赤ちゃん魔法

赤ちゃん魔法

氷の魔女に枕をわたしてやれ

聖剣「赤ちゃん魔法」

勇者「何故に今それが出てくるのか」

勇者「えっ。使うの？　今？」

勇者「周りに人は……確かに、メロンパン職人くらいしかいないけどさ」

聖剣「……」

勇者「……」

勇者「まあいいだろう。やってやるさ」

はじめ聖剣が赤ちゃんプレイに目覚めてしまったのか…いや元からか…？

もう勇者の周りの人は大体赤ちゃん魔法食らってるな

赤ちゃん魔法ばっか使うとか師匠が見たら泣くぞ

勇者「なぁ女騎士」

女騎士「？」

勇者「……あそこに何か見えないか？」

女騎士「何か、とは」

勇者「ほらあそこだよあそこ。あの上の方」

女騎士「なんだか要領の悪い説明ですね」

女騎士「あそこですか……？」

勇者「……」



勇者「赤ちゃんになぁれ！」

ぺかーっ

女騎士「うっ……」

勇者「とりあえず女騎士に赤ちゃん魔法掛けてみたのはいいけど」

女騎士「……」

勇者「どうすっかな。このまま放置するわけにもいかないし」

女騎士「……」

勇者「どっか人目に付かないような所に運んで休ませておくか……」



女騎士「……うぅっ、今のは……？」


勇者「！？」

支援

勇者「ん？　あれっ？」

女騎士「なんだか急に立ち眩みが……」ﾌﾗｯ

勇者「えっ、何でっ？」

女騎士「……？」

ついに効かなくなったのか、それともメロンパンに効いたのか…

女騎士「……勇者さん？」

勇者「は、はい」

女騎士「今、何かやったんですか……？」

勇者「何にもやってません」

女騎士「あなたが何かを言ったと思ったら、急に目眩がしてきたのですが」

勇者「気のせいじゃないですかね」


女騎士「……ものすごい汗のようですが」

勇者「……俺、汗っかきなんで」


女騎士「……」

勇者「……」

勇者「じゃ、じゃあ俺はこの辺で！　お仕事頑張ってくれよな！」

女騎士「あっ、ちょっと！」

勇者「ほら行くぞメロンパン職人！　主も、早く行きましょう！」

メロンパン職人「……今何をしてたんです？」

勇者「何でもねえって言ってるだろ！　早く行くぞ」

主「キィ」

ズタ袋「……」


女騎士「……」

女騎士「……何だったのでしょうか」

保守下

耐性ついたのか

勇者「……くそっ、どう言うことなんだ！」

勇者「赤ちゃん魔法、今まで失敗したことなんて無かったはずなのに……今のは何がいけなかったんだ？」

勇者「魔法を放った時の手応えはいつもと同じだったはずなのに」

メロンパン職人「赤ちゃん魔法？」

勇者「こっちの話だ」


ズタ袋「……」

予想以上になんか展開があった

ズタ袋「ふふっ。見ていたぞ勇者よ」

勇者「！」

ズタ袋「わたしほどの者となれば、袋越しでもわかる」

ズタ袋「お前、魔法を使えたのだな」

勇者「……あ、ああ」


メロンパン職人「魔法？」

勇者「お前はちょっと黙ってて」

ズタ袋「だが、無様な結果に終わったと見る。よほどの素人のようだな？」

勇者「……うるさいな。今まで何回か使ったことはあるけど、失敗したことはなかったんだ。今回は……まあ、たまたまだろ」

ズタ袋「ほう……今の失敗を偶然と言うか。やはり素人よな」

勇者「……お前、わかるのか？」

ズタ袋「お前、わたしを誰だと思っている？」


メロンパン職人（なんかシュールな絵面だなぁ）

主「キィ……」

まさか……時間差攻撃？

まさか修行パートに繋げるのか

王道だなぁ

魔女もおだてりゃ魔法教えてくれるのか？

勇者「……教えてくれ。今の俺の魔法は、何がいけなかったんだ？」

ズタ袋「ふむ。そうさな…………おっと」

