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元スレ小鳥「まるで、花が咲くように」
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小鳥「す、好き? 私の歌が、ですか?」
P「はい。とても綺麗な声ですし、聴いてると、安心しました」
小鳥「……また、お世辞とかじゃなくて……?」
P「お世辞じゃないですよ。っていうか俺、音無さんにお世辞なんて言ったことないです」
小鳥「……そんなこと、直接言ってくれたのは、プロデューサーさんが初めて……」
P「直接?」
小鳥「あ、ああいえっ! こちらの話です!」
小鳥(……プロデューサーさんが、また褒めてくれた)
小鳥(職業柄、いつもたくさんの音楽に囲まれて過ごしているプロデューサーさんが、私の歌を……)
小鳥(……ちがう。ちがうわよ……)
小鳥(職業柄とか、音楽に慣れ親しんでるからとか、そういう話じゃなくて……)
小鳥(あなたに褒めてもらえたから……だからいま、私は──)
小鳥「……あ、あの……嬉しい、です……えへへ」
P「……というか、俺は……」
小鳥「え?」
P「音無さん。お、俺……ずっと言おうと思っていたんですけど……」
小鳥「……な、なんですか?」
小鳥(なに? 急に雰囲気が……。この感じ、どこかで……)
P「……俺が好きなのは……音無さんの歌、だけじゃなくて……」
小鳥「…………」
小鳥「──ハッ!」ティン
小鳥(そうだ……この雰囲気、このシチュエーション! 漫画で見たことがあったんだわ!!!)
小鳥(……え、えっと、確かこのあと主人公が…………いやいやいやいや!
おお、お、落ち着いて小鳥っ! まさかそんな、ねぇ?
さすがに突然すぎるっていうかなんというか特にフラグも立ってなかったし!?
え? なに? 私がフラグを見逃してただけだっていうの? いやそんなはずはないわ
とある乙女ゲー業界の隅っこでは落とし神とさえ言われているこの私が
フラグが立つなんてそんなわかりやすいビッグイベントを見逃すはずはない
ででもプロデューサーさんなんだかいつになく真剣な眼差しをしていりゃっしゃるし……
私とプロデューサーさん……見つめ合うふたり……これは本当にまさか噂に聞くあれでは?
都市伝説で語り継がれているいわゆるKO☆KU☆HA☆KUというやつでは?
こ、困るわ、急にそんなこと言われてもだってそもそもプロデューサーさんはプロデューサーだし
やっぱり社長がいつか言っていたようにプロデューサーはアイドルの子達にとってあのその
だからずっと私はこの気持ちを見て見ぬフリをして……
いやでもその先をちょこっと見てみたいような気もするけどでもでもぴよぴよぴぴぴヒヨコがぴょん)
P「俺は、音無さんのことが……」
小鳥「…………ごくり」ドキドキ
P「す──」
律子「あら? プロデューサー、小鳥さーん! お疲れ様でー……」
P「るめ!」
小鳥「めだか!」
P「か、か……かっかー!」
律子「って……何やってるんですか? しりとり……?」
P「お、おう律子! お疲れ!」
律子「はい、お疲れ様です。……しっかし、これは……私としたことが、やっちゃったかなぁ」
小鳥「な、なんのこと?」
律子「……もしかして、お邪魔しちゃいました?」
P「何を言ってるんだい!? あっはっは、律子が邪魔なんてそんなことあるわけないじゃないか!」
小鳥「そ、そうですよ! べべ、別に、何があったわけでもないんですから!」
小鳥(な、なんなのよ……もう)
小鳥(……プロデューサーさん、何を言おうとしていたのかしら……)
律子「でも、まぁ……ふたりがもう、ここまで進んでいたとはね……」
小鳥「こ、ここっ!? ここってどこのこと!?」
律子「ふふっ、それならそうと、私にも教えてくれればいいのに。水臭いなぁ、もう」
P・小鳥「「そんなんじゃないって!(ありません!)」」
