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    元スレ魔王娘「おかえりなさい、あなた様……」勇者「ああ、ただいま……」

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    151 = 122 :

    少年「女戦士さん、あなたは女僧侶さんを」

    戦士「はい!」

    少年「馬には乗れますね?」

    若い「馬鹿にするな。馬ぐらい!」

    少年「では、商隊長さんを一緒に。私が先行します。やあっ!」ダッ

      ドドドドドッ!

    衛兵B「ま、待て! くそっ、追え! 絶対に逃がすな!」

    ―――

    ――



    若い「おい! どこに向かっている!」

    少年「東門に向かいます」

    戦士「西に向かうのではないのですか?」

    少年「一度東に向かい、追っ手をくらまします。馬があるなら山越えで西に向かえるはずです」

    僧侶「……」

    152 = 122 :

    ~~最西の街 東側近郊にて~~

    商隊長「勇者様方、それに……えぇーと野……」

    若い「野盗じゃねぇ! 魔法使いだ!」

    商隊長「勇者様方、それに魔法使い様、本当にありがとうございました」ペコリ

    魔法使い「はん! 俺は借りを返しただけだ」

    戦士「我々のせいでご迷惑をお掛けしたのですから……当然の事です」

    少年「……それで、これからどうされるおつもりです?」

    商隊長「一先ず、妻と子を連れてこの国を出るつもりです」

    僧侶「国を……私たちのせいで、本当に申し訳ありませんでした」

    商隊長「はははっ……罰が当たったんですよ……」

    戦士「罰、ですか?」

    商隊長「えぇ……他人の不幸に胡坐をかいて利を貪っていたのです。当然の結果ですよ」

    僧侶「しかし、今回の事は!」

    商隊長「いえいえ、勇者様方がされた事は正しい事でした。それぐらいは私にもわかります」

    少年「……」

    154 = 122 :

    商隊長「ですから、こうして命を拾っただけでも良しとしますよ。それに……」

    僧侶「それに?」

    商隊長「命さえあれば、また商いも出来ましょう」ニッコリ

    魔法使い「はぁーっ……。逞しいんだな、あんたは」

    商隊長「はっはっはっ。これぐらいでなければ、商売人など務まりませんよ」

    少年「商隊長殿」

    商隊長「うん、なんでしょう?」

    少年「その馬はあなたが使うといいでしょう。追っ手よりも早く立ち回る必要があるでしょうから」

    商隊長「勇者様方はどうされるのです?」

    少年「先程も言いましたが、我々は山越えで西を目指します。それとこれを」

    商隊長「うん……この紅玉は?」

    少年「お詫び……という訳ではありませんが、売れば幾らかになるはずです」

    商隊長「いや、しかし、これはかなりの……むぅ……」

    少年「奥方達と合流しても、出立の準備をする時間はそう多くはないかと?」

    商隊長「確かに……では、有り難く頂戴致します」ゴソゴソ

    156 = 122 :

    商隊長「短いおつき合いでしたが、皆様の事は忘れません」

    魔法使い「気をつけて逃げろよ、おっさん」

    商隊長「ありがとうございます。皆様もくれぐれもお気をつけて……それでは……はっ!」

    ―――

    ――



    魔法使い「行っちまったな」

    僧侶「無事に逃げられると良いのですけど……」

    魔法使い「あれだけの逞しさがあるんだ。何とかなるだろ」

    戦士「そうですね……」

    少年「……では、私達も移動しましょう」

    戦士「はい。いつ追っ手がくるかもしれませんから」

    僧侶「そうですわね……」

    159 = 122 :

    ~~最西の街郊外 山中にて~~

    少年「……で、どうしてあなたまで一緒なんですか?」

    魔法使い「固い事を言うなよ。旅の恥はかき捨てって言うだろ?」

    戦士「それを言うなら、旅は道連れでは?」

    魔法使い「似たようなもんだろ。細かい姉ちゃんだな」

    戦士「意味が違います。貴方、本当に魔法使いなんですか?」

    魔法使い「お前だって、俺が魔法を使っているのを見ているだろ」

    戦士「それは確かに見ていますが……」

    魔法使い「はん! 聞いて驚けよ! 俺の魔法は西の賢者からの直伝なんだぜ」

    戦士「賢者殿!? 勇者殿と共に魔王を倒したという?」

    魔法使い「ふふん、どうだ驚いたか?」

    戦士「勇者殿」チラッ

    少年「えぇ」コクリ

    魔法使い「あぁ、なんだよ?」

    少年「私達はその賢者殿に用があって、西へ向かっていたのです」

    161 :

