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    元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」

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    201 :

    こんばんわー

    短いですが、少しだけ投下します

    202 = 1 :


    数分後



    神裂達が風呂場に入り、その場に残された三人。

    上条が電話を落としたため、通話が切れた小萌から、かなり焦った様子で電話が返ってきたが、そこは上手くごまかした。
    そして彼らは、先ほどよりかは、幾分落ち着きを取り戻していた。


    C.C.「それにしても、さすがの私でも驚いたな」

    上条「ああ。正直、俺もまだ戸惑ってる。まさかこうも簡単に色々判明するとは思ってなったし。
       まぁ、それでも、確証が得られるまでは、あくまで推論だけどさ」

    ステイル「……僕としては、とても複雑な気持ちだけどね」

    上条「ん?どういうことだ?」


    ステイルが吐いたその言葉の真意を、上条は問いかける。


    ステイル「もし、君が言った事が本当だとしたら、僕達は今まで一体、何のために彼女の記憶を奪ってきたんだろうね……」

    上条「……」

    203 = 1 :


    そう呟くステイルの顔は、どこか暗い影を帯びていた。

    今までの自分達のしてきた行いが全て教会側によって仕組まれていた事だったら。
    自分達はなんて愚かで、滑稽だった事だろう。


    ステイル「……まったく、魔術師の名が聞いて呆れるね」

    上条「……それでも、お前らは、お前と神裂はスゲーと思うぜ?
       だって、一年置きに記憶を消してきたってことは、一年置きに今までの関係がリセットされるってことなんだろ?
       それがどれだけ辛い事か、俺には想像もつかねぇよ。
       それにも関わらず、何も覚えてないインデックスとお前らはずっと一緒にいて、友達としてあり続けたんだろ?
       それって誰もができる事じゃないと思うぜ?」

    ステイル「……」

    C.C.「ふふふ、耳が痛い話だな?ステイル?」

    ステイル「……ふん」

    上条「?」


    そんな時、風呂場の扉がガチャと開いて、神裂とインデックスがそこから出てきた。

    204 = 1 :


    上条「終わったか!……それで、どうだった?」


    期待と不安を込めて尋ねる上条に対し、神裂はおもむろに口を開いた。


    神裂「インデックスの体をよく調べましたが、特にそういった『魔術』の痕跡は見受けられませんでした……」

    インデックス「……」


    やや暗い顔でそう話す神裂と、同様にして落ち込んでいるインデックス。
    長年探し求めた答えが、突破口が、ようやく見つかるかも知れなかった。その期待が打ち砕かれ、二人は沈み込む。

    しかし、諦めるのはまだ早い。少なくとも、諦めてはいない、可能性を捨ててはいない男が、ここに一人いた。


    上条「……神裂、お前はインデックスの体のどこを調べたんだ?」

    神裂「えーと、私は彼女の全身を調べましたが……?」

    上条「それは体の表面だよな?」

    神裂「え?……はい、そうですが?」

    上条「そうか。……よし、インデックス、ちょっとこっち来てくれ」


    そう言うと、インデックスを手で招き寄せる上条。
    インデックスは不思議な顔をしつつも上条に近づく。


    ステイル「一体何をするつもりだい?」

    インデックス「とうま?」

    上条「ちょっと待ってくれ」


    問いかける二人を静め、上条は考える。


    205 = 1 :


    上条(インデックスの体表面には、それらしいモノはなかった……。
       だったら、『中』はどうだ?普段、誰の目にもつかない、見つかる可能性が低い場所……。
       うーん、さすがに頭蓋骨の内側とかだったら手の出しようがないけど……)


    そこまで考えて、顔を上げてインデックスを見る。

    そこで上条は、はたと思い当たる。目の前に立つインデックスの口。正確にはその奥の咽頭、つまりは喉の奥。
    そこならば、頭蓋骨がない分、脳に最も近く、人にも見られず、誰にも触れられないのでは?


    上条「インデックス。ちょっと、あーん、って大きく口開けて少し上を向いてくれ」

    インデックス「?……わかったんだよ」


    そう言って、上条の言うとおりにするインデックス。
    上条はそこを覗き込む。

    そして……


    上条「!……おい、神裂、ステイル。……『これ』、なんだ?」

    ステイル・神裂「え?」


    上条に声を掛けられ、二人もまたインデックスの喉を覗く。
    そして、彼らも『それ』を見つけた。


    神裂「こ、これはッ!?」

    ステイル「初めて見る刻印だけど……。これが彼女を苦しめている可能性は高いだろうね」


    インデックスの口腔と喉の間には、不気味な紋章がただ一文字だけ、真っ黒に刻み込まれていた。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    206 = 1 :


    上条「それで?どうする?インデックスを苦しめている原因と思われるモノは見つかった。
       早速、俺の右手でぶっ壊すか?」


    そう問いかけ、自身の右手を差し出す上条。

    それに対し、神裂は首を横に振る。


    神裂「いえ、今すぐは止めておいた方が良いでしょう。この『魔術』がどのようなモノなのかよくわからない以上、
       下手に弄るのは危険です。……本来ならば、教会にどのような術式なのかを聞きたい所ですが、
       このような仕掛けを私達に隠していた以上、もう教会を信用する訳にはいきません。
       私達がこれに気づいた事が下手に知られれば、この子に何をするか、わかりませんから」

    上条「ならどうすんだ?」

    神裂「まずは、それ相応の準備をしましょう。どんな事態にも対応できる状況を整えた上で、あなたの右手の力を借りて、
       インデックスの『首輪』を破壊しましょう。……それで構いませんか?ステイル?」

