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    元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」

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    551 = 1 :


    ステイル「……それにしても、錬金術師も悪趣味になったものだ。こんな形で『血路』を開くなんてね」


    超能力者に、魔術は使えない。

    もし使えば、使った者の体は確実に崩壊する。
    それでも、錬金術師は自分の迎撃手段として彼らを利用していた。


    その結末が、今、ステイルの足元で倒れ伏している生徒達である。


    僅かに動く者もいれば、すでに動かなくなった者もいる。
    さらに、ステイルのいる廊下に面したある部屋からは、よく嗅ぎ慣れた濃密な鉄の臭いが漂ってくる。

    そこにはこの廊下の惨状など比にならない程の地獄絵図が広がっていることだろう。


    ステイル「……さてと、とりあえずは探索の続きと行こうか」


    気分転換のつもりだろうか、誰に言うでもなく、ステイルは独りそう呟いた。
    犠牲者へのほんの僅かな同情を背に、ステイルは自分の任務へと戻る。

    今現在、ステイルがいるのは上条達のいる階から三つほど上の階。
    囮として彼らがどれほど役に立つかは未知数であるが、いずれにせよ専門家であるステイルが仕事を
    しなければ話にならない。

    552 = 1 :


    記憶したビルの図面を頭に浮かべながら、ステイルは歩を進める。
    今現在、辺りに人気は感じないが、周囲への警戒も怠らない。

    そして、そのまま進むこと数分。

    ステイルは自分のいる南棟から西棟へと繋がる渡り廊下に辿り着いた。
    渡り廊下の周囲には一切の人気がなく、洗脳された生徒達の姿も見られない。

    とりあえず、ステイルは南棟の探索を終え、別棟に移動しようと渡り廊下を進もうとした。

    だが、その時。


    ―――――カツン。


    渡り廊下の向こう側から、足音が響いた。

    前方に目を向けると、そこには夕闇色に染まりつつある廊下を静かに歩む、一人の人間の姿。
    向こうはステイルの姿を視認していないのか、それともその存在を別段気に留めていないのか、
    堂々と、ゆっくりと、しかし着実にステイルに歩み寄ってくる。

    553 = 1 :


    互いの顔がはっきりと視認できる位置まで近づいたところで、ようやくその人間は足を止めた。
    対するステイルは、目の前に佇む人間の顔を自身の記憶と照らし合わせ、しっかりと確認する。

    そして、僅かな沈黙を挟んだ後、重々しく口を開いた。


    ステイル「……君が、『吸血殺し』―――――姫神秋沙、だね?」

    姫神「そういうあなたは。一体誰?」


    今回の最重要人物にして救出対象。
    『吸血殺し』、姫神秋沙。
    三沢塾、錬金術師の双方に監禁、利用されていると思われた少女。


    そして、カインの末裔、伝説の生物――――吸血鬼を[ピーーー]能力を持つ存在。


    ステイルの背筋を嫌な汗が伝った。
    それは彼女の今の行動、つまり、

                          
    彼女が、周囲を警戒する様子もなく、自由に動き回っている。


    その事実に、考慮していたある可能性が現実味を帯びたからだった。

    それはすなわち、彼女は錬金術師に監禁、利用されているのではなく、進んで協力しているという可能性。

    554 = 1 :


    それは、ステイルにとって最悪の事態以外の何物でもない。

    何故なら、それは『吸血殺し』という正体不明の異能が、自身に直接牙を剥く事に繋がるからだ。
    『吸血鬼』を殺すとされる程の絶大な力など、どう対処すればいいか見当もつかない。

    それにもし、『吸血鬼』を殺すために、『吸血鬼』を呼ぶことさえできるのなら。
    最悪、『吸血鬼』という伝説の生物が、自身の目の前に現れる可能性だってある。

    そんな事を考えるステイルに対し、一方の姫神秋沙は怪訝な顔を浮かべる。
    見覚えもない妙な大男からいきなり名前を確認され、その後一言も発することなく沈黙されたら、
    それも仕方ないことだが。


    姫神「……もう一度聞くけど。あなたは誰?」

    ステイル「あ、ああ、………僕はステイル=マグヌス。……君を、助けに来たんだ」


    姫神の再度の問いを受け、思考の海に沈んでいたステイルがようやく言葉を返した。
    ステイルは相手を下手に刺激しないよう、慎重に言葉を選んでいるようだ。

    そしてその返答に対し、今度は姫神はきょとんとした顔を浮かべる。


    姫神「助けに来たって。どういうこと?」

    ステイル(……やはり、そうなるか)


    『吸血殺し』、姫神秋沙は、本当に、本当にその意味がわからないといった風な表情を浮かべ、
    ステイルにその真意を尋ねていた。

    555 = 1 :