律子「小鳥さんがここにいるということは、事務所、もう閉めちゃいました?」
小鳥「え、ええ……」
律子「あちゃー……それなら、無駄足だったかな。先にメールしとけば良かったかも……」
小鳥「……律子さん、今日はもう戻られないんじゃなかったですか?」
律子「あははは、ちょっと忘れ物しちゃって……緊急じゃないんですけどね」
小鳥「そう……でもそれなら一応、もう一回、事務所開けにいきます? ここからなら距離もないですし」
律子「え、それ本当ですか!? そーしてくれると助かりま──」チラ
P「ん? どうした、こっち見て」
律子「……んー、やっぱりいいです。事務所の鍵だけ貸してくれれば、自分で取りにいきますから」
小鳥「だけどそうすると、明日事務所の鍵を開けるのが……」
律子「私が朝一で開けにいきますよ。小鳥さん、明日はのんびりしといてください」
小鳥「えぇ!? で、でも……」
律子「いいからいいから! ……お邪魔しちゃったお詫びです」ヒソヒソ
小鳥「お、お詫びって……」
小鳥「……でもまぁ、それなら、お言葉に甘えちゃおうかしら」
小鳥「それじゃあ……はい」チャリン
律子「確かに、受け取りました」
P「……あの、律子さん」
律子「なんですかー、そんな呼び方して」
P「ちょっといいかな」クイクイ
律子「はいはい。小鳥さん、ちょっと彼をお借りしますね」
小鳥「か、彼!?」
P「……あんまり余計なことは言わないでくれよ。本人の前だぞ……」ヒソヒソ
律子「これくらい言わないと、いつまで経っても進展しないじゃないですか」
P「うぐっ」
律子「……でも、ごめんなさい。私、本当にタイミング悪かったみたいね」
P「……いや、いいよ。俺もちょっとテンションおかしかったし……」
律子「……それにしても。よく頑張りましたねー、プロデューサー殿っ」ポンッ
P「……ばか。何言ってるんだよ……」
律子「ふふっ、そんなこと言っちゃって。あなたのことだから、精一杯の勇気を出して小鳥さんと──」
P「わー! わーわー!」
小鳥「……」ポツーン
小鳥(プロデューサーさんと律子さん、なんだか仲良さそうね)
小鳥(きっと同じプロデューサー同士、私が知らない苦労とかも共有してるんだろうなぁ)
小鳥(……ん? 秘密の共有……おっ、これはまた……うん、良い妄想のタネに──)
──ズキッ
小鳥(……)
小鳥(……どうして、胸が痛むのかしら)
律子「それではふたりとも、また明日!」
P「う、うん……」
小鳥「また明日ー……」
P・小鳥「「……」」
P「……俺たちも行きましょうか。あははは……」
小鳥「そ、そうですね! うふふふ……」
ヒュルルル~……
小鳥「……うぅっ、さぶいぃ」プルッ
P「……近頃めっきり寒くなりましたねぇ……」
小鳥「……本当ですねぇ……」
P「…………」
小鳥「…………」
小鳥(……さっきの胸の痛みが、気になって)
小鳥(何を話したらいいか、わからなくなってしまいました)
小鳥(プロデューサーさんと律子さんが仲良さげにしているのを見たとき……)
小鳥(あのとき、私の心に生まれた気持ちは……きっと……)
小鳥(……やっぱり、私は──)
……──♪
『進め 負けない ここから始まる……♪』
小鳥「!」ビクッ
P「ん? 響から電話だ……えーっと」チラッ
小鳥「あ……私のことは気にしないで、電話に出てあげてください」
P「……すみません」
小鳥「…………」
小鳥(やっぱり、私は……なんだろう?)
小鳥(なにを、考えていたのかしら……)
ピッ……
P「もしもし、響? どうした?」
響『プロデューサぁ~! た、助けてぇ~!!』
P「……!? お、おい、何があったんだ!?」
小鳥「え……?」
小鳥(プロデューサーさんの顔が……急に、険しく……)
小鳥(もしかして、響ちゃんの身になにか……!?)
P「響、お前──」
響『じっ、自分っ! このままじゃ……』
響『──めちゃくちゃにされちゃうっ!!』
小鳥(ひょ、ひょっとして……最近人気の響ちゃんを狙った、誘拐事件とか……!?)
