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元スレ球磨川「学園都市は面白いなぁ」
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『一週間、裸エプロンで僕に傅け!』
「は、えっ? えっ? は、はだ……えっ?」
球磨川の要求を聞いた神裂は顔を真っ赤にしてうろたえている。
目が泳ぎ、口をパクパクさせているその様からは数少ない聖人の一人としての威厳など、どこにもない。
『あれ? 神裂ちゃん、裸エプロンのこと知らないの? だったら教えてあげるよ! 裸エプロンっていうのは……』
「言わせないんだよ!」
「ミサカも! ってミサカはミサカはインデックスに加勢する!」
二人の幼女が球磨川に飛びかかり、球磨川に制裁を加える。
『い、痛いよ二人とも! わかった! さっきのは無し! 無しにするから許し……』
「許さないんだよ!!」
「問答無用! ってミサカはミサカは攻撃をさらに激しくする!」
『ぎゃああああああああああああああ!!!』
球磨川の部屋は、本日も喧騒に包まれるのであった――
――???
「イギリス清教の手にあったとはいえ、貴重な10万3000冊を消去し我々が保有していた法の書まで消した、球磨川禊の力……
あまりにも危険すぎる」
そう言った老人は現ローマ教皇マタイ=リース。そしてその言葉に反応する者がいた。
「で? 私を呼び出して何の用?」
反応を示したのは一人の少女だった。十九世紀のフランス市民のような出で立ちをしており、その顔には大量のピアスと奇妙な
化粧が施されている。
「心苦しいことではあるが……ローマ教皇として命ずる。球磨川禊を……抹殺せよ」
それを聞いた少女は口を嬉しそうにゆがめる。
「了解しました教皇様。この『前方のヴェント』が球磨川禊の首、見事に討ち取って来ますわ。ところでこの私が出向くからには
学園都市側もただでは済まないわよ? そこらへん了承してんのかなぁ、教皇様?」
「……致し方あるまい。しかし、被害はできるだけ最小限に抑えるのだぞ」
少女――ヴェント――はこれを『お墨付き』と受け取った。
教皇が首を縦に振らなかったとしても目的を実行するつもりだったが、これで心置きなくやれる。
「待ってなさい。クソッタレな科学の結晶……学園都市!」
そう言ったヴェントの心は喜びに満ち溢れていた。そして自然と笑みが漏れ、堰を切ったかのように笑い出す。
彼女の狂喜と狂気に満ちた笑い声がその場に木霊した――
これにて投下終了です
ヴェント編は2ヶ月以内に投下……できるといいな……
ではまたいつか!
ヴェント編は2ヶ月以内に投下……できるといいな……
ではまたいつか!
天罰が効く効かない以前に球磨川さんは悪意向けなさそうだな……
とりあえずピアス穴を全部虚構にして美少女化に期待
とりあえずピアス穴を全部虚構にして美少女化に期待
『まったく』『君の書く小説は面白いなぁ』『週間少年ジャンプ顔負けだよ』
しかし流石の球磨川さんです。
誰か全員パンツで棒立ちしている絵をだな……
しかし流石の球磨川さんです。
誰か全員パンツで棒立ちしている絵をだな……
個人的には
協会の修道女は貼り付けにしてほしかったなあ
アニューゼが財部ちゃんポジでさ
クマーはそんなにポンポン能力の説明しないと思うお
協会の修道女は貼り付けにしてほしかったなあ
アニューゼが財部ちゃんポジでさ
クマーはそんなにポンポン能力の説明しないと思うお
球磨川ってはたからみたら悪意にしか見えないけど本人は善意で接してんだよな。
>>314
虚構になったんじゃね?
虚構になったんじゃね?
球磨川さんが三下を攻撃する理由は大半が善意だから
ヴェントちゃんはただのハンマーぶん回す異常に頑丈な美少女って事になるわけだけど
つまり何が言いたいかってーと裸エプロン期待
ヴェントちゃんはただのハンマーぶん回す異常に頑丈な美少女って事になるわけだけど
つまり何が言いたいかってーと裸エプロン期待
面白い
良いも悪いもごちゃ混ぜだし
これハッピーエンドとか無いよね?
