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    元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」

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    251 :

    よかった
    おもしろかったよ

    252 :

    こんばんわー

    投下していきます

    253 = 1 :


    7月22日・午前10時
    第七学区・とある公園



    ステイル「それにしても驚いたね。まさかあの『最大主教』が、君がここに残るのを本当に許可するとはね……」

    神裂「ええ……。本当に大丈夫なのですか?」

    インデックス「しーつー……」


    三者三様の言葉を漏らすが、C.C.は平然としている。


    C.C.「心配するな。私はC.C.だぞ?そう簡単に捕まって、どうこうされるものか」


    C.C.の電話の後、神裂とステイルはインデックスを上条宅に預け(インデックスが他人の家に泊まってみたいと言ったため)、
    朝にまた来ると言い、ひとまず去った。その際、ステイルは上条を凄まじい形相で睨んだが。その後、約束通りに朝に再び集まり、
    ファミリーレストランで朝食を食べ、今は近くの公園で話しているところであった。


    上条「……つい一昨日、捕まりかけたのはどこの誰でしたかねぇ」

    C.C.「黙れ。そもそも私一人ならやり過ごせたんだ」


    そう言って、C.C.は上条を睨みつける。

    254 = 1 :


    上条「な、何を!つまりは上条さんの助けはいらなかったということでせうか!?」

    C.C.「むしろ邪魔だったな」

    上条「て、テメェ、人様が命懸けで……」


    上条は拳を顔の前まで持ち上げて、握り締める。
    そんな上条の様子を見て、C.C.は何とも厭らしく笑った。


    C.C.「ふふふ、冗談だ、冗談。一応、感謝はしているさ」

    上条「一応かよ……。まぁ、俺も感謝してほしくて助けた訳じゃないからいいけどさ……」


    溜め息をつき、肩を落とす上条。それをさらに笑うC.C.。
    そんな二人の様子を見ていたインデックスが、さっきまでの心配そうな顔を払拭して、笑みを浮かべた。


    インデックス「二人とも楽しそうだね。しーつーがそんな風に笑うのなんて久しぶりに見たんだよ」

    C.C.「私が楽しそう?……まぁ、確かにこいつをからかうのは面白いがな」

    上条「あの、上条さんはおもちゃではないのですが……」


    まるで漫才をしているような二人の様子に、インデックスはさらに笑みを深める。


    インデックス「しーつーととうまってすごく相性が良いみたいだね。これならC.C.がここに残っても安心だね」

    上条「?なんで?」

    インデックス「だってとうまがいればしーつーも楽しそうだし、もし、しーつー何かあっても、
           とうまが助けてくれるでしょ?」


    そう言って上条に笑い掛けるインデックスに、上条は何ともむず痒い思いをした。
    それでも上条は頬をぽりぽりと掻きながら頷いた。

    255 = 1 :


    上条「まぁ、知り合いがホントに困ってんなら、そりゃ助けるよ」

    インデックス「うん、私の事も助けてくれたしね。……ほんとにありがとね、とうま」

    上条「はは、もういいって。お前は何回それ言うんだよ」


    深夜から数えて、もう百回近くは『ありがとう』と言われたのではないだろうかと上条は思う。


    インデックス「……いくら感謝してもしきれないんだよ。私じゃ、どうしようもなかったから……。
           それを救ってくれたのがとうまなんだよ?だから、とうま、ほんとにありがとね」

    上条「……ああ、どういたしまして」


    もういいと言っているにもかかわらず、再三にわたって感謝の言葉を述べるインデックスの様子に苦笑いを浮かべながらも、
    上条はその言葉を受け取った。


    神裂「……それでも、やはり寂しくなりますね。貴女がいなくなるというのは。まだ受けた恩も返せていないというのに……」


    神裂は寂しそうな声でそう呟き、目を伏せた。


    上条「そういえば前にも、C.C.は恩人だ、とか言ってたよな?それってどういうことなんだ?」


    上条は何の気なしに神裂へと尋ねた。

    すると、その脇に立っていたステイルの顔が僅かに曇る。
    尋ねられた神裂も何処となく申し訳なさそうな顔をした。

    256 = 1 :


    C.C.「私は恩などどうでもいいし、それに私は特別何かをしたつもりもないと言っているのだがな。
       まったく、頭が固い奴だ」

    上条「何があったんだよ?」


    上条が尋ねると、神裂はおずおずと話し始めた。


    神裂「……彼女には、C.C.には、大きな恩があるんです。一つはインデックスの命を救ってもらった事。
       もう一つは、私達が道を踏み外しそうになったのを止めてもらった事です」

    ステイル「おい、神裂……」

    神裂「ステイル、彼には話すべきでしょう。彼にはC.C.の件で手伝ってもらいましたし、それに彼はインデックスの、
       延いては私達の恩人なのですから」

    ステイル「……チッ!」

    上条「?どういうこと?」


    何やら言い合う二人に、上条は怪訝な顔を浮かべた。

    まぁ、とりあえず、神裂の言っていた事を考えると、その一つ目の意味は、まぁ、わかる。
    何か事件でもあって、危なかったインデックスをC.C.が助けたのだろう。

    だが、二つ目は?道を踏み外すってのはどういうことだ……?