P「……とにかく、落ち着いて状況を説明してくれっ!」
P「電話が出来るってことは、まだ無事なんだな!? 何もされてないんだな!?」
響『う……うん……』
P「……すぐ助けにいくから、安心しろ。連れ込まれた辺りの特徴とか、覚えてるか?」
響『え? 連れ込まれた?』
P「え」
響『プロデューサー、何言ってるんだ……?』
P「……だってお前、誘拐されたんだろ? 悪質なファンの連中に」
小鳥(あ、プロデューサーさんも、私と同じことを考えていたみたいです)
小鳥(……でも、なんだろう。ついさっきまでとは全然ちがう、気の抜けた顔になっているけど……)
響『誘拐!? 自分がっ!?』
P「あー、うん……そう思ったんだけど……違うの?」
響『全然ちがうしっ! 貴音がそんなことするわけないでしょっ!』
P「はぁ……?」
P「貴音、って……」
小鳥「貴音ちゃん……?」
P「えっと、とりあえず落ち着いてくれないかな」
響『う、うん……』
P「……あの、我那覇さん。今、自分がどこにいるかわかりますか?」
響『貴音の家だけど……』
P「……まわりには、誰がいる?」
響『貴音だけさー。いまは自分、隠れてるから近くにはいないけどね』
響『っていうか! 連れ込まれたんじゃなくて、ちゃんとお呼ばれされてお邪魔してるんだしっ!』
P「……そうすか」
響『だから助けてよぉ~!』
P「あはは! 響は説明をするのがへたっぴだなぁ」
P「……しかしまぁ、お前がなんくるなくて良かったよ……本当に」
響『だから、これからなんくるなくなりそうなのっ!』
小鳥「あの、プロデューサーさん! それで、響ちゃんの身に、一体何が……!?」
P「ああ……いいんです音無さん。もう解決しましたから」
小鳥「え」
響『あれ? もしかしてプロデューサー、ピヨコと一緒にいたの?』
P「あ、うん……」
響『むむむぅ……自分、前から思ってたんだけどさ、プロデューサーってピヨコのこと……』
P「いやいやいや! な、何を言ってるんだあっはっは! そんなことより今はお前のことだろ!」
響『でもそっちも気になるぞ……』
小鳥(何の話をしているんだろう……?)
響『だから、これからなんくるなくなりそうなのっ!』
小鳥「あの、プロデューサーさん! それで、響ちゃんの身に、一体何が……!?」
P「ああ……いいんです音無さん。もう解決しましたから」
小鳥「え」
響『あれ? もしかしてプロデューサー、ピヨコと一緒にいたの?』
P「あ、うん……」
響『むむむぅ……自分、前から思ってたんだけどさ、プロデューサーってピヨコのこと……』
P「いやいやいや! な、何を言ってるんだあっはっは! そんなことより今はお前のことだろ!」
響『でもそっちも気になるぞ……』
小鳥(何の話をしているんだろう……?)
P「と、とにかく! 話を戻そう、な!」
響「う、うん……」
P「めちゃくちゃにされるって、どういうことだ? 貴音になんかされそうなのか?」
響『あー、あのね、貴音、こないだ化粧品のCMに出たでしょ?』
P「うん。あれは良いCMだったね」
響『そうかー……? まぁとにかく、それから貴音がね、なんか、変な風に目覚めちゃったっていうか……』
P「目覚めた?」
響『うん……さっきまでは普通だったのに、急にまた、自分のこと──』
貴音『響っ! そんなところに隠れていたのですね!』
響『うわぁっ、見つかっちゃったぁ~っ!』
貴音『うふふっ♪ さぁ、こちらに……綺麗にしてさしあげますからね……ふふっふふふふ』
響『そんなのいいからぁ~! じ、自分、そんな、化粧なんてあんまり好きじゃないからっ!』
P「……化粧?」
小鳥「……化粧?」
P「……貴音に代わってくれる?」
響『うん……はい、貴音。プロデューサーだぞ』
貴音『はて、プロデューサー?』
P「……もしもし、貴音か?」
貴音『はい。あの……どうかなさいましたか? もしや私が、また何か不手際でも……』
P「あーいや、違うんだ。……ただな、響のこと思いっきり可愛くしてやれって言いたくてさ」
貴音『! ふふふっ……承知いたしましたっ! 私におまかせください!』
響『えぇっ!? プロデューサー、何言ったの!? ねぇ!』
P「響ー。チバれよー」
貴音『と、いうことですので……あの方のお許しも出たところで、ではさっそく……!』
響『うぎゃーっ! プロデューサーの薄情モノぉぉ──…………
P「すみません、お待たせしました」ピッ
小鳥「あの、響ちゃんは……」
P「大丈夫、可愛くなるだけですから」
小鳥「……?」
──────
────
──
P「──って感じで」
小鳥「まぁ……うふふっ、確かに、それなら心配ありませんね」
P「まったく……響のやつも、いつまで経ってもあわただしくて落ち着きがないというか……」