平和だけど皆そのまま心が腐っていくようなビターなエンドに期待してもいいのよな?
良いも悪いもごちゃ混ぜだし
これハッピーエンドとか無いよね?
平和だけど皆そのまま心が腐っていくようなビターなエンドに期待してもいいのよな?
プロットが完成したので現在製作中。今月中に投下できるかもしれません
今回は原作の色んな部分削りまくってるのでかなり短いです。確実に超低クオリティので
ご注意を……
ではでは
今回は原作の色んな部分削りまくってるのでかなり短いです。確実に超低クオリティので
ご注意を……
ではでは
気合を入れて書いたら逆にダメになった件について
今回、設定だとか強さだとかがメチャクチャになっていると思います。確実に不快感を感じる方がいると思いますが、ご勘弁を
本日午後9時に投下いたします ではでは
今回、設定だとか強さだとかがメチャクチャになっていると思います。確実に不快感を感じる方がいると思いますが、ご勘弁を
本日午後9時に投下いたします ではでは
メチャクチャになったのは球磨川さんのせい
ってことにしておこう
ってことにしておこう
『虚構にした』よりも『なかったことにした』の方が自然な気がする
鬱展開全然ないし、
最後は球磨川大勝利!!で終わるから本編より面白い
最後は球磨川大勝利!!で終わるから本編より面白い
それではこれからはじめます
――学園都市市街地某所
一人の警備員(アンチスキル)が突如ドサリと音を立てて地面に倒れこんだ。
突発性の失神……なのだろうか、まるで死んだかのように動かない。
その傍らには彼の物と思わしき通信機が落ちており、焦りと恐怖が混じった叫びが聞こえてくる。
『侵入者が市街地に侵入! 繰り返す、侵入者が市街地に侵入! こちらも正体不明の攻撃を……』
そこで通信は完全に途絶えた――
――学園都市内某所
ここにも警備員が倒れている。その数は市街地某所とは比べ物にならない程。そしてその者達もまた、ピクリとも動かない。
そんな中を一人歩く少女がいた。
少女は学園都市では見慣れぬ服装をしており、その顔には大量のピアスと奇妙な化粧が施されている。そしてそんな顔に
浮かべられているのは周りの異常な光景による恐怖ではなく、歓喜の笑顔であった。
少女は道端に落ちてある通信機を発見するとそれを拾い、
「ハァーイ、アレイスター。どうせあんたはこういう普通の回線にもこっそり割り込んでるってことでしょ? さっさとお相手
してくれると嬉しいんだけどなぁ?」
と通信機に話しかけた。
通常ならば何も反応など返ってくるはずはないのだが……
『なんの用だ?』
反応が返ってきた。
その声は女とも男ともつかない声。アレイスターと呼ばれた者の声と思われる。
「宣戦布告をしようと思ってね。今回私がここに来た理由は球磨川禊の抹殺。でもね、理由が目的と同じとは限らないのよ。
私の目的は……学園都市の殲滅。この不愉快極まりない『場所』もそれを支配してる『あんた』も叩き潰してあげるわ」
彼女はアレイスターを挑発する。
しかし挑発された当人は激昂するでもなく焦るわけでもなく、
『ほう……お前にそれができると?』
冷静にそう返した。
「できるに決まってるでしょう? 私を誰だと思ってるの?」
少女は自信に満ち溢れていた。まるで自分に敵う者などいないと考えているが如くである。
しかしそんな彼女に対してアレイスターの反応は冷ややかだった。
『さぁ? 知らないな』
「神の右席。しらを切るっていうならそれでもいいけどあとで後悔しないようにね」
神の右席――四人のメンバーで構成されているローマ正教禁断の組織である。その権力は教皇も上回るとされており、
構成メンバーは単独で小国程度なら簡単に滅ぼせるほどの力を持っている。
そんな彼女の素性を知ってもなお、アレイスターは冷静であった。
『この街を甘く見ないほうがいい……いや、今回の場合球磨川禊を甘く見ないほうがいいと言うべきか。お前では
奴を殺せない。そしてこの街の殲滅など100%不可能だ』