    神裂「今から一年以上前の話ですが、一度、インデックスの命が狙われた事があるんです」

    上条「……なんだって?」

    神裂「この子は『禁書目録』です。10万3000冊にも及ぶ魔道書の知識を手に入れようとする者が数多く存在すると同時に、
       その危険性から命をも狙おうとする輩も存在するんです。……私もステイルもその場にはいなかったので、あくまで
       聞いた話なのですが、その時、『黄金系』に属する、私達も名前くらいは聞いた事のある魔術師が単身、インデックスを
       暗殺しようと試みたんです」


    暗い顔で話す神裂と目を瞑って黙っているステイル。
    その様子からも、インデックスがいかに悲しい運命の元にあったのかが窺い知れる。

    257 = 1 :


    上条「でも、結局は失敗したんだろ?その時にC.C.が何かしてくれたのか?」

    神裂「……彼女は、C.C.はその身を挺してインデックスを救ってくれたんです。二日前、彼女が頭部を撃たれた時、
       私はこれよりひどい状態を見たことがあると言いましたが、それがその時の事なんです」


    そう言われて上条が思い出すのは二日前のC.C.の姿。
    額を撃ち抜かれ、血で己を染め上げる彼女。
    今でも思い出したくない光景だが、それ以上に酷い状態とは……。


    神裂「この子がいた『聖ジョージ大聖堂』は幾重もの強力な防護魔術が施され、そう簡単に攻め入ることはできません。
       しかし、その魔術師は自身の命を捨ててまで、インデックスを暗殺しようとしました。捨て身の人間というのは
       恐ろしいもので、彼は外縁部の幾重にも仕掛けられた防護魔術を掻い潜り、『聖ジョージ大聖堂』内で、この子が
       無防備になる時をただ黙って待っていたんです」

    上条「でも、インデックスには『歩く教会』ってのがあったんだろ?だったら……」

    神裂「ですから、その魔術師は隙を狙っていたんですよ。この子が『歩く教会』をどうしても脱がなければならない時を……」

    上条「……風呂、か?」


    上条の答えに、神裂は頷いた。


    神裂「インデックスが水浴びをするその時を狙って、その魔術師は大規模な魔術を使い、浴場の天井を壊したんです。
       当然、彼はその攻撃魔術に反応した防護魔術によって、すぐさま捕らえられましたが、落ちてきた天井の残骸は
       当時の防護魔術ではどうしようもありませんでした……」

    上条「……それで、どうなったんだ?」


    尋ねる上条だが、その先の展開はさすがの自分でも予想がつく。
    おそらく、インデックスを助けるためC.C.は……。

    258 = 1 :


    神裂「近くにいた者が言うには、天井の残骸がこの子を押し潰そうとしたその時、突然現れたC.C.がインデックスを
       突き飛ばして助けたそうです……。そして代わりに、彼女が潰されました……」


    神裂は苦しそうに言葉を紡ぎ、顔を伏せ、拳を握り締めた。
    その場の五人の間に沈黙が降りる。その中で、C.C.だけはただ単に黙っているだけだったが。

    そして、やや間を取った後、その沈黙を破って、神裂は続ける。


    神裂「インデックスが襲撃を受けた事を聞いた私達は、仕事を放って、すぐさま『聖ジョージ大聖堂』に向いました。
       到着したその場で見たのは、地面に積もった瓦礫の前で泣きじゃくるこの子の姿でした……」


    そう言って、インデックスの頭をフード越しに撫でる神裂。
    その顔は依然暗いままだ。


    神裂「事情を聞いた私は急いで瓦礫をどけていきました。今思えば乱暴なやり方でしたが、その当時から親交があった
       彼女の身が心配でなりませんでした……。そして、瓦礫の中から見つけた彼女の体は……ひどい、有様でした……」


    上条はその状態を見てはいないので、その姿を想像することしかできない。
    しかし、神裂の言い方からして、本当に悲惨な状態だったのだろうと推察する。

    259 = 1 :


    神裂「私達の誰もがC.C.は死んでしまったと思いました……。ですがその時、『最大主教』がその場に現れて、
       C.C.を『部屋で休ませるように』と言ったんです。私達はその言葉を理解しかねました。だって彼女は、
       誰がどう見ても死んでしまっているんですよ?用意するのは部屋ではなく、棺桶の類ではないか、と。
       すると『最大主教』は笑いながら、大丈夫、と言ったんです。私達はしょうがなくその命令に従いました。
       ……そしてその三日後、私達の目の前に、まるで何事もなかったかのようなC.C.が現れたんです」


    上条はその話を聞きながらC.C.をそっと見る。
    彼女は神裂の話などまるで知らぬというように、目を瞑り、腕を組んで佇んでいた。


    神裂「そしてその後、私達は彼女自身の口から彼女の体質の事を聞いたんです」

    インデックス「……でも、私にはその時の記憶がないんだよ。しーつーが私を助けてくれたのに、
           私は何も覚えてないから……」


    インデックスはそういうと表情を歪め、今にも泣きそうな顔になった。
    そんな彼女を見て、神裂はその頭を優しく撫で続ける。


    上条「そんな事があったのか……」


    上条は再度、そこに佇んでいるC.C.を見る。
    相変わらず目を瞑って、沈黙を保っているが、その姿が何処となく照れ隠しに見えて、上条は思わず苦笑した。


    上条「えと、それで、もう一つの恩ってのは……?」


    そう尋ねると、神裂はまたも目を伏せた。

    260 = 1 :


    神裂「……私達は彼女に誤った選択をするのを止めてもらったんです」

    上条「誤った選択?」

    神裂「はい……。今回のこの一件があるまで、インデックスは一年おきに記憶を消さなければならないように、
       教会に仕向けられていました。それはつまり、一年おきに全ての人間関係がリセットされるという事です。
       彼女自身が全てを忘れてしまうのと同時に、周囲の人間は誰一人の例外なく、彼女に忘れられてしまうんです……」

