッ!?」


    街中で、大声を上げてC.C.に突っ込む上条だったが、彼女のその黄金の瞳は揺らぐ事なく、冷ややかなままだった。
    その笑みも変わる事はない。

    そして、二人がそんなやり取りをしていたその時。


    ???「そないな大声出して何してんのやカミやん?んでもって、その人誰なん?」


    突然後ろから聞こえてきた、聞き覚えのある野太い声のエセ関西弁。
    上条の知る限り、そんな人物は一人しかいない。

    375 = 1 :


    上条「……青髪、お前のそのアホ口調はなんとかならんのか?」


    溜め息をつきながら後ろを振り向けば、そこには上条の同級生であり、上条、土御門と共にデルタフォースの一角とされる、
    青髪でピアスの友人が立っていた。


    青ピ「アホ口調とは心外やね!ボクぁ生粋の大阪人やねんな!関西弁使うのは当たり前やないの!」

    上条「米どころ出身が何を言ってんだ」

    青ピ「こ、こここ米どころちゃうで!それにカミやんがボクの出身を知っているはずがッ!」

    上条「いや、前に聞いたし。しかも、それ言うって事は、関西出身は嘘って事だろ」

    青ピ「あー、あー、あー、聞こえへん、まったく聞こえへんなー!」

    上条「……もうメッキ剥がれてんじゃねーか、関西モドキ」


    両手で両耳を塞ぐ青髪に対し、冷たい視線を送る上条。
    その脇ではC.C.が訝しげな顔を浮かべている。

    376 = 1 :


    C.C.「おい当麻、どうでもいいが、こいつは一体なんだ?」


    そう言って、C.C.は青髪へと目を向ける。
    それは何か妙なモノを見ているかのような視線であった。

    対する青髪も、再度C.C.へと意識を移す。


    青ピ「そや、カミやん。結局、この美少女さんは誰なん?カミやんの従妹と……違うよな?」

    上条「当たり前だバカ。この緑髪に俺と同じ遺伝子があるとでも思ってんのかよ?」

    青ピ「せやねー。じゃあ、リアルな話、道案内ってとこ?英語の成績鎖国状態のカミやんには無理ちゃう?
       ……あれ?といか日本語話す人なん?」

    上条「ああ、こいつは日本語を……いてッ!?いててててッ!?ちょ、ちょっとC.C.さん!?み、耳を引っ張らないでッ!」


    上条と青髪が話をしているその途中で、突如C.C.が上条の耳を摘んで引っ張った。
    上条が彼女を見ると、彼女は不機嫌そうな、というか不機嫌な顔をしていた。

    377 = 1 :


    C.C.「この私を無視するとはいい度胸だな?お前はいつからそんなに偉くなった?」

    上条「い、いや、無視なんてしてないって!」

    C.C.「なら先に私の質問に答えろ。こいつは一体何者だ?」

    上条「こいつは俺のクラスメイトだよ!友達だ、友達!だから耳を引っ張らないで!」


    上条がそう説明すると、C.C.は、ふん、と鼻を鳴らし、耳から手を放した。

    その様子を見ていた青髪は何やら信じられないといった驚きの表情を浮かべている。


    青ピ「そ、そんなアホな……。こちとら人生16年にも及ぶ負け犬組のはずやのに……ッ!
       こんな美少女と楽しくコミュニケーションできてるなんて……ッ!」

    上条「これが楽しそうに見えんのかよ……?」


    そう言って、痛そうに耳を摩る上条。
    しかし、青髪はその言葉に反応し、キッと鋭い視線を上条へ送る。

    378 = 1 :


    青ピ「カミやん、冗談も程々にしてや……?こんな、こんな美少女に!そんな風にいじられて、いびられて、攻められて!
       幸せやない訳がないやろッ!?」

    上条「……うん、お前が平常運転なのはよくわかった。ただな、お前の価値観と俺の価値観を一緒にすんなっつーの」


    暴走し始める青髪に、上条は呆れ顔を浮かべる。
    脇のC.C.も今まで以上に引いた視線を送っている。


    C.C.「……お前、こんな変態しか友達がいないのか?」

    上条「俺もなんでこんな奴と友達になったのか、たまに疑問に思う事がある……」


    言いたい放題の二人を見ながら、青髪はふっと真面目な顔に戻る


    青ピ「それで、カミやん?その美少女さんとの関係は何なんよ?事と次第によっては……ヤるで?」

    上条「ヤるって何をだよ……。はぁ、こいつはただの」

    C.C.「将来を誓い合った仲だ」

    青ピ「……………………は?」


    上条の言葉を遮って言い放ったC.C.の言葉。
    それに青髪はポカンとした表情を浮かべる。

    379 = 1 :


    上条「ちょ、ちょっとC.C.さん!?何を言っているんでせうかッ!?」


    上条は慌ててC.C.を見ると、彼女はいつものあの意地の悪いニヤニヤとした笑みを浮かべていた。


    上条(ぐっ!こ、こいつ……ッ!)


