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元スレ一夏「祈るがいい」
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一夏が劇場版カウボーイビバップのヴィンセントみたいになってしまったという話です
一夏をベースにヴィンセントっぽくするので一夏が1、ヴィンセントが9ぐらいの割合かと思います
書き溜めとかはなくてかなりゆっくりと書きます
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1367819942
一夏をベースにヴィンセントっぽくするので一夏が1、ヴィンセントが9ぐらいの割合かと思います
書き溜めとかはなくてかなりゆっくりと書きます
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1367819942
それは柔らかく、しかし重い砂だった
一歩歩くごとに足へとまとわりつき、その足はじわじわと沈み込んでいく
そのままじっとしていると、体ごとどこまでも沈んでいくように感じられる
沈んでしまう前に後ろの足を砂から引きずり上げ、前へと踏み出す
その足もじきに砂にめり込んでいき、また次の足を踏み出す
ただその果てしない繰り返しだった
舌にはざらざらとした砂の感触がする
だが、それを吐き出す唾液すらもう残っていない
後頭部には鈍い痛みが続いていて、意識を麻痺させていく
いや、もしかしたら元より朦朧としていた意識を、その痛みがどうにか覚醒させていたのかもしれない
砂漠以外のものはほとんど視界に入らない
そこでは、大洋の中の船のように自分が移動している感覚が消えていく
自分は本当に進んでいるのか、それとも同じ場所で繰り返し足踏みしているのか
しかし、時折、砂以外のものが視界に入る事がある
それは、砂漠迷彩を施された軍服らしきものと、それに包まれた、少し前までは人間だったものの塊だった
砂に埋れつつある兵士たちの骸は、敵か、味方か、それすらあったのかも分からない
どちらがどちらなのか区別がつかない
等しくこの大自然に埋葬されていくかのようだ
さっきからずっと、耳鳴りのような遠い砂嵐の音が聞こえている
彼は時折、どうして自分がここを歩いているのか思い出せない事があった
それでも、体は何処かへと向かい、規則的な繰り返しを止めようとしない
それが何処かは彼にも分からない
彼、織斑一夏は、この果てしなく続く砂漠をたった一人で、もう何時間も歩き続けていた
さっきから聞こえていた砂嵐の音が、徐々に、何かもっと別の、高いトーンの音に変わっていくように感じる
それとも、やはりただの耳鳴りか、幻聴だったのかもしれない
だがそれは、何か人の声、女性の声ようにすら感じられるようになってきた
一夏はふと、その声に呼ばれたかのように、ゆっくりと振り向く
そして、そこには信じられないような風景が広がっていた
数え切れないほどの、輝くチョウが空を埋め尽くし、絡み合うように舞っている
もちろん、この砂漠にチョウなどいるはずがない
だが不思議な事に、一夏はこれを幻覚だとは感じなかった
むしろ、今まで歩いてきたこの砂漠よりも、このチョウの方がずっと現実のように感じられ、それを見ている自分の意識も、ずっと覚醒しているようだった
そして、何か懐かしいような、安らぐような、奇妙な感覚に囚われた
このチョウたちは、自分を迎えに来たのだ
さっきの声は、自分を呼んでいたのだ
そんな風に感じられた
このチョウたちは、自分を何処へ連れてゆくんだろう
天国なのか
地獄なのか
あるいはもっと別の世界か………
声がする
俺を呼ぶ声が
誰だ
俺を呼ぶのは
思い出せない
分からない
山田「あ、あのぉ……織斑くん………」
山田「……自己紹介を………」
一夏「…………………………………」スクッ
一夏「織斑一夏だ」
山田「え……あ、以上ですか……?」
一夏「…………………………………」スッ
山田「以上みたいですね………アハハハ」
一夏「…………………………………」ペラッ
ヒソヒソ
「男子よ、男子」
「クールで格好いいじゃない」
「背高ーい」
一夏「…………………………………」パタン
「勉強熱心なのは関心するが、自己紹介ぐらいまともに出来んのか」
一夏「…………………………………」スウッ
一夏「千冬か」