    残されて餓死するか背信者のレッテルを貼られて処刑されていく親を亡くした子供たち・・・

    162 = 122 :

    魔法使い「師匠に会う為? だから最西の街を抜けるつもりだったのか」

    少年「その通りです。まあ、あなたのせいで今は山中をこうしていますが」

    魔法使い「おいおい、俺のせいってどういう事だよ!」

    少年「馬が疲労するので、馬上で暴れないでくれますか?」

    魔法使い「お、おう……すまねぇ」

    少年「全く……二頭しかいない大事な馬なんですから、少しは考えてください」

    魔法使い「くそ……納得いかねぇ」

    少年「……話が脱線しましたね」

    魔法使い「脱線させたのはお前だろうが!」

    少年「それにしても、あの賢者殿が弟子をとられているとは……」

    戦士「えぇ。話に聞く限りでは気難しい方と伺っていましたから」

    魔法使い「こいつら……また人の話を聞いてねぇ……で、師匠に何の用だよ?」

    少年「……詳しい事は秘密と言いたいのですが、構わないでしょう?」

    僧侶「……」コクリ

    戦士「そうですね、私も彼なら問題はないと思います」

    164 :

    166 = 122 :

    魔法使い「お前ら……俺の事、馬鹿にしてるだろ?」

    少年「魔王の復活、そんな話を聞いた事はありませんか?」

    魔法使い「また、人の話を……って、何だと!?」

    少年「その様子だとご存知ないようですね」

    魔法使い「魔王って、あの魔王かよ?」

    少年「では、魔物が人を襲うという話は?」

    魔法使い「だから、人の話を聞けよ!」

    少年「ふむ。この話もご存知ないようですね」

    戦士「道中でも目ぼしい情報は聞けず、この辺りでならと思っていたのですが……」

    魔法使い「全くこいつらは……」

    少年「魔王復活、あくまでも噂や推測の域を出ませんが……」

    魔法使い「それを確認するのが師匠に会う目的って訳か」

    少年「えぇ、その通りです」

    魔法使い「はっ! そこまで大きな話だと、当然国が絡んでるよな?」

    少年「そこは想像に任せます」

    167 :

    子供「兄ちゃん……何処行ってしもうたん?」

    168 :

    >>161
    一番のお兄ちゃん「兄貴!ここは俺に任せて兄貴は兄貴のするべき事をしてくれ。なに、心配なんかいらねえよ。俺だって兄貴の弟分なんだぜ!」

    169 = 122 :

    魔法使い「……ふん」

    少年「どうかしましたか?」

    魔法使い「いやな……」

    少年「何か思い当たる事でもありましたか?」

    魔法使い「思い当たる事はねぇ。ただ、お前達を師匠のところに案内してろうかと思ってよ」

    戦士「本当ですか!?」

    魔法使い「あぁ。最西の街の連中は、ただでさえ苦しい生活を教会に強いられてんだ」

    僧侶「……」

    魔法使い「もし、さっきの話が本当なら……最西の街に明るい未来なんざねぇからな」

    少年「だから確認しておく必要があると?」

    魔法使い「あぁ、あの街には餓鬼共だっているんだ。放っておけるかよ!」

    少年「話は決まりですね。では、先を急ぎましょうか」

    魔法使い「明日になれば……」

    戦士「うん?」

    魔法使い「明日になれば、転移魔法で師匠の塔まで飛べる」

    170 = 161 :

    >>168
    司祭「おやあの子供は・・・ふふふ・・・」

    171 = 122 :