    上条「……」


    上条は言葉を発する事ができなかった。
    常に一緒にいた親友が全てを忘れ、そして全てを忘れられるというその悲しさ、辛さは、想像を絶するものなのだろう。


    神裂「春を過ごし、夏を過ごし、秋を過ごし、冬を過ごし、思い出を作って忘れないように、たった一つの約束をして、
       日記やアルバムを胸に抱かせて……。それでもダメだったんです……。一から思い出を作り直しても、何度繰り返しても、
       家族も、親友も、恋人も、全てがゼロに還ってしまう……」


    自分に語る神裂はどこまでも悲しげで、苦しげだ。
    思い返すだけで泣きたくなるほどの悲運を背負い、今まで過ごしてきたのだろう。

    でも、だからこそ、上条は思う。

    261 = 1 :


    上条「……お前らは強いな」

    神裂「え?」

    上条「お前とステイルは強いよ。さっきステイルにも言ったけどさ、インデックスが自分達との思い出を全て忘れても、
       インデックスの傍に居続けて、友達としてあり続けたんだろ?だからそれは」

    神裂「違うんです……」

    上条「え?」


    上条が言い切る前に、神裂はとても小さく、か細い声でその言葉を遮った。


    神裂「違うんですよ……。私達は強くなんかありませんでした……。私達は弱かった。どうしようもなく、弱かったんです……。
       だから、私達は、最悪の選択をしようとしました……」

    上条「最悪の選択……」


    神裂はインデックスの頭を撫でていた手を下ろし、両方の手を強く握り締めた。


    神裂「私達は耐えられなかったんです……。自分達がどんなに思い出を作っても、この子がそれらを全て忘れてしまう事に。
       日記を見ても、アルバムの写真を眺めても、この子が、ごめんなさい、と申し訳なさそうに言うその姿に。そして、
       それでも尚、この子が笑顔を見せようとする事に……」

    上条「……」


    その神裂の、悲痛を訴える姿に半ば茫然とする上条。
    その姿は、普段見せる、日本刀のように研ぎ澄まされたその凛々しい様からは微塵も想像できなかった。

    262 = 1 :


    神裂「そして、私達は、その苦しみから逃れるために、この子の『敵』になることを決めたんです……。
       初めから『敵』であれば、この子が私達をそのように認識していれば、私達に笑顔を向ける事もない。
       初めから『敵』であれば、辛い思い出を作る事もない、と……」

    上条「……」

    神裂「今思えば、なんて愚かな選択をしようとしたのでしょうね……。ですが、それほどまでに、
       私達は追い詰められていたんです……」


    自嘲的に言葉を吐く神裂。
    その脇では、インデックスが辛そうな顔で神裂を見上げている。


    神裂「そんな時、C.C.が私達の前に現れて、彼女は言ったんです。その程度で逃げるな、と。
       お前達の都合をインデックスに押し付けるな、と。一年分の記憶を失う事が悲しいなら、
       その次の一年をさらに楽しいものにすればいいだけだろう、と……」


    神裂がそう呟くと、今まで沈黙を保っていたC.C.が溜め息をついて、口を開いた。


    C.C.「私はただ、追いかけ回される奴の身にもなれ、私が身を挺して救った事を無駄にするな、と言っただけだろう」

    神裂「貴女は言葉を省略し過ぎですよ」


    そう言って苦笑いを浮かべる神裂。そしてさらに言葉を続ける。


    神裂「彼女の言葉が正しいという事は分かってはいたんです。しかし、最初はそう簡単には頷けるものではありませんでした……」


    神裂は一度目を伏せたが、すぐに顔を上げ、上条を真っ直ぐ見て話す。

    263 = 1 :


    神裂「ですが、彼女が、私達よりもこの子と長い付き合いをしているC.C.自身が、記憶を失い、何もかもを忘れたこの子と
       何一つ変わらない態度で、一から自己紹介をし、話をする姿を見て、私達も逃げてはならないと思ったんです。
       そして何より、彼女の言葉で、この子を追いかけ回し、苦痛を与える事が大きな間違いである事に気付いたんです。
       私達の臆病のツケをこの子に押し付けてはいけないと」


    そう話す神裂の瞳には、いつの間にか力強さが戻っていた。
    その瞳の奥に確かな強い意志が宿っているのが分かる。


    神裂「そして、私達はもう一度インデックスの傍にいる事を選ぶことができました。今、私達がこの子の傍にいられるのは、
       C.C.のお陰なんです。ですから、いつかその恩を返したいんです」


    そう言って神裂は微笑を浮かべ、インデックスとC.C.に交互に顔を向けた。


    インデックス「……ありがとね、かおり、しーつー、すている。ずっと私の傍にいてくれて……。これからは私もみんなの事を
           忘れないんだよ!だから、これからも傍にいてくれると嬉しいかも!」

    神裂「ええ、もちろんです。もう二度とあんな愚かな選択もしません」

    ステイル「……今、僕は君の保護者であり、監視者だからね。まぁ、傍にいるよ」


    そのインデックスの言葉に、神裂は微笑みながら、ステイルは素っ気なく答えた。


    C.C.「ふっ、お前は傍にいたくてしょうがないのだろう?なぁ、ステイル?」

    ステイル「……燃え散らすぞ?」


    上条はその四人の様子を見ながら、その場で静かに笑みを浮かべていた



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    264 = 1 :