    ステイル「ああ、構わないよ。僕もこんな妙な術式、今すぐにでも消し去りたいからね。
         ……でも、その前に確かめたい事がある」


    そう言うと、ステイルは小声で何かの呪文を唱える。
    すると、手のひらに浮かぶように、ソフトボールくらいの大きさの火の玉ができた。



    207 = 1 :


    上条「……それも魔術か?俺達でいう『発火能力』みたいなモノか」

    ステイル「ああ、まぁ、そんな所だよ。……さて、じゃあ、こいつをその右手で触ってみてくれ」

    上条「は?」

    ステイル「君の右手の力とやらが、本当に僕達の『魔術』を消せるかどうか、試しておきたいんだ。
         本番になってできませんでした、なんていうのはごめんだからね」

    上条「なるほど。それじゃあ……」


    そう言って、上条は恐る恐る右手をそれに伸ばす。

    正直言って不安だ。火の中に手を突っ込むなんて自傷行為、普通の人はやりたくはないだろう。
    それに、インデックスの『歩く教会』を破壊したとはいえ、ちゃんとした『魔術』に触れるのは初めてだ。

    そう思いながらも、上条は手を伸ばしていき、その火の玉に右手が触れたその瞬間。



    バギンッ!



    ガラスが割れるような音と共に、ステイルが作った火の玉は跡形もなく消えた。


    ステイル「……なんとも信じがたいが、どうやらその右手の力は本物みたいだね。一体どんな能力なんだか……」

    上条「ははは……」


    驚きとも、呆れとも取れるステイルの言葉に、上条は渇いた笑いで答えた。

    208 = 1 :


    ステイル「まぁ、とりあえず君の右手を信じよう。それで、準備の事だけど、ここら辺であまり人気が無くて、
         割と広い場所はあるかい?」

    上条「えーと、確か、第十七学区に人気の無い操車場があったっけな……。
       元々、第十七学区は工業製品の製造に特化した学区で、人口が極端に少ない所だし。
       そこで何するんだ?」

    ステイル「そこでこの子の『首輪』を破壊しよう。どんな事が起こるかわからない以上、人が周りにいるのは危険だからね。
         それに、僕の魔術は一ヶ所に拠点を作って守る方が得意なんでね。そこら辺一帯をその拠点にすれば、色々と都合が良いのさ」

    上条「なるほど……」

    ステイル「準備にはそんなに時間は掛からない。だから今夜にでもやろう。
         この子の体にこんなものがあるなんて忌々しくてしょうがない」


    そう吐き捨てるように話すステイル。それに上条は頷く。


    上条「インデックスもそれでいいか?」

    インデックス「……うん。とうまを、みんなを信じるんだよ」


    そう尋ねる上条に、インデックスは微笑を浮かべながら頷いた。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    209 = 1 :

    とりあえず、ここまでです
    短くて申し訳ないです…

    次の投下は一週間以内には必ず
    次で禁書目録編が終えられるよう頑張ります

    それではー

    212 :

    >164
    遅レスだが、
    あれ?聖人のビンタでイカさんェ…

    213 :

    >>212
    くだらねぇ書き込みでageてんじゃねぇよクソガキ

    214 :

    こんにちわ

    ageやsageに関しては、自分は特にこだわりはないので、どうぞ気にしないで下さい

    それでは投下します

    215 = 1 :


    第十七学区・操車場



    現在、時刻は午後11時。
    今日という日も後1時間で終わるその時間。第十七学区のとある操車場に、5人の男女がいた。


    ステイル「さて、準備はもうできている。念には念を入れて、人払いの『ルーン』も刻んである」

    上条「あれ?そういえば、土御門は?」

    神裂「彼にも連絡はしましたが、忙しい上に、今回は自分がいても力にはなれないと言って、来ないそうです。
       一体、何をしていることやら……」

    上条「ふーん……」


    隣人、土御門元春がイギリス清教所属の魔術師であった事は今でも驚きだが、彼は自分の親友だ。
    C.C.の件でも助けてもらったので、この場にいないのは少々心細い。


    ステイル「この場にいない者を嘆いても仕方ないさ。……それじゃあ、始めようか」

    神裂「そうですね。……大丈夫ですか?インデックス?」

    インデックス「うん。大丈夫だよ。……ちょっと緊張するけど、みんなを信じてるから」

    C.C.「心配するな。すぐに終わる。終わったら、ピザでも食べるぞ」


    やや緊張気味のインデックスに、C.C.がいつもの調子で声をかける。


    上条「ああ、すぐ終わるさ。みんなでインデックスを助けて、みんな揃って帰ろうぜ?」


    上条も彼女を安心させるよう、笑みを浮かべながら、自信満々で言い放つ。

    216 = 1 :


    朝の話し合いの後、それまでの空気を払拭するかのように、彼らは大いに話し、大いに笑い合った。
    昼も、C.C.とインデックスの要望により、美味いピザがあるファミリーレストランへ行った。

    その後、『学園都市』の色々な所を見て回った。人目に付く異様な五人組だったが、彼らは気にしなかった。
    途中、ステイルは下準備のために抜けたが、皆、大いに楽しい時間を過ごした。

    そして今、それぞれが、それぞれの想いを持って、それぞれの決意を胸に、ここに立っていた。


    上条「それじゃあ、やるぜ?」


    上条の言葉に、皆が頷く。


    上条「……よし。それじゃあ、インデックス。ちょっと気持ち悪いとは思うが、口の中に指入れるから、大きく口開けてくれ」

    インデックス「うん、わかった」


    そうインデックスは言うと、口を大きく開いた。


    上条「……もうちょっと上を向いてくれ。……よし、見えた。……じゃあ、入れるぞ?」


    インデックスはコクリと僅かに頷いた。

    そして、上条は自分の指をインデックスの口の中へと入れていく。
    入れた時、インデックスの表情が歪められたが、今は我慢してもらう。
    指を入れた口の中は生暖かく、ぬるりとした感触はどうにも不気味だ。


    上条(口の中に指入れられてるのも苦しそうだな……。よし、ここは一気に……)


    上条は思い切って、一気に指を奥に押し込む。そして……



    バギンッ!



