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元スレ垣根「ただいま」
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乙!前作も好きだったから、今作も期待してます!
とりあえず馬に蹴られろ浜面
帝春と心理定規の三角関係ものだと期待してたけど違うらしい。
ちょっと残念。
とりあえず馬に蹴られろ浜面
帝春と心理定規の三角関係ものだと期待してたけど違うらしい。
ちょっと残念。
レスありがとうございます。
恋愛要素を期待している人が居るようですが、前にも言った通りないです。
投下します
恋愛要素を期待している人が居るようですが、前にも言った通りないです。
投下します
隠れ家に戻ってきた垣根は、解析を始めていた。
『滞空回線』なんて代物があったことに驚いたけれど、
アレイスターの情報収集力を考えれば、納得がいった。
『滞空回線』からは凄まじい量の情報を得ることが出来る。
しかしアレイスターと対等に渡り合うには不十分だ。
垣根(ちくしょう……やっぱりこれだけじゃ駄目か)
ガチャリと扉が開く。
目だけでそちら見ると、『スクール』の構成員である心理定規が居た。
垣根「お前、どこ行ってた訳?」
心理「ちょっとお小遣いを稼ぎに。やっぱり学者はダメね。
基本料金をきっちり計算していて、ちっともチップを弾んでくれない」
垣根「ふーん。一時間って時間が生々しいな」
心理「別にやましい事はしてないんだけど。
ホテルの一室に入ったって言っても、雑誌をめくりながら少し話をしたくらいだし」
垣根「……エロい事しないの?」
心理「しないわよ。する必要もないし。場合によっては―――」
彼女は話を続けていたが、興味がない垣根はあまり聞いていなかった。
それよりも、さっさと解析を進めなくてはならない。
垣根が興味なさそうな声で相槌を打っていると、彼女は話を止め、話題を変えた。
心理「そういえば『アイテム』ってどうなったの?」
垣根「能力追跡は無力になった。俺達を追って来れねぇよ」
言いながら心理定規に向かって小さいケースを投げる。
心理「これって、体晶?そういえば『アイテム』の能力追跡は意図的に能力を暴走させてたんだっけ」
垣根「そうだ。あの女弱ってたし、俺が殺すまでもなかった。あと数回、能力を使えば確実に死ぬだろうし」
心理「それで殺さなかったのね。能力が使えなきゃ確かに無害だけど……」
垣根「なんだよ?」
心理「体晶を奪うなんて、まるでその女を助けたみたいね」
垣根は内心動揺したが表には出さない。
おかえりラジオのリスナーだから助けた、なんて言ったら心理定規に殺されるだろう。
垣根「俺が他の女に優しくすんのが気に喰わないの?」
心理「自惚れるなよキモオタ」
垣根「あ?キモオタじゃねぇし」
心理「声優なんかに夢中になってるなんてキモいわよ。死んだ方がいいわ」
垣根「うっせぇな。テメェに迷惑かけてねぇんだから別にいいだろ」
二人はお互いに、こいつマジうぜぇ死ねと思いながら会話を続ける。
同じ組織の者同士が話しているのに、殺伐としている雰囲気は異様だった。
心理「解析結果は?」
垣根「ダメだな」
滞空回線には膨大な情報があるが、アレイスターと対等にやり合える立場になれるようなものではない。
このデータにプラスして、もう一押しする必要がある。
垣根は心理定規に、そう話した。
垣根の言葉を聞いた彼女はため息を吐く。
心理「なら、やっぱりやるのね」
垣根「……ああ。学園都市第1位を殺す。そしれしか道はねぇな。
アレイスターと交渉を優位に進めるためには、やっぱり『第2候補』じゃダメだ。
代わりの利かない『第1候補』の核にならなくっちゃな」
心理「そう。何でも良いけど、私は一方通行戦に関わるつもりはないから」
垣根「ふーん。で、暇な時間はまた小遣い稼ぎにでも行くのかクソビッチ」
心理「だからエッチなことはしてないって言ってるでしょ底辺声オタ」
心理定規は汚物を見るような目で垣根を見た。
そして結果が分かったら教えろ、と言い『スクール』の隠れ家から立ち去った。
垣根は『ピンセット』を眺めながら、ゆったりと笑った。
垣根「―――『一方通行』か」
―――――――――――――――――――――――
垣根は“最終信号”を探すために隠れ家から出た。
幼い少女を利用するのは気が進まないけれど、交渉権を手に入れる為だ。
手段など選んでられない。
一刻も早く、野望を実現させたかった。
垣根(……確か、この辺りだよな?)