千冬「ここでは織斑先生だ、馬鹿者」
一夏「そうだったな」
千冬「先が危ぶまれるな、全く……」
山田「先生、もう会議は終わられたんですか?」
千冬「ああ、山田くん」カッカッカッ
カツン
千冬「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君達、ヒヨッコ共を一年で使い物にするのが仕事だ」
キャーッ
「千冬様、本物の千冬様よー!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんですー!」
「お姉様の為なら[ピーーー]ますー!」
千冬「毎年よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ」ハァー
千冬「私のクラスだけに集中させてるのか?」ヤレヤレ
「お姉様ー!もっと叱って、罵ってー!」
「でも、時には優しくしてー!」
「そして、つけあがらないように躾してー!」
千冬「織斑、問題ないな?」
一夏「ああ」
「やっぱり兄弟なんだ」
「なんかよそよそしいけどねー」
「それじゃあ、世界で唯一男でISを動かせるってのも……」
「関係あるみたいだねー」
「でも、感じが全然違うくない?」
メール欄にsagaをいれなさい
死ね 殺す などのフィルター外れるから
死ね 殺す などのフィルター外れるから
「あの人よ、世界で唯一男でISを使える男性って」
「どうして起動させたんだっけ?」
「そりゃあ入学式の時でしょ」
「世界的な大ニュースだったよねー」
「やっぱり入学してきたんだー」
「アンタ、話しかけなさいよ」
「いっいや、でも………」
「何かこう………話しかけにくいってゆうかその…………」
「別次元………だよね」
「ただ身長が高いだけでしょー?」
「千冬様の弟だって」
「え?それ本当?」
一夏「…………………………………」カツンカツンカツン
「待て!一夏!」
一夏「…………………………」ピタッ
「一夏………だよな?」
一夏「…………………………」スウッ
「久しぶり……だな。私だ、箒だよ」
一夏「…………………………」
箒「どうした?まさか、忘れてはいないよな?」
一夏「…………………………」
箒「何とか言ったらどうだ?」
一夏「誰だ。お前は」
箒「なっ、何を言ってるんだ?一夏」
一夏「…………………………………」スウッ
箒「お、おい!」
一夏「…………………………………」カツンカツンカツン
箒「話はまだ終わってないぞ!」
カツン…カツン…カツン……
箒「一夏………」
箒には一夏を追いかける事が出来なかった。歩いていった一夏が自分の知っている人物ではないのではないか、そう思えたからだ
あの眼………まるで見た事もない人間を見るような眼だった
私は……アイツの中にはいないのか…………
山田「では、ここまでで質問のある人はいますかー?」
シーン
山田「織斑くん、何か分からない事はありますか?」
一夏「…………………………………」
山田「なさそうですねぇ………もし、質問があったら聞いて下さいね、何せ私は先生ですから」
一夏「ああ」
千冬「山田先生、張り切っているところ申し訳ないが、コイツには質問するような事がない」
山田「そ、そうなんですか………」
千冬「授業はサクサク進めてもらって結構だ」
山田「はい………分かりました」
山田「何か分からない事がある人はいますかー?」
山田「えーいないのなら授業を続けます」
山田「では、テキストの12ページを開いて下さい」
一夏「…………………………………」ペラッ
セシリア(何者ですの……あの人)
箒(私と会わなくなった間に何があったんだ……)
「ちょっとよろしくて?」
一夏「…………………………………」スウッ
セシリア「まぁ何ですの?!まともにお返事も出来ませんの?私に話しかけられるだけでも光栄なのに」
セシリア「レディーにはそれ相応の態度でお答えするのが紳士ではなくて?」
一夏「…………………………………」
セシリア「挨拶が遅れましたわ。私、イギリスの“代表候補生”のセシリア・オルコットですわ」
セシリア「もちろん知っていますわよね?知らないなんて言わせませんわ、何てったって和宅は入試首席でしたもの」
一夏「…………………………………」
セシリア「って聞いてますの?!」バンッ
一夏「ああ」
セシリア「アナタ………自覚が足りなくってよ」ビシッ
セシリア「私のような選ばれた人間とクラスを同じくするだけでも奇跡!幸運なのよ!」