    217 :

    インなんとかさんの顎が閉じる音ですねわかります。

    218 = 1 :


    上条「がっ……!?」


    指先が喉の奥に触れたと同時に聞こえたガラスが割れるような音。指先に感じた静電気が走ったような感覚。
    ……そして、勢い良く後ろへ吹き飛ばされる自身の右手。


    上条(な、何が……)


    あまりの衝撃に、自身の右手を見やる。右手の指先からはポタポタと血が滴り落ちている。
    右手を弾き飛ばされた時に傷ついたのだろうか。

    ……しかし、今はそんな事はどうでもいい。問題なのは、彼女、インデックス。

    自身の目の前に立つ彼女。先ほどまでの純粋無垢な瞳は消え失せ、その眼は異様なほどに赤く染まっている。
    それは眼球に浮かんだ、真っ赤な魔法陣。


    上条(あれはやばい……ッ!)


    本能的に、その危険性を悟った上条。弾き飛ばされ、血が滴る自身の右手を彼女に向けて突き出そうとする。
    しかし、それよりも前に、彼女の瞳が一層赤く輝く。同時に、何かが爆発した。

    その衝撃に、今度は体ごと吹き飛ばされる。

    219 = 1 :


    上条「ぐぁ……!」

    神裂「上条当麻!」


    衝撃で吹き飛ばされた上条を、神裂が何とか受け止める。10m近くは飛ばされただろうか。


    神裂「大丈夫ですか!?」

    上条「ぐっ!お、俺は大丈夫だ!それよりも今は……ッ!」


    すぐさま、自身を吹き飛ばした元凶と思われるインデックスを見やる。

    ……しかし、そこにいた者は、もはやインデックスではなかった。


    インデックス「―――警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum―――禁書目録の『首輪』、第一から第三まで
           全結界の貫通を確認。再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の『書庫』の
           保護のため、侵入者の迎撃を優先します」


    冷たく、単調に、機械的に言葉を紡ぐ『それ』。
    元のインデックスの面影どころか、人間味をまるで感じない。


    インデックス「―――『書庫』内の10万3000冊により、防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見できず。
           術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術を組み上げます」

    神裂「イン、デックス……?」


    呆然と『それ』の名だったモノを神裂は呟く。しかし、『それ』には響かない。届かない。


    インデックス「―――侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。
           これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」


    そして、その直後。
    バギン!という凄まじい音を立てて、『それ』の両目の二つの魔法陣が一気に拡大した。

    220 = 1 :


    さらにそこから、四方八方へと真っ黒い雷のようなものが飛び散る。
    それはまるで空間を引き裂いた亀裂のようで、『それ』の周囲に広がっていく。


    ステイル「ば、ばかな。何故、この子が魔術を……」

    C.C.「それも、あの女狐の嘘だったということだな……」


    広がりを見せるその亀裂の隙間から、獣のような匂いが鼻をつく。
    その向こうから、そこに潜む『何か』に覗かれているような、奇妙で、おぞましい感覚がその場の四人を包み込む。


    上条「あ……」


    上条は悟る。
    その亀裂の奥の『何か』は、自分の存在そのものを侵し、破壊する、決して見てはならないモノであると。


    ステイル「くっ!上条当麻!あれの奥は決して覗くな!君のような人間が見れば、一発で廃人決定だぞ!」


    ステイルの叫びが、自身の本能的な危機察知能力に拍車をかける。

    ……しかし、彼はそれを理解しつつも、前へと駆け出す。ただ、インデックスを救いたいがために。


    221 = 1 :


    上条(確かにあの奥の奴はやばい……。でも!でも、そいつさえ倒せば、それでハッピーエンドなんだ!
       だったらやるっきゃねぇだろ!上条当麻!)


    己に言い聞かせ、上条は拳を握り締め、『それ』に向かって駆ける。
    空間に生じた亀裂と、それを作り出しているであろう魔法陣を破壊するため。

    だが、その時。突如、周囲に広がっていた亀裂が開いた。そして……。



    ゴッ!



    凄まじい音と共に、巨大な『光の柱』が一直線に襲い掛かってくる。


    上条「ッ!」


    それを目で認識するのとほぼ同時に、光の柱に向けて右手を突き出す。
    魔術なら自身の右手に宿る『幻想殺し』で打ち破ることができる。
    上条『光の柱』を迎え撃つが……。


    上条(き、消えねぇ……ッ!)


    自身の右手をもってしても、光の柱は消しきれない。
    それどころか、徐々にだが、確実に押し込まれてきている。


    上条(くそっ!『幻想殺し』の処理能力が、追いついてねぇのか!)