「ふん、その余裕もいつまで続くかしらね。まぁ首を洗って待っていなさいな。このローマ正教信徒20億の中の最終兵器『前方
のヴェント』があんたのその首を取りに行ってあげる」
言い終わった後、少女――ヴェント――はその手に持っていた通信機を握りつぶす。そして目の前に見えるマンションを
見上げる。そのマンションは……
「情報が正確ならここが球磨川禊の住むマンションね。ま、住んでいようがいまいが関係ないけど」
と言って彼女はまるで獣が牙をむくかのような笑みを顔に浮かべた――
――窓のないビル
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見えるという奇妙な『人間』がまるで巨大なビーカーのような装置の中
に逆さまの状態という奇妙な状態で入っている。彼こそが学園都市総括理事長、アレイスター=クロウリーである。
「ふむ、通信が切れたか」
アレイスターは興味がなさそうに呟いた。
実際彼は今回の侵入者に対してさほどの興味を持っていない。なぜならば排除する方法などそれこそ腐るほどにあるからだ。
よって神の右席たる侵入者ですら彼の興味の対象に入らない。今、彼が考えることは……
「それにしても……球磨川禊……か」
あの自称『過負荷(マイナス)』の少年についてであった。
アレイスターが球磨川の能力を知ったのは彼がインデックスと初めて接触したときのこと。それまでは能力開発を受けても
何の能力も発現しない単なるレベル0という扱いだったのだが、彼の『大嘘憑き』が判明してからはそのような扱いをすること
はできなくなった。アレイスターは当初、球磨川をプランに組み込もうと考えていた。その強大すぎる力は自分にとって何らか
のプラスになるであろうと考えたからだ。しかしそんな思惑は見事に裏切られた。
「まさか一方通行とぶつかるとはな」
そう、球磨川と一方通行の戦闘。これはアレイスターにとっては痛手であった。一方通行は彼のプランの中では重要な立ち位置
にいる存在。それを球磨川は完全に破壊してしまったのである。
「肉体を回収してみたものの……はっきり言ってもう使い物にならんな。最後に『天使化実験』を行う予定ではあるが、まぁ確実
に失敗だろう」
そう言ってため息を吐く。液体の入ったビーカーにいるからだろう、吐き出された酸素がゴボゴボと音を立てながらビーカー
上部に送られる。
一方通行が再起不能になったことでアレイスターのプランは支障をきたしていた。そして一方通行を破壊されて彼は悟った。
『球磨川禊はプランに組み込めない』と。
大嘘憑きの力は確かに魅力的ではあるが、球磨川という人間をアレイスターは御しきれない。世界最大の魔術師とうたわれた彼
ですら球磨川が何を考えているのかさっぱりわからないのだ。そんな存在をプランに組み込んだとしても、自分の思い通りにこと
が進むはずもない。
そう考慮した結果、アレイスターは球磨川禊を重大な『イレギュラー』であると判断。排除することを決定し、その準備を着々
と進めていたのだが……とある少女の介入により、その計画は中止された。
「確か安心院なじみといったか。球磨川禊といい彼女といい、私の知らないことはまだまだ大量にあるらしいな」
と言って彼は楽しそうに笑う。それはまるで新しい玩具を見つけた子供のような無邪気な顔であった。
しかしすぐさま顔をいつもの無表情に戻し、
「さて、話が逸れたな。例の侵入者に関してはまぁ……球磨川禊に任せればいいだろう。今回はヒューズカザキリを使う機会は
なさそうだ」
アレイスターは残念そうな表情を浮かべるが先ほどのように表情を無表情に戻し、
「まぁいい……過負荷(マイナス)の大嘘憑きによる舞台、とっくり拝見するとしよう」
そう言って顔を歪ませた――
――とあるマンションの一室
「ねぇくまがわー、今度の日曜は焼肉が食べたいんだよ!」
「ミサカも食べたい! ってミサカはミサカはインデックスに賛同してみる!」
