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元スレ小鳥「まるで、花が咲くように」
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* * *
小鳥(それから、私たちは……)
小鳥(しばらくの間、無言で抱き合っていました)
小鳥(……私はただ、返事をするだけで良かったのに)
小鳥(ただ一言、『私も好きです』と伝えるだけで良かったのに……)
小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまいました気がします。情けないですね……)
小鳥(……でも、それもまた、私らしいのかもしれません)
小鳥(……それに)
小鳥(プロデューサーさんが言ってくれたように、私たちにはまだ、たくさんの時間があります)
小鳥(いまはまだ、この気持ちのかけらを伝えただけ……)
小鳥(この想いのすべてを伝えるには、これからゆっくりと、でいいんです)
小鳥(……だから……ずっとずっと、私に付き合ってくださいね。プロデューサーさん……)
>>208日本語おかしいので訂正
×小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまいました気がします。情けないですね……)
○小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまった気がします。情けないですね……)
でオナシャス
×小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまいました気がします。情けないですね……)
○小鳥(なんだか、随分とカッコ悪くなってしまった気がします。情けないですね……)
でオナシャス
小鳥(そして今、私たちは……駅へと続く道を、ふたり並んで歩いています)
小鳥(……右手にはもちろん、あなたの左手)
テクテク……
小鳥「……ふふっ」
P「どうかしたんですか?」
小鳥「こんなに幸せで、いいのかなって思って……」
P「……」
ぎゅっ……
小鳥「! えへへ……もう、そんなに強く握らなくても、私は羽ばたいて飛んでいったりしないですよ」
P「……いいんですよ、幸せになっても」
小鳥「え……?」
P「だって、これまで、あなたは……ずっとずっと、頑張ってきたんですから」
小鳥「……!」
小鳥「頑張ってきた、って……?」
P「ずっとあなたのことを見てきたから、俺はちゃんと知っています。だから……、いいんです」
P「……ときには自分のこと以外、何も考えずに幸せになったって……誰も、あなたのことを責めません」
小鳥「…………」ウルウル
P「……!? こ、小鳥さん……」
小鳥「……え、えへへ……あ、あれ? なんでかなぁ……な、涙、が……」
ポロッポロポロ……
小鳥(……そんな風に言ってくれて、とっても……嬉しいはずなのに)
小鳥(春香ちゃんからも、同じことを言われて……あのときは、こんな気持ちにはならなかったのに)
小鳥(まるで、さっきまでの私と、今の私は……全然、違うみたいで……)
小鳥(そ、それに……! 私はもう、涙は我慢できるくらい、大人になったはずなのに……!)
ボロボロ……
小鳥「……ひぐっ! ……う、うぇぇえぇ……!!」
──────
────
──
P「……落ち着きましたか?」
小鳥「はい……」グズッ
小鳥(まさかこの年で号泣することになるとは……)
小鳥(……だけど、プロデューサーさん……泣き止むまで、頭、撫でてくれた……嬉しい)
小鳥「……あれ?」
P「どうかしましたか?」
小鳥「……なんだか、私……今何か、大切なことを聞き流しちゃったような……」
P「!」ドキッ
小鳥「うーん……なにかしら、モヤっとする……」
P「さ、さぁ……なんでしょうね、『音無さん』。あはは……」
小鳥「んー……?」
小鳥「……そんなことよりっ、プロデューサーさん。いまのは、ずるいと思います!」
P「へ? ずるい?」
小鳥「そうですよ……私くらいの年齢の女性っていうのはですね、そういうものなんです」
P「……どういうことですか?」
小鳥「……つまりですね。……す、好きな男性に……」テレテレ