    自身の右手で打ち消しきれない異能の力に上条は驚愕する。だが、彼はまだ冷静だ。
    何故なら今回は、彼には共にインデックスを救おうとする仲間がいるからだ。

    自身の力だけではどうしようもないと判断した上条は叫ぶ。


    上条「くっ!神裂!ステイル!」

    神裂「―――Salvare000!」

    ステイル「―――Fortis931!」


    上条の声に反応し、二人は何かを叫ぶ。上条は知り得ないが、それは魔術師の『魔法名』。
    『魔術』を使い、自身の力を全力で振るう時に名乗る名。

    222 = 1 :


    神裂「はぁああああああああ!」


    まず神裂が雄叫びを上げながら、彼女の愛刀『七天七刀』を振るう。
    七本の鋼糸による『七閃』が、『それ』の足元の砂利を大きく抉る。

    体勢を崩した『それ』は後ろへ倒れ込む。上条を狙っていた光の柱も大きく逸れ、夜空を切り裂いた。


    神裂「先ほどの攻撃は『竜王の吐息』!伝説の聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!
       たとえあなたの右手に不可思議な力があっても、人の身でまともに取り合おうとはしないで下さい!」


    神裂の叫びを耳に入れつつ、上条は『それ』の元へ一気に駆け寄ろうとする。

    しかし、それよりも先に、倒れ込んだ『それ』は視線を巡らし、再び上条を捕らえ、『光の柱』を叩きつけようとする。


    上条(くっ!また!)


    再度、目前に迫った『光の柱』を受け止めようと身構える。


    ステイル「―――『魔女狩りの王』!」


    突如割って入ったステイルの叫びと、それと同時に出現した巨大な渦巻く炎の塊。否、それは人の形をしていた。
    それが『光の柱』を真正面から受け止める。破壊と再生を繰り返しながら、上条を守る。


    上条「ステイル!?」

    ステイル「行け!上条当麻!君が走る道と辿り着くまでの時間くらいは確保してやる!」


    叫ぶステイルに上条は頷き、『光の柱』と『魔女狩りの王』がぶつかり合っている所を迂回し、『それ』の元へと駆ける。

    223 = 1 :


    インデックス「―――警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。
           現状、最も難度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します」


    言葉を切ると同時に、再び上条へと『光の柱』が向けられる。
    しかし、同時に上条の盾になるように動いた『魔女狩りの王』がそれを許さない。

    その間にも、上条は走る。亀裂の奥の『何か』を排除し、魔法陣を破壊し、『それ』をインデックスへと戻すために。

    距離は残り、3m。


    インデックス「―――警告、第二二章第一節。炎の魔術の術式を逆算に成功しました。曲解した十字教の教義を
           ルーンにより記述したものと判明。対十字教用の術式を組み込み中……第一式、第二式、第三式。
           命名、『神よ、何故私を見捨てたのですか』完全発動まで十二秒」


    『それ』が言葉を紡ぐと、『光の柱』は純白から血のような赤へと色が変化する。
    それにより、『魔女狩りの王』がどんどん押され、削られていく。

    距離は残り、2m。


    神裂「頼みます!上条当麻!」

    ステイル「急げ!上条当麻!」


    魔術師二人の叫ぶ声が聞こえる。上条は拳を握り締め、駆ける。

    距離は残り、1m。

    224 = 1 :


    しかし、その時。

    『それ』が『魔女狩りの王』に向けていた視線を、迂回して接近した上条へと、ギリギリの所で戻す。


    上条「くっ!」


    右手を亀裂へ、その奥の魔法陣へ振り下ろそうとするが、既の所で『光の柱』に邪魔をされる。


    インデックス「―――警告、第二一章第五節。最優先標的の最終防衛線の突破を確認。対十字教用の術式の発動を中止。
           最優先標的『上条当麻』を破壊し、最終防衛線外へ押し出します」


    自身に向けられた『光の柱』によって、先ほどと同様に、またじりじりと押し返される形になる上条。


    上条「ちっ、くしょう!」


    届かない。僅か一歩が届かない。自分の力だけではどうしても踏み込めない僅か一歩分。


    上条(この、至近距離じゃ、あの炎の巨人も、俺の右手のせいで下手に割り込めねぇ!
       ……くそ!俺が、俺が何とかしなきゃいけねぇのに!)


    と、その時、自身の背中に何かが触れた。

    225 = 1 :


    C.C.「やれやれ、結局、最後は私が手を貸す事になるんだな」

    上条「C.C.!?」


    自分の背中に手を当てながら呟くC.C.。
    彼女は戦闘の余波に巻き込まれないよう、ゆっくりとだが、着実に戦闘の中心点へと接近していた。


    上条「あ、危ねぇ、から!離れ、てろ……ッ!」


    『光の柱』を受け止めながら、上条はC.C.に叫ぶ。


    C.C.「断る。……お前一人の力では、これ以上は進めないのだろう?
       なら、お前の力では足りないあと一歩分は、私が押してやる」

    上条「んな、こと、言っても!……ぐっ!」


    そうしている間にも、『光の柱』は徐々に自分の右手を押し返していく。


    C.C.「……それに、お前も言っただろう?『みんなでインデックスを助ける』とな」


    C.C.のその言葉に、上条は、はっとする。


    上条(……そうだ、そうだよ!何俺は最後の最後で独り善がりになってんだ!今の俺には仲間がいるんだろ!
       そいつらを信じなくてどうすんだよ!)