二人が唐突にそんなことを言い出した。
しかし彼女達の提案を球磨川は、
『ダメ』
バッサリと斬って捨てた。
即答である。インデックス達がそれを言い終えてから1秒たりとて経ってはいない。
そんな球磨川の態度にもめげず、インデックスは執拗に食い下がってくる。
「えー! なんで!? たまにはお肉が食べたいんだよ! うどんやパスタやカップ麺はもう飽きたかも!」
『だって君、僕達の肉も全部食べちゃうでしょ? いや、肉どころか野菜も全部食べ尽くすに違いない。僕はいわれなき迫害
には慣れてるけど食べ物の恨みは許せないんだ』
「い、一理あるかもってミサカはミサカはインデックスの食事風景を思い出してみたり……」
打ち止めは初めてインデックスと会った時のことを思い出す。
初印象としては珍しい髪の色をした外国人といったところであった。しかし彼女のインデックスに対する印象はすぐさま変わる
ことになる。
それはその日の夕食のこと。打ち止めに出された夕食はカップラーメン。通常このような貧相な食事は幼い彼女にとって不満を
爆発させるようなものであろう。しかし彼女は食事などというものは今までしたことがなく、カップラーメンですら輝いて見えた。
そして目を輝かせながら、生まれて初めての食事というものを体験しようとしたその時……目の前から突如としてカップラーメン
が消失。
打ち止めは一体何が起きているのかすぐには理解できなかった。彼女がそれを理解したのは数秒後のこと。インデックスが
恐ろしいスピードでカップ麺を食べていたのだ。それも一個や二個ではない、つい先ほどまで何もなかったはずの空間にカップ
ラーメンの塔が出来上がっていた。ここで彼女は確信する。自分の夕食はインデックスに奪い取られたのだと。
当然打ち止めは腹を立ててインデックスに文句を言うのだが、インデックスは全く耳を貸さずカップラーメンを食べ続けていた。
そんな態度にますます腹を立てた打ち止めはインデックスからカップラーメンを取り上げたのだが……その瞬間インデックスは
打ち止めに襲い掛かってきた。間一髪で球磨川に助けられたものの、もし球磨川がいなければ彼のように頭を歯形だらけにされて
いたことだろう。
この事件をきっかけに打ち止めは思った。食事をしている時のインデックスは災害のようなものとして扱おう、と。
「……ミサカやっぱり焼肉はいいよってミサカはミサカは諦めてみたり……」
「打ち止め! 諦めたらそこで試合終了なんだよ!」
自分が諦めるのはお前のせいだ、と打ち止めは泣き叫びたくなったがグッと堪えた。
『とにかく! 我が家では焼肉はしないよ! どうしても肉が食べたいなら安い豚肉で我慢することだね!』
「えぇー! やだやだ! 私は牛肉が食べたいんだよー!」
インデックスが涙目になりながら地団駄を踏む。その様はまるで欲しいものを買ってくれない親に対して抗議する子供そのもの
である。
『なんと言おうとダメなものはダメ!』
球磨川は頑として自分の意見を曲げようとはしない。
そんな彼の背後から、この部屋にいないはず……いや、この世界に存在しないはずの人物の声が聞こえてきた――
「おいおい、女の子を泣かせちゃダメじゃないか」
その声を聞いた球磨川は背筋が凍るかのような感覚を覚えた。そしてすぐさま背後を振り返る。
「やぁ、球磨川君久しぶり。僕だよ」
そこには笑顔を浮かべた少女が球磨川のベッドに腰掛けていた。
その少女は巫女装束という特定の場所でしか見られない珍しい格好をしている。そして珍しいのはその服装だけではない。
髪は白髪で腰まで伸びており、その容姿は魅力的過ぎるほどに魅力的であった。
インデックスと打ち止めは驚愕した。突如現れた来訪者に対してではない。球磨川に対してである。
球磨川の目は大きく見開かれ、頬には冷や汗が伝う。その様子からわかること、それは明らかな『動揺』。二人は球磨川が
このような顔をする、もしくは出来るなどと欠片も思っていなかったのだ。