厄介なのは最終信号が一人ではないことだ。
そのうえ、今は行方を暗ましてしまっている。
入手した情報に寄ると、暗部でも何でもない一般人と行動を共にしているらしい。
まぁ、たかが一般人だし愛想良くヘラヘラしとけば警戒されないだろう、と思いながらターゲットに近づいて行く。
ターゲットの少女は、幸せそうにパフェを食べていた。
その少女は風紀委員の腕章が付いている。
しかし、彼女に戦闘力があるとは思えない。
変わった所といえば頭の花だけで、他には特徴がなくどこにでも居そうな普通の中学生だ。
垣根(人の良さそうな顔してるし、最終信号がどこに行ったかはすぐに教えてくれんだろ)
垣根は、完全に油断していた。
少女はそこまで馬鹿ではないし、垣根が思っているほど弱くもない。
そして、何より―――。
垣根はこの少女が特別な存在になるなんて、今は知らなかった。
.
―――――――――――――――――――――――
初春飾利はオープンカフェに居た。
見知らぬ女の子の世話した自分にご褒美でも
あげようと思い、大型甘味パフェに挑戦中だ。
元気なアホ毛を持つ女の子は一人でどっかに行ってしまった。
追いかけるべきなのだろうが、パフェを食べ始めた初春は席を立つなど出来なかった。
そして、初春はパフェのアイスクリームゾーンへ突入したのだったが、
「失礼、お嬢さん」
不意に横からそんなこと言われた。
目をやるとガラの悪そうでチャラい少年が立っていた。
手には奇妙な爪のようなものを装着している。
見るからに妖しい。
でも、顔はけっこう好みかもしれない。
少年は胡散臭い笑みを浮かべて初春を見つめている。
正直かかわりたくなかったけれど、無視する訳にもいかず言葉を返す。
初春「はぁ。どちら様ですか?」
少年「……」
初春「?」
初春飾利はオープンカフェに居た。
見知らぬ女の子の世話した自分にご褒美でも
あげようと思い、大型甘味パフェに挑戦中だ。
元気なアホ毛を持つ女の子は一人でどっかに行ってしまった。
追いかけるべきなのだろうが、パフェを食べ始めた初春は席を立つなど出来なかった。
そして、初春はパフェのアイスクリームゾーンへ突入したのだったが、
「失礼、お嬢さん」
不意に横からそんなこと言われた。
目をやるとガラの悪そうでチャラい少年が立っていた。
手には奇妙な爪のようなものを装着している。
見るからに妖しい。
でも、顔はけっこう好みかもしれない。
少年は胡散臭い笑みを浮かべて初春を見つめている。
正直かかわりたくなかったけれど、無視する訳にもいかず言葉を返す。
初春「はぁ。どちら様ですか?」
少年「……」
初春「?」
少年「失礼、お嬢さん」
初春「はい?何ですか?」
少年「……」
初春「……」
少年「……」
初春「……」
少年「失礼、お嬢さん」
初春「ちゃんと聞こえてますけど……。何か用ですか?」
そう言った瞬間、少年は倒れた。
別に初春飾利は何もしていない。
そもそも、そんな力は彼女にはない。
しかし垣根を動揺させる要素を彼女は持っているのだ。
もちろん本人は全く自覚していない。
運命かどうかは分からないけれど、とにかく二人は出会ってしまったのだった。
.