    そして、上条は振り返らないまま、背中のC.C.に向かって叫ぶ。

    226 = 1 :


    上条「C.C.!合図したら、俺の背中を思いっきり押してくれ!頼む!」

    C.C.「ふふふ、ああ、わかった」


    こんな時でも、C.C.は笑った。
    それは頼られる事への喜悦か、それともインデックスを救える事への歓喜か。
    それは『魔女』である彼女のみぞ知る。

    ……そして、その時は訪れる。


    上条「今だ!押してくれ!」


    返事は必要ない。上条の声が聞こえるや否や、何も言わず、C.C.は目一杯の力で上条の背に抱きつく形で彼を押す。

    残された距離は僅か一歩分。しかし、一人では届かなかった一歩分。でも、二人なら。
    背中を押してくれる仲間がいるなら、その僅か一歩分先に届き得る。

    上条は、最後の一歩を踏み出す。


    上条(いいぜ。こんな物語が、こんな女の子が苦しみ続ける世界がなきゃいけないって言うのなら……)

    227 = 1 :





    上条「―――まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!」




    228 = 1 :


    そして、上条はその必殺の右手を、受け止めていた『光の柱』ごと前へと押し切る。

    空間に生じた亀裂が、その先の魔法陣が、その右手によってあっさりと引き裂かれた。
    受け止めていた『光の柱』も、亀裂も、魔法陣も、初めから何も無かったかのように跡形も無く消え去る。


    インデックス「―――警、こく。最終……章。第、零――……。『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消」


    『それ』は尚も言葉を紡ごうとするが、ブツンと言葉を切り、ついに沈黙する。
    そして、後ろ向きに、地面へと倒れ込もうとする。


    上条「インデックス!」


    倒れるその体を、すぐさま接近した上条が支える。
    まるで糸が切れたマリオネットのように体に力が入っていないその体。永遠の眠りについたかのように閉じられるその両目。


    上条「おい!インデックス!インデックス!?」


    上条は彼女の名を呼び、彼女の体を揺らす。
    後ろから、神裂とステイルがこちらへと近づいてくるバタバタという足音が聞こえる。

    そして……

    229 = 1 :


    インデックス「……うぅん……」

    上条「!インデックス!?」


    彼女の口から僅かな呻き声が漏れ、そして、その両目が開かれた。


    インデックス「……とうま……?」

    上条「インデックス!?大丈夫なのか!?」

    インデックス「……うん?私は大丈夫だよ?……あれ?私、何してたんだっけ?」


    きょとんとした顔の後、急に難しい顔をするインデックス。
    どうやら記憶が少々とんでいるようだ。


    神裂「ああ!インデックス!」


    感極まった神裂がインデックスに抱きついた。


    インデックス「わわ!か、かおり!ど、どうしたの?」

    神裂「もう!この子は心配かけてばかりッ!」


    そう言ってインデックスを力強く抱き締める神裂。

    しかし、彼女は『聖人』であるわけで……。


    インデックス「か、かおり!い、いくらなんでも、つ、強すぎるかも!い、痛いんだよ!」ジタバタ

    神裂「あっ!す、すみません!」


    そう謝ると、慌ててインデックスの体を離す神裂。その目は若干赤い。


    ステイル「……とりあえず、無事で何よりだよ」

    上条「ああ、一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったな」

    C.C.「……それにしても、あの女狐め。今度会ったらただじゃ済まさん。
       イライラするから、さっさと帰ってピザでも食べるぞ」

    上条「お前、またピザかよ……」ハァ


    こうして、彼らは一人の少女を過酷な運命から救い出し、7月21日は終わりを告げた。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    230 = 1 :

    とりあえず、ここまでです
    禁書目録編を終わらせるつもりだったんですが、この後の話が思いの外長くなり、終われませんでした……orz

    ここで、作中の説明というか、言い訳をさせて下さい
    上条さんは記憶を失いませんでした
    『光の羽』が登場しませんでしたが、これは『竜王の吐息』が破壊するような物質が近くになかったということです
    操車場を場所に選んだのが、功を奏したということにさせて下さい

    それでは、次もできれば一週間以内に
    それでわー

    231 :

    乙でした。
    次も待ってます。

    232 :



    ペンデックスにギアスは使わなかったか…
    てか、ここのねーちん涙もろいなwwwwww

    233 :

    乙!
    あと念の為「竜王の殺息」ですぜ

    234 :

    こんにちわ
    お盆で割と忙しく、時間が掛かってしまいました

    >>233
    うぉ……
    ミスりました、すみません……orz

    それでは投下します

    235 :

    ずっと待ってたぞぉぉぉぉ!!

    236 = 1 :


    7月22日・午前1時



    インデックスの『首輪』を破壊した後、五人は上条宅へと帰ってきていた。
    誰一人大きな怪我を負う事無く、無事帰還できたのは、あらかじめの準備と各々の心構えのおかげだろう。


    上条「いやー、それにしてもみんな無事で良かったな!特にこの私、上条当麻があれほどの事態に遭遇しながら、
       かすり傷程度で済むなんて、なんと奇跡的な事でしょう!」

    C.C.「お前、自分で言っていて悲しくならないのか?」

    上条「こんな時くらい素直に喜ばせてくださいッ!」


    上条の部屋に帰って来た五人は、まず初めにインデックスの体を心配した。
    操車場で軽い確認もしたし、ここまでの道中でも、特に気に掛けるような事はなかった。

    しかし、あれほど強力な魔術を行使し、かつ、『首輪』も破壊された今、彼女の体に何か異変が起こっていないか。
    それを正確に調べるため、神裂が再度、風呂場でインデックスの体を見た。
    結果として、特に目立ったものは無く、とりあえずは大丈夫という事だった。