    今回はここまでです
    2、3日以内にもう一回来て、その時に『禁書目録編』を終わらせます

    謎の『黄金系』魔術師は完全にオリキャラですので、そういうのが苦手な人はすみませんでした……
    どうしても、この事件を起こすキャラが必要だったので……

    それではまた次回に

    265 :



    モブぐらいなら大丈夫だろ

    266 :


    オリキャラは気にならないよ

    C.C.にとってはインさんの
    記憶消去はその程度、なんだな…

    268 :

    遅れてどうもすみません…

    更新したいんですが↓の表示がちょっとあれなので、少し待ってください自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    269 :

    確かにあれですな自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    270 :

    こんにちわ

    ↓の表示が気になるかも知れませんが、投下しますね
    上手く改行します自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    271 = 1 :


    数分後



    ステイル「……さて、話も終わったことだし、そろそろ行こうか」

    神裂「そうですね。……上条当麻、この度の件では本当に助かりました。
       今後、何らかの形で必ず恩を返したいと思います。……ステイル」

    ステイル「……上条当麻、とりあえず世話になったね。彼女達を助けに動いてくれた事には礼を言うよ」


    頭を下げて礼を述べる神裂と、そしてその神裂に促されながらも感謝を述べるステイル。
    先ほどのインデックスの時と変わらないな、と上条は内心思いながらも頷いた。


    上条「恩を返すとかは別にいいよ。……また何か困った事があったら、手貸すぜ?」


    上条のその言葉に二人は最初目を丸くしたが、神裂は僅かに笑みを浮かべ、再び頭を下げる。
    対するステイルは、ふん、と顔を逸らし、明後日の方向を見たが。

    そして、顔を上げた神裂は最後にC.C.に向き直った。


    神裂「C.C.、最大主教が許可したという事は、この『学園都市』の上層部と対話して、何かしらの安全措置が施されるとは
       思いますが、あまり無茶はしないで下さい」

    ステイル「君に何かあったら、また僕達が派遣される事になるだろうからね。あまり問題も起こさないでほしいものだね」

    インデックス「……あれ?そういえば、しーつーはここのどこに住むの?」


    インデックスは疑問を浮かべ、C.C.に尋ねる。


    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    272 :

    待ってましたでございます自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    273 = 1 :


    C.C.「心配するな。あの女狐と話して、どこに住むかは決まっている」

    上条「へぇー、そうなのか。……なんか困った事あったら手伝うからな」

    C.C.「ああ、頼むぞ」


    そう言うと、ニヤリと笑みを浮かべる彼女。
    その様子を見ていた上条を除く三人は……。


    神裂・ステイル・インデックス(((何か良からぬ事を企んでる……)))


    今までの付き合いから、彼女が何かを企んでいるのが容易にわかったが、上条はそれに気づかなかった。


    神裂「……えーと、それではそろそろ時間ですので、私達はこれで失礼します。上条当麻、あなたに頼むのは少しおかしな
       話なのですが、彼女を、C.C.を頼みます。彼女にとっては不慣れな場所ですし、この学園都市で頼りになるのはあなた
       ぐらいしかいませんので……」

    上条「ああ、わかったよ」

    神裂「よろしくお願いします。……では、二人とも、行きましょう」


    神裂がそう言うと、ステイルとインデックスも頷いて、三人は歩き出す。
    上条とC.C.はそんな三人を黙って見送った。

    そして、やや離れた所からインデックスが一度振り返った。


    インデックス「とうまー!!しーつー!!元気でねー!!ありがとうー!」


    そう叫んで二人に手を振るインデックス。
    その様子を見て、二人は笑みを浮かべ、片手を上げて応えた。

    インデックスは手を振り続け、上条とC.C.の二人は三人の姿が見えなくなるまで、黙ってそれを見送っていた。



    ――――――――

    ――――――

    ―――


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    274 = 1 :


    上条「……行っちまったな」

    C.C.「ああ、そうだな」


    三人の姿を最後まで見送った二人は、名残を惜しむかのようにそのまま公園に佇んでいた。


    上条(にしても、不思議なもんだな……)


    今思い返せば、上条にとってこの三日間は自身の世界観、常識を大きく変えるものだった。

    『ギアス』、『コード』、『魔術』、『必要悪の教会』、『禁書目録』。

    今まで『非常識』と思っていたものが存在することに、自身に大きな衝撃を与えた。
    自分は『無能力者』だが、今回の件で、自分の『自分だけの現実』も影響を受けたんじゃないかと思う。


    上条「……さてと、お前はこれからどうするんだ?住む場所決まってるって言ってたけど、今日からもう住めんのか?」

    C.C.「ああ、問題ない」

    上条「ふーん……。どこに住むんだ?」

    C.C.「なんだ?私の住む場所が知りたいのか?」


    ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、逆に聞いてくるC.C.に、上条は居心地が悪くなる。


    上条(さすがに女性の住所を聞くのはマズかったですかねぇ……)


    そもそも上条には住所まで知っている女友達などいなかった。
    女子寮に住んでいるとかそういうのをちらりと聞いた事がある者はいるが……。


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    275 = 1 :