おつおつ。
ついに二人の遭遇ktkr
これは今後もwwktkせざるをえない。
「……エロい事しないの?」
はい、名言いただきましたありがとうございます。
ついに二人の遭遇ktkr
これは今後もwwktkせざるをえない。
「……エロい事しないの?」
はい、名言いただきましたありがとうございます。
>>117
原作を読めばいいと思う
原作を読めばいいと思う
一方通行「クカカカ……ささきのぞみちゃン……いいねいいね最ッ高だねェ!!」
レスありがとうございます。
すっごいくだらない内容に付き合ってくれる人にはマジ感謝です。
どうやら一方さんに期待が集まっているようですか、期待されると困ります。
投下します
すっごいくだらない内容に付き合ってくれる人にはマジ感謝です。
どうやら一方さんに期待が集まっているようですか、期待されると困ります。
投下します
どこだ、ここ。
俺は何をしてたんだっけ?
あれ?
何かやるべきことがあったんじゃないか?
でも、何かすっげぇ驚いたことがあって……
驚いたこと?
なんだ、それ?
そういえば俺、倒れたような気が……
??「ねぇねぇ」
―――あ?誰だよ?
蜷川「倒れてないで、一緒に泳ごうよっ!海、すーっごく気持ち良いよ!」
―――あれ、あむろちゃんじゃねぇか……。スク水似合ってるな……。
スゥ「倒れるなんて疲れちゃってるんですかぁ?スゥがスタミナ料理作ってあげるですぅ!」
―――スゥの手料理か……。そんなの食べれたら、死んでも後悔しないだろうな……。
天空寺「無理しちゃだめだよ。帝督ちゃんはなじみの大切な人なんだから」
―――なじみちゃんにそんなこと言ってもらえるなんて、これは夢か?
町中「今の仕事つらいの?だったら、新風新聞専売所にきなよ?皆、優しい人ばっかりだよ!」
―――……今すぐ『スクール』止めよう。配達なんて能力使えば一瞬で終わるぜ。
平沢「寝てないで一緒にケーキ食べようよぉ~。早くしないと全部食べちゃうぞぉ」
―――相変わらず唯ちゃんは食いしん坊だな。そんな所が好きなんだけど。
別所「お兄ちゃん!頭打ったんでしょ?大丈夫?小宵、すっごく心配したんだよ!?」
―――小宵ちゃんのアニキになれるなら、頭打つくらい安いもんだぜ。
山辺「燈が膝枕してあげるね。ほら、恥ずかしがらないで?」
―――膝枕もいいけどソーマも欲しい……でも、燈ちゃんにそんなこと言ったら恥ずかしがるだろうな。見たい。
「まだ、起きないんですか?早くしてくれないと、帰れないですよ」
―――誰だ、お前
「はぁ……アホ毛ちゃんだけじゃなくて、知らない男の人にまで振り回されるとは……ついてないですね」
―――よく知ってる声なのに、知らねぇな。
「起きて下さいよぉ……はぁ……」
―――うるせぇな。起きればいいんだろ。
だから、俺の好きな声で、ため息なんか吐くんじゃねぇよ
.
―――――――――――――――
―――――――――――
――――――――
―――――
―――
長い夢を見ていた気がする。
内容は覚えていないが、暖かくてとても嬉しい夢だったと思う。
垣根はゆっくりと目を開けると、見知らぬ場所に居た。
天井が白い。
薬品の匂いがする。
ここは自分の家ではない。
自分がどこに居るのかを確認する為に体を起した。
窓からはオレンジの光が差し込んでいて、日が落ち始めていることを知らせていた。
「起きたんですか?」
可愛らしい高音が耳に触れる。
垣根は声の持ち主を見た。
少女「連絡先も何も分からなかったので、私が付き添ったんです」
垣根「……」
少女「覚えてますか?貴方、倒れたんですよ?ちなみにここは病院です」
花飾りの少女がふんわりと笑う。
少女は飴玉を転がすような甘ったるい声だった。
甘さが心地が良く、ずっと聞いていたかった。