一夏「現実か………」
セシリア「何です?何かおかしなところでもありまして?」
セシリア「織斑先生はああ言ってましたがアナタは何も知らないようですわね」
セシリア「この様子だとアナタは私の期待から大外れですわね」カツッカツッカツッ
セシリア「んーまぁでも、私は“優秀”ですから、アナタのような人間にも優しくしてあげますわよ」
セシリア「分からない事があれば………そうですわね、頭を垂れて私に泣いて頼めば教えて差し上げてもよくってよ?」
セシリア「どうです?悪くない条件だとは思いません?」
セシリア「何故なら、私は入試で“唯一”教官を倒した“エリート中のエリート”ですから」
一夏「祈った事はあるか」
セシリア「あら?私は頭を垂れて泣いてーー」
一夏「此岸と彼岸の扉を司る、生命の番人にな」
セシリア「えっ?」
キーンコーンカーンコーン
セシリア「とっとにかく!話の続きはまた改めて、よろしいですわね!」
一夏「…………………………………」
「セシリアさん、早速探りにいったよー」「何か最後どしたの」「織斑くんがなんか言ったみたいだけど」「全然聞こえなかったわよ」「気になるー」
一夏は悠然とした佇まいで、IS学園寮の廊下を進んでいる。そして、ある部屋の前で足を止め、ドアを開けて中へと入った
バタン
一夏「…………………………………」カツンカツンカツン
一夏「…………………………………」スッ
キュッ
「誰かいるのか?」
一夏「…………………………………」
「同室になった者か、これから一年、よろしく頼むぞ」
ガチャ
「こんな格好ですまない、シャワーを使っていた。私の名前は篠ノ之箒だ」
一夏「…………………………………」
箒「い……ち………か?」
一夏「…………………………………」スウッ
箒「みっ……見るな!何でお前がここにいる?!」
一夏「ここが、俺の部屋だからだ」
箒「ぬッ!」ダッ
バシッ
箒「てやあッ!」ブンッ
一夏「…………………………………」
ガシッ
箒「素手で!?」ググググッ
一夏「…………………………………」バキンッ
箒「なっ……!」
シュッ カランカラン
箒「木刀を………折った…………」
一夏「…………………………………」パラパラパラ
箒「一夏……お前、どうゆうつもりだ」
一夏「…………………………………」
箒「あんな態度をとっておいて、私と一緒の部屋になるとはな!」
一夏「…………………………………」
箒「どうなんだ?」
一夏「…………………………………」スウッ
箒「……………お前から……希望したのか?」
一夏「そんな事、俺がすると思うのか」
箒「そ、そう……だな」
一夏「…………………………………」
箒「おい!窓側は私が狙っていたんだそ!」
一夏「…………………………………」
箒「まっまぁ、お前がそこがいいと言うのなら譲ってやらんでもないが………」
一夏「…………………………………」
箒(外を見ているのか……?)
箒「…………なあ、一夏」
一夏「…………………………………」
箒「私の事……忘れてしまったのか」
一夏「…………………………………」
箒「私が剣道でお前に勝てなかった事は?」
一夏「…………………………………」
箒「いじめっ子達から守ってくれた事は?」
一夏「…………………………………」
箒「髪型だって……ほら、昔のまんま…………なんだぞ?」
一夏「覚えていない。知っていたかすら分からない」
箒「どうしたんだ…………一夏」
一夏「全て失ったのさ。記憶さえもな」
箒「そんな………」
一夏「俺は、お前が知っている人間ではない」
一夏「別世界の住人だ」
そう言った一夏はゆっくりと立ち上がった。箒は何事かと気になったが、そのまま窓の方へと歩いていった
一夏は窓辺で足を止め、窓外に視線をやった
外に広がるのはほとんどが海だ。だが一夏は本当に海を見ているのか、それは分からない
もしかするともっと遠くの、この世界の何処かを見ているのかもしれない
箒には分からなかった。今の一夏が、過去に何があったのか、どうしてこんな風になってしまったのかが
箒には自分が悲しいのか、虚しいのか、それとも混乱しているのか分からないような気持ちになっていた。それが何なのか、どんなものなのかが分からなくて、ただ胸が苦しい。そんな気持ちだった
そうして、何処かを見つめている一夏の背中を見て思った。その訳を考えても分かりはしない。今はそう割り切るしかなかった
何であんなに寂しそうなんだ