『僕は知ってるよ ちゃんと見てるよ 頑張ってる君のこと』
小鳥「なーんて言われたら……そりゃあ、いくら我慢しようとしたって、こうなるってものなんですっ!」
P「そ、そういうものなんですか……」
小鳥「そうです、そういうものなんです!」
P「でも俺、そんな風に言ったっけかな……?」
小鳥「ある程度乙女歴が長いと、脳内で勝手にそう変換されてしまうんですよ。ふふふ」
P「なるほど……」
小鳥「……でも、私もごめんなさい。また格好悪いところ見せちゃいました」
P「……いいんですよ。格好悪くなんかないし……むしろ、嬉しいです」
小鳥「嬉しい?」
P「そういう弱いところを見せてもらえるのは、彼氏冥利に尽きるっていうか」
小鳥「かっ、かれひっ!?」
P「えっ!?」
小鳥「…………」プシュー
P「……い、一応聞いておきますけど……そう、ですよね?」
小鳥「そ、そう……ですけど……」
小鳥「……もう、なんでそんなこと、サラっと言えちゃうのかなぁ……」
P「あははは……」
小鳥「…………ふふっ。でも……」
小鳥「私は、あなたのそういうところ……大好きですよ」
P「……改めて、幸せだなって思います。音無さんにとっての大切な存在になれたこと」
小鳥「……私もです。でも私は、こうなる前から、あなたのことは大切な存在だって思ってましたよ」
P「え……」
小鳥「だってあなたは……かけがえのない、仲間でしたから」
P「……仲間、か。確かに、それはそのとおりですね!」
小鳥(……だから私は、こう思う)
小鳥(プロデューサーさんはさっき、『アイドルになろうとは思わなかったんですか?』と私に聞いたけど)
小鳥(私は、アイドルをやっている自分ではなくて──)
小鳥「……プロデューサーさん。私、いまの自分のことが、一番好きです」
P「いまの自分、ですか?」
小鳥「はい!」
小鳥「これまで歩んできた、決して短くない人生の中で……私なりに、いろいろとあったけれど」
小鳥「いまの私の隣には、あなたがいてくれる……」
小鳥「そしていつだって……アイドルのみんなが、仲間がいてくれる」
小鳥「やっぱり私は……みんなが持つ、ひとりひとつの光を、何より愛しているから」
小鳥「だからきっと……これ以上の幸せは、ありません」
小鳥(だからね、春香ちゃん……)
小鳥(春香ちゃんはさっき事務所で、こう言ってくれたけど……)
──────────────────────────────────────────────
……小鳥さんも、絶対、幸せになってくださいねっ!
小鳥さんってば、何かにつけて私達のことばっかり気にかけてくれるんですから
──────────────────────────────────────────────
小鳥(……いまなら、あなたの言葉に、胸を張ってこう答えられる)
小鳥「……私はいま、本当に……幸せです」
小鳥「大好きな仲間が、隣にいてくれるから……だからこそ私は、最高に幸せなんだって思います」
P「……小鳥さん」
小鳥「……うふふっ、さぁ、プロデューサーさん! 行きましょう?」
P「……はい!」
──────
────
──
小鳥(……駅に、着いちゃった)
小鳥(私の右手に繋いだ、この左手を、離さないといけません……)
小鳥「……」キョロキョロ
P「どうしたんですか? 何か探しものでも……」
小鳥「……あのっ、プロデューサーさん。お願いがあるんですけど……」
P「お願い?」
小鳥「いまなら……その、まわりに誰もいないから……」
小鳥「……も、もう一度、最後に……ぎゅってしてくれませんか……?」
P「そ、そりゃあ、もちろんいいですけど……」
小鳥「……」ドキドキ
P「……それじゃあ……」
ぎゅぅっ……
小鳥「……んっ……」
P「……」
小鳥「……んふふふ……。ありがとうございま──」
……ちゅっ
小鳥「!!!!?!!?」
P「……」
小鳥「あ、あぇ……? い、今……えっと……」
P「……あはは、可愛かったから、つい」
小鳥「…………────~~~!!!!」プシュー
小鳥(……私の、ファースト・キスは)
小鳥(プロデューサーさんがいじわるをするせいで、よくわからないまま、終わってしまいました)
小鳥(こ、こんなの……全然、長年思い描いていたような……、ロマンチックなキスじゃないわ……!)