しかし、最も驚愕しているのは球磨川本人だろう。
目の前にこの少女が存在している。これがどれほど異常な事態なのか、彼はよく理解しているからである。
「うろたえすぎだぜ球磨川君。君らしくもない」
少女は微笑みながら球磨川に声をかける。
その言葉で我に返ったのか、球磨川は緊張した面持ちで少女に問いかける。
『安心院副会長……なんで君がここに存在してるの?』
球磨川はその少女を安心院と呼んだ。それが彼女の名前。
安心院なじみ――球磨川の生徒会長時代に副会長を務めた女性であり彼が最後に恋した相手。
かつて球磨川は自分の愛を確かめるために彼女の顔の皮を剥ぎ、『大嘘憑き』そして今は失われた彼の始まりのマイナス
『却本作り』の二つのスキルをもって彼女を封印した。
それ以降彼女は球磨川が死んだ時もしくは夢の世界など、この世ではない場所にしか存在できなくなってしまったのだ。
しかし、そんな彼女がここにいる。存在しないはずの存在がここに存在している。それが何故なのか球磨川には理解でき
なかった。
「一京分の一スキル『贖罪 証明(アリバイブロック)』を使ったのさ。あぁそれと僕のことは親しみを込めて安心院(あんしん
いん)さんと呼びなさい」
『そういうことじゃないよ。君はこの世に存在しなくなったはず……そんな君がなんでここにいるんだ!?』
珍しく球磨川が語気を強める。それは明らかに動揺の裏返しだった。
そんな彼の問いかけに対して安心院は、あぁそういうことかと手を叩き
「それなら答えは簡単だよ。君の幸せ(プラス)化が進んだ結果、僕を封印していた力が弱まったからさ」
『僕が……幸せ(プラス)になっている……?』
球磨川にはそのような自覚などなかった。自分はあいも変わらず完全に不完全であり、過負荷(マイナス)で負(マイナス)で
不幸(マイナス)。それが彼の自己分析。しかし安心院は自分を幸せ(プラス)になりつつあると言った。それが原因で封印が
緩んだ、それが彼女の答え。
その答えに球磨川は納得がいかなかった。「自分はプラスなどではないのに……」その考えが彼の頭の中で繰り返されていた。
「それにしてもこっちの君は本当に幸せ(プラス)になりつつあるようだね。あっちの僕と違って色んな所に突き刺さった螺子
が消えてる。しばらくはこっちの僕でいようかなぁ。あっちは色々と不便なんだよねぇ」
自分の手を見ながらそんなことを呟く安心院。
『……君が何を言ってるのか、さっぱりわからないんだけど』
「あぁ君が気にするようなことじゃないよ球磨川君もとい主人公君」
球磨川は安心院の態度にため息を吐く。彼女が言わないと決めたのなら食い下がったとしても無駄、そう考えた球磨川は
話題を変えることにした。
『……聞くのがまだだったけどここに何しに来たんだい? 何の用もなく来たってわけじゃないんだろ?』
口調は穏やかであったが、その手には螺子が握り締められている。
彼女の性格からして報復をしに来たというのは考えにくい。しかし万一がある。球磨川の緊張感は最高潮に到達していた。
「そんなにぴりぴりするなよ。もしかして、こんなかよわい女の子相手にビビってるのかい? みっともないぜ、球磨川君」
『……君ってそんな挑発的なキャラだったっけ?』
笑みを浮かべながら言う球磨川。しかしその目は全く笑っていない。
「たまにはこういうキャラもいいだろう? ……あぁしまった。手遅れになっちゃった」
『手遅れ?』
「そう、今回ここに僕が現れた理由はひとまず挨拶がてら……というのもあるんだけど最大の目的は忠告をしにきたんだ。早く
この部屋を出たほうがいいってね。でもごめん、久々に君と喋れて嬉しかったからつい長話しすぎちゃったよ。だから僕を恨ま
ないでおくれよ?」
『何を言って……』
球磨川の言葉は最後まで続かなかった。
突如部屋が衝撃波のようなものに襲われる。部屋は瞬く間に破壊され、球磨川の体が消し飛ぶ。
球磨川の部屋は見るも無残に破壊し尽くされてしまった。
――???