    戦士「転移魔法? そんな便利なものが使えるのですか?」

    魔法使い「使える。ただ、さっきの騒ぎで魔力を消耗し過ぎた」

    少年「だから明日ですか?」

    魔法使い「あぁ。魔力が回復すれば、お前達も一緒に、すぐにでも師匠のところへ飛ぶ」

    戦士「少なくとも、明朝までは追っ手を逃れる必要がある訳ですね」

    少年「では、今は少しでも先に進む事を考えましょう」

    魔法使い「そうだな。後は安全に野営が出来れば助かる」

    少年「わかりました。それも頭に入れておきます」

    戦士「あの……」

    少年「どうかしましたか?」

    戦士「いえ、先程から彼女の様子が……」

    僧侶「……」

    魔法使い「何だよ、ひでぇ顔色じゃねぇか。おい、大丈夫かあんた?」

    戦士「大丈夫ですか? 随分と顔色が悪いようですが?」

    僧侶「あっ……だ、大丈夫ですわ」

    173 = 122 :

    少年「今は多少の無理をしてでも先に進みます。行けますね?」

    魔法使い「おいおい。仲間にそんな言い方はねぇだろう」

    少年「休める状況ならとっくに休んでいます。そんな事もわからないんですか?」

    魔法使い「あん! てめぇ、喧嘩売ってんのか!」

    僧侶「わ、私は大丈夫です。ですから……」

    少年「彼女もこう言っています。急ぎましょう」

    魔法使い「だから人の話を聞けってんだよ!」

    少年「……馬上で暴れるなと言ったはずです」

    僧侶「や、やめてください……」

    魔法使い「初めて会った時からだよな? 人の話は聞かねぇ、話を勝手にすすめやがる」

    少年「……だから何です?」

    戦士「御二方共、それぐらいで……」

    魔法使い「仲間が辛そうにしてたら思い遣るのが普通だろう! てめぇ、それでも勇者か!」

    少年「俺は勇者なんかじゃない!!!」

    女戦士・女僧侶・魔法使い「っ!?」ビクッ

    175 :

    魔王娘まだ?そろそろ寒い

    176 = 122 :

    少年「女僧侶が辛そうにしているのは知っている! だが、ここで追っ手に囲まれたらどうする!」

    少年「逃げ場のない山間部だぞ! お前の転移魔法も当てに出来ない!」

    少年「俺一人ならなんとでも出来るさ。で、お前達を見捨てて逃げろとでも言うのか!」

    少年「それとも追っ手を皆殺しにすればいいのか? それが望みならやってやるさ!」

    少年「街で衛兵を殺したようにな!」

    僧侶「っ……」

    戦士「ゆ、勇者殿……」

    魔法使い「お、落ち着けよ……」

    少年「はぁ……はぁ……はぁ…………」

    少年「……それで、あなた方はどうしたいんですか?」

    僧侶「私は大丈夫ですから、先に進みましょう」

    少年「……お二人の意見は?」

    戦士「私も先に進むべきだと思います」

    魔法使い「……この姉ちゃんが大丈夫って言うなら」

    少年「……わかりました。街から少しでも離れます」

    177 :

    そんなアフィカス対策()貼って意味あると思ってんのか

    178 = 122 :

    ~~夕刻 最西の街郊外 山中 洞窟前にて~~

    戦士「今のところ、追っ手の気配はないようですね」

    少年「今日はここで夜営にします」

    魔法使い「しかし、これだけ蔦が絡まってんのに、よく洞窟があるって気付いたな」

    少年「気付くも何も、入口の辺りだけ蔓の密度が薄いでしょう?」

    魔法使い「まぁ、言われればそうなんだが……で、何やってんだ?」

    少年「地面に近い部分と……あとこの辺りの蔦を切れば、入口は蔦で覆ったまま出入りがしやすくなります」

    魔法使い「なるほどねぇ……」

    ―――

    ――



    少年「念の為に周辺の状況を確認してきますので、女戦士さんは馬の世話をお願いします」

    戦士「承知しました」

    少年「お二人は休みながらで構いませんから、周囲の警戒を」

    魔法使い「休みながら警戒って……」

    179 = 122 :