小鳥「うぅうぅぅうぅうぅうぅぅううぅう…………!!!」
P「お、落ち着いて……どう、どうどう……」
小鳥「……も、もう一回! もう一回してくださいっ!」
P「え!?」
小鳥「今の! よくわかんなかったから! せめてもう一回ぃぃぃぃ!!」
P「わ、わかりました、それじゃあ……」
小鳥「…………」ドキドキ
ちゅっ……
P「……今のは、どうでしたか?」
小鳥「……いまのも、よくわかんなかった……」
P「……そ、それなら、もう一回やるしかないですかね」
小鳥「そ、そうですね! しかたない、しかたない……」
P「で、ではいざ……!」
小鳥(ここからは恥ずかしいので少し省略します)
小鳥「うえっへへへっへ……♪」
P「……へ、へへ」
* * *
小鳥「それじゃあ……もういい加減、私も行きますね」
P「ええ。帰り道、気をつけてくださいね。こんな夜更けですし」
小鳥「プロデューサーさんも。それに、ちゃんとあったかくして寝てください。風邪なんて引かないでくださいよ?」
P「……はい」
小鳥「……ふふっ、そんな顔しないでください」
小鳥「また、明日になれば……会えるんですから!」
P「……あはは、そうですね!」
小鳥(プロデューサーさんとは、今日はまた、お別れです)
小鳥(でも……私の胸には、さっき別れたときとは、全然ちがう気持ちが芽生えていました)
小鳥(明日になれば、また会える。それがどんなに幸せかっていうことが……わかったから)
小鳥「それじゃあ……おやすみなさい」
P「おやすみなさい……」
小鳥「……」
テクテク……
──ピタ
小鳥(……駅のホームへと続く階段に足をかけた瞬間、ふと振り返ると……)
小鳥(やっぱりプロデューサーさんは、まだそこにいてくれました)
小鳥「……プロデューサーさーん!」ブンブン
P「はーい! どうしたんですかーっ?」
小鳥「えへへ……。また……また明日っ!」
P「……はいっ! また……」
「「また明日っ!」」
P「……行ったか……」
ピピピピ
P「ん? メールが……」
P「! 音無さんじゃないか……なになに」
ピッ
P「……な、なんだこれ……!?」
……………………………………………………
From:音無小鳥
Sub:待ち受け画面にしちゃいました♪
かわいい!
添付ファイル:寝顔♪
……………………………………………………
P「……あははは……はぁ。いつの間に撮られたんだ……?」
……──♪
『……My Blue Bird どこにいるのかな……♪』
ヴーヴー……
小鳥「……あ、メールのお返事かしら? ふふふっ……」
『夢になって 愛になって 誰かと……♪』
小鳥「……」ピッ
……………………………………………………
From:プロデューサーさん
Sub:消してください
それか、小鳥さんの寝顔も撮らせてください。
……………………………………………………
小鳥「えぇっ!? そ、それって、ヤバイ意味じゃないわよね……?」
小鳥「……ん? ていうか……」
小鳥「…………『小鳥さん』?」
『……My Blue Bird どこにいるのかな……♪』
ヴーヴー……
小鳥「……あ、メールのお返事かしら? ふふふっ……」
『夢になって 愛になって 誰かと……♪』
小鳥「……」ピッ
……………………………………………………
From:プロデューサーさん
Sub:消してください
それか、小鳥さんの寝顔も撮らせてください。
……………………………………………………
小鳥「えぇっ!? そ、それって、ヤバイ意味じゃないわよね……?」
小鳥「……ん? ていうか……」
小鳥「…………『小鳥さん』?」
小鳥「……」ボッ
小鳥「……さっきからたまにあった違和感は、これね……堂々と呼んでくれればいいのに、もう……」
小鳥「……き、『機会があれば、寝顔くらい、いつでもどうぞ』っと……」ピッ
小鳥「なーんて! なーんて!」
金髪ツインテ「……」ピピッ
小鳥「うえへへ、な、何言ってるのかしら、私……ったら……」
金髪ツインテ「……駅のホームでひとりでハシャいでる酔っ払い発見なう、っと……」
小鳥「…………」
金髪ツインテ「あ、さっそくELLIEセンパイから……ん? なんか視線を感じるわネ」
小鳥「……えーっと……あなたたしか、お花屋さんのバイトの……」
金髪ツインテ「……」
金髪ツインテ「」ダッ
小鳥「ちょっちょっと!?」
小鳥「も、もう……!」
小鳥(で、でもだめね、私ったら。こんなことで、いちいちこんなに舞い上がっちゃって)
小鳥(お姉さんっぽく、お姉さんっぽく……落ち着きを持って行動しないと)
小鳥(……でも……)