    その後、お腹が空いたと言うインデックスと、ピザが食いたいと言うC.C.により、ピザを注文。Lサイズ2枚。
    上条が泣く泣く財布から紙幣を取り出し、ピザ代を払った。

    そして、今はそれを食べ終え、皆で今後について話しているところだった。

    237 = 1 :


    ステイル「さてと、気は進まないが、まず初めに『最大主教』に連絡をしないといけないね。
         時差を考えても、いい頃合だろう。ここに来た本来の目的はC.C.の保護だった訳だし、
         その報告もまだ出来ていないからね」

    神裂「……ええ、そうですね」

    ステイル「それに、今回のインデックスの『首輪』についても、色々問い詰めたいことがあるからね……」


    二人の顔には怒りが滲んでいる。それは当然と言えば当然だろう。
    自分が長いこと所属する組織であっても、自分達を騙し続けた事、インデックスの記憶消去という辛い役目を負わせた事。
    何より、インデックスを苦しめ続けた事への憤怒は消えるはずも無い。

    ステイルは立ち上がり、携帯電話をポケットから取り出すと上条の部屋を出て行く。
    それは、教会の内部事情を上条にあまり聞かせないようにするための配慮であった。


    インデックス「……それにしても、正直、まだ実感が湧かないんだよ。
           ほんとに私は記憶を消さなくても良くなったのかな……?」


    インデックスのその問いに答えられる者はいなかった。
    彼女の言うとおり、現時点では記憶を消さなくてもいいという保障はどこにもないのだから。


    上条「それに関しては、俺からは何とも言えないな……。神裂はどう思う?」

    神裂「……確かに、現時点では確かめようがありません。ですが、記憶に関して、医学的に元から何の問題も無かった事。
       私達、プロの魔術師でも見たことも無い刻印が『首輪』として刻まれていた事。そして、それが破壊された時、
       強制的に『自動書記』が発動し、魔術を使えないと言われていたこの子が魔術を使った事。それらを考えると、
       全ての元凶がその刻印であった可能性が高いですから、それが無くなった今は、もう大丈夫でしょう」


    神裂はそう言うと、インデックスに向けて微笑んだ。

    238 = 1 :


    インデックス「……うん、そうだね!かおりがそう言うんなら、たぶんもう大丈夫なんだよ!」


    神裂の微笑みに、インデックスも同様の笑みを浮かべる。

    たとえまだ不安が残っていても、自身を心配し、励ましてくれる相手の気持ちを汲み取り、笑うことが出来る。
    それは、彼女、インデックスの才能であり、本質なのだろう。


    上条「それにしても、インデックスが使った魔術はとんでもなかったなー。
       魔術って、あんなのがゴロゴロあんのか?」


    思い出すのは、あの『光の柱』。
    異能の力に対しては絶対を誇る『幻想殺し』でさえ、処理が間に合わず、完全に消すことが出来なかったもの。
    そんな経験は初めてだった。

    そして同時に、そんなものが存在する魔術の世界に恐れも感じる。


    神裂「いいえ、『竜王の殺息』ほどの威力を持つ魔術など、そうそうあるものではありません。
       あれはこの子が『禁書目録』だからこそ成し得たものでしょう」

    インデックス「……私がそんな魔術を使ったなんて、自分では信じられないんだよ」


    インデックス本人は、先ほどの記憶がすっぽりと抜け落ちており、何が起きたのかを上条らの口から聞いたのみなので、
    いまいち信じられなかった。

    今でも、自身の意思では魔術を使おうと思っても使えない。


    C.C.「それもあの女狐の仕業だろうな。普段、お前が魔術を使わないように、何か細工をしているんだろう。
       どんな理屈かは知らんがな」

    上条「……とんでもねぇ奴だな。その女狐さんとやらは」


    インデックスに『禁書目録』という過酷な運命を背負わせ、神裂達を騙し、友達の記憶を消す役目を負わせる。
    非人道的な事を平気な顔で指示するその姿を想像して、上条はその拳を強く握り締めた。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    239 = 1 :


    数分後



    連絡を終えたステイルが、憤然とした様子で上条の部屋に戻って来た。


    ステイル「……とりあえず、『上』が下した判断は、大至急『禁書目録』を本国へ連れ戻すようにとの事だったよ。
         この子の意思ではなかったとはいえ、10万3000冊もの魔道書を操った『魔神』が、自分達の仕掛けた
         『首輪』から解き放たれて、手の届かない所にいるのは恐ろしいみたいだね」

    神裂「まぁ、そうなるでしょうね……」

    上条「『魔神』……?」

    インデックス「魔術を極めすぎて、神様の領域に足を踏み入れちゃった人達のことをそう呼ぶんだよ」


    インデックスの解説を聞きながら、上条は憤る。
    勝手な都合で10万3000冊もの魔道書をこんな少女の頭に叩き込んで、尚且つ、モノ扱いする。
    そんな行いに反吐が出る。


    上条「ふざけやがって……」

    インデックス「とうま……」

    ステイル「……それと、仕掛けられた『首輪』について、向こうで『最大主教』から直接話があるそうだよ」

    神裂「話、ですか……」

    ステイル「まぁ、今更何を、とは思うけど、無視する訳にもいかないからね」


    ステイルは、ふぅ、と溜め息をつき、胸ポケットからたばこを取り出そうとする。
    しかし、インデックスを見て、何を思ったか、渋々とそれを仕舞う。

    240 = 1 :