―――――――――――
――――――――
―――――
―――
長い夢を見ていた気がする。
内容は覚えていないが、暖かくてとても嬉しい夢だったと思う。
垣根はゆっくりと目を開けると、見知らぬ場所に居た。
天井が白い。
薬品の匂いがする。
ここは自分の家ではない。
自分がどこに居るのかを確認する為に体を起した。
窓からはオレンジの光が差し込んでいて、日が落ち始めていることを知らせていた。
「起きたんですか?」
可愛らしい高音が耳に触れる。
垣根は声の持ち主を見た。
少女「連絡先も何も分からなかったので、私が付き添ったんです」
垣根「……」
少女「覚えてますか?貴方、倒れたんですよ?ちなみにここは病院です」
花飾りの少女がふんわりと笑う。
少女は飴玉を転がすような甘ったるい声だった。
甘さが心地が良く、ずっと聞いていたかった。
少女「あ、いきなり知らないヤツが居たら驚きますよね?」
確かに垣根はとても驚いている。
でも、別に知らない人間が居るからではない。
少女「私は風紀委員の“初春飾利”と言います。妖しい者ではありません」
垣根が驚いている理由は、知らない間に病院に運ばれていたからでもない。
目の前の少女の発する音が、どうしようもなく愛おしい声だったからだ。
初春と名乗った少女は、垣根の溺愛する彼女と声が似ていた。
もし初春飾利がアニメのキャラクターだったのなら、声をあてるのは間違いなく“豊崎愛生”になるだろう。
それくらいに初春の声は、甘くて優しいほっこりボイスだった。
打止「あ!イケメンのお兄ちゃん起きたんだ!ってミサカはミサカは安心してみる!」
ガラッと勢いよく扉が開かれた。
ヒマワリの様に眩しい笑顔をした少女が、ベッドに駆け寄ってくる。
初春「あ、アホ毛ちゃん。ちゃんと苺おでん買って来てくれました?」
打止「それくらいミサカにもできるよ!ってミサカはミサカは
缶を落とした事実は隠ぺいしつつ、頼まれた物を差し出してみたり」
初春「落したんですか!?あー……缶ヘコんでるじゃないですか」
医者「ほらほら、病室では静かにして欲しいんだね?」
立派なアホ毛を持つ少女が開けたままの扉から、白衣を着た男が入って来た。
カエルのような顔をしている。
医者「目が覚めたようだね?入院する必要はないから、帰って安静にするんだね?」
垣根「俺は、一体どうなったんだ?」
垣根の質問に医者はのんびりと答えた。
オープンカフェで倒れた垣根は、救急車でこの病院へ運ばれたそうだ。
身分証明書や連絡先が分からなかった為、近くに居た風紀委員が一緒に救急車に乗った。
騒ぎを聞きつけたアホ毛少女は、なんとなく一緒に来たらしい。
垣根「……なるほどな。大体分かった」
医者「何かよほどショックを受けたようだね?無理はしないで欲しいんだね?」
それだけ言うと医者は病室から出て行った。
垣根は医者の背中を見ながらぼんやりしていた。
垣根(無理はするな、か……)
でも、それはできない。
垣根は目が覚めてからも、ずっと驚き続けている。
垣根は初春を見た。
初春「どうかしました?それよりも私、帰ってもいいですか?」
打止「ミサカも帰らなきゃ……結局、迷子は見つからなかったってミサカはミサカは落ち込んでみる……」
垣根(このお嬢ちゃんが最終信号か……。いや、今は最終信号に構ってる暇なんかねぇ)
垣根はベッドから降りると、初春の前に立った。
大きいくりくりとした目が垣根を見上げる。
垣根「迷惑かけちまったみたいだな。お詫びに送ってやるよ」
打止「ミサカも初春のお姉ちゃんを送ってあげるってミサカはミサカはやる気満々!」
初春「一人で帰れますから結構です」
即答だった。
その言葉には送ってもらうのなんて悪いから……とかではなく、