    上条「あー、いや別にそういう訳じゃないけど、なんかすることあったら手伝おうと思ってたからさ。
       ほら、神裂達にもよろしくって言われたし」

    C.C.「ふふふ、心配するな。何かあったら私の方からお前に言うさ」


    C.C.はそう言うと、公園の出口の方へと歩き始めた。


    上条「お、おい、どこ行くんだよ?」

    C.C.「ただの散歩だ。まだこの街をほとんど見ていないからな。その後、私の住む場所に行く」


    一度立ち止まって上条の問いに答えたC.C.だが、またすぐさまスタスタと歩き始めた。
    それを上条はその場から見送る。

    そして最後に……。


    上条「C.C.!」


    叫ぶ上条の声に、C.C.はゆっくりと振り返った。


    上条「なんか困った事あったら、いつでも相談しに来いよ!」


    そう叫ぶ上条に、C.C.は妖しい笑みを浮かべた。
    そして彼女はまた歩き出し、今度こそ立ち止まる事も、振り向く事もなく、上条の視界から消えていった。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


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    276 = 1 :


    第七学区・学生寮近くの道路



    現在の時刻は午後7時。
    完全下校時刻を過ぎたこの時間、上条は食料品の入った買い物袋を手に提げ、自宅へと向かう道をトボトボと歩いていた。

    上条は朝の別れの後、目的もなくぶらぶらと街を彷徨っていた。
    補習があったような気もしたが、何故だか行く気にはなれなかった。
    時折、ゲーセンを覗いてみたり、店に入って商品を眺めてみたりと、上条はそんな事を繰り返し、今日一日を潰していた。

    どういう訳か、自身の不幸スキルが発動する事も珍しく無かった。


    上条(はぁ、なんだかなぁ……)


    しかし、C.C.と公園で別れて少ししてからというもの、上条はなんとも言いようのない虚脱感、脱力感に襲われていた。


    上条(やっと上条さんの日常が戻ってきたってのに、一体なんなんでしょうかねぇ……)


    C.C.と出会ってからの三日間は、『常識』から外れた『非常識』の日々だった。
    不幸ながらも割と平穏(?)であった日常は一転し、あと少しで本当に死ぬような目にもあった。

    この虚脱感はそのギャップのせいだろうか?
    しかし、自分は決してマゾヒストではないし、そんなスリルに満ちた生活を欲している訳でもない。

    では何故か?

    上条は上手く自覚できていないが、それは多分、寂しさ、なのだろう。

    C.C.と出会い、神裂やステイルと協力し、インデックスと過ごした日々。
    結局のところ、そんな『非日常』も、悪くはなかったのだ。


    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    277 = 1 :


    上条「はぁー、なんか疲れたな……。今日はさっさと寝てしまいましょうかね?」


    あーだ、こーだとウダウダ考えている内に、自身の住む学生寮へと辿り着いた。
    まったく防犯の役には立たなそうな入口をくぐり、これまた随分と古いエレベーターに乗り込み、7階のボタンを押す。

    キンコーン、という電子音が響き、ドアが開く。
    エレベーターを降り、自分の部屋に伸びる直線通路をだらだらと歩く。
    自分の部屋のドアの前に立ち、鍵を開けようとする。

    ……しかし、鍵を回した時の手応えがない。


    上条「あれ?鍵開けっぱなしだったか?」


    朝、部屋を出た時の事を思い返す。
    鍵を掛けなかった気がしないこともない。


    上条「まっ、上条さんの部屋に盗まれてマズイものなんて一つも無いとは思いますがね!はははっ!……はぁ」


    無理矢理気分を上げようとしても、やはりどうにもならなかった。
    そして、溜め息をつきながら、上条はドアを開けた。


    上条「……ふぅ、ただいまっと」


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    278 = 1 :





    C.C.「おかえり、当麻」




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    279 = 1 :


    上条「………………………………」


    C.C.がいる。
    朝に別れたはずのC.C.が自分の部屋にいる。

    ……何故だ?


    C.C.「おい、何を呆けている?この私が出迎えてやったんだぞ?泣いて喜ぶくらいはしろ」


    C.C.はあのボロボロの人形、チーズ君を抱えながら、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
    服も自分が貸したものから、あの白い拘束衣のような服に着替えている。
    その服には、まだ薄く血の色が残っていたが。


    上条「……あー、えーと、C.C.さん?ここで一体何をしているのでせうか?」

    C.C.「見れば分かるだろう?」


    そう言って自分から目を切り、彼女は点けていたテレビへと視線を戻した。


    上条「いや、よく分からないんですが……。あれか?その人形取りに来たのか?それとも俺の服、返しに来たのか?」

    C.C.「お前は何を言っている?」

    上条「はい?」


    そして、C.C.はもう一度、自分へと目を向けて、言い放つ。


    C.C.「今日からここが私の住む場所だ」


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    280 = 1 :


    上条「……はい?」


    C.C.の言葉を脳内で反芻する。
    『今日からここが私の住む場所』……?つまりどういうこと?C.C.はここに住むの?

    えっ、ここは上条さんの部屋なんですが?


    上条「……えっ?じゃあ上条さんはどこに住めば?」


    事態に混乱した上条の頭は変な方向へと繋がってしまった。


    C.C.「何を言っている?元々、ここはお前の部屋だ。お前もここに住むんだろう?」


    そのC.C.の言葉に上条はついに言葉を失った。


    C.C.「それとも何だ?追われている私を追い出すのか?私はお前以外にこの街に知り合いはいない。
       それに、野宿したら補導される。私が捕まったらお前も嫌だろう?」