『……はぁ、忠告ってこういうことか。来た早々に話さなかったのは絶対わざとだよね。本当、意地が悪いや』
気付けば球磨川は学校の教室らしき場所に立っていた。ここは彼が死んだ際、必ず訪れる場所である。
「いやいや、別に意地悪したわけじゃないよ。君がいつもいつも僕を無視して、すぐさま復活するからこうなったのさ」
球磨川にそう声をかけたのはセーラー服に身を包み、黒髪となった安心院なじみだった。
『だって僕、君のことが嫌いだもの。嫌いな人とは話したくないよね、普通(ノーマル)でも過負荷(マイナス)でも』
「はっきり言うね。でも、そんなところ僕は嫌いじゃあないぜ?」
『あぁそう……。じゃあ僕は向こうに戻るから』
そう言い残して球磨川は現世へと帰って行った。
――とあるマンションの一室
『うわぁ、こりゃひどいや』
自らの部屋に戻った瞬間、球磨川はそう口にした。
目の前に広がる光景は『無残』の一言。それに尽きる。
そして、球磨川はインデックスと打ち止めの安否を確認するため辺りを見回すのだが……
『……』
球磨川は二人を見つけた。
いや、正確には『二人の一部』と言ったほうが正しいか。
インデックスは頭部のみの状態になっていた。その頭部はまともに直視できないほどに欠損が激しい。
そのすぐ側には打ち止めのモノと思わしき、右腕があった。やはりこれも欠損が激しくところどころから筋肉や骨が
はみ出ている。
『……二人とも、すぐに復活させてあげるよ』
そう言った瞬間に二人の肉体の一部が消失し、インデックスと打ち止めが姿を現した。
「あ、あれ? な、何が起こったの?」
「なんかいきなりドカーン! って音がしたかと思ったら……そこから先は思い出せないってミサカはミサカは怯えてみる……」
復活した二人は部屋の惨状を見てそれぞれ反応を示したのだが、球磨川は彼女達に
『二人とも外に出ないでね。あと奥のほうに移動してて』
そう一言投げかけて、大きな穴の開いた壁の方へと向かっていく。
彼は今、とある感情がふつふつと湧いてきているのを実感していた。
『あぁ油断したな……また女の子を好きになっちゃってたらしい。全く僕ってやつは本当に昔っから惚れっぽい男だ』
そう自嘲した球磨川は大穴の開いた壁から外を見る。
すると、確実にこの学園都市の者ではない少女がそこに立っていた。その手に持っているのはハンマーに似た武器。
この惨状を作ったのは確実に彼女だ。球磨川は標的を見つけた。
『ふぅん。あの子がやったんだ……へぇぇぇ……』
『よくもやってくれたね』
球磨川の口は裂けているかのように釣り上がっていた。しかし目は笑ってなどおらず、憤怒……いやそれ以上の感情を
秘めている。
その表情はまるで悪意が顔を成しているかのようで、もし普通の人間がそれを向けられたなら、たちまち嘔吐し失神して
しまうだろう。そしてその心には永遠に消えないトラウマが残る。しかし今回はそれが逆に災いした――
『……っ!?』
突如、球磨川の意識が暗転。体が前のめりに倒れる。
現在球磨川が立っている場所には手すりなど存在しない。となると必然的に彼の肉体はマンションの外へと落ちることに
なる。
そして球磨川の肉体は物理法則に従い、マンションから落下。
ぐしゃり……と嫌な音を立てて頭部が潰れる。アスファルトには脳漿が飛び散り、瞬く間に惨状が誕生した。
「ひゃはははは! おいおい、随分と間抜けじゃないの! まさかこれで終わりじゃないわよねぇ!?」
そんな惨状を見て少女――ヴェント――は腹を抱えて笑う。
ヴェントがひとしきり笑い終わった後、球磨川の肉体がまるで何事もなかったかのように復活する。
「あららぁ? あんたって本当に死なないのねぇ。何か秘密でもあるのかしら?」
ヴェントは復活した球磨川をまるで見世物小屋の珍獣を見るかのように、嘗め回すような視線を送る。
そのような視線など気にせず、球磨川は
『僕を知ってるの?』
と尋ねた。
ヴェントは醜悪な笑顔を浮かべながら答える。
「えぇ、知ってるわよ? あんたの能力から血液型まで、ぜーんぶね」
どうやら相手は自分のことを知っているらしい。
しかし自分のことが相手に筒抜けであるというのに、球磨川の中に焦りという感情はまるでなかった。