さっさと知らないヤツ等から解放されたいという願いが込められていた。
垣根「いいから送るって。可愛いお嬢さんが一人で帰るなんて危ないだろ?」
初春「……そこまで言うなら仕方ないですね。送らせてあげますよ」
垣根「……」
可愛らしい声なのに全然可愛くない女だな、と垣根は思った。
初春は垣根を見て“帰りたいので早くして下さい”と言い歩き出してしまった。
やっぱりこいつ、可愛くねぇ。
―――――――――――――――――――――
打止「はぁ……迷子はどこに行っちゃったのかなってミサカはミサカはうな垂れてみたり」
病院から出た、打ち止めはシュンとしていた。
立派なアホ毛もうな垂れている。
初春「迷子って結局何だったんですか?」
打止「迷子は迷子だよってミサカはミサカは事実をぼかしてみる」
垣根「お嬢ちゃんが言ってる迷子って、一方通行じゃないのか?」
垣根は打ち止めが第1位を探しまわっていることを知っていた。
1位の男が、こんな少女に迷子と呼ばれているなんて面白すぎる。
打止「お兄ちゃん、あの人のこと知ってるのってミサカはミサカは質問してみる!!」
初春「良かったですね。手がかりが見つかったみたいなので私はこれで……」
垣根「勝手に帰るな」
そう言うと垣根は、強引に初春の手を取る。
初春の体が強張るのが伝わって来た。
打止「あ!ミサカも手を繋ぐってミサカはミサカは初春のお姉ちゃんの手に飛びついてみたり!」
初春「わっ!……何するんですか、もう」
二人に手を繋がれた初春は、観念したように歩き出した。
垣根は初春を見つめた。
幼さが残る顔は全く好みではない。
胸はペッタンコで全くそそられない。
頭の髪かざりは意味不明だ。
大きい瞳は子どもそのもので見つめられてもドキドキしない。
握った手は細く幼くて女性特有の柔らかさが足りない。
足は細いだけで微塵も色気を感じられない。
けれど―――
初春「垣根さん、でしたっけ?倒れてるんですから、無理しないで下さいね」
彼女の声を聞くと、胸が締め付けられ切なくなる。
高鳴る心音はうるさいけれど、悪い気はしなかった。
初春「そういえば、私に何か用だったんですか?」
垣根「忘れた」
初春「なんですか。それ」
打止「ねぇねぇ、イケメンのお兄ちゃん、あの人のこと知ってるの?ってミサカはミサカは会話に割り込んでみる」
打ち止めが垣根を見上げた。
そういえば、最初は打ち止めを探していた筈だった。
しかし今はどうでもいい。
交渉権は手に入れたいが、今は甘い声に耳を傾けていたかった。
初春「アホ毛ちゃん、真剣に探してるみたいなんですよ。
何か知っていたら教えてあげてくれませんか?」
お願いしますよ、ね?
甘い声は優しく問いかけてきた。
その聞き方は卑怯だ。断れる訳ないだろう。
けれど、垣根だって一方通行がどこに居るかは知らなかった。
垣根「……教えてやりたいけど、俺も居場所は知らねぇ」
打止「なら、仕方ないかって、ミサカはミサカは……」
初春「落ち込まないで下さいよ。きっと見つかりますって」
初春は宥めるように言った。
打ち止めに付き合ってるのは嫌そうに見えたが、それなりに心配はしているようだ。
初春「だから元気出して下さい。暇な時はまた付き合ってあげますから」
打止「本当!?ミサカはミサカは」
打ち止めが元気にパァっと笑った瞬間、ぐぅ~っと大きい音が響いた。
可愛らしいお腹からの音だとは思えないほどの、でかい音だった。
垣根「すげぇな。そんなに腹減ってるのか」
打止「ちが……ちがうってミサカはミサカは……」
初春「一日中、歩き回ってたから仕方ないですよ」
打止「うぅ……」
初春「ファミレスでも寄ります?でも、アホ毛ちゃんの保護者は心配しちゃいますか……」
初春は口に指をあてて、どうしようかな、んー?と考え事をしている。
“んー?”