    対するステイルにとっても、少女のその問い掛けはもう既に想定の範囲内であった。


    『吸血殺し』が、自分の意思で錬金術師に協力している。


    この可能性が濃厚な以上、『吸血殺し』を救出せよ、という自分の任務は根底から破綻する。
    自分は進んで協力しているのに、「救出しに来た」、と言われても訳がわからないのも当然だ。


    ステイル(……まったく、厄介なことになった。あの統括理事長め、『吸血殺し』のスタンスくらい、
          前もって調査して欲しいものだ)


    内心で、あの恐ろしく気に食わない学園都市のトップに対して無茶な悪態を吐きながら、
    ステイルは目の前の少女に視線を送る。


    ステイル「……僕はこの学園都市の上の人間から、君がここ『三沢塾』に監禁されている、
          という話を聞いたんだけど。それは違うのかい?」


    彼女の神経を逆撫でしないよう注意しながら、できるだけ情報を集める。
    それが今のステイルにとって最も重要なことであり、優先すべきことだった。

    556 = 1 :


    姫神「……確かに。私はここに監禁とまではいかないまでも軟禁はされてた。
        でもそれは前の話。彼が来てからはそんなことはない」

    ステイル「……『彼』、とは?」

    姫神「私の力を人のために使おうとしてる人。私の力を抑えてくれる人。私の協力者」


    その姫神の言葉を聞いたステイルには、もはや聞くべきことなどなかった。


    ―――協力者。


    本人からそう断言されてしまえば、もはや打つ手などない。


    ステイル(……なら)


    ステイルは姫神に気づかれないよう、服の下を探る。

    あくまでも『救出』という任務故に、『殺害』など論外。
    下手をして『吸血殺し』を傷つければ、『魔術』と『科学』の戦争に発展しかねない。

    故に、ステイルは自身の得意とするルーンで先制、気絶を狙おうとした。


    その時。



     「自然、何をそんなに焦っている?ルーンの魔術師」

    557 = 1 :


    ステイル「……」


    自身の背後、ほんの僅かな距離から唐突に響いた声。
    ステイルは驚愕と戦慄のあまり、身動きどころか一瞬呼吸すらできなくなった。


    ―――有り得ない。


    ステイルの思考を埋め尽くすのはこの一言だけだった。

    自分は一切、このフロアとここまでの道の警戒を怠ってはいない。
    それに、目の前に『吸血殺し』などという未知数の力を持った相手が立っており、
    多少彼女に気を取られていたとしても、この距離まで接近に気づかないなど普通ではない。

    そして、この距離で背後を取られたという事実。

    それが何を意味するのかわからないほど、彼は戦場を経験してない訳ではない。


    アウレオルス「当然、何が起こったのか理解できぬという顔だな。尤も、貴様如き魔術師には、
             およそ理解できぬ領域ではあるが」

    ステイル「……アウレオルス=イザード。君は、この三年間で一体何をした?」

    アウレオルス「答える義理はない。だが、かつて同じ目標と苦痛を持ち、味わった『同志』として、
             せめて苦しまずに終わらせよう」


    言い終わると、アウレオルスは懐から大きな鍼を取り出した。
    そして、それを自分に向けて突き立てようとした時。



    姫神「待って」

    558 = 1 :


    正面に立つ姫神秋沙が、ステイルの後ろのアウレオルスを制止した。
    アウレオルスも、鍼が首元に刺さる直前で止める。


    姫神「その人を殺すことは私達の目的にとって必要ではないはず。たとえあなたが『彼ら』を
        傷つけないとしても。他の誰かを無駄に傷つけるようなら。私はもうあなたに協力できない」

    アウレオルス「……それでは君も救われないが?」

    姫神「その時は。最後の手段を取るまで」


    アウレオルスと姫神の間に、僅かな緊張が走る。

    そして、その二人の間に挟まれたステイルは、この状況に混乱する。
    『吸血殺し』姫神秋沙と錬金術師アウレオルス=イザードが協力関係にあるのは確定している。

    だが、その姫神秋沙が、協力関係を壊すのを覚悟してまで、自分を助ける意味がわからない。


    アウレオルス「……必然、この程度の魔術師など問題にならん。それにかつての『同志』ならば、
             一度の温情を与えるのもまた良し」


    アウレオルスはそう言うと、鍼を再度自身の首筋にあてがい、今度こそ突き刺した。

    そして。



    アウレオルス「―――今回の事件の全てを忘れよ、ルーンの魔術師」



    ―――――――――

    ――――――

    ―――


    559 = 1 :

    短いですが今日はここまでで

    全然進まない…
    一体どうしたものか…

    次回の更新がいつになるか皆目見当がつきませんが、なるべく早くできるよう頑張ります
    では、また次回に

    560 :

    舞ってるー

    561 :

    地の文嫌いなのに>>73のせいでクソつまらなくなった
    題材は良いのに残念

    562 :

    地の文いらん

    563 :

    今更二年前のレスに文句www

    564 :

    全部読んだ


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