    少年「出来ないとは言わせません。あと火を使うのは、完全に日が暮れてからお願いします」

    僧侶「日が暮れたら、火を使ってよいのですか?」

    魔法使い「暗くなっちまえば、炊煙なんて確認のしようがないからな」

    少年「……なんだ。ちゃんとわかっているじゃないですか」

    魔法使い「流石にそれぐらいはな」

    少年「ああ、それと……」

    魔法使い「まだ何かあるのか?」

    少年「もし、半刻(一時間)以上経っても私が戻らないようなら、私を置いてこの場は離れてください」

    戦士「いや、それは……」

    少年「その為の複数行動でしょう? いいですね」

    戦士「……わかりました」

    僧侶「はい……」

    少年「では、お願いします」

    魔法使い「あんまり無茶すんなよ」

    僧侶「勇者さま、お気をつけて……」

    180 = 122 :

    魔法使い「……なぁ?」

    戦士「なんですか?」

    魔法使い「あいつ、一体何もんだ? 見た目は餓鬼だが普通じゃねぇだろ」

    戦士「……さぁ?」

    魔法使い「さぁって……仲間なんじゃねぇのかよ?」

    戦士「勇者殿と初めてお会いしたのが二週間前です。以来ずっとご一緒させて頂いていますが……」

    魔法使い「魔王を倒した勇者の息子ってのは本当の話なのか?」

    戦士「……おそらく。国王陛下から下賜された勇者の紋章をお持ちなので」

    魔法使い「ふぅん。で、何で勇者って呼ばれて、あれだけ取り乱すんだよ」

    戦士「……」

    魔法使い「おい」

    戦士「……私にはわかりかねます」

    魔法使い「はっ! それもわからねぇか。お前ら、あいつの事何にも知らねぇんだな」

    戦士「無駄口を聞く元気があるなら、馬の世話を手伝っていただけませんか?」

    魔法使い「はいはい、わかったよ」

    181 = 128 :

    このあと司祭に少年が犯されるホモスレになってしまうのか…
    ムムム…

    182 = 122 :

    僧侶「あの……」

    魔法使い「あん?」

    僧侶「勇者さまがいらっしゃらない時に、こういう話をするのはどうかと思います」

    魔法使い「確かにそうかもしれねぇけど、よくわからねぇから確認してるだけじゃねぇか」

    僧侶「でしたらご本人に確認されるのが一番ではないかと」

    魔法使い「それが出来れば苦労しねぇって。あの餓鬼がまたぶち切れたらどうすんだよ」

    僧侶「ならそれは、勇者さまにとって聞かれたくない事なんだと思います」

    魔法使い「って言ってもよぉ……」

    僧侶「あなたにだって聞かれたくない事情の一つや二つ、あるのではありませんか?」

    魔法使い「まぁ……そりゃあなぁ……」

    僧侶「もし、必要な事でしたら、理由は勇者さまからお話してくださるはずです」

    戦士「そうですね。貴女の言う通りです」

    魔法使い「わかったよ、俺が悪かった。あいつにもこの話は聞かねぇ。それでいいな?」

    僧侶「はい、お願いします」ペコリ

    魔法使い「よせよ。俺に頭なんて下げるな」

    184 = 122 :

    魔法使い「それにしてもよ……」

    僧侶「はい」

    魔法使い「あんたらがあいつを勇者って呼ぶのは大丈夫なんだよなぁ?」

    戦士「んんっ」クスッ

    僧侶「ふふっ」クスッ

    魔法使い「あん? 何かおかしな事言ったか、俺?」

    戦士「いえ、最初から大丈夫だった、という訳でもなかったんですよ」

    魔法使い「そうなのか?」

    僧侶「えぇ、最初は物凄く嫌がられて……」

    戦士「それでも、続けてお呼びしているうちに何も仰らなくなったんですよ」

    魔法使い「へぇ、そうなのか。なら、俺がそう呼んでも……」

    少年「あなたに呼ばれたくありません」ガサガサッ

    魔法使い「うおっ!? びっくりしたじゃねぇか!」

    戦士「勇者殿、御無事でしたか」

    僧侶「おかえりなさいませ、勇者さま」

    187 = 122 :