    上条はそのC.C.の様子を見て、顔を引き攣らせる。
    例によって、彼女の悪ふざけが始まったようだ。


    青ピ「……カミやん、これは一体どういう事や?説明してもらうで……」


    呟くように話す青髪。
    その様子からは確かな敵意と殺意を感じた。


    上条「いや、あのな、こいつは冗談というか、嘘が」

    C.C.「嫌いだな」

    上条「」


    どうしてこいつはこうして人を困らせる事しかしないのだろうか、上条はそう思い泣きたくなった。

    380 = 1 :


    青ピ「……カミやん?」


    青髪はその大柄な体躯を力ませ、いよいよ戦闘態勢に入ったようであった。


    上条「ちょ、ちょっと待てって!こいつはただの居候だ!」


    思わず告げてしまった事実。
    出来る事なら周囲の人間には秘密にしておきたかった事だったが……。


    青ピ「いそうろう……?居候!?テメェ、こんな美少女の居候に『ただの』なんて言いやがりましたか!?」

    上条「そういう関係でも何でもねーんだから、『ただの』以外に表現できるか!」

    C.C.「ほう?夜はあんなに激しくするくせに、『ただの』居候か……」

    上条「C.C.ッ!あなたはもう黙ってて下さいッ!」


    C.C.に怒鳴る上条だが、その冷ややかな笑みを浮かべた表情は揺らがない。

    そして……。


    青ピ「……もう堪忍できん!カミやん……天誅!」

    上条「ふ、不幸だぁああああああああああっ!」


    上条の絶叫が、街中に響いた。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    381 = 1 :


    学園都市・とあるファーストフード店



    あの後、まったくもって理不尽な攻撃を青髪ピアスから受けた上条は、その無駄な疲労からか、何もかもどうでもよいといった
    心境になってしまったため、もうアイスクリームの自棄食いでもしようかと考えた。

    しかしながら、看板の見えていたアイスクリーム屋は店舗改装で休業となっていた。
    その後、C.C.の我侭もあり、上条達は急遽、近くにあったこのファーストフード店へとやって来た。やって来たのだが……。


    上条「……夏休みの午後。よく考えたら、こうなってんのは当たり前じゃねーか……」


    バニラのシェイクがのったトレイを持ったまま、上条は呆然と呟いた。

    店内は恐るべき満員状態で、空いてる席など一つもなかった。
    上条としては、この際飲食はあまり重要ではなく、まず冷房の効いた所で座って休みたかったので、この状態は残念極まりない。

    するとそこに、上条と同じように、マンゴーのシェイクがのったトレイを持ったC.C.が現れた。
    何やらきょろきょろと周囲を見渡した後、その表情が曇る。

    382 = 1 :


    C.C.「……おい当麻、なんとかして席を取れ。私は座って休みたい」

    上条「無茶言うなよ。こんな状態で席なんか取れねーよ……」


    溜め息をつきながらそう呟くと、C.C.は一層険しい顔をした。

    彼女は今、確実にイラついている。
    このままでは自分に何か良からぬ被害が出そうで、上条は非常に心配だった。

    二人がそんなやりとりをしていたその時。


    青ピ「座るんやったら、相席するしかなさそうやね。ボク、ちょうど相席できそうなトコ見つけたで!」


    遅れてやって来た青髪が二人にそう話す。

    しかし、どうもその目の輝き方がおかしい。
    上条が不審に思い、どういう事かと目で訴えかけると、青髪はトレイを持ちながら、ある一点を指差した。

    上条がスッとその指差す先を見ると……。

    383 = 1 :


    上条「ッ!?なんだ、ありゃ……?」


    人が溢れかえる満席の店内でただ一ヶ所、まったく人を寄せ付けていない、そこだけ異空間と化している四人掛けテーブルがあった。


    そこに、そのテーブルに――――――巫女さんがいた。


    その巫女さんは机に突っ伏して眠っており、その長い黒髪はテーブルにバサッと広がっている。当然、顔は見えない。


    上条「……」


    自身の不幸を知らせる警鐘が、これ以上ないくらい大きな音を立てている。

    上条は自身がとてつもない不幸体質である事を自覚している。
    それ故に、わかる。

    あれに関わってはならない、と。
    あれに関わったら絶対に不幸になる、と。

    384 = 1 :