小鳥「……でもそんなこといって、プロデューサーさん、とっても嬉しそうに見えますよ」
P「え、そ、そうですか?」
小鳥「ええ。響ちゃんに何事もなくて、安心したんでしょう?」
P「……まぁ、それは……あはは」
小鳥「……ふふっ、ふふふっ……♪」
P「……音無さんも、ずいぶん嬉しそうですね」
小鳥「それはそうですよ。なんで嬉しいかというと、それはきっと……あなたといっしょ」
P「いっしょ?」
小鳥「……私たちが愛するみんなが、今日も変わらず、笑顔でいてくれるからです」
小鳥「そして、なにより……」
小鳥(あなたが、笑顔になったから)
小鳥「……──っ!」
P「……?」
小鳥「……そっか、そうだったんだ……」
P「音無さん? あの、どうかしたんですか……?」
小鳥(……いま、はっきりと……、わかっちゃった)
小鳥(私は……いつの間にか……)
小鳥(この気持ちとはっきりと向き合うのが怖くて、今まで、なるべく考えないようにしていたけれど)
小鳥(……プロデューサーさんはみんなのプロデューサーだから……私なんかじゃって思って……)
小鳥(ずっと……見て見ぬふりを、してきたけれど)
小鳥「私が嬉しくなる理由……それは、なにより……」
P「なにより……なんですか?」
小鳥「……ふふっ。もうひとつの理由は……」
小鳥(アイドルのみんなのことを、いつだって真剣に考えて、心配して……)
小鳥(みんなが笑顔なら、いっしょに笑顔になって。みんなが悲しいなら、いっしょに悲しんで)
小鳥(そんなあなたの後姿に惹かれて……いつしか私は、あなたの笑顔を目で追うようになっていて……)
小鳥「ナイショですっ! 当ててみてください♪」
小鳥(……そして……私は、いつの間にか……)
小鳥(プロデューサーさんのことが、こんなにも……好きになっちゃっていたんだ)
小鳥(……なんだろう)
小鳥(途端に、気持ちの奥でかたまっていた、なにかが溶けた気がしました)
小鳥(──私はいつの間にか、あなたに恋をしていた)
小鳥(たったそれだけのことで、これまで当たり前に過ごしてきた日々も、決して当たり前ではなく……)
小鳥(それはきっと、とても幸せな積み重ねだったんだとさえ、思えてしまいます)
小鳥「……ふふ」
P「音無さん? おーい……」
小鳥「……えへへ……はい、なんですか?」
P「大丈夫ですか? ボーっとしていたみたいですけど」
小鳥「……大丈夫です。今の私は、とても幸せですから……」
P「へ?」
小鳥「あっ、ほらほら、そんなことより。もっといろんな話をしましょう?」
P「うーん、そうですねぇ……それじゃあ、響が急に沖縄に飛んで行っちゃった話でも」
小鳥「え!? な、なんですかそれっ! 初耳なんですけど……」
P「あはは、実は……響の地元の友達、アリサって言うんですけど、その子が──」
小鳥(……こうして話している瞬間も、私の胸にはまた、次々に新しい気持ちが生まれていきます)
小鳥(それは、まるで……)
小鳥「へぇ……そんなことが……」
小鳥「……うふふっ、続きを聞かせてください、プロデューサーさん!」
小鳥(それはまるで、花が咲くようだって……)
小鳥(今の私は、そんな風に、思う)
──────
────
──
テクテク……
P「──そういえば……またさっきの話なんですけど、あの歌、なんていう曲なんですか?」
小鳥「あの歌?」
P「事務所で俺が寝ているときに歌っていた、あれです」
小鳥「う……あ、あれは……」
P「765プロが出した曲でも、他のアーティストが出した最近の曲でもないですよね」
小鳥「…………」
P「いやぁ、印象に残る歌詞とメロディだったから、どこの誰が出したCDなのかって気になっちゃって……」
小鳥「あの歌は……」
小鳥(あれは……私にとって、少しだけ、特別な歌)
小鳥(……あの歌は──)
小鳥「……あの歌は、子守唄なんです」
P「子守唄?」
小鳥「そうです。小さい頃、母がよく私に歌ってくれた……子守唄」
小鳥(そしてそれは、たったひとつ、いまでも私が覚えている……思い出の歌)
小鳥「えっと、さっきも言いましたけど……私は小さい頃、母とよく歌を歌って過ごしていたんですよ」
小鳥「それで……実は、プロデューサーさんにさっき聴かれてしまったその歌は、オリジナルなんです」
P「え!? お、オリジナル?」
小鳥「ええ。母が歌詞を考えて、そこに曲をつけたんだって、私は昔、本人から聞きました」
P「へぇ……それにしては、随分とちゃんと形になっていたような……」
P「もしかして音無さんのお母さんは、作曲に携わる仕事でもしていたんですか?」
小鳥「いえいえ、そうではありませんよ。まぁちょっとだけ、歌に関係する仕事はしていたようですけどね」
P「そうだったんですか……」