    少年「全く……人がいない間に何を企んでいるのやら」

    魔法使い「いやいや!? 別に企むとか企まないじゃなくてよ」

    少年「しばらく周辺の様子を窺っていましたが、追っ手の姿はないようです」

    魔法使い「そっか。油断は出来ねぇが一安心……って、そりゃあ何だ?」

    少年「見回りついでに採集してきました」

    戦士「木の実に野草ですか。えっと、これは見た事のない野草ですね……」

    少年「それは香草の一種ですよ。下処理した木の実と一緒に、鳥の腹の中に詰めて焼きます」

    僧侶「香草ですか。どうりでいい匂いがします」

    魔法使い「……なぁ?」

    少年「なんですか?」

    魔法使い「野鳥って……弓もねぇのにどうやって仕留めたんだよ」

    少年「原始的ですが、慣れれば手頃で効果的な飛び道具になります」ポイッ

    魔法使い「……石? そんなもんで鳥なんかが獲れるのか?」

      ヒュッ! ゴスッ!

    魔法使い「……すげぇな。木にめり込んでやがる」

    188 :

    少年「石だからといって、馬鹿にしたものでもないでしょう?」

    魔法使い「はぁ……」

    戦士「どうかされましたか。溜め息などついて?」

    魔法使い「いや、こいつを見ていると師匠の事を思い出してよ」

    僧侶「賢者さまの事を、ですか?」

    魔法使い「俺の師匠は実践派でよ。短刀を一本だけ持たされて、山の中に放り込まれたり……無茶させんだよ」

    少年「弟子思いの良い師匠じゃないですか」

    魔法使い「どこがだよ!」

    少年「では、その時の経験を活かして、鳥と木の実の下処理をお任せします」

    魔法使い「は? 俺がやるのか?」

    少年「出来るんでしょう?」

    魔法使い「そりゃあ……まぁ、出来ねぇ事はねぇけど……くそ……言うんじゃなかったぜ……」

    戦士「では、私は薪を集めてきますので、勇者殿はしばらくお休みになってください」

    少年「あ、そちらには行かないようにしてください。簡単な罠を設置しておきましたから」

    魔法使い「……本当に師匠を見ているようだぜ」

    189 :

    面白いな

    190 = 188 :

    ~~日暮れ後 最西の街郊外 山中 洞窟内にて~~

    魔法使い「ふぅ、食った食った。朝から動きっぱなしだったから、ようやく人心地ついたぜ」

    戦士「御馳走様でした。これほど美味しいとは思いませんでした」

    僧侶「本当に。臭みがないから食べやすくて。香草の効果でしょうか?」

    魔法使い「だろ? 俺がしっかりと下ごしらえをしたからだぜ?」

    少年「そういう事にしておきます」

    魔法使い「ふふん、今は気分がいいんだ。何とでもいいやがれ」

    僧侶「勇者さま」

    少年「何ですか?」

    僧侶「はい。これからの事なのですが、今日はこのままここで夜営という事でよろしいのですか?」

    少年「そうですね。今のところ追っ手の気配はないようですから」

    魔法使い「んで、俺の魔力が回復した明日に、転移魔法で師匠のところに移動する、だろ?」

    少年「えぇ、そう考えています」

    戦士「申し訳ありません。一つお聞きしたい事が……」

    少年「何かありましたか?」

    191 = 188 :

    戦士「いえ、私は魔法については詳しくないのですが……」

    戦士「転移魔法とは、それほどの大きな魔力が必要な術なのでしょうか?」

    魔法使い「んん? どういう事だよ?」

    戦士「高位の術とは聞き及んでいますが、朝から時間も経っていますので、今からという訳にはいかないのかと?」

    魔法使い「はぁ……これだから素人は。いいか転移魔法っていうのは……」

    少年「転移魔法自体は高位の術ですが、難易度の割には大きな魔力を必要としません」

    魔法使い「お、おい……」

    少年「ただ、複数で転移をする場合、必要な力が加算式に膨れ上がっていきます」

    戦士「では、我々が転移をする場合は……」

    少年「単純に考えれば四倍の力が必要になります」

    戦士「……なるほど」

    少年「ですから、彼の名誉の為に言っておくなら、朝の段階でも彼一人なら賢者殿の下に転移出来たはずです」

    僧侶「そういう事だったんですね」

    戦士「勉強になりました。ありがとうございます」

    魔法使い「まぁ、そういう事だ……って、何で俺の台詞を取るんだよ!」

    192 = 188 :