勇者「？」

ズタ袋「そもそもお前とわたしは敵同士だ。まさかタダで教えてもらえるとは思うまい？」

勇者「……何が目的だ」

ズタ袋「対価だ」

勇者「対価だぁ？」

ズタ袋「そうだ、対価だ」

勇者「……」

ズタ袋「さすがにこれの対価として、この拘束から解放しろとは言うまい。お前にとっては釣り合わんことだろうからな」

勇者「何が目的だよ」

ズタ袋「それはお前が考えよ」

メロンパン…かな

あー替えのパンツがここで活きるのか

パンツか

勇者「……はぁ？」

ズタ袋「わたしは暇だ。とても退屈だ。この袋の中から動けないからな。たまには刺激がほしい」

ズタ袋「だが、現世で何が刺激になるのか、よくわからん。封印を解かれたばかりでな。疎いのだ」

ズタ袋「だから、お前が思うように、わたしをもてなしてみせよ。お前の知識を総動員してわたしを楽しませてみせよ」

ズタ袋「それでわたしが満足したと思ったのならば……まぁ、教えてやっても良いかもしれないな？」

勇者「……つまり、いま俺のできる精一杯で、お前を楽しませろと」

ズタ袋「そうだ。自分で考えてみせよ」


勇者「……」

ズタ袋「……」


勇者「…………」

ズタ袋「…………」

勇者「めんどくさっ。別にいいよ。そんなことするくらいなら師匠に聞いてくるわ」

ズタ袋「！？」

この勇者ぶれねぇな

可哀想

師匠が知らなかったらどうすんだ……

ズタ袋「し、師匠？」

勇者「俺に魔法を教えてくれた師匠だよ。すげえ頭がいいんだ」

勇者「教え方も丁寧でわかりやすいしな。お前みたいにめんどくさいことも言わないし」

勇者「別にそんなめんどくさいことしてまでお前に聞かなくても、師匠に教えてもらえばそれでいいかなって」

ズタ袋「ま、待てっ！」

魔法使い師匠　対　ズタ袋

ズタ袋「わたしは魔女だぞ？　あの氷の魔女だぞ？」

ズタ袋「現世では伝説となっている、このわたし自らお前に教えてやろうと言っているのだ。光栄に思わないか？」

勇者「別に」


ズタ袋「……」

勇者「……」

ズタ袋が喋ってる

ズタ袋「な、なら少しで良い。わたしが少しでも良いな、と思えるようなことができれば、教えてやらんでもないぞ……？」

勇者「だから何をしろって言うんだよ。少しってなんだよ」

勇者「こっちはそういう曖昧な指示は聖剣だけでおなかいっぱいなんだ。これ以上他のワガママを聞いてられるかってんだ」

ズタ袋「お、お前……！」

勇者「はいはい、袋の中から凄まれても何にも怖くありません」

勇者「もういいや、師匠の所に行こう」

勇者「おい、メロンパン職人。ちょっと今から行く所決まったから、そっち向かうぞ」

メロンパン職人「は、はぁ……」


ズタ袋「ま、待たぬかっ！」

あっ

保守下

かわいそう

勇者「何だよ。俺、忙しいんだけど」

ズタ袋「……教えてやる」

勇者「ん？」

ズタ袋「教えてやると言っているのだ。この氷の魔女自らな」

勇者「……対価は？」

ズタ袋「……」

勇者「あんまりめんどくさいのは嫌だぞ」

ズタ袋「くっ……」

ズタ袋「……ならば」

勇者「……」


ズタ袋「寝床の改善……これで手を打とう」

勇者「寝床の改善……？」

ズタ袋「この袋は…………思う所が無いではないが、まあ良いだろう」

ズタ袋「だが、生地が薄いのでな。些か寝心地が悪いのだ」

ズタ袋「鳥に運ばれている間は宙に浮いているから良いが、硬い床に置かれるとお尻が痛い」

ズタ袋「クッションを買ってくれ。下に敷きたい」

勇者「……」

メロンパン職人「……」

尻に敷かれたいやついるか？

はーい🙋

メロンパンでいいじゃん