小鳥「……本当に、小さい頃のこと。だけど私は、ずっとそれを覚えていて……」
────────────────────────────
……どうか負けないで 自分を信じて大丈夫だから
どうか止めないで 夢が朝になっても覚めないなら
明日を迎えにいってらっしゃい……
────────────────────────────
小鳥「……つらいことがあったとき、悲しいことがあったとき……」
小鳥「この歌を口ずさんでいると、頑張ろうって気持ちになったんです」
P「…………」
小鳥「ふふっ。だから、どこを探しても、あの歌のCDは見つかりませんよ」
P「……そうですか。それは残念だな、本当に」
小鳥(……きっと、今の私を形作っているものは、この歌なんだと思います)
小鳥(小さい頃からずっと私のそばにいて、いつだって私のことを励ましてくれたこの歌のように……)
小鳥(私は、みんなにとって、そういう存在になりたくて……)
P「ところで……その歌に、タイトルはあるんですか?」
小鳥「はい、もちろんありますよ! その歌のタイトルは……」
小鳥「……『光』、です」
──────
────
──
小鳥(それからも、私達は……)
小鳥(これまでの思い出や、仕事での失敗談なんかを、笑いあいながら話していました)
小鳥(それはとても楽しくて、まるで魔法にかけられたみたいに……、時間があっという間に過ぎていきます)
小鳥(……どれくらいあっという間かというと)
小鳥「……」
P「……」
ガタンガタン……
ガタンガタン……
小鳥(駅に着いてしまったことに、少しの間気づかなかったくらい……)
小鳥「……プロデューサーさん。送っていただいて、ありがとうございました」
P「いえいえ。俺から言い出したことですし……」
小鳥「……とっても、嬉しかったです。こんな風にたくさん、いろんな話が出来たのは、初めてでしたから」
P「……俺もです」
小鳥「…………」
P「…………」
小鳥(……もう間もなく、私が乗らなくてはいけない電車が到着します)
小鳥(だからもう時間もないし、どれだけそこにいても、あまりお話なんて出来ないってことはわかっているのに)
小鳥(私にはなぜか、改札へ足を向けることが出来ませんでした)
小鳩に見えてどうしたあの中二病って思って開いてから気がついた
小鳥(……好きな人とこれだけ同じ時間を過ごすと、お別れがこんなにもつらくなる)
小鳥(私はこのことを、この瞬間に、生まれて初めて知ることができました)
小鳥(けれど……)
──♪
『……まもなく、841番線に……電車が参ります……』
小鳥「あ……」
P「……さあ、もう行かないと」
小鳥「……はい」
小鳥(けれど時間は過ぎていきます。お別れのときは、もう目の前に来ています)
小鳥(……もちろんこれは、一生のお別れでもなんでもありません)
小鳥(明日になれば、また会える。いつも通り……事務所で会える)
小鳥(ひとりのプロデューサーと、ひとりの事務員として……)
小鳥(それでもプロデューサーさん、私は……そんなのは、いやなんです)
小鳥(私はいま、この瞬間に、もっとあなたと──)
小鳥「それじゃあ……私、行きますね」
P「……はい」
小鳥「……」クルッ
タッタッタ……
小鳥(……それ以上は、何も言えず、振り返りもできずに)
小鳥(私は、ホームへと入り込んできた電車の中に、駆け込みました)
【電車の中】
ガタンガタン……
ガタンガタン……
小鳥「…………」
小鳥(……どうしてかしら。頭の中で、あの歌が流れ続けている)
小鳥(つらいことがあったとき、悲しいことがあったとき、いつだって私を励ましてくれたあの歌……)
小鳥(……『光』……)
────────────────────────
……いま輝く一番星 ひとつ夢を願った
だけど、今日もまた 終わっていく……
────────────────────────
小鳥(この電車が駅に到着して、家に着いたら……、今度こそ、今日が終わっちゃう)
小鳥(魔法が解けちゃう……)
──────────────────────────
ただ自分でいたいのに……
ただ笑っていたいのに……
だけど成れなくて もう出来なくて 落ちる涙
──────────────────────────
小鳥(……でも私は、この歌のように涙は流さない。言葉にできないさみしさを感じてしまうけど)
小鳥(それでも、あふれそうになる涙を我慢できる程度には、私は大人になってしまっているから……)
小鳥「……っ……」
小鳥(……あなたは……いつだって、アイドルのみんなことを、一番に考えていて)
小鳥(でも……それなのに、あなたは……)
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