『へぇ……じゃあ君の名前はなんていうのかな? あと、なんで僕が気絶したのか教えて欲しいんだけど』
「はぁ? 敵に情報をくれてやるわけないでしょ?」
『いいじゃない、それくらい。減るもんじゃなし。それに僕のことは一方的に知ってる癖して君は僕に何も
教えてくれないなんて、フェアじゃないと思うなぁ?』
戦闘行為においてフェアもクソもあるものか。
ヴェントは一瞬そう考えたのだが、どうせ知ったところでどうこうなるわけではないと考え直した。
常に余裕を見せ、相手を見下す。彼女の悪い癖である。
そしてヴェントは球磨川の質問に答えるため、口を開いた。
「まずは自己紹介でもしようかしら。私は前方のヴェント。あんたを地獄に叩き落しに来た神の右席。あと、あんたが気絶した
理由だっけ? それは正確に言うと気絶じゃなくて仮死状態よ。私の使用する天罰術式は私に対してほんの少しでも悪意を向け
れば、その対象を瞬時に仮死状態にする」
『……へぇ、そりゃすごいや。さっきのはその魔法の力ってことだね』
球磨川は以前ステイルに言われたことを思い出す。
――君は一度天罰を受けたほうがいい。そして地獄に落ちろ。
『まさか本当に天罰を受けることになるとはね。落ちた先が地獄じゃなくてアスファルトでよかったよ』
そう呟きながら苦笑する。
それを見たヴェントは
「何が可笑しい?」
少々苛立ったような口調でそう言ってきた。
『あぁ、いや別に。それよりも不思議なもんだねぇ。君のその天罰術式ってやつ、さっきから何度も虚構にしてるのに
全然虚構にできないや。まるでステイルちゃんの魔法みたい』
天罰術式とは、彼女が舌につけている鎖と十字架の霊装、そして神の右席として持つ神の火の性質をもって発動する複雑な
術式である。
この術式はステイルのイノケンティウス同様、その術式を発生させる元を断たない以上何度でも復活し続ける。
しかし、球磨川はそのことを知らない。よって現在の彼では天罰術式を虚構にすることは不可能である。
「……さて、だらだらと話すのはここまでだ」
そう言ってヴェントは手に持つハンマーを模した武器を構える。
『そうだね、今回は僕も少し真面目に戦うことにしようかな』
球磨川もまた両手に螺子を構える。
「そんじゃ……死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ヴェントのハンマーによる攻撃が球磨川を襲う。
その攻撃は通称『空気の鈍器』。ハンマーを振ることによって風の塊を発生させ、周囲の物体を巻き込みながら対象を
打撃する。直撃すれば人間の肉体などひとたまりもない。
しかしその攻撃を球磨川は難なくかわす。そしてヴェントとの距離を虚構にし一瞬で接近。螺子をその体に捻じ込こもうと
するが……
『……っ!?』
天罰術式の効果が現れた。
先ほどから球磨川は、天罰術式によって仮死状態、その瞬間それを虚構にする、これを常に繰り返している状態なのだが
どうやら攻撃するという行為を行う場合、彼の大嘘憑きの効力を天罰術式が上回ってしまうらしい。
螺子を捻じ込もうとする体制のまま崩れ落ちる球磨川。
「ひゃはははは! ご自慢の力も通用しないみたいねぇ!」
ヴェントは笑いながら距離をとり、ハンマーを二度振る。
そうすることによって風の鈍器を瞬時に二つ合成。より一層威力を増した通称『空気の錐』
それを崩れ落ちる球磨川にぶつける。
ただでさえ強力な空気の鈍器をはるかに上回る空気の錐が直撃した球磨川の肉体は木っ端微塵となり、形を留めた肉体の
一部が地面に飛び散る。
「……やれやれ、本当にしぶといわね」
しかし、ヴェントの顔に勝利の笑みなど全くなかった。
木っ端微塵となった球磨川はすぐさま復活。何事もなかったかのように眼前に立っている。
『うーん、困ったなぁ。どうやら僕はヴェントちゃんを攻撃できないみたいだ』
対峙するだけであれば天罰術式の効果を虚構にして立っていることはできる。しかし『攻撃』するという行為を行った場合、
虚構にした瞬間に仮死状態になってしまう。大嘘憑きの処理が追いつかないのだ。これでは攻撃ができない。
球磨川はどうしたものかと頭を捻る。
しかし思考を巡らせていたのは球磨川だけではなかった。