    上条「ええと、それは、そうなんですが……」

    C.C.「だからここで我慢してやるよ。それと、これからベットは私が使う。男は床で寝ろ」


    言い終わるとC.C.は再びテレビを見始める。


    上条「……つまり、C.C.は俺と一緒に暮らすことになるのでせうか?」


    上条は茫然と呟いた。
    これは何かの冗談なのだろうか?
    そうあってほしいと願うが……。


    C.C.「この私と暮らせるんだぞ?光栄に思え。それよりも、そろそろ腹が減った。ピザが食いたい」


    そのC.C.の言葉に対してか、それとも自身の今後の生活を思ってか、上条はいつものように叫ぶ。


    上条「ふ、不幸だぁああああああああああッ!」



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


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    281 = 1 :


    イギリス・聖ジョージ大聖堂



    グリニッジ標準時間で現在は7月22日午後4時。

    日本を出たのがちょうど昼頃。
    イギリス行きの通常便で約12時間のフライトを経て、神裂、ステイル、インデックスの三人はイギリスへと戻ってきた。

    そして今、三人はイギリス清教の総本山、聖ジョージ大聖堂にて、『最大主教』、ローラ=スチュアートを前にしていた。


    ローラ「さて、三人ともよく無事に帰りたるわね」


    ローラは笑みを浮かべながら、三人に言葉を掛けた。


    ステイル「……『最大主教』、早速、話を聞かせてほしいのですが?」


    ステイルはいきなりローラに尋ねた。
    その声音には、隠し切れない怒気が含まれている。


    ローラ「そう憤るでないのよ、ステイル。確と話したるから。……でも、その前に、『禁書目録』?」


    ローラが名を呼ぶと、インデックスはビクッと肩を震わせた。


    ローラ「何か私に言ふべき事があるのではなくて?」


    そう尋ねるローラに対し、ステイルと神裂は彼女に鋭い視線を送った。
    しかし、ローラはそれを受け流し、インデックスを見つめる。

    そして、インデックスはおずおずと言いだした。


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    インデックス「ええと、『最大主教』、その、勝手に抜け出したりして、ごめんなさい、なんだよ……」


    そう申し訳なさそうにインデックスは謝った。

    今まで自分を苦しめてきた相手を前にしながら、激怒するでもなく、糾弾するでもなく、まず自分の勝手な行いを謝る、否、
    謝ることが出来るそれは稀有な才能だろう。

    しかし、インデックスの内心はそれどころではなかった。

    彼女は勝手にイギリスを出たのだ。
    自身が『禁書目録』という最大級の機密であり、その知識は世界を覆すほどのものであることを理解しながら。
    それは本来、どんな事情があろうとも許されるものではない。

    そして、インデックスが最も危惧しているのは、自分がこの国を出る時に協力してもらったシスター達の事だ。
    彼女達には自分の『悪事』の片棒を担いでもらったのだ。
    自分のために罰を受けることを覚悟して行動してくれた彼女達がどんな罰を受けるのか、インデックスは気が気でなかった。

    しかし、ローラの口から出たのは予想もしない言葉だった。


    ローラ「一体何を言ふているのかしら?『禁書目録』、私は今回の『仕事』の報告をしなさいと言っているのよ?」

    インデックス「……え?」


    インデックスは目を丸くした。
    仕事?報告?……どういうこと?
    『最大主教』の言っている事が理解できない。


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    ローラ「あら?私の記憶では、私がお前に直に仕事を与えたと思ふのだけれど?
        『魔女』を追って学園都市に行きたる神裂火織らを補佐せよとね」

    インデックス「え?私は……」


    もちろん、そんな事は言われていない。
    今回の件は完全に自分の勝手な行動だ。

    それなのに、『最大主教』はそれを咎めることはない。
    むしろ、自分の行動を自身の命令として処理しようとしている。

    これは一体どういう事なのだろうか……?


    ローラ「然るから、お前が学園都市へと向かいし時にそれを手伝ったシスター達も労わなければね」

    インデックス「ッ!」


    どうやら今のところ、『最大主教』は自分の出国を手伝ったシスター達になんらかの処罰をするつもりはないようだ。
    ただしそれは自分が彼女の話に合わせた場合に限っての話で。

    つまり簡単に言えば、シスター達は人質なのだ。

    自分と彼女達を不問に処す代わりに、自分は余計な事を言わず、彼女の言う事に黙って頷く。
    自身の『首輪』について聞きたい事が無い訳ではないが、彼女の機嫌を損ねる訳にはいかないのだ。


    ローラ「『禁書目録』、報告を終えるまでが『仕事』なのよ?ちゃんと『仕事』を終えなさいな」


    そう言ってローラはインデックスに笑い掛ける。


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    インデックス「……えと、無事にかおりとすているに会って、しーつーを探し終わったんだよ……。
           でも、連れて帰って来れなかったけど……」


    ローラに合わせ、インデックスはボソボソと『報告』した。
    そして、ローラは一度頷いて、さらに笑みを深めた。


    ローラ「ご苦労様。『魔女』を連れ帰ることができなかったのは仕様がなしにつきよ。気にする必要はないの。
        ……さて、シスター達がお前の事を心配したるようなのよ。今すぐ会いに行ってやりなさいな」


    インデックスをシスター達の所に行くように促すローラ。
    インデックスは一度、神裂やステイルを見たが、彼らも事情を察して首を縦に振った。

    そしてインデックスは、行ってくるだよ、と言ってその場を去っていった。
    実際、彼女はシスター達の事が心配で、一刻も早く様子を見たかったのだ。

    そして、そこに残された三人。
    口火を切ったのは、やはりステイルだった。


    ステイル「さて、『最大主教』。そろそろ話を聞かせていただけますか?」

    ローラ「神父ともあろう者がそう急き立てるものでないのよ、ステイル?」


    そう言ってステイルを笑うローラ。
    それを見てステイルは顔を歪めた。


    ローラ「……さてと、ではまずは逆に聞こうかしら。お前達は何を聞きたいの?」


    自分から話すのではなく、まずはステイルらに質問を促したローラ。
    それに対し、顔に不満を浮かべながらも、この際ということでステイルは口を開く。


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    ステイル「……それでは聞きましょう。まず、あの子に仕掛けてあったあの妙な『刻印』は何ですか?
         僕達はまったく知らなかったのですが?」