    C.C.「それで?私について、何か言っていたか?」


    C.C.はまるで興味無さそうに、明後日の方向を見ながらステイルに尋ねた。


    ステイル「当然、君も一緒に帰ってくるようにとの事だよ。元々、そのために僕達はここに来たんだからね」

    C.C.「まぁ、そう言ってくるだろうな」


    C.C.は眉一つ動かさない。
    そして、溜め息をつき、ステイルに目を向ける。


    C.C.「おい、ステイル。電話を私に寄越せ」

    ステイル「何?」

    C.C.「あの女狐と話をさせろと言っているんだ。元々、そういう話だっただろう?」

    ステイル「……別に構わないけど、話して納得するような相手じゃないと思うけどね」


    そう言って、最大主教に繋がる番号を押し、C.C.に携帯電話を渡す。
    C.C.はそれを受け取って、スタスタと部屋を出て行った。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    241 = 1 :


    上条の部屋前の通路



    夜風にその緑の髪をなびかせ、C.C.は携帯電話を耳に当てながら佇んでいた。

    しばらくすると、その電話がある者と繋がった。


    ローラ『あー、あー。こちらはイギリス清教、ローラ=スチュアートでありけるのよ』

    C.C.「……お前は相変わらずその馬鹿口調なのか」

    ローラ『そ、その声はC.C.でありしことね!?まったく!何をしてくれたるのよ!
        貴女の勝手気ままな行動で、私がどれほどの気苦労をしたるか想像できて!?』


    電話の相手がC.C.とわかるや否や、早口で文句を並び立てるローラ。


    C.C.「まったく、騒がしい奴だな。お前の気苦労など知らん」


    それらの文句をC.C.はバッサリと切り捨てた。


    ローラ『な、何を言うているのよ!?貴女は自分の存在が理解できているの!?
        そもそも『約束』を違えたるのはどういうことなのよ!?』

    C.C.「私はC.C.だ。それ以上でも、それ以下でもない。それに今回、私がここに来る事になったのはお前のせいだ」

    ローラ『わ、私の所為?』


    C.C.のその物言いに、ローラは怪訝な声を漏らす。


    C.C.「そうだ。私は知っているぞ?お前が私に、『学園都市』に関する情報を意図的に隠していた事をな」

    ローラ『……C.C.、貴女は一体何を言ふているのかしら?』

    C.C.「とぼけるのはやめろ。お前が『学園都市』の『上』と繋がりがあるのも知っている。それにもかかわらず、
       私が尋ねた時には、お前は詳細をまったく話そうとせず、簡単にどういう都市なのかを説明しただけだったな。
       それに『外出』の許可も与えない。どんな思惑があったかは知らんが、お前がそうするなら、私は直に、
       自分の足で見に来ざるを得ないだろう?」


    その言葉に、ローラは押し黙る。

    242 = 1 :


    C.C.「……それに、私が『約束』を破る以前に、お前は『学園都市』との関係を私に秘密にしようとした。
       これは世界の情勢、パワーバランスを私に知らせようとしなかったという事だろう?これこそ、
       『約束』を違えているんじゃないか?」


    C.C.がそう言い切ると、両者の間に沈黙が降りる。

    そして、やや間を空けた後、溜め息と共に、ローラがそれを破った。


    ローラ『……C.C.、確かに貴女の言ひしとおり、私は『学園都市』の報を貴女に隠さんとしたわ。
        でもね、それは貴女のためを思ってのことなのよ?』

    C.C.「ほう?」

    ローラ『『学園都市』は世界で最も優れたる科学都市。そこで働く科学者もまた然り。そのような者達が『不老不死』たる
        貴女の体に興味を持たぬはずがないでしょう?それに貴女の事よ。そのような都市があると知らば、興味を持ちて、
        訪れんとするのが目に見えたるもの。C.C.、貴女は私の『友』とも呼ぶべき存在。故に、心苦しく思いたるも、
        黙っていることにしたのよ』

    C.C.「ふん、よくも言ったものだ。本当の所は、私の『コード』や『ギアス』を知られ、
       調べられるのが嫌だっただけだろう?」


    C.C.は憮然とした様子で答えた。

    243 = 1 :


    C.C.「……まぁいい。とりあえずそういうことにしてやろう。それに、向こうが襲ってきたのも確かだからな。
       だが、それとは別にもう一つ話がある」

    ローラ『何かしら?』

    C.C.「インデックスの事だ。何故、私に黙っていた?」

    ローラ『簡単なことよ。知らせる必要なしと思ったからよ』

    C.C.「何?」


    ローラのその言い方に、C.C.は眉を曇らせる。


    ローラ『仮に、貴女にそれを教えたるところで、何ができたというの?言ふておくけど、『首輪』を外せ、というのは
        できぬ相談よ?『首輪』の役割は、『禁書目録』の管理と保護。10万3000冊もの魔道書を記憶せしめた者に、
        勝手に何処かへ行かれるのは困るもの。それに、『禁書目録』の知識を無理矢理に得んとする輩から守るための
        措置でもあるのよ?それを一個人の望みで外すことなど、できようはずがないでしょう?我々はイギリス清教
        という組織でありたるのだから』


    確かに彼女の言うとおりである。
    通常の組織体であれば多少事情は変わるが、彼らが属するのはイギリス清教という、言わば『裏』に存在する組織だ。
    個人よりも組織、組織よりも国を優先する彼らにとって、組織に携わる人間は、どちらかというと『物扱い』される。