(さて、どうしたもんかしらね……)
ヴェントもまた考えていた。目の前にいるこの少年と相対し、実際にその能力を体感して彼女は確信した。『この少年は
何をやっても殺せない』と。
恐らく神の右席四人が束になってかかって行ったとしても殺しきるのは不可能だろう。
このままでは任務は失敗となってしまう。だが彼女にとってそれは――
(ま、どうでもいいか)
そう、どうでもいいことだった。
そもそも最初から球磨川のことなど眼中にない。教皇から下された任務など、本来の目的に比べれば暇潰し程度の思い
しかなかった。
「おい、球磨川禊! あんたを殺すのはやめにしてあげるわ!」
『えっ?』
ヴェントはそう言い放った後、ハンマーを構える。
その視線の先にあるのは球磨川などではなく、学園都市という科学の塊。
彼女の目的、それは――
「そんじゃ始めるとしますかねぇ!」
――学園都市の殲滅。
そしてヴェントは目標を一際目に付くビルに決定し、躊躇うことなくその手に持つハンマーを振るった。
――ヴェントが学園都市を攻撃して10分ほどが経過。たがだか10分程度であるというのに学園都市は甚大な被害を受けて
いた。
ヴェントと球磨川の半径数百メートルは特に被害が激しく、草一本生えていない荒地と化している。都市内では大騒ぎが
起こっていて、さながら阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
「ふぅ、思った以上にここは広いわねぇ」
さすがに多少は疲労したのか攻撃の手を止めるヴェント。
そんな彼女に球磨川は問いかける。
『ねぇ、ヴェントちゃん。君はなんでこんなことするの?』
「はぁ? ……別に理由なんかないわよ」
ヴェントはほんの一瞬だけ間を空けて答えた。その間に何かを感じ取ったのか、球磨川は食い下がってくる。
『嘘だね。学園都市を破壊しているときの君は、まるで親の仇を討っているかのような顔をしていたよ。君は過去に何かあって
その結果こんなことをしてるんじゃないのかい?』
その言葉を聞いた瞬間ヴェントは激昂する。
「知ったような口を利くなッ!」
叫んだ後、ハンマーを振るう。空気の鈍器を3つ合成し作り出した『空気の杭』を球磨川に向けて放った。
その空気の杭は球磨川の心臓を貫くが、球磨川はすぐさまそれを虚構にする。
「チッ!」
それに苛立ちを覚えたのか舌打ちするヴェント。
しかしそんな彼女の様子などお構いなしに球磨川は言葉を投げかけてくる。
『僕だって知ったような口なんか利きたくはないさ。だからこそ教えて欲しい。君がなぜ学園都市を破壊するのかをね。
もしかしたら力になれるかもしれないし』
力になれるかもしれない――その言葉を聞いた瞬間、ヴェントの脳裏に球磨川の力の情報がよぎってくる。
球磨川と相対した修道女曰く、球磨川本人によるとその力は全てを虚構にする力。現在確認される限りでは法の書を虚構にし、
教会を虚構にし、10万3000冊の魔道書を虚構にし、そして自分の目の前で死を虚構にした。
……そう、『死』を虚構にしたのである。
彼女は球磨川の能力については何らかのトリックがあり、全てを虚構にするというのは偽りであると考えていた。その証拠に
自分の最大の武器である天罰術式は虚構にできていない。
しかし、しかしだ。もしも『死』を虚構にできるのが事実ならば……。彼女は悪魔の囁きに耳を貸すことにした。
「いいわ、教えてあげる。……私の弟は、科学によって殺された。遊園地のアトラクションが誤作動を起こしたおかげでね。
科学的には絶対に問題ないといわれてたのよ。何重もの安全装置、全自動の速度管理プログラム……そんな頼もしい単語ばかり
並んでたのに……実際には何の役にも立たなかった! その結果私の弟は死んだのよ! 科学は私達の未来をぶち壊したんだ!」
それが彼女の科学を憎む理由。
はっきり言って逆恨み以外の何者でもない。しかし球磨川はそこには一切言及せず笑顔を浮かべながら
『よく話してくれたね! そういうことなら任せてよ! 僕が君の弟君を生き返らせてあげる!』
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