これ、破壊力やばい。
別に愛生ちゃん本人ではない。
しかし、ほっこりエンジェルボイスであることには変わりない。
もう少しだけ彼女の声を聞いていたい。
でも、初春に“お前の声をもっと聞かせてくれ”なんて言ったら、何か誤解されそうだ。
ならば……
垣根「なら、俺がアホ毛の嬢ちゃんの家に連絡してやるよ。迷子になってる所を保護して夕飯食べさせてるって」
打止「アホ毛じゃないもんってミサカはミサカは抗議してみる!」
初春「へ?アホ毛ちゃんを任せてもいいんですか?」
垣根「ついでだし、花飾りのお嬢さんも来いよ」
打止「やったー!新しいお友達とご飯だってミサカはミサカは喜んでみたり!」
初春「え?」
戸惑う初春を引きずるようにして、三人はファミレスに向かった。
垣根は心の中でニヤニヤしていた。
ご飯食べる、というのはけっこう色々な声が聞けるのだ。
打ち止めの家に電話をすると、気だるげな声が聞こえてきた。
声の主は、今日は愛穂の帰りが遅いから助かったわ、と言うと一方的に電話を切った。
この女からは駄目人間の臭いがする。
まぁ、そんな訳で、会って間もない三人はファミレスで食事をすることになったのだ。
完璧な笑顔の店員に席を案内されて、三人はメニューを開いた。
夕飯の時間のせいか店内は賑やかだ。
ざわついた店内でも、初春の声は最高だった。
垣根「奢ってやるから、遠慮すんなよ?」
打止「やったーってミサカはミサカはお子様ランチを希望してみたり」
初春「えぇ……奢りなんて悪いですよぉ……。
私は、このパスタと苺のパフェと苺のミルフィーユだけでいいです」
垣根「全く遠慮する気がねぇな」
初春「冗談ですよ。本当は…」
垣根「別に構わねぇよ。金はあるから。全部頼んでやるよ」
初春「へ!?いや、ほ、本当に悪いですよ」
垣根「病院まで付き添ってくれた礼だよ。気にするな」
言いながら店員の呼び出しボタンを押した。
にこやかな笑顔の店員に手際良く注文をする。
店員「少々お待ち下さいませー」
初春「すいません……ご馳走になっちゃって」
垣根「気にすんなって」
垣根は、笑顔で言った。
そう、気にしなくていい。
ファミレスに入って数分しか経っていないのに、ほっこりボイスの冗談や悪びれた声を聴けたのだ。
でも、全然足りない。
垣根「なぁ、うんたん♪うんたん♪って言ってみてくれ」
初春「はい?」
垣根「うんたん♪うんたん♪ repeat after me?」
初春「……うんたん?うんたん?」
垣根「?じゃねーよ!♪だよ!」
初春「……う、んたん♪うんたん♪」
垣根(こ、これは、“うんたん”だ―――!!!!)
初春(なんだろう、この人、気持ち悪い、かもしれないです)
微笑ましい談笑をしていると、料理が運ばれてきた。
パスタを見た初春は“美味しそうですねぇ”と上機嫌に言った。
正直パスタなんかよりも、その声の方が甘くて美味しそうだと垣根は思う。
打止「いただきますってミサカはミサカは手を合わせてみる」
初春「いただきます……貴方は食べないんですか?」
垣根「腹減ってないんだ」
それは嘘だった。
でも、せっかく良い声が身近に居るのに、食べ物を咀嚼してる音で掻き消してしまったら勿体ない。
だから食べないのだ。
打止「初春のお姉ちゃんにプレゼントあげるってミサカはミサカはピーマンをお皿に乗せてみたり」
初春「好き嫌いは駄目ですよ」
打止「あ!戻さないでってミサカはミサカは涙目になってみる」
初春「そんな顔しても駄目です。ピーマン美味しいじゃないですか?」
打止「おいしくないもんってミサカはミサカは不貞腐れてみたり」
初春「美味しいですって。ほら、一口食べてみて下さい。一口だけでいいので」
打止「……なら、一口ってミサカはミサカは忌々しい緑をかじってみる」
垣根は微笑ましいやりとりを見てほっこりする。
幼い子を諭すような声も素晴らしい。
やはり、ファミレスに来て正解だ。
そして初春飾利の声の良さを実感していた。
打止「やっぱり無理ってミサカはミサカは残りのピーマンを初春のお姉ちゃんに押し付けてみたり!」
初春「あ!駄目ですって!」
垣根「……」
初春「あの、垣根さんも黙ってるだけじゃなくて、何とか言って下さいよ」
垣根「え?俺?」
初春「はい、お願いします」
彼女の声は魔力がある。