    尤も、その集団を作る各々には、人によっては組織よりも優先すべき事がある。
    それを『魔法名』として己に刻み付けている場合があるのも事実だが。

    244 = 1 :


    C.C.「……だが、説明くらいあっても良かっただろう?」

    ローラ『……そうね。貴女のように物分かりの良き者には、教えても問題は無しにつきよ。でも、あの神裂火織や
        ステイル=マグヌスはどう?『首輪』の存在を知らば、躍起になって『首輪』を外さんとするでしょう?
        そのようなことをすれば、イギリス、ひいては世界全体の脅威になりたる可能性があったのよ。
        ……まぁ、『首輪』の存在が知られるところとなり、壊れてしまった今となってはどうしようもなき事だけれど』

    C.C.「……インデックスに新しく『首輪』を付ける気はないのか?」

    ローラ『それは無理というものよ。『首輪』が表沙汰になりし以上、『禁書目録』に何ぞしようとすれば、
        先の二人が黙ってはいないでしょう?特に、相手があの神裂火織となれば色々と面倒事になりたるもの』


    あくまでも事実を客観的に分析し、淡々と今後の方向を述べるローラ。
    その姿は、確かにイギリス清教の『最大主教』にふさわしいものだろう。


    C.C.「そうでなくとも、今回の件であの二人は黙ってはいないと思うがな」

    ローラ『それに関しては心配するべからずなのよん』


    ふふん、と胸を張っている姿を想像し、C.C.は溜め息を付いた。


    C.C.「……そうか。とりあえず、今回の事は、私もこれ以上何も言わん。お前とはそれなりに長い付き合いだ。
       あの二人にも特に何も言わないでやろう。だが、次は無い。今後もし、私の気に入らない事があれば、
       私達の関係もそれまでだ」

    ローラ『もう、そのような硬き事言わないの。私とて今回の事は反省したるのだから』


    そう話すローラの口調が妙に癇に障るが、これ以上は言ってもしょうがないと、C.C.は悪態をつくのをやめた。

    そして、最後とばかりに言葉を紡ぐ。

    245 = 1 :


    C.C.「……さてと、では私はここに残るが、まぁ、元気でやれよ。……ではな」


    そう告げて、通話を終えようとするC.C.に、慌ててローラが声を掛ける。


    ローラ『ま、待ていなのよC.C.!今、さらりと由々しき事を言ひたわよね!?』

    C.C.「私はここが気に入った。だから私はここに残ると言っただけだ」

    ローラ『それが由々しき事と言ふているのよ!……貴女は我らイギリス清教の機密でありし『魔女』、C.C.なのよ?
        なれば、そんな貴女を『学園都市』などに置ひておける訳がないでしょう?』


    元々、今回、ステイル=マグヌスと神裂火織を送ったのも、彼女が『学園都市』に捕らわれるのを防ぐためだった。
    事実として、その『学園都市』に狙われた彼女をそんな所に置いておけるはずがない。


    C.C.「まぁ待て。私がここに残る事は、お前にとってもメリットがある事だと思うぞ?」

    ローラ『……件の『幻想殺し』の少年の事ね?』


    C.C.は電話越しに頷いて、言葉を続ける。

    246 = 1 :


    C.C.「そうだ。あいつの力は『どんな異能の力も打ち消す能力』らしい。お前達、魔術師にとっては天敵となる存在だ。
       それに今回の件で、あいつはお前の事を相当嫌っているようだぞ?敵に回すのは得策とは言い難いだろう?
       逆に、味方であればそれなりに心強いと思うがな」

    ローラ『……それで貴女が『足枷』として残りたると言ふの?』

    C.C.「私自身は『足枷』とは思っていないがな。私はただ、あいつを敵に回すのはやめたほうがいいと言っているだけだ。
       そうならないように、私がここに残るのも、お前としては悪くはないだろう?」

    ローラ『……C.C.、貴女まさかその『幻想殺し』に『ギアス』を与えたのかしら?』

    C.C.「……ああ。仕方なく、だったがな。それも含め、私が傍にいた方がいいだろう?」


    そうC.C.が告げると、両者の間に再び沈黙が訪れる。
    電話の向こうでは、『必要悪の教会』の『最大主教』としてどうすべきか、色々と考えを巡らしていることだろう。
    C.C.はそう思いながら、ただ静かに待つ。

    そして、何十秒かの沈黙の後。


    ローラ『……はぁ、『幻想殺し』なる異な力を持ちて、さらには『ギアス』まで手に入れたと言ふの?
        何故その者に力を与えたのよ?』

    C.C.「深い意味はない。ただの気まぐれだ。強いて言うのなら、あいつが『生きたい』と願ったからだな」

    ローラ『貴女の気まぐれには本当に困りたるものね。……言ってはおくけど、貴女の身の安全を完全には保障できぬわよ?
        それでも構わないと言ふの?貴女が捕われたれば、困るのは私なのだけれど?』


    そう尋ねるローラに対し、C.C.は不敵な笑みを浮かべながら、堂々と言い放つ。


    C.C.「ふん、私を誰だと思っている?私は『魔女』、C.C.だぞ?」



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    247 = 1 :

    とりあえず、ここまでです

    会話の追加やらなんやらで、禁書目録編が終われない……orz
    しかも、ローラの口調が難しい……
    なんとか次こそは終わらせたい!

    次も一週間以内に来たいと思います

    それでわー

    248 :

    お疲れ様ーまっとるよー

    249 :

    よー


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