    インデックスの喉の奥に刻まれていた謎の印。
    『幻想殺し』、上条当麻の謎の能力によって破壊されたが、あれが元凶と思われる以上、問い質さない訳にはいかない。


    ローラ「あれは『禁書目録』を管理、保護するためのものよ。あの娘が『禁書目録』と為りし時から存在する『首輪』。
        そもそも、10万3000冊もの『魔道書』を記憶せし者を何の安全措置もなく、野ざらしにするはずなどないでしょう?
        あの娘の『禁書目録』としての知識の恐ろしさは、お前達もよく分かっていると思うのだけれど?」

    神裂「ですがッ!」


    語気を荒げる神裂を見据え、ローラはさらに言葉を続ける。


    ローラ「あの娘を、『禁書目録』を狙わんとする輩が多いことはお前達も身をもって知りたるでしょう?
        そのような者達からあの娘を守るために、当時では仕様のなき事だったのよ。それとも、あの娘の
        身の安全などどうでもよかったとでも言ふの?」


    そう言われ、神裂とステイルは言葉に詰まる。
    インデックスの身の安全、命は何よりも大事なものだ。
    それを危険に晒すことなど認められるはずもない。


    ローラ「あの娘を『禁書目録』とせし私達ができる事。其れがあの娘の命だけは最低限守る事なのよ。
        それを可能とするのが、あの『刻印』だったの」


    そう言って言葉を切るローラ。
    神裂とステイルは沈黙する。

    そしてやや間を開けた後。


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    神裂「……何故、私達に話してくれなかったのですか?」


    沈黙が三人を支配していたが、それを破って神裂が絞り出すように尋ねた。


    ローラ「……其れに関しては、まず謝るべきかしらね。けれど、其れをお前達に話したところで事態は何も変わらぬのよ。
        『禁書目録』、『魔神』の力を振るう者の『首輪』を、お前達の一存で外すことなどできようはずもないでしょう?
        それでも、お前達は事態を知らば、なんとかせんとするでしょう?それは『必要悪の教会』、延いてはイギリスに
        対する反逆と同じ。そのようなことになれば、お前達を処罰しなければならなかったの。それ故に、お前達には
        言わずにいたのよ」


    神裂とステイルは苦々しく思いながらも、彼女の言った事をよく考える。

    確かに、初めから事情を全て知っていれば、あの『刻印』を消すために自分達は動いただろう。
    あの子の、そして自分達の呪われた運命を変えるために。

    だが、それは命懸けの行動だ。
    それはイギリスという大国そのものに楯突くも同然のことだから。

    そして、そうなれば、インデックスの身も危うくなるかもしれなかった。


    ローラ「……けれど、事態がこのように為りし今、再び『禁書目録』に『首輪』をつけるような事などせぬわよ?」


    そのような言葉が『最大主教』の口から出た事に、神裂とステイルは目を見開いた。


    ローラ「今は昔ほどイギリス清教に余裕がない訳ではないのよ。使える人材もここ数年で多いとは言えずとも、
        少しばかりは増えたるし。然るから、『禁書目録』を守るために、より多くを割けられるのよん。
        そして何より、お前達があの娘を守るのでしょう?なれば『首輪』をつける必要もないのではなくて?」


    ローラはそう言って二人に笑みを向けた。


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    ステイル「……当然だよ。あの子は僕達が守る。どんな奴らからもね」

    神裂「ええ、そうですね。あの子は何があっても守ります」


    そう言ってローラに強い視線を送る二人。
    それを見て、ローラは笑った。


    ローラ「うむうむ、良き返事よ。……さてと、私はまだ仕事があるの。お前達も『禁書目録』が世話になったシスター達の
        所に行くのが良いのではなくて?」


    ローラは二人を促す。
    二人は一度目を合わせ、ローラに一礼して、その場を去っていった。

    そして、ローラはその場に一人残される。


    ローラ(……さてと、これであの三人はこれからもここに残るでしょうね)


    ローラは三人と話す前からずっと考えていた。

    神裂とステイルが憤る主な理由は自身が騙されていたからではない。
    もちろん、それに対する多少の苛立ちはあったに違いないが、彼らにとって何よりも重要で、見逃し難かったのは、
    『禁書目録』の扱いに関してだろう。

    あの娘を大切に思い、あの娘のために力を振るっている彼ら。
    ならば、『禁書目録』をこちらから離れられなくし、そして表向きでは『禁書目録』を守る体制を強めてやれば、
    彼らはある程度満足するだろう。

    そして今回のケースでは、『禁書目録』にはシスター達を、神裂とステイルには『禁書目録』を。
    それぞれの性格を考慮し、それぞれにとって有効な駒で手を打ったのだ。