    上条(……よし、帰ろう。あれに関わるくらいなら、この暑い中、シェイク片手に歩いて帰った方が絶対にいい。
       その後、家でいくらでもゆっくりしよう……)


    そう決断し、上条は視線を戻し、傍にいるC.C.に声を掛けようとする。
    さすがの彼女も、あれには関わろうとは思うまい、と。

    だがしかし、すぐ傍にいたはずの彼女の姿がいつの間にか消えている。


    上条「ま、まさか……」


    上条が慌てて周囲を見渡せば、彼女は件のテーブルに向かってスタスタと歩いていた。


    上条(マズい、マズいマズいマズいマズい……ッ!?)


    完全に見込み違いだった。
    彼女が、C.C.があの程度の事を気にするような細い神経の人間ではないということを、改めて思い知らされた。

    しかし、だからこそ、なんとしてもこの相席だけは避けなければならない。

    あんな格好のまま店に来る巫女さんと、この『魔女』C.C.が組み合わさったら、どんな化学反応を起こすかわかったもんじゃない。


    上条「ちょっ!ちょっと待て、C.C.ッ!」


    慌てて彼女を追いかける上条。
    一方のC.C.はその巫女さんの座るテーブルのもう目と鼻の先まで来てしまっている。

    385 = 1 :


    なんとしても彼女を引き止めなければならない。

    こうなれば、彼女を無理矢理に引っ張ってでもその席から遠ざけようと上条は決意する。
    そして、C.C.に急接近し、彼女の腕に手を伸ばす上条。

    ……しかし、彼は不幸だった。ただただ、不幸だった。

    上条の伸ばした手は、そのぶつからんばかりの勢いで急接近する気配を感じたC.C.に体ごと避けられ、空を切った。
    上条はまさか避けられるとは思っておらず、その勢いそのままに、前へとつんのめる。

    普通なら、この程度のバランスの崩れなど造作もなく立ち直せる。
    しかし、C.C.を捕まえるために右手をトレイから放し、そのトレイを左手一本で持っていた事が災いした。

    上条がつんのめるように止まったため、左手に持ったトレイの上から、買ったシェイクが慣性の法則に従って前へと飛び出す。

    そう、目の前の巫女さんが座るテーブルへと。

    上条は、マズい!、と飛び出したシェイクを慌てて右手で取ろうとする。
    これが巫女さんにかかりでもしたら、確実に関わりを持ってしまうのに加え、下手をすればクリーニング代なども請求されてしまう
    可能性だってある。
    巫女装束のクリーニングなどいくら掛かるかわからない。


    一瞬の内に様々な思考を働かせた上条の試みは――――――成功した。


    なんとかシェイクを右手で上手く捕らえる事ができた上条。しかし、それを取ろうとさらに前に突っ込んだ結果……。



    ドンッ!


    386 = 1 :


    上条は巫女さんが突っ伏しているテーブルにぶつかった。かなり強い勢いで。
    当然、テーブルは揺れる。


    上条(……ああ、結局はこうなるんですね。うん、もういいです……)


    上条はシェイクをキャッチし、テーブルにぶつかった姿勢のまま、一人半笑いを浮かべてる。
    その横では、C.C.が怪しい人を見るような目を上条に送っていた。

    と、その時。



    ピクン!



    ぶつかった振動を感じた巫女さんの肩が僅かに動き……。


    ???「く、………………」


    何か言葉を紡ごうとする巫女さん。

    一方の上条はこれからを思う。
    果たしてこの巫女さんとは、どんな素敵な不幸イベントがあるんだろうなぁ、と。

    そして、ついにその巫女さんは言い放った。



    ???「………………食い倒れた」



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    387 = 1 :

    今回はここまでです

    また次回の更新がいつになるかはわかりませんが、気長に待って下されば……

    それでは、また

    388 :

    まってたよ

    390 :

    今日一気に読んだけど、面白い。

    乙です

    391 :

    更新来てたか。お疲れ様です。

    392 :

    お久しぶりです
    とりあえず生存報告を

    今現在、リアルがマジで忙しすぎて執筆もほとんどできていない状態で…
    しかも冬休みがろくな休みじゃないという…
    読んでくれている方々には申し訳ないですが、更新はもう少し先になりそうです…
    年内にあと一回更新できれば良い方かと…