何もかもを忘れてしまったからだろうか
今の一夏は記憶を無くしている
なら、私は一夏が記憶を取り戻す為の手助けがしたい
あの背中を支えて、隣で笑っていよう。それが私に出来る精一杯だ
アイツには誰かが必要なんだ
これは、同情か哀れみかもしれない
分からない
もしかすると、私は………
それからしばらくして、箒は眠った
一夏はそれでもまだ、窓辺に立っている。先程まで何処かを見ていたが今は、窓ガラスに映った箒をじっと見つめている
何も感じないはずの自分が、何かを感じた
そんな気がしたからだ
一夏「…………………………………」カチャカチャ
箒「はむっ」
一夏「何故だ」
箒「ん? 」モグモグ
一夏「何故、俺の隣で食事をしている」
箒「誰の隣で食べようが私の勝手だろ」
一夏「…………………………………」
箒「私は、お前の隣で食べているだけだ」
一夏「…………………………………」スクッ
箒「もう食べ終わったのか」
一夏「…………………………………」カツンカツンカツン
箒「また後でな」
「あー食べ終えちゃったー」
「迷ってた私の負けね」
「大丈夫、まだ焦る段階じゃないわ」
「遅れたー」
「次があるって、次々」
千冬「これより、再来週のクラス対抗戦に出るクラス代表を決める」
千冬「クラス代表とは対抗戦だけでなく、生徒会の会議や委員会への出席など…………まあ、クラス長と考えてもらっていい」
千冬「自薦他薦は問わない。誰かいないか?」
「はい、織斑くんを推薦します」
「私もそれがいいと思います」
「私も同じです」
一夏「…………………………………」ペラッ
千冬「他にはいないのか?いないのなら無投票当選だぞー」
バンッ
セシリア「納得いきませんわ!そのような選出は認められません!」
セシリア「男がクラス代表だなんていい恥曝しですわ!」
セシリア「このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと仰るのですか!」
セシリア「大体!文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけない事自体が私にとっては耐え難い苦痛で………!」
千冬「全く、やかましい小娘だな」ハァー
千冬「だとさ」
一夏「お前がやれ」
セシリア「は?」
一夏「俺は辞退する」
セシリア「何ですか!情けでもかけたつもりですの?!」
一夏「…………………………………」
セシリア「くうぅ……どこまで私を侮辱する気ですの………!」ギリギリ
セシリア「決闘ですわ!」
セシリア「ワザと負けたりしたら、私の小間使い………いえ、奴隷にしますわよ!」
一夏「…………………………………」
セシリア「どうました、怖じ気づきましたの?もしそうなら、ハンデをつけて差し上げてもよくってよ?」
一夏「必要ない」
「織斑くんやめときなよ」
「絶対無理だって」
「ハンデぐらいつけてもらいなよー」
「勝てるわけないよ、代表候補制に」
千冬「フッ……話はまとまったな?それでは、勝負は次の月曜、第三アリーナで行う」
千冬「織斑とオルコットはそれぞれ準備をしておくように」
はい、今日はここまでです
若干小説の要素も取り入れてみましたが、無口主人公みたいになってますね
劇場版と小説版のヴィンセントは似ているようで違うのでなるべく劇場版の方にしてみます
これは死人が出るかもしれませんね
冒頭のはほとんど小説をそのまま書いたので地の文が長くなりました。ちょくちょく地の文挟むので読みにくいかもしれません。戦闘はどうするか検討します
若干小説の要素も取り入れてみましたが、無口主人公みたいになってますね
劇場版と小説版のヴィンセントは似ているようで違うのでなるべく劇場版の方にしてみます
これは死人が出るかもしれませんね
冒頭のはほとんど小説をそのまま書いたので地の文が長くなりました。ちょくちょく地の文挟むので読みにくいかもしれません。戦闘はどうするか検討します
乙よー
現状ほぼヴィンセントっぽい描写なので1割の一夏成分がどう入ってくるのか楽しみですたい
そして原作とは全く逆の意味で負ける気がしない。セシリア逃げてー
現状ほぼヴィンセントっぽい描写なので1割の一夏成分がどう入ってくるのか楽しみですたい
そして原作とは全く逆の意味で負ける気がしない。セシリア逃げてー
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