    それに、無理にイギリス清教に歯向かう事が得策ではないことなど彼らは百も承知しているはず。
    だから、これであの強力な駒である三人を失うことはない。

    それに、いざとなれば『あれ』を使うまで。
    あの人道無視の、悪魔の霊装を。

    そうして彼女は、鼻唄を歌いながら浴場へと消えていった。



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


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    学園都市第七学区・窓のないビル



    土御門「……さて、どうだ、アレイスター?お前の計画通りに進んでいる感想は?」


    窓のないビル内部にある、コードばかりが巡らされた空間。
    そこで金髪、サングラスで、アロハシャツというふざけた格好をしている学生、もとい魔術師、土御門元春は、
    赤い液体の詰まったビーカー内を逆さまに浮かぶ存在、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーを前にしていた。


    アレイスター「実に心地いいさ。何でもこう順調に進んでくれると私も楽なのだが。
           もっとも、面白味という面では少しばかり物足りない気もするがね」


    赤い液体の中を漂いながらもこの学園都市の状況を全て把握し、情報を掌握している彼に死角は存在しない。
    今回のインデックスとの接触も何もかもが彼の手の上の事なのだ。


    土御門「ふん、そう油断しているといつか寝首を掻かれるぞ?」

    アレイスター「問題無い。セキュリティーは完璧だ。それに、この街で起きたこの住人の問題であれば、それを解決、
           隠蔽する手法など7万と632程度、この街の外部の者の問題にも1万と351程度の手段は揃えてある」


    アレイスターの最大の強みはその情報力。
    それを破らない限り、この学園都市で彼を出し抜くことなどできるはずもない。

    だがそれでも、アレイスターにとっても予想外な事が起こるならば、起こせる者ならば。


    土御門「……カミやんを、『幻想殺し』を甘く見ない方が身のためだぞ?」

    アレイスター「甘くなど見ていない。それにあれにはまだまだ成長してもらわなければ困る。そのための今回の接触だ」


    アレイスターは薄い笑みを浮かべながら呟いた。


    アレイスター「私の理想にはまだまだ遠い」



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


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    289 = 1 :





    『 第二章:禁書目録編 終了 』




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    290 = 1 :

    とりあえずここまでです

    ああー、長かった…
    これにて『禁書目録編』は終了です
    次回はちょっと日常回を挟んでから、次の章にいきます
    更新は一週間以内に来れればなと…

    それではまた自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    291 :

    乙自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    292 :



    次も待ってる
    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    293 :

    追いついた。乙自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    294 = 293 :

    追いついた。乙。自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    295 :



    期待して待ってる自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    296 :

    予告上げ

    えー、ちょっと忙しかったせいで、キリのいい所まで書けていません…
    なので、もう3、4日程お待ちください

    どうもすみませんです…

    297 :

    期待して待ってる

    298 :

    こんばんわー
    遅くなってすみませんでした

    それでは投下します

    299 = 1 :


    幕間『 魔女との日常 ~ギアスの実践~ 』 

    7月25日
    学園都市・学生寮



    突然だが、私こと上条当麻は有り得ないくらいの不幸体質である。
    あっちへ行けば不良に絡まれ、こっちへ行けばビリビリ中学生に追い回される。
    財布を落とすなんて日常茶飯事だし、怪我をするのも当たり前。

    日頃から大小様々な厄介事、揉め事に巻き込まれる私ですが、目下、最大の不幸となっているのが……。


    C.C.「おい、何をしている?早く朝食を作れ」


    ……これだ。

    自分の目の前で、床に足を崩して座り、テーブルに頬杖をつき、自分に朝食を作れと命令しているこの女の子(?)。
    名前をC.C.という。どう考えても偽名だが、本人はそう名乗ってる。

    彼女と出会ったのは五日前。出会った場所は家のベランダ。そこに引っ掛かってた。
    その後、まぁ色んな事がありまして、彼女を助けに行って、殺されかけて、なんとか生還して……。

    それで一件落着だなー、と思ったら、今度はシスターさんが突然やって来て。
    名前をインデックスという、これまた偽名としか思えない女の子だった。
    そして、またもや色んな事がありまして、その女の子を助けようとして、なんか凄い攻撃されて、それでもまたもなんとか生還して……。

    それで今度こそ終わったー、と思ったら、C.C.が上条さん家に住み始めて……。

    もうここ最近の不幸指数はかなり凄いことになっているんです……。

    300 = 1 :


    C.C.「おい、当麻。聞いているのか?」

    上条「……はぁ、聞こえてますよ」

    C.C.「なら早く朝食を作れ。それが嫌ならピザを注文するぞ?」

    上条「それだけはやめて下さい……」


    彼女と本格的に同居し始めて三日。
    まず最初に問題になったのが食費だ。

    無類のピザ好きである彼女は、一日に少なくとも一枚はピザを食べないとダメらしい。
    何と言うか、食事というよりはお菓子感覚っぽい。

    しかし、上条さんのお財布には、贅沢が出来るほどの余裕はありません。
    この街でピザは一枚約2000円から約3000円。
    上条さんの家計を圧迫するには十分な額なんです。

    しかも、彼女は三食全部ピザでも構わないという。
    もしそんなことされたら、一ヶ月と持ちません。そういう訳なので……。


    C.C.「まったく、この私がピザを二日で一枚で我慢してやっているんだぞ?これ以上、私に窮屈な思いをさせるな」


    心からお願いして、なんとかピザは二日で一枚と我慢してもらった。
    まぁ、それでも十分苦しくなる訳なんですが……。

    ていうか、俺がお願いすること自体、間違ってません……?


    上条「……はぁ、だったらイギリスに帰ればいいだろ……」


    彼女がイギリスに帰れば、上条さんにも余裕ができる。彼女も我慢しなくて済む。
    最高のハッピーエンド、なのだが……。


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