    少年「誰が説明しても同じでしょう」

    魔法使い「いやいや、ここは俺が格好良く説明する状況じゃねぇか!」

    少年「全く、面倒な……」

    魔法使い「面倒なら説明するなよ!」

    戦士「まあまあ、落ち着いてください」

    魔法使い「また俺が悪者かよ……っていうか、どうして転移魔法について、そんなに詳しく知ってる?」

    少年「以前、ある人から教えてもらいました」

    僧侶「……お父様ですか?」

    少年「いえ……それより今晩の見張りですが、女戦士さん、私、女僧侶さんの順で考えています」

    魔法使い「俺が入ってねぇじゃねぇか」

    少年「あなたは魔力の回復が優先なので、見張りからは外れてもらいます」

    魔法使い「……わかった。そういう事なら、遠慮なく休ませてもらうぜ」

    少年「お二人共、それでよろしいですね?」

    戦士「はい、問題ありません」

    僧侶「わかりましたわ」

    194 :

    魔法使いってうぜぇな

    195 = 188 :

    ~~夜半 最西の街郊外 山中 洞窟内にて~~

    戦士「勇者殿、よろしいですか?」

    少年「……交代の時間ですか?」

    戦士「はい。お疲れでしょうが、よろしくお願いします」

    少年「それはお互い様でしょう」

    戦士「いえ。私と女僧侶が連続して休めるよう、見張りの順番も配慮してくださっています」

    少年「……それで、何か問題は?」

    戦士「特には何も……静かなものです」

    少年「そうですか。では、交代しますからあなたは休んでください」

    戦士「あの……」

    少年「何ですか?」

    戦士「彼女は大丈夫でしょうか?」

    少年「今朝の件ですか?」

    戦士「はい。今までの人生を信仰に捧げた彼女にとって、背教者呼ばわりされた事は……」

    少年「そうですね。普通に考えれば耐えられない事だと思います」

    196 :

    追いついた
    最後まで書いてくれよ

    197 :

    ほう

    198 :

    >>194
    勇者(Jr.)の方がうざくね?

    199 = 188 :

    戦士「街を離れてからも彼女に元気がないのは、それが原因ではないかと思うのですが?」

    少年「……本当にそうでしょうか?」

    戦士「違う、のでしょうか?」

    少年「女僧侶が間違った事をしたのなら、『背教者』と呼ばれた事で思い悩むかもしれません。しかし……」

    戦士「彼女は間違った事をしてない」

    少年「えぇ、少なくとも御自身でもそう考えているはずです。彼女が言った言葉を憶えていますか?」

    戦士「『謂れもない理由で命が奪われる事を、神は許さない』ですか?」

    少年「その通りです」

    戦士「だからあの時、商隊長殿を助ける選択をした」

    少年「彼女がした選択は、己の信仰を否定しません。だから、その事で思い悩む事などないはずです」

    戦士「それでは、どうして彼女は……」

    少年「理由はわかっています」

    戦士「そうなのですか?」

    少年「ただ、私たちが何かをして、解決する問題ではありません」

    200 = 188 :

    戦士「し、しかし!」

    少年「しっ……あまり大声を出しては二人が起きてしまいますよ」

    戦士「も、申し訳ありません……」

    少年「……あなたが女僧侶を心配する気持ちは、理解しているつもりです」

    戦士「……はい」

    少年「あなたの気持ちも、彼女に伝わっているはず。あとは……」

    少年「あとは彼女が、自分の気持ちにどう折り合いをつけるか……それだけです」

    戦士「ですが……」

    少年「そういう事ですから、あなたはもう休んでください」

    戦士「……」

    少年「……時間が許せば彼女と話をしてみます。それでいいですか?」

    戦士「勇者殿……」

    少年「体を休める事もあなたの仕事です。何かあれば叩き起こしますので覚悟してください?」

    戦士「はい……ありがとうございます」

    少年「叩き起こすと言っているのにお礼を言うなんて……変わった人ですね」


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