“お願いします”
その言葉だけで、垣根の思考は停止して、初春の言うことを聞かなくてはならないと思ってしまう。
垣根は箸でピーマンをつまむと打ち止めの口元に持っていった。
垣根「ほら、食え」
打止「やー!絶対にやー!」
打ち止めはそう言うとそっぽを向いた。
しかし、垣根は諦めない。
なぜなら初春の“声”にお願いされたからだ。
垣根「ほら、食えって」
打止「むー!」
打ち止めは口を絶対に開けずに、涙目で睨みつけてくる。
垣根は大人げなく、睨み返す。
そんな二人のやりとりを眺めながら初春はパスタを口に運んだ。
垣根「いい加減にしろよクソガキ」
打止「……」
垣根「こっち向いて口開けろ」
打止「……」
垣根が強硬手段に移ろうと打ち止めに手を伸ばした。
その瞬間。
ガゴォン!という音がファミレス中に響き渡った。
他の席から、イスが飛んできたのだった。
その一撃を喰らったことで垣根はバランスを崩す。
打ち止めに食べさせる予定だったピーマンは机の上に落ちていた。
それでもパスタを食べることを止めない初春飾利は確かに聞いた。
「……ったく、シケた遊びでハシャいでンじゃねェよ。三下」
白熱し白濁し白狂した、
学園都市最強の、悪魔のようなレベル5の声を。
「もっと面白いことして、」
最強がそう言いかけた時、言葉を遮るように大きな着ボイスが店内に響き渡った。
携帯<プロデューサー、あのぅ、メールですよぉ……。
え、えっと私、どうすればいいんでしょうか……。
うぅ、とにかく確認してください~。
おどおどしたその声は、透き通るウィスパーボイスだった。
ここまでです!
いよいよ第1位と第2位の衝突ですね。
読んでくれてありがとうございましした!
いよいよ第1位と第2位の衝突ですね。
読んでくれてありがとうございましした!
おつ。
これは……。
シリアスっぽいのに台なし
てかていとくん愛生ちゃんに精通しすぎれす。
これは……。
シリアスっぽいのに台なし
てかていとくん愛生ちゃんに精通しすぎれす。
レスありがとうございます。
シリアス?そんなものを書いた覚えはありません。
投下します
シリアス?そんなものを書いた覚えはありません。
投下します
ただごとではない雰囲気に、初春は打ち止めを連れて避難した。
打ち止めは嫌がっていたけれど、無理矢理にでも連れて行かないと危険だ。
遠巻きに二人を見つめる。
くだらない会話だけれど、殺伐とした雰囲気がこちらまで伝わって来た。
垣根「痛ってぇな」
垣根帝督はピーマンから一方通行に視線を向けると、静かに言った。
垣根「痛すぎるぜオマエ。アイマスが好きな上に、着ボイスが雪歩だと?」
一方「……」
垣根「流石は第1位。大したキモオタぶりだ。
公の場で気持ち悪い着ボイス披露してんじゃねぇぞ?」
一方「ハッ。類似品に惹かれて目的を見失ったアホ野郎が何言ってンだ。
声オタなンつー最底辺の時点で、テメェのがキモオタなンだよ」
垣根「バッカじゃねぇの。マナーモードにするのを
忘れてたクソ野郎に、人を最底辺呼ばわりする資格はねぇよ」
学園都市の第1位と第2位。
一方通行も垣根帝督も、コソコソと会話をする気はなかった。
周りにキモオタとバレても、何も問題はない。
一方「大体、豊崎愛生なンか、にわかが好きになる代表声優じゃねェか」
垣根「あ?」
一方「声域が広いとか言われてるけどよォ、
ショタ声からお姉さん声まで出せる女性声優さンはたくさン居るンだよ」
垣根「愛生ちゃんはその中でも魅力的なんだ」
一方「なンであいなまさンってスフィアメンバーとの写真の時、一人だけ前に出てンの?」
垣根「……」
一方「背が高いっつーか、全体的にデカイよなァ?」
垣根「テメェ……!」
一方「進撃の愛生」
垣根「ぶっ殺す!!!!」
一方「キレたらすぐ手を出すのかァ?あいなまファンがゆとり丸出しのDQNってのは本当なのかよ」ニヤニヤ
垣根「ぐっ…クソッ……!!!」
一方「三下が。嫌がってるガキに無理矢理ピーマン
食べさせようとするから、好きな声優がディスられンだよォ」
垣根「……」
一方「これに懲りたら、あのガキには手を出すンじゃねェぞ?いいなァ?」
垣根「……」
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