小鳥「……ふふっ♪」
小鳥「……よーし! 明日もがんばるぞー!」
小鳥(……ううん。明日だけ、じゃないですね)
小鳥(それがいつになるかは、まだわからないけど……)
小鳥(私たちならきっと……それを、叶えられるはずだから)
小鳥「……だから、その日まで。ずっと、ずっと……」
小鳥「いっしょに、がんばっていきましょうね……プロデューサーさんっ!」
──────
────
──
【翌日、765プロ事務所】
ガチャッ
P「おはようございますっ、こと──」
律子「おはようございまーす」
P「……律子さん」
律子「なーに、またさん付けしちゃって。それに、私の名前はことりつこじゃなくて律子ですよ」
P「あ、あははは! ごめんごめん、ちょっと寝ぼけてたみたいで!」
P(そうだった……)
P(今日は、いつもみたいに小鳥さんが事務所を開けるんじゃなくて、律子になっていたんだった)
律子「しかしまぁ、ふーん……」ニヤニヤ
P「……なんでしょうか」
律子「音無さん、じゃなくて、小鳥さんですか。一晩で随分仲良くなったものね~」
P「い、いいだろ別にっ! 一応もう、了承も取ったんだから!」
P(あのあと、メールでだけどな……)
──────
────
──
テクテク……
春香「……ふふっ、そっか……」
春香「おめでとうございます小鳥さん、私も、とっても嬉しいです……っと」ピピッ
──パタンッ
春香「……あっ! 千早ちゃ~んっ!」
千早「……? あぁ、はる──」
春香「って、うあっ、うわわわっ!」
ドンガラガッシャーン!
千早「……」
春香「あいたたた……うぅ~、また転んじゃったぁ~……」
千早「おはよう、春香。……大丈夫?」
春香「う、うん……えへへ、私、こういうの慣れてるからねっ!」
千早「はい、これ。落としたわよ」スッ
春香「あ、携帯……ありがとう」
千早「……ねぇ、春香」
春香「どうしたの?」
千早「今拾うときに、待ち受け画面が見えてしまったんだけど……あれって」
春香「あうっ! あ、あ……み、見ちゃった?」
千早「……ええ、ごめんなさい」
春香「……もう変えるから、小鳥さんには内緒にしてね?」
千早「それは構わないけど……でもどうして、音無さんに?」
春香「そりゃあもちろん……私は、ふたりとも、大大大好きだからだよ。えへへ……」
千早「……そう」
千早「まぁ、春香がそれで良いなら、私は何も言わないけど……」
春香「えへへっ、いーんです!」
春香「……あっ! そんなことより、見て見て千早ちゃんっ!」
千早「え? なに?」
春香「ほら、向こうから貴音さんと響ちゃんも歩いて──」
響「まぁ……ごきげんよう、ふたりとも」シャララン
春香・千早「「えっ」」
──────
────
──
P(俺が出勤するのを確認した律子は、『じゃ、あとはお願いします!』と言って外へ行ってしまった)
P(いま事務所には俺ひとりだけ……はやく小鳥さん来ないかな)
P(っと、いけないいけない。公私混同してはダメだよな……気をつけないと)
P「……ふーんふふーん ふふふーんふーん……♪」トントン
ガチャ……
高木「……ウォッホン! 今日の君は、随分と上機嫌のようだね」
P「うわぁっ、しゃ、社長!? すみませんっ、真面目に働きます!」
高木「いやいいんだよ、まだ女の子達も来ていないようだしね」
P「あははは……えーっと、おはようございます」
高木「ああ、おはよう。……うん? しかし、いまの歌はどこかで……」
P「へ?」
高木「……もしかしてそれは……『光』か?」
P「確かに、今のはそうですけど……。社長、この歌のことをご存知なんですか?」
高木「……うむ。しかしそれを説明する前に、だね……君は、どこでそれを?」
P「こと……じゃなくて、音無さんが歌っているのを、偶然耳にしたんです」
高木「音無君が……ああ、そうか、そうだったのか……!」
P「? なんだか、随分と嬉しそうですね」
高木「はっはっは、嬉しくもなるよ。いや、実に懐かしいねぇ」
P「懐かしい……? ……というか社長、この歌はオリジナルだと聞きましたが」
高木「ん? オリジナルだって?」
P「ええ、音無さんがそう言っていました」
高木「……なるほど、彼女はそう伝えていたのか。まぁ無理もないかもしれないが」
P「彼女っていうのは……それは、音無さんのことですか?」
高木「……いや、ちがう。本来その歌を歌うはずだった、とあるアイドルのことだよ」
P「あ、アイドル!? それに、歌うはずだった、って……」
P(あの歌は小鳥さんの母親が考えたもので、もちろん発表もされていないって聞いたけど……違うのか?)