    本当に申し訳ないです…

    393 :

    舞ってる

    394 :

    楽しみに待ってるよー

    395 :

    いつまでも舞ってる


    全裸で

    396 :

    どうもお久しぶりです…

    まずは呼んで下さってる方々に謝罪をさせて頂きます…
    私用でたいへん長い間放置してしまって申し訳ありませんでした…

    短いですし、物語もあまり動きませんが、とりあえず投下できる所を投下します

    397 = 1 :

    学園都市第七学区・窓のないビル



    学園都市のほぼ中心に位置する、この街でも殊更に異質な建造物。
    そこには一切の窓がなく、それどころかドアも、階段も、エレベーターも、通路も存在しない。
    核シェルターを越えるの強度を誇る『演算型・衝撃拡散性複合素材』で覆われ、侵入するにしても大能力者の空間移動が必要不可欠。
    まさに最硬の要塞。

    その中に、イギリス清教『必要悪の教会』の魔術師、ステイル=マグヌスはいた。

    本来、彼のような生粋の魔術師はこの街にいるべきではない。
    『魔術』と『科学』、『非現実』と『超能力』。
    古来より交わるべきでない、交わるはずのない二つの領域。

    そんな異物とも言うべき彼がここにいるのには訳がある。
    彼は今、『イギリス清教代表』として、『学園都市』と対話に来ているのである。
    今回の対話は『学園都市』側の緊急の要請で、それに『イギリス清教』が応えた形で実現したものであった。

    398 = 1 :


    ステイル(……まったく、ついこの間来たばかりだというのに、またすぐにこの街に来ることになるとはね)


    正直、ステイルはこの街が好きではない。

    自分のいる領域とあまりにも違った領域に身を置く事は、仕事といえど彼にとってはストレスとなる。
    また、街を歩けばその身なりから多くの者に好奇の視線を浴びる。
    それから逃れるために、隠密行動をするのもまた疲労が溜まる。

    そしてもう一つ、彼がこの街を嫌う理由が、目の前の光景である。


    アレイスター「……さて、まずは今回呼び出しに応じてくれた事に感謝する」


    自身の目の前、ビーカーの中に逆さまになって漂う一人の人間。
    ステイルにとって、その姿は『人間』という言葉でしか表現できないものであった。

    人間の持つ生命活動の全てを、装置で補う事ができるから、と機械に任してしまう、その精神性。
    人間という枠における限界を体現してみせる、その姿。

    ステイルは恐ろしい。
    人間で在りながら、人間として歪みきった、この人間が。

    399 = 1 :


    ステイル「……いえ、お気になさらずに。我々、イギリス清教もそちらには世話になっているのですから。
         ……それに先日の件もあります。こちらとしてはその恩を返したいと思っていたところです」


    ステイルが言った先日の件というのは、主にC.C.の学園都市在住の許可についてだ。
    この人間が許可したからこそ、C.C.は学園都市に堂々といることができ、またその身の安全も多少は約束されている。

    100%の、とは言えないのが問題と言えば問題ではあるが、それは致し方のないことだった。


    アレイスター「そうか、そう思ってくれているのであればこちらもありがたい。動いた甲斐もあったというものだ」


    ビーカーの中で笑みを浮かべるアレイスター。
    ステイルはアレイスターとローラのやり取りを断片的に聞いてはいたが、その二人のホットラインというのを想像して寒気を感じた。

    400 = 1 :


    ステイル「……イギリス清教を代表し、心より感謝致します」


    ステイルは一度深く頭を下げ、最大の謝辞を述べる。

    彼がここまで丁寧な物言いをするのは、彼が『イギリス清教』の代表だからではない。
    そうするのは、この場において彼の命は目の前の人間の手の上にあるからだ。

    ここは『学園都市』。
    世界最高の科学都市にして、230万人もの能力者を操る場所。

    その頂点にいる人間に少しの敵意でも感じられたら、命はない。


    ステイル「……それでは、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか?」

    アレイスター「ふむ、そうだな。お互い忙しい身だ。手早く済ませよう」

    ステイル「お心遣い感謝します」

    アレイスター「……ふむ、誰にでもわかるよう、ありたいていに言ってしまえば――――――まずい事になった」

    ステイル「……『吸血殺し』、ですね」


    ステイルはこの人間でも弱音を吐く事があるのかと思いながらも言葉を返す。


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