P「…………」
高木「確かにその歌は、CDにもレコードにもなっていないし、今ではどこにも記録は残っていないだろう」
高木「だが私は、その歌のことはよく覚えている……」
高木「……忘れることもできない、と言った方が正しいのかもしれないが」
P「……それは……一体どうして?」
高木「はは……それを歌うはずだったアイドルのプロデューサーが、何を隠そうこの私だったのだからね」
P「えっ!?」
P(いろいろと驚くことはあるけど……何より、まずこれだ……)
P(……社長、本当にプロデューサーだったのか……!)
P(いつも何をしているかわからないから、てっきり適当なことを言っているものかと……)
P「……高木社長がプロデュースした、アイドル」
高木「うむ。君も聞いたことがあるかもしれないな。かつて『空』や『花』という歌を歌った歌手のことを」
P「! まさか、それって……いやでも、名前が……」
高木「……君が知っているその名前は、彼女の芸名だ。だから、音無君の名前とはなんの関係もない」
P「あ……そ、そうか……」
高木「いやはや……世界は、広いように見えて、実はとても狭いのかもしれない」
高木「私も、初めて彼女の『娘』に出会ったときは目を疑ったものだよ。まるで生き写しのようだったからね」
──────────────────────────────────────────────
……あの歌は……子守唄なんです
小さい頃、母が私に歌ってくれた……子守唄
──────────────────────────────────────────────
P(……かつて社長がプロデュースしたという、『空』や『花』を歌ったアイドル……)
P(そして本来、『光』を歌うはずだったその人が……)
P(それが、小鳥さんの母親なのか……?)
高木「その歌、『光』はね……彼女が引退前、最後にリリースするはずだった楽曲なのだよ」
高木「しかし……、それが完成され世に出る直前に、彼女は私の元を去ってしまったのだ」
P「去ったって……どうしてまた?」
高木「今でも、はっきりとした理由はわからない。しかし彼女は最後に、私にこう言っていたな……」
『この歌を歌うのに、今の私はふさわしくありません』
高木「……彼女は、私の見ていないところで、随分と悩んでいるようだった」
高木「ははは、今になってこんなことを言っても、もう遅いがね……」
P「社長……」
高木「何十年も昔の話だよ。……とにかく、それから私は、色々と考えを改め直すことになった」
高木「プロデューサーがアイドルの心の支えとなり、二人三脚で様々な困難を乗り越えていく……」
高木「そうした先に、私が求めるアイドルの理想形があるんだ……とね」
P「……理想のアイドル……?」
高木「ああ……私が黒井と袂を分けたのは、ちょうどその頃だったかな」
高木「音無君を初めて見たときは、これが天のめぐり合わせかと思ったものだったが……」
高木「だが、考えを改めたところで、それを実現するには私は少し年を取りすぎていたようだ」
高木「もう少し早く、君のような若者に出会っていれば……音無君もあるいはまた……」
P「……!」
P(それって……)
P(社長の言い方だと……、もしかして小鳥さんも……?)
高木「……いやしかし、君には本当に感謝しているよ。よくぞここまで、アイドル諸君を成長させてくれた」
P「……いや、まだです。俺達は、まだまだこれから、さらに上を目指していきますよ!」
高木「おお、そうか!」
P「もっともっとあの子達を輝かせて、そして……必ずや、みんなまとめてトップアイドルにしてみせます!」
高木「うむ! やはり君の言葉には、勢いがあって実に頼もしいな!」
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